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変形性膝関節症が中高年に急増!その発症原因と予防のヒント 近年、膝痛(変形膝関節症)の患者さんが急増しています。 2005年に東京大学医学部の研究グループが行った疫学調査によると、日本における「中高年の膝痛の患者数は約2400万人」と推測されるそうです。 その後も患者数は増加し続けており、現在では、膝痛の患者さんとその予備軍は、約3000万人にものぼるとも推測されています。そして、膝痛を訴える患者さんの実に9割以上が「変形性膝関節症」が原因と考えられています。 そこで変形性膝関節症の症状で悩まれている人が増えてる理由を解説。その理由を通じて予防のヒントをつかみましょう!また、リハビリとして運動療法を行う際に注意したいことを記しました。 変形性膝関節症/膝の痛みの原因とは 変形性膝関節症は長年、膝が受け続けた負担によって膝の軟骨がすり減り、炎症が起きた結果、しだいに関節が変形してしまう病気です。私たちの膝は、この世に生を受けて、はじめて歩行を始めてから現在まで、日常生活はもちろん、労働や運動を通じて様々な負担をかけ暮らしてきました。 普段、何もなければ意識することはありませんが、膝は立っているだけでも体重を受け止めています。しかも、歩くだけで体重の5倍以上の負荷が掛かることが分かっています。この負荷を受け続けると膝関節の軟骨は、徐々にすり減り、最終的に炎症を起こす可能性があるのです。 膝関節は、大腿骨(太ももの骨)と脛骨(すねの骨)の末端が接合する部分で、その間には、クッションのような役割をしている関節軟骨や、半月板という軟骨組織から出来ています。 この関節軟骨や半月板が、年齢を重ねることで徐々にすり減り、その過程で削れた摩耗粉が関節包の内側に滞留し、滑膜を刺激するようになります。すると、この摩耗粉を体は異物とみなして免疫反応を起こしてしまうのです。 その反応の結果、滑膜の細胞から「炎症性サイトカイン」という、生理活性物質(体の働きを調整する役割のある物質)の一種が分泌されます。この炎症性サイトカインは本来、細菌やウイルスが体に侵入した際、それら異物を撃退して体を守るため、重要な働きをする物質です。 それが意に反して摩耗粉を異物と認識して分泌されることで炎症が起こり、痛みが現れることになります。これが膝が痛む原因で、その理由となるものです。 変形性膝関節症の発症/膝痛で悩む患者さんが急増する原因 原因.その① 膝にお悩みの患者さんが増えた第一の理由は、本格的な「高齢社会」が到来したことです。2019年におけるわが国の総人口は前年よりも26万人少なくなっているにもかかわらず、65歳以上の高齢者は32万人も増加し、3588万人と過去最高となっています。 日本人の平均寿命も、男性81.25歳、女性87.32歳(2019年)と年々長生きになっており、高齢者の人口は、これからもますます増加していくものと思われます。 変形性膝関節症は高齢者ほど発症しやすく、日本では、60歳以上の人の約6割が変形性膝関節症というデータもあり、高齢者が増加する傾向はまだ当分続くと考えられるため、変形性膝関節症で悩まれている患者さんは、今後も増えるものと考えられます。 原因.その② 膝にお悩みの患者さんが増えた第二の理由は「運動不足」です。現代社会では自動車や電車など便利な交通機関が発達し、さらにはエレベーターやエスカレーターといった移動を楽にする設備が普及しています。 その結果、歩いたり、階段を上り下りする機会が減り、現代人はあまり体を動かさなくなってしまいました。また、高齢になると移動が億劫になり、家に引きこもりがちとなり、運動不足になってしまいます。 膝関節を支える骨や軟骨、筋肉や靭帯(骨と骨をつなぐ丈夫な線維組織)は、日頃から体を動かし適度な刺激を与えていないと、少しずつ衰えていきます。 現代人としては、意識して運動をすることが大切です。けして、激しい運動である必要は無く、適度な刺激を筋肉や軟骨などに与えることで膝関節の健康を維持することが可能になり、膝の健康はもちろん、心身の健康のためにも重要です。 また、膝にためは運動以外にも日ごろからストレッチやウォーキングなどの習慣化も大切です。 原因.その③ 膝にお悩みの患者さんが増えた第三の理由は「肥満」です。運動不足は肥満を招きがちです。体重が増えると、立ったり歩いたりするだけで膝関節に大きな負荷がかかってしまうことはご想像頂けるろ思います。 肥満は、体重の増加により、膝痛の原因となる軟骨や半月板を、通常より圧迫するリスクが増し、傷めやすくなってしまいます。そのため、膝痛を予防するためには、普段から適度な運動をして、適正体重を維持することが重要です。 膝痛の回復に向けて 以前は、膝痛の患者さんに対して「安静にすること」が勧められていました。鎮痛薬で痛みを和らげた上で膝に負担をかけないように安静にして、自然の回復力にまかせ、治癒するのを待っていました。これでは次のような問題が生じます。 膝が痛いからと、安静にばかりしていると、体重が増えがちとなり、膝周辺の筋肉や靭帯などが、どんどん衰えていきます(廃用性症候群という)。膝を支えている筋肉や靭帯が衰えると、膝を支えることができなくなり、結果として軟骨への負荷が余分にかかるようになり、摩耗がますます進む悪循環に陥ってしまいかねません。 さらに、安静に加えて鎮痛薬を使うと確かに膝の痛みは治まりますが、痛みが出ないからと膝を以前と同じように使ってしまえば、膝を支える筋肉や靭帯が衰えているため、しばらくするとまた発症してしまいます。 従来の安静にするという治療法では、こうした炎症サイクルの悪循環に陥りやすいのです。特に肥満の場合は注意が必要です。 それに対し、リハビリでの「運動療法を活用」すれば、2〜3週間ほどで痛みが軽減した上、楽に歩けるようになることがあります。筋肉が膝をさせることができるようになるためです。 それによって日常生活の活動性が増すと、膝周囲の筋肉や靭帯が自然に鍛えられ、関節軟骨の摩耗が抑えられるようになります。 その結果、膝関節の炎症が起こりにくくなり、痛みもどんどん軽減するのです。痛みが軽減すれば、さらに患者さんの悩みは薄れていき、行動は活発となり、膝関節の安定性は一段と高まることで膝痛は遠ざかります。 この好循環に導くことで、「膝痛から卒業できる可能性」があるという訳です。 変形性膝関節症/予防のヒント! これまでの記事で変形性膝関節症が増えてる理由についてご理解は進みましたでしょうか?簡単に要約すると高齢化社会の到来ということで、発症率が高い高齢者の人口が多いため、カウント数が伸びたということ。 加えて運動不足と、肥満という理由があげられています。ここから分かるのは、「適度な運動をすることで体重の増加を止め、その結果若々しくいれば変形性股関節症を発症するリスクを低くできる」ということで、これは予防のヒントになります。 簡単に要約しましたが、膝の痛みの予防は、難しく考えないことが大切です。加齢は誰にも訪れることで仕方がありません。年齢があがると、どうしても体は衰えるもので自然の摂理です。思い悩みすぎずに気持ちを明るく、前向きにすごされることが大切です。 気持ちが前向きになれば、体に負担のない範囲という条件のもと、簡単でも軽めの運動を継続的に心がける動機になりえます。家に籠ることなく、外に出かけて色々な人と会ったり、景色を見たり、そんな何気ない行動だけでも運動になります。 もちろん、もっと積極的にウォーキングを行うことも効果的です。日課にして継続的に行いうことを強くお勧めします。尚、体重の増加が気になる方は体重計を用意しカレンダーに記録したり、食べたモノを書き出したりして体重を意識することから始めてみてはいかがでしょうか! ただ。前向きになりすぎて体を痛めてしまわないように見定めてください。できれば医療機関などで医師から助言を受けて取り組まれることをおススメします。 変形膝関節症・予防のヒント ・前向きな気持ち ・体重コントール(肥満を防いで適正体重を維持する) ・軽めの運動を継続して行うようにする(外に出かけよう) ・無理はしすぎないように ・運動内容、量は医療機関にて助言を得ましょう 変形性膝関節症の予防/運動療法(リハビリ)は無理のない範囲で行う 変形性膝関節症の運動療法について 「変形性膝関節症患者には、定期的な有酸素運動、筋力強化訓練および関節可動域拡大訓練を実施し、かつこれらの継続と奨励する」としており、「筋力強化訓練」「有酸素運動」「可動域拡大」の3つを効果的なリハビリとして推奨しています。 (参照:日本整形外科学会による変形性膝関節症診療ガイドラインより) リハビリとしての筋力強化訓練では、太ももの前面の筋肉「大腿四頭筋」の家庭での強化、有酸素運動については、激しい運動ではなく穏やかな無理のない運動が推奨されています。 可動域拡大については、膝関節を動かさないでいると可動域が狭くなり柔軟性が失われてしまうためリハビリの目的としながらも無理をしない範囲で訓練するようにします。 膝は、無理のない程度に動かすことで、炎症を起こしている滑膜や軟骨の細胞に一定のソフトでも力が作用し、以下の様な3つの効果を得ることができます。 ① 炎症の原因となる、炎症性サイトカイン(細胞から分泌される生理活性物質)の産生を抑える作用 ② 炎症を鎮める効果を持つ、抗炎症性サイトカインが分泌される作用 ③ 膝関節の軟骨成分、膝関節の組織の修復に必要なコラーゲンやプロテオグリカンの産生が増加する作用 変形性膝関節症の予防/運動療法(リハビリ)の注意点 膝関節を適度に動かすことが膝痛を改善に導くとはいえ、膝にあまり強い力をかけてしまうと、むしろ症状が悪化し、痛みも強まることになってしまいます。 リハビリの一環としての運動は必要ですが膝を動かす場合には激しい運動は禁物です。適度な運動であれば①〜③の効果が得られ、関節内の炎症を抑えられます。さらには組織の新陳代謝が促され、効果的に膝痛の改善が期待できることになります。 運動が良いとなると早く治したい、また予防する意識が強すぎて限度を超えた運動に取り組む方がおられますが、過度な運動は逆効果です。できれば整形外科などのリハビリに通ったり、運動方法のアドバイスを受けて適切な方法と必要な運動量を確保しましょう。 適切な運動を無理なく、継続しましょう! 以上、変形性膝関節症が中高年で急増!その発症原因と予防のヒント、リハビリまでについて記させて頂きました。 No.0019 監修:医師 坂本貞範 ▼ 再生医療で変形性膝関節症を治療する なってしまった変形性膝関節症は、再生医療により症状を改善することができます
