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変形性膝関節症の治療は早期発見が鍵!初期症状を見逃さないために 膝に痛みを及ぼす疾患が変形性膝関節症です。 変形性膝関節症になると、人間の基本的な動作である「歩行」に影響をもたらすことで、活動量が減るなど日常生活に支障を及ぼします。その原因は、靭帯や半月板の怪我からくる場合を除いて、ほとんどは加齢に伴った関節軟骨の摩耗がきっかけです。 特に40代以降の女性に多く発生するため、中高年で感じる膝の痛みのほとんどは、変形性膝関節症からくる痛みだともいわれています。そんな変形性膝関節症の治療方針は、膝に負担のかかる生活スタイルを見直し、膝周囲の筋肉を鍛える運動療法に取り組むことです。 そうした保存療法の継続が、関節を安定させ、これまで通りの痛みのない日常につながるのです。そのためには、いかに早期に発見できるかがポイントです。そこで今回は、変形性膝関節症の初期症状から、もし当てはまった場合には、実際にどういった行動に移せば良いのかまで紹介していきます。 https://youtu.be/9VSwPk2W00c?si=IYMgxnvpsV2MHmJB 変形性膝関節症の進行度と症状 変形性膝関節症の自覚症状は、前期>初期>中期>末期の4つの段階を踏んで進行していきます。前期では、膝にほとんど痛みはありませんが、初期になると軟骨がすり減り始め、膝に痛みや違和感や感じるようになります。 進行が進んだ中期になると膝に変形がみられ、さらに進行した末期になると痛みから立つ・歩くなどの日常生活を過ごすのが困難になり、手すりや杖などに頼らないと姿勢を保てない状態になります。 症状 変形性膝関節症・進行度 前期:ほとんど痛みを感じない 初期:軟骨にすり減り、痛み、違和感を感じ始める 中期:膝に変形がみられる 末期:日常生活が困難になる、手すり杖が必要になる 変形性膝関節症の初期に現れやすい症状 変形性膝関節症は早期発見が大切です。そのためには進行が始まり、「痛み」や「違和感」を感じだす前段階で発見することが重要になります。 この段階で異変に気づき病院を受診され、変形性股関節症を早期に発見できれば、治療の選択肢が増えるだけでなく、積極的に運動療法に取り組め、重症化を防げる可能性が高くなります、。 初期症状を見逃さないポイント 朝起きた時に膝にこわばりを感じる 膝を伸ばそうとすると引っ掛かりを感じる 椅子から立ち上がろうとすると痛みが走る 歩き出しに痛みがある 正座をすると「ズキっ!」と痛みを感じる 早期発見が治療の選択肢を増やす 変形性膝関節症に早期に気づき、運動療法に取り組むことで悪化を防ぐことができます。運動療法で痛みが引かない場合、薬物療法や物理療法、装具療法などで痛みを抑えながら、運動療法に取り組めるよう工夫します。 あらゆる手を尽くしても効果がみられない場合には、観血療法という選択肢がありますが、手術の種類によっては進行しすぎていると実施できないケースがあります。 たとえば、体への侵襲が大きな人工関節置換術や高位脛骨骨切り術を、「今はしたくない」場合には、負担が少なく、術後の回復も早い関節鏡視下手術という選択肢があります。 しかし、変形が進行した状態では、関節鏡視下手術をしたところで、改善が見込めない場合があるので注意が必要です。 変形性膝関節症の初期は運動療法で悪化を防ぐ 変形性膝関節症の治療の基本は運動療法ですが、初期から実施するのと、末期から実施するのでは大きな違いがあります。初期の運動療法には悪化を防ぐ目的があり、継続して行うとこれまで通りの生活を送れる可能性があります。 一方、発見が遅れた末期では、痛みが強く日常生活をまともに送るのは難しい状態です。そのため、満足に運動療法に取り組めず、これまで通りの生活を送れる可能性は低くなることから、早期発見が変形性膝関節症の治療において大切です。 変形性膝関節症と診断されるまで 中高年以降で、膝に「痛み」や「違和感」を感じたら整形外科の受診をおすすめします。 変形性膝関節症の診断は、問診・視診・触診・画像診断などの検査を複合して判断されます。問診では家族歴・半月板や靭帯損傷などの怪我の既往歴を聞き、視診では歩行状態から進行の程度を確認、触診では膝の変形具合や水がたまっていないかなどを確認します。 変形性膝関節症の進行の程度は、X線検査の後、Kellgren-Lawrence分類によって分けられます。関節の隙間が確保されているグレード0から、関節の隙間がなくなってしまった状態のグレード4まで分けられます。 しかし、必ずしも画像診断の進行度合いと自覚症状が一致するとは限りません。画像診断では進行していても、自覚症状があまり強くない場合や、その逆の場合もあります。 そのため、軽度の痛みや、ちょっとした違和感でも変形性膝関節症が進んでいる可能性があることから、注意が必要です。 変形性膝関節症と似た病気 膝に痛みがあっても、全ての膝の痛みが変形性膝関節症ではありません。膝関節以外の痛みや発熱の有無など、問診や触診の情報を元に、「関節リウマチ」「痛風」「化膿性関節炎」などを疑います。 検査では血液検査や関節液の成分を検査し、検査結果を元に変形性膝関節症以外の病気である要素を取り除いた上で、はじめて変形性膝関節症と診断されます。 まとめ・変形性膝関節症の治療は早期発見が鍵!初期症状を見逃さないために 変形性膝関節症は中高年以降の女性に多く発生する病気で、膝の痛みの多くは変形性膝関節症からだといわれています。 変形性膝関節症の症状は、痛みと変形が特徴です。初期には強い痛みや変形を感じることは少ないものの、変形性膝関節症は進行性の病気です。放っておくと取り返しがつかないところまで進行するケースがあります。 そうならないためにも、早期に変形性膝関節症に気付くことが治療の選択肢を増やし、悪化を防ぎます。 変形性膝関節症の早期発見ができれば、保存療法(運動療法、薬物療法など)や手術療法というように、あらゆる選択肢の中から、膝の状態や自分自身の意向に沿って治療に取り組めるのです。 そのため、「軽度な痛み」や「違和感」程度でも放ったらかしにしないで、整形外科を受診しましょう。 ▼ 再生医療で変形性膝関節症の治療する 変形性膝関節症の新たな選択肢、再生医療の幹細胞治療で手術せず、入院不要で症状を改善する ▼以下も参考にしてください 変形性膝関節症の進行度合!症状のステージを自覚症状から分類する
2024.02.14 -
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「ヘルニアの内視鏡手術って本当に安全なの?」 「PELDやPEDってよく聞くけど、デメリットもあるのかな?」 このような疑問をお持ちではないでしょうか? 腰椎椎間板ヘルニアの代表的な手術に、 PELD(経皮的内視鏡下腰椎椎間板摘出術)とPED(経皮的内視鏡下椎間板摘出術) があります。 これらの手術は、傷口が小さく回復が早いというメリットがありますが、すべての患者様に適しているわけではありません。 たとえば、再発のリスクや適応範囲の限界 など、事前に知っておくべきポイントがあります。 そこで本記事では、ヘルニアの内視鏡手術(PELD・PED)のデメリットについて詳しく解説します。手術の詳細がわかれば、後悔のない選択ができるでしょう。 【前提知識】椎間板ヘルニアの内視鏡手術PELD(PED)とは? 椎間板ヘルニアを手術する方法のひとつに、経皮的内視鏡下椎間板摘出術(Percutaneous Endoscopic Discectomy:PED)があります。 PEDのうち、特に腰椎に対して行うものを経皮的内視鏡的腰椎椎間板摘出術(Percutaneous Endoscopic Lumbar Discectomy:PELD)と呼びます。 この手術は7mmか8mmの細い内視鏡を使い、生理食塩水を流しながらヘルニアを取り除きます。 手術の目的は、神経を圧迫しているヘルニアの部分だけを取り除くことです。健康な椎間板はできるだけ残すため、手術後に腰痛が起こるリスクを減らせます。 この手術が適応となる疾患には、主に神経根型の椎間板ヘルニアなどの変性疾患や、化膿性椎間板炎という炎症性疾患があります。 PED/PELDは神経を圧迫しているヘルニアの突出部分を取り除き、痛みやしびれを軽減することを目的としています。 ただし、これらの手術は、すべてのヘルニア患者に適しているわけではありません。 手術を受ける前には、詳細をよく理解し、医師としっかり相談することが大切です。 なお、椎間板ヘルニアの治療においては「再生医療」も選択肢として挙げられます。再生医療とは人間の自然治癒力を活用した医療技術で、自身の幹細胞を培養して患部に注射し、損傷している組織の修復と再生を促します。 具体的な治療方法が知りたい方は、再生医療専門の『リペアセルクリニック』にお問い合わせください。 椎間板ヘルニア内視鏡手術のデメリット 内視鏡手術は体への負担が少なく、回復が早いとされていますが、いくつかのデメリットもあります。 後悔しない治療選択をするために、注意すべきポイントを5つ紹介します。 手術後に合併症や後遺症が出る可能性がある 再発のリスクがある 手術ができないケースもある 手術できる病院が限られる 1回で2箇所以上の手術ができない 手術を検討している方は、リスクも含めてしっかりと理解しておきましょう。 手術後に合併症や後遺症が出る可能性がある 頻度としては低いものの、ヘルニアを摘出する際の神経損傷や脊髄損傷が起こり、後遺症として手足のしびれや麻痺などが出てしまう場合があります。 また、椎間板の再突出などの合併症が生じる可能性もあります。 再発のリスクがある 椎間板ヘルニアの内視鏡手術を受けたとしても、症状が再び現れる可能性はゼロではありません。 なぜなら、手術で取り除けるのは、あくまでも飛び出した椎間板の一部だからです。 手術後に、残った椎間板に負担がかかったり、別の場所が新たに飛び出したりすると、再び痛みやしびれなどの症状があらわれることがあります。 手術ができないケースもある 内視鏡手術は、すべての椎間板ヘルニアに適用できるわけではありません。 PELDは細い内視鏡を使用するため、ヘルニアの突出が大きい場合は、手術ができない場合があります。 また、骨の変形がひどいと、内視鏡を正しい位置に挿入できず、手術自体が危険になる可能性があります。 そのため、PELDを受ける前には、MRIを含む画像検査でヘルニアの状態を詳しく調べ、医師とよく相談した上で手術方法を決める意識が大切です。 手術できる病院が限られる 内視鏡手術は、どの病院でも受けられるわけではありません。 高度な技術が必要なため、経験豊富な医師がいる医療機関でのみ対応しています。専門的な知識と技術が求められ、設備が整っていない病院では対応が難しいです。 通院可能な範囲に手術ができる病院があるとは限らず、遠方まで行く必要がある場合もあります。 手術を希望する場合は、対応している病院を事前に調べ、適切な医療機関を選びましょう。 1回で2箇所以上の手術ができない 椎間板ヘルニアの内視鏡手術では、一度に2箇所以上の手術ができない場合があります。 手術は身体への負担が大きく、一度に多くの場所を手術すると、回復に時間がかかったり、合併症のリスクが高まったりするからです。 椎間板ヘルニアが2箇所以上にある場合は、症状がとくにひどい場所から手術をおこないます。そして、手術後の状態を見ながら、症状が改善しないようであれば、数カ月後に別の場所を手術する流れがよく採用されます。 椎間板ヘルニア内視鏡手術のメリット 次に、椎間板ヘルニア内視鏡手術における主なメリットを解説します。 体に与えるダメージが低い 脊柱周囲のダメージを抑えられる 局所麻酔下でも手術が行える 日帰りで手術が行える 手術成績が良好である メリットを把握すれば、手術を決断した際の不安が軽減されるでしょう。 体に与えるダメージが低い 内視鏡手術は、体への負担が少ない治療法です。 皮膚の切開が小さく済むため、傷跡が目立ちにくく、回復も早くなります。 開放手術では大きく切開するため、術後の痛みが強くなる傾向がありますが、内視鏡を使う方法なら最小限のダメージで済みます。そのため、日常生活への復帰もスムーズに進みやすいです。 負担の少ない治療法を選びたい方に適しているでしょう。 脊柱周囲のダメージを抑えられる 内視鏡手術は、背骨の周りの筋肉や組織へのダメージを最小限におさえられます。内視鏡を使ってヘルニアの部分に直接アプローチできるからです。 従来の切開手術では、背骨の周りの筋肉を大きく切開する必要がありました。しかし、内視鏡手術では小さな穴から内視鏡を挿入するだけで済みます。 手術後の筋肉や組織のダメージが少ないため、入院期間が短縮され、早期の社会復帰が期待できます。 局所麻酔下でも手術が行える 内視鏡手術では、部分的な麻酔(局所麻酔)で手術が受けられる場合があります。 麻酔は、高齢者や肥満の方に負担がかかります。そのため、局所麻酔を選択できるのは、麻酔が負担になる患者さんにとって大きなメリットといえるでしょう。 ただし、局所麻酔では、手術中に痛みを感じれば、治療を中断せざるを得ません。強い痛みを伴う場合は、全身麻酔が推奨されます。 日帰りで手術が行える 日帰り手術が可能な点も、内視鏡手術のメリットです。内視鏡手術は、小さな切開で済むため、入院せずに治療を終えられる可能性があります。 長期の入院が難しい人や、仕事や家庭の都合で休みを取りづらい人にとって、大きな利点となるでしょう。 手術成績が良好である 多くの研究で内視鏡手術の高い成功率が報告されています。とくに、足のしびれや痛みの緩和に効果が高いです。 身体への負担が少ない手術なので、合併症のリスクも低いことがわかっています。 椎間板ヘルニアの治療や術後の後遺症には「再生医療」の選択肢もある 椎間板ヘルニアの治療や術後の後遺症における治療法に「再生医療」の選択肢が挙げられます。 再生医療とは人間の自然治癒力を活用した新しい医療技術です。 椎間板ヘルニアの症状である手足のしびれ・歩きにくさが改善した症例が数多く報告されています。 当院リペアセルクリニックでは、椎間板ヘルニアの治療についてご相談を受け付けております。メール相談やオンラインカウンセリングより気軽にお問い合わせください。 まとめ|椎間板ヘルニアの内視鏡手術のデメリットも理解した上で手術を検討しましょう 内視鏡手術が失敗してしまう可能性は低いと考えられていますが、脊髄損傷や神経損傷の可能性は「0」ではありません。 しかし、内視鏡手術は体への負担が少ない手術なので、早期の社会復帰が期待できます。 手術のメリット・デメリットの両面を理解した上で治療方針を固めていくと、不安が軽減されるでしょう。 体に負担の少ない治療においては再生医療も選択肢として挙げられます。 椎間板ヘルニアの治療や後遺症などにお悩みの方で再生医療にご興味のある方は、ぜひ一度ご相談ください。 参考文献 尾原裕康ほか「経皮内視鏡下腰椎椎間板ヘルニア摘出術の現状と今後の展望」『脊髄外科』VOL30(2)pp.152-158 2016年 https://www.jstage.jst.go.jp/article/spinalsurg/30/2/30_152/_pdf(最終アクセス:2025年2月21日) 平野仁祟ほか「腰椎椎間板ヘルニアに対する経皮的内視鏡下腰椎椎間板摘出術(percutaneous endoscopic lumbar discectomy)の適応と限界」『脳外誌』:26(5)pp.346-352. p347 2017年 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jcns/26/5/26_346/_pdf(最終アクセス:2025年2月21日) 平野仁祟ほか「経皮的内視鏡下腰椎椎間板摘出術(percutaneous endoscopic lumbar discectomy:PELD)の現状と今後の展望」『脊髄外科』VOL28(3)pp.310-312 2014年 https://www.jstage.jst.go.jp/article/spinalsurg/28/3/28_310/_pdf(最終アクセス:2025年2月21日)
2024.02.08 -
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腰椎椎間板ヘルニアのPELD(PED)内視鏡下手術ついて つらい腰椎椎間板ヘルニアの症状にお困りではありませんか? 「薬もリハビリも効かず、根本的に良くしたい」「でも、できれば体に大きな負担がかかる手術はしたくない」 そう思っておられる方も多いでしょう。そんな方でも、近年技術の進歩が目覚ましい内視鏡を用いた負担の少ない手術なら、抵抗感が少ないかもしれません。 本記事では、内視鏡による椎間板ヘルニアの手術の一つである「PELD(PED)」の概要についてご説明します。PELD(PED)の費用や合併症、術後のしびれ、痛みなどの後遺症への治療についても解説をしていきます。 腰椎椎間板ヘルニアの内視鏡手術について 腰椎椎間板ヘルニアは、痛み止めやリハビリなど保存療法を行なっているうちに自然に改善する可能性のある疾患です。多くの場合、3ヶ月以内にはヘルニアは吸収されると言われています。ところが、一部の方は症状が残ってしまうことがあります。また、ヘルニアが神経を圧迫し、足の運動麻痺や排尿障害をきたすなど日常生活に影響を及ぼすケースもあるのです。 「早期の症状改善を希望する場合」「保存療法の効果が不充分である場合」「神経の症状が出た場合」は手術療法を行います。 手術療法の適応 早期の症状改善を希望する場合 保存療法の効果が不充分である場合 神経の症状が出た場合 その中でも、内視鏡による手術は手術の創(手術でできる傷)が小さく、体に負担がかかりにくいため注目を集めています。 内視鏡による椎間板ヘルニアの手術は、PELD(PED)とMED(※)と呼ばれる二つの術式に分かれます。とりわけ、手術侵襲が最小限に抑えられるのがPELD(PED)です。病院によっては日帰り手術が可能としているところもあるくらいです。 PELD(PED)とは PELD(PED)はPercutaneous Endoscopic Lumbar Discectomy (Percutaneous Endoscopic Discectomy)の略です。日本語では、経皮的内視鏡下腰椎椎間板摘出術と呼びます。おおよそ7mm程度のとても細い筒状の手術器具を用います。内視鏡を見ながら椎間板内に直接アプローチして脱出したヘルニアそのものを摘出する手術です。 なお、PELDとPEDの2つの違いはなく、どちらも同じものを指します。 近年は、同様の手術手技の適応が広がっています。ヘルニア以外の疾患の治療や、腰椎ではなく頚椎の疾患にも用いられることもあるのです。そのため、腰椎という意味の”Lumbar”ではなく、脊椎という意味の「スパイン」“Spine”という単語を使ってFESS: Full Endoscopic Spine Surgery(あるいはFED: Full Endoscopic Discectomy)とも呼ばれます。 PELD(PED) の適応 PELD(PED)は従来の手術よりも小さい手術の傷のみで手術ができます。そのため、体への負担が軽いです。また、全身麻酔を用いることもありますが、局所麻酔のみでも行う病院もあります。術後の安静が必要な期間も短く、日帰り〜数日の入院のみで退院できます。 PELD(PED)中は内視鏡の映像のみで進めていきます。視野を見やすくするため内視鏡の使用時には生理食塩水を流し続けます。そのため、従来の内視鏡を用いた手術よりも術後の癒着が起こりにくいです。 これらの特徴から、PELD(PED)は学業や仕事を休みにくい若い人・早く復帰をしたいスポーツ選手・全身麻酔のリスクが高いお年寄りや肥満の患者さんには良い治療法です。 PELD(PED)が向いている人 学業や仕事を休みにくい若い人 早く復帰をしたいスポーツ選手 全身麻酔のリスクが高いお年寄りや肥満の患者さん また、全身麻酔が必ずしもいらないので、急速に神経症状が進んだり排尿障害が起こったりなど緊急を要する場合にも良い選択肢となります。 PELD(PED)の弱点 一方で、PELD(PED)の手術に用いる器具がとても細いがゆえの弱点もあります。 まず、狭い筒を介してアプローチすることになるため、大きくて固いヘルニアに対応するのは困難です。 また、内視鏡をヘルニアに入れられる方向にも制限が生じるため、ヘルニアの飛び出し方によっては不向きと判断されることもあります。 PELD(PED)が不向きな人 大きくて固いヘルニア ヘルニアの飛び出し方の状態 上記のように、病状によっては不向きなことがあります。 PELD(PED)の手術費用 PELD(PED)は、公的医療保険の対象となっています。