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「ふくらはぎの筋断裂はどんな症状がある?」 「ふくらはぎの筋断裂を再発防止するには?」 「筋断裂」とは、スポーツなどで急に強い力や無理な力がかかった際に、筋肉が耐えられなくなり、筋線維が損傷して断裂する状態を指します。 とくに、筋断裂が起こりやすい部位は「ふくらはぎ」です。筋線維のうち範囲が限定的、部分的な断裂の場合は「部分断裂(肉離れ)」ともいわれます。 筋断裂が起こると、たとえ部分断裂であっても強い痛みが起こり、動けなくなるので歩くのが困難になります。 また、ふくらはぎは血液を心臓へ戻す役割を果たすため、第2の心臓ともいわれる筋肉です。そのため、筋断裂を起こすと生活に大きな支障が出てしまいかねません。 今回は、ふくらはぎの筋断裂における症状や原因を始め、再発防止や予防法を解説します。 リハビリに関する詳細も解説するので、症状がある方はぜひ参考にしてみてください。 ふくらはぎの筋断裂における症状 ふくらはぎの筋断裂(きんだんれつ)における主な症状は、ふくらはぎの痛みや内出血です。 ふくらはぎの一部に凹みができる場合もあり、痛みは筋断裂の度合いによって異なります。 安静時や軽く歩く程度なら問題はなくても、走るときだけ痛い場合もあれば、歩くだけで痛いケースもあります。 重度の場合は、安静にしていても痛みを感じます。 ふくらはぎの筋断裂における主な原因 ふくらはぎの筋断裂による主な原因は、筋力や柔軟性の低下、疲労の蓄積などがあげられます。 スポーツなどの激しい動きにかかわらず、事前のウォーミングアップを始め、終了時もクールダウンのストレッチを十分に行うのが大切です。 このような準備が不足すると筋断裂の原因につながります。 また、筋力のバランスや体の動かし方が悪いと、筋断裂が起こりやすくなります。とくにスポーツをしている方は、フォームやトレーニング内容の見直しを行いましょう。 スポーツをしていない方も同様に、普段の姿勢などを見直してみてはいかがでしょうか。 ふくらはぎの筋断裂における再発防止・予防法 ふくらはぎが筋断裂を起こすと、痛みや動きの制限などに悩まされるため、再発防止や事前の予防が必要になります。 とくにスポーツに取り組んでいる方などは、完全に回復しないまま早期復帰をしてしまい、再発する場合があります。 再発予防のためにも、無理をして体を動かさないように注意しましょう。「回復しているはずだから大丈夫」と自己判断するのは禁物です。 ふくらはぎの筋断裂における再発防止や予防には、体の柔軟性を高めるストレッチが効果的です。 筋肉はさまざまな方向に向かって付いているため、ストレッチをするときは一方向だけに偏らないように注意しましょう。 いろいろな方向へ伸ばしながら、ひねりや回転などを加える意識をもってみてください。 また、スポーツ外傷の方で治療期間を早めたいときは、再生医療の治療方法もあります。 ふくらはぎの筋断裂を含め、何かしらの症状を抱えておられる方は、当院「リペアセルクリニック」のメールや電話からご相談ください。 ふくらはぎの筋断裂におけるリハビリは回復に欠かせない ふくらはぎの筋断裂を回復させるには、リハビリによる治療が大切です。 以下では「なぜリハビリが必要なの?」と疑問を感じる方に向けて、リハビリをする理由や始めるタイミング、リハビリ内容の詳細を解説します。 ・ふくらはぎの筋断裂でリハビリをする理由 ・ふくらはぎの筋断裂でリハビリを始めるタイミング ・ふくらはぎの筋断裂におけるリハビリ内容 ふくらはぎの筋断裂でリハビリをする理由 ふくらはぎの筋断裂における治療では、柔軟性と筋力を回復させるためにリハビリを行います。 筋断裂が起きて筋組織が回復していく過程で、患部と周囲は少しずつ硬くなります。 幹部や周囲が硬くなったまま、今までと同じように部位を使うと、思うように動かせなかったり大きな負荷がかかったりして、筋断裂が再発する危険性もあるからです。 また、動かせる範囲が制限されてしまうだけでなく、動かせたとしても、安静にする必要があるのでどうしても筋力が低下します。 そのため、患部や周囲の硬くなった部分において、低下した筋力や柔軟性に働きかけながら、改善しなければなりません。 発症前と同じような動きを目指しながら、再発防止のためにもリハビリは重要なのです。 ふくらはぎの筋断裂でリハビリを始めるタイミング ふくらはぎの筋断裂によるリハビリは、症状を起こしてからいきなり始めるわけではありません。 なぜなら筋断裂が起きると断裂した部分は炎症を起こします。 炎症を起こしている間は、安静にして患部を冷やしたり、圧迫して血腫が大きくなるのを防いだりするなど、痛みや腫れが軽減するのを待つ期間が必要です。 腫れや痛みが治まってから、ゆっくりと患部を動かします。痛みなくリハビリを行える状態であれば、ようやくリハビリを開始する流れです。 ふくらはぎの筋断裂におけるリハビリ内容 リハビリの内容は医療機関や指導者によって異なりますが、ストレッチと筋力トレーニングが基本となります。 ストレッチは、患部が軽く伸びるくらいの強さで、時間をかけて(20~30秒くらい)ゆっくりと伸ばしていきます。上記を3セットから5セットくらい行う流れです。 一方、筋力トレーニングは、筋力低下を改善する目的以外にも、患部に刺激を与えると回復が早まる効果が期待できるでしょう。 たとえば、筋断裂が起きやすい太ももの裏側の筋肉(ハムストリングス)の筋力トレーニングを例に見ていきましょう。 ハムストリングスの筋力トレーニングでは、うつぶせになって足を伸ばした状態で、上にあげるヒップエクステンションのトレーニングがよく行われます。 リハビリの目的で筋肉トレーニングを行う方法は有効ですが、トレーニングは過度に行うのではなく、専門家による指導のもと行うのが再発防止につながります。 まとめ|ふくらはぎの筋断裂は治療を受けて再発予防にストレッチを行おう ふくらはぎの筋断裂を起こすと、痛みや動きの制限で悩まされます。 筋断裂の再発や慢性化を防止するために、運動するときはウォーミングアップやクールダウンのストレッチなどをしっかり行いましょう。 万が一、筋断裂が起こったときは、適切な治療を受ける必要があります。また、筋断裂が回復するまでは、改善を図るためにもしっかりとリハビリを行うのが大切です。 ただ、回復して、筋断裂を起こす前と同じような生活を送れるようになった場合も、ストレッチなどを行って再発防止につなげましょう。 最近では、スポーツ医療の分野において、再生医療の治療方法に注目が集まっています。筋断裂の治療における選択肢のひとつとして、検討してみてはいかがでしょうか。 当院「リペアセルクリニック」では、スポーツ外傷における再生医療の治療を行っています。 筋・腱・靭帯損傷などの症状がある方は、ぜひ一度ご相談ください。 【リペアセルクリニックへの相談方法】 ・メール相談 ・来院予約 ・電話相談:0120-706-313(オンラインカウンセリングの予約) ふくらはぎの筋断裂に関するQ&A ふくらはぎの筋断裂に関して、質問と答えをまとめています。 ふくらはぎの筋断裂はどのくらいの治療期間が必要なの? A.症状の程度にもよりますが、軽度だと2週間ほど、中等度だと2カ月ほどの期間が目安となります。 詳細は、以下の記事も参考にしてみてください。
2022.03.03 -
- 脊髄損傷
- 幹細胞治療
- 再生治療
- 脊椎
脊髄損傷!再生医療が画期的な治療法と言われる訳とは! 脊髄損傷の患者様は、日本に15万人ほどおられ、毎年4000〜5000人が受傷していると言われています。脊髄を損傷する原因は、交通事故・高所からの転落・スポーツでの事故・平地での転倒などさまざまです。 脊髄を損傷すると、手足の運動や感覚が麻痺するなど、身体機能に大きな影響をもたらす可能性が高いものの、これまで損傷した脊髄を再生させたり、麻痺を回復させたりするような効果的な治療法はありませんでした。 しかし、再生医療という新たな医療分野の出現によって損傷した脊髄を再生させ、体の機能を取り戻す、回復するといった画期的な方法が登場しました。この医療は、これまでは難しかった症状を手術や入院をせずに回復に向かわせる奇跡的ともいえる手法と言われています。 この記事では、これまでの脊髄損傷の治療法と、新たな治療法である再生医療での治療法をわかりやすく解説します。 脊髄損傷とは 脊髄とは脳から骨盤にかけて出ている神経で、脳と体の各部位を連結させる通信経路の役割があります。脊髄が損傷すると、体の機能に大きな影響を与えるため、脊椎(頚椎・胸椎・腰椎・仙骨)が形成する脊柱管に守られるようにして体の各部位へ分岐します。 脊髄損傷はあらゆる年齢に発生しますが、特に20歳と59歳に発生頻度が高まるとされてきました。しかし、近年の調査では70代に最も多く発生することがわかっています。これは、加齢とともに転倒リスクが上がるためと考えられます。 脊髄損傷は、完全麻痺と不全麻痺に分けられます。完全麻痺は、脊髄が完全に離断されると発生し、手足の感覚がわからない、全く動かなせないといった状態で、不全麻痺は、運動機能や感覚麻痺が一部だけ残っている状態です。残存する機能は、損傷部位や程度により変わります。 脊髄を損傷の特徴として、高い位置で損傷するほど重症度が高くなります。一般的に、上位頚髄の損傷では、自分で呼吸ができなくなり、呼吸器を必要とする重篤な麻痺を生じることがあります。また、胸髄の損傷では頚髄損傷と比較して、完全麻痺の可能性が高まります。 脊髄損傷のこれまでの治療法 脊髄を損傷すると、損傷部位の安静を確保し、手術によって脱臼・骨折した脊椎を安定させます。その後、残存した機能を活かしてリハビリテーションに取り組みますが、受傷時に負った麻痺がそのまま残ってしまうのが現状です。 急性期の治療 損傷時は、脊椎をギプスや装具で固定して安静を図ります。特に、重症化しやすい頚椎の固定は強く推奨されているほか、頭蓋骨の牽引や手術により神経を圧迫している原因を除去します。 また、頚髄や上部胸髄損傷により自発呼吸が機能しなくなった際には呼吸確保が実施されます。 脊髄損傷をしてすぐは、ベッド上で安静にすることが多く、褥瘡(床ずれ)などさまざまな合併症に気をつけます。 脊髄損傷による合併症 褥瘡 筋力の低下 関節可動域の低下 呼吸器疾患 尿路感染症 起立性低血圧 慢性期の治療 脊髄損傷後に残存した機能を活かし、日常生活を送れるようにリハビリテーションが行われます。リハビリでは、筋力トレーニングや関節可動域訓練など、日常に即した訓練が実施されます。 また、寝返りの練習により床ずれを防止したり、排泄の練習をしたりと、個人の状態に合わせた訓練に取り組み社会復帰を目指します。 再生医療が画期的な治療法と言われる訳 これまでは脊髄を損傷すると、手術により神経を圧迫している骨片を取り除き、リハビリによって社会復帰を目指してきました。しかし、手術やリハビリでは損傷した神経を再生させたり、麻痺を回復させる効果はなく、損傷した神経に対し有効な治療法がないのがこれまでの現状でした。 さらに、手足の麻痺や感覚が戻るかどうかは個人差があり、損傷した部位によっては寝たきりや車椅子での生活を余儀なくされるケースもありました。そんな中、最新医療である再生医療の出現によって、損傷した神経の再生が期待できるようになったのです。 再生医療とは 再生医療とは人間が持つ自己修復力を高める最新医療で、脊髄損傷に対しては体内に存在する幹細胞が使われます。幹細胞が持つさまざまな組織に分化(変化)する特徴を活かして、損傷した神経の修復・再生が期待されます。 幹細胞を使った治療法とは 脊髄へ使われる幹細胞は、骨髄由来の幹細胞か脂肪由来の幹細胞です。 骨髄由来幹細胞は、神経に分化しやすいとされていますが、培養しにくい上に感染リスクがあります。それに対して、脂肪由来幹細胞は、採取・培養しやすく、感染リスクもほとんどありません。 脂肪由来の幹細胞は、骨髄由来の幹細胞と比べてより多くの細胞を投与できることから高い治療効果が期待されます。最近の研究では、脂肪由来の幹細胞治療の方が治療成績は高いことがわかっています。 https://www.youtube.com/watch?v=5HxbCexwwbE&list=PLQULGKT43nrHrfZCbQFYRZniIR5S2Aq3J 脊髄への投与方法 脊髄損傷への幹細胞の投与方法は、点滴と硬膜内注射の2種類があります。点滴では、血管へ幹細胞を投与し、血液を介して脊髄へ届けます。硬膜内注射では、腰あたりから脊髄のある硬膜内に直接投与します。または、両者を掛け合わせて効果を高める場合もあります。 点滴では脊髄に幹細胞が到達するまでに数が少なくなってしまいますが、損傷部位へ直接投与する方法では、幹細胞の数を減らすことなく確実に患部へ届けられるため、点滴と比べて神経の再生力が高いです。 ただし、硬膜内へ直接投与する方法は国内でも限られた医療機関でしか行われていません。硬膜内注射を検討される場合、受診予定の医療機関へ問い合わせてみると良いでしょう。 まとめ・脊髄損傷!再生医療が画期的な治療法と言われる訳とは?! 脊髄損傷は、大きな事故や転落だけでなく平坦な道で転んでも発生する疾患です。脊髄神経が損傷されると、手足を動かせなくなったり感覚を感じとれなくなったりと、これまで通りの生活を送れなくなる場合があります。 急性期には、脊椎を固定し安静にするほか、手術で骨のかけらを取り除きます。ただ、慢性期にリハビリに取り組んだとしても、一度傷んだ神経が元通りになることはなく、これまで効果的な治療法はありませんでした。 しかし、最新の治療法である再生医療では、損傷した神経の修復や再生が期待できるようになりました。再生医療は、これまで効果的な治療法が存在しなかった脊髄損傷に対して、大きな可能性が広がる治療として注目されています。 以上、脊髄損傷の画期的な治療法と言われる再生医療について記させていただきました。参考になれば幸いです。 ▼ 脊髄損傷の再生医療|最新の幹細胞治療は、以下をご覧下さい 再生医療は、脊髄損傷の新たな治療法として注目を浴びています また、再生医療については下記のサイトでも発信しておりますので、合わせてご確認ください。 再生医療とは?実例やメリット・デメリット、研究ができる大学の学部も紹介
2022.03.02 -
- 肘関節
- 野球肘
- 上肢(腕の障害)
- スポーツ外傷
野球肘は、5人に一人が発症する、ありふれたスポーツ障害のひとつです。主に投球練習や登板回数の過多が原因で発症します。 症状が重い場合は選手生命が縮んでしまうことも。理解を深め、予防や症状改善を図るのが重要です。 本記事では野球肘の症状改善や予防のためのストレッチ方法などを解説します。 野球肘の症状改善・予防におすすめなストレッチ5選 肘の関節や靭帯を守るため、動かす前に準備が大切です。 野球肘を予防するには、プレー前に関節をしっかり伸ばすストレッチをおこないましょう。 スポーツの前後にストレッチをしっかりおこなうことは大切ですが、肘周りのストレッチだけで安心していてはいけません。 野球肘の予防には、肘の関節だけでなく、全身の柔軟性を上げることが重要だからです。 そこで以下に野球肘の予防に効果的なストレッチをご紹介します。 手首・肘の内側を伸ばすストレッチ 片手をまっすぐ前に伸ばします。 この時、手の甲は天井を向き、手首と腕が90度になるようにします。 そして、伸ばしている手と反対の手で、指先を体の方に引き寄せましょう。 次の動作は、そのまま手のひらを反時計回りに180度回転させ、手の甲が地面を向くようにします。 そのまま手のひらを机などの平らなところに着け、ゆっくりと体重をかけていきます。 肩・肩甲骨をほぐすストレッチ まず、指先を肩に添えましょう。(右肩には右手、左肩には左手を添える) 肘で円を描くように大きく回す動作を繰り返します。 前に10回、後ろに10回程度回しながら肩と肩甲骨を意識してストレッチしていきましょう。 投球動作では、肩にも大きな負担がかかります。 肩甲骨周りの可動域を広げることは、きれいな投球フォームを作ることにもつながります。 肩回りを伸ばすストレッチ 胸の前で、自身の腕(肘から手の平まで)をくっつけます この時点で窮屈に感じる方は、肩甲骨回りや、肩の筋肉が固い状態です。 肘を胸の高さまで引き上げることが可能な場合は、肘が90度、脇下も90度の状態になります。(難しい場合は角度が狭くなっても構いません。) その姿勢から、腕を後ろへ引き、胸を張る状態を作ります。 胸を張ったらそのまま10秒キープしましょう。 その後、再び胸の前で手のひらから肘をくっつけていきます。 この動きを5セット繰り返しましょう。 胸の前で腕をくっつける際は肩甲骨が離れる感覚を、腕を後ろに引く際は、肩甲骨が背骨を挟むような感覚を掴みながらおこなってください。 体幹と下半身のストレッチ 体幹と下半身の柔軟性を高めると、肘への負担が大幅に減ります。以下のストレッチに取り組みましょう。 1. 両足を肩幅の1.5倍程度開く 2. 膝を120度ほど曲げる 3. 膝の内側に両手を置く 4. 左肩を、右方向にひねる 5. 10秒キープする 6. 右肩を、左方向にひねる 7. 10秒キープする 8. 5に戻る 4から8回を1セットとして、2セットほどおこないましょう。 肩をひねるとき、膝が動かないようにすると、ストレッチ感を得やすくなります。 また、腰は不自然に落としすぎないようにしましょう。 体幹と股関節のストレッチ 両足を股関節から開いた状態で床に座ります。 まず、左膝を折り曲げ、左足の裏側が右足の内ももに着く姿勢を取りましょう。(右足は伸ばしたままの状態です。) 右足のつま先をしっかり天井に向け、体側を伸ばしながら左手を右足のつま先へ向かって伸ばします。 左側の体側と、右足の内側からふくらはぎにストレッチを感じていれば正しく伸ばせています。 この状態を10秒キープし、反対も同じように行いましょう。 左右それぞれ2セットずつおこなってください。 ストレッチをする時に気を付けるポイント 第一に、ストレッチの動作はゆっくりおこないましょう。 急に関節を伸ばすと、痛めてしまうこともあります。 具体的には、1つの部位を伸ばすのに10秒〜20秒程度かけるのが理想的です。 加えて、ストレッチをしてすぐに激しい動きをするのはNGです。 緊張がゆるんだ関節を急に動かすと思わぬケガにつながりますので、軽い運動をおこなってから練習を始めてください。 野球肘治療後のストレッチは専門家に相談する ストレッチは関節の可動域を広げるために重要です。 ただし、野球肘の治療後にストレッチを始める場合は、医師の指示に従っておこなうようにしましょう。 また、リハビリにストレッチのメニューが加えられた場合、専門家の指導のもとでおこなうのも大切です。 安易な自己判断で野球肘を悪化させることがないように気を付けてください。 野球肘とは? 野球肘とは、ピッチングなど、ボールを投球する動作が原因で起こる「肘関節の損傷をまとめた呼び方」です。 投球時の痛みや違和感が代表的な症状で、軽傷であれば、安静にすれば痛みは落ち着きます。 ただし、痛みが引いたことで「肘を傷めてはいない」と勘違いし、治療が遅れ、重症化することも。 本人が気をつけるのももちろんですが、周囲が野球肘に関して警戒するのも大切です。 「肘が痛い」と感じた、もしくは選手に言われたら、野球肘を疑い、適切に対応する必要があります。 野球肘が起こる原因 野球肘は、肘に反復して過度な負担がかかることが原因で発症します。 野球のボールを投げる動作は、腕を大きく振りかぶった状態から肘の機能を使って力いっぱい投げおろすため、肘への負担が大きな動作です。 この動作を繰り返すことで肘の靱帯や軟骨に大きな負担がかかってしまいます。 野球肘の種類 野球肘には、3つの種類があります。 肘の内側の橈骨側の靱帯や軟骨を損傷するもの 肘の外側の尺骨の軟骨が損傷するもの 尺骨を損傷するもの 肘の内側には、骨や人体が引き離される方向に負荷がかかります。この力は関節を傷めやすく、橈骨側での野球肘を誘発します。 肘の外側と後ろ側では、骨がぶつかる方向で負荷がかかります。そのため、骨自体に損傷が起こりやすい傾向です。 野球肘の治療法 野球肘の発症後、その治療は、何よりも安静が第一です。 短くても数週間、長いと数年、野球肘と付き合いが続く可能性があります。 そのためにも、症状や違和感を感じたら、我慢せずに医師に相談しましょう。 軽症のうちから医療機関を受診し、指導を受けて重症化を防ぐことが必要です。 すでに野球肘の症状がある場合 野球肘の症状がある場合は、治療の長期化を防ぐため、早急な対応が必要です。 まずは肘を休ませて、早めに医療機関を受診しましょう。 そして、長く野球を続けるためには、肘に負担が掛かる投げ方をしていないか、指導者を交えての指導が必要です。 肘に負担が掛かるような投げ方、フォームを改善する必要があります。 治療については、スポーツ外来などがある医療機関を受診し、治療はもちろん、リハビリを含め、以後の取り組みについて指導を受けるようにしましょう。 エコー検査やレントゲンなど検査を受け状態を確認し、早期に治療を開始することが大切です。 合わせて取り組みたい野球肘の予防方法 ストレッチ以外の方法でも、以下の方法で野球肘を予防できます。 投球回数を減らす ウォームアップを入念におこなう フォームを改善する チーム方針や投球スタイルとの兼ね合いもありますが、野球肘の予防を図るうえでは効果的です。 また、これらの方法は野球以外の競技に取り組む選手にも有用です。 それぞれ解説するので参考にしてください。 投球回数を減らす 投球回数を減らすことで、野球肘の発症リスクが下がります。 過度な投球練習や登板をなるべく避けましょう。 ただし、チーム方針の関係上、長いイニングを投げる必要に迫られるケースも。 その場合、十分なアイシングの実施と休養が重要です。 テニスや水泳など、やり投げなどのスポーツでも、練習頻度や負荷を減らすことで予防につながります。 ウォームアップを入念におこなう 投球前のウォームアップをより入念におこなうのも重要です。 例えば、普段のメニューに加えて、「腕を上げた状態でのキャッチボール」を追加するとよいでしょう。 腕を伸ばして投球すると、腕から肩の筋肉が刺激されます。 刺激が入ると、より高い柔軟性が発揮されます。 野球肘の予防では、体を柔らかくした上で投球するのが大切。 ストレッチとウォームアップで、十分な柔軟性を保ちましょう。 フォームを改善する 投球スタイルや球速、コントロールとの兼ね合いもありますが、フォーム改善で野球肘を予防できます。 以下のポイントを意識しましょう。 ストライドを縮める リリースポイントを一定にする 投球時に肘が開かないようにする ポイントをおさえると、肘に負担がかかりにくいです。 一方で、フォームを変えると球速やコントロールに影響が出るかもしれません。 その場合は指導者と、どのようなフォームを定めるか相談しましょう。 まとめ・野球肘をストレッチで予防して選手生命を伸ばす 野球の投球は全身で行うことが理想で、手だけの力で投げ続けると、野球肘発症の引き金となってしまいます。 練習前に時間をかけてストレッチを行うことで、野球肘の予防だけでなく、練習後の疲労も軽減できるでしょう。 野球肘の原因は肘の使い過ぎです。 最初から強く投げたり、いきなり投球するのではなく準備が必要です。 プレーや練習前、練習後には入念なストレッチを行うことが必要です。 練習計画に前後のストレッチを取り入れて野球肘を予防しましょう。 それでも肘の違和感がある、痛みがあるというような場合は重症化を防ぐためにも肘を安静にし、早めに医療機関を受診しましょう。 せっかくの才能ですから伸ばすためには身体の手入れが一番の練習だとご理解ください。