2022.03.25 -
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膝が痛む場所、場所から分かる膝の病気 膝という部分は、太ももに付着している大腿骨、足のすねに位置する脛骨および腓骨、そしていわゆるお皿と呼ばれている膝蓋骨などが組み合わさって構成されています。 これらの骨組織は日常生活や運動時などに膝を曲げ伸ばしするときに上半身などを含めた全身の体重を支える重要な役割を担っていますが、通常では接合が浅いために普段から安定した動きが可能となるように半月板、靭帯などの周囲組織が補助しています。 このような膝を構成する各々の構造物組織が外傷や加齢に伴い、異常が発生して損傷を受けたりすると、その部位に応じた膝の痛みを自覚することになります。 今回は、「膝が痛む場所からわかる膝疾患に関する情報」を詳しく解説していきましょう。 「膝の内側」が痛む膝の病気とは 「膝の内側が痛む膝の病気」として代表的なものに「変形性膝関節症」が考えられます。 一般的に中高年の人々が膝痛を自覚して、歩行運動や階段の昇り降り、正坐などの日常動作が困難になった場合にはほとんどが変形性膝関節症である場合が多く、高齢者においては膝の痛みの大部分は変形性膝関節症が原因と言われています1)。 そもそも膝関節部というのは靭帯や筋肉、骨組織が蝶つがいのようにスムーズに動く部位であり、骨表面はクッションの役割を果たしている軟骨で覆われています。 ところが、変形性膝関節症ではこの軟骨組織が加齢に伴ってすり減って破壊されることが分かっており、関節が滑らかに動かなくなるのみならず膝関節部に炎症を引き起こして、特に膝内側部に腫れや痛みなどの症状を認めることになります。 本疾患の初期段階では運動するときや仕事で膝部分に重い負担がかかった際に、膝の内側に疼痛症状を自覚することが多く、同部が腫れあがる、あるいは硬く隆起して患部を押すと圧痛を感じると言われています。 「膝の外側」が痛む膝の病気とは 「膝の外側部に痛みを覚える膝」の病気として、「腸脛靱帯炎(いわゆるランナー膝)」が知られています。 ランニングをしていて膝が痛くなった人も多いと思いますが、本疾患は陸上競技のランナーなどに多く認められることが知られており、膝や足先を酷使した場合に特に膝の外側部にズキズキした疼痛症状を自覚することが特徴的とされています。 ランニングを開始して間もない方や筋力が弱いケース、O脚で体重が外側にかかりやすい人で罹患しやすいと言われており、特にランニング場面においては着地時に過剰な負荷がかかるとされている下り坂を走るときに膝の痛みが増強します。 初期の状態では、長距離の陸上競技、サイクリング、スキー、バスケットボールなどの競技中にのみ疼痛症状が出現し安静にすると軽快しますが、次第に病状が悪化すると運動後のみならず日常生活にも痛みを感じて支障をきたすと伝えられています。 「膝の上側」が痛む膝の病気とは 「膝の上側が痛む」際には、膝の皿と筋肉の付着部が裂けて炎症が引き起されている場合や膝関節内部に液体が貯留している可能性が高いと考えられます。 特に、膝の上側が痛む膝の病気としてよく知られているのは、「大腿四頭筋付着部炎」です。 本疾患は、膝の皿の部分とふともも筋肉の付着部周囲に強い炎症が起こっている状態であり、患部を押すと圧痛を認めますし、普段の生活の中で階段を登る、ジャンプするなど膝を曲げ伸ばし運動した際に膝の皿の上がひどく痛むことが多いとされています。 この疾患は、小学生から中学生ぐらいの年代の子供で罹患数が多く、フィギュアスケートやバレーボール、あるいはバスケットボールなどを始めとして膝部分をよく駆使するスポーツ競技者で発症し、飛び跳ねる、繰り返して屈伸動作をすると膝を損傷しやすくなります。 「膝の裏側」が痛む膝の病気とは 「膝の裏側に痛みを自覚」しやすい膝の病気として、関節リウマチや膝靱帯損傷などが考えられます。 関節リウマチという疾患は、自己免疫の異常により軟骨組織や骨成分が破壊されて関節が変形して関節部位で炎症が引き起こされて、腫脹所見や激しい疼痛症状を認める病気です。 関節リウマチの患者数は現在のところ80万人程度存在すると推定されており、発症する好発年齢性別は30代から50代前後の中年女性であることが知られています。 初期症状としては手足の手指領域の関節部が左右対称性に腫れる、或いは毎朝に指がこわばる、そして発熱や倦怠感、食思不振などの全身症状が出現することも経験されます。 そして、膝部分には一般的に4つの靱帯が存在しており、それぞれの場所によって内側側副靱帯、外側側副靱帯、前十字靱帯、後十字靱帯に分類されています。 交通事故やスポーツ受傷など外傷イベントによって大きな力が膝関節に加重されて、万が一膝の靱帯に強い損傷が生じると膝の裏側が痛むことも考えられます。 通常では、内側および外側側副靱帯は横方向、また前・後十字靱帯は膝の前後方向の動きを司っており、特に内側側副靱帯と前十字靱帯が損傷を受けやすいと考えられています。 まとめ・膝が痛む場所、部位から分かる膝の病気 今回は膝が痛む場所からわかる膝疾患について詳しく解説してきました。個々の経過や受傷状況などによって専門医による診察が重要であることは言うまでもありませんが、膝の痛む場所によってそれぞれ特徴的な膝疾患があることも事実です。 膝の痛む部位別、膝疾患早見表 疑いのある病変 「膝の内側」が痛む膝の病気 変形性膝関節症の疑い 「膝の外側」が痛む膝の病気 腸脛靱帯炎(いわゆるランナー膝)の疑い 「膝の上側」が痛む膝の病気 大腿四頭筋付着部炎の疑い 「膝の裏側」が痛む膝の病気 関節リウマチ、膝靱帯損傷の疑い このような膝の痛みで思い当たる場合は、早めに病院や整形外科にて診察を受けることを心がけて下さい。早めの治療が回復への近道です。 今回の記事の情報が少しでも参考になれば幸いです。 No.S062 監修:医師 加藤 秀一 ▼ 再生医療の幹細胞治療が膝の痛みに対応します 膝の痛みに対する新たな選択肢、再生医療なら手術不要、入院いらずで症状の改善を目指します
2022.03.23 -
- ひざ関節
- 変形性膝関節症
膝の痛みは放置してはいけません!今すぐ病院へ 皆さんの日々の暮らしの中で膝が痛いと感じたことはありませんか?、まさか膝痛は、時間が経過すれば自然と治癒するものと思っている方はいませんか? いわゆる膝関節は、見た目では分からないほど色々な組織で取り囲まれていて複雑な構造をしています。また体重の何倍もの衝撃を受け止めてくれる存在でもあり、スポーツはもちろんのこと、日常生活でも損傷を受けやすい場所と言えるのです。 実は、膝の組織は、年月を経て加齢に伴い消耗されていくことをご存知でしょうか? そのため、高齢になればなるほど膝の痛みを自覚する人が増加する傾向があります。また、激しいスポーツ競技を繰り返していたり、肥満気味で体重が重い場合など、膝部分には大きな負担、ストレスがかかっていると容易に想像頂けることでしょう。 膝は日常的にも歩く、走る、座る、立ち上がるといった誰にとっても重要な役割を果たしている大切な部位です。その部分に痛みなどの違和感があるにも関わらず放置していると、スポーツはもちろん、日々の生活で歩いたり、階段を昇り降りするなど単純な動作も困難になる可能性があります。 今回は、膝の痛みを放置すると、どうなるかということをテーマに、膝の痛みに対して病院でどのような処置をするのか、膝の痛みを放置しないで病院へ行くことの重要性を解説してまいりましょう。 膝の痛みがありながら、放置するとどうなるか 膝が痛む原因は様々であり、例えば外傷で靭帯を損傷する場合もありますし、変形性膝関節症、腱炎や滑液包炎などの疾患が原因となることも考えられます。 変形性膝関節症は、関節部位においてクッションのような役割を果たしている軟骨成分が、加齢や筋肉量の低下によって組織が摩耗し、擦り減ることで膝の痛みを認め、最終的に骨の変形にまで至る疾患です。 変形性膝関節症においては、個々によって症状の程度や進行度合いが異なる事が知られており、変形がかなり進んでいても痛み症状を自覚しない場合もあれば、強度の痛みを認めていても実際にはあまり関節変形が認められない方もいらっしゃいます。 特に超高齢化社会を迎える我が国では、中高年の人々は膝部の違和感や痛みが慢性化している場合が多く、症状を放置してしまう傾向がありますが、膝からのサインを見逃すと症状が悪化して変形性膝関節症を始めとする関節疾患を招く結果となってしまいかねません。 当然ですが、どんな疾患であっても早期に発見することができて、早期に治療できれば治癒までの期間も少なくて済みますし、処置自体も軽く済む傾向が高いものです。発見や治療が遅れれば遅れるほど重症化し、治癒期間は長くなり、治療方法も複雑化してしまいます。 痛みは体からのサインです。膝に痛みや違和感を感じたら、症状が軽いうちに病院等の医療機関へ出向くことが正解です。 膝の痛みに対して病院でどのような処置をするか 日常生活で膝に痛みを感じた人が整形外科などを受診すると、専門医による問診や触診などの診察を受けると同時にレントゲン検査を始めとし、必要に応じてCTや、MRIなどの画像検査が行われます。 これは表面から見えない骨や、組織の状態を把握するためです。この検査から得られたデータに基づいて確実な治療を実施するための正確な診断に結び付けられています。 慢性的な膝の疼痛症状に対する治療策としては、「薬物療法」、「リハビリテーション治療」、「手術治療」などが存在し、症状に合わせた治療が選択されます。 