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変形性膝関節症の原因と初期症状、治療方法とそのポイント
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変形性膝関節症の原因と初期症状、治療方法とそのポイント
皆さんは、日々の暮らしの中で階段の昇り降りなど、膝を曲げ伸ばしする場面で「膝の痛み」を感じることはありませんか?
年齢を重ねて中高年になると、生活の中で膝の痛みを感じる場面が増えてきます。実は、そんな場合「変形性膝関節症」といわれる病気を患っている可能性があります。
変形性膝関節症を早期に発見し、治療に入るためには、事前にどのような症状を起こすのか知っておく必要があります。そこで早期に治療に入るために知っておきたいことを記しました。
変形性膝関節症の症状は、一気に現れず、何年にもわたって少しずつ進行していくのが特徴です。
日本で「変形性膝関節症」は、40歳以上の有病者数が約2530万人、そして有症者数が約 800万人と推定されており、代表的な整形外科疾患とされています。
その症状として顕著なのは、膝関節痛や内反膝といった「関節の変形」です。このような症状が出てくると日常生活でおこる様々な動作で痛みが発生するようになり、動きが低下してまいります。
最初、少しの痛みだからと我慢したり、様子見を決め込んで放置していると症状が進行して大変な思いをしかねません。
そこで今回は、変形性膝関節症の初期の段階から症状を見逃さないで治療を行うことの大切さと、実際の症状について解説してまいります。
1.変形性膝関節症の原因とは?
平成28年の国民生活基礎調査によれば、「関節疾患」は高齢者が要介護に至る原因の第5位にランクされ、同時に要支援、要介護に至る原因としてトップであると言われています。けして侮ってはいけません。
そのなかでも、変形性膝関節症の患者数は概ね2530万人程度と推計され、非常に多くの方がこの症状で悩まれていることが分かります。また、この病気の男女比としては1:4で女性に多くみられるほか、高齢者になるほど罹患率は高くなります。
疾患の発症および進行は、足の太ももの前側にある筋肉で大腿四頭筋の筋力の低下が影響すると言われています。
膝関節というのは、太もも側の「大腿骨」と、すね側の「脛骨」の間の関節、および大腿骨とお皿と言われる「膝蓋骨」の間の関節から構成されており、全体が滑膜という膜組織で包まれています。
これら骨と骨の接触面は、滑らかで弾力性のある関節軟骨で覆われていて、この軟骨そのものが膝の滑らかな運動を可能にして膝の衝撃を和らげてくれています。
変形性膝関節症の主な原因は、この膝関節部の軟骨の老化によることが多く、過度な運動や、肥満、遺伝的素因も関与しています。加齢によるものでは、関節軟骨が年齢とともに弾力性を失い、すり減り、関節が変形します。
また、変形性膝関節症は骨折、靱帯や半月板損傷などの外傷、化膿性関節炎などの感染の後遺症として発症することもあります。
2.変形性膝関節症の初期症状
さて、ここから変形性膝関節症の初期症状について紹介していきましょう。変形性膝関節症の初期症状は、まず「膝が痛い!(多くは内側)という症状」が多く見受けられます。
例えば、「歩き始めに痛い」、「階段の上り、下りで痛みを感じる」、「長い距離を歩いた後に痛くなるが、休むと消える」などの症状を訴え、その痛みのせいで運動が多少なりとも制眼されるようになります。
他にも「正座ができない」、「しゃがめない」、「胡坐がかけない」、「立ち仕事ができない」などの初期症状を自覚される方も少なからずいらっしゃいます。
歩いたり、階段の上り下りで、これまでとは違う・・・何か違和感じる。そのような場合でも、それが初期症状なのかもしれません。放置すると、「膝に水がたまって」膝部分が熱を持つようになることもあります。
そうなると膝を曲げようとすると膝に張りや、突っ張りなどの違和感や、強弱はありますが痛みを覚えるようになります。
変形性膝関節症の初期症状の一例