2022.03.01 -
- 関節リウマチ
- お皿付近に違和感
- 内科疾患
関節リウマチの治療|生物学的製剤は有効だけど副作用に気をつけて 関節リウマチで悩まれている人はいませんか?この関節リウマチの治療方法で使われる薬物療法も日々進歩を重ね、現在では「生物学的薬剤」による治療が行われるようになってきました。 そこで、今回は関節リウマチに悩んでいる人が知りたい以下の疑問点について解説してまいります 生物学的薬剤は効果があるのか? 生物学的薬剤はどの程度、効果を期待できるのか 生物学的薬剤に副作用の心配はないのか 関節リウマチの治療で使われる生物学的薬剤とは 生物学的薬剤とは、科学的に合成されたものではなく、バイオテクノロジー技術を駆使して生体がつくる物質を薬剤として使用するものです。2003年から日本でも使われるようになりました。 これは、それまで使用されていた抗リウマチ薬で効果がなかった人にも効果があるなど、今では関節リウマチの薬物療法の切り札的存在になっていいる薬剤です。 今や多くの種類の生物学的薬剤が使われるようになってきました。使用に際しては患者さんの状態、「基礎疾患があるか」「高齢であるか」を踏まえて医師が適切なものを使い分けることで、より高い効果が期待できるようになっています。 医師が状態を鑑みて判断 基礎疾患があるか 高齢であるか 効果|炎症を抑える 生物学的薬剤は、関節リウマチによる炎症を抑える効果を期待できるものです。関節リウマチは免疫の異常によって起こり、症状としては体内の細胞や組織を攻撃して炎症を起こし、腫れや痛みを生じさせるものです。 その際に、身体にはサイトカインという物質が多く分泌されていて、このサイトカインが炎症を広げていくことで更に炎症が悪化していくことになります。 これに対して生物学的薬剤は、このサイトカインの働きを抑える効果が期待でき、炎症を抑制し、関節リウマチの症状が悪化することを抑える効果があります。 効果|関節が破壊されるのを抑制 生物学的薬剤の大きな特徴は、関節リウマチによって関節が破壊されていくのを抑制する効果が優れている点です。関節リウマチは、免疫の異常によって起こり、炎症が生じると関節の内側を覆う滑膜が腫れあがり、関節や骨を破壊します。 生物学的薬剤は、この破壊を抑制する効果が期待できるのです。また、破壊を抑制するだけでなく、破壊された関節や骨を修復する効果も期待できることも分かってきています。 ただし、破壊された関節や骨が完全に修復されるというわけではなく、既に完全に破壊されてしまった関節や骨には効果が期待できません。つまり、生物学的薬剤による治療は、できるだけ早めに開始するのがおすすめです。 生物学的薬剤の効果 炎症を抑える 関節の破壊を防ぐ 崩壊した関節を修復(早期治療が条件) 関節リウマチ治療の生物学的製剤に副作用はあるか 生物学的製剤を使ったリウマチ治療はとても有効です。しかし、治療を受けてみようと思っている人なかには、副作用が心配だという人も少なくないでしょう。そこで、リウマチ治療に使用される生物学的製剤にはどのような副作用があるのかについて解説します。 また、副作用に対して自分で予防できることについても紹介します。 副作用|感染症に注意 生物学的製剤を使った関節リウマチの治療による副作用で注意したいのは「感染症」です。リウマチは免疫の異常によって、体内の組織や細胞を攻撃してしまうのが原因と考えられています。 そのため、免疫の働きを抑える効果がある生物学的製剤を使用するわけですが、免疫の働きを抑えると、体内に侵入したウイルスや細菌などを攻撃して身体を守るという免疫本来の働きも抑制されてしまいます。 その結果、肺炎や結核などの感染症にかかりやすくなります。そのため、仮に感染症になった場合は、治りにくくなってしまいかねません。こうした感染のリスクを抑えるために医療機関は、生物学的製剤の治療前に採血を行い感染症の原因となるウイルスや細菌の有無をチェックします。 これら感染症に対して自分ができる予防法としては、手洗いや、うがいを小まめに行ったり、マスクを付ける等があります。また、咳や熱が出たという場合は、症状が軽くてもできるだけ早めに医師に伝えることが大切です。 副作用|アレルギー 生物学的製剤を使ったリウマチ治療では副作用としてアレルギーが出る可能性もあります。例えば、生物学的製剤のなかの1つであるレミケードにはマウスのタンパクが含まれているので、それが体質に合わずにアレルギー反応が出ることがあります。 また、他の種類のエンブレルは人のタンパクなので、大きなアレルギー反応が出ることは、ほぼありませんが、それでも体質が合わずに「アレルギー反応」が出る可能性があります。 副作用|注射時 関節リウマチ治療での主な副作用は感染症とアレルギーですが、注射時に副作用が出ることもあります。関節リウマチ治療の生物学的製剤の投与方法には点滴注射や皮下注射がありますが、点滴注射では頭痛や発疹、皮下注射では注射箇所に赤みや腫れなどの症状が出ることがあります。 しかし、こうした症状が出た場合でも多くは一時的で、すぐに治まります。そのな場合、心配や不安があれば、すぐ医師に相談しましょう。 まとめ・関節リウマチの治療|生物学的製剤は有効だけど副作用に気をつけて 以上、関節リウマチの治療方法として生物学的薬剤に期待できる効果と副作用について紹介しました。生物学的薬剤は、従来使われていた抗リウマチ薬よりも高い効果を期待することができます。 しかし、治療を受けるのが遅れると期待するほど回復しないなど、思うような効果が得られないこともあるので我慢せずに早めに医療機関を受診するようにしましょう 関節リウマチ治療に使用される生物学的製剤の副作用について、副作用は必ず出るものではありません。医師も事前の検査で患者に合った生物学的製剤を使用するなど副作用のリスクを極力抑えた状態で治療を行います。 ただ患者自身も、どのような副作用があるかを把握しておくことは大切です。心配な症状が出たら、すぐに医師に相談できるからです。少しでもリスクを減らすために、医師に自分の状態をしっかりと伝える、そして予防できることはしっかりとおこなうことも大切です。 そして、関節リウマチは、早期治療が非常に大切です。身体や関節に異変、違和感を感じたら放置しないで早めに医療機関を受診することをおススメいたします。
2022.02.25 -
- インピンジメント症候群
- 肩関節
「野球肩と呼ばれる症状の疑いがある」 「肩の動きが制限されているけれど手術が必要なのかが不安」など考えていませんか。 実は野球肩と呼ばれる症状は正式には「インピンジメント症候群」を発症している可能性があります。 肩を動かすと痛みや引っ掛かりを感じる方は、スポーツだけでなく、安静にしておくのがおすすめです。 本記事ではインピンジメント症候群の原因や症状、診断方法などを解説します。 おすすめの治療法も解説しているので、ぜひ最後までご覧ください。 インピンジメント症候群とは インピンジメント症候群とは、肩のこすれや挟まりによって発症する疾患の1つです。 肩関節の周りを取り囲み、肩を支えている腱板がうまく動かせなくなる症状の総称です。 インピンジメント症候群と深く関わっているのがスポーツです。 とくに多いのが野球で、ピッチングなどで肩を酷使すると投球障害が起こりやすくなります。 その他、肩をよく使うテニスでも発症しやすいため、スポーツ障害の1つと言えます。 つまり、インピンジメント症候群は、繰り返し肩関節を刺激すると肩に痛みが起こる疾患なのです。 野球ならボールを投げる時、テニスならサーブやスマッシュを打つ時によく発症します。 インピンジメント症候群が発症する原因 インピンジメント症候群は、一般的にスポーツ障害ですが、あながちスポーツだけが原因ではありません。 日常生活でもインピンジメント症候群になりやすい動作について説明します。 肩の使い過ぎ インピンジメント症候群は、スポーツで肩を使う動作に近い行動でも発症します。 たとえば肩を使う仕事が多い方があげられます。 荷物を高い所に上げたり高い場所から下ろしたりする動作がある方は要注意です。 荷物を高い所に上げる時は腕が肩より上になり、肩に負担が掛かかります。 高い所の物を下ろす時も同様、肩に負担が掛かり、一連の動作が多いとスポーツ選手と同様の状態になるのです。 仕事や普段の生活で頻繁に腕を上げ下げする動作があれば、インピンジメント症候群になる可能性があるため注意が必要です。 なお、以下のようなスポーツを日頃から楽しんでいる方は、インピンジメント症候群が発症しやすいスポーツなため、あわせて注意してください。 野球 テニス バドミントン ゴルフ バレーボール 肩に負担がかかるスポーツや仕事をしている方は、症状にあわせて受診するのをおすすめします。 加齢も原因の1つ インピンジメント症候群は、加齢にも関係があります。 加齢によって、肩の高くなっている部分である「肩峰」(けんぽう)の下に「骨棘」(こつきょく:尖った突起物)ができます。 加齢とともに大きくなり、腕の上げ下げで骨同士が衝突(インピンジメント)するようになるのです。 肩そのものの動きがスムーズではなくなり、肩の骨の出っ張りが摩擦・衝突しやすくなる結果、インピンジメント症候群が発症します。 「インピンジメント症候群かも」と少しでも気になる症状がある方は、お気軽にお問い合わせください。 インピンジメント症候群の症状 インピンジメント症候群が発症すると、肩の上げ下げで引っ掛かりを感じるようになります。 症状が悪化すると、肩の上げ下げだけでなく以下のような症状が発症します。 肩のこわばりがある 腕の上げ下げで痛みを感じる 腕の可動域が狭くなる 夜間痛がある インピンジメント症候群になると、肩を上げ切った際に痛みを感じるのではなく、60〜120°の角度で痛みを感じる傾向にあるので、一度試してみましょう。 腕の外側で痛みを感じる方もいるため、腕を後ろに回す動作が伴う野球や、同様の動きをする仕事をしている方は注意してください。 肩の痛みが伴う症状が気になる方は、以下の記事もぜひ参考にしてください。 インピンジメント症候群の診断方法 インピンジメント症候群かどうか診断するには、主に肩を動かす身体診察を実施します。 肩甲骨を押し下げ、もう片方の手で外転させる方法で、90°を過ぎたタイミングで痛みを感じたらインピンジメント症候群である可能性が高いでしょう。 また、局所麻酔やステロイド注射をし、痛みが改善されればインピンジメント症候群が発症していると診断する方法も実施しています。 来院前にインピンジメント症候群か判断したい方は、エプロンの紐を結ぶ動作で痛みを感じないかチェックしてみてください。 肩の後ろを洗う動作でも痛みを感じる方は、インピンジメント症候群が発症している可能性が高いため、早めの受診をおすすめします。 なお、MRI検査を実施すれば「腱板断裂」を含め、診断可能です。 肩の検査でMRI検査を実施しておきたい理由は、以下の記事で詳しく解説しています。 インピンジメント症候群の治療法 インピンジメント症候群で痛みを発症した場合は、痛みを感じる動きを行わないことが大切です。 その上で痛みには、保存療法や手術療法で治療します。 ここからはインピンジメント症候群について詳しく解説していきます。 保存療法 インピンジメント症候群の治療は、まず飲み薬(消炎鎮痛薬)の使用やステロイド注射による保存療法を行います。 多くの症例で保存療法による治療で症状が軽くなりますが、2〜4週間程度は安静にしておくのがおすすめです。 とくに野球の投球やテニスのサーブなど、肩を駆使する動きをすると、痛みが再発する可能性を高めてしまいます。 安静にせず過度な動作をしてしまうと、症状を悪化させるだけでなく、手術が必要になるケースもあるので注意しましょう。 1日でも早く症状を回復したいと考える方は、以下の記事で解説しているストレッチを実施してみてください。 手術療法 インピンジメント症候群の保存療法でも改善がみられない場合、肩関節鏡による肩峰下除圧術が行われます。 肩峰下除圧術では、こすれの原因カ所を特定し、靭帯の切離や骨の切除をします。 手術の大半で適用される手術で、腱板断裂も同時に治療する場合は腱板修復手術も併用できる治療法です。 「できれば手術はしたくない」と考える方は、以下の動画でおすすめの治療法についても紹介しています。 本記事で解説したインピンジメント症候群の原因も含めて紹介しているので、動画で振り返りたい方におすすめです。 まとめ・インピンジメント症候群とは、その原因、症状と治療法 インピンジメント症候群は、肩を酷使するスポーツ障害ですが、その他にも日常生活の動作や、仕事上での動き、また加齢でも発症します。 とくに肩を使った運動をしていなくても、仕事や日常生活の中で腕を振ったり上げたりする動作が多い方は、インピンジメント症候群になる可能性があります。 年を取ると症状が出やすく、肩の痛みや違和感、肩の動きに異変を感じたら早めに対策するようにしましょう。 スポーツの前後にストレッチを取り入れ、肩の手入れを行い、症状の発生を予防する意識も不可欠です。 インピンジメント症候群の症状かどうか、少しでも不安を感じる方は、メール相談やオンラインカウンセリングを、ぜひご利用ください。
2022.02.25 -
- 変形性膝関節症
- 膝の内側の痛み
- ひざ関節
変形性膝関節症の手術|検討する前に知っておきたい手術のメリットとデメリット 変形性膝関節症は、関節軟骨の摩耗を起因に膝に慢性炎症を引き起こし、その結果つらい痛みが起こる病気です。膝が炎症を起こす仕組みは、膝の関節軟骨や半月板が加齢や怪我から摩耗し、軟骨のかけらが関節を覆っている滑膜という組織を刺激するためです。 変形性膝関節症は進行性の病気です。発症した初期には膝関節の違和感や軽い痛みだったものが次第に痛みが増強したり、膝が変形したりします。変形性膝関節症の治療では、少しでも進行を遅らせるように、膝に負担がかからないように過ごし、リハビリテーションなどで膝周囲の筋肉を鍛えることが大切です。 膝に負担の無い生活スタイルを見直し、リハビリをはじめ、運動療法に取り組んでも改善がみられない場合には、手術を勧められます。 手術と聞くと不安を抱かれる方も多いはずです。そこで、この記事では、変形性膝関節症の手術を検討する前に知っておきたい手術のメリットとデメリットについて、ポイントを絞り解説します。 変形性膝関節症の手術の種類 変形性膝関節症の手術には、関節鏡視下手術・高位脛骨骨切り術・人工関節置換術といった3種類があります。どの手術を実施するかは、変形の進行度や痛みの程度、年齢を考慮し選択することになります。 変形性膝関節症で行われる手術の種類 関節鏡視下手術 高位脛骨骨切り術 人工関節置換術 ※手術の選択:変形の進行、痛みの程度、年齢で判断される 手術で痛みが消えるのか? この問いに対しては、「膝の手術を受けると、痛みは軽くなったり、なくなったりする可能性が高い」といえます。特に人工関節置換術を受けると、ほとんどの場合に痛みは改善し、膝を痛める以前のような歩行ができます。 ただし、どのような手術でも少なからず体の負担になること、術後はある程度の期間の入院が必要で、リハビリに励む必要があること、人工関節置換術の実施後は正座ができなくなる可能性が高いことなど日常生活に少なからず影響がでることを念頭に置かねばなりません。 変形性膝関節症の手術 変形性膝関節症の手術後は、痛みが無くなることが多いのですが油断はできません。膝を気にせず、関節に負担がかかるような姿勢や動作をしていては、痛みの再発だけでなく、再手術の可能性が高まるからです。膝の3つの手術について以下、簡単にご説明します。 1.関節鏡視下手術 変形性膝関節症で比較的初期に適応される手術は「関節鏡視下手術」です。 関節鏡視下手術では、炎症を引き起こす原因の軟骨のかけらを取り除く。 傷んだ半月板の形を整える。 しかし、脚の変形や軟骨のすり減りが悪化することで、痛みが出現すれば再手術になる可能性がある。 2.高位脛骨骨切り術 高位脛骨骨切り術は脚の変形を矯正し、関節にかかる偏った負担をなくす手術。 変形が進行しきっていないことが条件で、人工関節置換術を受ける方より年齢が若い60歳未満の方に適応されることが多い。 高位脛骨骨切り術により。O脚やX脚などの脚の変形を矯正しても、軟骨のすり減りや、痛みが再発する可能性がある。 将来定期には再手術を必要とする場合があります。 3.人工関節置換術 人工関節置換術は変形性が進行した末期、または60歳以上の方に適応されます。 年齢が重要視される理由は、人工関節の耐久性(20年前後)を考慮して、再手術をしなくても良いように考えられているため。 人工関節置換術をすると、軟骨がすり減る心配をしなくて済むほか、痛みを気にせずに過ごせる可能性が高くなる。 しかし、膝に負担がかかるような過ごし方を続けると、人工関節に破損や緩みが出てきて耐久年数に関わらず再手術の可能性が高まります。 変形性膝関節症の手術をしても、膝の状態が悪くなれば再び手術が必要です。 とくに高位脛骨骨切り術後に再手術が必要な場合、膝の変形は進行し、ある程度加齢していることが予想されるため、人工関節置換術が選択されるケースが多くなります。ただし、人工関節置換術を受けると、膝を完全に曲げることができなくなります。痛みの改善は期待できる分、少なからず可動域が狭まることで日常動作に制限がかかり、日常生活に少なからず不自由さがでます。 膝の手術について最低限知っておきたいメリットとデメリットを以下にまとめました。 手術のメリット 起床時に膝のこわばりがなくなる 痛みなく階段を上り下りできる 膝を気にすることなくスッと歩き出せる 膝を気にすることなく好きなところに出掛けられる 手術のデメリット 手術そのもので合併症の危険性 膝の曲げ伸ばしに違和感 重い荷物は避ける 正座ができない かがめない、かがみにくくなる 生活習慣の変化を受け入れる スポーツに支障(膝に負担を掛けない前提で判断) 手術後、最終術を防ぐために! 変形性膝関節症の手術をうける上で大切なことは、再手術を防ぐことです。膝の状態の悪化を防ぐには、生活に中で膝への負担をかけないように過ごし、運動療法により膝を安定させることです。そのためには、継続したリハビリ、運動療法が大切になります。 手術後に気をつけること 上記のデメリットに気を付ける 正座や深くしゃがむ動作を避ける 膝に負担のかかるような激しい動作はしない 手術前と同じようにリハビリ、運動療法は継続する 定期的に医療機関を受診し、常に膝の状態を確認する まとめ・変形性膝関節症の手術|検討する前に知っておきたい手術のメリットとデメリット 変形性膝関節症は、膝に痛みや変形を及ぼす病気で、進行すると痛みから普通の生活を送れなくなります。 治療の基本はリハビリとしての保存療法となりますが効果がみられなければ手術という選択肢になります。当然、手術はメスを入れることになり、体の負担になるだけでなく「術後に痛みが消えなければどうすべきか」と、不安を感じる方もいるはずですが「手術を受けるれば痛みは改善する可能性は高い」と思われます。 ただし、痛みの改善はあくまで膝関節に焦点を当てた話になります。手術をしても、膝周囲の皮膚の癒着、関節の拘縮、筋力低下、術操作による神経の損傷など、さまざまな理由で痛みが残存することもあります。そのため、術後に取り組むリハビリテーションは非常に重要です。それでも膝の状態によっては、どの手術を選択しても将来、再手術のリスクがあります。 例えば人工関節は耐久年数があり、個人差はありますが概ね15年前後と言われています。その時点で高齢な場合、再び体に負担がかかり、リハビリをはじめ精神的に前向きに取り組めるか心配にもなります。そうならないためにも術後に膝の痛みが取れても、無理は禁物。過度な膝への負担を避け、リハビリテーションをはじめとして適度な運動を継続することが再手術を防ぐポイントになります。 手術で痛みは消える可能性は高いと考えられます。ただし、リハビリや適切な運動を継続し、膝の健康を保つことが大切です! 以上、変形性膝関節症の手術を決断する前に知っておきたい手術のメリットとデメリットについて解説させて頂きました。 参考にしていただければ幸いです。 ▼ 再生医療の幹細胞治療なら変形性膝関節症を手術を避けて治療が可能です 変形性膝関節症の新たな選択肢、再生医療の幹細胞治療で症状を改善するには! ▼以下も参考にされませんか 変形性膝関節症の手術で高齢者が受けるリスク