手術を受ける方の状況により1〜3割負担で治療を受けることができます。さらに「高額療養費制度」を使うことができるため、医療費は最終的に上限額を超えることはありません。 保険適応の場合の最終的な費用負担は、数万〜20万円程度と考えられます。手術の内容や入院の有無・期間、患者さんの世帯の収入などによって負担額は異なりますので注意が必要です。 ただし、病院によっては自費診療でPELD(PED)を行なっているところもあります。自費診療のほうが柔軟な対応ができるのです。公的保険は検査の日程や手術器具などにおいて様々な制約が生じます。 一方で自費診療では高額な費用がかかります。その金額もそれぞれの病院が設定するため、一概にいくらとは言えません。さらに、自費診療の場合、高額療養費制度の対象外となります。 PELD(PED)の合併症 PELD(PED)は比較的体への負担が少ない手術ではありますが、どのような手術でも合併症の可能性はあります。 特に注意すべき合併症は次の4つです。 注意したい合併症 神経障害 硬膜損傷 術後血腫 感染 ひとつずつ解説していきます。 神経障害 まず、神経障害が挙げられます。手術中にヘルニアの近くの脊髄やそこから伸びる神経の根本(神経根)を触ってしまうことで、神経の損傷が起こることがあります。足がしびれたり痛んだり、足の筋力が落ちたり、排尿機能の障害が起こったりすることがあるのです。 硬膜損傷 硬膜損傷とは、脊髄を包んでいる硬膜が手術手技により破れてしまうことです。脊髄神経は硬膜に包まれて、脳脊髄液に浮いています。硬膜が破れると、そこから脳脊髄液が漏れ出します。とくに起き上がった時に脳脊髄液が漏れ出して脳や脊髄を引っ張ることが多く、頭痛の原因になります。 術後血腫 また、手術後に出血がコントロールできずに血の塊(血腫)を作ってしまうことがあります。血腫が脊髄から出てくる神経を圧迫してしまうとやはりしびれ・痛みや麻痺などの原因となるのです。 感染 さらには、手術の傷が感染を起こすことがあります。ただし、PELD(PED)は非常に傷が小さく、しかも手術中に生理食塩水を流し続ける術式です。創の感染は他の術式に比べて非常に少ないとされています。 合併症による後遺症に対する再生医療の可能性 PELD(PED)による合併症が起こった時に心配すべきは、後遺症が残ってしまうことです。特に神経の損傷が起こると、しびれや痛み・麻痺などが残ってしまう可能性があります。 従来、神経が傷つくと再生は困難と言われていました。しかし、最先端の再生医療である幹細胞治療は組織の再生力を高めることができます。 再生医療により、治らないとされていた脊髄損傷など神経の障害も、改善する可能性が出てきたのです。PELD(PED)の術後後遺症も幹細胞治療の適応です。 当院では脊髄損傷後の後遺症に対して、幹細胞治療を行っております。当院の細胞加工室は細胞を冷凍することなく輸送・保存しています。そのため、生き生きとした幹細胞を大量に投与することが可能です。 さらに、点滴投与に加えて、損傷した脊髄に対して直接幹細胞を投与できるように脊髄腔内ダイレクト注射療法を行なっております。点滴単独よりも脊髄に届く幹細胞の数が多くなります。 「フレッシュな細胞」を「より多く」損傷部位に届けることで、脊髄損傷の治療において良好な治療成績をおさめてきました。 さらに、患者さん本人の脂肪細胞・血液を培養に用いることで、アレルギーや感染などのリスクを極力減らして安全性の高い治療を提供しております。 まとめ・腰椎椎間板ヘルニアのPELD(PED)内視鏡下手術とは PELD(PED)手術は、ヘルニアのつらい症状に対して有効な治療法の一つです。内視鏡を使用して行う治療で、傷は小さく体への負担も最小限です。手術後の安静期間も短く、早い社会復帰も望めます。 ただし、病状によっては不向きなこともあります。また、どんなに体への負担が小さいといっても、手術による合併症のリスクが全くないわけではありません。術前に事前情報をしっかり把握し、納得した上で受けましょう。 ▼何も起こらないことが一番ですが、万が一後遺症が残ってしまった場合には最先端の再生医療である幹細胞治療が適応になります。もし術後の後遺症にお困りであれば、ぜひ一度、当院にご相談ください。 https://www.youtube.com/watch?v=GcUDE6GCblE 参考文献 八木 貴, 木内 博之. 日本医事新報 (4843): 54-54, 2017. 平野 仁崇, 伊藤 康信, 水野 順一, 沼澤 真一, 渡邉 貞義, 渡邉 一夫. 脊髄外科, 28(3):310-312, 2014. 平野 仁崇, 水野 順一, 沼澤 真一, 伊藤 康信, 渡邉 貞義, 渡邉 一夫. 脳神経外科ジャーナル, 26(5): 346-352, 2017. 南出晃人. 整形外科看護 25(11): 1094-1099, 2020. 出沢明. Loco CURE 5(2): 156-163, 2019. 日本整形外科学会, 日本脊椎脊髄病学会. 腰椎椎間板ヘルニア診療ガイドライン2021 改訂第3版. ▼ヘルニアの治療法について 腰椎椎間板ヘルニアの症状レベルとは?医師が詳しく解説
2024.02.05 -
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減圧症では、体内にできた気泡が神経や関節、血流に影響を与えることで、治療後もさまざまな症状が続くことがあります。 とくに重症例や治療までの時間が長かった場合には、後遺症として症状が長引くこともあります。 しかし、後遺症といっても必ずしも一生続くわけではなく、経過観察やリハビリによって回復が見込めるケースも少なくありません。 本記事では、減圧症の後遺症として現れやすい症状の例や回復までの目安、再発を防ぐための注意点などについてわかりやすく解説します。 なお、当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 気になる症状や再生医療について詳しく知りたい方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 減圧症の後遺症で主な症状とその特徴 減圧症は早期に治療を受けることで多くの場合改善が期待できますが、重症度や治療までの時間、個人の体質などによっては後遺症が残る場合があります。 ここでは、減圧症の後遺症としてよく見られる主な症状と、その特徴について解説します。 関節痛・筋力の低下 減圧症の後遺症で比較的多く見られるのが、関節や筋肉に痛みや違和感が残るケースです。 これは関節内にできた気泡や周囲の組織へのダメージが原因とされ、軽い痛みが長引く可能性があります。 さらに重症化すると、筋力の低下やしびれが進行して歩行障害を引き起こす場合もあり、日常生活に支障をきたすことがあります。 手足のしびれや感覚異常 手足のしびれや感覚の鈍さは、減圧症の後遺症としてみられる症状のひとつです。 とくに指先や足先など、末端部分に症状が出やすく、これは神経内に発生した気泡や血流の障害が原因とされています。 軽い場合は数日から数週間で自然に軽快することもありますが、長く続く場合には神経にダメージが残っている可能性も考えられます。 めまい・疲労感・集中力の低下 脳や中枢神経系に気泡ができた場合には、めまいや頭痛、慢性的な疲労感、集中力の低下といった症状が後遺症として残る場合があります。 上記症状は一見すると減圧症とは結びつきにくいため、「なかなか疲れが取れない」「集中できない」といった変化を見過ごしがちです。 さらに、精神的なだるさや注意力の低下は日常生活や仕事に影響を及ぼすため、放置すると生活の質を下げる原因にもなります。 後遺症が残るケースの特徴 減圧症の後遺症が残るかどうかは、さまざまな要因によって変わります。 治療を始めるまでの時間が長いほど、気泡による組織へのダメージが進行し、後遺症が残りやすくなるとされています。 また、重症度が高かったケースや、高齢者は回復力が低下していることもあり、症状が長引く傾向があります。 適切な治療を早期に受けること、経過観察を怠らないことが後遺症を軽減するための重要なポイントです。 後遺症は自然に治る?回復の目安と経過観察のポイント 減圧症の後遺症は、症状の種類や重症度、治療を始めたタイミングなどによって回復の経過は大きく変わります。 ここでは、自然に改善するケースと、長期的な経過が必要なケース、それぞれの対応やポイントについて解説します。 数日〜数週間で改善する場合 減圧症による軽度の神経症状や感覚異常は、治療後に数日から数週間程度で自然に回復するケースが多いです。 たとえば、軽いしびれや関節の違和感は、血流の回復や神経の炎症が落ち着くことで徐々に改善します。 ただし、症状が軽いからといって自己判断で経過を見続けるのではなく、医師の指導のもとで様子をみることが大切です。 経過観察により後遺症を早期に発見すれば、適切な処置が受けられます。 後遺症が長期的に続く場合の対応 減圧症の後遺症は、短期間で症状が回復するケースがある一方で、症状が長期的に続くケースもあります。 重症度が高い場合や治療開始が遅れた場合、神経や関節などの組織にダメージが残りやすく、数か月から年単位で経過を見る必要が出てきます。 このような場合は、定期的な神経検査による評価や、後遺症の進行を抑えるための経過観察が重要です。 また、高気圧酸素治療を追加で行ったり、理学療法やリハビリを通じて筋力や可動域を維持・改善したりすることも有効です。 医療機関と連携し、根気強く対応することが回復を支えます。 早期治療が後遺症リスクを減らす 減圧症では、発症から治療までの時間が後遺症のリスクに大きく影響します。 後遺症を防ぐためには症状が軽く見えても油断せず、早めに医療機関を受診することが大切です。 不安を感じたらすぐに相談する姿勢を持ちましょう。 減圧症の後遺症が疑われるときの対処法 減圧症の後遺症が疑われる場合は、以下のような症状が現れていないか確認しましょう。 激しい頭痛やめまいが続く 意識がぼんやりする、混乱が見られる 手足の麻痺や強いしびれが進行している 呼吸が苦しい、胸の痛みを伴う 歩行が困難になるほどの筋力低下 これらの症状は、神経や循環器の深刻な障害が関係している可能性があり、放置すると後遺症が悪化するおそれがあります。 気になる症状がある場合は、できるだけ早く医療機関を受診してください。 また、後遺症が疑われるときは、減圧症を診療した経験のある医療機関を受診するのが望ましいです。 高気圧酸素治療を行っている専門施設をはじめ、神経内科では神経症状の評価や治療を、整形外科では関節痛や運動機能の評価を、リハビリテーション科では機能回復や生活指導を担当します。 症状の内容や重症度によって適切な診療科は変わるため、まずはかかりつけ医に相談し、必要に応じて専門医を紹介してもらう方法も有効です。 減圧症の再発を防ぐためにできること 減圧症は一度発症すると、体の状態やダイビングの習慣によっては再発のリスクが高まる場合があります。 後遺症が残る不安を減らし、安全にダイビングを楽しむためには、日頃からの対策が欠かせません。 ここでは、減圧症の再発を防ぐために意識したい3つのポイントを紹介します。 安全なダイビング計画を立てる 健康状態の自己管理 後遺症がある人のダイビング再開はまず専門家に相談する それぞれのポイントについて、詳しくみていきましょう。 安全なダイビング計画を立てる 減圧症を防ぐための基本は、無理のない安全なダイビング計画を立てることです。 急浮上を避け、適切な浮上速度を守る、安全停止を確実に行うなど、ダイビング中の基本動作を徹底しましょう。 また、無減圧潜水時間や水深なども十分に管理し、複数ダイブを行う際はしっかりと間隔を空けるなど、計画段階からリスクを減らす工夫が重要です。 健康状態の自己管理 身体のコンディションは減圧症のリスクに大きく影響します。 脱水状態や過度な疲労、風邪などの体調不良は、血液循環や代謝を乱し、気泡の排出を妨げる要因となります。 ダイビング前日は十分な睡眠をとり、飲酒は控え、水分補給をしっかり行うなど、自分の健康状態を万全に整えることが再発予防には欠かせません。 後遺症がある人のダイビング再開はまず専門家に相談する すでに減圧症の後遺症が残っている場合、再発リスクを最小限に抑えるためには慎重な判断が必要です。 自分の判断だけでダイビングを再開するのではなく、担当医や高気圧酸素治療の専門医など、専門家への相談を強くおすすめします。 症状の程度や体調、潜水計画を含めた総合的なリスク評価を受けることで、安全性を高め、安心して趣味を続けられる可能性が広がります。 まとめ|減圧症の後遺症は放置せず専門家に相談することが大切 減圧症は適切な治療を受けることで多くの場合は改善しますが、場合によっては手足のしびれや関節痛、めまいや集中力の低下などの後遺症が残る可能性があります。 こうした症状を「そのうち治るだろう」と放置してしまうと、回復が遅れたり、生活への支障が大きくなったりする場合があります。 大切なのは、気になる症状が続く場合や変化を感じたとき、迷わず医療機関を受診し専門家に相談することです。 早期の対応や経過観察、リハビリを通じて後遺症のリスクを減らし、安心してダイビングを続けるためにも、正しい知識を持ち、適切な行動を心がけましょう。
2024.01.25 -
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- 大腿骨骨頭壊死
- 脊椎
- 股関節
減圧症の治し方と後遺症に対する最新の治療法を医師が解説 減圧症とは、高圧環境下で血中や組織中に溶解していた窒素などの空気が、急激な減圧により気泡化して起こる疾患です。潜水からの急浮上に伴うものが代表的であるため、「潜水病」と呼ばれることもあります。 軽い関節痛や痒み・発疹などの軽症から、脳障害や脊髄損傷をきたして死に至る重症まで症状は多様です。 本記事では発症直後の応急処置や再圧治療について解説します。後遺症に対する最新治療としての再生医療の可能性についてもご説明していきます。 減圧症の応急処置 回復体位 recovery position 減圧症をきたした際、専門的な治療ができる医療機関へ搬送を待つ間にできる応急処置をご紹介します。 もし患者さんに意識がなく、呼吸が止まっている状態であれば、速やかに胸骨圧迫(心臓マッサージ)や人工呼吸といった心肺蘇生を行う必要があります。AEDが準備できるのであれば速やかに装着しましょう。 脳の障害をきたすこともある減圧症では、脳圧をあげないために頭を下げる体勢は厳禁です。意識があれば仰向けで休ませましょう。 意識がなく、呼吸のみある状態であれば回復体位(上図)をとります。舌の付け根が喉を塞いだり嘔吐物で窒息をしたりしないために、下顎を突き出して横を向くような体勢にします。 呼吸の有無に関わらず必要なのが高濃度の酸素投与です。酸素には組織の窒素の洗い出し効果があるためです。設備があれば一刻も早く開始してください。 意識があれば水分補給を行いましょう。もし医療系の資格を持つ人がいて器材があれば点滴を行います。また、体を冷やしすぎないように保温に努めてください。 意識がなく、呼吸が止まっている状態 胸骨圧迫(心臓マッサージ)や人工呼吸で心肺蘇生する 意識がなく、呼吸のみある状態 回復体位をとる(上図参照) 意識がある場合 仰向けで休ませる 水分補給を行う 器材があれば点滴を行う(医療資格保持者がいる場合) 注意点 設備があれば呼吸の有無に関わらず高濃度の酸素を投与する 頭を下げる体勢は厳禁 体を冷やさないように保温する なお、再度潜水をして症状軽減をはかる「ふかし」は絶対に行ってはいけません。 ふかしは、空気を使用するため、酸素投与と比較しても窒素の洗い出し効果の効率が悪いためです。再度浮上した時に症状が再燃したり、場合によっては増悪したりするリスクがあります。 減圧症の治療 治療の原則は「再圧治療」です。 再圧治療とは 治療を受ける人は、専用の治療タンク内に入ります タンク内の気圧は水中でかかるくらい高い圧まで上がります その中で患者さんは純酸素を吸入します 高い気圧により気泡は圧縮され、再度血液や組織中に溶け込みます その結果、血流の回復が期待できる治療法です さらに高濃度酸素を投与することで、組織へ効率よく酸素が運ばれてきます。 組織に酸素が届くと、窒素が洗い出されます。窒素は肺へ集まり、体外へ排出されるのです。 一定時間、高い気圧をかけたら、その後はゆっくり減圧行います。こうすることで、再度気泡ができることを防ぎます。 高い気圧をかける時間や減圧については、世界的に標準治療として使用されている「米海軍酸素再圧治療表6」に従って行うことが原則です。 初回で可能な限り症状をなくしてしまうことが重要であるため、経過を見ながら治療時間の調整が行われます。それでも症状が残ってしまった場合は、症状の回復の可能性があるのであれば複数回の再圧治療を行うこともあるのです。 減圧症の後遺症 減圧症により脳や脊髄の障害が起こっても、早期に適切な治療が行われれば症状の消失が期待できます。しかしながら、治療が遅れたり適切な治療がなされなかったりすると後遺症を残す可能性があります。 後遺症の症状は障害部位により多様です。以下に代表的な後遺症をお示しします。 内耳障害 聴覚と平衡感覚に関わる第Ⅷ脳神経の障害です 基本的には適切な治療で改善します。 減圧症と気づかずに治療が遅れると耳鳴りやふらつきが残ります 対麻痺 主に下肢の両側に左右対称に起こる運動麻痺です 脊髄の障害による後遺症です。 膀胱直腸障害 脊髄の障害により、排尿や排便のコントロールが困難になります 尿がうまく出なくなったり、失禁を起こしたりします 感覚障害 脊髄および脳の障害いずれでも起こる後遺症です 痺れたり、感覚がわからなくなったりします 脳障害の後遺症として起こる場合は障害部位と反対側に認められます。 一方、脊髄の障害の場合は障害された部位より下に両側に起こることが一般的です。 片麻痺 脳の障害により起こります。 対麻痺と異なり、片側の手足の運動麻痺です。 これらの後遺症によりダイビングへの復帰が出来なくなるだけでなく、導尿が必要になったり車椅子生活を余儀なくされたりするケースもあるのです。 このような場合にはリハビリを行い、少しでも生活しやすくなるように工夫するより他にありません。 また、急性期の症状は回復して残らずとも、のちに骨壊死を起こすことがあります。減圧症により骨の循環障害が起こることで骨の一部が壊死してしまうのです。 もっとも多いのは大腿骨頭壊死です。発症直後は無症状ですが、徐々に骨頭が潰れていくため股関節痛が起こります。最終的には関節が破壊され、歩行が困難になってしまいます。 骨壊死が起こってしまうと症状の進行を止めることはできず、生活に支障が出れば手術が必要になるのです。 減圧症(潜水病)の後遺症は治せるのか?再生医療の可能性について 現在、最新の治療である幹細胞治療がさまざまな分野で注目を浴びています。減圧症の後遺症についても同様のことが言えるでしょう。 幹細胞治療は、「間葉系幹細胞」と呼ばれる色々な細胞に変化できる万能細胞の特性を活かした治療法です。幹細胞を採取して培養を行い、障害部位に投与することで組織の再生を促します。 一般的に回復しないとされていた脳卒中や脊髄損傷により傷ついた神経や、従来手術しかないと考えられてきた変形した関節の治療などが対象です。そのため減圧症の後遺症についても、幹細胞治療が役に立つ可能性があるでしょう。 ▼脊髄損傷に対する幹細胞治療についてはこちらの動画をご覧ください。 https://www.youtube.com/watch?v=5HxbCexwwbE まとめ・減圧症の治し方と後遺症に対する最新の治療法とは!医師が解説! 減圧症発症後の各段階での治療について解説をしました。 減圧症の後遺症は後の生活に大きな支障を及ぼします。まずは起こさないことが一番です。 不幸にして発症してしまった場合でも、速やかな治療により後遺症が残る可能性を抑えることができます。応急処置のための酸素の準備・心肺蘇生法の習得・搬送先の把握なども、潜水をする上で重要な準備と言えるでしょう。 この記事がご参考になれば幸いです。 ▼以下も潜水病に関する情報を記載しています 減圧症による脳障害|症状と後遺症、治療法について 参考文献 鈴木 信哉:潜水による障害,再圧治療. 高圧酸素治療法入門第6版. 日本高気圧環境・潜水医学会. 2017; 147-174. 小濱正博. レジデントノート 8(5): 667-674, 2006. 小島泰史, 鈴木信哉, 新関祐美, 小島朗子, 川口宏好, 柳下和慶. 日本渡航医学会誌 13(1): 27-31, 2019. 梅村武寛, 堂籠博. 日本医事新報 (5120): 40-41, 2022. 工藤大介. 日本医事新報 (5062): 78-79, 2021.