検査の結果、診断内容や、ひざ痛の原因にもよりますが、患者さん本人の症状が軽度の際には内服薬や外用薬を使用することで痛みといった症状を緩和することから始まり、場合によっては膝関節内にヒアルロン酸を注射を投与することで膝の可動域を広げたり、炎症を抑えたりする治療が行われます。 これらの治療と合わせて膝の痛みを抱えた患者さんに対して、日常生活に十分復帰や対応できるようにリハビリテーションを実践することで筋力の衰えや、膝の可動域の確保、こわばりといった症状を防ぎます。 さらに膝部分を温める物理療法、ならびに足底板(インソール)や膝、サポーターなどの装具を作成して、膝周りを支えることで膝を安定化させる理学療法がおこなわれます。 ただし、このような保存的な治療でも膝の痛みが改善しない場合で病状の進行を認める際には主治医より、関節鏡手術、高位脛骨骨切り術、人工膝関節置換術などの手術による加療の選択を勧められることがあります。 膝の痛みは放置してはいけない。病院へお越しください 膝痛の原因として多いのが「変形性膝関節症」というもので、加齢やケガで軟骨がすり減り、膝関節が変形してしまう病気です。 初期状態では日々の生活上、立ち上がる際に痛みを感じるの程度であり、痛みがあっても、しばらく安静にすれば症状も改善するため、大した症状ではない、また痛みが薄れると治ったと甘く考えたりして勘違いすることがあります。 実は、この膝に起こる痛みといった症状こそが更なる病状悪化のサイン、前兆である可能性があります。 放置した結果、病状が進行すると軟骨組織が、すり減って膝関節の骨と骨のすき間が狭くなると同時に、骨辺縁部位に骨棘(こっきょく)と呼ばれるトゲのような突起物が骨に形成され、更に骨が変形して病状が悪化していく可能性があります。 変形性膝関節症では時間経過とともに徐々に症状が重くなり、次第に正座や階段の昇降がスムーズにできなくなり、末期状態になると安静時にも膝部位に痛みを覚えるようになり、関節部の変形も顕著になって最終的には歩行することが困難になってしまいます。 変形性膝関節症は、けして自然治癒しないとお考え下さい。それどころか完治が難しい進行性の疾患です。したがって、膝部に疼痛症状を自覚された際には初期の段階で、早めに整形外科など病院の診療科に行き、検査、診断を経て治療を開始することで病状の進行を遅らせなけらばなりません。 また既に、階段の昇降や正座が困難になってきた、最近では安静時にも膝の痛みを覚えて歩けなくなってきたなどの症状に心当たりのある場合も、ぜひ早めに医療機関を受診されるようお勧め致します。 まとめ・膝の痛みは放置してはいけません!今すぐ病院へ 今回は膝の痛みを放置するとどうなるか、膝の痛みに対して病院でどのような処置をするか、膝の痛みを放置せずに病院へ行く重要性などについて詳しく解説してきました。 年齢を重ねれば重ねるほど、身体の色々な箇所に不調が出現するものですが、特に実生活において非常に大きく影響を及ぼす症状のひとつとして「膝の痛み」が挙げられます。 膝の痛みや違和感をそのまま放っておくと、膝関節の骨自体が変形してしまう変形性膝関節症を代表とする関節疾患を発症して日常生活に重大な支障をきたすなど様々なリスクが考えられます。 そのため、自己判断で放置せず、病院等、医療機関を受診するよう心がけましょう。早期発見、早期治療が何よりも大切です。 今回の記事の情報が少しでも参考になれば幸いです。 No.S056 監修:医師 加藤 秀一 ▼ 膝の痛みに再生医療という選択肢! 変形性膝関節症の軟骨のすり減り、再生医療なら軟骨を再生できることをご存知でしょうか
2022.03.15 -
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変形性膝関節症でお悩みの方へ|ひざの痛みの改善に最新の治療法 膝の痛みが進み、変形性膝関節症になると、症状が進行するごとに痛みを感じる頻度が増えます。痛みを我慢して日常生活を送っているのはとても辛いですから、何とかして痛みを和らげたいものです。 変形性膝関節症は、中期から末期になると痛みが強くなり、末期には膝が変形するほどの症状となります。そうなると日常生活を送るのが難しくなりますし、何よりも歩くことができなければ運動不足になり、結果として肥満が進んだり、内臓の働きが悪くなって様々な病気を引き起こす原因になります。膝の痛みや違和感は我慢せず、早めに病院等、医療機関を受診してください。 今回は、膝の痛み・変形性膝関節症の痛みの対処法とこれまでの治療法、新たに注目されているおすすめの「最新治療法」についてご紹介します。 膝の痛み、変形膝関節症の初期の対処法 変形膝関節症は、初期の段階で炎症を悪化させないようにすることが大切です。 初期~中期の前半あたりでは、3日から1週間ほどなるべく安静にし、膝に負担をかけない生活を送ることを心がけてください。炎症が収まり、痛みも引く場合があります。 安静にしていても膝の痛みが治まらない場合は、医療機関を受診してください。専門医による適切な治療を受けることをおすすめします。 変形性膝関節症の従来の治療法 変形性膝関節症の従来の治療では、症状が軽いうちは、生活習慣の改善と内服薬での治療がメインとなります。もう少し進行するとリハビリも取り入れた治療となり、症状が重い末期では手術を行うこともあります。 生活習慣の改善 症状が軽い場合は、日常生活における膝の負担軽減を目的として、生活習慣の改善を行います。具体的には普段の動作を見直す、肥満であれば減量するといった内容です。 膝への負担を減らす目的での体重管理は、大切ですが、自己流では難しいものです。できれば、診察を受けている病院等にて指導を受けて取り組まれることお勧めします。 運動療法(リハビリテーション) 運動によって脚に筋力をつけ、膝周辺の筋肉を強化し、膝関節を保護します。良くある誤解は、運動をすると膝の痛みが強くなるのでは?という疑問です。 この点に関して不安になる患者さんもいらっしゃいますが、適切・適度な運動を行うことで膝周囲の筋肉強化が可能になります。筋肉が強化されると、膝関節の負担を軽減することができるため前向きにお取組みください。 ただし、自己流は逆に膝を傷めることもあります。病院のリハビリ等、専門家の指導を受けて無理のない範囲で行いましょう。 薬物療法 痛みのある患者さんには、内服薬や外用薬を使った痛み止め治療を行います。 装具療法 歩行や立ち上がりの際の膝への負担を軽減するため、膝サポーターや足底(インソール)への装具着用を行います。 物理療法 膝周辺を温めて血行を促したり、炎症が酷く腫れている場合は冷やすなどします。 外科手術 症状が進行した場合、外科的治療が必要になることがあります。具体的には、内視鏡を使った関節鏡視下手術や、骨を切って変形を矯正する高位脛骨(けいこつ)骨切り術、人工膝関節置換術などがあります。 膝の症状が進行し、変形性膝関節症で辛い思いをしている患者さんは少なくありません。特に、投薬や注射でも改善しない痛みが続く末期の患者さんは日常生活に支障をきたしています。そのような場合、次のような方法が選択肢となります。 ・関節鏡視下手術 ・高位脛骨(けいこつ)骨切り術 ・人工膝関節置換術※ ※人工膝関節置換術とは 変形性膝関節症の人工膝関節置換術では、特殊な金属とポリエチレンから作られる人工関節を設置することで、膝関節の動きをサポートすることができます。 術後はそれまでの膝関節の痛みがなくなる、もしくは大きく和らぎ、膝の痛みが軽くなることで、運動もできるようになることが多くあります。人工関節置換術によって痛みは和らぎ、日常生活の不便も少なくなりますが、やはり手術には注意点やリスクがあります。 例えば、人工関節が外れたり、異物を入れたことによる細菌感染が起きるといったリスクがあり、時間の経過に伴い人工関節が緩むこともあります。 ですから、変形性膝関節症で最新治療を受ける場合は、信頼できる病院を選ぶこと、また、術後も定期的に受診をし、適切な検査を受けることが必要です。 変形性膝関節症のおすすめ最新治療「再生医療」 保存療法や手術に代わる、新しい選択肢としておすすめしたいのが「再生医療」です。 膝の痛みの原因のひとつ、膝軟骨のすり減りに対しては、軟骨を再生させることはこれまで不可能と言われてきました。それが先端医療の再生医療では、患者さんの幹細胞を培養して軟骨を再生することができるようになりました。 再生医療は大掛かりな手術を必要とせず、本人の細胞を利用することで患部の再生を促す医療で、保存療法よりも早期の治療効果が期待でき、しかも確実性が高く、従来の手術法よりも体への負担が少ない治療法として注目されています。 再生医療の中でもおすすめは、自分の幹細胞を培養して用いる治療法で培養するための時間は必要ですが手術することなく、入院の必要もなく、日常生活に復帰できる点が評価されている治療法です。 再生医療は新しい医療分野だけに、医師であっても知見に乏しいことがあります。ご相談される場合は、一般の病院等ではなく再生医療専門医のいるクリニック等にてご相談されることをおすすめします。 当院でも、再生医療による変形性膝関節症の治療をおこなっています。是非一度お問い合わせください。 まとめ・変形性膝関節症、ひざの痛みでお悩みの方には「再生医療」がおすすめです 軽度な変形性膝関節症は、外科手術を必要としなくても進行を抑えることが可能ですが、進行してしまうと外科的手術が必要になる場合があります。しかし、末期の変形性膝関節症でも「最新治療」によって運動が可能になるほど症状を緩和することが可能です。 最新治療を検討する場合、変形性膝関節症の治療実績の高い病院やクリニックで整形外科を選ぶこと、また、術後のトラブルを防ぐためにも、定期的な受診を怠らず検査をきちんと受けるようにしましょう。 変形性膝関節症は、早期治療が何よりも大切、膝に痛みや違和感を感じたら自己判断せずに病院等にて診察を受けられることをおすすめいたします。 この記事がご参考になれば幸いです。 No.S046 監修:医師 加藤 秀一 ▼ 変形性膝関節症でオススメの再生医療は、幹細胞治療です 変形性膝関節症の新たな選択肢、再生医療の幹細胞治療で手術せずに症状を改善できます
2022.03.03 -
- 変形性膝関節症