2022.02.24 -
- 糖尿病
- 内科疾患
妊娠中には、いろいろと気を付けなければならないことがあります。妊娠糖尿病もその1つです。 もしも、妊娠中に母親が糖尿病になったら、生まれてくる子ども(胎児)や母体にどういった影響があるのか不安になるかと思います。 この記事では、妊娠中に診断される妊娠糖尿病の胎児への影響と、その治療法・予防法について詳しく解説します。また、妊娠糖尿病が母体に与える影響や産後の注意点についても触れていきます。 妊娠糖尿病の胎児への影響 妊娠糖尿病は胎児にさまざまな悪影響を及ぼす危険性が指摘されています。 また妊娠中だけでなく、出産後の子どもに合併症が出てしまう可能性があります。 本項目では妊娠、出産など各時期に起こる可能性のある危険性を紹介します。 さまざまな合併症を引き起こす可能性が高まる 妊娠中に高血糖状態が続くとお腹のなかの胎児も高血糖になり、以下のような合併症を引き起こすことがあります。 子宮内胎児死亡 新生児低血糖 巨大児 低出生体重児 多血症 特発性呼吸促拍症候群 頭蓋内出血 鎖骨骨折 頭血腫 上腕神経麻痺など これらの合併症を予防するためには、妊娠中の血糖値を適切にコントロールすることが重要です。 妊娠中期以降には子宮内胎児死亡の可能性が増加 妊娠糖尿病を患った場合、妊娠32週ごろから突然子宮内胎児死亡を起こすことがあります。36週以降はその頻度が上昇するため、適宜検査を行い、問題がある場合入院処置が必要です。 難産になる可能性が上がる 妊娠糖尿病は難産のリスクも上がることが分かっています。 巨大児や奇形児といった合併症を引き起こした場合、出産時に頭が出た後肩がひっかかってしまい、うまく産道を通れない「肩甲難産」を起こすリスクが高くなります。 また、妊娠糖尿病による母体の高血圧、臓器障害などから、帝王切開分娩の発生率も上がってしまいます。 出産後の子どもへの影響 妊娠糖尿病中は血糖値が高い状態が続き、体内をめぐるブドウ糖の量が増えてしまいます。その結果胎児にもブドウ糖がめぐり、血糖値が上がります。 早い段階で治療に臨めば影響も少なく済みますが、妊娠糖尿病のまま放置してしまうと胎児も高血糖がつづいてしまいます。 血糖値が高いまま生まれた子どもは将来的にメタボリックシンドロームになりやすいという報告も上がっています。生活習慣病、動脈硬化などが発症しやすくなってしまう危険性があるため注意が必要です。 妊娠糖尿病とは? 妊娠糖尿病とは、妊娠中にはじめて発見または発症した糖代謝異常のことを指します。 「明らかに糖尿病である」と妊娠中に診断された場合は厳密には妊娠糖尿病とは呼ばず、「妊娠中の明らかな糖尿病」として区別されます。また、妊娠前に発症している糖尿病は「糖尿病合併妊娠」と呼ばれます。 妊娠糖尿病の原因 妊娠すると胎盤から分泌されるホルモンの影響でインスリン抵抗性が強くなってしまいます。インスリンは血糖値を正常にコントロールする働きを担っているため、インスリン抵抗性が上がり働きが弱くなると、血糖値が上がりやすくなります。 妊娠糖尿病を発症すると、母体だけでなくお腹のなかの胎児も高血糖になるため、さまざまな合併症を発症する危険性が高まってしまいます。 妊娠糖尿病の診断方法と診断基準 妊娠糖尿病は、スクリーニング検査と75gブドウ糖負荷試験の2段階の検査で判断します。 スクリーニング検査 妊娠糖尿病のスクリーニング検査はすべての妊婦を対象に妊娠初期と中期に行う検査で、妊娠糖尿病の可能性がある人を抽出する目的で行われます。 妊娠初期の随時血糖値の基準は検査施設によって95mg/dlまたは100mg/dlと異なります。また、妊娠中期の随時血糖値の基準は100mg/dl、50gブドウ糖負荷試験の基準は140mg/dlとなります。 妊娠糖尿病スクリーニング検査で陽性と判断された方は次で説明する75gブドウ糖負荷試験に進みます。 日本産科婦人科学会が推奨している妊娠糖尿病スクリーニング検査 妊娠初期:随時血糖値 妊娠中期:随時血糖値あるいは50gブドウ糖負荷試験 75gブドウ糖負荷試験 妊娠糖尿病スクリーニング検査で陽性が出た場合、75gブドウ糖負荷試験を行います。75gブドウ糖負荷試験では、以下の基準を1つでも満たした場合に妊娠糖尿病と診断されます。 試験基準 空腹時血糖値 ≧92mg/dl 1時間後の血糖値≧180mg/dl 2時間後の血糖値 ≧153mg/dl 妊娠糖尿病の治療 妊娠糖尿病と診断されたら、「血糖値コントロール」に取り組まねばなりません。ただし、妊娠中は運動療法を行うことが難しいため、主として「食事療法」と「薬物療法」を行うことになります。 食事療法で注意すべき点 妊娠糖尿病の治療は食事療法で血糖コントロールを行うことが基本になります。 妊娠中は食後高血糖を起こしやすい傾向がありますが、一方で長時間の空腹状態ではインスリン不足により体内でケトン体が作られ、糖尿病ケトアシドーシスを引き起こすリスクが高まります。特に妊娠中は体調の変化が激しいため、規則正しい食事が大切です。 薬物療法で注意すべき点 食事療法を行っても血糖値のコントロールがうまくいかない場合は薬物療法を行います。 妊娠中の薬物療法では経口血糖降下薬ではなく、インスリン治療を行うことになります。 通常のインスリン療法では血糖値コントロールがうまくいかないという場合はインスリンの基礎量や追加量を補充する方法を取ることがあります。これを強化インスリン療法(インスリンの頻回注射療法やインスリン持続皮下注入療法のこと)といいます。 妊娠糖尿病を早期発見・予防するには 妊娠糖尿病を予防できれば、母体や胎児への影響を減らすことにつながります。 そのためには、まず妊娠糖尿病にかかりやすい人の体質や、悪影響を与える生活習慣を理解しておくことが重要です。 以下で妊娠糖尿病の早期発見、予防に必要な項目を詳しく解説します。 妊娠糖尿病にかかりやすい人の特徴を理解する 以下の体質を持つ人は妊娠糖尿病にかかりやすいと言われています。 肥満 家族に糖尿病の人がいる 35歳以上の妊娠 尿糖の陽性が続く 羊水過多 原因不明の流産、早産、死産の経験がある人 妊娠高血圧症候群の人、もしくは既往歴がある人 もしいずれかの項目に該当しているようであれば注意が必要です。妊娠糖尿病を予防するためには、下の項目を参考に生活習慣の見直しを行う必要があります。 生活習慣の見直し 妊娠中はインスリンの分泌量が増えるため、空腹状態をなるべく作らないことが大切です。空腹を感じた場合は、野菜や豆類、鶏のささみなど良質のたんぱく質を摂るようにしましょう。 また、食事は食べる順番も大切です。野菜から食べ始め、汁物、メイン、炭水化物という順番で食べることで血糖値の急激な上昇を防ぐことができます。 妊娠糖尿病は通常の糖尿病と同様に、生活習慣だけでなく遺伝的要素も関係するといわれています。そのため上記で紹介したような方法を取り入れたにも関わらず妊娠糖尿病を発症したという場合も、あまりストレスに感じる必要はありません。 食事以外には適度な運動も大切です。血流を改善するウォーキングやヨガ、エアロビクスなどの有酸素運動が適切です。しかし、過度な運動はむしろ逆効果になる可能性もあるため、医師の許可を得て行いましょう。 定期健診の受診 妊娠糖尿病は早期発見が大事な病気です。胎児に影響が及ばないよう定期的に妊婦検診を行いましょう。 定期健診を行うことは、正しい生活習慣の維持にも有効です。 出産後、妊娠糖尿病の影響 出産後は急速にインスリン必要量が減少します。そのため、薬物療法を行っている人はインスリンの量を血糖値に合わせて調整する必要があります。 また、妊娠糖尿病患者の方は、正常な妊婦と比べて将来糖尿病を発症する頻度は41~62%だといわれています。(文献1) 産後6~12週間後にブドウ糖負荷試験を受け、妊娠糖尿病が治っているか確認し、その後も定期的に検査を受けることが重要になります。 産後に正常値に戻った人でも、最低でも3年間は産後のフォローアップが必要です。 授乳中の食事は妊娠前の摂取エネルギーから約450kcal程度増やすことを目安にしましょう。これは授乳のための付加エネルギーですので、授乳が終われば元の摂取エネルギーに戻す必要があります。 また、妊娠糖尿病を発症した人がそのままメタボリックシンドロームを起こす例もあります。上記で紹介した治療や予防を行いながら、産後も注意していく必要があります。 まとめ|妊娠糖尿病が胎児や母体に与える影響について解説|治療・予防法も紹介 妊娠前や妊娠中に糖尿病と診断されたときの対処法と母体や胎児への影響について説明しました。 妊娠糖尿病は、妊娠中に発症する糖代謝異常であり、母体や胎児にさまざまな影響を及ぼします。発症すると母体だけでなく、胎児にも影響をおよぼします。また、妊娠中は運動療法が困難なうえ、使用できる薬が限定されるため、治療は慎重に行う必要があります。 妊娠糖尿病は、妊娠中だけでなく出産時、出産後にもさまざまなリスクを引き起こす可能性が高い病気です。 予防のためにも妊娠中の食事や体調管理は特に気を使い、正しい生活習慣を心がけましょう。また、定期的な検査や医師との相談が大切です。 妊娠糖尿病と診断されたら、まずは食事療法や薬物療法を行いましょう。特に妊娠中は運動療法が難しいため、食事やインスリン治療が主な方法となります。 また、糖尿病患者が妊娠を望む場合は血糖コントロールに努め、医師と相談しながら計画的に妊娠することも重要です。妊娠糖尿病にかかりやすい人の特徴についてもまとめていますので、妊娠前に確認することをおすすめします。 妊娠糖尿病患者は産後の糖尿病発症率が高いため、産後も定期的に検査を受けましょう。 当院「リペアセルクリニック」では糖尿病に対する治療として、再生医療を行っております。 幹細胞による再生医療は、血糖値や肝機能値の改善にアプローチします。 再生医療について詳しく知りたい方は、当院「リペアセルクリニック」へお気軽にご相談ください。 参考文献 (文献1) 平松 祐司. 「妊娠糖尿病」 岡山医学会雑誌, 2011年, 123(3), pp. 243-245. https://www.jstage.jst.go.jp/article/joma/119/1/119_1_79/_pdf (最終アクセス:2025年3月25日)
2022.02.22 -
- 変形性膝関節症
- 膝の内側の痛み
- ひざ関節
変形性膝関節症を悪化させないための日常の工夫と、運動のすすめ! 変形性膝関節症は、加齢・外傷・肥満・遺伝・日常における膝の負担になるような生活様式など、さまざまな要素が関与して発症する病気です。 変形性膝関節症になると、膝の関節に痛みや変形が出現するほか、膝を動かすと「関節から音(関節軋轢)」が鳴ったり、可動域制限がかかったりします。また、炎症が起きると「膝に水がたまる関節水腫」がみられます。 そんな変形性膝関節症の治療は、なずは運動療法によって膝の周りの筋力をあげて関節を安定させることが大切です。しかし、膝に痛みがあると、満足に運動に取り組めなくなるため、日頃から膝に負担がかからないような生活も大切になります。 この記事では、「変形性膝関節症を悪化させないための日常の工夫」を細かく解説します。膝の痛みでお困りの方はぜひご覧ください。 膝に負担がかからない生活を心がける 日常から膝に負担がかかる生活は、関節軟骨のすり減りや軟骨下骨の新陳代謝に異常を及ぼします。さらに、すり減った軟骨のかけらが滑膜を刺激し痛みを感じるようになります。膝に痛みがあると、これまで通りの生活にも支障をきたすため、できる限り膝に優しい生活をしましょう。 膝に負担が掛かると 膝関節内の軟骨がすり減る 軟骨の下、軟骨下骨の新陳代謝に異常が起こる すり減った軟骨のかけらが滑膜を刺激し痛む これらを避けるため、膝に負担を掛けない優しい生活とは。どのようなモノなのでしょうか?以下ご説明してまいります。 和式から、洋式へ!生活スタイルを変える 膝の痛みは生活スタイルを変えるだけでも緩和します。 地べたで過ごす和式から、椅子で過ごす洋式へ変えるのがおすすめです。 洋式での生活は、正座や低い位置からの立ち上がりを必要とせず、膝の負担を軽減・痛みの緩和が期待できます。 膝に負担のかかる運動は避ける 体を動かすことは、膝の筋肉強化や健康増進が期待できるものの、膝に負担となる運動は禁物です。 たとえば、テニス・卓球・ゴルフ・社交ダンスなど、急な方向転換・発進や停止・繰り返される膝の屈伸運動やジャンプを必要とする運動は要注意です。 減量(ダイエット)する 肥満であることは膝に大きな影響を与えます。 立つ・歩く・座るなど、いかなる動作においても膝へ負担がかかっています。 二足歩行をする人間は、体重の半分を片脚で支えているだけでなく、歩くと体重の3倍は負担がかかると言われています。つまり、体重が重たいと、膝にかかる負担も大きく、軟骨のすり減りを進行させてしまうため、肥満傾向の方は減量に取り組みましょう。 背筋を伸ばす!綺麗な姿勢に改善する 姿勢が悪ければ膝への負担になります。 理想的な立ち方は、目線は正面を向き、肩を開き、骨盤を軽く前傾させることです。 鏡などで確認した際に、足の外くるぶしから耳までが一直線になっていれば綺麗な姿勢を取れています。 また、綺麗な立ち方をしても、歩き出した途端に姿勢が崩れるようではいけません。 歩行中に意識するのはもちろん、定期的に自分の姿勢を鏡で確認すると良いでしょう。 杖を使う 杖を使って、膝への負担を減らします。 杖は痛みがある方と反対側の手で持ち、痛みがない脚と杖に重心を乗せることで、痛みのある膝に体重がかからないようにします。 膝の痛みから、外出の機会が減っていたり、歩行に気乗りがしなかったりするときには、杖がおすすめです。 中には、杖を使うのに抵抗がある方もいらっしゃいます。しかし、杖を使用すると、姿勢を伸ばすだけでなく、膝への負担を減らせるので、ずいぶんと楽に歩けるはずです。最近では、デザインが施されていたり伸縮機能があったりと、いろんな杖がありますので、自分に合った杖を選びましょう。 足に合った靴を履く 足に合っている靴を履いて、膝を安定させます。 靴はヒールやサンダルではなく、スニーカーがおすすめです。 靴選びで失敗してしまうと、膝の安定性を高めるための歩行がかえって負担になるのです。 さらに、外反母趾・膝痛・腰痛・股関節痛などのように、痛みが全身に広がる可能性まであります。 靴選びのポイント 足のサイズに見合ったもの クッション性が高いもの 足首までしっかり覆われているもの 靴紐やテープで足首をしっかり固定できるもの 手すりを使う 玄関・お風呂・階段などに手すりをつけ膝への負担を軽減します。 階段を昇るときには、手すりを支えにして痛くない方の脚から出し、降りるときも同様に手すりを支えにしますが、痛みがある方の脚から下ろすのがポイントです。 また、運動で階段を昇り降りされる方がいらっしゃいますが、階段昇降時には体重の6〜7倍もの負荷がかかります。負荷が大きいほど、トレーニングの効果は期待できますが、余計に傷める可能性もあり注意が必要です。 特に変形性膝関節症の方は、膝に負担がかかりやすい足運びをされているケースがあるため、まずは水中歩行・地上でのウォーキング・室内でできるトレーニングをおすすめします。 継続して運動に取り組むこと 膝への負担を下げるには、関節を安定させている筋肉を鍛えることが大切です。太もも前面にある大腿四頭筋をはじめ、太もも後面にあるハムストリングスなど、バランスよくトレーニングします。 水中運動 浮力がある水中では、膝への負担を減らしながら運動ができます。 水中での歩行をはじめ、クロールで使うバタ足も膝のトレーニングには有効です。 泳ぎが得意ではない場合、プールサイドに腰をかけたり、つかまったりしながら脚をバタバタと動かすだけでも効果的です。 地上でのウォーキング 屋外での歩行で足腰を鍛えます。 ウォーキングは、筋力トレーニングと比べて充分な運動に感じないかも知れません。 しかし、ウォーキングを1年半継続すると、生活への支障や痛みに対して、トレーニングと同程度改善することがわかっています。 ただし、ただ歩くだけではなく、靴選びにこだわり、歩行中は姿勢を意識し、必要であれば杖を使用して安定した歩行をしましょう。 ビタミンD 変形性膝関節症を進行させるリスクに、ビタミンD不足があります。 ビタミンDは、日光を浴びると体内で活性化される栄養素のため、屋外での運動は膝周囲の筋力を鍛え、変形を進行させるリスクも抑えます。 自宅でできるトレーニング 雨の日や外に出るのが億劫な場合、自宅でできる運動を紹介します。 大腿四頭筋トレーニング 椅子に腰をかけて、片側の脚を伸ばしきります 座面と水平になるように脚を持ち上げて、10秒間キープします ゆっくり脚を下ろし3秒間休憩します (1〜3を20回繰り返して、脚を入れ替えます。) 大腿四頭筋・ハムストリングスのトレーニング 椅子の背を両手で持ち、脚は肩幅に広げます つま先と膝の向きはまっすぐ向くようにします 膝を前に出さず、お尻を後ろに突き出すように上体を落とします (1〜3を1セット5〜10回、1日3セットします。) 痛みがあるときには無理をしない 膝に痛みがあるときは、無理をせずに休息します。痛みに対しての対処法ですが、熱感や腫れがある場合には、冷やして炎症を抑え、慢性的な痛みには温めて血の流れを促します。痛みが強い場合には、病院を受診し、痛み止めの薬を処方してもらいましょう。 痛みの緩和は薬だけでなく、鍼灸治療やマッサージでも効果的だとわかっています。薬をできる限り飲みたくない場合や、薬でも効果が見られないときには、鍼灸やマッサージといった手段も覚えておきましょう。 膝の痛みの緩和にグルコサミンやコンドロイチンを服用する方がいらっしゃいます。両者は膝に軟骨に含まれる成分で、痛みの緩和を期待され服薬しますが、信頼度の高い研究は行われていないのが現状です。服用を検討している方は、かかりつけ医に相談することをおすすめします。 まとめ・変形性膝関節症を悪化させないための日常の工夫と運動のすすめ! 変形性膝関節症はさまざまな原因が組み重なって発症・進行してく病気です。膝の状態を悪化させないためには、膝に負担がかからないように生活をして、継続して運動に取り組みます。 日頃から膝に負担をかけていると、軟骨が摩耗するだけでなく、変形を進行させてしまいます。地べたではなく椅子に座るなど、できることから取り組みましょう。 運動療法に取り組む際は、くれぐれも無理は禁物です。痛みを我慢したまま続けてしまうと余計に悪化するため、膝の痛みがあるときは、炎症を起こしているのか、慢性的な痛みなのか判断し適切な対処が必要です。しかし自分では膝がどのような状態なのかわからない場合があります。そのような時は自己判断をせず病院を受診し、適切な処置を受けることが変形性膝関節症の悪化を防ぐことと覚えておきましょう。 以上、変形性膝関節症を悪化させないために日常生活においてできる工夫について記しました。 参考にしていただければ嬉しく思います。 ▼ 再生医療の幹細胞治療で変形性膝関節症を治療する 手術不要、入院不要の変形性膝関節症の新たな治療法。再生医療の幹細胞治療で症状を改善できます ▼以下も参考になれば幸いです 膝の病気!鵞足炎と変形性膝関節症についてと、その違いを解説!