2024.01.22 -
- 幹細胞治療
- 脊髄損傷
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- 脊椎
減圧症による脊椎損傷の症状と治療法について解説 減圧症は、ダイビングなどで深いところから突然浅いところに浮上した際、高圧の環境で血液や組織に溶け込んでいた窒素が、減圧に伴って気泡を作り、様々な症状をもたらす病気です。気泡によって脊髄が損傷を受け、神経症状を起こしてしまうこともあります。 今回は、この減圧症についてわかりやすく解説していきます。 減圧症とは 減圧症とは、周りの圧力の低下に伴って、身体の中に溶解していた不活性ガス(主に窒素)が気化し気泡となることが原因となり、さまざまな症状が現れる病気です。 高気圧環境での労働や、高い場所での減圧によるものが知られているのですが、近年はダイビングによる発症が増加し、減圧症全体の20%以上を占めると言われています。 中高年のダイバーが増えている一方で、減圧症に対する知識の教育不足や治療環境が十分に整っているとは言えません。 さて、この減圧症は潜水後に発症することが多いために、潜水病と呼ばれることもあります。症状としては、関節痛や筋肉痛、めまい、意識障害といったものがあります。 減圧症の症状 減圧症では、身体の中にたまっていた窒素が気泡となり、膨張することで身体の組織を傷つけたり、血管を塞いだりすることでさまざまな症状が現れてきます。 脳の血管が気泡で詰まることで、脳卒中のような症状が現れてしまうこともあります。例えば、身体の片側の筋力低下、めまい、発語困難などです。また、窒素の気泡が生じると組織に炎症が起こり、筋肉や関節、腱の腫れや痛みも起こります。 さて、減圧症は大きく以下の2つのタイプに分けられます。 Ⅰ型(比較的軽症) 皮膚や筋肉の症状のみ。 腕や脚の関節、背中などに痛みが生じます。 初めは軽い痛みですが、徐々に増強し、鋭い痛みとなります。 軽度な症状であっても全てが自然治癒するわけではなく、徐々に症状が重くなることもあるので注意が必要です。 Ⅱ型(比較的重症) 呼吸器や循環器の症状、中枢神経症状を呈するもの。 軽いしびれから、重度の麻痺や死亡にまで至る場合もあります。 特に脊髄が障害を受けやすいとされています。脊髄が損傷を受けた場合は、腕や脚のしびれ、痛み、筋力の低下がみられます。 減圧症によって脊髄損傷を受けると、後遺症が残る場合もあります。つまり、治療が遅れてしまうか、十分に行われない場合に永続的な神経障害となる恐れもあり、減圧症による症状が治らないということになってしまうのです。 このⅡ型減圧症では、脊髄損傷が最も多いとされています。 脊髄は硬い硬膜で覆われているのですが、脊髄内に発生した気泡によって組織内の圧力が上昇し、血流障害などによって脊髄損傷が起こるとされています。 下位胸髄から腰髄、そして上部から中部胸髄が好発部位とされており、窒素と結びつきやすい脂質が多く含まれている部位が障害されやすいです。 症状は軽い痺れなどの異常感覚から、排尿・排便が難しくなる膀胱直腸障害を含む完全な四肢麻痺まで、さまざまです。 報告によっても異なりますが、日本では33-62%の脊髄損傷の方で後遺症が残ってしまうともされてます。 減圧症の長期的な影響として、減圧性骨壊死があります。骨壊死が進むと、日常の生活のレベルが著しく低下し、人工関節置換術などの手術も必要となることがあります。 さらに、減圧症では肺にも障害が現れることがあるのです。気泡が肺に及ぶと、咳や胸の痛み、呼吸困難が起こり、まれに死に至ることもあります。 減圧症の治療法 減圧症の治療法として最も大切なのは、高気圧酸素療法です。 重症であるⅡ型減圧症では、以下のような方法が用いられます。 高気圧酸素療法 ①水深18m相当の加圧下で、20分の酸素吸入 ②5分のインターバルを挟んで3回繰り返す ⇩ ③水深9m相当の加圧下で、60分の酸素吸入 ④15分のインターバルを挟んで2回繰り返す 水深18m相当の加圧下で、20分の酸素吸入を5分のインターバルを挟んで3回繰り返します。そしてその後、水深9m相当の加圧下で、60分の酸素吸入を15分のインターバルで2回行い、減圧します。 この治療法は以下のような作用があります。 血液や組織の中で気泡となった窒素を、血液や組織に再び溶解させる作用 窒素を身体から排泄させる作用 血液の流れが悪い部位に酸素を行き渡らせる作用 脊髄損傷において、高気圧酸素治療を繰り返すことで回復するケースもみられます。 高気圧酸素治療を行なっても、運動機能や知覚障害が残る場合、ステロイドの点滴治療や、歩行訓練・バランス訓練といった理学療法を行っていきます。 減圧症の予防法 ダイビングをするダイバーは、ガイドラインで決められているような減圧停止を行いながら浮上することで、減圧症を予防することができます。 また、注意点として、ダイビングをしてから12〜24時間以内に飛行機に乗ると減圧症のリスクが高まると言われています。そのため、ダイビングを行ったあとは飛行機に乗ったり高地に行ったりする前に、海抜0メートル地点に12-24時間ほど滞在することが勧められています。 まとめ・減圧症による脊椎損傷の症状と治療法について解説 今回の記事では、ダイビングを行う上では知っておくべき潜水病について解説しました。 脊髄損傷の後遺症が残ってしまった場合の最新の治療法として、再生医療があります。 当院では、幹細胞治療として、自分の脂肪から培養した脂肪由来間葉系幹細胞治療を行っています。この治療は、幹細胞を脊髄腔内に直接注入するというものです。 今までに、脊髄損傷の症状が改善されたという報告も寄せられています。 ▼減圧症などで脊髄損傷を起こしてしまった方で、再生医療にご興味のある方は、ぜひ一度当院までご相談ください。 https://www.youtube.com/watch?v=5HxbCexwwbE 参考文献 スポーツダイビングによる脊髄型減圧症の1例.リハビリテーション医学.2006;43:454-459. p454 減圧症 (げんあつしょう)とは | 済生会 減圧症 - 25. 外傷と中毒 - MSDマニュアル家庭版 スポーツダイビングによる脊髄型減圧症の1例.リハビリテーション医学.2006;43:454-459. p456-457
2024.01.18 -
- 幹細胞治療
- 頭部、その他疾患
- 股関節、その他疾患
- 脊椎、その他疾患
「水中世界を楽しみたいけれど、ダイビング後の体調不良が心配……」 「高地登山は魅力的だけど、体調が悪くなったらどのように対処したら良いの?」 ダイビングや登山などのレジャーに伴う体調変化について、不安や疑問を感じている方もいるでしょう。 減圧症は、潜水や高地登山などで急激な気圧変化が起きた際に発症する場合があり、放置すると深刻な後遺症を残すケースも珍しくありません。 本記事では、減圧症を発症する仕組みや症状について解説します。誰にでもできる予防法も紹介するので、正しい知識を身につけ、安心してアウトドアを楽しみましょう。 減圧症とは?発症する仕組み 減圧症とは、周囲の気圧が急激に低下する環境において、体内に吸収されていた窒素などの不活性ガスが気泡となり、体内組織や血管内で問題を引き起こす現象です。 急激な気圧変化が起こる状況としてよく挙げられるのは、スキューバダイビングや急激に18,000ft(約5,500m)以上まで上昇する高地登山などです。 私たちの体は呼吸を通じて空気中の窒素ガスを取り込みますが、気圧や水圧が高い場所では、通常よりも多くの窒素ガスが血液や体組織に溶け込みます。 急激に気圧や水圧が低い場所へ移動すると、体内に溶け込んでいた窒素を気体の状態に戻し、気泡を発生させる原因へとつながります。 気圧変化によって発生した気泡は、血管を塞いだり神経を圧迫したりするため、しびれやめまいなどの症状を引き起こすケースも少なくありません。 気圧変化の大きいスキューバダイビングや高地登山をする際には、適切な知識と慎重な行動が求められます。減圧症を予防できるよう、発症のメカニズムを理解しておきましょう。 減圧症の症状と分類をわかりやすく解説 軽度の減圧症で発症する症状は、以下のとおりです。 関節や筋肉の痛み 皮膚の湿疹やかゆみ 疲労感 吐き気や頭痛 注意力散漫 ただし、減圧症は症状の現れ方や重症度によってⅠ型とⅡ型に分類されます。重症度で影響を受ける部位や対処法が異なるため、症状の特徴を理解するのが重要です。 ここでは「Ⅰ型減圧症」と「Ⅱ型減圧症」について、具体的な症状を交えながら詳しくみていきましょう。 減圧症の症状については、こちらの記事も参考にしてください。 Ⅰ型減圧症 Ⅰ型減圧症は比較的軽度の症状が中心で、主に筋肉や関節、皮膚およびリンパ管に異常が現れます。典型的な症状は、以下のとおりです。 関節の痛みや筋肉痛 かゆみ 皮膚の斑点や発疹 腕のむくみ 胸部や腹部の腫れ 極度の疲労 Ⅰ型減圧症の場合、腕や脚の関節・背中・筋肉に痛みを感じます。痛みが出る部位をはっきりと特定できないケースも珍しくありません。 初期段階での痛みは軽く断続的ですが、徐々に強く感じるようになり、動かすと悪化します。また、リンパ系が影響を受けると、腕や脚の腫れが見られるケースがあるのも事実です。 Ⅰ型は一見すると疲労や打撲に似た軽い違和感から始まるため、見逃されやすい傾向がありますが、早期に発見すれば大きな後遺症は残りません。 症状が軽度であっても放置せず、潜水・登山歴や行動内容と照らし合わせて慎重に評価する必要があります。 Ⅱ型減圧症 Ⅱ型減圧症はⅠ型よりも重篤で、神経系や呼吸器系、循環器系に深刻な影響を及ぼす可能性がある危険な状態です。具体的な症状は以下のとおりです。 めまい ろれつが回らない 手足のしびれや麻痺 視覚障害 聴覚障害 記憶障害 胸の痛みや咳と 不整脈 ショック状態 上記をはじめとするII型減圧症の症状は、脊髄や脳、心臓、肺などの重要な器官の血管が気泡によって閉塞したり、組織が圧迫されたりすると引き起こされます。 また、減圧症の長期的な影響として、減圧性骨壊死という骨の障害を引き起こすケースもあります。骨障害は、肩関節や股関節に起こる症例が多いのも事実です。なかでも、大腿骨頭壊死が起こると歩行障害などの影響が出るだけでなく、重症な場合には手術が必要となるケースも珍しくありません。 Ⅱ型減圧症は、迅速かつ専門的な治療を必要とする病気です。後遺症が出るリスクもあるため、疑わしい場合は直ちに医療機関を受診しましょう。 減圧症の治し方 減圧症を発症した場合、体内で生じた気泡を縮小させ、組織への酸素供給を改善する治療が基本です。症状の重症度や種類に応じて治療法は異なりますが、主に専門的な医療機関での処置が必要です。 ここでは、減圧症の代表的な治療法である「高気圧酸素療法」と「再圧治療」について、特徴と効果を詳しく解説します。 減圧症の応急処置や治療方法については、こちらの記事も参考にしてください。 また、後遺症でお悩みの方は、お気軽にご相談ください。 高気圧酸素療法 高気圧酸素療法は、患者様を「高気圧酸素治療装置(チャンパー)」と呼ばれる装置内に入れ、大気圧よりも高い気圧環境下で高濃度の酸素を吸入させる治療方法です。 高い気圧によって、体内の気泡は物理的に圧縮され小さくなります。また、高濃度の酸素を吸入すると血液中に溶け込む酸素量が増加し、気泡によって酸素不足に陥った組織への酸素供給を促進します。 高気圧酸素療法は、Ⅰ型減圧症からⅡ型減圧症まで、幅広い症状に対して有効性が認められており、多くの医療機関で採用されている治療方法です。治療は早期に実施するほど効果が高く、神経症状の改善や回復時間の短縮が期待できるでしょう。 再圧治療 再圧治療は、とくに重症なⅡ型減圧症や高気圧酸素療法だけでは十分な改善が見られない場合に選択される、より強力な治療方法です。 症状が消失するか大幅に軽減する気圧を「再圧チャンパー」と呼ばれる治療装置内で再現し、ゆっくりとした速度で慎重に減圧していきます。徐々に減圧すると、体内に残る気泡を確実に縮小させ、再度溶解させる効果が期待できます。 再圧治療を実施できる施設は限られていますが、重篤な神経症状や意識障害を伴うケースでは、救命や後遺症軽減のために重要な治療方法です。 減圧症の予防ポイント6つ 減圧症は正しい知識と行動で十分に予防できる疾患です。とくに、ダイビングや高地登山などの気圧差の大きな環境下では、事前準備と行動の工夫が減圧症発症のリスクを大きく左右します。 ここでは、減圧症を予防するためのポイントを6つに分けて解説するので、ダイビングや登山の予定がある方はぜひチェックしてください。 ①潜水前の注意 潜水前には体調を整え、十分な睡眠を取るのが大切です。前日はアルコールを控え、疲労を残さないように注意してください。 風邪や鼻づまりがあると、周囲の水圧と体の圧力を同じに保つための耳ぬきをはじめとする圧平衡(あつへいこう)が上手くできず、気圧変化の影響を強く受けるため、無理な潜水は避けることをおすすめします。 また、以下のリスクがある方は、医師に事前に潜水をして良いか、確認しましょう。 卵円孔開存(らんえんこうかいぞん)や心房中隔欠損などの心臓の病気 疲労 肥満 高齢 経験やスキルレベルに見合った無理のない深度や潜水時間で潜水を計画するのが大切です。 ②潜水時の注意 急激な深さへの潜水や長時間の潜水は避け、適切な休憩を取りましょう。 潜水中はゆっくりとした下降と浮上を心がけ、急激な圧力変化を防ぐのが重要です。浮上する際は、ダイビングの種類によって1分間に9~18メートルを最大浮上速度とします。さらに、水深3~4m地点で3~5分間の安全停止時間を設けるのも、水圧の平衡を保つために推奨されています。 深く長く潜るほどリスクは高まるため、無理のない計画が必要です。体調に異変を感じたら、無理せず速やかに安全な方法で潜水を中止し、バディやインストラクターに知らせてください。 ③潜水後の注意 潜水直後は激しい運動や高所への移動を避け、身体を休ませる時間を確保します。 潜水回数や深度によって異なりますが、潜水後12〜24時間以内に飛行機に乗ると、減圧症のリスクが高まるといわれています。潜水後、飛行機に乗る予定がある場合は、12〜24時間ほど海抜0mの場所にとどまり、一定期間の休息が取れるようにしましょう。 潜水後は体調変化に十分注意を払い、万が一、関節痛や皮膚のかゆみ、しびれ、めまいなどの減圧症を疑う症状が現れた場合は、速やかに専門の医療機関に相談してください。 ④高地登山の適切な計画 登山前には、適切な標高への適応期間を確保し、急激な標高の変化を避けるよう計画しましょう。 登山中に急激な標高の変化があると、大気中の酸素濃度が減少し、減圧症が引き起こされるケースがあります。急激に標高を上げるのではなく、数日かけて徐々に体を高地の気圧に慣らしましょう。 登山中も、常にゆっくりとしたペースを心がけ、呼吸が乱れないように注意しましょう。十分な睡眠と休息も、高所での体調管理には欠かせません。 万が一、頭痛や吐き気、めまい、息切れなどの高山病の初期症状や、減圧症を疑う症状が現れた場合は、無理をせず直ちに下山を開始するのも重要な対処法です。 ⑤十分な水分摂取 十分な水分摂取は、体内の水分バランスを整えるだけでなく、減圧症の予防において重要です。 脱水状態に陥ると、血液のねばり気が高まります。血液がドロドロになると血流が悪化し、体内に溶け込んだ窒素ガスが気泡となった際に体外へ排出されにくくなったり、血管内で詰まりやすくなったりする減圧症のリスクが高まります。 活動中だけでなく、活動前後も意識的に水分を摂取するのが大切です。とくに、活動中はこまめに水分補給を行い、喉の渇きを感じる前に飲むように心がけましょう。 摂取する飲み物は、水やスポーツドリンクがおすすめです。アルコールやカフェインを多く含む飲料は利尿作用があり、かえって脱水を引き起こす可能性があるため、控えるようにしてください。 ⑥専門家のアドバイスを仰ぐ 潜水や高地登山などの活動前には、専門の医師や指導者・ガイドなどに相談し、適切なアドバイスを受けましょう。個人の体調や経験値に応じたアドバイスを受けられるため、より確実な予防が可能です。 以下の条件に当てはまる方は、潜水や高地登山前に潜水医学や高山医学に詳しい医師の診察を受けるのをおすすめします。 健康状態に不安がある方 循環器系や呼吸器系に持病がある方 過去に減圧症を発症した経験がある方 また、経験豊富な指導者やガイドは、個々のスキルレベルや経験に応じた安全な計画と、現地状況や特有のリスクに関する情報を提供してくれます。 自己判断に頼らず、専門家のアドバイスを受ける行動が重要です。 まとめ|減圧症の予防ポイントを押さえて安全なダイビング・登山をしよう 減圧症は、体内に溶け込んだ窒素が急激な気圧変化で気泡化することで起こる病気です。 Ⅰ型は関節痛や皮膚の異常など比較的軽度な症状が多く、Ⅱ型は神経や呼吸器に深刻な影響を及ぼします。治療には高気圧酸素療法や再圧治療が用いられますが、いずれも早期対応が重要です。 減圧症予防には、活動前後の体調管理や水分補給、安全な活動計画などを徹底しましょう。 しかし、適切な予防法を心がけても、減圧症による脊髄障害や脳障害によって麻痺などの症状が残ってしまう場合もあります。 減圧症による脊髄損傷に対しては、リハビリテーションやステロイドなどの薬物治療が一般的ですが、根本的な治療方法はありませんでした。 当院では、幹細胞治療として、ご自身の脂肪から培養した脂肪由来間葉系幹細胞治療を行っています。 減圧症などで脊髄損傷を起こしてしまった方で、再生医療にご興味のある方は、ぜひ1度当院までご相談ください。
2024.01.17 -
- 大腿骨骨頭壊死
- 股関節