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変形性膝関節症のつらい痛みは手術で消える?ただし、手術によっては再手術の可能性が 変形性膝関節症は、関節軟骨の摩耗を起因に膝に慢性炎症を引き起こし、つらい痛みが起こる病気です。膝が炎症を起こす仕組みは、関節軟骨や半月板が加齢や怪我から摩耗し、軟骨のかけらが関節を覆っている滑膜という組織を刺激するためです。 変形性膝関節症は進行性の病気です。発症した初期には膝関節の違和感や軽い痛みだったものが次第に痛みが増強したり、膝が変形したりします。変形性膝関節症の治療では、少しでも進行を遅らせるように、膝に負担がかからないように過ごし、リハビリテーションなどで膝周囲の筋肉を鍛えることが大切です。 膝に負担の無い生活スタイルを見直し、リハビリをはじめ、運動療法に取り組んでも改善がみられない場合には手術が勧められます。ただ、手術と聞くと不安を抱かれる方も多いはずです。 この記事では変変形性膝関節症のつらい痛みは手術で消える!?ただし、手術によっては再手術の可能性についてそのポイントを解説します。 変形性膝関節症の手術で痛みは消える?! 変形性膝関節症の手術には、関節鏡視下手術・高位脛骨骨切り術・人工関節置換術の3種類があります。どの手術を実施するかは、変形の進行度や痛みの程度、年齢を考慮し選択します。 変形性膝関節症で行われる手術の種類 ・関節鏡視下手術 ・高位脛骨骨切り術 ・人工関節置換術 ※手術の選択:変形の進行、痛みの程度、年齢で判断 手術で痛みが消えるのか? この問いに対しては、「膝の手術を受けると痛みは軽くなったり、なくなったりする可能性が高い」といえます。特に人工関節置換術を受けると、ほとんどの場合に痛みは改善し、膝を痛める以前のような歩行ができます。 ただし、どのような手術でも少なからず体の負担になること、術後はある程度の期間の入院が必要で、リハビリに励む必要があること、人工関節置換術実施後は正座ができなくなる可能性が高いことなどを念頭に置いておきましょう。 手術で膝の痛みが消えれば楽になること ・起床時に膝のこわばりがなくなる ・痛みなく階段を上り下りできる ・膝を気にすることなくスッと歩き出せる ・膝を気にすることなく好きなところに出掛けられる 変形性膝関節症の痛みは手術で消えるが油断は禁物 変形性膝関節症の手術後は、痛みが無くなりますが油断はできません。膝を気にせず、関節に負担がかかるような姿勢や動作をしていては、痛みの再発だけでなく、再手術の可能性が高まります。 関節鏡視下手術 変形性膝関節症の初期で適応される手術は関節鏡視下手術です。関節鏡視下手術では、炎症を引き起こす原因の軟骨のかけらを取り除くほか、傷んだ半月板の形を整えます。しかし脚の変形や軟骨のすり減りが悪化することで、痛みが出現すれば再手術になることがあります。 高位脛骨骨切り術 高位脛骨骨切り術は脚の変形を矯正し、関節にかかる偏った負担をなくす手術です。変形が進行しきっていないことが条件で、人工関節置換術を受ける方より年齢が若い60歳未満の方に適応されることが多いです。高位脛骨骨切り術によりO脚やX脚などの脚の変形を矯正しても、軟骨のすり減りや、痛みが再発する可能性があり、将来定期には再手術を必要とする場合があります。 人工関節置換術 人工関節置換術は変形性が進行した末期、または60歳以上の方に適応されます。年齢が重要視される理由は、人工関節の耐久性(20年前後)を考慮して、再手術をしなくても良いように考えられているためです。 人工関節置換術をすると、軟骨がすり減る心配をしなくて済むほか、痛みを気にせずに過ごせます。しかし、膝に負担がかかるような過ごし方を続けると、人工関節に破損や緩みが出てきて耐久年数に関わらず再手術の可能性が高まります。 変形性膝関節症の手術をしても、膝の状態が悪ければ再び手術が必要です。とくに高位脛骨骨切り術後に再手術が必要な場合、変形は進行し、ある程度加齢していることが予想されるので人工関節置換術が選択されるケースが多いのです。 ただし、人工関節置換術を受けると、膝を完全に曲げることができなくなります。痛みの改善は期待できる分、少なからず可動域が狭まることで日常動作に制限がかかります。 手術後もリハビリ、運動療法に継続して取り組むこと 変形性膝関節症の手術をうける上で大切なことは、再手術を防ぐことです。膝の状態の悪化を防ぐには、生活に中で膝への負担をかけないように過ごし、運動療法により膝を安定させることです。 手術後に気をつけること ・正座や深くしゃがむ動作を避ける ・膝に負担のかかるような激しい動作はしない ・手術前と同じように運動療法は継続する・定期的に受診し状態を確認しておく まとめ・変形性膝関節症のつらい痛みは手術で消える?ただし、手術によっては再手術の可能性が 変形性膝関節症は、膝に痛みや変形を及ぼす病気で、進行すると痛みから普通の生活を送れなくなります。治療の基本はリハビリとしての保存療法となりますが効果がみられなければ手術という選択肢になります。 当然、手術はメスを入れることになり、体の負担になるだけでなく「術後に痛みが消えなければどうすべきか」と、不安を感じる方もいるはずですが「手術を受けるれば痛みは改善する可能性は高い」と思われます。 ただし、痛みの改善はあくまで膝関節に焦点を当てた話になります。手術をしても、膝周囲の皮膚の癒着、関節の拘縮、筋力低下、術操作による神経の損傷など、さまざまな理由で痛みが残存することもあります。 そのため、術後に取り組むリハビリテーションは非常に重要です。それでも膝の状態によっては、どの手術を選択しても将来、再手術のリスクがあります。 例えば人工関節は耐久年数があり、個人差はありますが概ね15年前後と言われています。その時点で高齢な場合、再び体に負担がかかり、リハビリをはじめ精神的に前向きに取り組めるか心配にもなります。 そうならないためにも術後に膝の痛みが取れても、無理は禁物。過度な膝への負担を避け、リハビリテーションをはじめとして適度な運動を継続することが再手術を防ぐポイントになります。 手術で痛みは消える可能性は高いと考えられます。ただし、リハビリや適切な運動を継続し、膝の健康を保つことが大切です! No.045 監修:医師 坂本貞範 ▼ 再生医療の幹細胞治療なら変形性膝関節症を手術を避けて治療が可能です 変形性膝関節症の新たな選択肢、再生医療の幹細胞治療で症状を改善するには!
2022.02.24 -
- 変形性膝関節症
- ひざ関節
変形性膝関節症を悪化させないための運動方法と日常の工夫 変形性膝関節症は、加齢・外傷・肥満・遺伝・日常における膝の負担になる生活様式など、さまざまな要素が関与して発症する病気です。 変形性膝関節症になると、膝の関節に痛みや変形が出現するほか、膝を動かすと関節から音(関節軋轢)がなったり、可動域制限がかかったりします。また、炎症が起きると膝に水がたまる関節水腫がみられます。 そんな変形性膝関節症の治療は、運動療法により関節を安定させることです。しかし、膝に痛みがあると、満足に運動に取り組めなくなることから、日頃から膝に負担がかからないような生活が大切です。 この記事では、変形性膝関節症を悪化させない日常の工夫を細かく解説します。膝の痛みでお困りの方はぜひご覧ください。 膝に負担がかからないような生活をする 日常から膝に負担がかかる生活は、関節軟骨のすり減りや軟骨下骨の新陳代謝に異常を及ぼします。さらに、すり減った軟骨のかけらが滑膜を刺激し痛みを感じるようになります。膝に痛みがあると、これまで通りの生活にも支障をきたすため、できる限り膝に優しい生活をしましょう。 和式から洋式へ生活スタイルを変える 膝の痛みは生活スタイルを変えるだけでも緩和します。地べたで過ごす和式から、椅子で過ごす洋式へ変えるのがおすすめです。洋式での生活は、正座や低い位置からの立ち上がりを必要とせず、膝の負担を軽減・痛みの緩和が期待できます。 膝に負担のかかる運動は避ける 体を動かすことは、膝の筋肉強化や健康増進が期待できるものの、膝に負担となる運動は禁物です。たとえば、テニス・卓球・ゴルフ・社交ダンスなど、急な方向転換・発進や停止・繰り返される膝の屈伸運動やジャンプを必要とする運動は要注意です。 減量をする 肥満であることは膝に大きな影響を与えます。立つ・歩く・座るなど、いかなる動作においても膝へ負担がかかっています。 二足歩行をする人間は、体重の半分を片脚で支えているだけでなく、歩くと体重の3倍は負担がかかると言われています。つまり、体重が重たいと、膝にかかる負担も大きく、軟骨のすり減りを進行させてしまうため、肥満傾向の方は減量に取り組みましょう。 背筋を伸ばして綺麗な姿勢 姿勢が悪ければ膝への負担になります。理想的な立ち方は、目線は正面を向き、肩を開き、骨盤を軽く前傾させることです。鏡などで確認した際に、足の外くるぶしから耳までが一直線になっていれば綺麗な姿勢を取れています。 また、綺麗な立ち方をしても、歩き出した途端に姿勢が崩れるようではいけません。歩行中に意識するのはもちろん、定期的に自分の姿勢を鏡で確認すると良いでしょう。 杖を使う 杖を使って、膝への負担を減らします。杖は痛みがある方と反対側の手で持ち、痛みがない脚と杖に重心を乗せることで、痛みのある膝に体重がかからないようにします。膝の痛みから、外出の機会が減っていたり、歩行に気乗りがしなかったりするときには、杖がおすすめです。 中には、杖を使うのに抵抗がある方もいらっしゃいます。しかし、杖を使用すると、姿勢を伸ばすだけでなく、膝への負担を減らせるので、ずいぶんと楽に歩けるはずです。最近では、デザインが施されていたり伸縮機能があったりと、いろんな杖がありますので、自分に合った杖を選びましょう。 足に合った靴を履く 足に合っている靴を履いて、膝を安定させます。靴はヒールやサンダルではなく、スニーカーがおすすめです。靴選びで失敗してしまうと、膝の安定性を高めるための歩行がかえって負担になるのです。さらに、外反母趾・膝痛・腰痛・股関節痛などのように、痛みが全身に広がる可能性まであります。 