2022.02.22 -
- 糖尿病
- 内科疾患
「糖尿病の発症率が高い都道府県はどこ?」 「自分の住んでいる地域のリスクを知りたい…」 このような疑問をお持ちではないでしょうか? 糖尿病は生活習慣によって発症リスクが変わる病気です。そのため、地域ごとに患者数や割合に差があり、特定の都道府県では発症率が高い傾向にあります。 本記事では、最新の糖尿病患者数が多い都道府県ランキングを紹介します。地域ごとの特徴や予防策についても解説するので、糖尿病対策を考えている方はぜひ参考にしてみてください。 【最新版】糖尿病の都道府県ランキング 糖尿病の都道府県別ワースト・トップランキングを見ていきましょう。 以下は、厚生労働省が報告している都道府県ごとの糖尿病による死亡率のワースト・トップランキングです。 ワースト(死亡率が高い都道府県の順位)※数値は死亡率 トップ(死亡率が低い都道府県の順位)※数値は死亡率 1位 青森県:20.2% 神奈川県:7.8% 2位 徳島県:17.9% 愛知県:7.9% 3位 香川県:17.8% 東京都:8.8% 参考:厚生労働省|平成30年人口動態統計「主な死因の死亡数・死亡率(人口10万対)都道府県別」 糖尿病の死亡率が高いワースト1位の都道府県は、青森県でした。次いで、徳島県、香川県と続きます。 一方、死亡率が低いトップ1位の都道府県は、神奈川県、愛知県、東京都となっています。 以下で、ワースト1位の青森県と、トップ1位の神奈川県について詳しく見ていきましょう。 ワースト1位は青森県|考えられる原因は? 青森県では、冬の厳しい寒さに備えるために、塩分を多く含む食事が長年親しまれてきました。 たとえば、保存食として塩漬けの魚や漬物を食べる文化が根付いています。これにより、食塩の摂取量が増え、糖尿病のリスクが高まります。 また、冬季は積雪が多く、外での運動が難しいのが現状です。運動不足は血糖値を下げる働きが低下し、糖尿病の発症や悪化の原因となります。 青森県では糖尿病の予防と管理のために、公式ホームページで糖尿病の基礎知識やリスクについての情報を発信しています。さらに「青森県糖尿病性腎症重症化予防プログラム」を策定し、糖尿病による腎症の重症化を防ぐための取り組みを強化しました。このプログラムは令和4年3月24日に改定され、より効果的な対策が進められています。 トップ1位は神奈川県|独自の取り組みは? 神奈川県がトップである背景には、県民の健康意識の高さと、行政の積極的な取り組みが関係していると考えられます。 神奈川県では、喫煙率が全国平均よりも低く、日々の運動量も多い傾向があります。(文献1) たとえば、歩数の平均値は全国平均を上回っており、女性は全国でもっとも歩いていることが分かっています。(文献1) こうした生活習慣が、糖尿病の発症リスク軽減につながっているのでしょう。 神奈川県は「かながわ糖尿病未病改善プログラム」を打ち立て、市町村や医療機関と連携し糖尿病が重症化する前の予防に力を入れています。 11月14日の世界糖尿病デーには、シンボルマークであるブルーサークルにちなみ県内5カ所の建物をブルーライトで照らし、糖尿病予防の重要性を広く伝えています。 こうした多角的な取り組みが、神奈川県民の糖尿病発症率を抑制しているのでしょう。 都道府県によって糖尿病の死亡率に差がある理由 糖尿病の死亡率は、都道府県ごとに大きな差があります。その理由には、食生活や生活習慣の違いが関係しています。 塩分や糖分の多い食生活 運動不足になりやすい環境 飲酒量 喫煙率 それぞれの要因が糖尿病のリスクにどのように影響するのかを見ていきましょう。 塩分や糖分の多い食生活 塩分や糖分の摂り過ぎは高血圧および糖尿病のリスクを高めます。 糖尿病死亡率ワースト1位の青森県は、野菜の摂取量は多いものの、塩分摂取量が男女ともに全国平均を上回っています。 これは、青森県の伝統的な食文化である塩分の多い保存食や、濃い味付けの料理が影響していると考えられるでしょう。 運動不足になりやすい環境 運動不足も糖尿病のリスク要因です。運動しないと、血糖値をコントロールしにくくなるためです。 地方は車社会であり、日常的に体を動かす機会が少ない傾向にあります。糖尿病の死亡率ワースト1~3位である青森県・徳島県・香川県は、いずれも地方に該当します。また、雪国である青森県は、冬期間は屋外での運動が難しく、室内で過ごす時間が増えるでしょう。 これらの環境要因が、地域住民の運動不足を招き、糖尿病のリスクを高めていると考えられます。 飲酒量 アルコールの過剰摂取は、肝臓や膵臓に負担をかけ、糖尿病発症のリスクがあると知られています。 お酒には糖分が含まれている種類も多いため、過度な飲酒は血糖値の上昇につながります。 糖尿病死亡率ワースト1位の青森県は、成人1人当たりの酒類販売(消費)数が全国2位と、飲酒量が多い県です。(文献2)飲酒が習慣化している地域では、糖尿病の発症率も高くなる傾向にあります。 喫煙率 喫煙は、血管を収縮させて血圧を上昇させるため、糖尿病のリスクを高めます。また、血管を傷つけることでインスリンの働きが弱まり、発症率が高まるリスクもあります。 糖尿病死亡率ワースト1位の青森県は、喫煙率が全国で10位以内です。運動不足や食生活の問題に加え、喫煙による健康への悪影響が懸念されます。 日本における糖尿病患者数の推移 厚生労働省によると2023年10月時点の日本の糖尿病患者数は218万人を超えていることが報告されています。(文献3) また、以下のグラフから、糖尿病は高齢になるにつれて発症しやすい病気だとわかります。 出典:厚生労働省|国民健康・栄養調査「糖尿病が強く疑われる者の割合」 日本透析学会によると1983年に5万3,017人だった透析患者数が2023年には34万3,508人にまで増加しており、原因疾患の約4割が糖尿病性腎症であることがわかっています。(文献4) 糖尿病の患者数を増やさないための動き 厚生労働省は、糖尿病をはじめとする生活習慣病を防ぐために、健康づくりを進める取り組みをおこなっています。 具体的には、基本方針を決めて、以下9分野で70項目の具体的な目標設定を定めています。(文献5) 栄養・食生 身体活動、運動 休養、こころの健康づくり たばこ アルコール 歯の健康 糖尿病 循環器病(脳卒中を含む) がん 糖尿病を増やさないための取り組みは「栄養・食生活」分野では「野菜の1日当たり平均摂取量350g以上」、「身体活動・運動」分野では「日常生活における歩数(男性)9,200歩以上」などです。 なお、糖尿病の治療においては再生医療も選択肢として挙げられます。体内の幹細胞を点滴投与して、すい臓・血管の機能再生を促し糖尿病治療を進めます。 再生医療について詳しく知りたいという方は、メール相談、オンラインカウンセリング も承っておりますので、ぜひご活用ください。 まとめ|最新の糖尿病における都道府県ランキングをチェックして健康の意識を高めよう 都道府県ごとの糖尿病における死亡率や糖尿病患者数の推移を見てきました。 地域によって、食生活や運動習慣に差があり、それによって糖尿病の患者数も変わる傾向があります。 糖尿病は早い段階で発見し、治療に取り組めば健康な人と変わらない生活を送れる病気です。 糖尿病の患者数の多い地域に住んでいたとしても、早い段階で食習慣を改善し、積極的に検診を受ける意識を持てば、糖尿病の予防や進行の抑制につながります。 健康意識を高めて、糖尿病の対策を進めていきましょう。 当院リペアセルクリニックでは、糖尿病の症状や治療法についてのご相談を受け付けております。メール相談やオンラインカウンセリングより気軽にお問い合わせください。 参考文献 (文献1) 厚生労働省「平成28年国民健康・栄養調査」 https://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-10904750-Kenkoukyoku-Gantaisakukenkouzoushinka/kekkagaiyou_7.pdf (最終アクセス:2025年2月21日) (文献2) 国税庁「令和3年度成人1人当たりの酒類販売(消費)数量表(都道府県別)」 https://www.nta.go.jp/taxes/sake/shiori-gaikyo/shiori/2023/pdf/0035.pdf (最終アクセス:2025年2月21日) (文献3) 厚生労働省「推計患者数」 https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kanja/23/dl/suikeikanjya.pdf (最終アクセス:2025年2月21日) (文献4) 日本透析医学会雑誌「わが国の慢性透析療法の現況」 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsdt/57/12/57_543/_article/-char/ja (最終アクセス:2025年2月21日) (文献5) 厚生労働省「健康増進法の概要」 https://www.mhlw.go.jp/shingi/2004/12/dl/s1202-4g.pdf (最終アクセス:2025年2月21日)
2022.02.21 -
- ひざ関節
- 肘関節
- 健康・美容
コラーゲンにはどのような効果があるのか、どのように摂取すれば良いのか知りたい方はいませんか。 コラーゲンは美容的に注目されていますが、実は身体にとっても非常に重要な栄養素です。 この記事では、コラーゲンの効果や効率的に摂る方法についてご紹介します。コラーゲンについての知識を深めることで、身体の健康のために習慣的に摂り入れるきっかけになるでしょう。 そもそもコラーゲンとは? コラーゲンと聞くと、肌に良いイメージを持たれる方もいるのではないでしょうか。しかし、コラーゲンの働きは皮膚だけではありません。 コラーゲンとは、人間の体内に存在するタンパク質の1種です。タンパク質は人間の筋肉や臓器など、身体のさまざまな場所に分布しています。 また、タンパク質は炭水化物と脂質に並ぶ三大栄養素のため、人間の身体にとって必要なエネルギー源でもあるのです。コラーゲンは体内のタンパク質の約30%を占めており、以下のような組織に多く含まれています。 皮膚 骨 血管 そして線維性コラーゲンや基底膜コラーゲンなど、組織の部位ごとに分類されており、現在わかっているものだけで29種類あります。ここでは、コラーゲンの役割や種類について詳しくみていきましょう。 コラーゲンの役割 皮膚の約70%はコラーゲンで構成されているといわれており、肌に弾力やハリを維持する働きがあります。 そしてコラーゲンは皮膚だけではなく、以下のような組織にも含まれており、それぞれの強度や柔軟性を保つ機能もあるとされています。 骨 関節 腱 靭帯 例として、骨にコラーゲンが含まれることでクッションのような役割が生まれ、強い衝撃から守る働きがあるのです。 関節に含まれているコラーゲンには、骨同士の摩擦による擦り減りを防ぐ役割を担っています。このように、コラーゲンは肌だけでなく骨や関節に密接に関わっています。 コラーゲンの種類 コラーゲンには多くの種類があり、おもに「Ⅰ〜Ⅴ型」の5つのタイプに分類できます。それぞれのタイプの特徴について、以下の表にまとめました。 タイプ 線維性・非線維性 役割 含まれている場所 Ⅰ型 線維性コラーゲン 骨や皮膚を作る 組織の弾力を生み出す 皮膚、骨、腱、靭帯など (体内に最も多く含まれている) Ⅱ型 関節や軟骨の成分となる 関節、軟骨、目の角膜など Ⅲ型 肌のダメージ回復 組織の柔軟性を生み出す 皮膚、血管、内臓など Ⅳ型 非線維性コラーゲン 細胞同士をつなぐ 細胞の成長を促進させる 基底膜(表皮と真皮の間にある組織) Ⅴ型 線維性コラーゲン Ⅰ型・Ⅲ型に含まれている 血管、筋肉、胎盤など このように、コラーゲンの種類によって分布場所や役割が異なることがわかるでしょう。 コラーゲンは加齢により減少する コラーゲンは健康の維持に欠かせないものですが、年齢とともに減少傾向にあります。加齢にともなって細胞の数が減ったり、衰えたりするとコラーゲンが合成しにくくなるからです。 また、紫外線による影響でも皮膚のコラーゲンが減少することがわかっており、シワやたるみなどの原因となっています。肌の健康のためにも、日光を長時間浴びるのはできるだけ避けましょう。 コラーゲンの主な効果 コラーゲンは、口から摂取する場合の科学的な有効性はなく、効果が期待できないとされています。 ただし、「まったく効果がない」とはいい切れず、明確な結論が出ていないのが現状です。 ここでは、コラーゲンのおもな効果について解説します。 *参考資料:サプリメントの効果について|公益法人日本整形外科学会 肌に潤いやハリ・弾力を与える コラーゲンには、肌の潤いやハリ・弾力などをサポートする効果があるとされています。前述したように、身体を構成するタンパク質の約30%はコラーゲンといわれています。 このコラーゲンが表皮と真皮の間にある「基底膜」に存在することで、それぞれの皮膚がつながり合い、肌の状態を良好に保っているのです。シワやたるみを予防し、きめ細かい肌をキープしたい方にとって、コラーゲンの摂取は重要といえるでしょう。 また、コラーゲン以外にも肌の状態を改善する方法として、「再生医療」があります。再生医療とは、自身の再生能力が備わった細胞を使用した治療法で、肌の健康に必要な成分・組織の申請が期待できます。 関節の動きを改善する コラーゲンは肌の健康だけでなく、関節の動きの改善にもつながります。前述したように、コラーゲンは関節にも含まれており、骨同士の衝突や摩擦をやわらげるクッションのような役割を果たしています。 関節内のコラーゲンを保つことで、クッション作用が維持され、動きがスムーズとなるのです。実際に、傷ついた関節の治療時にコラーゲンのサプリメントを摂取したところ、修復が早くなったとの結果も報告されています。 また、「変形性膝関節症」の症状の改善にも効果があることもわかっています。変形性膝関節症とは、膝関節の軟骨がすり減り、痛みが出ている状態のことです。変形性膝関節症に対しては、コラーゲンだけでなく再生医療も有効とされています。再生医療によって膝の軟骨の再生を促すことで、変形性膝関節症による痛みの改善が期待できます。 骨を丈夫にする コラーゲンには骨を丈夫にする効果があるとされています。骨を丈夫にする栄養素として、カルシウムのイメージが強いですが、実はコラーゲンも大きく関わっています。 骨を構成する約30%がコラーゲンでできているといわれており、その線維にカルシウムが付着しているのです。 コラーゲンが関与することで骨の強度が高まるとともに、柔軟性が備わって外部からの衝撃をやわらげています。反対に、コラーゲンが不足するとカルシウムが付着しにくくなり、骨がスカスカになる「骨粗鬆症」の原因となります。 コラーゲンを効果的に摂る方法 コラーゲンを効果的に摂るためには、どのような方法がおすすめなのでしょうか。ここでは、効果的に摂取するための方法を詳しく解説します。 コラーゲンを多く含む食べ物を摂取する まずは、コラーゲンを多く含む食べ物の摂取を心がけましょう。コラーゲンが豊富な食べ物は、以下のとおりです。 食べ物 100gあたりのコラーゲン量(mg) フカヒレ 9,920 はも(皮のみ) 7,660 うなぎの蒲焼き 5,530 牛すじ 4,980 鶏軟骨(胸肉) 4,000 はも(皮付き) 3,560 豚白もつ 3,080 鮭(皮付き) 2,410 鶏手羽先 1,550 これらの食べ物を取り入れることで、効率的にコラーゲンの摂取が可能です。 サプリメントを摂取する コラーゲンを多く含む食べ物の摂取が難しい場合は、サプリメントの活用がおすすめです。サプリメントであれば気軽にコラーゲンを摂取できるので、無理して食事量を増やす必要はありません。 効率的にコラーゲンを取り入れるためには、「コラーゲンペプチド」の商品を選択しましょう。コラーゲンペプチドとは、コラーゲンを分解してさらに小さい分子にしたもので、体内で吸収しやすくなります。 コラーゲンを効果的に取り入れるコツ コラーゲンを取り入れるためには、どのようなことを意識すれば良いのでしょうか。ここでは、コラーゲンを効果的に取り入れるコツをご紹介します。 ビタミンCと鉄分を多く含む食べ物を一緒に摂る コラーゲンだけでなく、ビタミンCや鉄分を多く含む食べ物と一緒に摂るようにしましょう。これらの栄養素は、コラーゲンの生成をサポートする役割があるとされています。ビタミンCや鉄分が多く含まれている食べ物は、以下のとおりです。 ぜひ、これらの食べ物を意識的に摂り入れてみてください。 寝る前に摂取することを習慣化する なるべく、寝る前のコラーゲンの摂取を習慣化しましょう。皮膚や筋肉などの組織が作られる時間帯は、睡眠中とされています。 そのため、寝る前にコラーゲンを摂取しておけば組織が効率的に生成され、肌の健康につながりやすくなります。 睡眠を十分にとる 寝る前にコラーゲンを摂取するだけでなく、睡眠時間の十分な確保も重要です。睡眠中に成長ホルモンが分泌されることで、皮膚や筋肉などが生成されます。 しかし、睡眠不足になって成長ホルモンの分泌量が少なくなると、その分生成が遅れてしまいます。十分な睡眠時間を確保し、コラーゲンの効果を高めていきましょう。 まとめ|コラーゲンをうまく取り入れて効果を実感しよう! コラーゲンはタンパク質の1種であり、肌や骨などのさまざまな組織に分布しています。コラーゲンには肌のハリや弾力を改善したり、骨を丈夫にしたりする効果があるとされています。そのため、身体の健康にとっては欠かせない成分といえるでしょう。 コラーゲンの効果を高めるためには、特定の食べ物やサプリメントを摂取することが重要です。また、ビタミンCや鉄分と一緒に摂取する、睡眠時間を確保するなどの工夫もおすすめです。 ぜひ今回の記事を参考にして、コラーゲンを意識的に摂り入れてみましょう。 コラーゲンの効果に関連するよくある質問 Q. 低分子コラーゲン(コラーゲンペプチド)とはなんですか? A. 低分子コラーゲンとは、コラーゲンタンパク質の分子を小さくしたものです。低分子コラーゲンは「コラーゲンペプチド」とも呼ばれ、粒子が細かいために吸収されやすいメリットがあります。 コラーゲンペプチドはサプリメントとして錠剤やパウダー、ドリンクに配合されており、種類もさまざまです。 Q. コラーゲンの摂取によりアレルギー反応を起こす可能性はありますか? A. サプリメントの原料になっている以下のような動物が原因で、アレルギー反応を起こす可能性があります。 牛 豚 鶏 魚 例として、鶏や卵にアレルギーがある方は、鶏が原料になっているコラーゲンは避けたほうが良いでしょう。 コラーゲンによるアレルギー反応でアナフィラキシーを起こした事例も報告されているため、摂取する際は十分に注意が必要です。
2022.02.16 -
- ひざ関節
- 膝の内側の痛み
- 膝の慢性障害