その他、膝の動作時に痛み等、違和感を感じたら、それは変形性膝関節症の初期症状かもしれません。 |
また、変形性膝関節症は、もともとO脚気味の人に多い病気です。病状が進行するにつれて、このO脚の程度が進んで行き、関節が変形をきたしていくことになります。
初期段階は、主に立ち上がりや、歩きはじめなど、動作の開始時に膝が痛みはじめますが休めば痛まなくなります。ところが、病状が悪化すれば正座や階段の昇降が困難となり、末期になると安静時にも痛みが走るようになります。
こうなると関節部の変形も目立ち、膝が真っすぐに伸ばすことができなくなって最終的に歩行が困難になります。
3.変形性膝関節症の治療
当初、症状が軽い場合には、内服薬や外用薬を使用して痛みを軽減し、膝関節内にヒアルロン酸の注射をおこなうことで動きをサポートします。
また、同時に保存的療法としてリハビリテーションを実践し、運動療法を行います。これは痛みのため、膝を動かさないよう安静にしすぎて、関節が固まってしまうことを避けるために行います。
そのほかにも運動療法は、筋力の衰えを防いだり、その維持といった効果を見込んで行うものです。さらに加えて膝を温めたりする物理療法も同時に行われることもあります。
また、補助具として、足底板(インソール)を用いた補助や、サポーターなど膝装具を身に着けることで膝を固定、支えることで痛みや、膝の安定感を高め、動く際の不安感を取り除くこともできます。
治療の種類/治療の選択
変形性膝関節症に気づき、運動療法(リハビリ)に取り組むことで、症状の悪化を防ぎます。運動療法でも痛みが引かない場合、「薬物療法」や「物理療法」「装具療法」などで痛みを抑えながら「運動療法」に取り組めるよう工夫します。
あらゆる手を尽くしても効果がみられない場合には観血療法、いわゆる「手術療法」という選択肢がありますが、手術によっては体への侵襲が大きな「人工関節置換術」や「高位脛骨骨切り術」が必要な場合があります。
手術をしたくない!という場合には、負担が少なく、術後の回復も早い「関節鏡視下手術」という選択肢もありますが、膝の変形が進行した状態では、関節鏡視下手術をしたところで、改善が見込めない場合があります。
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変形性膝関節症|治療のカギは早期発見
変形性膝関節症の治療の基本は運動療法ですが、初期から実施するのと、末期から実施するのでは大きな違いがあります。初期の運動療法には悪化を防ぐ目的があり、継続して行うとこれまで通りの生活を送れる可能性があります。
一方、発見が遅れた末期では、痛みが強く日常生活をまともに送るのは難しい状態です。そのため、満足に運動療法に取り組めず、これまで通りの生活を送れる可能性は低くなることから、「早期発見が変形性膝関節症の治療において大切」です。
膝関節の再生医療について
変形性膝関節症の一般的な治療方法は、リハビリ・関節注射・内服薬等によって痛みをコントロールする保存療法から始まりますが、変形が顕著で痛み等による日常生活への影響も大きい場合などには手術療法が選択されます。
基本的に関節の軟骨組織は自然治癒が難しく、軟骨組織の損傷により骨や半月板など周辺組織への影響も大きく出ます。痛みが強いために動くことが億劫になると、外出の機会が減り、生活の質が低下してしまうことも考えられます。
しかし中には、症状が進行していても様々な事情で手術の選択が難しい方もおられます。そのような方には、最新の治療方法として幹細胞治療があります。
幹細胞治療とは自身から取り出した脂肪組織に含まれる幹細胞を培養により増殖し、膝関節へ注入する治療法です。実は幹細胞には自ら傷ついている組織に集まり、その部分を再生させるホーミング効果というものがあります。例えば変形性膝関節症に対しては、注入された幹細胞が傷ついた関節軟骨や半月板に集約し、従来であれば一度損傷すると治癒しないと言われていた関節軟骨や半月板が修復されます。