靴選びのポイント ・足のサイズに見合ったもの ・クッション性が高いもの ・足首までしっかり覆われているもの ・靴紐やテープで足首をしっかり固定できるもの 手すりを使う 玄関・お風呂・階段などに手すりをつけ膝への負担を軽減します。階段を昇るときには、手すりを支えにして痛くない方の脚から出し、降りるときも同様に手すりを支えにしますが、痛みがある方の脚から下ろすのがポイントです。 また、運動で階段を昇り降りされる方がいらっしゃいますが、階段昇降時には体重の6〜7倍もの負荷がかかります。負荷が大きいほど、トレーニングの効果は期待できますが、余計に傷める可能性もあり注意が必要です。 特に変形性膝関節症の方は、膝に負担がかかりやすい足運びをされているケースがあるため、まずは水中歩行・地上でのウォーキング・室内でできるトレーニングをおすすめします。 継続して運動に取り組む 膝への負担を下げるには、関節を安定させている筋肉を鍛えることが大切です。太もも前面にある大腿四頭筋をはじめ、太もも後面にあるハムストリングスなど、バランスよくトレーニングします。 水中運動 浮力がある水中では、膝への負担を減らしながら運動ができます。水中での歩行をはじめ、クロールで使うバタ足も膝のトレーニングには有効です。泳ぎが得意ではない場合、プールサイドに腰をかけたり、つかまったりしながら脚をバタバタと動かすだけでも効果的です。 地上でのウォーキング 屋外での歩行で足腰を鍛えます。ウォーキングは、筋力トレーニングと比べて充分な運動に感じないかも知れません。しかし、ウォーキングを1年半継続すると、生活への支障や痛みに対して、トレーニングと同程度改善することがわかっています。ただし、ただ歩くだけではなく、靴選びにこだわり、歩行中は姿勢を意識し、必要であれば杖を使用して安定した歩行をしましょう。 また、変形性膝関節症を進行させるリスクに、ビタミンD不足があります。ビタミンDは、日光を浴びると体内で活性化される栄養素のため、屋外での運動は膝周囲の筋力を鍛え、変形を進行させるリスクも抑えます。 自宅でできるトレーニング 雨の日や外に出るのが億劫な場合、自宅でできる運動を紹介します。 大腿四頭筋トレーニング ① 椅子に腰をかけて、片側の脚を伸ばしきります ② 座面と水平になるように脚を持ち上げて、10秒間キープします ③ ゆっくり脚を下ろし3秒間休憩します (①〜③を20回繰り返して、脚を入れ替えます。) 大腿四頭筋・ハムストリングスのトレーニング ① 椅子の背を両手で持ち、脚は肩幅に広げます ② つま先と膝の向きはまっすぐ向くようにします ③ 膝を前に出さず、お尻を後ろに突き出すように上体を落とします (① 〜③を1セット5〜10回、1日3セットします。) 痛みがあるときには無理をしない 膝に痛みがあるときは、無理をせずに休息します。痛みに対しての対処法ですが、熱感や腫れがある場合には、冷やして炎症を抑え、慢性的な痛みには温めて血の流れを促します。痛みが強い場合には、病院を受診し、痛み止めの薬を処方してもらいましょう。 痛みの緩和は薬だけでなく、鍼灸治療やマッサージでも効果的だとわかっています。薬をできる限り飲みたくない場合や、薬でも効果が見られないときには、鍼灸やマッサージといった手段も覚えておきましょう。 膝の痛みの緩和にグルコサミンやコンドロイチンを服用する方がいらっしゃいます。両者は膝に軟骨に含まれる成分で、痛みの緩和を期待され服薬しますが、信頼度の高い研究は行われていないのが現状です。服用を検討している方は、かかりつけ医に相談することをおすすめします。 まとめ・変形性膝関節症を悪化させないための運動方法と日常の工夫 変形性膝関節症はさまざまな原因が組み重なって発症・進行してく病気です。膝の状態を悪化させないためには、膝に負担がかからないように生活をして、継続して運動に取り組みます。 日頃から膝に負担をかけていると、軟骨が摩耗するだけでなく、変形を進行させてしまいます。地べたではなく椅子に座るなど、できることから取り組みましょう。 運動療法に取り組む際は、くれぐれも無理は禁物です。痛みを我慢したまま続けてしまうと余計に悪化するため、膝の痛みがあるときは、炎症を起こしているのか、慢性的な痛みなのか判断し適切な対処が必要です。しかし自分では膝がどのような状態なのかわからない場合があります。そのような時は自己判断をせず病院を受診し、適切な処置を受けることが変形性膝関節症の悪化を防ぐことと覚えておきましょう。 以上、変形性膝関節症を悪化させないために日常生活においてできる工夫について記しました。 No.044 監修:医師 坂本貞範 ▼ 再生医療の幹細胞治療で変形性膝関節症を治療する 手術不要、入院不要の変形性膝関節症の新たな治療法。再生医療の幹細胞治療で症状を改善できます
2022.02.22 -
- ひざ関節
- 変形性膝関節症
変形性膝関節症の進行を予防するために!膝の負担を減らす方法を医師が解説 膝の痛みで悩む方は非常に多く、特に中高年以降の女性に頻発する疾患が変形性膝関節症です。変形性膝関節症は、年齢とともに罹患率が高まり、国内だけで1000万人もの患者がいるとされています。 変形性膝関節症になると、膝に痛みを感じるだけでなく、進行すると手術をせざるを得ない場合もあります。 そんな変形性膝関節症が発症する主な原因は、軟骨のすり減りです。軟骨がすり減る要因には、「加齢・外傷・肥満・遺伝」などのほか、普段から何げなくしている「膝に負担のかかりやすい姿勢や動作」があります。 この記事では、膝関節の構造から、変形性膝関節症を予防する方法、その上で気を付けることなどを紹介します。 膝関節の構造 変形性膝関節症を予防するために、まずは膝関節の構造を理解することが大切です。 膝関節は、太ももの大腿骨・すねの脛骨・膝のお皿の膝蓋骨からなる関節です。それぞれの骨には関節軟骨が覆われているほか、大腿骨と脛骨の隙間には内側・外側に合計2枚の半月板が存在します。 関節軟骨と半月板の両者を合わせて、「膝の軟骨」と言います。膝の軟骨の役割は、滑らかに膝を動かし、立つ・座る・歩くなどの動作で膝にかかる衝撃を分散させて膝を守ることです。 膝関節の主体となる運動は、膝を曲げ伸ばしする屈伸運動です。ほかに、わずかな回旋(まわす)運動がありますが、曲げすぎや伸ばしすぎ、急な回旋運動では軟骨に大きな負担になるのです。 膝に負担がかかる動作の積み重ねが、関節軟骨の弾力性を徐々に失われていき、変形性膝関節症を発症させるきっかけになります。 日常で膝に負荷がかかる姿勢や動作とは 膝に負担が掛かる動作としては、以下のようなものがります。 ・正座など深く膝を曲げてしゃがむ ・両脚を横に投げ出して座る(横座り) ・あぐらをかく ・歩いたり、走ったりするときの急な方向転換 膝の関節を安定させている組織に、大腿四頭筋・ハムストリングスといった筋肉があります。膝周囲の筋肉が働くことにより、膝の曲げ伸ばしなどの動作を安定して行えます。 筋肉が弱ることでも、膝の安定性は低下し、軟骨への負担が上がるため、変形性膝関節症を予防するには、膝に負担がかからないよう工夫をし、同時に筋肉を鍛えることが大切です。 変形性膝関節症の進行を予防する方法 変形性膝関節症を予防するには、膝関節への負荷を下げて、膝の安定性を高めると良いです。具体的には、日常生活の見直しやダイエット・筋力トレーニングを実施します。それぞれについて解説していきます。 生活習慣の見直し 膝に負担がかからない過ごし方をします。膝の負担を減らすには、椅子とテーブルを用いた洋式の生活スタイルへ変更することがおすすめです。 和式のように地べた生活では、どうしても頻繁に膝が曲げ伸ばしされるほか、膝が深く曲がる正座、あぐらや脚を横に投げ出す座り方といった膝の負担になる動作が多くなります。また、布団で寝ると地面から立ち上がる時に膝への負担になるため、ベッドへの変更も効果的です。 ダイエット 体重が重いほど膝に負担がかかります。普通に歩くだけでも体重の2〜3倍の負荷がかかり、走ると3〜5倍もの負荷がかかることため、体重が重たいほど膝への負担も増します。肥満傾向の方は、ダイエットに取り組み膝への負担を軽減させましょう。 筋力トレーニングや体操 関節の安定性を向上させ、膝への負担を軽減させます。また、変形性膝関節症につながる半月板損傷といった外傷を防止します。 いざ変形性膝関節症になると、膝の痛みをかばって運動療法ができないケースがあります。そうなると筋力や関節の可動域は低下し、さらに膝への負担があがるため、余計に痛みが悪化します。 痛みがないうちから筋力トレーニングや可動域訓練に取り組み、関節の安定性や柔軟性を高めることが大切です。 変形性膝関節症の予防に効果的な体操をご紹介します。 大腿四頭筋を鍛える ① 椅子に座ります ② 片側の膝を伸ばします ③ 5〜10秒そのまま保持します ④ 反対側も同様に行います 膝の可動域を保つ ① お風呂で両脚を伸ばします ② 片側の太ももを抱えながら、かかとを引き寄せ膝を曲げます ③ かかとを滑らせて、できる限りかかとを伸ばします どちらの体操も、無理なく痛みの出ない範囲で行いましょう。 変形性膝関節症を予防するうえで気を付けること 筋力トレーニングやダイエットを実施し、膝にかかる負荷を軽減することは予防に効果的ですが、無理に行うことで悪化してしまうこともあります。 無理なく自分のペースで行うことが大切です。以下のことに気を付けながら取り組みましょう。 無理なく継続できる負荷の設定 筋力トレーニングは、月に一回ほどの運動頻度では思ったような効果は期待できません。また、運動に慣れていないのに高い負荷を体に課すと、膝を痛めてしまったり、運動後の疲労が抜けず、休息に時間を取られてしまったりと、筋力はつきにくいでしょう。 予防のために実施する筋力トレーニングで、大切なのは継続です。運動の負荷は、無理なく継続できる程度の負荷に設定しましょう。 トレーニング中は呼吸を止めない 運動時は呼吸を止めて行うと、血圧が上昇し、体への負担になります。呼吸を止めた方が力は入るような感じがしても、くれぐれも呼吸は止めず実施しましょう。 膝に痛みや違和感があれば医療機関を受診する 変形性膝関節症の初期には、立ち上がりや歩きはじめに膝に痛みや違和感を覚えます。しかし、しばらくすると痛みはなじんでくることが多いため、痛みが治まったからと言って安心はできません。異変があれば迷わず病院で診てもらいましょう。 まとめ・変形性膝関節症の進行を予防するために!膝の負担を減らす方法を医師が解説 変形性膝関節症になると、これまで当たり前にできていたことができなくなります。変形が進行すると、膝の手術がすすめられますが、体への負担になることから決断することは難しいはずです。 たとえ、手術をせずに運動療法などの保存療法に取り組んだとしても、痛みが悪化すれば満足に運動が継続できず、ますます身体機能が低下します。やがては外出するのも億劫になり、寝たきり生活を余儀なくされる場合があります。 これまで通りの生活を続けるには、変形性膝関節症にならないように予防が重要です。変形性膝関節症を予防するには、膝への負担を避けながら、筋力トレーニングで関節を安定させるように、バランスの取れた予防に取り組みましょう。 また可動域訓練では、関節を柔らかくし、負担が偏らないようにします。今後の人生を考えて、痛みがないうちから行動を起こすことが将来の健康のためには大切です。 以上、変形性膝関節症の予防法・膝の負担を減らすための工夫についてご説明させていただきました。ご参考していただければ幸いです。 No.043 監修:医師 坂本貞範 ▼ 再生医療の幹細胞治療で変形性膝関節症を治療 変形性膝関節症の新たな選択肢、手術、入院不要な再生医療で症状の改善を目指す