鵞足炎(がそくえん)とは「鵞足(がそく)」と呼ばれる膝関節の内側より下方に位置する脛骨付近で起こる炎症です。 鵞足炎は、ランニングや坂道の上り下りなどで膝を酷使すると発症しやすくなります。 ある日突然、膝の内側が痛み出した場合、鵞足炎の可能性も視野に入れていきましょう。 本記事では、鵞足炎の症状や原因を詳しく解説します。治療法も紹介しているので、鵞足炎の疑いがある方は参考にしてみてください。 鵞足炎とはどんな病気? 鵞足炎(がそくえん)とは、膝の内側下部に位置する「鵞足」に炎症が起こる疾患です。 鵞足は「縫工筋」「半腱様筋」「薄筋」という三種類の筋肉に付着している腱が脛骨にくっついている場所を指しています。 鵞足炎を発症していると膝の屈曲や股関節を内転する動きで膝に痛みを覚えます。 膝を酷使するスポーツ選手が発症しやすいといわれており、膝への大きな負荷だけでなく打撲などの外傷を原因として発症する可能性もあります。 鵞足炎の主な原因や症状 鵞足炎になってしまう主な原因や症状を解説します。 鵞足炎の原因 鵞足炎の症状 鵞足炎は、長時間のランニングや膝に負担がかかることで発症する可能性が高くなります。 初期段階では安静にしていると痛みが落ち着くこともありますが、悪化すると歩行が困難になるほどの痛みを感じるケースも。 以下では、鵞足炎の原因と症状について、それぞれ詳しく解説していきます。 鵞足炎の原因 鵞足炎を引き起こす主な原因を以下にまとめました。 長距離を走ったりダッシュしたりする 不適切なトレーニングをする 運動前にストレッチを怠る 急な坂道を急激に長時間走る 肥満体形で膝に負担がかかっている このように鵞足炎という病気は、スポーツにかかわる障害として代表的な疾患のひとつです。 以下の記事では、膝の痛みを伴う外傷を一覧で紹介しています。鵞足炎以外の可能性を感じている方は、参考にしてみてください。 鵞足炎の症状 鵞足炎を発症すると、初期では膝関節の内側部より5㎝ほど下方の部位が痛くなり、その部位を押すとさらに強い痛みをともないます。また、運動時や階段昇降時に疼痛症状が悪化しやすく、さらに病状が進行すると安静時にも同部位が疼くように痛みを感じる場合もあります。 鵞足炎と似ている症状に「変形性膝関節症」という外傷があります。以下の記事では、鵞足炎と変形性膝関節症の違いを詳しく解説しているので、ほかの外傷の可能性を視野に入れている方は、参考にしてみてください。 鵞足炎の主な治療法3つ 鵞足炎に有効な3つの治療法を紹介します。 理学療法 ステロイドによる注射治療 テーピング・サポーター 1つずつ順番に見ていきましょう。 理学療法 鵞足炎の治療で多いのは理学療法です。 理学療法ではストレッチによるケアを重点的におこなう場合があります。なぜなら、鵞足炎は太ももの筋肉が硬くなると膝の症状が悪化しやすく、ストレッチで筋肉部の緊張を和らげるのが有効だからです。 注意点としては、炎症が強くて痛み症状が顕著な時期にストレッチ運動を過剰に実践してしまうと、逆に膝の痛みが悪化する原因になりかねないとの指摘もあります。 したがって、症状がひどい際には軽めのストレッチに留めておき、十分な安静を保持して、患部のアイシングや消炎鎮痛剤の服薬などの対処策を検討していきます。 ステロイドによる注射治療 鵞足炎の治療では、滑液包の内部に少量ステロイド薬を直接的に注射する方法もあります。 ステロイドによる注射治療は、すぐに症状が軽快するケースが多く認められます。しかし、数か月経過すると膝の痛みが再燃する可能性もあります。 テーピング・サポーター テーピングやサポーターには、動きを制限させる働きがあります。安静が必要な時期に活用すれば、膝周りの動きを制限して炎症の沈静化を早められるでしょう。 テーピング・サポーターの利用は早期回復を促進する上で、有効なアイテムといえます。 スポーツや仕事をしているときに膝の内側に痛みを感じたら、弊社『リペアセルクリニックのドクター』にご相談ください。スポーツ外傷や加齢による腱や靭帯の損傷・炎症の治療に詳しいドクターが、患者さまに合った治療法を一緒に考えていきます。 鵞足炎を早く治す方法として先端医療の再生医療を検討しよう 鵞足炎による膝下の痛みを早く治したい方は、再生医療による治療も選択肢の一つです。 再生医療とは、患者さま自身の細胞を活用して損傷した鵞足の再生・修復を図る医療技術のことです。 患者さま自身の細胞のみを使用することで、拒絶反応やアレルギーなどの副作用リスクが少ない治療法として近年注目されています。 また、手術や入院不要で治療できるため、手術を避けたい方や早く日常生活に復帰したい方にも推奨されます。 当院リペアセルクリニックの公式LINEでは、鵞足炎に対する再生医療の治療法や症例を配信しているので、ぜひご参考ください。 鵞足炎に関するよくある質問 鵞足炎に関するよくある質問と回答をまとめて紹介します。 鵞足炎はどのくらいで治りますか? 鵞足炎が治るまでにかかる期間は、2週間前後といわれています。鵞足炎は、炎症反応が沈静化し、痛みが取れたら回復です。 鵞足炎を早く治す方法はありますか? 鵞足炎を早く治すためには、運動を控えて安静に過ごすのがもっとも効果的です。 炎症を起こしている状態で無理に動けば、患部に負担がかかり回復を遅らせます。 ストレッチは鵞足炎の予防や改善に効果がありますか? ストレッチは鵞足炎に有効です。 先述のとおり、鵞足炎は太ももの筋肉が硬くなると症状が悪化しやすくなります。そのため、太ももの筋肉をほぐすストレッチが 予防と改善に効果的です。 太もものストレッチには「長座体前屈」がおすすめです。 太ももの裏側が伸び、筋肉の緊張がほぐれます。 鵞足炎になってもスポーツはできる? 鵞足炎を発症している最中は、運動を控えて安静に過ごしましょう。炎症が悪化して、痛みや腫れといった症状が強く現れる可能性があります。 炎症が沈静化して、症状が落ち着いたらスポーツを再開して問題ありません。ただし、急に動くと膝に負担がかかり再発リスクを伴うので、様子を見ながら少しずつ運動量を調整していきましょう。 鵞足炎の原因となる膝への負担を避けて日頃からケアすることが重要 鵞足炎は、マラソンや坂道の上り下りといった膝を酷使する運動で発症しやすい疾患です。 身体を動かしていて膝の内側が痛み出したら、鵞足炎の可能性を視野に入れ早めに医療機関を受診しましょう。 鵞足炎は再発しやすい疾患ともいわれているため、担当医師や理学療法士の指導や助言のもと、焦らず治療を進めていく姿勢が大切です。 「膝の内側が痛み出したけど、どの医療機関を受診すればいいのかわからない…」という方は当院『リペアセルクリニック』にご相談ください。 スポーツ外傷に詳しいドクターが、患者さまの状態や症状に合った治療法を一緒に考えていきます。
2022.02.16 -
- ひざ関節
- 半月板損傷
「半月板損傷でやってはいけないことは?」 半月板損傷と診断された方は、早く治すためにも以下のような動作には注意する必要があります。 今までは半月板損傷が悪化すると手術が一般的でしたが、近年の治療では半月板損傷を手術せずに治療できる再生医療が注目されています。 当院リペアセルクリニックの公式LINEをご登録いただいた方限定で「再生医療の基礎がわかるガイドブック」を無料で配布中です。 「半月板損傷を早く治したい」「手術したくない」という方は、ぜひご参考ください。 \公式LINEでは再生医療に関する情報や症例を公開中!/ ▼半月板損傷を手術せずに治療できる再生医療について以下からご覧ください 半月板損傷でやってはいけないこと【7選】 半月板損傷でやってはいけないこととして、主に以下の7つがあげられます。 急な動き出しや方向転換をする 階段の昇り降りをする 膝を大きく曲げる体勢をとる 長時間の立ちっぱなしや歩行 膝に負担がかかるスポーツや運動 急激な体重増加 膝に負担のかかる靴の着用 以下では、それぞれについて詳しく解説します。 急な動き出しや方向転換をする 急な動き出しや方向転換は膝を捻るような力が加わるため、半月板への負担がかかりやすく、痛みの悪化につながります。 方向転換する際は、焦らずにゆっくりと行うようにしましょう。 また方向転換に関わらず、どのような動作でも性急に行わないように注意することが大切です。 階段の昇り降りをする 階段の昇り降りの動作は膝関節にかかる負担が大きく、頻繁に行うと症状が悪化する恐れがあります。 半月板損傷の方は階段の使用はなるべく控え、エレベーターやエスカレーターなどを活用しましょう。 階段を昇り降りしなければいけない場合は、手すりや杖の使用がおすすめです。 膝を大きく曲げる体勢をとる 正座や和式トイレなどは膝を大きく曲げる必要があり、半月板や関節に負担がかかります。 とくに和室や古い建物で生活している方は、このような膝を大きく曲げるような動作が多い傾向にあります。 膝の負担を軽減するには、イスを中心とした生活に切り替える、洋式トイレに改修するなどの工夫が必要です。 長時間の立ちっぱなしや歩行 長時間の立ちっぱなしや歩行も膝への負担が蓄積することで半月板にダメージが加わるため、できるだけ避けましょう。 膝への負担を軽減するために、以下のような対策がおすすめです。 杖を使用する 途中で休憩する 膝サポーターを装着する 長時間立ったり歩いたりする必要がある場合は、上記のような対策をして膝への負担軽減を図ることが大切です。 膝に負担がかかるスポーツや運動 サッカーやバスケットボールなどの膝への負担が大きいスポーツや、ランニングなどの長時時間走る運動は控えましょう。 半月板損傷になった場合、急な方向転換やジャンプを頻繁に行うスポーツは、完治するまで絶対に避けるべきです。 膝に負担のかからない体勢でできるストレッチや筋トレや、膝への負担が少ない水泳を取り入れて筋力を維持するのがおすすめです。 急激な体重増加 急激な体重増加も膝への負担となり、半月板損傷を悪化させる原因になるため、体重管理を徹底しましょう。 体重が1kg増加すると、歩行時の膝への負担が約3kg増加するといわれているほど、体重増加による膝への負担は大きいです。 膝の痛みで運動量が減ると体重増加につながるため、食生活の改善などから始めてみましょう。 また、ストレッチや短時間のウォーキングなど膝に負担の少ない運動習慣を身につけることも重要です。 膝に負担のかかる靴の着用 半月板損傷の方は、クッション性がない靴やヒールの高い靴など、膝に負担のかかる靴の着用は避けましょう。 また、サイズが合っていない靴も足や膝に負荷がかかり、半月板損傷が悪化する原因になります。 クッション性のあるスニーカーや膝の負担を軽減できるインソールの使用など、膝への負担を軽減する工夫が必要です。 半月板損傷の主な症状と原因とは 半月板とは、太もも側の大腿骨と、すね側の脛骨の間に存在する軟骨でできた板のような組織です。 アルファベットのC型のような特徴的な形状をしており、膝関節の内側と外側に1つずつ存在します。 膝には、以下のような関節を構成する組織があり、半月板は、それらを安定させる役割があります。 軟骨 靭帯 筋肉 腱 それ以外にも半月板は膝関節のクッションとして作用し、膝の荷重や衝撃などを軽減したり、膝の動きを滑らかにしたりする働きもあるのです。 このように、半月板は膝を構成する大切なパーツですが、急激な衝撃や過度な負荷がかかることで損傷する場合があります。 ここでは、半月板損傷の症状や原因について解説します。 半月板損傷の症状 半月板損傷のおもな症状は、以下のとおりです。 膝の痛み 腫れ 引っかかり感 関節がズレる感覚 動作時の関節の音 膝の曲げ伸ばしの困難さ(ロッキング) 人は歩くだけでも体重の5倍もの負担が膝関節にかかるといわれています。そのような負荷や強い衝撃を受け続けると、半月板の損傷につながります。 半月板は一度損傷すると自然治癒することはほとんどないため、治療が必要です。上記の症状が悪化すると、日常生活に支障をきたす恐れもあるでしょう。 また、半月板損傷は症状によって5つのタイプに分けられます。 縦断裂 横断裂 円盤状断裂 フラップ状断裂 水平断裂 詳しく知りたい方は以下の記事で解説していますので、興味がある方はぜひこちらもご覧ください。 \公式LINEでは再生医療に関する情報や症例を公開中!/ 半月板損傷の原因 半月板損傷で痛みが起こる原因は、大きく「筋収縮」と「炎症」の2種類に分類されます。 それぞれの原因によって起こる痛みのメカニズムは、以下のとおりです。 このように、痛みの原因は半月板だけというわけではなく、別の影響も関係しています。 【注意】半月板損傷を放置するリスク 半月板損傷によって半月板としての機能が損なわれている状態を放置すると、膝関節の軟骨に大きな負担がかかります。 結果的に軟骨がすり減り、「変形性膝関節症」を発症する可能性が高くなります。 半月板損傷が重症化したり、変形性膝関節症を発症した場合、人工膝関節置換術(膝関節を人工物に入れ替える手術)を行わなければいけないケースも。 半月板損傷が発症した場合は放置せずに治療を行い、回復に専念することが大切です。 当院リペアセルクリニックの公式LINEでは、半月板損傷を手術せずに治療できる再生医療に関する情報を配信しています。 「手術せずに治療したい」「悪化する前に早く治したい」という方は、再生医療による治療をご検討ください。 ▼半月板損傷を手術せずに治療できる >>【公式LINE限定】再生医療の治療法や症例を今すぐ見てみる 変形性膝関節症と半月板損傷の違いや症状について詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてみてください。 半月板損傷の治療方法 半月板損傷の治療法としては、おもに以下があげられます。 保存療法 手術療法 再生医療 ここでは、それぞれの治療方法について詳しく解説します。 保存療法 保存療法ではリハビリを中心に行い、必要に応じて膝にたまった水を抜く、潤滑性と抗炎症作用が期待できるヒアルロン注射をするなどの対応をします。 痛みや炎症がある場合は鎮痛剤や炎症剤などの薬物を用います。 このような保存療法でも痛みが強く、改善の見込みが薄い場合は、手術療法を検討する必要があるでしょう。 手術療法 手術療法では、膝の状態にあわせて以下の術式が行われます。 ・縫合術:断裂した半月板を縫い合わせる手術 ・切除術:断裂した半月板を取り除く手術法 ただし、これらの手術を行った場合でも、将来的に変形性膝関節症を発症するリスクがあります。そのため、手術後もリハビリや薬物療法などの保存療法は欠かせません。 手術をする場合は入院も必要となり、とくにスポーツをされている方は、復帰までに時間がかかる可能性があります。 半月板損傷の手術のメリット・デメリットについては、以下の記事で詳しく解説しています。手術についてさらに情報を知りたい方は、ぜひこちらも記事もご覧ください。 再生医療 これまで半月板損傷の根本的治療には手術が必要でしたが、「再生医療」という新しい選択肢も生まれています。 再生医療の1つに、自身の脂肪から採取・抽出し培養で増やした「幹細胞」を膝に直接注射する方法があります。幹細胞とは、傷ついた半月板を修復させ、痛みや炎症を抑える効果が期待できる細胞です。 自分自身の脂肪から培養する細胞なので、アレルギーや副作用のリスクが低く、患者さんの身体への負担が少ないのが特徴です。 また、外科的な手術に比べて治癒までの期間が短い傾向にもあります。 入院する必要がなく、手術を受けずに治療できるため、とくにスポーツ選手にとっては大きなメリットといえるでしょう。 身体にメスを入れずに済み、パフォーマンスを極力落とさずに治療を受けられます。 ▼半月板損傷を手術せずに治療できる >>【公式LINE限定】再生医療の治療法や症例を今すぐ見てみる 半月板損傷でやってはいけないことに関するよくある質問 ここでは、半月板損傷に関してよくある質問に対してお答えしています。半月板損傷に関して疑問がある方は、ぜひこちらも参考にしてみてください。 半月板損傷を早く治す方法はありますか? 半月板損傷を早く治す方法としては、手術しないで治療できる再生医療があります。 再生医療は、患者さまの幹細胞を採取・培養して患部に投与することで、損傷した半月板を再生させる医療技術のことです。 入院や手術をせずに治療できるため、身体への負荷が小さく、効率的に治療を進められます。 当院の公式LINEでは、半月板損傷に対する再生医療の治療法や症例を配信しているため、ぜひ参考にしてください。 「半月板損傷を少しでも早く治したい」という方は、ぜひ再生医療がどのような流れで治療を行うか確認してみましょう。 \半夏版損傷を早く治したいなら先端医療である再生医療!/ >>【公式LINE限定】無料の再生医療ガイドブックはこちら 半月板損傷に対して効果的な治療をさらに詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてみてください。 半月板損傷でやってはいけないことを避けて症状改善を目指そう 本記事では、半月板損傷でやってはいけいないことについて解説しました。 半月板損傷は自然治癒が期待できず、放置することで症状が進行し、日常生活に支障をきたす恐れがあります。 そのため、半月板損傷と診断されたら膝への負担を避けて早期からの治療が重要です。 主な治療法には保存療法や手術療法があり、新しい選択肢として再生医療もあります。 半月板損傷を発症したら、まずは医療機関へ受診し、その方の症状にあった治療を受けましょう。 ▼半月板損傷を手術せずに治療できる >>【公式LINE限定】無料の再生医療ガイドブックはこちら
2022.02.15 -
- ひざ関節
- 膝の内側の痛み
- 変形性膝関節症
変形性膝関節症の進行を予防!膝の負担を減らす効果的な運動と注意点 ご存知でしょうか?膝の痛みに悩まれている方は非常に多い事実を!特に中高年以降の女性に頻発する疾患が「変形性膝関節症」です。 変形性膝関節症は、年齢とともに罹患率が高まり、潜在的なものを含めると国内だけで3000万人もの患者がいるとされています。実に日本国民の四分の一もの数になります。 変形性膝関節症になると、膝に痛みを感じるだけでなく、進行し、末期になると手術をせざるを得なくなる場合もあります。 そんな変形性膝関節症が発症する主な原因は、「軟骨のすり減り」です。軟骨がすり減る要因には、「加齢・外傷・肥満・遺伝」などのほか、普段から何げなくしている「膝に負担のかかりやすい姿勢や動作」などもその原因となりえます。 この記事では、膝関節の構造、変形性膝関節症を予防するための方法、気を付けるべきことを紹介してまいります。 膝関節の構造 変形性膝関節症を予防するために、まずは膝関節の構造を理解することが大切です。 膝関節は、太ももの大腿骨・すねの脛骨・膝のお皿の膝蓋骨からなる関節です。それぞれの骨には関節軟骨が覆われているほか、大腿骨と脛骨の隙間には内側・外側に合計2枚の半月板が存在します。 関節軟骨と半月板の両者を合わせて、「膝の軟骨」と言います。膝の軟骨の役割は、滑らかに膝を動かし、立つ・座る・歩くなどの動作で膝にかかる衝撃を分散させて膝を守ることです。 膝関節の主体となる運動は、膝を曲げ伸ばしする屈伸運動です。ほかに、わずかな回旋(まわす)運動がありますが、曲げすぎや伸ばしすぎ、急な回旋運動では軟骨に大きな負担になるのです。 膝に負担がかかる動作の積み重ねが、関節軟骨の弾力性を徐々に失われていき、変形性膝関節症を発症させるきっかけになります。 膝に負荷がかかる姿勢や動作 膝に負担が掛かる動作としては、以下のようなものがります。 正座など深く膝を曲げてしゃがむ 両脚を横に投げ出して座る(横座り) あぐらをかく 歩いたり、走ったりするときの急な方向転換 膝の関節を安定させている組織に、大腿四頭筋・ハムストリングスといった筋肉があります。膝周囲の筋肉が働くことにより、膝の曲げ伸ばしなどの動作を安定して行えます。 これら膝の周囲の筋肉が弱ることでも、膝の安定性は低下し、結果的に軟骨への負担が上がります。つまり、変形性膝関節症を予防するには、膝に負担がかからないよう工夫をし、同時に筋肉を鍛えることが大切なのです。 変形性膝関節症の進行を予防する方法 変形性膝関節症を予防するには、膝関節への負荷を下げて、膝の安定性を高めると良いです。具体的には、日常生活の見直しやダイエット・筋力トレーニングを実施します。それぞれについて解説していきます。 生活習慣の見直し 膝に負担がかからない過ごし方をします。膝の負担を減らすには、椅子とテーブルを用いた洋式の生活スタイルへ変更することがおすすめです。 和式のように地べた生活では、どうしても頻繁に膝が曲げ伸ばしされるほか、膝が深く曲がる正座、あぐらや脚を横に投げ出す座り方といった膝の負担になる動作が多くなります。また、布団で寝ると地面から立ち上がる時に膝への負担になるため、ベッドへの変更も効果的です。 ダイエット 体重が重いほど膝に負担がかかります。普通に歩くだけでも体重の2〜3倍の負荷がかかり、走ると3〜5倍もの負荷がかかることため、体重が重たいほど膝への負担も増します。 肥満傾向の方は、ダイエットに取り組み膝への負担を軽減させましょう。 筋力トレーニングや体操 関節の安定性を向上させ、膝への負担を軽減させます。また、変形性膝関節症につながる半月板損傷といった外傷を防止します。 いざ変形性膝関節症になると、膝の痛みをかばって運動療法ができないケースがあります。そうなると筋力や関節の可動域は低下し、さらに膝への負担があがるため、余計に痛みが悪化します。 痛みがないうちから筋力トレーニングや可動域訓練に取り組み、関節の安定性や柔軟性を高めることが大切です。 変形性膝関節症の予防に効果的な運動 大腿四頭筋を鍛える 椅子に座ります 片側の膝を伸ばします 5〜10秒そのまま保持します 反対側も同様に行います 膝の可動域を保つ お風呂で両脚を伸ばします 片側の太ももを抱えながら、かかとを引き寄せ膝を曲げます かかとを滑らせて、できる限りかかとを伸ばします どちらの体操も、無理なく痛みの出ない範囲で行いましょう。 運動を行う上で気を付けたいこと 筋力トレーニングやダイエットを実施し、膝にかかる負荷を軽減することは予防に効果的ですが、無理に行うことで悪化してしまうこともあります。 無理なく自分のペースで行うことが大切です。以下のことに気を付けながら取り組みましょう。 無理なく継続できる負荷の設定 筋力トレーニングは、月に一回ほどの運動頻度では思ったような効果は期待できません。また、運動に慣れていないのに高い負荷を体に課すと、膝を痛めてしまったり、運動後の疲労が抜けず、休息に時間を取られてしまったりと、筋力はつきにくいでしょう。 予防のために実施する筋力トレーニングで、大切なのは継続です。運動の負荷は、無理なく継続できる程度の負荷に設定しましょう。 トレーニング中は呼吸を止めない 運動時は呼吸を止めて行うと、血圧が上昇し、体への負担になります。呼吸を止めた方が力は入るような感じがしても、くれぐれも呼吸は止めず実施しましょう。 膝の痛みや違和感|医療機関を受診する 変形性膝関節症の初期には、立ち上がりや歩きはじめに膝に痛みや違和感を覚えます。 しかし、しばらくすると痛みはなじんでくることが多いため、痛みが治まったからと言って安心はできません。異変があれば迷わず病院で診てもらいましょう。 まとめ・変形性膝関節症の進行を予防!膝の負担を減らす効果的な運動と注意点 変形性膝関節症になると、これまで当たり前にできていたことができなくなります。変形が進行すると、膝の手術がすすめられますが、体への負担になることから決断することは難しいはずです。 たとえ、手術をせずに運動療法などの保存療法に取り組んだとしても、痛みが悪化すれば満足に運動が継続できず、ますます身体機能が低下します。やがては外出するのも億劫になり、寝たきり生活を余儀なくされる場合があります。 これまで通りの生活を続けるには、変形性膝関節症にならないように予防が重要です。変形性膝関節症を予防するには、膝への負担を避けながら、筋力トレーニングで関節を安定させるように、バランスの取れた予防に取り組みましょう。 また可動域訓練では、関節を柔らかくし、負担が偏らないようにします。今後の人生を考えて、痛みがないうちから行動を起こすことが将来の健康のためには大切です。 以上、変形性膝関節症の予防法・膝の負担を減らすための工夫についてご説明させていただきました。ご参考していただければ幸いです。 ▼ 再生医療の幹細胞治療で変形性膝関節症を治療 変形性膝関節症の新たな選択肢、手術、入院不要な再生医療で症状の改善を目指す ▼以下もご覧ください 変形性膝関節症の人がしてはいけない仕事とその理由
2022.02.15 -