減圧症による骨壊死の症状とその治療法を医師が解説! レジャーダイバーや潜水作業をされている方で以下のような症状に思い当たりはありませんか? 「股関節が痛む」 「歩きにくい」 これは、もしかしたら「減圧症による骨頭壊死」かもしれません。 減圧症のなかでも、骨頭壊死は「慢性減圧症」とも呼ばれます。急激な圧変化が起きた直後ではなく、時間が経ってから症状が現れる疾患です。日本で潜水を仕事にする人の骨壊死は、欧米諸国と比べて発生頻度が高いことが分かっています。 仕事ではなく、レジャーとしてダイブを楽しむ場合、事前の正しい教育や潜水時間の短縮、そして減圧症発症時における対応、すなわち速やかに治療を行う大切さを知ることで骨壊死を減らせることが分かっています。 しかし、レジャーダイブの増加もあり、安直な教育で知識に乏しい中、ダイブが行われている場合があり、いまだダイブ後、骨壊死が発症する例が後を絶ちません。 そこで、本記事では減圧症による大腿骨頭壊死をはじめとした骨壊死について、その原因や症状・治療について解説をするとともに、減圧症の確かな知識を身に着けて頂くことを念頭に記してまいります。 減圧症とは? 高い圧がかかる環境下では、より多くの空気が組織や血液中に溶け込みます。空気が溶け込んでしまった状態で急激に圧の低い場所に行くと、組織・血液内の空気は飽和状態となります。溶けきれなくなった空気はそのまま気体に変化するため「気泡」が発生するのです。 この気泡が直接的に血管に入ったり組織を傷つけて血栓を作りやすい状態にしたりします。こうして全身にダメージを及ぼす病態が「減圧症」です。 減圧症が起こりうる代表的な状況は、海底で作業をしたのち急浮上をしたときです。このため、「潜水病」とも呼ばれています。 減圧症による骨壊死がおこるメカニズムと好発部位 減圧症による骨壊死発症の原因として考えられているのは、気泡や血栓が起こり骨の栄養動脈に十分な血液が行き届かなくなることです。また、骨髄内圧が上昇することにより、静脈の流れが阻害されることも関わるとする説もあります。 動脈が詰まったり、静脈の流れが阻まれたりして血液が回らなくなると、やがてその部分の骨は壊死に至ります。 骨は本来、体重や運動による力がかかっても壊れない強さをもつものです。ところがひとたび壊死をしてしまうと、体重や力が掛かった部分は潰れてしまいます。 壊死が起こりやすいのは、骨の端の部分です。多くの骨は他の骨との間で「関節」を形成しています。つまり、壊死して骨が潰れてしまうことで「関節の痛み」「関節の変形」が起こります。 とくに大腿骨頭(股関節の足側)や上腕骨頭(肩関節の腕側)がダメージを受けやすい場所です。他に膝や肘・骨盤などにも認めることがあります。 骨壊死はどんな症状? 壊死のみでは基本的には目立った症状はないことが多いです。壊死した部分が潰れていくと、痛みを自覚するようになります。 例えば最も多い大腿骨頭壊死の場合は股関節痛です。進行すると、足を引きずるようになり日常生活にも大きな支障が出ます。 骨壊死はどのようにして診断するの? レントゲンは基本的な検査で、骨が潰れて関節が壊れているかを見ることができます。しかし、早期の壊死は発見できません。 レントゲンではっきりしない場合でもMRIを撮影すると壊死がわかります。壊死した部分を取り囲むようにできた血管が豊富な部分が帯状にみえるのが特徴です。 なお、一ヶ所に壊死が見つかると他の部分にもできている可能性があります。その場合は骨シンチグラムという全身の骨の代謝をみる検査を行うことがあります。 骨壊死の治療について 残念ながら、従来の医学では壊死をきたしてしまうと回復できないとされてきました。 壊死が部分的であったり力がかかるところから外れたりしている場合には、鎮痛薬や生活指導などを行いつつ様子を見ることもあります。 また、骨頭に穴をあけて骨髄内圧を下げる「骨穿孔術」をしたり、血管柄つきの骨を移植したりする方法もあります。しかし、いずれも進行例にはあまり効果がありません。 壊死が広かったり壊死部に力がかかりやすかったりする場合や、進行して関節が壊れていく場合は骨切り術や人工関節置換術が行われます。 骨切り術 骨切り術とは、関節面を傷んでないところに調整して負担を減らす手術です。股関節や膝関節などで多く行われており比較的早期例に選択されます。手術直後は患部に力をかけられず、注意しながら生活を送る必要があります。 人工関節置換術 人工関節置換術とは傷んでしまった部分を人工物に変える手術です。関節の一部のみを置換する部分置換術と、全部を取り替える全置換術に分けられます。骨切り術と違い、早いうちから力をかけることができますが、長期経過すると人工物が消耗してしまう可能性があります。 まとめ・減圧症による骨壊死の症状とその治療法を医師が解説! 骨壊死がいったんおこってしまうと、残念ながら現代の医学では進行を止めることはできません。最大の予防は適切な減圧手順を守ることです。 また、他の減圧症を起こしてしばらくしてから発症することが多いです。軽症であっても、減圧症を起こした後は股関節痛などを認めたら早期に受診をしましょう。 減圧症などの原因のない「特発性大腿骨頭壊死」のガイドラインでは、幹細胞を用いた再生医療が、今後期待される治療であると述べられています。とくに関節破壊が進んでいない早期例に骨穿孔術などと併用していくつかの研究が行われ、良好な治療成績が示されてきました。 減圧症による骨壊死の治療選択肢としても広がっていく可能性は充分にあるでしょう。減圧症による骨壊死でお悩みの方は、再生医療専門の当院にお問い合わせください。 ▼減圧症の予防についてご覧になりませんか 減圧症の原因と6つの予防ポイント!わかりやすく解説 参考文献 川嶌眞人, 田村裕昭, 佐々木誠人, 永芳郁文, 高尾勝浩, 山口喬, 丸尾勉, 宮田健司, 加茂洋志, 鳥巣岳彦. 日本高気圧環境・潜水医学会雑誌 41(2): 73-76, 2006. 川手健次. 整形外科看護 11(6): 597-604, 2006. 川嶌眞之, 川嶌眞人, 田村裕昭, 永芳郁文, 本山達男, 古江幸博, 尾川貴洋, 片山隆之, 樋高由久, 高尾勝浩, 山口喬, 宮田健司, 清水正嗣. 日本高気圧環境・潜水医学会雑誌 46(4): 268-268, 2011. 伊藤伸一, 樋口富士男. 整形外科看護 12(1): 31-35, 2007. 小田義直, 香月一朗, 牛島正博, 筒井秀樹, 杉岡洋一. 整形外科と災害外科 38:(4)1431~1436,1990.
2024.01.11 -
- 頭部
- 頭部、その他疾患
減圧症(潜水病)は、水圧の急激な変化によって体内に気泡が発生することで発症します。 とくにダイビングや潜水後に起こる可能性がある障害で、軽度であれば自然に回復するケースもありますが、症状を見極めた適切な対処が大切です。 本記事では、軽度の減圧症に見られる症状や自然治癒のセルフケア、そして治療法や予防策までをわかりやすく解説します。 減圧症(潜水病)とは?軽度なら自然治癒も可能 減圧症は、水中から水面浮上時に起こる急激な気圧環境の変化によって、体内に溶け込んだ窒素などのガスが急激に気泡化し、関節、筋肉、神経、皮膚、血管などに悪影響を及ぼすことで発症します。 減圧症の症状は、関節痛や筋肉痛、めまい、意識障害など多岐にわたり、症状の重さによって大きく2つに分類されます。 I型減圧症(軽度): 命に関わらない比較的軽い症状が中心で、場合によっては自然に回復するケースもあります。 例:関節痛や皮膚のかゆみ、疲労感、皮下浮腫(浮腫性減圧障害)など II型減圧症(重度): 神経系や循環器系に影響が及び、重篤な症状を引き起こすため、早急な治療が必要です。 例:意識障害や麻痺、呼吸困難など 軽度の減圧症は自然治癒する場合もありますが、自己判断で放置すると思わぬ悪化を招くこともあります。 正しい知識を持ち、必要に応じて医療機関を受診することが大切です。 軽度の減圧症のチェックリストとセルフケア 減圧症は、症状の程度によって対応が異なります。 本章では、軽度の減圧症によく見られる症状のチェックリストと、症状が出たときにできるセルフケアについて解説します。 軽度の減圧症に見られる主な症状|チェックリスト 減圧症は軽度の場合、自然治癒が期待できるケースもありますが、早期発見と適切な対応がなにより重要です。 以下は、軽度の減圧症に該当する可能性がある代表的な症状です。 ダイビングや潜水後に当てはまるものがないかセルフチェックしてみましょう。 【症状セルフチェックリスト】 関節や筋肉の痛み(鈍い痛みや違和感を含む) 皮膚の発疹やかゆみ(特に上半身) 強い疲労感やだるさ 吐き気、頭痛、軽いめまい 注意力の低下や集中できない感じ 上記の症状が1つでも現れた場合は、「軽度だから大丈夫」とは考えず、速やかに適切な対応を取りましょう。 軽症の減圧症で自然治癒に向けたセルフケア 軽度の症状が見られた場合でも、放置せず次の対応を取ることで自然回復が期待できます。 ◆症状の確認と潜水の中断 自分に該当する症状があるか冷静に確認しましょう。 症状が出た時点で、すぐに潜水を中止し、水中から浮上します。 ◆酸素吸入の応急処置 ダイビング中にフェイスマスクで酸素吸入できる準備がある場合は、迷わず活用してください。 これは、体内の窒素を早く排出するのに役立ち、症状の悪化防止にもつながります。 可能であれば100%酸素を吸入することが推奨されています。 ◆医療機関の受診 症状が軽くても長引く場合、あるいは少しでも不安がある場合は、早めに医療機関を受診しましょう。 自己判断に頼りすぎると、症状が悪化し重症化する可能性も否定できません。 軽度の減圧症は、初期対応が適切であれば自然に回復することもありますが、油断は禁物です。 「軽い症状でも酸素」「不安なら医師に相談」という基本を忘れず、安全を第一に行動しましょう。 重度の減圧症に見られる主な症状 減圧症の中でもII型減圧症と呼ばれる重症タイプは、神経系や呼吸器、循環器などの重要な臓器に障害を及ぼす可能性があり、生命に関わるケースもあります。 本章では、重度の減圧症に見られる以下、4つの症状を紹介します。 脳型減圧症 脊髄型減圧症 呼吸器の減圧症(チョークス) 減圧性骨壊死 脳型減圧症 脳型減圧症は、体内で気泡が血流を妨げたり、直接的に脳組織を損傷することで発症します。 正確なメカニズムは完全には解明されていないものの、脳卒中に似た神経症状が現れるのが特徴です。 脳型減圧症の主な症状は、次の4つです。 強い頭痛 複視(二重に見える) 発話のしづらさ(言葉が出てこない) 錯乱や意識の混濁 上記の症状が出た場合は、ただちに医療機関を受診する必要があります。 脊髄型減圧症 脊髄型減圧症は、II型減圧症の中でもとくに多く見られるタイプで、脊髄に気泡ができることで神経伝達が阻害されます。 初期は軽いしびれや痛みであっても、対応が遅れると麻痺や排泄障害に進行する危険があります。 脊髄型減圧症の主な症状は、次の4つです。 筋力の低下(動きにくい、力が入らない) 手足のしびれや痛み 腹部や背中の痛み 排尿・排便のコントロールができない(膀胱直腸障害) 時間の経過とともに悪化するケースが多いため、違和感を覚えた段階で専門医の診察を受けることが重要です。 呼吸器の減圧症 呼吸器の減圧症(通称:チョークス(chokes))はまれですが、重篤な症状を引き起こす可能性があります。 肺に気泡が生じることで肺水腫を起こし、酸素と二酸化炭素のガス交換が正常に行えなくなるため、酸素不足に陥る危険性があります。 呼吸器の減圧症の主な症状は、次の3つです。 胸の痛み 息切れや呼吸困難 咳(とくに泡状の痰が出る場合) 肺の細い血管が詰まり、全身への血流が阻害されると、最悪の場合致命的になる可能性もあるため、ただちに高気圧酸素治療を要します。 減圧性骨壊死 重度の減圧症の中には、長期間を経て発症する遅発性の合併症もあります。 代表的な合併症に減圧性骨壊死があり、これは、繰り返し潜水したり、短期間に高圧環境に頻繁に出入りすることで、骨の血流が障害され壊死が起こる状態です。 主に影響を受ける部位は次の2つで、進行すると関節の動きが制限されたり、痛みで日常生活に支障が出ることがあり、場合によっては手術が必要になることもあります。 肩関節 股関節(大腿骨頭) とくに職業的に潜水を行う人は、定期的な健康チェックが推奨されます。 減圧症の治療 減圧症の治療で、まず行うべき処置は、100%酸素の吸入です。 体内に気泡化した窒素を早く排出するため、フェイスマスクなどで高濃度の酸素を吸うことが推奨されます。 あわせて、脱水対策として水分補給も行います。 口からの摂取が難しいときは、点滴による水分・電解質の補充が必要です。 症状が持続する、または重度の減圧症が疑われる場合は、専門医療機関での「高圧酸素療法(再圧治療)」が行われます。 高圧酸素療法は、高気圧環境で100%酸素を吸入することで、体内の気泡を縮小・除去し、損傷組織への酸素供給を促す治療です。 とくに、神経症状や呼吸器症状が出ている場合は早急な実施が求められます。 また、意識障害や心肺停止が見られる場合には、心臓マッサージや人工呼吸などの救急対応が必要になります。 軽度の症状でも自然治癒に任せず、医療機関での診断と治療を受けることが大切です。 減圧症の予防策 減圧症は、正しい知識と対策を講じることで、発症リスクを大きく減らすことができます。 とくにダイバーや潜水作業者は、事前の準備と潜水後の対応を徹底することが重要です。 以下表は、減圧症を予防するために押さえておきたい基本的な行動です。 予防策 内容 潜水前後の体調管理 疲労・脱水・風邪などがあると減圧症のリスクが高まるため、体調が万全でない日は潜らない 減圧停止の遵守 浮上時に段階的に停止し、体内の窒素を安全に排出する 無理のない潜水計画 潜水深度・時間を事前に計画し、無理のないスケジュールで行動する 潜水後すぐの飛行を避ける ダイビング後は最低でも12〜24時間、飛行機搭乗を控えることが推奨されている ダイブコンピューターの使用 減圧停止や浮上スピードを正確に管理し、安全性を高める 減圧症の予防は、潜水時の注意だけでなく、日常生活の中でも取り組める習慣がいくつかあります。 頻繁に潜る場合は間隔を十分に空ける 水分補給をこまめに行い、脱水を防ぐ 飲酒や喫煙は潜水前後には控える 定期的に減圧症の知識を学び直す(講習会・安全講座など) 肥満、循環器疾患、糖尿病などの持病がある人は医師と相談する 安全に水中活動を楽しむためにも、常にリスクを意識し、正しい手順と知識に基づいた行動を心がけましょう。 まとめ|軽症でも油断禁物!適切な対応を知ることが再発や後遺症を防ぐ鍵 本記事では、初期に現れる軽症状から、神経系や呼吸器系に深刻な影響を及ぼす重症例まで幅広く解説しました。 減圧症は、軽度であっても油断は禁物です。 軽度の減圧症であれば、チェックリストを活用した早期の気づきと、酸素吸入や潜水の中止など適切な初期対応によって、自然治癒が期待できるケースもあります。 しかし、症状を見逃したり、対応が遅れたりした場合には、脊髄損傷などの後遺症が残る可能性があり、完治が難しいケースもあるのが現実です。 とくに脊髄型減圧症による麻痺などは、これまで有効な治療法が限られていました。 そうした中で、脂肪由来幹細胞を用いた再生医療が、新たな治療法の選択肢として考えられています。 この治療では、自身の脂肪から培養した幹細胞を脊髄に直接注入します。 万が一、減圧症による後遺症に悩んでいる方や再生医療に興味のある方は、ぜひ一度当院「リペアセルクリニック」までご相談ください。
2024.01.08 -
- 脊椎
- 胸椎椎間板ヘルニア
「背中が痛い」「胸が痛む」などの症状でお悩みの場合、実は「胸椎椎間板ヘルニア(きょうついついかんばん)」の可能性があるのはご存知でしょうか。 胸椎椎間板ヘルニアは、老化が原因の1つだと考えられています。 他の椎間板ヘルニアと比べて発症する確率は少ない珍しい疾患ではあります。 しかし痛みを放置すると「足が動かない」「尿や便が出なくなる」など、重大な問題が発生する疾患でもあります。 本記事では、胸椎椎間板ヘルニアとは、どのような疾患なのか、予防策や治療法などを解説します。 背中や胸の痛みが気になる方、最近になって足に力が入らない、しびれがあるなどで歩きにくさを感じている方はぜひ参考にしてください。 胸椎椎間板ヘルニアとは 胸椎椎間板ヘルニアとは、老化や強い衝撃を受けて脊椎の胸部にある椎間板が飛び出た状態を指した症状です。椎間板とは、脊椎と脊椎の間にあるクッションのような組織であり、飛び出ると周囲の神経や脊髄を圧迫して脱力感やしびれなどの症状が出ます。 胸椎椎間板ヘルニアが発症する年齢は40~50歳、かつ男性が多い傾向にあります。 胸椎椎間板ヘルニアは「椎間板ヘルニア」の中でも起こりにくい疾患です。 胸椎は肋骨とつながっており安定しているため、椎間板ヘルニアになりにくいと考えられています。 痛みの原因 胸椎椎間板ヘルニアで痛みを感じる原因は、以下の要因が考えられます。 老化 過度なスポーツ 肉体労働 長時間の運転 など どれも姿勢の悪さや背中の筋肉、背骨に問題が生じると胸椎椎間板ヘルニアが発症します。 そもそも胸椎とは「胸」とあるので胸部をイメージする方が多いのですが、実は背骨の一部分が胸椎です。 背骨は首から腰まで合計24個あり、胸部分にある8本の骨が胸椎です。 多くの患者様が外傷は見られないため、背中を押すと痛みを感じたり、太ももやふくらはぎが痛み出したりします。 痛みを放置すると歩行障害や重症化の恐れがあるため、早期の発見と治療が大切です。 「胸椎の痛みかわからないけれど、これって胸椎椎間板ヘルニアなの?」と少しでも気になる点がある方は、当院へ気軽にご連絡ください。 診断方法 胸椎椎間板ヘルニアを診断するにはMRI検査が有効です。 レントゲン検査ではとくに異常が目立たなくても、MRI検査を行えば椎間板ヘルニアの有無や脊髄の圧迫具合などが確認できます。 また、手術を行う場合には、CT検査などを行うケースもあります。 症状を具体的に把握し、適切な診断を受けるためにも、まずはMRI検査を行うのがおすすめです。 以下の記事では、現役医師の立場からMRI検査が必要な理由をまとめているので、あわせてご覧ください。 胸椎椎間板ヘルニアの予防策や治療法 ここからは胸椎椎間板ヘルニアで感じる痛みを避けたい方に向け、予防策を解説します。 胸椎椎間板ヘルニアの進行度によって異なる治療法についても紹介していきます。 安静にしておくのが無難 胸椎椎間板ヘルニアを予防するために、痛みを感じてもストレッチせず安静にしておくのが無難です。 自宅でできる予防法はなく、自己判断でストレッチを実施すると、炎症の悪化や骨折するリスクが高まるからです。 胸椎に痛みがあり、整骨院で施術をしたいと考える方もいるかも知れません。 しかし胸椎椎間板ヘルニアは、進行度によって治療法が異なるため、MRI検査で適切な診断を行う必要があるのです。 歩行障害が進行している場合、手術せず放置すると歩けなくなる事態まで発展する恐れがあります。 適切な診断が終わるまでは、自己判断で胸椎の痛みを改善しようとせず、安静にしておきましょう。 予防におすすめのストレッチ法 現役医師の立場から胸椎椎間板ヘルニアの予防が期待できるストレッチを紹介します。 今回は横になった状態でできるストレッチをお伝えします。 胸椎椎間板ヘルニアに罹患していると猫背になりやすいので、以下のストレッチを実施してみてください。 左側が下になるよう両膝を抱える(背筋を伸びているかを意識する) 両肘を胸の前でまっすぐ伸ばし両手を合わせる 右手で頭上を通りながら半円を描くイメージで動かす 3の動きに合わせて頭も動かす 水平に後ろまで動かした手の動きを5回繰り返す 反対側(左側)も同様の動きを5回繰り返す 胸椎椎間板ヘルニアの痛みを悪化させないためにも、痛みがない程度にゆっくりストレッチを行いましょう。 