痛みの元凶である関節軟骨や半月板が再生されれば、痛みの減少に伴い活動量が増加され、生活の質の向上が期待されます。これまでの一般的な治療では効果が感じられない方にとって、再生医療による幹細胞治療は手術を受けない根本的治療として新たな選択肢となっています。
▼最新の治療法についてはこちらもご覧ください。
膝の痛み/変形性膝関節症のおススメの最新治療法
4.変形性膝関節症の治療のポイント
ただ、変形性膝関節症は進行性の病気なので、どのような治療を行っても症状が進行すると手術での治療を考慮しなければならなくなります。
ここでは個別に詳しく記載することはしませんが手術での治療としては、「関節鏡手術」、「高位脛骨骨切り術」、「人工膝関節置換術」などがあり、症状に合わせて実施しなければなりません。術後は、入院してのリハビリ等を含めた治療が必要となります。
このように、変形性膝関節症が明らかになると完治にいたらず、最終的に手術の選択が必要な病気です。そのため、膝に痛みや、違和感などの初期症状を感じたら、まずは病院等にて専門医の検査を受け、診断を仰ぐよう心得ましょう。
この病変は、治すことが難しい病気ですが、早期に治療を始めることで少なくとも進行を遅らせることができます。そのためにも日常生活における本疾患の予防方法として普段から気を付けて欲しいことがあります。
それは、大腿部の前の筋肉(大腿四頭筋)を鍛える。正座をさける。体重に気を配り、肥満を避け、膝を冷やさないよう、逆に温めて血行を良くするよう心がけてください。
生活面では、手すりを付けたり、足元に滑らないカーペットを敷いたり、もし、トイレも和式なら、かがまなくて済むよう洋式に変更するなど色々な面で改善が必要な事柄があります。普段の生活を根本から変えることを考えねばなりません。
変形性膝関節症の治療のポイント
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変形性膝関節症と似たような病気
膝に痛みがあっても、全ての膝の痛みが変形性膝関節症ではありません。膝関節以外の痛みや発熱の有無など、問診や触診の情報を元に「関節リウマチ・痛風・化膿性関節炎」などを疑います。
検査では血液検査や関節液の成分を検査し、検査結果を元に変形性膝関節症以外の病気である要素を取り除いた上で、はじめて変形性膝関節症と診断されます。
▼関節リウマチについてはこちらもご覧ください。
関節リウマチは、どんな病気?その初期症状と治療法
まとめ・変形性膝関節症の原因と初期症状、治療方法とそのポイント
変形性膝関節症は、関節のクッションの役割を果たす軟骨成分が、加齢や筋肉量の低下などにより擦り減って、最終的に骨に変形が起こり、膝の痛みが生じる病気です。
変形性膝関節症は人によって症状の出方や進行具合が異なります。変形が進んでいても、あまり痛みが出ない人もいれば、強い痛みがあっても、あまり変形が見られない人もいます。
初期の症状としては、「膝に違和感を覚える」ことが最も早く現れる症状であり、この段階では膝に負担がかかると痛みが少しある程度でそれも長続きすることは少ないです。
ただし、進行すると軟骨がすり減った分、膝関節の骨と骨のすき間が狭くなって内側の骨があらわになり、骨の辺縁にトゲのような突起物ができたり、骨が変形したりします。
また、関節をおおっている関節包と呼ばれる繊維膜の内側に炎症が起こるため、黄色味がかった粘り気のある液体が分泌されて、いわゆる「膝に水がたまった」状態にもなります。
変形性膝関節症は、時間をかけて進行し、徐々に症状が重くなっていきます。そのため、違和感を感じた初期の段階でできるだけ早く治療を始めて、病気の進行を食い止めることが重要な視点となります。
最後に、変形性膝関節症で擦り減った軟骨は、元には戻らないが定説ですが、最新の「再生医療」なら、この軟骨を再生させることが可能になってきました。早めの受診で大きく改善する可能性があります。
いずれにしろ初期症状を感じたら早めの受診をおすすめ致します。
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