2022.02.15 -
- ひざ関節
- 変形性膝関節症
変形性膝関節症の発症原因!運動、スポーツで注意すべきこと 変形性膝関節症は、重症化すると歩行などの動作に支障をきたす厄介な病気です。また、この病気を発症する原因の1つに「運動」が挙げられます。今回は、運動と変形性膝関節症の関係についてまとめました。 膝関節は、私達の日常動作をスムーズにしてくれています。例えば、歩くのはもちろんですし、立ったり座ったり、飛び上がったり踏ん張ったり…これらの動作をするのにも欠かすことができない部分です。 このように膝関節が稼働することで日常生活以外でもスポーツなどではランニングやマラソンといった走る競技はもとより、水泳、野球、バスケットボール、ラクビー、スキー、テニス、ゴルフと数え上げればきりがないほど膝の動きは大切です。 膝のスムーズな曲げ伸ばしや、稼働に重要なのが働きをしているのが膝関節の軟骨です。しかし、この膝関節の軟骨は、年齢を重ねるごとに、すり減ってしまうことを知っておきましょう。 注意すべき人は? 特に、若い頃、膝に強い負荷がかかるようなスポーツをしていた人、競技スポーツなど日頃から激しい運動をしていたりしていた人。 また、肥満体型など常に膝に負荷をかけ続けている人の場合、軽いスポーツであっても膝への負担が大きくなるので「変形性膝関節症」を発症しやすくなります。 このように、運動やスポーツを頑張りすぎた場合、「膝の軟骨がすり減って変形性膝関節症になる」と聞いたりすると「だったら運動はやめておこう」という極端な人も出てくるかもしれません。 ですが健康な体や、正常な関節を維持するためにはある程度の運動は必要で精神的にも体を動かすことは大切です。気を付けたいのは痛みを感じた時の対処法です。 例えば変形性膝関節症は急に症状が進行したり、急に痛くて歩けなくなることは無いからです。この病気の場合は、段階を経て重症化していくため、痛みが出た時に適切な対処法を心がけることが必要です。 変形性膝関節症に気を付けたいスポーツ ・膝に強い負荷が掛かるスポーツ(ウエイトリフティング、登山ほか) ・激しく膝をつかうスポーツ(陸上競技、サッカー、ラグビー、テニス、バスケットボールほか) ・肥満体体形の場合、軽いスポーツでも膝に大きな負担が掛かる 普段から「運動している人」が注意すべきこと 普段から運動する習慣がある人は、多少の痛みを感じても無視してしまいがちな傾向があります。そのため、炎症に気が付かず運動を続けてしまい、症状が悪化する可能性が高いです。 痛みが一晩休めば治まる程度であれば、さほど問題はありませんが、翌日まで続くようであれば、一旦運動をお休みし、安静にしましょう。 休む期間は3日から1週間。休んでいる間に痛みが治まったら運動を再開しても良いですが、以前と同じレベルの運動をいきなり再開するのではなく、痛む前の半分程度の運動から始めると良いでしょう。 休んでも痛みが治まらない、運動を再開したら再度痛みが出たというような場合は、変形性膝関節症の症状が進行している可能性があります。早めに病院を受診してください。 普段ほとんど「運動しない人」が注意すべきこと 普段ほとんど、或いは全く運動しない人は、急に長時間の運動をする時に注意が必要です。 例えば、登山やハイキングなどで長時間歩くというようなことをすると、急に膝関節に大きな負担がかかるため、軟骨がすり減り炎症が起きる、つまり変形性膝関節症を発症する可能性があります。 急な炎症が起きると、炎症による痛みや膝の腫れ、水がたまるなどの症状が出ることもあります。 もし、運動の最中に痛みを感じたら、それ以上の運動は控えてください。そして安静にしましょう。痛みが長く続くようであれば、早めに医師の診察を受けてくださいね。 運動が変形性膝関節症を予防することはできる? 運動することによって、変形性膝関節症を発症しやすくなるという場合もありますが、適度な運動を無理なく行うことは変形性膝関節症を予防する効果もありますし、健康そのもの維持に役立ちます。 具体的に、「変形性膝関節症を防ぐには、脚に筋力をつけることがポイント」です。筋肉が鍛えられると膝の関節が安定するので、自然と軟骨のすり減りも抑えられるのです。 運動は毎日無理なく続けましょう 運動は無理のない範囲で、そして出来れば毎日行うことが望ましいです。 ウォーキングや軽めのジョギング、水泳なども良いでしょう。運動するのは苦手、外を出歩くのはあまり好きではないという方は、ラジオ体操やスクワット、テレビで放送されるテレビ体操などにチャレンジしてみるのも良いでしょう。 ただし、無理は禁物!運動中に膝が痛み出した場合は、運動を中断し、安静にするよう心掛けてください。 まとめ・変形性膝関節症の発症原因!運動、スポーツで注意すべきこと 変形性膝関節症の発症には、運動が関係します。しかし、運動をすることは健康維持のために必要不可欠ですし、「変形性膝関節症の予防」にも繋がります。 運動やスポーツが変形性膝関節症の原因や軟骨のすり減りの原因とはいうものの病気を注意するために運動やスポーツをしないのは本末転倒。運動は無理のない範囲で行うことが必要です。 ただ痛みに注意して、無理のない範囲で行うようにしてください。 ▼ 再生医療が変形性膝関節症の治療を変える 変形性膝関節症の新たな選択肢、再生医療の幹細胞治療で手術せずに症状を改善します No.S035 監修:医師 加藤 秀一
2022.02.08 -
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変形性膝関節症!痛みが取れない、治らない理由と対処法 1日の内に何度も曲げ伸ばしされるのが膝の関節で、立つ・座る・歩行動作など、あらゆる場面で膝に負担がかかります。そんな負担から膝を守っているのが関節軟骨です。 関節軟骨は膝のクッション機能のほか、関節をスムーズに動かせる役割を果たしています。しかし、加齢ともに関節軟骨が徐々にすり減ると、膝に痛みを感じたり、変形が出現したりする変形性膝関節症を発症します。 変形性膝関節症と診断されると、膝を守るためのベースとなる治療法である「保存療法」に取り組みます。しかし、いくら膝関節にかかる負担を減らし、治療として運動療法に取り組んだとしても、「なかなか膝の痛みが取れない、治らない」ことがあります。 なぜ熱心に膝の治療に取り組んでいるのに、痛みは改善されないのでしょうか。この記事では、「変形性膝関節症の治療に取り組んでいるのに、膝の痛みが取れない、治らない」について、その理由と痛みを改善する方法についてご紹介します。 痛みが取れない、治らない理由とは 変形性膝関節症の治療に取り組んでも痛みが取れない原因は、「関節内で炎症が起きている」「関節が安定していない」「関節へ負荷がかかっている」といった3つ原因の内でどれか、または複合している可能性が考えられます。 炎症を起こしている(膝に水が溜る) 膝の曲げ伸ばしなどで関節に負担がかかると、すり減った関節軟骨のかけらが滑膜を刺激します。刺激された滑膜が炎症を起こし、膝の痛みとして認識されます。 炎症が起きた際には、「膝に熱感を感じる」ほか、白血球を含んだ大量の関節液が軟骨のかけらを除去しようと排出されます。大量に排出された関節液が膝にたまると、いわゆる「膝に水がたまった状態」となります。 炎症を起こしているときは、冷やしたり、薬で炎症や痛みを抑制したりします。また、炎症が起きているにも関わらず運動を続けると悪化するため、無理をせず休むようにします。 治療でも過度な筋トレは逆効果 誰でも早く痛みから逃れたいものです。しかし運動療法とは言え、トレーニングに慣れてないうちから、過度に強度が強く、時間が長い筋力トレーニングを行うと、治療であっても膝に痛みを感じやすくなり、かえって逆効果です。 関節が安定していない 筋力トレーニングを始めたけど、痛みが取れない場合、トレーニングを始めて間もないことが考えられます。トレーニング開始後、個人差はあるものの効果が現れるまで1〜2ヶ月かかると言われています。 そのため、運動を始めてまだ間もない頃は効果を感じにくいため、まずは1〜2ヶ月継続して運動に取り組むようにしましょう。継続した運動に取り組んでも効果がみられなければ、運動の負荷が弱すぎる、軽すぎる可能性があり、十分な効果が発揮されません。 そんな時は、3ヶ月目にトレーニング種目や強度の見直しをお勧めします。くれぐれも過度な筋トレにならないよう、痛みのない範囲で取り組めるメニューを組みます。 運動種目や強度の見直し例 ・室内でできる簡単な運動から屋外での運動に切り替える ・水中での歩行から地上での歩行に切り替える ・歩行距離を伸ばす 関節に負荷がかかっている 関節の負担となる習慣の存在が考えられます。