以下の記事では、今回紹介したストレッチ以外の予防策をまとめています。 胸椎椎間板ヘルニアの治し方や、より詳しいストレッチ法が気になる方は、ぜひご一読ください。 胸椎椎間板ヘルニアの治療法 胸椎椎間板ヘルニアの治療法は、大きく分けると「保存療法」と「手術療法」の2つがあります。 進行度によって異なる治療法の違いは、以下の通りです。 症状の程度 治療内容 保存療法 比較的軽度 膝の筋肉低下や排尿障害がない場合適用 コルセットや内服薬 手術療法 痛みが進行している 歩行障害やしびれがある場合適用 背骨の一部を除去 以下の記事では、胸椎椎間板ヘルニアの治療後に実施するリハビリ内容を解説しているので、あわせてご一読ください。 なお、現在は胸椎椎間板ヘルニアが進行していても、手術なしで治療できる時代になっています。 胸椎椎間板ヘルニアの代表的な症状 ここからは胸椎椎間板ヘルニアの症状について解説します。 自身に当てはまる症状があれば医師に相談するようにしましょう。 背中や胸の痛み 胸椎椎間板ヘルニアが発症したときの代表的な症状が背中や胸の痛みです。 しかし、ヘルニアが発生する部位によって圧迫される神経やダメージを受ける神経が異なるため、痛みやしびれを感じる部位も異なります。 また、胸椎椎間板ヘルニアが肋間神経を圧迫すると「肋間神経痛」の痛みが現れるので注意してください。 肋間神経は背中から胸に向けて走っているため、背部痛や胸痛、わきの下あたりの痛みやしびれなどを引き起こします。 肋間神経痛の痛みは、ぴりぴりと焼けつくような感覚であったり、鈍い痛みとして感じる症例が大半です。 肋間神経痛による胸の痛みは、心臓が原因の胸痛と間違えられる場合があります。 しかし、胸椎椎間板ヘルニアによる胸の痛みは、体の動きや姿勢の変化により変動するため、多くのケースで心臓が原因の胸痛と区別できます。 以下の記事では胸椎椎間板ヘルニアの症状を、より詳しく解説しているのであわせてご覧ください。 その他の症状 胸椎椎間板ヘルニアが発症すると、背中や胸の痛み以外にも、以下の症状が伴う可能性があります。 太ももやふくらはぎの痛み、しびれ、脱力感 歩行障害(ふらつきや足のもつれ) 膀胱直腸障害 排便障害 など とくに太ももやふくらはぎの痛みは、胸椎椎間板ヘルニアの初期症状として認められるケースが大半です。 痛みを放置すると急激に足が動かしにくくなり、歩行障害につながる恐れがあります。 歩くときに足がもつれ、階段を昇り降りで手すりを持つようになった方は、胸椎椎間板ヘルニアの可能性があるため注意しましょう。 また、胸椎椎間板ヘルニアを発症すると、力をこめて便や尿を出そうとしても出せない状態(膀胱直腸障害)になる場合もあります。 胸椎の背中側にある脊髄は、便や尿を出す自律神経をコントロールする神経が走っています。 胸椎椎間板ヘルニアによって神経が圧迫されると、突然便や尿が出ない症状が起こるのです。 胸椎椎間板ヘルニアと神経痛の違いについては、以下の記事で詳しくまとめているので、ぜひご一読ください。 まとめ・胸椎椎間板ヘルニアで背中や胸が痛みを感じたなら早めの受診を! 胸椎椎間板ヘルニアは40~50歳の方に多く発症する疾患です。 代表的な症状として背中の痛みや胸の痛みがあげられ、肋間神経痛による焼けつくような痛みや鈍痛も認めています。 初期症状としては下肢のしびれや痛みなどがあり、薬物治療やリハビリなどでは歩きにくさを改善できません。 歩きにくさを感じている方は、手術療法を検討してください。 手術には神経麻痺や手術後の痛み、しびれなど術後後遺症の恐れもありますが、放置すると病状が進行して歩けなくなる可能性があります。 少しでも胸椎椎間板ヘルニアを疑う症状に気づいた方は、速やかに専門の医療機関で受診するようにしましょう。
2024.01.04 -
- 脊椎
- 胸椎椎間板ヘルニア
「ヘルニアに効果的な筋トレはある?」「ヘルニアは筋トレをしないほうがいい?」と疑問に思っている方もいるのではないでしょうか。 ヘルニアと診断されると、運動や筋トレを控えるべきか不安になる方も多いかもしれません。 結論からいえば、適切な筋トレを行うことでヘルニアの症状の改善・緩和が期待できます。 この記事では、ヘルニアの負担を軽減する筋トレメニューや、筋トレを行うときの注意点を解説します。 記事を最後まで読めば、ヘルニアに効果的な筋トレ方法が分かり、症状の緩和・改善を目指せるでしょう。 また、当院「リペアセルクリニック」では、再生医療による治療も行っております。ヘルニアの辛い症状でお悩みの方は、お気軽に「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にてご相談ください。 【目的別】ヘルニアの改善に効果的な筋トレメニュー 筋トレを行う際には、自分の目的にあったメニュー選びが重要です。ヘルニア改善に役立つ筋トレメニューは以下の通りです。 種類 効果 負担の大きさ おすすめの運動 体幹トレーニング 腰を支える筋力を強化し、負担を軽減 低い ドローイン プランク バードドッグ 下半身トレーニング 下半身を鍛えて腰の負担を分散 中程度 ヒップリフト レッグプレス ウォールシット 本章を参考に、自分に必要な筋トレメニューを取り入れてみましょう。 体幹を安定させる筋トレメニュー ヘルニアの症状を軽減するには、体幹を鍛えることが重要です。 体幹を鍛える具体的な筋トレメニューの一例は以下のとおりです。 トレーニング名 やり方 ポイント ドローイン 仰向けで膝を立て、深く息を吸ったあと、息を吐いてお腹をへこませてキープ 1回5秒キープし10回繰り返す プランク うつ伏せで肘をつき、体を一直線にキープ 20〜30秒キープを目安に実施 バードドッグ 四つん這いの状態で対角の手足を伸ばす 片側10回ずつゆっくり行う これらの運動は、腰に大きな負担をかけずに体幹を鍛えられるため、ヘルニアの改善に適しています。 最初は短時間から始め、徐々に時間を延ばしていくと良いでしょう。 下半身を強化する筋トレメニュー 下半身の筋力を強化すると、腰への負担を分散できるため、ヘルニアの痛みを軽減しやすくなります。 とくに、太ももやお尻の筋肉を鍛える運動が効果的です。 下半身トレーニングメニューの一例は以下のとおりです。 トレーニング名 やり方 ポイント ヒップリフト 仰向けで膝を立て、お尻を持ち上げる お尻を締めながらゆっくり上げ下げ レッグプレス ジムのマシンを使い、足でプレートを押す 負荷は軽めで、ゆっくり押し戻す ウォールシット 壁にもたれながら膝を90度に曲げ静止 20〜30秒キープし3セット実施 これらの運動は、スクワットのように腰に大きな負担をかけず、効率よく筋力を鍛えられます。 無理のない範囲で継続し、ヘルニアの痛みを和らげる習慣を作りましょう。 ヘルニアの症状は筋トレで緩和できる可能性がある 適切なトレーニングによって筋力を強化すれば、椎間板への負担を軽減し、ヘルニアの症状を改善できる可能性があります。 また、血行促進により、ヘルニアの症状の回復を促す効果も期待できます。 ただし、過度な負荷は症状を悪化させる可能性もあるため、やり方に注意しましょう。 本章では、筋トレによるヘルニアの症状改善の効果について解説します。 筋力の強化で椎間板への負担軽減が期待できる ヘルニアの症状を和らげるためには、腰を支える筋肉を鍛えることが重要です。 腹筋や背筋の強化によって、椎間板への負担を分散させ、痛みの軽減が期待できます。 ヘルニアの症状改善を目指して筋トレをする場合は、腰に過度な負担をかけず体幹や下半身を鍛えられるメニューを取り入れましょう。 また、最初は軽めの負荷から始めるなど、正しい筋トレを習慣化し、椎間板への負担を減らすことが大切です。 血流が良くなりヘルニアの回復が促進される 筋トレを行うと、血流が良くなりヘルニアの回復を助ける効果が期待できます。 血流が滞ると、筋肉が硬くなり、腰への負担が増えヘルニアが悪化する場合があります。 運動によって血流が改善されると、酸素や栄養が筋肉に行き渡りやすくなり、炎症の鎮静や組織の回復促進が期待できるでしょう。 ウォーキングやストレッチ、ヨガなど、血流を良くしながら無理なく筋力を鍛えられるトレーニングがおすすめです。 こうした運動は関節や筋肉に負担をかけにくく、継続しやすいというメリットもあります。 過度な負荷は症状を悪化させる可能性も 筋トレはヘルニアの症状を和らげる効果が期待できますが、過度な負荷をかけると逆効果になります。 とくに、重い負荷をかける筋トレや誤ったフォームでのトレーニングは、椎間板に余計な圧力をかけ、症状を悪化させる原因になります。 たとえば、バーベルを使ったスクワットやデッドリフトは、腰に大きな負担がかかるため注意が必要です。 また、反動をつけた腹筋運動や、腰を大きく反らす動作も、椎間板を圧迫しやすく、痛みを悪化させる可能性があります。 トレーニングを行う際は、まず低負荷のメニューから始め、体の状態を確認しながら徐々に強度を上げるのが理想的です。 痛みを感じたらすぐに中断し、無理なく続けられる範囲でトレーニングを進めましょう。 ヘルニアで筋トレを行うときの注意点 ヘルニアを抱えている場合、筋トレのやり方には十分な注意が必要です。 間違ったフォームや過度な負荷は、症状を悪化させる原因になります。 高負荷なスクワットやデッドリフト 腹筋運動(上体起こし) 腰を強く反らす運動 ここでは、避けるべきトレーニングとその理由について解説します。 高負荷なスクワットやデッドリフトは正しいフォームを意識する スクワットやデッドリフトは全身を鍛える効果がある一方で、腰に大きな負担をかけるため注意が必要です。 ヘルニアの症状がある場合、無理な動作が炎症を悪化させる可能性があります。 とくに、重いバーベルを使用するスクワットやデッドリフトは、腰椎への圧力が強く、ヘルニアの症状を悪化させる原因になります。 これらの動作を行う際は、軽い負荷で正しいフォームの意識が大切です。 腰をしっかり支えられない場合は、マシンを使ったレッグプレスなどの代替運動を選ぶのが良いでしょう。 腹筋運動(上体起こし)は避ける 腹筋を鍛えるのは大切ですが、クランチやシットアップなどの状態起こしの動作は、腰への負担が大きいため注意が必要です。 とくに、勢いをつけた腹筋運動はNGです。 腰椎に強い圧力がかかり、痛みや炎症を引き起こす原因になります。 代わりに、ドローインやプランクといった体幹を安定させるトレーニングを取り入れると、安全に腹筋を強化できます。 腹筋を鍛えたい場合は、腰に負担をかけない方法を選び、無理のない範囲で継続しましょう。 腰を強く反らす運動は無理に続けない 腰を大きく反らす動作は、椎間板に過度な圧力をかけるため、ヘルニアの悪化につながる可能性があります。 とくに、ブリッジやバックエクステンションなどの運動は注意が必要です。 腰を反らしすぎると、椎間板が圧迫されて神経を刺激し、痛みが強くなる場合があります。 代わりに、軽いストレッチや腰に優しい体幹トレーニングを取り入れると良いでしょう。 痛みを感じた場合はすぐに運動を中止し、無理に続けないことが大切です。 ヘルニアの再発を防ぐための3つの対策 ヘルニアは症状が落ち着いても、再発のリスクは残ります。(文献1) 再発を防ぐためには、日常生活での姿勢や負担のかかり方に注意し、適切な筋トレやストレッチを取り入れることが大切です。 本章では、ヘルニアの再発を防ぐための具体的な対策を3つ紹介します。 普段から姿勢や腰への負荷に注意する 無理のない範囲で筋トレを習慣化する ストレッチで柔軟性もUPする それぞれ詳しく解説するので、参考にしてください。 普段から姿勢や腰への負荷に注意する ヘルニアの再発を防ぐには、普段から姿勢を意識しておくのも重要です。 猫背や反り腰などの悪い姿勢は、腰に過度な負担をかけ、再発の原因になります。 たとえば、デスクワーク中は背筋を伸ばし、椅子の背もたれを活用するなどの意識付けが大切です。 また、長時間同じ姿勢を続けると筋肉が硬くなるため、1時間に1回は立ち上がり、軽いストレッチを行うと良いでしょう。 また、重いものを持つときは、膝を使い、腰に負担をかけないよう注意してください。 ヘルニアの再発を防ぐポイントについては、以下の記事も参考にしていただければ幸いです。 無理のない範囲で筋トレを習慣化する 適度な筋トレを続けることで、腰を支える筋肉を強化し、ヘルニアの再発リスクの軽減に期待できます。(文献2) ただし、無理な負荷をかけると逆効果になるため、自分に合ったメニュー選びが大切です。 おすすめは、体幹を鍛えるプランクやバードドッグです。 これらのトレーニングは、腰に負担をかけずに筋力を高められるため、初心者でも取り組みやすいでしょう。 また、下半身を鍛えるヒップリフトも、腰への負担を減らす効果が期待できます。 大切なのは、無理なく続けることです。週に数回、短時間でも良いので、習慣化する意識を持ちましょう。 ストレッチで柔軟性もUPする 筋肉の柔軟性が低下すると、腰への負担が増え、ヘルニアの再発リスクが高まります。 そこで、日常的にストレッチを取り入れ、筋肉を柔らかく保つことが重要です。 とくにおすすめなのが、ハムストリング(太もも裏)を伸ばすストレッチや、キャット&カウ(四つん這いで背中を丸めたり反らしたりする動作)です。 これらのストレッチは、腰周りの筋肉をほぐし、負担を軽減する効果があります。 筋肉を柔らかくすることで、腰を支える力が向上し、ヘルニアの再発を防ぎやすくなります。 ヘルニアに効果的なストレッチのやり方は、以下の記事を参考にしてみてください。 【関連記事】 胸椎椎間板ヘルニアの痛みに!ストレッチで痛みを和らげる方法 頚椎ヘルニアに効くストレッチ5選!予防ポイントも解説【医師監修】 腰椎椎間板ヘルニアのストレッチ5選!悪化・再発防止になる方法を医師が解説 まとめ|ヘルニアで筋トレする際は無理のない範囲で行おう ヘルニアの症状を緩和し、再発を防ぐには、適切な筋トレやストレッチを取り入れることが大切です。 とくに、体幹や下半身を鍛えると、腰への負担を軽減できます。ただし、誤ったトレーニングは症状を悪化させる原因になります。 無理をせず、正しい方法で筋トレを続けることが重要です。日常生活の姿勢や習慣にも気をつけながら、ヘルニアと上手に付き合っていきましょう。 また、当院「リペアセルクリニック」では、再生医療による治療も行っております。 ヘルニアの手術後に、後遺症でお悩みの方は、お気軽に「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にてご相談ください。 ヘルニアの筋トレに関するよくある質問 ヘルニアで筋トレはいつからできますか? ヘルニアの回復状況によりますが、痛みがなくなり、日常生活に支障がない状態になってから始めるのが理想です。 一定の安静期間を設け、その後、医師やリハビリ専門家と相談しながら再開するのが安心でしょう。 体幹を鍛える軽めの運動から始めると、安全に筋力の回復に期待できます。 痛みが残っているうちに無理をすると、症状が悪化する恐れがあります。 焦らずに、軽いストレッチやウォーキングから始めることを意識しましょう。 ヘルニアでも筋トレマシンは使用できますか? ヘルニアでも適切なマシンを選べば、安全に筋トレを行うことができます。 ただし、腰に負担がかかるマシンは避ける必要があります。 そのため、筋トレを行う際は、負荷を軽めに設定し、正しいフォームを意識することが重要です。 リペアセルクリニックは「再生医療」に特化した再生医療専門クリニックです。 ヘルニアの手術や術後のお悩みがある方は、お気軽に「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にてご相談ください。 参考文献 (文献1) 一般社団法人 日本脊椎脊髄病学会「腰椎椎間板ヘルニア診療ガイドライン2021(改訂第3版)」 https://minds.jcqhc.or.jp/common/wp-content/plugins/pdfjs-viewer-shortcode/pdfjs/web/viewer.php?file=https://minds.jcqhc.or.jp/common/summary/pdf/c00645.pdf&dButton=false&pButton=false&oButton=false&sButton=true#zoom=auto&pagemode=none&_wpnonce=3b871a512b最終アクセス:2025年2月19日) (文献2) 伊佐整形外科「腰椎椎間板ヘルニア(リハビリテーション)」 https://www.isaseikei.or.jp/img/disease/kosi/010.pdf (最終アクセス:2025年2月19日)
2023.12.29 -