- 糖尿病
- 内科疾患
2024年11月に発表された「国民健康・栄養調査」によれば、糖尿病の疑いが強い人は成人男性の16.8パーセント、女性は8.9パーセントにものぼります。(文献1) 糖尿病は完治しない病気であるといわれていますが、筋トレやウォーキングなどの運動を日常に取り入れることで、薬のみに頼らずとも症状を改善していくことは可能です。 この記事では、筋トレをはじめとする運動療法が糖尿病の改善につながる理由、糖尿病の方におすすめな運動方法を紹介しています。 糖尿病の完治は難しいが筋トレで改善が目指せる まず重要なポイントとして、糖尿病は完治する病気ではありません。 これは、血糖値が上昇しやすい代謝特性や加齢による生理的変化を根本的に変えることができないためです。 しかし、血糖値が上がらないよう生活習慣の見直しを続けることで、薬に頼らずに血糖値を下げ「寛解(一時的に症状が軽減・消失した状態)」を目指すことはできます。 薬に頼らない治療法には、筋トレやウォーキングなどの「運動療法」、食生活を見直す「食事療法」が主に挙げられます。 糖尿病の改善に筋トレが有効な理由 運動療法は、2型糖尿病を患っている人にとって重要な治療のひとつです。 日本糖尿病学会が発表しているガイドラインによると、運動療法を取り入れることで、以下の症状が改善するとされています。(文献2) 血糖コントロールの改善 肥満 内臓脂肪の蓄積 インスリン抵抗性 脂質異常症 高血圧症 慢性炎症 うつ状態 認知機能障害 上記は有酸素運動、筋トレ(無酸素運動)どちらを行っても得られる効果です。どちらか一方を行うより、有酸素運動と筋トレ(無酸素運動)を組み合わせることでさらに効果が上がることが報告されています。 さらに、高齢者の糖尿病患者の人は非糖尿病患者と比べて筋肉量の低下が著しいことが指摘されています。 有酸素運動の実施が困難な高齢者の人にとって筋トレ(無酸素運動)は有効な手段のひとつだといえるでしょう。 糖尿病は筋力の低下を引き起こす 糖尿病の改善に筋トレが有効な理由として、糖尿病を患っている人は非糖尿病患者と比べ筋肉量が減りやすいという点が挙げられます。 糖尿病は血糖値を下げるインスリンというホルモンの働きが弱くなることで発生します。 インスリンは血糖値のコントロールだけでなく、細胞の成長を促す特性も備えています。インスリンの働きが弱くなることによって、細胞の成長も低下し、筋肉にも影響を与えてしまうのです。 さらに、神戸大学の研究では、血糖値の上昇によって発生するKLF15という遺伝子によって筋肉の成長が抑制され、筋肉量の減少を起こしていることが明らかになりました。 健康な人は、KLF15を分解し量を減少させるWWP1というタンパクの一種が発生することで筋肉量の低下を防いでいます。しかし、糖尿病の人は血糖値の上昇によりWWP1が減少してしまうため、筋肉量が落ちてしまうのです。(文献3) 上記の理由からも、能動的に筋トレを行うことが重要であるとわかります。 体重のコントロールの必要性!肥満の悪循環を知る 糖尿病の寛解を目指す臨床試験「DiRECT」がイギリスで行われ、食事療法と運動療法をしっかり行い、体重をコントロールすることで2型糖尿病患者の半数近くは「寛解(症状が軽減・消失した状態)」を維持できることがわかりました。 では、なぜ食事療法と運動療法と体重コントロールだけで、薬物を使わず「寛解」を達成できたのかを解説します。 暴飲暴食や運動不足が続くと、全身に脂肪がたまり、肝臓にも脂肪がたまります。脂肪がたまった肝臓は働きが低下します。肝臓の働きが低下するとインスリンへの体の反応が鈍くなることがわかっています。これを「インスリン抵抗性」といいます。インスリン抵抗性が強まると、体は大量のインスリンを必要とするようになります。 すると、すい臓は「フル稼働」でインスリンをつくろうとするので、次第に疲弊してインスリンの分泌に支障をきたすようになります。インスリンの分泌が減ると、さらに肝臓に脂肪がたまるので、インスリン抵抗性がさらに強まってしまうのです。 この悪循環を断ち切るには、食生活と運動不足を改善し、脂肪がたまらないように肥満を解消する必要があります。 糖尿病の悪循環(断ち切ること) 暴飲暴食、運動不足で全身に脂肪がたまる 肝臓に脂肪がたまり、肝臓の働きが低下 インスリン抵抗性が発生:インスリンへの体の反応が鈍くなる インスリン抵抗性が強まる:大量のインスリンが必要となる すい臓が最大限に働いてインスリンをつくる 疲弊し、インスリンの分泌に支障をきたす インスリンの分泌が減ると、さらに肝臓に脂肪がたまる インスリン抵抗性がさらに強まる>ますます悪化 糖尿病の悪循環を断ち切るには肥満の解消が必要 2型糖尿病の改善には、上記の悪循環を断ち切ることが必要です。悪循環のメカニズムを知れば、「体重コントロール(脂肪を減らす)」によって症状を緩和できることが理解できると思います。 体重コントロールとは、標準体重(身長(m)×身長(m)×22)に近づけることです。 糖尿病の場合、標準体重と比べてやせている人より、太っている人のほうが問題になります。 食事量のコントロールも効果的ですが、脂肪を燃焼させるための筋肉がなければ長期的な改善は難しいといえるでしょう。 糖尿病を改善するおすすめの筋トレ方法を紹介 糖尿病の改善のために推奨されている筋トレ方法について、厚生労働省が推進している「2型糖尿病の人を対象にした運動プログラム」から抜粋して紹介します。 運動療法は主治医と相談の上で行ってください。代謝のコントロール状態や心疾患などの合併症、整形外科的疾患による運動の制限が必要な場合があります。 有酸素運動 有酸素運動はインスリンの働きを強め、糖の流れを改善してくれます。 ウォーキング トレッドミル エアロバイク エアロビクス ヨガ 水中歩行 などが推奨されています。運動の頻度は週に150分以上の中等度~高強度の運動がガイドラインでは推奨されていますが、週30分~100分程度の運動でも血糖改善効果が出ていることがわかっています。(文献2) 無理のない範囲で取り入れてみてください。 有酸素運動に併せて筋トレ(無酸素運動)を行う 有酸素運動と併せて筋トレ(無酸素運動)を行うことで、糖尿病の改善効果をさらに高めることができます。 糖尿病患者の方におすすめしたいのは、大きな筋肉を鍛えるトレーニングです。 大きな筋肉として挙げられるのは「胸」「背中」「下半身」の3カ所です。ダンベルなどの重りを使用し、適切なフォームで行いましょう。 動作中に重りをあげる際は息を吐き、重りを下げる際は息を吸うと筋肉の成長に効果的です。 各部位のトレーニングでは以下の種目がおすすめです。 胸筋 ダンベルフライ:仰向けに寝て、両手のダンベルを胸の上で開閉させる運動 チェストプレス:仰向けで両手のダンベルを胸から上へ押し上げる運動 水中で腕を開閉する運動 背筋 ダンベルローイング:前かがみになり、ダンベルを腰の高さまで引き上げる運動 ラットプルダウン:上部のバーを肩の高さまで引き下げる運動 バックエクステンション:うつ伏せで上半身を持ち上げる運動 下半身 ダンベルスクワット:両手にダンベルを持ち、膝を曲げ伸ばしする運動 レッグプレス:足で重りを押し出す運動 ダンベルを使用する運動と考えるとハードルは高いですが、自重のトレーニングでも十分効果は得られます。 ジムに行くことが困難だったり、ダンベルを持っていないという人は、ダンベルの応用として水を入れたペットボトルを使うこともおすすめです。 医師と相談し、自分に合った筋トレを選ぶ 糖尿病の改善のため運動療法に取り組みたくても、体調面の制約や時間的な余裕がない方もいるでしょう。 ある研究では短い運動時間でも血糖値の抑制は可能であるという報告が上がっています。まずは散歩や軽いストレッチなど、負担の少ない運動から始め、徐々に強度や時間を増やしていきましょう。 いきなりの高負荷な運動はけがのリスクを高めてしまうため注意が必要です。 運動を始める前には必ず主治医に相談し、ご自身の状態に適した運動の種類や強度、頻度について指導を受けることが重要です。 筋トレ以外の治療法 ここまで運動療法を中心に紹介しましたが、運動療法以外にも糖尿病の改善に効果的な治療法として食事療法があります。 また、近年は「再生医療」の注目も高まっています。それぞれの治療法についても理解を深めていきましょう。 糖尿病には筋トレだけでなく食事療法も効果的 糖尿病の改善には体重コントロールが必要ですが、運動療法だけでは十分とは言えません。適切な筋トレや有酸素運動を行っていても、食生活の改善がなければ摂取カロリーが過剰なままとなり、十分な効果が得られないことがあります。運動療法と食事管理を組み合わせることで、より効果的に糖尿病の症状を改善できます。 糖尿病患者の理想の食生活ポイント 糖質やカロリーの低い食事を摂る 1日3食、規則正しい時間に摂る 1日の活動量に合わせた適正なエネルギー量の食事をする 栄養バランスの取れた食事をする 食事量が多い人は、食事量を適正エネルギー量に調整しましょう。 1日の適正エネルギー量は、人によって異なり、「標準体重×身体活動量」で算出できます。 標準体重と身体活動量 標準体重=身長(m)×身長(m)×22 身体活動量 軽い労作(デスクワークが多い)25~30kcal/kg 普通の労作(立ち仕事が多い)30~35kcal/kg 重い労作(力仕事が多い)35~kcal/kg 近年糖尿病の治療として注目されている「再生医療」 再生医療とは、患者様自身の細胞から採取・培養した幹細胞を投与する先進的な医療法です。 糖尿病治療においては、自身の脂肪から培養した幹細胞をすい臓に投与することで、弱っていたすい臓の機能の改善を図ります。 すい臓が回復することによりインスリン分泌の増加、血管内の糖の吸収を促進することが可能になります。 一般的な内服治療やインスリン治療では糖尿病の進行を遅らせる効果はあるものの、根本的な回復を目指す治療ではありませんでした。 再生医療は自分自身が持つ「回復力」にアプローチする治療であるため、薬物療法とは異なった治療法だといえます。 まとめ|糖尿病は筋トレや運動療法、再生医療で改善を目指そう 「糖尿病は、一度発症すると完治しない」と、よく言われています。しかし、筋トレなどの運動療法や食事療法を通じて症状を改善することは可能です。特に2型糖尿病では、肥満や不健康な生活習慣が悪循環を生み出し、症状を悪化させることがあります。 この悪循環を断ち切るためには、食事のタイミングや、量をコントロールして、更に運動を行うことで脂肪を減少させることに取り組むことが重要です。 実行にあたっては医師の指導を受けながら、病状の管理に取り組みましょう。 また、糖尿病に対しては、運動療法の他にも「再生医療」という治療法もあります。 糖尿病に対する再生医療について詳しくは、以下のページをご覧ください。 参考文献 (文献1) 厚生労働省「令和5年 国民健康・栄養調査結果の概要」 2024年 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_45540.html(最終アクセス:2025年3月25日) (文献2) 日本糖尿病学会. 糖尿病診療ガイドライン2024「第4章 運動療法」pp.67-68.日本糖尿病学会, 2024年. https://www.jds.or.jp/uploads/files/publications/gl2024/04_1.pdf(最終アクセス:2025年3月25日) (文献3) Hirata Y, et al. (2019). Hyperglycemia induces skeletal muscle atrophy via a WWP1/KLF15 axis. JCI Insight, 4(4), e124952. https://doi.org/10.1172/jci.insight.124952(最終アクセス:2025年3月25日)
2022.02.11 -
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- 膝の慢性障害
- スポーツ外傷
スポーツや運動をする際に、走ったりジャンプをしたりする動きは膝に大きな負担をかけます。膝への負荷が長く続くと、靭帯や腱の組織が損傷して炎症を起こし、痛みを引き起こす可能性が高まります。 このような膝の痛みは、いわゆるスポーツ障害の一種で「膝の慢性障害」です。運動による膝の使い過ぎが原因となるため、スポーツによる「使い過ぎ症候群」とも呼ばれています。 今回は、膝の使い過ぎによって発症する慢性障害の症状と対処法について詳しく解説します。スポーツによる膝の痛みを抱えている方は、ぜひ参考にしてください。 スポーツによる膝の痛みを引き起こす3つの要因 スポーツによる膝の痛みは、軽度であれば、通常通りトレーニングやプレーできるため、大きな影響はないでしょう。しかし、症状が進行すると常に膝が痛むようになり、プレーに支障をきたすようになります。 さらに重症化してくると、運動が出来なくなったり、靭帯や腱が断裂をしたりするなど、スポーツによる膝の慢性障害につながるため注意が必要です。 スポーツによる膝の痛みは、主に3つの要因があります。 身体要因 環境要因 トレーニング要因 以下で、それぞれ詳しく見ていきましょう。 1.身体要因 スポーツによる膝の痛みを引き起こす要因の一つが、身体要因です。 太ももやふくらはぎなど、膝を支える筋力が不足していると、膝にかかる負担が大きくなり、痛みを引き起こしやすくなります。また、筋肉のバランスが悪い場合や身体の柔軟性が不足している場合にも、膝に不均衡な力がかかったり、動きを制限したりする原因になります。 2.環境要因 スポーツによる膝の痛みは、環境要因によって引き起こされるケースも少なくありません。主な環境要因として考えられるのが、足に合わない靴や地面の硬さなどです。 たとえば、不適切な靴を履いていると足の動きが不自然になり、膝への負担が増加します。また、外でジョギングやランニングをする際、地面が硬すぎると膝への衝撃が大きくなり、柔らかすぎると足が沈んで膝に過度な負担がかかってしまいます。 3.トレーニング要因 トレーニング要因も膝の痛みを引き起こす原因の一つです。運動やトレーニングにおける過度な負荷や不適切な練習方法などによって、膝に痛みが生じるケースです。 たとえば、トレーニング量が多すぎたり、体力や技術に合わない運動をしたりすると、膝にかかる負担が蓄積されやすくなります。適切な休養を設けずに連続して運動すると、膝の筋力の回復を妨げ、慢性障害を引き起こすリスクを高めます。 なお、膝の痛みは、それぞれの要因が複合的に影響して引き起こされるケースがほとんどです。そのため、スポーツや運動をする際は、適切な休養を取りながら、膝に負担がかかりすぎないための配慮が必要です。 スポーツによる膝の痛み|代表的な4つの慢性疾患 前述の要因により引き起こされる、スポーツによる膝の慢性障害の代表的な症状として、以下の4つが挙げられます。 鵞足炎 大腿四頭筋腱付着部炎 膝蓋腱炎 腸脛靭帯炎 それぞれの症状は、ひざ関節の外側や内部で生じるもので、特定の動きにより発症しやすくなります。 1.鵞足炎 鵞足(がそく)とは、ひざを曲げる筋肉や腱が付着する骨の部位のことです。とくに、ランニングや急な方向転換、足を後ろに蹴り出す動作などを繰り返すことで、鷲足がすれて炎症を引き起こします。 主な症状は、内側膝部の痛みや曲げるときの違和感などです。長時間または高頻度で膝に負担をかけるような動作を続けていると、鷲足炎を発症するリスクが高まります。 ▼ 鵞足炎の治療法を詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。 2.大腿四頭筋腱付着部炎 大腿四頭筋腱とは、膝の前面から膝蓋骨(膝の皿)を通って、膝の下部に付着する筋肉の腱です。大腿四頭筋腱付着部炎は、膝関節の外側の炎症によって症状が現れます。膝の前面に痛みを感じるほか、膝を屈伸する際に痛みが強くなる傾向です。 大腿四頭筋腱付着部炎は、バレーボールやバスケットボールなどのジャンプ動作やジョギングなど、膝に衝撃が加わる動作を繰り返すことで発症しやすくなります。 ▼ 大腿四頭筋腱付着部炎の治療法については、以下の記事で詳しく解説しています。 3.膝蓋腱炎 膝蓋腱炎は、膝蓋骨(膝の皿)の下部からすぐ下の靭帯にかけて炎症が生じる疾患です。バレーボールやバスケットボールなど、ジャンプ動作の繰り返しが多いスポーツで発症しやすいとされています。 主な症状は膝蓋骨の下部の痛みで、とくにジャンプをした後やランニング後に痛みが強くなることが特徴です。また、膝を屈伸する動作でも痛みを感じることがあります。 ▼ 膝蓋腱炎について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。 4.腸脛靭帯炎 腸脛靭帯は、膝の外側を通る大きな靭帯で、太ももの筋肉と膝をつなぐ役割を担っています。腸脛靭帯炎は、長距離のランニングや長時間の膝の屈伸運動などによって、腸脛靭帯が外側の骨と擦れ合って炎症を起こし、発症する疾患です。 膝の外側に痛みを感じ、ランニング後や歩行後には痛みが強くなることもあります。また、症状が進行すると歩行に支障をきたす場合があるため注意が必要です。 ▼ 腸脛靭帯炎を早く治す方法を詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。 スポーツによる膝の痛みに対する再生医療の可能性 スポーツによる膝の痛みの治療法は、疾患の種類や程度によって異なります。膝の痛みに対する治療法として、主に以下のような選択肢があります。 手術療法 物理療法 リハビリテーション 再生医療 物理療法で効果が得られない場合に、手術に代わる治療法として注目されているのが再生医療です。再生医療とは、自然治癒力を最大限に引き出すための医療技術です。自己脂肪由来幹細胞の投与によって、膝の痛みに対する治療効果が期待できます。 リペアセルクリニックでは、再生医療による膝の痛みの治療が可能です。メール相談やオンラインカウンセリングも実施しているので、治療法でお悩みの方はぜひ気軽にご連絡ください。 スポーツによる膝の慢性障害への対処法 スポーツによる膝の慢性障害への対処法としては、症状が出るのを予防したり、発症してしまった症状を改善したりすることが重要となります。そして、膝の痛みを予防するためには、自己対処も必要です。 以下で、スポーツによる膝の慢性障害への代表的な対処法をまとめているので、ぜひ参考にしてください。 ストレッチ 体の柔軟性を高めるために、運動開始前には十分なストレッチを行うことが大切です。運動前に体の筋を十分伸縮させて筋肉の緊張をほぐすことで、運動による膝への衝撃を和らげられます。また、ストレッチによって関節の可動域を広げることで、ケガのリスクを減らせます。 なお、膝に痛みを感じているときは、できるだけ足を伸ばしたり、痛みが強くなる前にストレッチを終えたりするなど、無理なく行うことが大切です。 アイシング 運動後に膝の痛みや違和感を感じたときは、アイシングが効果的です。氷や水などで膝を局所的に冷やすことで、急性炎症を抑えられます。冷却効果によって血流が制限されると、炎症が鎮まって痛みの軽減につながります。アイシングは15分程度、痛みが強い場合には数回に分けて行うと良いでしょう。 なお、膝を冷やすときは直接肌に氷を当てないよう、タオルに包んだり専用のアイシングバッグを使用したりしてください。また、過度に冷やしすぎないように注意しましょう。 筋トレやリハビリテーション スポーツによる膝の痛みに対して、筋力トレーニングやリハビリテーションが必要になるケースもあります。膝周りの筋力を強化すると、効率的に回復を目指せるほか、再発防止にもつながります。 膝の慢性障害を発症してしまったら、適度に休憩を取ったり、強度の低いトレーニングに変更したりして、調整することが大切です。また、症状が重い場合には、リハビリテーション専門のトレーナーや理学療法士と連携しながら、トレーニングに取り組む必要があります。 まとめ・スポーツによる膝の痛みを感じたら早めに医療機関を受診しよう 健康意識の高まりとともに、趣味で競技スポーツをする方が年々増加傾向にあります。 体に過度な負担がかからない範囲で運動するのは良いでしょう。しかし、無理な運動をしたり足に合わない靴を履いて膝に負荷をかけ続けたりしていると、スポーツによる膝の慢性障害を発症する確率が高くなるため注意が必要です。 また、我慢できる程度の痛みだからといって、ストレッチや運動後のケアを怠らないよう気をつけてください。場合によっては、症状が悪化して日常生活に支障が出る可能性も考えられます。 スポーツによる膝の慢性障害は症状が進行すると、自然治癒が難しくなり、手術が必要になるケースも珍しくありません。そのため、スポーツによる膝の痛みを感じたら、できるだけ早めに医療機関に相談しましょう。 リペアセルクリニックでは、メール相談やオンラインカウンセリングを実施しています。スポーツによる膝の痛みでお困りの方は、ぜひ気軽にご相談ください。 ▼ 症状別に考えられる膝の病気について詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。
2022.02.10 -
- 手部
- 手部、その他疾患