変形性膝関節症の治療では、運動療法と並行して生活習慣を見直し、関節にかかる負荷を下げることが大切です。運動療法のように時間を必要とせず、工夫次第で誰でも簡単に膝への負荷を減らせます。 膝の関節には、立っているだけでも体重を支えるほか、歩いているだけでも体重の最大8倍は負荷がかかると言われています。そのため、日常生活で関節の負荷となる習慣の改善はとても大切です。 これまで、生活スタイルの改善に取り組まれた方でも、もう一度、膝に負担を減らすため、生活習慣を見直してみましょう。 関節への負荷を下げる生活習慣の見直し例、対処法 ・膝を深く曲げる動作を止める ・よく使う調味料などを低い位置に収納しない ・玄関、階段、お風呂に手すりをつける ・地べたでの生活から椅子とテーブルを用いた洋式へ変える ・膝の調子が悪ければ迷わずエレベーターを使う ・バランスよく歩くために杖を使う いつまでも痛みが取れない、治らないときは 生活スタイルを変え運動療法を継続的に取り組んでも痛みが取れない、治らないとき、変形性膝関節症はかなり進行していることが予想されます。変形性膝関節症が進行し、膝が痛く普段の生活を送るのが困難だと感じる、もしくは医師から判断されれば観血療法(手術)が勧められます。 ただ、手術の中にはリハビリが必要で、退院まで長くて1ヶ月ほどかかるなど、簡単に決断できるものではないはずです。 そうした手術をしたくない・できない場合には、痛みと付き合いながら、騙しだまし日常を送ることになり、最終的には寝たきりになってしまう方も現実としていらっしゃいます。 しかし近年、大きな手術や入院を必要とせず、保存療法と観血療法の中間の治療法として「再生医療」という最新の医療が注目されています。 再生医療では、変形性膝関節症の発症の原因となるすり減った膝の軟骨の再生が期待できるほか、変形性膝関節症の初期から取り入れることで進行を予防できます。 ▼ 再生医療の幹細胞治療が変形性膝関節症の治療を変える! 変形性膝関節症の新たな選択肢、再生医療の幹細胞治療で手術せずに症状を改善できます まとめ・変形性膝関節症!痛みが取れない、治らない理由と対処法 変形性膝関節症の治療の基本は、関節への負荷を下げ、安定させることです。いつまでも痛みが取れない、治らない場合には、自分の膝の状態を見極めることがポイントです。 炎症が起きているのか・関節への負荷がかかっているのか・運動してまだ間もないのか判断し、状況に見合った対処をしましょう。保存療法で痛みが取れなければ、手術が選択肢に入ります。手術といっても体への負担が少ないものから大きなものまでさまざまです。 膝の進行度合いによって、手術の選択肢も狭まることから、定期的に病院を受診し、自分の膝の状態をよく知っておきましょう。 また手術はしたくない、できない場合には、再生医療の存在を覚えておくと、治療の選択肢を広げ、多角的な視点で治療に取り組めることでしょう。 以上、変形性膝関節症、なぜ痛みが取れない、治らないについて記させて頂きました。 No.042 監修:医師 坂本貞範
2022.02.07 -
- 変形性膝関節症
- ひざ関節
変形性膝関節症の手術で高齢者が受けるリスク 中年以降の女性に多く発生するのが変形性膝関節症で、初期の頃には軽い痛みや違和感だったものが徐々に進行していく病気です。その治療は保存療法をベースに、生活スタイルの改善や運動療法に取り組み、必要に応じて装具療法という手段があります。 保存療法でも効果がみられない場合には、観血療法(手術)が選択肢に入ります。しかし、いざ手術を受けようとした時には、患者様自身が高齢になられているケースがあります。 そんなとき、「退院までどれくらいかかるのだろうか?」「リハビリは頑張れるのだろうか?」と、本人もしくは家族が不安に思われる場合があります。この記事では、高齢者が変形性膝関節症の手術を受けるリスクをわかりやすく解説していきます。 高齢者に適応される手術とは 変形性膝関節症の手術には、関節鏡視下手術・高位脛骨骨切り術・人工関節置換術の3種類あり、どの手法が適応されるかは進行の程度に沿って決まります。主に初期には関節鏡視下手術・中期には高位脛骨骨切り術・末期には人工関節置換術が選択されます。 ただし、変形性膝関節症の手術をいざ受けようと決心したとしても、高齢者の場合は進行しているケースがほとんどです。そういったときには、人工関節置換術が適応されます。 人工関節置換術とは 人工関節置換術とは、傷んだ膝の関節を人工の関節に入れ替える手術です。金属やセラミックでできた人工関節にすることで、O脚など脚の変形が改善し、膝が安定します。 人工関節置換術を受けると、激しい痛みによりスッと立ち上がれない、スイスイ歩けないといったお悩みが解消されるなど、高い効果が期待できます。ただし、術後は正座ができなくなるほか、高齢者が不安に思われるリハビリを必要とします。 人工関節置換術のリスク 手術から退院まで日数がかかる 人工関節置換術をした場合、退院までの目安は1ヶ月です。また術後の痛みが消えるのに、数週間から数ヶ月かかるため、これまで通りの日常に戻るには2〜3ヶ月程度必要です。 リハビリに取り組む必要がある 人工関節置換術はリハビリが必要な手術です。術後2日目から、国家資格である理学療法士や作業療法士の支援のもとリハビリを開始します。日常生活に復帰できるように、筋力トレーニングや可動域訓練とともに、立ち座りや歩行も訓練します。 日常動作に制限がかかる 術後は人工関節の摩耗や破損、膝蓋骨の脱臼を避けるために、走る動作や膝に負担のかかる激しいスポーツができなくなります。また深く膝を曲げられないため、正座ができなくなるなど日常生活動作に制限がかかります。 深部静脈血栓 術後は長時間の安静から血流が滞って血栓ができる「深部静脈血栓」に注意が必要です。血栓は自然に消失することが多いのですが、まれに血栓が肺や脳に飛んでしまうと、肺塞栓による突然死や、脳塞栓による手足にしびれや動かしにくさが出現します。 血栓症を予防するには、弾性ストッキングを着用、さらに間欠的空気圧迫法にて、血液の流れを良くします。 肺にまつわる合併症 手術中は長時間もの間、寝た姿勢が続くため、肺に負担がかかります。肺がつぶれてしまう無気肺や、肺に水がたまる肺水腫のリスクがあります。また全身麻酔により、一時的に肺の機能が低下することで、痰の排出がうまくできず、痰が原因で肺炎を起こします。 術後は痛みや全身の倦怠感からうまく呼吸ができないことが多く、肺にまつわる合併症を防ぐためには、術前から深呼吸の練習や痰を出す練習をします。 また喫煙をすると、体内へ取り込む酸素の量が少なく、肺合併症のリスクを高めるほか、傷の治りにも影響を及ぼします。手術を検討されている喫煙者はなるべく早くから禁煙し、少しでも禁煙期間を長くします。最低でも手術が決まった時点で禁煙に取り組みましょう。 細菌感染 抗生物質を服用し、術後は傷口を清潔に保つよう予防はするものの、細菌感染が起こると再手術しなければなりません。また感染経路は傷口からだけとは限りません。 麻酔をかけるためのチューブを気管に挿入する際に、虫歯や歯槽膿漏、口内が汚染されていると、その細菌も一緒に気管に運んでしまう可能性があります。手術を受ける前には虫歯や歯槽膿漏の治療を行うことと、丁寧に歯磨きをしてから手術に臨みます。 人工関節のトラブル 術後は人工関節の破損に注意です。術後はなるべく早くからリハビリに取り組むと、膝の働きが良くなるため早期離床が大切です。しかし、いきなり強度な運動をしてしまうなど、無理がかかると、人工関節の緩み・破損・摩耗や脱臼の危険性があります。 術後、人工関節のトラブルを防ぐには、焦ってリハビリを進めないことと、膝に負担をかけない生活を送るなど工夫が必要です。 まとめ/変形性膝関節症の手術で高齢者が受けるリスク 変形性膝関節症の手術を受ける場合、高齢であるほど人工関節置換術が適応されます。 人工関節置換術を実施すると、痛みのない生活を送れることが期待できます。しかしリスクもありますので、手術を検討されている方は、術後にそんなはずではなかったと後悔しないように、手術のリスクについてもしっかり把握しておきましょう。 また加齢とともに、体力や筋力・術後のリハビリに取り組めるか不安がある方は、一度、担当医に相談してみることをおすすめします。以上、変形性膝関節症の手術で高齢者が受けるリスクについて記しました。参考にしていただければ幸いです。 No.041 監修:医師 坂本貞範 ▼ 再生医療の幹細胞治療が変形性膝関節症の治療を変える! 変形性膝関節症の新たな選択肢、再生医療の幹細胞治療で手術せずに症状を改善できます
2022.02.02 -