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この記事を読んでいる方は、背中や胸の痛みが肋間神経痛なのか分からず悩んでいるのではないでしょうか。 肋間神経痛は「背中や胸の痛み」が特徴です。しかし胸椎椎間板ヘルニアの症状と見分けがつきにくく、セルフチェック方法を知りたい方も多いかもしれません。 肋間神経痛のチェックには、背中だけでなく体幹や下半身にも痛みやしびれがないかを確認することが大切です。 肋間神経痛は背中や脇腹、胸の痛みが特徴ですが、胸椎椎間板ヘルニアの場合は太もも・ふくらはぎにも痛みやしびれを感じる場合があります。 本記事では、肋間神経痛および胸椎椎間板ヘルニアの症状について解説し、症状の違いについて解説します。 記事を最後まで読めば、肋間神経痛の原因や症状についての理解を深められるでしょう。 肋間神経痛の原因と症状をチェック! 肋間神経痛とは、胸椎椎間板ヘルニアのような病名ではありません。「肋間神経」という肋骨に沿って走っている神経が、何らかの要因で障害を受けたことで突発的に生じた痛みのことを指します。 痛みは身体の片側に起こることが多く、深呼吸や咳、そして身体の向きや位置を変えたりすることでも強くなることがあります。 帯状疱疹や神経の圧迫により起こることが多い 肋間神経痛の主な原因は、水痘・帯状疱疹ウイルスによって起こる「帯状疱疹」です。 水痘・帯状疱疹ウイルスは、肋間神経の神経節という部分に潜んでおり、免疫力の低下によって再活性化し、痛みを引き起こします。帯状疱疹による肋間神経痛は、鋭く激しい痛みが片側の肋骨に沿って現れ、水ぶくれを伴う、赤い発疹もできるのが特徴です。 また、胸椎椎間板ヘルニアや側弯症で脊髄から肋間神経が出る部分が圧迫された場合や、肋骨骨折で肋間神経が妨げられた場合も、肋間神経痛が起こることがあります。 さらに、まれではありますが、肺がんなどの胸の手術時に使用した器具が肋間神経を圧迫し、術後に肋間神経痛として残ることもあります。 肋間神経痛の治療は、原因がある場合にはその病気の治療をしていきます。一方で、特に原因となるような病気がない場合には、肋間神経ブロックという痛み止めの注射を行ったり、鎮痛薬の内服をしたりなどして症状を抑えることとなります。 胸椎椎間板ヘルニアとの違いは「体幹や下半身の異常の有無」 肋間神経痛と胸椎椎間板ヘルニアの違いは「背中や胸だけでなく、体幹・下半身にも症状があるか」です。 肋間神経痛は背中や胸の痛みを指すため、体幹や下半身の痛みやしびれを感じることはありません。 一方、胸椎椎間板ヘルニアでは、背中や胸部の痛みが出るケースもありますが、主な症状は「体幹から下半身にかけての筋力低下や感覚の異常」です。 したがって、肋間神経痛と胸椎椎間板ヘルニアの痛みを見分けるときは、背中や胸以外に違和感があるかをチェックしてみましょう。 【セルフチェック】肋間神経痛・胸椎椎間板ヘルニアの症状一覧 胸椎椎間板ヘルニアと肋間神経痛は、同じように背中や胸部の痛みを引き起こします。 しかし2つの症状には違いもあるため、自分の症状がどちらに近いか以下のチェックリストで確認してみましょう。 《肋間神経痛が疑われる症状・特徴》 □背中から脇腹にかけての鋭い痛みがある □呼吸をすると痛みが強い □姿勢を変えると痛みが強い □胸や背中に帯状の発疹や水ぶくれが見られる(帯状疱疹による症状) □肋骨骨折の既往がある □胸や背中の手術経験がある 《胸椎椎間板ヘルニアが疑われる症状・特徴》 背中の痛みがある(ない場合も) □太ももやふくらはぎのしびれがある □足の脱力感がある □歩くときに足がもつれる □階段を降りるときに不安で手すりを持つ □用を足そうとしてもすぐに尿が出ない、残尿感がある ただし上記はあくまでもセルフチェックに留め、背中や胸の痛みが続く場合は早めに医療機関を受診しましょう。 肋間神経痛は放置せず、早めの受診を! 肋間神経痛だと思っていても、別の疾患が隠れているケースがあります。 たとえば、以下のような病気が挙げられます。 狭心症・心筋梗塞などの心臓の病気 肺梗塞・気胸などの肺の病気 逆流性食道炎 胃・十二指腸潰瘍 大きな病気を見逃さないためにも、自己判断で終えず、早めに医療機関へ相談することが大切です。 まとめ|自分の痛みを知り、早めの対処を 肋間神経痛は、背中や胸の痛みを指します。胸椎椎間板ヘルニアの症状と見分けるときは、体幹や下半身の痛みがあるかをチェックすることが大切です。 また、症状が続く場合や痛みが強い場合は、早めに医療機関を受診しましょう。 当院「リペアセルクリニック」は、再生医療専門クリニックです。 椎間板ヘルニア術後の脊髄の障害に対しても、脂肪由来間葉系幹細胞治療を行っています。幹細胞治療とは、自分の脂肪から培養した幹細胞を脊髄腔内に注射または点滴投与するものです。 胸や背中の痛みの治療において、再生医療を検討している方はぜひメール相談やオンラインカウンセリングもご活用ください。 また、胸椎椎間板ヘルニアについては以下の記事でさらに詳しく解説しています。あわせてご覧いただければ幸いです。 【関連記事】 胸椎椎間板ヘルニアの症状レベルは?チェックリスト付きで医師が解説 肋間神経痛についてよくある質問 肋間神経痛は何科に行くべきですか? 症状によって異なります。 もし過去に胸や背中にけがをしたことがある場合は整形外科、帯状疱疹のような赤い発疹があれば、皮膚科を受診しましょう。 肋間神経痛のとき、やらない方がいいことはありますか? 体を急激に動かしたり、ストレスが溜まったりすると痛みが強くなる可能性があります。安静にし、体を休めましょう。
2023.12.25 -
- 脊椎
- 胸椎椎間板ヘルニア
胸椎椎間板ヘルニアの症状とはどのような病気? どのような症状があるの? 今の症状がどのようなレベルか知りたい このように思っている方は多いのではないでしょうか? 胸椎椎間板ヘルニアの症状はさまざまで、程度にも振れ幅があります。 さらにほかの疾患とも見分けにくく、発症に気づかないことも。 この記事では胸椎椎間板ヘルニアの症状や特徴、症状レベルやチェックリストを解説します。 同疾患に悩んでいる方はぜひ参考にしてください。 【予備知識】胸椎椎間板ヘルニア症状の特徴と症状 まず、胸椎椎間板ヘルニアの特徴と症状に関して解説します。 胸椎椎間板ヘルニアとは、胸椎と胸椎(あるいは一番下の胸椎と一番上の腰椎)の間にある「椎間板」が胸椎の後ろに飛び出してしまうことを示します。 腰椎や頚椎の椎間板ヘルニアと比べると、症例が少なく、稀な疾患です。 椎間板は、椎骨が動くときに衝撃を吸収するクッションの役割があります。 体をひねる・前に曲げる・後ろに反るなどの動作ができるのは、一つ一つの椎骨が滑らかに動くから。 ところがヘルニアを発症すると、椎間板の変性により線維輪が壊れて中の髄核が飛び出してしまいます。 特に胸椎椎間板ヘルニアでは、髄核はまっすぐ真後ろに飛び出すことが多いことがわかっています。 飛び出した髄核は、ときに真後ろに走る脊髄を圧迫し、足の痺れや感覚の低下が起こります。 病状が進行すれば歩行障害が起こることも。 なお、腰椎や頚椎では後側方に飛び出したヘルニアが、脊髄から伸びる神経の根本を圧迫して「神経根痛」とされる、「ビリビリッ」とした痛みを起こすことがあります。 一方の胸椎椎間板ヘルニアでは神経根痛が目立ちません。 その原因となる横方向に飛び出すことが多くないからです。 ただし、肋間神経痛(脇腹の痛み)が生じることもあります。 ただし、患者さん全員にすべての症状が起こるわけではありません。 また、特異的な症状はなく、別の病気でも同様の症状が起こることがあります。 胸椎椎間板ヘルニアの症状レベル【チェックリスト付き】 胸椎椎間板ヘルニアの症状には振れ幅があり、程度によって取るべき対応が異なります。 しかし程度を判断できず、適切な対応が取れない場合も。 また胸椎椎間板ヘルニアはほかの病気と見分けにくく、発覚が遅れ、早期に治療できないケースもあります。 そこで今回は、胸椎椎間板ヘルニアの症状レベル一覧と、症状チェックリストを紹介します。 胸椎椎間板ヘルニアの症状レベル 胸椎椎間板ヘルニアの症状レベルは、大まかに初期、中期、後期にわけられます。 各期で生じる症状は以下のとおりです。 症状レベル 具体的な症状 初期 わずかな下半身の痛み わずかな感覚の鈍麻 太ももの軽度の痺れ 腰痛 中期 背中の痛み 脇腹の痛み(肋間神経痛) はっきりとしたしびれ 後期 下半身の筋力低下 歩行困難 排尿障害 感覚の喪失 重大な麻痺 初期では無症状であり、発見が遅れることがあります。 症状があれば、痛み止めの投与などがおこなわれます。 この段階では、活動や運動はさほど制限されません。 中期になると、痛みやしびれをはっきりと感じます。 運動の困難などを感じることもあるでしょう。 後期になると症状は重篤になり、歩くのもむずかしくなります。 また保存療法が意味をなさず、日常生活にも影響します。 後期に入る前に治療するのが重要でしょう。 重篤な症状は手術で治すのが一般的ですが、現在では再生医療を用いて、より負担が軽い方法で完治を目指すことも増えてきました。 興味がある方はぜひ再生医療に関して学びましょう。 胸椎椎間板ヘルニアの症状チェック 続いて、胸椎椎間板ヘルニアの症状をチェックしましょう。 背中が痛む 脇腹が痛む 腰が痛む 体のどこかの感覚が鈍い 何となく力が入りにくい 足がもつれて歩きにくい 階段を降りるのが不安定で怖くなった 排尿がむずかしい 尿漏れがある 排便がむずかしい 胸や背中に不快感がある 一つでも当てはまれば、胸椎椎間板ヘルニアを発症している可能性があります。 該当する場合は速やかに医師の診察を受けるのをおすすめします。 診断はどのようにしておこなうか 疑わしい症状があれば、MRIを撮影して椎間板の逸脱がないかを調べます。 レントゲンでは診断はつきませんが、骨折など他の病気を探すためにMRIに先行しておこなうことが多いです。 ただし、胸椎椎間板ヘルニアは非常に稀な病気である上に、腰椎の病気と似た症状を起こすことが多いです。 そのため、最初は腰椎の検査をされ、のちに胸椎椎間板ヘルニアだったと判明することもあります。 胸椎椎間板ヘルニアは自然治癒するの?可能性と注意点 結論から言うと、椎間板ヘルニア全般に自然治癒はあり得ます。 もちろん胸椎椎間板ヘルニアも、ごく軽症であれば自然と治るかもしれません。 しかし胸椎椎間板ヘルニアは症例が少なく、自然治癒の事例もさほど多くありません。 自然治癒を期待して、治療を受けず放置していると症状が悪化し、歩行・排尿機能の障害が生じるリスクがあります。 したがって自然治癒に期待しすぎず、医師の診断を受け、指導のもと治療に臨むようにしましょう。 胸椎椎間板ヘルニア|自然治癒の可能性と注意点 ▼可能性 胸椎椎間板ヘルニア:稀な疾患、自然治癒の報告例僅か 腰椎や頚椎の椎間板ヘルニア:自然消失例の報告例有 胸椎椎間板ヘルニア:一部の軽症例で自然治癒の可能性がある ▼注意点 ✕ 自然治癒を過剰に期待するのはNG ✕ 自己判断で放置すると歩行・排尿障害に陥る「リスクが大きい」 定期的な受診を怠らず、歩きづらさを感じたら、早急な受診をお勧めします。 <関連記事> 胸椎椎間板ヘルニアの保存療法!リハビリの種類や具体的な内容を解説 胸椎椎間板ヘルニア|症状と自然治癒の可能性について 胸椎椎間板ヘルニアは予防できる? 胸椎椎間板ヘルニアの発症を予防するのはむずかしいです。 できることとして以下があげられるでしょう。 普段から正しい姿勢を保つ 中腰での作業を避ける 重たい荷物を持ち上げるなど腰に負担のかかる運動を避ける 同じ姿勢を取り続けないようにする 背筋を鍛える このような工夫により、多少は発症を予防できます。 とはいえ胸椎椎間板ヘルニアは突発的に起こるものであり、完全な予防は困難であることを知っておきましょう。 まとめ・胸椎椎間板ヘルニア症状と自然治癒の可能性について 胸椎椎間板ヘルニアはまれな病気です。 軽症の場合は対症療法のみで様子を見ることができる一方、足の麻痺などが出てしまうと手術を行わなければいけないことがあります。 自然治癒の可能性もありますが、一方で急激な進行を認めるケースがあるのも事実です。 すぐに手術しない場合でも通院を怠らず、症状の変化に気をつけて過ごしてください。 この記事が参考になれば幸いです。 ▼こちらも参考にされませんか 胸椎椎間板ヘルニアの痛みに!ストレッチで痛みを和らげる方法 ヘルニアの種類と後遺症に再生医療という新たな治療法 参考文献 大場哲郎, 波呂浩孝.日本医事新報 (5084): 42-42, 2021. 岡田英次朗.日本医事新報 (4994): 40-40, 2020. 小西明, 藤井基広, 増本眞悟, 石井秀典, 今井健, 角南義文. 整形外科と災害外科 48:(1) 10-12, 1999. 公益社団法人日本整形外科学会|「胸椎椎間板ヘルニア」
2023.12.21 -
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- 胸椎椎間板ヘルニア
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「背骨を押すと痛い」「背骨の胸あたりを押すと痛む」部分を胸椎(きょうつい)といいます。 首と腰の間にある部分で、胸椎は12個の骨から成り立っており、それぞれが左右12本ずつある肋骨(ろっこつ)とつながっています。 背骨を押すと痛みを感じるとき、ただの疲れや姿勢の問題だと考えられがちですが、実は神経や骨に関連する病気の可能性もあります。 本記事では、背骨に痛みを感じたときに考えられる5つの病気や改善方法などを専門医ができるだけわかりやすく解説します。最後まで読めば、痛みが悪化する前に適切な行動ができるようになるはずです。 背骨(胸椎)を押すと痛い原因 背骨を押すと痛い原因はさまざまですが、姿勢の悪さや筋肉、骨の問題であることがほとんどです。 例えば、主婦や事務労働をする方であれば、背中が丸まったような悪い姿勢(猫背)が主な原因として考えられるほか、年齢に伴う椎間板の老化なども挙げられます。 冒頭でもお伝えしましたが胸椎は肋骨と繋がっています。背中の真ん中あたり、肋骨に近い背骨を押すと、胸椎の後ろにある突起部分(棘突起:きょくとっき)に圧力がかかり、痛みの原因となるのです。 特に胸椎のあたりに痛みがある場合は、神経や筋肉、骨に関わる病気の可能性があります。 背骨(胸椎)を押すと痛いときに考えられる5つの病気 背骨(胸椎)を押すと痛いときに考えられる5つの病気は以下の通りです。 脊椎過敏症 胸椎椎間板ヘルニア 肋間神経痛 強直性脊椎炎 胸椎骨折 各疾患の症状などをできるだけ簡単に説明します。痛みがどの症状に当てはまるのか、チェックしながら読み進めていきましょう。 ①脊椎過敏症(せきついかびんしょう) 背骨を押すと圧痛が生じる病態として、脊椎過敏症があります。この病気の症状としては、背部や棘突起のあたりの痛みや押した際の痛み(圧痛)が出ます。 脊椎過敏症では、背部の痛み以外には特に症状はなく、予後も比較的良好です。この脊椎過敏症は、20歳代の女性、特に事務労働者や主婦に多く、背中が丸まったような悪い姿勢などの原因が あるのではないかと考えられています。数ヶ月から数年の間で自然に治っていくことが普通です。 ②胸椎椎間板ヘルニア(きょうついついかんばんヘルニア) 胸椎椎間板ヘルニアは、胸椎の椎体と椎体との間にあるクッションのような構造である椎間板が変性し、脊椎の外側に飛び出し、脊髄を圧迫する病気です。 胸椎椎間板ヘルニアの症状として、背部痛(背中の痛み)が生じることもあります。その他の症状として、体幹から下半身の感覚が低下することや、筋力低下がみられます。胸椎椎間板ヘルニアは、外傷などの明らかな原因がない場合がほとんどです。 また胸椎椎間板ヘルニアは腰椎や頚椎の椎間板ヘルニアと比べてその頻度は少なく、歩行障害などの症状が現れた場合には手術を要することが多いです。 放置すると重症化の恐れがある胸椎椎間板ヘルニアの概要や症状について、以下の記事でさらに詳しく解説しているので、ぜひあわせてご覧ください。 なお、胸椎椎間板ヘルニアなどの痛みは、手術を必要としない再生医療によって改善が期待できます。興味のある方は、再生医療による回復の事例などを紹介した以下の動画もご覧ください。 ③肋間神経痛(ろっかんしんけいつう) 胸椎椎間板では、椎間板の中にある髄核(ずいかく)という構造が脊髄の真ん中を圧迫するですが、左右方向に髄核が飛び出すと神経根という脊髄から神経が出ていく部分を圧迫することもあります。すると、肋間神経痛の症状が現れます。肋間神経痛の症状としては、背中から胸にかけて、肋骨に沿ったような鋭い痛みが生じるというものです。 なお前述の胸椎椎間板ヘルニアと肋間神経痛は、いずれも背中に痛みが出ますが、痛みの場所であったり症状だったりが異なります。 以下の記事で胸椎椎間板ヘルニアと肋間神経痛の違いについて詳しく解説したので、こちらも合わせてご覧ください。 ④強直性脊椎炎(きょうちょくせいせきついえん) 強直性脊椎炎は、仙腸関節という関節や腰、背中、首の脊椎の靱帯付着部に炎症が生じる病気です。さらに、胸椎の椎間関節にも炎症は起こります。 症状の多くは腰痛やお尻の痛みから始まり、徐々に背中全体や首にまで広がっていきます。症状が進むと、体を曲げ伸ばしすることが難しくなり、前屈みの姿勢となっていきます。 体のだるさや疲れやすさ、体重減少、微熱、高熱などの全身の症状がでることもあります。 また、4人に1人の確率で目の病気である虹彩炎(こうさいえん)が起こりますが、早めに眼科治療を受ければ予後は良好です。 ⑤胸椎骨折(きょうついこっせつ) 骨粗鬆症や、腫瘍が骨に転移した際に、背骨が圧迫骨折をきたすことがあります。この場合にも、圧痛や体動時痛といった症状が生じることがあります。 骨折の程度によっては、脊髄損傷をきたすこともあり、胸椎と腰椎の移行部に骨折が生じた場合には、両下肢の麻痺症状などを引き起こす可能性もあります。 骨折の原因が骨粗鬆症などで軽度の圧迫骨折を来している際には、安静と簡易コルセットなどの外固定をすることで、3〜4週間でほとんどの症状が改善するとされています。 転移性骨腫瘍が原因である場合には、癌そのものに対する化学療法やホルモン治療が行われます。骨転移による痛みが強い場合には、放射線治療が有効な場合もあります。骨破壊が進行しており、脊髄への圧迫がみられるような際には、脊椎固定術も行われます。 脊髄の損傷は手術しなくても治療できる時代です。 背骨(胸椎)を押して痛いときの改善方法 背骨(胸椎)を押して痛いときの改善方法として以下の3つが挙げられます。 医療機関を受診する 正しい姿勢を意識する 普段の姿勢やストレッチなどで痛みを緩和できるかもしれませんが、まずは専門医の診断を受けることをおすすめします。 医療機関を受診する 前述してきたとおり、背骨の胸のあたりにある「胸椎」を押して痛い場合にはさまざまな原因があります。脊椎過敏症のように、胸椎を押したときの痛み以外に特に症状がなく、治療をしなくても自然に改善していくこともあります。 一方で、胸椎椎間板ヘルニアなどは、下半身の筋力低下や感覚低下といった神経症状がみられます。こうした場合、基本的には手術が必要となりますので、早めに整形外科などの専門医療機関を受診することをお勧めします。 背骨(胸椎)を押して痛いときは、自己判断せずに医療機関に相談しましょう。当院「リペアセルクリニック」では、胸椎の痛みなどに関する再生医療や幹細胞治療を得意としていますので、まずはお気軽にご相談ください。 正しい姿勢を意識する 正しい姿勢は背骨にかかる負担を減らすことができます。特に猫背は背骨に負担がかかるので、背筋を適切に伸ばした状態をキープするようにしましょう。 日常の中で特に猫背になりやすい体制として、以下の3つが挙げられます。 スマホを操作するとき デスクワークをするとき 寝るとき 日常生活には背骨への負担がかかる場面が多くあるので、上記を参考にできることからはじめていきましょう。 まとめ|背骨(胸椎)に痛みを感じたらすぐに受診を! 本記事では、背骨(胸椎)を押して痛い原因や5つの病気、治療などについて解説しました。 胸椎椎間板ヘルニアなどの神経を圧迫する疾患では、治療が遅れると脊髄の神経が傷つき、麻痺が完全に治らない場合もあります。現在の医療では、一度傷ついた神経細胞を完全に修復することは難しいですが、当院は自己脂肪由来幹細胞を用いた再生医療を、脊髄損傷にも応用しています。 背骨(胸椎)を押して痛い病気の中には、後々まで症状が残る場合もあるため、自己判断せずに医療機関を受診しましょう。 再生医療に少しでもご興味のある方は、当院「リペアセルクリニック」までご相談ください。 背骨(胸椎)の痛みに関するよくある質問 Q.背骨(胸椎)が痛むときにストレッチをしても大丈夫ですか? A.痛みや症状によってはストレッチを避けて安静にするのが良いです。 例えば、胸椎自体の痛みがある場合は、骨折や脊椎炎などが考えられ、このような場合はストレッチは避けるのが無難です。 また、胸椎椎間板ヘルニアの場合は、ヘルニアを押し戻すような効果として、猫のポーズが有効な場合があります。 このように、自己判断でストレッチをすると症状を悪化させてしまいかねませんので、医療機関を受診しましょう。 なお、胸椎椎間板ヘルニアの痛みを予防するストレッチについては、以下の記事で詳しく解説しているので、ぜひご覧ください。 参考文献 胸背部痛.日内会誌.2010;99:1686-1689. 脊椎過敏症 (medicina 14巻13号) | 医書.jp 胸椎(せなか)の症状一覧 - 日本整形外科学会 強直性脊椎炎(指定難病271) - 難病情報センター 「脊椎椎体骨折」|日本整形外科学会 症状・病気をしらべる 「転移性脊椎腫瘍」|日本整形外科学会 症状・病気をしらべる