手首に痛みを感じる場合、捻挫や腱鞘炎だけでなく「TFCC損傷」の可能性も考えられます。 とはいえ、TFCC損傷という病名は聞きなれない方も多く「TFCC損傷の可能性があるなら病院に行くべき?」「完治するのかな?」と不安になるかもしれません。 TFCC損傷は、軽症であれば自然治癒することもありますが、適切な治療を受けなければ改善が見込めないケースもあります。 そこで今回は、TFCC損傷が疑われるときに病院に行くべき基準や、治療方法について解説いたします。 手首の痛みで病院に行くべきかお悩みの方は、本記事を参考にしてください。 TFCC損傷は病院に行くべきか?症状から判断する3つの基準 TFCC損傷とは、手首の付け根の靭帯であるTFCC(三角線維軟骨複合体)に生じる損傷です。 小指側に痛みや腫れが生じるため、可動域が制限されたり手首の動作によってさまざまな症状が現れます。 以下の症状に当てはまる場合は、整形外科での受診を検討してみてください。 ドアノブを回したりタオルを絞るだけでも手首に痛みが出る 手首の小指側を押したときに痛みが出る 安静にしていても手首に痛みを感じる それぞれの症状をさらに詳しく解説します。 また、TFCC損傷の詳細や診断方法については、以下の記事も参考にしていただければ幸いです。 ドアノブを回したりタオルを絞るだけでも手首に痛みが出る ドアノブを回したりタオルを絞るだけでも手首に痛みが出る場合は、病院に行くことを検討しましょう。 手首の動作で違和感や痛みを感じるのはTFCC損傷の可能性があります。 他にも「ドアの鍵を回す・蛇口をひねる」など一般的な動作も困難になると、日常生活に支障をきたすため注意が必要です。 手首の可動域が制限されてきたと感じたら、放置せず専門医の診察を受けたほうが良いでしょう。 手首の小指側を押したときに痛みが出る 2つ目は「手首の小指側を押したときに痛みが出る」場合です。 手首の小指側に触れたときに痛みが生じる場合、TFCC損傷のサインかもしれません。 たとえば、以下の症状が出ていたら病院での検査を検討してみてください。 手首の小指側を押したら痛い 手首を外にひねると痛い 手首をつくと痛い 手首を小指側に曲げると痛い 早めに医療機関で検査を受けることで、必要な治療やケアが行えます。 安静にしていても手首に痛みを感じる 3つ目は「安静にしていても手首に痛みを感じる」場合です。 日常生活で動かさなくても手首の痛みを感じる場合、TFCC損傷が進行している可能性があります。 そのため、安静にしていても痛みが引かない場合は自己判断で放置せず、医療機関で詳しい検査を受けることをおすすめします。 TFCC損傷の重症度チェック!軽症と重症の違い TFCC損傷の症状は軽症のものから難治性まで幅広く、対処法も異なります。 適切なケアを行うためには、まず損傷の重症度を確認することが重要です。 本章では、軽症と重症の違いについて詳しく解説します。ただし本章はセルフチェックに留め、手首の痛みが続くようであれば早めに受診することをおすすめします。 軽度の損傷は安静にすることで自然治癒が期待できる 軽度のTFCC損傷であれば、まずは安静にして様子を見るのも有効です。 手首の痛みが比較的軽く、日常の動作に大きな支障がない場合はサポーターの着用で改善が見込めます。 安静にしていれば数日から数週間で自然治癒が期待できるでしょう。 痛みが徐々に和らいでいる場合には、無理に病院に行かず自己管理で回復を目指すのも1つの方法です。ただし痛みが続く場合は早めに受診しましょう。 重度・難治性の損傷は安静や装具のみでは改善しない 手首の痛みが強く、安静にしても改善が見られない場合は重度のTFCC損傷が疑われます。 難治性の損傷では、手首の内部に強い炎症が起きており、安静や装具だけでは回復が難しい可能性が高いといえます。 重度の場合は放置していても改善が望めないため、自己判断せずに専門医に相談し、詳しい検査や適切な治療を受けましょう。 TFCC損傷を診断する3つの検査方法 医療機関でTFCC損傷を診断するときは、以下3つの検査を行います。 身体所見 X線検査 MRI検査 診断の流れを知ることで、適切なタイミングで医師に相談しやすくなるでしょう。 身体所見で痛みや症状をチェック まずは身体所見で手首の痛みや可動域を確認します。 医師が手首を動かしたり、患部を押してみて痛みの場所や動かしづらさを調べるのが一般的です。 身体所見は直接的な痛みを把握でき、どの程度の負荷で痛みが出るかを確認することが重要です。 身体所見でTFCC損傷の可能性が高まった場合、さらに精密な検査へと進みます。 X線検査で骨の異常や変形をチェック X線検査は、骨の異常や変形の有無を確認するために行われます。 TFCC損傷は主に軟部組織の損傷ですが、骨折や骨の変形が関係している場合もあるため、X線によるチェックが有効です。 手首に強い痛みがある場合や、外傷を伴うときには適切な治療を進めるためにX線検査が重要な役割を果たします。 MRI検査で軟部組織の損傷を確認 MRI検査では、手首の軟部組織の状態を詳しく観察します。 TFCC損傷は軟部組織が関わるため、MRI検査を行い、X線では確認できない細かな損傷を把握するために重要です。 MRI検査で高信号が見られる場合は炎症が強くなっている可能性があり、早期治療が求められるケースもあります。 手首の内部構造を把握し、適切な治療方法を決定するために必要な検査だと言えるでしょう。 TFCC損傷の改善に期待できる5つの治療法! TFCC損傷は、症状や重症度に応じてさまざまな治療法の選択肢があります。TFCC損傷の改善に有効とされる治療法は以下の5つです。 保存療法 薬物療法 リハビリ療法 手術療法 PRP療法 それぞれの方法を知ることで、適切な治療の選択がしやすくなるでしょう。 保存療法|安静・サポーター・アイシングで回復を促す 保存療法とは、安静にしてサポーターやアイシングによって回復を促す方法です。 軽度のTFCC損傷の場合、手首を休ませることで自然治癒が期待できます。 症状が軽度な場合に効果的で、初期段階での対処として推奨されます。 薬物療法|痛みや炎症を抑える薬の使用 薬物療法は、炎症や痛みを和らげるために痛み止めや抗炎症薬を使用する方法です。 ただし、薬はあくまで症状を緩和するものであり、根本的な治療にはなりません。 定期的に症状が続く場合は、他の治療法と組み合わせると良いでしょう。 リハビリ療法|可動域を戻すための運動療法 リハビリ療法では、手首の可動域を徐々に戻すための運動療法が行われます。 損傷部位の負担を少しずつ減らしながら、関節の柔軟性と筋力を高めるアプローチです。 痛みが軽減した後の段階でリハビリを開始すると、再発を防ぎ日常生活への復帰がスムーズに進むでしょう。 手術療法|損傷部の縫合や再建手術が必要な場合 重度のTFCC損傷や、保存療法や薬物療法で改善しない場合には手術療法を検討します。 手術では、損傷した部位を縫合したり再建手術で修復したりする方法が取られます。 手術によって症状が改善される可能性が高まりますが、術後はリハビリが必要となるでしょう。 そのため、手術を受けるかどうかは、医師と相談して慎重に判断してください。 PRP療法|TFCC損傷の治療に効果が期待できる再生医療 PRP療法とは、患者自身の血液から血小板を抽出し濃縮して損傷部に注入し、修復効果を高める治療法です。この方法は、プロスポーツ選手の肘の治療に使用されるなど、スポーツ医療で注目されています。 また、慢性的な痛みやスポーツへの早期復帰を望む方、薬のアレルギーがある方にも適した治療といえます。近年注目されている再生医療による治療も、新たな選択肢として考えてみると良いでしょう。 ちなみに当院「リペアセルクリニック」では、TFCC損傷でお悩みの方にもPRP療法を提案しております。 まとめ|TFCC損傷の疑いがあれば病院に行って適切な診断をしてもらおう TFCC損傷による手首の痛みは、日常生活や仕事に影響を与えるケースが多く、無理に放置するのはおすすめできません。 ドアノブやタオルを使うだけでも痛みを感じる場合や、小指側に痛みがあるときはTFCC損傷の可能性を疑いましょう。 適切な治療で早期回復にも期待できるため、TFCC損傷の疑いがあれば早い段階で病院には行くべきだといえます。 日常生活を快適に送るためにも、まずは医師に相談してご自身に合った治療法を見つけてください。 また、当院「リペアセルクリニック」ではTFCC損傷の治療法の1つであるPRP療法についてもご相談いただけます。
2022.02.08 -
- ひざ関節
- 膝の内側の痛み
- 変形性膝関節症
変形性膝関節症の原因、スポーツから発症するリスクについて説明します 変形性膝関節症は、重症化すると歩行などの動作に支障をきたす厄介な病気です。また、この病気を発症する原因の1つに「運動」が挙げられます。今回は、運動と変形性膝関節症の関係についてまとめました。 膝関節は、私達の日常動作をスムーズにしてくれています。例えば、歩くのはもちろんですし、立ったり座ったり、飛び上がったり踏ん張ったり…これらの動作をするのにも欠かすことができない部分です。 このように膝関節が稼働することで日常生活以外でもスポーツなどではランニングやマラソンといった走る競技はもとより、水泳、野球、バスケットボール、ラクビー、スキー、テニス、ゴルフと数え上げればきりがないほど膝の動きは大切です。 膝のスムーズな曲げ伸ばしや、稼働に重要なのが働きをしているのが膝関節の軟骨です。しかし、この膝関節の軟骨は、年齢を重ねるごとに、すり減ってしまうことを知っておきましょう。 膝関節を酷使するスポーツ(例) ランニング、マラソンなどの陸上競技全般 野球、バスケットボール、ラクビー、スキー、テニス、ゴルフなどの球技 水泳、水球 スキー、スノーボード、スケートなどのウインタースポーツ その他ス多くのスポーツで膝は使われます 変形性膝関節症|発症リスクが高い注意すべき人 運動やスポーツを頑張りすぎた場合、「膝の軟骨がすり減って変形性膝関節症になる」と聞いたりすると「だったら運動はやめておこう」という極端な人も出てくるかもしれません。ですが健康な体や、正常な関節を維持するためにはある程度の運動は必要で精神的にも体を動かすことは大切です。気を付けたいのは痛みを感じた時の対処法です。 例えば変形性膝関節症は急に症状が進行したり、急に痛くて歩けなくなることは無いからです。この病気の場合は、段階を経て重症化していくため、痛みが出た時に適切な対処法を心がけることが必要です。 運動で発症リスクが高い人 今、現役で競技もしくは、日常的にスポーツに取り組んでいる人 若い頃、膝に強い負荷がかかるようなスポーツをしていた人、競技スポーツなど日頃から激しい運動をしていた人 肥満体型など常に膝に負荷をかけ続けている人(軽いスポーツでも膝への負担が大きい) 変形性膝関節症に気を付けたいスポーツ 膝に強い負荷が掛かるスポーツ(ウエイトリフティング、登山ほか) 激しく膝をつかうスポーツ(陸上競技、サッカー、ラグビー、テニス、バスケットボールほか) 肥満体体形の場合、日常的に膝に大きな負担が掛かっているため、そのようなスポーツでも注意が必要 普段「運動している人」が注意すべきこと 普段から運動する習慣がある人は、多少の痛みを感じても無視してしまいがちな傾向があります。そのため、炎症に気が付かず運動を続けてしまい、症状が悪化する可能性が高いです。 痛みが一晩休めば治まる程度であれば、さほど問題はありませんが、翌日まで続くようであれば、一旦運動をお休みし、安静にしましょう。 休む期間は3日から1週間。休んでいる間に痛みが治まったら運動を再開しても良いですが、以前と同じレベルの運動をいきなり再開するのではなく、痛む前の半分程度の運動から始めると良いでしょう。 休んでも痛みが治まらない、運動を再開したら再度痛みが出たというような場合は、変形性膝関節症の症状が進行している可能性があります。早めに病院を受診してください。 普段「運動しない人」が注意すべきこと 普段ほとんど、或いは全く運動しない人は、急に長時間の運動をする時に注意が必要です。 例えば、登山やハイキングなどで長時間歩くというようなことをすると、急に膝関節に大きな負担がかかるため、軟骨がすり減り炎症が起きる、つまり変形性膝関節症を発症する可能性があります。 急な炎症が起きると、炎症による痛みや膝の腫れ、水がたまるなどの症状が出ることもあります。 もし、運動の最中に痛みを感じたら、それ以上の運動は控えてください。そして安静にしましょう。痛みが長く続くようであれば、早めに医師の診察を受けてくださいね。 変形性膝関節症|注意は必要だが、適度な運動は大切 運動することによって、変形性膝関節症を発症しやすくなるという場合もありますが、適度な運動を無理なく行うことは変形性膝関節症を予防する効果もありますし、健康そのもの維持に役立ちます。 具体的に、「変形性膝関節症を防ぐには、脚に筋力をつけることがポイント」です。筋肉が鍛えられると膝の関節が安定するので、自然と軟骨のすり減りも抑えられるのです。 運動は毎日無理なく続けましょう 運動は無理のない範囲で、そして出来れば毎日行うことが望ましいです。 ウォーキングや軽めのジョギング、水泳なども良いでしょう。運動するのは苦手、外を出歩くのはあまり好きではないという方は、ラジオ体操やスクワット、テレビで放送されるテレビ体操などにチャレンジしてみるのも良いでしょう。 ただし、無理は禁物!運動中に膝が痛み出した場合は、運動を中断し、安静にするよう心掛けてください。 まとめ・変形性膝関節症の原因、スポーツから発症するリスク 変形性膝関節症の発症には、スポーツを通じた運動が関係します。しかし、運動をすることは健康維持のために必要不可欠です。しかも「変形性膝関節症の予防」にも繋がります。 ただ一方、変形性膝関節症は、運動によって発症リスクが高まるという面があり、注意が必要なです。膝関節は日常生活はもちろん、スポーツにおいて重要な役割を果たします。 変形性膝関節症は、軟骨のすり減りが進行することで発症リスクが高まります。日常生活に加えてスポーツで激しい運動を行うと軟骨に悪い影響が出る場合があります。 そこで、スポーツを日常的に行うなどの発症リスクが高い人に注意すべき点、予防方法などについて解説しました。特に、運動を積極的に行っている人は、痛みや違和感を感じた時には適切な対処をすることが重要です。 ただ、病気を注意するために運動やスポーツをしないのはお勧めできません。 運動は無理のない範囲で行うこと、予防する意識を持つことが大切です。 注意しながら取り組みましょう。 ▼ 再生医療が変形性膝関節症の治療を変える 変形性膝関節症の新たな選択肢、再生医療の幹細胞治療で手術せずに症状を改善します ▼以下のご覧になりませんか 変形性膝関節症!痛みが取れない、治らない理由と対処法
2022.02.08 -
- 糖尿病
- 内科疾患
「糖尿病だけど、運動しても大丈夫なのか不安…」 「運動をしてはいけない人もいるって聞いたけど本当?」 このように悩んでいる方もいるのではないでしょうか? 糖尿病の人にとって、適度な運動は血糖値を安定させる上で大切です。 しかし、すべての運動が良いわけではありません。間違った方法で運動すると、血糖値のバランスが崩れたり、合併症を悪化させたりして体に悪影響を及ぼすリスクがあります。 本記事では、糖尿病で運動療法をやめるべき基準や運動が許可された場合の注意点を解説します。運動療法の方針を考えていく際の参考にしてください。 【禁忌】糖尿病で運動療法をやめるべき基準 糖尿病の治療において運動療法は効果的な治療法の一つですが、患者様の状態によっては運動が逆に症状を悪化させる場合があります。 以下の条件は禁忌(実施すると危険性がある行為)に該当するため、運動療法をやめるべき基準となります。 増殖網膜症・増殖前網膜症を発症している レーザー光凝固後3〜6カ月以内の網膜症を発症している 第3B期(顕性腎症後期)以降の腎症(血清クレアチニン:男性2.5mg/dl以上、女性2.0mg/dl以上) 心筋梗塞など重篤な心血管系障害がある 高度の糖尿病自律神経障害がある 1型糖尿病でケトーシスがある 代謝コントロールが極端に悪い(空腹時血糖値≧250mg/dlまたは尿ケトン体中等度以上陽性) 急性感染症を発症している 自身がこれらの状態に該当するかどうかは、医師の診断や判断が必要です。糖尿病の方は運動療法をはじめる前に、必ず医師に相談してください。 糖尿病の基本的な治療は「運動療法」と「食事療法」 糖尿病の基本治療は、本来「運動療法」と「食事療法」です。それぞれの治療効果を詳しく見ていきましょう。 運動療法|運動しないとどうなるかのリスク管理も大切 運動療法は糖尿病の基本治療の1つです。 運動は血糖値を下げ、インスリン(血糖値を下げるホルモン)の働きを助ける効果があります。 糖尿病の人が運動をしないと、血糖値が上がりやすくなるほか、インスリンの働きも弱まるため、症状が悪化する可能性があります。 糖尿病の方に適した運動のタイミングは血糖値が上昇する食後です。食後の急激な血糖値上昇を運動によって抑えることが大切です。 毎日の生活の中に取り入れ、無理のない範囲で運動を続けましょう。 食事療法|食材選びや食べ方の工夫が症状を安定させるコツ 食事療法では、食べるものや食べ方を工夫して血糖値をコントロールしたり、適切な体重を維持したりするのが目標です。 血糖値の上昇を引き起こしやすい栄養素は、糖質です。糖質は、パンやご飯、甘いお菓子などに多く含まれます。一方で、食物繊維は血糖値の上昇を緩やかにする働きがある栄養素です。食物繊維は、野菜や海藻、いも類などに多く含まれています。 栄養バランスを考えた食事選びが、糖尿病管理の基本となります。 なお、糖尿病の治療においては再生医療も選択肢として挙げられます。体内の脂肪細胞を活用して、すい臓・血管の機能回復を図り糖尿病治療を進めます。 再生医療について詳しく知りたいという方は、メール相談、オンラインカウンセリング も承っておりますので、ぜひご活用ください。 【関連記事】 糖尿病!運動療法なら改善はもとより予防にも効果を発揮 効果が上がる!糖尿病の予防に最適な運動!その効果と注意点 運動療法の制限が必要な糖尿病の人|7つの特徴 糖尿病の方の中には、完全に運動を禁止するのではなく、医師の指導のもとで制限付きの運動療法が可能な場合があります。 以下は、注意深く運動を行う必要がある人の7つの特徴です。 インスリン治療中の人 単純網膜症の人 増殖前網膜症・増殖網膜症を患っている人 糖尿病神経障害の人 重篤な心血管障害や肺の病気を患っている人 腎症を患っている人 ケトーシス状態の人 それぞれの特徴を詳しく解説します。 インスリン治療中の人 インスリンを使った治療を受けている人は、運動のタイミングに注意が必要です。 適切な運動は血糖値を安定させるのに役立ちますが、誤ったタイミングで行うと低血糖を引き起こす危険があります。 とくに、寝起きや食事前は血糖値が低くなりやすいため、この時間帯の運動は避けたほうが良いでしょう。 運動中に血糖値が急激に下がると、めまいやふらつきが起こり、意識を失う可能性もあります。そのため、血糖値が上がりやすい食後に運動を取り入れるのが理想的です。 薬を使いながら運動をする場合は、主治医に相談し、自分に合った運動方法を確認してください。 単純網膜症の人 糖尿病の合併症の1つに「糖尿病網膜症」があります。 これは、目の奥にある網膜(光を感じる部分)の血管が傷つき、視力に影響を与える病気です。 糖尿病網膜症は進行の度合いによって「単純糖尿病網膜症」「増殖前網膜症」「増殖網膜症」の3段階に分かれます。 糖尿病網膜症は血圧の変動によって出血する可能性があります。また、低血糖になれば眼底出血が引き起こされる場合があるので、運動のタイミングや強度には注意が必要です。 病状によっては、運動が制限される場合や禁止されるケースもあります。 増殖前網膜症・増殖網膜症を患っている人 増殖前網膜症の場合は血圧におよぼす影響の少ない軽度の運動にとどめます。 頭を強く振る、頭を下げる、力むといったことは血圧を上げ、頭部への血流を増やすため、眼底出血などを起こす可能性があります。 また、増殖網膜症の方は、運動以外にも、力んだり、息をこらえたり、重量物を持ち上げたりするような行為は身体に負担がかかるので避けましょう。 糖尿病神経障害の人 糖尿病神経障害には、「感覚神経障害」と「自律神経障害」があります。 感覚神経障害では、足の感覚が鈍くなり、痛みに気づきにくくなるため、足に負担の少ない運動が適しています。たとえば、自転車エルゴメーターや水泳などです。 一方、自律神経障害では、血圧や心拍の調整が難しくなるため、運動療法が禁止される可能性があります。 重篤な心血管障害や肺の病気を患っている人 心臓や肺に病気がある人が運動を始める際は、事前に体への負担を確認する取り組みが大切です。 とくに、心臓の病気がある場合は、運動中の心拍の変化を調べる「負荷心電図」(運動中に心臓の働きを記録する検査)の実施が推奨されます。 運動の強さによっては、心臓に負担をかける可能性があるため、どの程度の運動が安全かを医師と相談しましょう。 腎症を患っている人 糖尿病による腎臓の病気「糖尿病性腎症」は、進行度によって5段階に分かれます。 第1期:腎症前期(尿中アルブミンが正常範囲) 第2期:早期腎症期(微量アルブミン尿) 第3期:顕性腎症期(顕性アルブミン尿or持続性タンパク尿) 第4期:腎不全期(腎機能の著しい低下) 第5期:透析療法期(透析療法中) 第1期から第3期までは、病状に応じた適切な運動が推奨されています。 第3期の顕性腎症期まで進行すると、腎臓の負担を減らすために運動を制限する可能性があります。 以前は腎症患者には運動を控えるよう一律に指導されていましたが、現在の医学的見解では、適度な運動による持久力向上や血中脂質代謝改善の効果が認められています。 ケトーシス状態の人 血糖値が250mg/dl以上(高血糖)やケトーシス状態の場合は運動が制限されます。 ケトーシスとは血中のケトン体が増加し、尿中のケトン体が中等度以上の状態です。 高血糖のときに運動をすると、糖の代謝がうまくいかず、症状が悪化する可能性があります。そのため、まずは食事や薬の治療で血糖値を安定させてから運動を取り入れましょう。 糖尿病の人が運動するときの注意点 運動が許可されている糖尿病の方は、以下の点に注意して安全に運動をする必要があります。 運動時の状況 起こりうるリスク 低血糖を引き起こしている めまいや意識障害を引き起こし、転倒・事故のリスクを高める 運動の強度や頻度が高すぎる 関節や筋肉を損傷する可能性がある インスリン調整剤や飲み薬を服用している 低血糖になりやすいため、体調の変化に注意する必要がある 運動療法は継続が何より大切です。運動を長続きさせるためにも、安全を第一に心がけましょう。 糖尿病を発症したら運動療法の前に医師によるメディカルチェックが必要 糖尿病患者の方が運動療法を行う際、やり方を間違えると事故や症状を悪化させるリスクがあります。 そのため、運動療法を始める前には医師によるメディカルチェックを受けて、安全性を確認することが大切です。 以下は、糖尿病患者の運動療法を行う際のメディカルチェックにおける基本項目です。 項目 検査内容 問診 ・糖尿病以外で治療中の病気や服薬中の薬 ・家族の既往歴 ・現在の生活状態や運動習慣 血液検査 ・空腹時血糖 ・HbA1c(ヘモグロビン量の測定) 診察 ・血圧 ・脈拍数 ・身体計測(身長、体重、腹囲) ・肥満度 尿検査 たんぱく、ケトン体の測定 心電図 安静時心電図 運動療法を開始後も、少なくとも年に一回は医師によるメディカルチェックを受けましょう。 まとめ|糖尿病の運動療法における禁忌を知って正しい治療を進めよう 禁忌とは、単なる禁止という意味ではなく、それを行うことで症状を悪化させたり、予期せぬ副作用が起きたりするなどのリスクがあるという意味で用いられています。 よって、自分の状態が運動療法の禁忌に該当するかどうかを医師に確認し、安全な範囲で糖尿病の治療を進めていく姿勢が大切です。 糖尿病はこれまで「治らない病気」と言われてきました。しかし、近年「再生医療」という新しい医療分野が発達し、血糖値が大幅に改善した事例が数多く報告されています。糖尿病の再生医療に興味がある方は、当院リペアセルクリニックにお気軽にお問い合わせください。 【関連記事】 糖尿病が改善!肝機能も良くなる 幹細胞治療 60代女性 糖尿病に対する幹細胞治療でHbA1Cは正常値に戻る!70代男性