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変形性膝関節症を早期発見するため、初期症状に気付くためのポイント! 膝に痛みを及ぼす疾患が変形性膝関節症です。 変形性膝関節症になると、人間の基本的な動作である「歩行」に影響をもたらすことで、活動量が減るなど日常生活に支障を及ぼします。その原因は、靭帯や半月板の怪我からくる場合を除いて、ほとんどは加齢に伴った関節軟骨の摩耗がきっかけです。 特に40代以降の女性に多く発生するため、中高年で感じる膝の痛みのほとんどは、変形性膝関節症からくる痛みだともいわれています。そんな変形性膝関節症の治療方針は、膝に負担のかかる生活スタイルを見直し、膝周囲の筋肉を鍛える運動療法に取り組むことです。 そうした保存療法の継続が、関節を安定させ、これまで通りの痛みのない日常につながるのです。そのためには、いかに早期に発見できるかがポイントです。そこで今回は、変形性膝関節症の初期症状から、もし当てはまった場合には、実際にどういった行動に移せば良いのかまで紹介していきます。 変形性膝関節症の初期症状に気づく 変形性膝関節症の自覚症状は、前期・初期・中期・末期の4つの段階を踏んで進行していきます。前期では、膝にほとんど痛みはありませんが、初期では軟骨がすり減り始め、膝に痛みや違和感や感じます。 進行した中期では膝に変形がみられ、さらに進行した末期では、痛みから立つ・歩くなどの日常生活を過ごすのが困難になり、手すりや杖などに頼らないと姿勢を保てない状態です。 変形性膝関節症の初期で起こる症状 初期症状に気が付くためのポイント ・朝起きた時に膝にこわばりを感じる ・膝を伸ばそうとすると引っ掛かりを感じる ・椅子から立ち上がろうとすると痛みが走る ・歩き出しに痛みがある ・正座をするとズキっと痛みを感じる 変形性膝関節症を早期発見するためには、「痛み」や「違和感」を感じだす初期で発見することが大切です。この段階で異変に気づき、病院を受診し早期発見できれば、治療の選択肢が増えるだけでなく、積極的に運動療法に取り組めるのです。 早期発見が治療の選択肢を増やす 変形性膝関節症に早期に気づき、運動に取り組むことで、悪化を防ぎます。運動療法でも痛みが引かない場合、薬物療法や物理療法、装具療法などで痛みを抑えながら、運動療法に取り組めるよう工夫します。 あらゆる手を尽くしても効果がみられない場合には、観血療法という選択肢がありますが、手術の種類によっては進行しすぎていると実施できないケースがあります。 たとえば、体への侵襲が大きな人工関節置換術や高位脛骨骨切り術を、「今はしたくない」場合には、負担が少なく、術後の回復も早い関節鏡視下手術という選択肢があります。しかし、変形が進行した状態では、関節鏡視下手術をしたところで、改善が見込めない場合があります。 早期発見で積極的に運動療法に取り組める 変形性膝関節症の治療の基本は運動療法ですが、初期から実施するのと、末期から実施するのでは大きな違いがあります。初期の運動療法には悪化を防ぐ目的があり、継続して行うとこれまで通りの生活を送れる可能性があります。 一方、発見が遅れた末期では、痛みが強く日常生活をまともに送るのは難しい状態です。そのため、満足に運動療法に取り組めず、これまで通りの生活を送れる可能性は低くなることから、早期発見が変形性膝関節症の治療において大切です。 病院で変形性膝関節症と診断されるまで 中高年以降で、膝に「痛み」や「違和感」を感じたら整形外科の受診をおすすめします。変形性膝関節症の診断は、問診・視診・触診・画像診断などの検査を複合して判断されます。問診では家族歴・半月板や靭帯損傷などの怪我の既往歴を聞き、視診では歩行状態から進行の程度を確認、触診では膝の変形具合や水がたまっていないかなどを確認します。 変形性膝関節症の進行の程度は、X線検査の後、Kellgren-Lawrence分類によって分けられます。関節の隙間が確保されているグレード0から、関節の隙間がなくなってしまった状態のグレード4まで分けられます。 しかし必ずしも画像診断の進行度合いと自覚症状が一致するとは限りません。画像診断では進行していても、自覚症状があまり強くない場合や、その逆の場合もあります。 そのため、軽度の痛みや、ちょっとした違和感でも変形性膝関節症が進んでいる可能性があることから、注意が必要です。 変形性膝関節症と似たような病気 膝に痛みがあっても、全ての膝の痛みが変形性膝関節症ではありません。膝関節以外の痛みや発熱の有無など、問診や触診の情報を元に、関節リウマチ・痛風・化膿性関節炎などを疑います。 検査では血液検査や関節液の成分を検査し、検査結果を元に変形性膝関節症以外の病気である要素を取り除いた上で、はじめて変形性膝関節症と診断されます。 まとめ・変形性膝関節症を早期発見するため、初期症状に気付くためのポイント! 変形性膝関節症は中高年以降の女性に多く発生する病気で、膝の痛みの多くは変形性膝関節症からだといわれています。 変形性膝関節症の症状は、痛みと変形が特徴です。初期には強い痛みや変形を感じることは少ないものの、変形性膝関節症は進行性の病気です。放っておくと取り返しがつかないところまで進行するケースがあります。 そうならないためにも、早期に変形性膝関節症に気付くことが治療の選択肢を増やし、悪化を防ぎます。 変形性膝関節症の早期発見ができれば、保存療法(運動療法、薬物療法など)や観血療法(手術)というように、あらゆる選択肢の中から、膝の状態や自分自身の意向に沿って治療に取り組めるのです。 そのため、「軽度な痛み」や「違和感」程度でも放ったらかしにしないで、整形外科を受診しましょう。 ▼ 再生医療で変形性膝関節症の治療する 変形性膝関節症の新たな選択肢、再生医療の幹細胞治療で手術せず、入院不要で症状を改善する No.039 監修:医師 坂本貞範
2022.01.18 -
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変形性膝関節症、最新の治療法!再生医療の手術をしない幹細胞治療という可能性 変形性膝関節の痛みに悩まされてきた方は多いのではないでしょうか? 変形性膝関節症は、関節軟骨や半月板の損傷から、膝に痛みや変形がみられる疾患です。その治療法は、運動療法に取り組みながらも、痛みに対しては、薬を服用したり、膝にヒアルロン酸注射をしたりし悪化を防ぎます。 これまでの治療方法としては、運動療法や、薬物療法があり、効果がみられない場合には、手術という選択肢が一般的です。しかし、「手術はしたくない」「手術を受けられない」方は、痛みと付き合っていくしかないという現状がありました。 しかし近年、保存療法では効果が感じられず、観血療法(手術)ができない場合でも受けられる治療法に、「再生医療による治療」が確立されたので紹介します。 〇手術したくない 〇手術が受けられない --- 新たな選択肢。再生医療(幹細胞治療) 再生医療|幹細胞治療とは? 人は怪我をして傷ついたとしても、多少の傷なら自然に治り回復します。つまり、修復力を持っているということで、これは人間が本来備えている自然治癒力です。これを活かした治療法が「再生医療」といわれる新たな医療分野なのです。 この再生医療の一種、「自己脂肪由来・幹細胞治療」では、患者様の体から採取した幹細胞を培養後、数万から数億にも増やしたもの(幹細胞)を膝に注射することで、傷んだ軟骨や細胞を自然に修復・再生させる効果を見込むものです。 再生医療における幹細胞治療とは 幹細胞とは、人間の骨髄や皮下脂肪にある細胞で、皮膚や骨・軟骨・血管などの、いろんな細胞に性質を変える特徴(分化能)があります。幹細胞治療では、幹細胞の分化能を利用して、傷んだ軟骨や、そのほか組織の修復・再生が期待できる最新の治療法です。 幹細胞は普段は活動的ではありませんが、体が傷つくと、損傷した細胞の代わりになるよう細胞分裂が起こり、修復・再生が行われます。変形性膝関節症の場合、幹細胞の分化能を利用し、自己修復力を高めて、磨耗した軟骨を修復させます。 軟骨が再生すると、本来備わっていた膝のクッション性がアップするほか、関節の動きが滑らかになり、膝の痛みの緩和が期待できます。 つまり、これまで運動療法や薬物療法ではできなかった軟骨の修復・再生が、自己脂肪由来幹細胞治療で可能になったのです。 幹細胞治療はどのように行われる? 変形性膝関節症に対しての自己脂肪由来幹細胞治療では、自分の体から幹細胞を採取し、培養後、幹細胞を体内に戻します。幹細胞を体内に戻す方法には、静脈注射(静脈点滴)と関節注射の2種類があります。 静脈注射は直接注射できない内臓(肝臓疾患や糖尿病など)や脳の病気に用いられ、膝や肩、股関節などには直接関節に注射する方法があります。幹細胞は骨髄や皮下脂肪に存在しますが、体への侵襲(体への負担)が少ないほか、細胞の性質が良いとされることから皮下脂肪から採取されます。 自己脂肪由来幹細胞治療の流れ ・腹部(おへそ周り)に局所麻酔をします。 ・5mmほど皮膚を切開し脂肪を採取します。 ・採取する脂肪の範囲は、米粒2粒ほどの大きさです。 ・採取した脂肪から幹細胞だけを分離し、4〜6週間ほどかけて培養します。 ・増殖した幹細胞を膝に関節内注射します。 幹細胞治療は、体への侵襲が低く、自分の細胞を利用した治療法です。大きな手術と比べて感染症のリスクは低く、拒絶反応やアレルギーも起こりにくいため、安全性が高い治療法です。 膝の痛みを放置するとどうなるか? 変形性膝関節症が進行し痛みが強くなると、治療の基本となる運動療法に満足に取り組めなくなります。さらに進行すると、ちょっとした動作や安静時でも膝が痛み、その痛みをかばうことで、関節の可動域が狭まっていき、余計に痛みを感じやすくなります。 そして、どうしようもなくなったときには、体に負担となる人工関節置換術や骨切り術などの手術が選択肢にあります。手術をすると、痛みの改善は期待できますが、感染症のリスクや、正座ができなくなるなどのリスクがあります。 手術をしたくない、手術ができない場合には、痛みと付き合っていくしかありませんが、痛みが悪化すると、次第に歩行ができなくなり、筋力が低下することで車椅子生活や寝たきりでの生活になってしまう可能性が高まります。 まとめ・変形性膝関節症、最新の治療法!手術をしない再生医療の幹細胞治療という可能性 自己由来幹細胞治療は、人が持つ修復力を引き出す治療法で、これまで不可能だった軟骨の再生が期待できます。幹細胞治療では、自分の細胞を使うことから、大きな手術のような、体にかかる負担はほとんどなく、長期間に及ぶ入院期間を確保できない場合にも、日帰りで行える治療法として注目されています。 変形性膝関節症の治療の基本は、膝周囲の筋力を鍛えることで、必要に応じて変形性膝関節症と診断された初期から幹細胞治療に取り組むことで悪化を防ぐことが期待できます。 幹細胞治療にかかる費用は、保険が効かず自由診療のため、全額自己負担での治療ですが、「現在の治療で効果を感じられない」「関節鏡や人工関節などの大きな手術をすすめられたが抵抗がある」方は、保存療法と観血療法の中間に位置する最新の再生医療による治療法、「自己由来幹細胞治療」を選択肢の一つとして覚えておきましょう。 以上、変形性膝関節症の治療に幹細胞治療/再生医療という新たな選択肢!になっていることについて記させて頂きました。 No.038 監修:医師 坂本貞範 ▼ 再生医療の幹細胞治療が変形性膝関節症の治療を変える! 変形性膝関節症の新たな選択肢、再生医療の幹細胞治療で手術せずに症状を改善できます
2022.01.07