2023.12.18 -
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- 胸椎椎間板ヘルニア
胸椎椎間板ヘルニアは、痛みやしびれを引き起こし、日常生活に大きな影響を与えます。「動くたびに痛む」「肩こりと勘違いして放置していたら悪化した」「手術しないと治らないのか」と悩む人も多いでしょう。 しかし、適切な治療とストレッチを取り入れると、症状の軽減が可能です。この記事では、胸椎椎間板ヘルニアの治し方や痛みを和らげるストレッチ方法を解説します。 胸椎が痛む場合は、胸椎椎間板ヘルニアが疑われる可能性があるため、当院「リペアセルクリニック」へご相談ください。 「胸椎椎間板ヘルニア」とは?背中から胸にかけて痛みが出る疾患 背中から胸にかけて痛みや、脚のしびれなどの症状がある場合は、胸椎椎間板ヘルニアの疑いがあります。(文献1) 背骨の首の部分を頚椎、腰の部分を腰椎、頚椎と腰椎に挟まれた背中の部分が胸椎です。そして、椎骨と椎骨の間には、衝撃を吸収するクッションの役割をもつ椎間板があります。 ヘルニアは、椎間板の中にあるゼリー状の髄核(ずいかく)が、椎間板から飛び出てしまい、近くの神経を圧迫している状態です。そのため、胸椎の椎間板で生じるヘルニアを胸椎椎間板ヘルニアと呼びます。 ただし、胸椎は首や腰に比べて動きが少ない部分のため、実はヘルニアになりにくい場所でもあります。 胸椎椎間板ヘルニアの原因 椎間板ヘルニアは加齢や繰り返しかかる負担で椎間板が変化したり断裂したりして起こる疾患です。繰り返し椎間板に負担がかかる作業といえば、重い荷物を抱えたり、運転など長時間座ったりする作業があります。 また動きや接触の激しいスポーツ、事故などの衝撃もヘルニアの原因です。 前述のように胸椎は動きが少なく、頚椎や腰椎に比べると上記のような原因でヘルニアになるケースは少ないです。 胸椎椎間板ヘルニアの症状チェックリスト 胸椎椎間板ヘルニアの症状は以下のようなものがあります。 症状例 脚がしびれる 脚に力が入らない 歩くとふらつく お腹がしめつけられる 背中や脇腹が痛む 背中から胸にかけて痛む おしっこや便が出にくい、漏らしてしまう 太ももやふくらはぎに痛みがある 胸椎椎間板ヘルニアによってうまく歩けなかったり、ふらついたりするのは、脚の筋力が低下してしまい、力が入りにくいためです。 筋力低下が起こる原因は、ヘルニアにより背骨を通る神経が圧迫されて筋肉に指令が伝わりにくくなるからです。 麻痺が進行すると、排尿を支配する神経も障害されるため、尿が出にくいなどの症状が出ます。しびれなどの感覚障害も症状の1つですが、痛みを伴うケースは少ないです。まれに、神経の障害の影響で背中や脇腹のあたりが痛む場合もあります。このような痛みを肋間神経痛(ろっかんしんけいつう)と呼びます。 腰椎のヘルニアでよく見られるような、腰から脚に広がる神経痛は胸椎椎間板ヘルニアでは少ないです。 【関連記事】 胸椎椎間板ヘルニアで背中や胸が痛み始めた方へ!症例や予防策を医師が解説! 胸椎椎間板ヘルニアの症状レベルは?チェックリスト付きで医師が解説 胸椎の痛みが胸椎椎間板ヘルニアであるかを診断する方法 胸椎椎間板ヘルニアの診断にはMRI検査が有効ですが、CTが用いられるケースもあります。 MRIでは椎間板、神経、靭帯を詳細に抽出できるため、椎間板の状態や神経の圧迫の有無を詳しく調べられます。しびれや痛みなどの症状がある際に、MRIを用いて脊椎の状態を確認可能です。放射線を使用せずに軟部組織を抽出できます。 一方、CT検査は骨の詳細な構造を短時間で確認が可能です。そのため、手術を行う場合にはCT検査を用いて骨の異常や椎間板の位置を把握する場合があります。 胸椎椎間板ヘルニアの痛みの治療方法 胸椎椎間板ヘルニアの治療方法は「保存療法」と「手術療法」があります。治療の概要は表の通りです。 治療方法 内容 保存療法 胸椎をできるだけ動かさないように安静にします。 また、猫背を軽減するためのストレッチを実施します。 手術療法 背骨の一部を除去し、症状の軽減を図ります。 痛みや歩行障害がある場合に適用されます。 保存療法と手術療法の具体的な内容は、以下で解説します。 保存療法 ヘルニアがあっても症状が軽く、脚の筋力低下や排尿の障害などが伴わない場合は、コルセットや内服薬で痛みの軽減を図ります。ヘルニアは症状が自然に治る場合もあり、症状が軽い場合は、まず保存療法で様子を見ます。 手術療法 胸椎椎間板ヘルニアの症状が進行し、麻痺の症状が見られると保存療法での治療は困難です。放置すると症状が徐々に進行するため、早めに手術が行われます。 手術は側方から椎間板を摘出して骨を移植する「前方固定術」、後方から椎間板を切除する「後方除圧術」を実施します。症状の悪化が見られる場合、手術も視野に入れましょう。 再生医療 再生医療は、身体の治癒力を利用した新しい医療です。 再生医療のうち「幹細胞治療」は、さまざまな細胞に変化できる幹細胞を患者様から採取・培養した後、患部に戻します。自分の身体から採取した細胞なので、アレルギーや拒絶反応が起こりにくいのがメリットです。 当院「リペアセルクリニック」では、椎間板ヘルニアの後遺症に対して幹細胞治療を行っています。一般的に用いられる方法では、幹細胞を一度にまとめて培養後、冷凍したものを複数回に分けて投与します。しかし、当院では投与の度に幹細胞を培養するため、新鮮な幹細胞の投与が可能です。 再生医療について興味がある方は、無料のメール相談やオンラインカウンセリングを承っておりますので、お気軽にご相談ください。 胸椎椎間板ヘルニア(予防)におすすめのストレッチ2選 胸椎椎間板ヘルニアの予防や、痛みの緩和をするためにおすすめのストレッチを2つ紹介します。 特別な道具も必要なく自宅でも簡単にできる方法ですので、日頃の生活に取り入れてみましょう。 横になってする胸椎ストレッチ まずは寝た状態でできる胸椎のストレッチです。 胸椎が固くなると猫背になり、胸の前側が固くなります。 このストレッチでは胸の前側の筋肉を伸ばし、姿勢の改善が期待できます。 横になって行う胸椎ストレッチ 1. 左側が下になるように両膝を曲げて背筋を伸ばした状態で横になる 2. 両肘を胸の前でまっすぐ伸ばし、両手のひらを合わせる 3. 右手を大きな半円を描くように頭上を通りながら水平に後ろまで動かす (このとき手の動きを追うように頭も動かす) 4. 右手を元の位置に戻して5往復程度繰り返す 5. 反対も同様に行う ゆっくりと動作を行い痛みが出ない程度の範囲で行いましょう。 四つ這いでする胸椎のストレッチ 四つ這いになって背骨の柔軟性を高めるストレッチを紹介します。 胸椎のストレッチに加えて、背骨を支える筋肉を働かせるためトレーニングの効果も期待できる運動です。 四つ這いで行う胸椎ストレッチ 1. 背中をまっすぐにして四つ這いになる 2. おへそをのぞき込みながら背中を丸めるようにゆっくり動かす 3. 目線を少し上にして両方の肩甲骨寄せながら背中をそらすようにゆっくり動かす 4. 5往復程度繰り返す 最初の姿勢では肩の下に両手を肩幅に広げておき、腰の真下に膝がくるように動かします。また背骨を一つずつ動かすような意識でゆっくりと実施するのがポイントです。 胸椎椎間板ヘルニアが疑われる際にやってはいけないこと 胸椎椎間板ヘルニアでは、身体を丸める動きに注意が必要です。たとえば、中腰姿勢、重い荷物を持ち上げる、猫背の姿勢を続けるなどは椎間板に負担がかかります。 身体を丸める動作は、椎間板や髄核が飛び出る方向に動いてしまうため、できるだけ避けましょう。 胸椎の痛みの正しい治し方・ケア方法を知って適切に対処しよう 胸椎椎間板ヘルニアは症状が進行すると歩くのが難しくなり、排尿・排泄が障害される疾患です。 症状が軽い場合は安静や薬による治療を行いますが、症状が重い場合は手術を検討します。 また、椎間板ヘルニアの後遺症に対しては、再生医療という治療方法も選択肢のひとつです。 当院「リペアセルクリニック」では、椎間板ヘルニアに対して再生治療を行っています。ヘルニアの症状や術後後遺症でお悩みの方は、ぜひ一度リペアセルクリニックへご相談ください。 参考文献 文献1 公益社団法人 日本整形外科学会「胸椎椎間板ヘルニア」 https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/thoracic_disc_herniation.html (最終アクセス:2025年2月22日)
2023.12.14 -
- 頚椎椎間板ヘルニア
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頚椎椎間板ヘルニアを発症したら、何日入院する必要があるの? 手術を受けた場合の休養期間は? 頚椎椎間板ヘルニアを発症した、もしくは疑われている方は、このような疑問を持っているでしょう。 この記事では各状況での平均的な休職期間を解説します。 どの程度休む必要があるのか把握したい方は参考にしてください。 【予備知識】頚椎椎間板ヘルニアとは 頚椎椎間板ヘルニアは、頚椎(首の背骨)と頚椎の間にあるクッションのような役割をしている椎間板が破れたりして、脊髄や神経根が圧迫されることで神経症状が起こる病気です。 症状は首の痛みが急激に生じ、続いて、腕や手指に痺れや痛みを感じます。腕や手指に脱力が生じることもあります。 ヘルニア病変が大きく、脊髄の圧迫が強まると、巧緻(こうち)運動障害を生じ、お箸がうまく使えない、字が下手になる、ボタンを留めることが難しいなど、細かな作業ができなくなったり、さらには歩行障害が生じることもあります。 頚椎椎間板ヘルニアでは、まれにヘルニアが自然に吸収され、自然治癒にいたる例も多数報告されています。 そのため、症状が軽い場合には保存的治療をおこない、経過をみていくことが多いです。 たとえば、薬の内服や安静、理学療法や頚椎カラー固定などの保存的治療が選ばれます。 薬の内服や安静 理学療法 頚椎カラー固定 ※保存療法でも、症状の悪化は十分にありうるため、常に注意をしておく必要があります。 頚椎椎間板ヘルニアで仕事や運動にドクターストップがかかるケース 頚椎椎間板ヘルニアの症状が重篤だと、仕事や運動に支障が出ます。 以下のケースではドクターストップがかかるでしょう。 神経症状の悪化が予測される 脊髄への影響が疑われる 業務内容がデスクワークなど、頚椎に負担がかかるものである 休業期間や手術が必要である 頚椎椎間板ヘルニアを発症しても、「無理をすれば働けなくもない」程度の症状にとどまるケースがあります。 しかし頚椎椎間板ヘルニアは、薬の内服や休業期間などがないと、症状が悪化します。 ドクターストップがかかれば指示どおりに休業するべきでしょう。 頚椎椎間板ヘルニアによる入院・休業期間の平均日数 頚椎椎間板ヘルニアによる入院・休業期間の平均日数は、状況によって異なります。 次の章でいくつかの状況と、それぞれの入院・休業期間を示します。 手指の繊細な仕事が必要な場合 手指の巧緻運動障害や、痺れや脱力症状も、頚椎椎間板ヘルニアの症状です。 そのため、こうした症状がある場合は、絵を描く、工芸品を作る、など繊細な手作業を要する仕事の場合には、症状が改善するまで休むことが必要となる場合があります。 軽度の症状なら、数日の休業期間にとどまるでしょう。症状が重ければ1週間以上かかることもあります。 頚椎椎間板ヘルニアによる症状が重い場合 頚椎椎間板ヘルニアでは、通常は上半身、とくに首から肩、腕、手指などに痺れや痛み、ときに脱力などの症状が現れます。 一方で、重症になると歩行障害など下半身にも影響がみられます。 そのため、仕事内容によって歩くことが必要となる職種、デスクワーク以外、たとえば営業職や販売、倉庫、工場などでの勤務は、治療がある程度完了するまでの間、仕事を休まざるを得ない場合もあるかもしれません。 休んでも筋力低下や脱力、巧緻障害が戻らないときは手術が必要です。 また、第1指と第2指の骨間筋の萎縮が見られることもあり、注意して診察しなければいけません。 症状が重い場合は、1〜2週間ほどの休業期間が必要でしょう。 手術を受けた場合 頚椎椎間板ヘルニアの症状が「保存的な治療で改善しない場合」、患者様から「強い希望がある場合」、また先ほど述べた「巧緻運動障害や歩行障害がある場合」などでは、全身麻酔のもとで前方除圧術や前方除圧固定術などの外科的治療(手術)が選択されます。 頚椎椎間板ヘルニアでは、頚椎前方除圧固定術がよく選ばれます。 この手術は、頚椎の前側、つまり首の前面から皮膚や筋肉を切り開き、椎間板や頚椎の骨の出っ張っている部分を切除して、神経の圧迫を取り除くものです。 手術自体は1〜1.5時間くらいで、翌日から歩行可能とされています。 しかしながら、入院期間はリハビリなども含めて通常10〜14日程度です。 そのため、その間はもちろん通勤などはできませんし、仕事を行うのは難しいでしょう。 また退院後すぐに出勤できるかどうかは人によりさまざまですが、手術を行なった場合には休む期間は平均で3〜6週間ほどと考えられます。 外科的治療(手術) 手術時間の目安 入院期間の目安 休職期間の目安 頚椎前方除圧固定術 1〜1.5時間 10~14日 3~6週間 一方で、ヘルニアによって神経根や脊髄の圧迫が強いために、後遺症として神経症状が残ってしまった場合は、休職、あるいは仕事を辞めることを検討する必要があるでしょう。 このように術後の後遺症で悩まれている方はたくさんおられますが、今の保険診療内では根治は難しいとされています。 そこで、幹細胞による再生医療が注目されています。 頚椎椎間板ヘルニアでも仕事を休めない場合には 基本的には痛みが強い間には安静にしておくことが大切ですが、頚椎椎間板ヘルニアによる腕の痺れや首の痛みがあっても、休業期間を取れないケースもあります。 そのような場合には、頚椎カラーで首を固定したり、首を曲げるような動きは極力避けることで、頚椎椎間板ヘルニアの症状悪化を防ぐことが期待できます。 頚椎椎間板ヘルニアでの症状を軽減させるポイント それでは、休業期間中に注意したいポイントを解説します。 頚椎椎間板ヘルニアの症状を軽減させるためには、頚椎の良い姿勢を保つことが大切です。 とくに後屈、つまり後ろに反らす動作を避けることが重要です。 たとえば、上を見上げる姿勢は取らない、首をぐるぐると回す運動は避ける、腹ばいでの読書や、そうした姿勢でのテレビ視聴は避けるなどの注意が必要です。 これらを予防するために、頚椎カラーも有効です。 また、寝る際には首までしっかりと固定できる面積の広い枕を使うことも良いでしょう。 このようなポイントを守ることで、頚椎椎間板ヘルニアによる神経症状の悪化を、ある程度食い止めることが可能と考えられます。 上を見上げる姿勢は取らない 首をぐるぐると回す運動は避ける 腹ばいでの読書やそうした姿勢でのテレビ視聴を避ける 首までしっかりと固定できる面積の広い枕の使用をする まとめ・頚椎椎間板ヘルニアの治療、入院期間と休業期間について 今回の記事では、頚椎椎間板ヘルニアの症状の程度によっては仕事を休まざるを得ないケースを解説しました。 頚椎椎間板ヘルニアによる休業期間の必要性は、症状の種類と程度によって異なります。 手指の繊細な作業が必要な場合や症状が重い場合は休職が必要となることがあります。 症状の程度に応じて適切な休業期間を確保し、適切な治療と姿勢の管理を行うことが必要です。 頚椎椎間板ヘルニアは、多くは保存的治療もしくは手術によって症状が改善します。 一方で、神経の圧迫の程度が強く、後遺症が残ってしまう場合も残念ながらあり得ます。 手術や保存的治療を受けた後でも、症状が改善せず仕事を続けることが難しい場合があります。 最後に頚椎椎間板ヘルニアによる神経症状を軽減させるためには、適切な姿勢を保つことが重要です。 休む期間に限らず、普段から意識して姿勢を整えるようにしたいものです。 ▼当院では、脂肪由来の幹細胞を使用した脊髄内幹細胞の投与による、傷ついた神経の修復・再生に取り組んでいます。 https://www.youtube.com/watch?v=0hyJR5VW3oY&t=64s 頚椎椎間板ヘルニアの手術を受けてもなかなか症状が改善しない、術後の後遺症に悩んでいる、仕事に早く復帰したい方は、ぜひ一度当院までご相談ください。
2023.12.11 -