2022.02.07 -
- 変形性膝関節症
- ひざ関節
膝の痛みが治らない原因は、関節部分が炎症を起こしていたり、膝に負担のかかる生活を送っていたりすることにあります。 膝の痛みを放置すると日常生活に支障をきたし、最終的に手術が必要になる可能性もあります。症状が悪化する前に、原因を特定して適切な治療やケアを進めていきましょう。 本記事では、膝の痛みが治らない原因を詳しく解説します。原因に対する具体的な対処法や痛みが引かないときの治療法も紹介しているので、痛みから早く解放されたい方は参考にしてみてください。 膝の痛みが治らない5つの原因【自己ケアも可能】 さっそく、膝の痛みが治らない原因を解説します。考えられる主な原因は、以下の5つです。 ・炎症を起こしている ・膝に水が溜まっている ・関節が安定していない ・関節に負荷がかかっている ・ほかの疾患を抱えている可能性がある 順番に見ていきましょう。 炎症を起こしている 膝の曲げ伸ばしなどで関節に負担がかかると、すり減った関節軟骨のかけらが滑膜を刺激します。刺激された滑膜が炎症を起こし、膝の痛みとして認識されます。 炎症を起こしているときは、冷やしたり、薬で炎症や痛みを抑制したりします。炎症が起きているときに運動を続けると悪化する可能性があるため、無理をせず休むようにしましょう。 膝に水が溜まっている 膝に水が溜まっている状態も、痛みを感じる原因です。 膝に水が溜まるのは、関節内の髄膜に炎症が起きているためです。炎症によって大量の関節液が放出され、水が溜まる状態になります。 膝に水が溜まると、痛みを感じるだけでなく、膝が突っ張ったり、曲げにくくなったりして、日常生活に支障が出る可能性もあります。 対処法としては、単に水を抜くだけでは不十分です。根本的な原因である炎症の治療が必要になります。 膝に水が溜まる原因や治療法の詳しい情報はこちら 関節が安定していない 治療を目的とした筋力トレーニングをしても痛みが取れない場合は、まだ関節が安定していない状態なのかもしれません。トレーニング開始後、個人差はあるものの効果が現れるまで1〜2カ月かかると言われています。 そのため、運動を始めてまだ間もない頃は効果を感じにくいため、まずは1〜2カ月継続して運動に取り組むようにしましょう。 継続した運動に取り組んでも効果がみられなければ、運動の負荷が弱すぎる、軽すぎる可能性があり、十分な効果が発揮されません。そんなときは、以下のように3カ月目でトレーニング種目や強度の見直しをおすすめします。 ・室内でできる簡単な運動から屋外での運動に切り替える ・水中での歩行から地上での歩行に切り替える ・歩行距離を伸ばす くれぐれも過度な筋トレにならないよう、痛みのない範囲で取り組めるメニューを組みましょう。 関節に負荷がかかっている 関節に負担がかかっている生活習慣が、膝の痛みが治らない原因となっている可能性があります。 治療中は、運動療法と並行して生活習慣を見直し、関節にかかる負荷を下げる意識が大切です。運動療法のように時間を必要とせず、以下のように工夫次第で誰でも簡単に膝への負荷を減らせます。 ・バランスよく歩くために杖を使う ・膝を深く曲げる動作を止める ・よく使う調味料などを低い位置に収納しない ・玄関、階段、お風呂に手すりをつける ・地べたでの生活から椅子とテーブルを用いた洋式へ変える ・膝の調子が悪ければ迷わずエレベーターを使う 膝の関節は、歩いているだけでも体重の最大8倍は負荷がかかると言われています。そのため、日常生活で関節の負荷となる習慣の改善は大切です。 なお、膝の痛みの治療には「再生医療」が有効です。人間の自然治癒力を活用して、すり減った膝軟骨を再生させます。 期待できる治療効果が知りたい方は、再生医療専門の『リペアセルクリニック』にお気軽にご相談ください。 ほかの疾患を抱えている可能性がある 膝の痛みは単なる炎症や関節への負担だけでなく、ほかの疾患が隠れている可能性があります。 以下は膝の痛みを伴う疾患例です。※疾患名のリンクをタップすると、詳細記事をチェックできます。 ・変形性膝関節症 ・半月板損傷 ・関節リウマチ ・鵞足炎 疾患の種類によって治療法が異なります。早期治療をおこなえば症状の悪化を防げるので、膝の痛みを感じたら早めに医療機関を受診しましょう。 膝の痛みの原因や考えられる病気については動画でも詳しく解説しています。 https://www.youtube.com/watch?v=uQlymyi0eSI&t=312s 膝の痛みの原因を突き止めても治らないときの対処法3つ 膝の痛みの原因を突き止めてケアを続けても、症状が改善されない場合の対処法を3つ紹介します。 ・外部機関を頼る ・手術を視野に入れる ・再生医療を検討する 順番に見ていきましょう。 外部機関を頼る 自宅でのケアだけでは膝の痛みが改善しない場合、以下のような専門の外部機関を頼る選択肢も考えられます。 ・整体・接骨院での施術 ・リハビリテーション施設でのケア ・スポーツクリニックでの専門治療 専門家による正しい診断のもと、症状に合わせた適切な治療を受けられます。定期的な経過観察をしてもらえるので、症状悪化のリスクも防止できるでしょう。 手術を視野に入れる 症状が悪化した場合もしくは医師の判断があった場合は、手術が視野に入ってきます。 手術は回復に時間がかかるため、私生活や仕事、スポーツなどに影響が出る可能性があります。そのため、以下のような点を確認しておきましょう。 ・入院期間 ・傷跡の程度 ・手術後の生活制限 ・術後のリハビリ期間 ・スポーツ・仕事復帰までの期間 これらの点を十分に理解した上で、慎重に判断していく姿勢が大切です。 変形性膝関節症における手術の詳細はこちら 半月板損傷における手術の詳細はこちら 再生医療を検討する 近年、人間の自然治癒力を活用した「再生医療」という最新医療が注目されています。 再生医療には、幹細胞をひざ関節に注射するだけですり減った軟骨を再生し、痛みを軽減させる効果があります。本来なら手術しなければいけない状態でも、再生医療で治療できる可能性があるのです。 詳しい治療法や効果が知りたい方は、再生医療専門の『リペアセルクリニック』にお気軽にお問い合わせください。 まとめ|膝の痛みが治らない原因を知って適切なケアをおこなおう 膝の痛みが治らない原因は、複数あります。本記事で紹介した症状や原因を参考に、自分がどの原因に当てはまるのかを確認し、適切なケアをおこなっていくようにしてください。 間違ったケアを続けたり、痛みを放置したりすると、症状が悪化し、最終的に手術が必要になる可能性もあります。 膝の痛みが気になったら早い段階で病院を受診して、早期回復を目指しましょう。 なお、膝の痛みの治療には「再生医療」が有効です。 再生医療は人間の自然治癒力を活用した最新の医療技術で、変形性膝関節症や半月板損傷の治療に効果が期待できます。 具体的な治療方法が気になる方は、再生医療専門の『リペアセルクリニック』にお気軽にお問い合わせください。
2022.02.07 -
- 糖尿病
- 内科疾患
「糖尿病は治らない?」「糖尿病になったら一生付き合っていかなばならないの?」と、疑問を抱いている方もいるのではないでしょうか。 結論からいえば、糖尿病は「完治しない病気」です。原因によって「1型」「2型」に分かれますが、いずれも発症すると一生付き合っていく必要があります。 ただ、程度や治療内容によっては「健康な人と変わらない状態を保つことは可能です。 この記事では、糖尿病が治らないといわれる理由や治療法、予防法をご紹介します。 本記事を参考に、糖尿病に関する正しい知識や認識を身につけましょう。 糖尿病かな?と思う症状がある方は、糖尿病の初期症状についてまとめたこちらの記事もご覧ください。 糖糖尿病が完治しないといわれる理由 糖尿病は発症の原因によって「1型糖尿病」と「2型糖尿病」に大別されます。それぞれの発症原因と、なぜ治らないのかを解説します。 前提として、日本では糖尿病患者のほとんどが生活習慣病の一つである「2型糖尿病」患者です。そのため、「2型糖尿病」から治らない理由をご紹介します。。(文献2) 【2型糖尿病】血糖値が上がりやすい体質や年齢は変えられないため 2型糖尿病は、体質などの「遺伝的要素」と食習慣などの「生活習慣」が組み合わさり発症します。治療や生活習慣改善によって血糖値は元に戻せても、体質や加齢といったリスクになる部分は変えられないため、完治が難しいといわれています。(文献1) 通常、食事を摂ると、すい臓からインスリンが分泌され、血糖値を下げます。 2型糖尿病は、過食や運動不足によってインスリンの分泌量が低下したりインスリンが効きにくくなり、高血糖状態が続くことで発症します。 初期の段階で乱れた生活習慣を改善できれば、血糖値を健康な人と同じ状態に戻すことは十分可能です。しかし、糖尿病が進行してしまうと健康な状態に戻すことは困難になります。そのため、初期段階で治療に取り組むことが大切です。 【1型糖尿病】現代医学では破壊された膵臓の細胞を再生できないため 1型糖尿病は、なんらかの原因で「すい臓」にあるβ細胞が破壊されて発症する病気です。 インスリンはβ細胞から分泌されるため、1型糖尿病はほとんどインスリンを分泌できなくなります。β細胞が破壊される原因は正確にはわかっていませんが、原因の1つに免疫異常(自己免疫)があると考えられています。 1型糖尿病は現代医学では「治らない」といわれている病気です。発症すると一生付き合っていかなければなりません。 最近では「再生医療」や「膵島移植(ランゲルハンス島)」などの研究も行われています。将来的には「1型糖尿病は治る病気」となる可能性もゼロではありません。 ちなみに、当院「リペアセルクリニック」でも、糖尿病への効果が期待できる再生治療を行っています。「メール相談」や「オンラインカウンセリング」も可能ですので、お気軽にお問い合わせください。 糖尿病になってしまったらどうする?重症化を防ぐポイント 2型糖尿病は、遺伝的要素と生活習慣が組み合わさり発症します。 そのため、食事療法と運動療法で生活習慣の改善に努めることが糖尿病の予防法といえるでしょう。すでに糖尿病を発症している場合でも、生活習慣の改善が病気の進行を食い止めることにもつながります。 糖尿病の予防や治療の基本は「食事療法」と「運動療法」ですが、必要に応じて薬物療法を行う場合もあります。(文献3) 薬物療法 糖尿病の薬物療法では、飲み薬や注射薬にて治療を行います。それぞれどのような効き目のものがあるかは表のとおりです。 飲み薬の種類 インスリンの分泌をよくする インスリンの効き目をよくする 糖の分解・吸収を遅らせる 糖の排泄を促す 注射薬の種類 インスリン分泌を促進させる インスリンを補う どの薬物治療を行うかは、その方の糖尿病の状態や体格によって異なります。 1型糖尿病か、2型糖尿病かといった部分や、インスリンの出にくさや薬の効きやすさなどで判断をします。 食事療法 糖尿病の食事療法では以下のポイントを押さえて行うことが大切です。 摂取カロリーを抑える 栄養バランスの良い食事を取る 一日3食をしっかり食べる 適切な摂取カロリーがわかっても、どのような食品を、どれだけ食べれば良いのかわからない場合は、「糖尿病食事療法のための食品交換表」を利用するのも良いでしょう。 糖尿病治療の考え方や食事療法の基本的な考え方がわかりやすく解説されています。 また昨今、ネット上にはカロリー計算できるアプリを紹介しているサイトもありますので、使いやすいものを選んでみてください。 運動療法 運動療法のポイントは以下の3つです。 軽い有酸素運動から始める 継続して運動を続けることが重要 週3日は運動の時間を確保 運動は糖の消費を促します。また、筋肉の量を増やし糖の取り込みを促進することでインスリンの効果を高め、血糖コントロールを助けます。 ただし、運動を積極的に行うと食欲が増すため、かえって糖尿病を招いたり、症状が悪化することもありえるので注意が必要です。 糖尿病の予防や治療は「食事療法」と合わせて「運動療法」をセットで行うことが大切です。運動療法を行う際は以下の点に注意して行いましょう。 NEAT(非運動性熱産生) NEATとは、「運動以外の日常生活活動で消費されるエネルギー」を意味し、掃除や洗濯、通勤や階段の昇り降りなどで消費するエネルギーのことを指します。 すでに糖尿病の症状がある方や持病がある方など、運動に制限がある人もいます。運動療法を取り入れる際は医師に相談してから行うようにしましょう。また、日頃、まとまった時間が取れずに運動ができないという人もいるでしょう。 このような場合、NEAT(非運動性熱産生)を高めることを心がけると良いでしょう。 まとめ|糖尿病は完治の難しい病気。適切な管理により悪化を防ぐことが最も重要 ここでは、糖尿病が治らないといわれる理由について解説しました。 糖尿病は治らない病気ですが、適切な治療により血糖値をコントロールすることで、健康な状態を保つことが可能です。 普段の生活から糖尿病の予防(食事・運動)を心がけ、健康な生活を送りましょう。 当院「リペアセルクリニック」では、糖尿病の治療や再生医療についての「メール相談」や「オンラインカウンセリング」も可能です。お気軽にご相談ください。 また、糖尿病の運動療法について、より効果的な方法を知りたい方は以下の記事もご覧ください。 参考文献 (文献1) 厚生労働省|糖尿病 (文献2) 糖尿病情報センター|糖尿病とは (文献3) 糖尿病情報センター|糖尿病の治療ってどんなものがあるの?
2022.02.07 -
- 変形性膝関節症
- ひざ関節
変形性膝関節症|高齢者も知っておくべき手術の種類とそのリスク 中年以降の女性に多く発生するのが「変形性膝関節症」です。初期の頃には軽い痛みや違和感だったものが、徐々に進行していく病気です。その治療はリハビリを中心とした保存療法をベースに、生活スタイルの改善や運動療法に取り組み、必要に応じて装具療法という手段があります。 保存療法でも効果がみられない場合には、観血療法(手術)が選択肢に入ります。しかし、いざ手術を受けようとした時には、患者様自身が高齢になられているケースがあります。 そんなとき、「退院までどれくらいかかるのだろうか?」「リハビリは頑張れるのだろうか?」と、本人はもちろん、ご家族が不安に思われる場合もあります。この記事では、高齢者が変形性膝関節症の手術を受ける際の不安やリスクをわかりやすく解説していきます。 高齢者に適応される手術とは 変形性膝関節症の手術には、関節鏡視下手術・高位脛骨骨切り術・人工関節置換術の3種類あり、どの手法が適応されるかは進行の程度に沿って決まります。主に初期には関節鏡視下手術・中期には高位脛骨骨切り術・末期には人工関節置換術が選択されます。 ただし、変形性膝関節症の手術をいざ受けようと決心したとしても、高齢者の場合は進行しているケースがほとんどです。そういったときには、人工関節置換術が適応されます。 進行に合わせて選択される膝関節の手術 初期:関節鏡視下手術 中期:高位脛骨骨切り術 末期:人工関節置換術 人工関節置換術(手術)とは 人工関節置換術とは、変形性膝関節症の進行末期などで傷んだ膝の関節を人工の関節に入れ替える手術です。ご自身の骨を除き、金属やセラミックでできた人工関節に置換えることで、O脚など脚の変形が改善させて膝を安定させるものです。 人工関節置換術を受けると、激しい痛みによりスッと立ち上がれない、スイスイ歩けないといったお悩みが解消されるなど、高い効果が期待できます。ただし、利点ばかりではなく、術後は正座や、深くしゃがむなどの姿勢ができなくなるほか、重い荷物を持てないなど生活スタイルを含めた変更が必要になります。またリハビリを継続して進める必要があります。 人工関節置換術のリスク 手術から退院まで日数がかかる 人工関節置換術をした場合、退院までの目安は1ヶ月です。また術後の痛みが消えるのに、数週間から数ヶ月かかるため、日常に戻るには2〜3ヶ月程度の期間が必要です。 継続したリハビリが必要 人工関節置換術はリハビリが必要な手術です。術後2日目から、国家資格である理学療法士や作業療法士の支援のもとリハビリを開始します。 日常生活に復帰できるように、筋力トレーニングや可動域訓練とともに、立ち座りや歩行も訓練します。 日常動作に制限がかかる 術後は人工関節の摩耗や破損、膝蓋骨の脱臼を避けるために、走る動作や膝に負担のかかる激しいスポーツができなくなります。 深く膝を曲げられないため、正座ができなくなるなど日常生活動作に制限がかかります。 深部静脈血栓 術後は長時間の安静から血流が滞って血栓ができる「深部静脈血栓」に注意が必要です。血栓は自然に消失することが多いのですが、まれに血栓が肺や脳に飛んでしまうと、肺塞栓による突然死や、脳塞栓による手足にしびれや動かしにくさが出現します。 血栓症を予防するには、弾性ストッキングを着用、さらに間欠的空気圧迫法にて、血液の流れを良くします。 肺にまつわる合併症 手術中は長時間もの間、寝た姿勢が続くため、肺に負担がかかります。肺がつぶれてしまう無気肺や、肺に水がたまる肺水腫のリスクがあります。また全身麻酔により、一時的に肺の機能が低下することで、痰の排出がうまくできず、痰が原因で肺炎を起こします。 術後は痛みや全身の倦怠感からうまく呼吸ができないことが多く、肺にまつわる合併症を防ぐためには、術前から深呼吸の練習や痰を出す練習をします。 また喫煙をすると、体内へ取り込む酸素の量が少なく、肺合併症のリスクを高めるほか、傷の治りにも影響を及ぼします。手術を検討されている喫煙者はなるべく早くから禁煙し、少しでも禁煙期間を長くします。最低でも手術が決まった時点で禁煙に取り組みましょう。 細菌感染 抗生物質を服用し、術後は傷口を清潔に保つよう予防はするものの、細菌感染が起こると再手術しなければなりません。また感染経路は傷口からだけとは限りません。 麻酔をかけるためのチューブを気管に挿入する際に、虫歯や歯槽膿漏、口内が汚染されていると、その細菌も一緒に気管に運んでしまう可能性があります。手術を受ける前には虫歯や歯槽膿漏の治療を行うことと、丁寧に歯磨きをしてから手術に臨みます。 人工関節のトラブル 術後は人工関節の破損に注意です。術後はなるべく早くからリハビリに取り組むと、膝の働きが良くなるため早期離床が大切です。しかし、いきなり強度な運動をしてしまうなど、無理がかかると、人工関節の緩み・破損・摩耗や脱臼の危険性があります。 術後、人工関節のトラブルを防ぐには、焦ってリハビリを進めないことと、膝に負担をかけない生活を送るなど工夫が必要です。 まとめ・変形性膝関節症|高齢者も知っておくべき手術の種類とそのリスク 変形性膝関節症の手術を受ける場合、高齢であるほど人工関節置換術が適応されます。 人工関節置換術を実施すると、痛みのない生活を送れることが期待できます。しかしリスクもありますので、手術を検討されている方は、術後にそんなはずではなかったと後悔しないように、手術のリスクについてもしっかり把握しておきましょう。 また加齢とともに、体力や筋力・術後のリハビリに取り組めるか不安がある方は、一度、担当医に相談してみることをおすすめします。以上、変形性膝関節症の手術で高齢者も知っておくべき手術のリスクについて記しました。参考にしていただければ幸いです。 ▼ 再生医療の幹細胞治療が変形性膝関節症の治療を変える! 変形性膝関節症の新たな選択肢、再生医療の幹細胞治療で手術せずに症状を改善できます ▼手術に関し、以下もご参考にされませんか 変形性膝関節症の手術と保険費用について詳しく解説します
2022.02.02