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頚椎ヘルニアの痛みやしびれにストレッチは有効? 首や肩周辺の痛みやしびれを「自力でなんとかしたい」という方も多いのではないでしょうか。 本記事では、医師監修のもと頚椎ヘルニアに有効なストレッチ方法をご紹介します。 おすすめのストレッチはありますが、頚椎ヘルニアはセルフケアだけで完治する病気ではありません。 むしろ間違ったストレッチ方法では症状を悪化させ、耳鳴りやふらつきなどの重大な症状が発生しやすくなります。 今までは手術による治療が一般的でしたが、頚椎ヘルニアの神経損傷を手術しないで治療する方法として「再生医療」が注目◎ 当院(リペアセルクリニック)の公式LINEをご登録いただいた方限定で「再生医療の基礎がわかるガイドブック」を無料で配布しています。 手術はしたくないけどセルフケアで効果がない方は、ぜひ当院の公式LINEの情報をご参考ください。 頚椎ヘルニアに効果的なストレッチ5選 結論からいえば、頚椎ヘルニアには首・胸のストレッチが効果的と考えられています。 頚椎ヘルニアは頚椎(首の骨)の間にある椎間板と呼ばれるクッションが変性してしまい、後ろに押し出されることで神経を圧迫する病気です。頚椎は本来後ろ向きに湾曲していますが、なんらかの原因で首が前に倒れると椎間板が後ろに押し出されやすくなります。 頚椎が前に倒れる原因は、ストレートネックや猫背といった不良姿勢です。 不良姿勢は首や胸の筋肉の緊張によって引き起こされることも多いため、ストレッチが効果的と考えられています。つまり、不良姿勢を改善するストレッチが頚椎ヘルニアの予防・改善につながるのです。 ここからは首・胸の部位にわけてストレッチの方法を解説します。頚椎ヘルニアでお悩みの方はぜひ最後までチェックしてください。 僧帽筋・肩甲挙筋のストレッチ 首のストレッチでは、僧帽筋(そうぼうきん)・肩甲挙筋(けんこうきょきん)という首〜肩甲骨にかけてついている筋肉を伸ばします。 アゴを首に近づけるように後ろに引きながらストレッチすることがポイントです。 上記ストレッチは息を止めてしまいやすいため、呼吸を意識しながら行いましょう。 また、手で強く押さえつけると首を痛める原因となります。手や頭の重みを血要する程度にとどめ、ゆっくりストレッチしてください。 当院(リペアセルクリニック)の公式LINEでは、損傷した神経の根本的な改善が期待できる再生医療の詳細や症例を公開しています。 将来的な不安がある方は、この機会に再生医療について知っておきましょう。 ▼損傷した神経の治療に再生医療が注目 >>【公式LINE限定】再生医療ガイドブックを無料で受け取る 大胸筋のストレッチ 大胸筋は胸の前方〜鎖骨・腕にかけてついている筋肉です。 大胸筋が固くなると鎖骨や腕が前に引っ張られ、猫背になってしまうことがあります。猫背になると同時に首も前方に倒れ、頚椎ヘルニアの原因になりかねません。 こまめに大胸筋のストレッチを行い、猫背や頚椎ヘルニアを改善しましょう。腕や体を大きく動かしながらストレッチするとよく伸びるので、ぜひ試してください。 立ってできる大胸筋のストレッチ 1. 壁に対して横向きに立つ(右側が壁になるように) 2. 右側の手のひらと腕を壁につける(肩と肘が同じ高さになる位置) 3. ゆっくり体を左側にひねる 4. 右胸の前側が伸ばされるのを感じた状態で15秒から30秒キープする 5. 反対側も同様に行う ポイントは手のひらを壁につけたまま、しっかりと体を捻ることです。体の捻りに腕がついてくると大胸筋のストレッチが弱くなるため、壁に手をつけたまま動かないように体を捻ってください。 座ってできる大胸筋のストレッチ 1. 椅子の背もたれから少し体を離してまっすぐ座る 2. タオルを持ったままバンザイする 3. タオルを引っ張るように腕を開きながら腕を後ろに引く 4. 肩甲骨を背骨に寄せるようにしながら肘を曲げていく 5. バンザイ→肘を曲げる動作を10回程度繰り返す このストレッチでは、胸を張るように肩甲骨を背骨に寄せる動きが重要です。 また、腕を開いて肘を曲げていく際に頭が下を向きやすいため、頭の位置を変えないように注意してください。 寝ながらできる大胸筋のストレッチ 1. 横向きに寝て、上になった側の足を前に出す 2. 上になった側の手を天井に向けて伸ばす 3. 上に伸ばした手を手のひらが前に向いたまま背中に向かって倒していく 4. 後ろに倒した手を元に戻し、10回繰り返す 後ろに倒すときには、肘をしっかり伸ばしたまま倒すようにこころがけてください。 また、後ろに倒しながら息を吸うことで胸が膨らみ、大胸筋が伸びやすくなります。 頚椎ヘルニアの原因は「ストレートネックや猫背」 そもそも頚椎ヘルニアとは、首の骨(頚椎)の間にある椎間板が圧迫されることで、椎間板の中にある髄核(ずいかく)が後ろに突出し、首の後ろにある神経が圧迫される病気です。 頚椎ヘルニアの主な原因は、猫背やストレートネックなど首が前に倒れる不良姿勢です。また、加齢や飲酒・喫煙などの生活習慣の乱れによって起こることもあります。 猫背やストレートネックが原因で頚椎ヘルニアを発症した場合、首や胸のストレッチを行うことで症状が緩和・改善する可能性があります。 しかし、不良姿勢以外が原因である場合は、ストレッチのみでの症状改善は難しいかもしれません。放置すると首〜腕にかけての痛みや痺れが悪化したり、歩行が困難になったりする可能性もあるため、ストレッチをしても症状の変化がない場合には、早めに整形外科を受診しましょう。 ちなみに、当院リペアセルクリニックでは再生医療を中心に、頚椎ヘルニアの治療にも取り組んでいます。頚椎ヘルニアに対しての治療で気になる方は、メール相談もしくはオンラインカウンセリングでお気軽にご相談ください。 頚椎ヘルニアの初期症状についての記事はこちら 頚椎ヘルニアの詳しい原因と症状についての記事はこちら ストレッチ以外で頚椎ヘルニアを予防するポイント2つ 頚椎ヘルニアの症状を改善・予防するためには、生活習慣の改善と筋トレが効果的です。 乱れた生活習慣や筋力の低下は猫背やストレートネックにつながるため、意識して改善することで頚椎ヘルニアの改善・予防効果が期待できます。 それぞれどのような効果があるのか、詳しくみていきましょう。 生活習慣の改善 生活習慣の改善には、以下に挙げる3つに気をつけてください。 不良姿勢の改善 適切な枕の使用 首に負担のかかる生活の改善 猫背やストレートネックといった不良姿勢は頚椎ヘルニアを強めるため、普段から姿勢を正す意識を持ちましょう。 また、枕の高さが合っていないと寝ている間首への負担が強くなるため、適切な高さに調整することをおすすめします。 首に負担がかかる生活、とくにスマホの見過ぎには注意が必要です。スマホの見過ぎによってストレートネックになることが予想されるため、姿勢を正して使う意識を持ってください。 なお、以下の記事でも頚椎ヘルニアで注意してほしいことをご紹介しています。気になる方はぜひご覧ください。 筋トレ 頚椎ヘルニアの原因に多い猫背やストレートネックは、体幹を中心とする筋トレによって矯正できる可能性があります。体幹を鍛え、猫背やストレートネックが解消されれば、頚椎ヘルニアの改善にもつながるでしょう。 ただし、筋トレをするにあたって痛みが強い場合には避けてください。痛みがあるにもかかわらず無理に筋トレをすると、頚椎ヘルニアの症状を強めてしまう可能性があります。 無理のない範囲での筋トレをこころがけ、少しずつ取り組むことが大切です。 まとめ|頚椎ヘルニアには首と胸のストレッチが重要!早めの受診も検討しよう 頚椎ヘルニアに効果的なストレッチは、首だけでなく胸を伸ばすのがポイントです。とくに僧帽筋・肩甲挙筋・大胸筋に対するストレッチをして、猫背・ストレートネックといった不良姿勢の改善を目指しましょう。 毎日続けることでより効果が出やすくなる可能性が高いため、少しずつでも良いので取り組んでみてください。 ストレッチを続けても効果が出ない場合や、腕・首の痛みが強い場合は、整形外科の受診がおすすめです。整形外科ではストレッチでは改善しなかった頚椎ヘルニアに対して、薬物療法や注射といった選択肢があり、専門的な治療が可能です。 当院「リペアセルクリニック」では、再生医療による頚椎ヘルニアの治療を行っています。 痛みやしびれでできなかったことが再びできるようになる可能性がある再生医療について「どのような治療を行うか」ぜひご確認ください。 ▼LINE限定のガイドブックを無料でプレゼント >>【公式LINE限定】再生医療に関する情報を見てみる 頚椎ヘルニアについてよくある質問 頚椎ヘルニアはストレッチで良くなりますか? 頚椎ヘルニアは、適切なストレッチをすれば手や腕のしびれや痛みが緩和する可能性があります。 「ストレッチしても症状が治らない」「痛みやしびれが長引いている」という方は、早めに医療機関に相談して適切な治療を受けた方が良いです。 重症の場合は、神経の圧迫を取り除くために手術が検討されるケースもあります。 しかし、近年では頚椎ヘルニアを手術しないで治療する方法として「再生医療」が選択肢の一つとして注目されています。 当院(リペアセルクリニック)の公式LINEでは、再生医療による治療法やLINE限定の情報を配信しているので、ぜひ一度ご覧ください。 ▼LINE限定のガイドブックを無料でプレゼント >>【公式LINE限定】再生医療に関する情報を見てみる 頚椎ヘルニアに筋トレは有効ですか? 頚椎ヘルニアの原因が不良姿勢の場合、筋トレが有効といえます。 頚椎ヘルニアの原因である猫背・ストレートネックなどの不良姿勢は、筋力不足によって引き起こされることがあります。筋トレによって不良姿勢が改善されれば、頚椎ヘルニアの症状も和らぐ可能性があるでしょう。 ただし痛みや痺れがあるにもかかわらずトレーニングを行うと逆効果になってしまうため、注意が必要です。整形外科の医師に相談の上、無理のない範囲で行いましょう。
2023.12.07 -
- 頚椎椎間板ヘルニア
- 脊椎
「首のヘルニアは何が原因?」「予防法はある?」と疑問に思っている方もいるのではないでしょうか。 首ヘルニアは、加齢による椎間板の劣化や、姿勢の悪さなどさまざまな原因で起こります。放っておくと、日常生活に支障をきたすほど悪化する場合もあります。 首ヘルニアの改善には、加齢や生活習慣などの要因を理解し、適切な対策を講じることが大切です。 本記事では、首ヘルニアの原因から症状の進行、日常生活でできる予防策まで詳しく解説します。早めの対策で、悪化を防ぐためにも、ぜひ最後までご覧ください。 また、当院「リペアセルクリニック」では、再生医療による治療も行っております。首ヘルニアの症状でお悩みの方は、お気軽に「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にてご相談ください。 首ヘルニアの主な原因 首ヘルニアは、加齢や生活習慣などさまざまな要因によって引き起こされます。 本章では、首ヘルニアの原因について以下の6つに分けて解説します。 加齢による椎間板の劣化 長時間のデスクワークやスマホの使用 猫背や姿勢の悪さ 事故やスポーツでの強い衝撃 喫煙による血行不良 合わない枕の使用や寝方の姿勢 それぞれ詳しく見ていきましょう。 加齢による椎間板の劣化 加齢によって椎間板が劣化すると、首ヘルニアの原因になります。 通常、椎間板は水分を含んでおり、クッションの役割を果たしています。しかし加齢とともに弾力を失うと、神経が圧迫され、首ヘルニアのリスクが高くなります。(文献1) 予防のためには、日頃から適度な運動を取り入れ、筋力を維持することが大切です。 長時間のデスクワークやスマホの使用 長時間のデスクワークやスマホ使用は、首ヘルニアの原因の一つです。 とくにスマホを長時間見下ろす姿勢は、首に大きな負担をかけます。首を前に傾けた状態が続くと、椎間板に圧力がかかり、ヘルニアを発症しやすくなります。 対策としては、画面の高さを目線に合わせる、定期的に休憩を取る、ストレッチを行うなどが有効です。 日常的に正しい姿勢を意識すると、首の負担を減らせるでしょう。 猫背や姿勢の悪さ 猫背や姿勢の悪さも、首ヘルニアのリスクを高める要因です。(文献1) 姿勢が悪いと首の自然なカーブが崩れ、椎間板にかかる圧力が偏ります。とくに前かがみの姿勢は首に負担をかけ、慢性的な痛みにつながるケースもあります。 正しい姿勢を保つためには、椅子の高さを調整したり、背筋を意識的に伸ばすことが大切です。また、肩甲骨周りのストレッチを行うことで、姿勢の改善につながります。 事故やスポーツでの強い衝撃 交通事故やスポーツでの衝撃も、首ヘルニアの原因になります。(文献1) むち打ちや転倒によるダメージは、椎間板や神経に影響を与えます。外部から強い力が加わることで椎間板が変形し、症状が悪化するケースもあるでしょう。 予防策としては、スポーツ時に適切なストレッチを行い、首への負担を減らすなどが挙げられます。 また、事故後に違和感がある場合は、放置せずに早めに病院を受診しましょう。 喫煙による血行不良 喫煙は血流を悪化させ、椎間板の劣化を早める原因となります。(文献1) 椎間板には血管が少なく、栄養が行き渡りにくい構造です。血流が悪くなると椎間板の修復が遅れ、劣化が進行する場合があります。 禁煙を心がけるだけでなく、適度な運動やバランスの良い食事を意識するのも大切です。 合わない枕の使用や寝方の姿勢 枕の高さが合わないと、首に余計な負担がかかり、ヘルニアのリスクが高まります。高すぎる枕を使用すると、首が不自然に曲がった状態が続き、椎間板への負荷が大きくなります。 また、うつ伏せ寝の習慣も、首に負担をかける原因の一つです。 適切な枕を選び、普段から首に負担をかけない寝方を意識すると、ヘルニアの予防につながります。 仰向けで寝る際は、首を適度に支える枕を使用すると良いでしょう。 首ヘルニアによる症状の変化 首ヘルニアの症状は、初期・中期・後期と進行するにつれ、痛みやしびれ、筋力低下などが現れます。 以下の表で、それぞれの症状の特徴を確認しましょう。 進行度 主な症状 初期症状 軽い首の違和感や痛み 中期症状 肩や腕のしびれ・こわばり・動かしにくさ 後期症状 指先の力が入りにくい・歩行障害・慢性的な痛み 症状が進行するほど、日常生活への影響が大きくなります。 ここでは、それぞれの症状についてさらに詳しく解説していきますので、参考にしてください。 首ヘルニアの初期症状|軽い首の違和感や痛み 首ヘルニアは、初期の違和感から徐々に症状が悪化します。 初期段階では軽い痛みやコリを感じる程度ですが、腕や手に軽いしびれを感じる人もいます。 しかし、これらの症状はよくある不調と似ているため、見過ごされがちです。症状が進行するほど日常生活に影響を及ぼすため、早期発見と適切な対策が重要です。 頚椎椎間板ヘルニアの初期症状や程度の見極め方に関しては、以下の記事で詳しく紹介していますので、ぜひご覧ください。 首ヘルニアの中期症状|肩や腕のしびれ 中期になると、首の痛みが強くなり、肩や腕のしびれが現れます。神経が圧迫されるため、ピリピリとした感覚や違和感を感じる場合もあるでしょう。 また、腕を上げたり、一定の姿勢を続けると痛みが悪化するケースもあります。 日常生活に支障をきたす可能性も出てくるため、この段階で専門医の受診が推奨されます。 首ヘルニアの後期症状|歩行障害・慢性的な痛み 首ヘルニアが後期症状にまで進行すると、手のしびれや筋力の低下、歩行障害といった深刻な症状が現れる場合があります。 神経の圧迫が強くなり、指先の細かい動作が難しくなるケースも少なくありません。 また、首だけでなく、背中や腰にも痛みが広がる場合があります。 この段階では、保存療法だけでの改善が難しく、手術が必要になる場合もあるでしょう。 日常生活に支障を感じるほどの症状が出た際は、早めに専門医に相談し、適切な治療を受けることが大切です。 以下の記事では、首ヘルニアの軽度から重度までのレベル別症について詳しく解説しています。あわせてご覧ください。 首ヘルニアの治療法は主に2種類 首ヘルニアの治療には、保存療法と手術療法の2つがあります。(文献2) 以下のように、症状の程度に応じて適切な方法が選択されます。 治療法 概要 適応する症状 保存療法 薬の服用・リハビリ・姿勢改善で症状を緩和 軽度の痛み・違和感・軽いしびれ 手術療法 ヘルニア部分の除去や骨の固定手術を行う しびれや筋力低下が進行、歩行障害がある場合 軽度の症状なら、薬の服用・リハビリ・姿勢の改善などの保存療法で緩和が期待できます。痛みが強い場合は、医師の判断のもと、鎮痛薬や神経ブロック注射をして様子を見るケースもあります。 しかし、しびれや筋力低下が進行し、日常生活に支障が出る場合、ヘルニア部分を除去したり、骨を固定する手術を検討することもあるでしょう。 首ヘルニアの悪化を防ぐには、早めの診断と適切な治療を受けることが大切です。 首ヘルニアを予防するには?日常生活でできる3つの対策 首ヘルニアは、日々の生活習慣の見直しによって予防が可能です。 とくに姿勢の改善や適切な枕の使用、スマホやPCの使い方を工夫することで、首への負担を軽減できます。 ここでは、首ヘルニアを防ぐための具体的な対策を3つ紹介します。 正しい姿勢をキープする 首に負担をかけない寝方と枕選び 長時間のスマホ・PC作業を避ける それぞれ詳しく解説しますので、参考にしてください。 正しい姿勢をキープする 首ヘルニアを防ぐためには、正しい姿勢を意識することが重要です。 猫背や前かがみの姿勢が続くと、首の自然なカーブが崩れ、椎間板に余計な負担がかかります。 たとえば、デスクワークが多い人は、無意識のうちに首に負担をかけているケースが少なくありません。座り仕事を行う場合は、椅子の高さを調整し、背筋を伸ばすように意識してみてください。 また、1時間に1回は軽く首や肩を動かすことで、血流が良くなり、筋肉の緊張を防げます。 普段から正しい姿勢を意識して、首ヘルニアのリスクを下げましょう。 首に負担をかけない寝方と枕選び 寝るときの姿勢や枕の高さも、首ヘルニアの予防に関わります。 高すぎる枕を使うと首が曲がった状態が続き、椎間板に負担がかかるためです。 また、うつ伏せ寝は首を不自然にひねる場合が多く、首のトラブルを引き起こす原因となります。 仰向けで寝るときは、首のカーブをしっかり支える高さの枕選びが大切です。横向きで寝る場合は、首と背骨が一直線になるような高さの枕を選びましょう。 適切な寝具の利用によって、首ヘルニアの予防はもちろん、快適な睡眠環境も作れます。 長時間のスマホ・PC作業を避ける スマホやPCの長時間使用は、ストレートネックの原因となり、首ヘルニアのリスクを高めます。 とくにスマホを下向きで操作する姿勢は、首への負担が大きく、椎間板への圧力を増加させます。 予防のためには、スマホを使うときは画面の高さを目線に近づけ、長時間の連続使用を避けるなどの対策が必要です。 また、PC作業では、モニターの位置を適切に調整し、こまめに休憩を入れて首の負担を減らすのも効果的でしょう。 以下の記事では、首ヘルニアの症状の方に向けて、日常生活で注意すべき点について解説しています。 まとめ|首ヘルニアの原因を知って早めに対策を! 首ヘルニアは、生活習慣の見直しによって予防が可能な疾患です。 加齢や姿勢の悪さ、長時間のスマホ・PC作業などが原因となるため、日々の姿勢改善や適切な寝具の使用を意識することが大切です。 とくに、首に負担をかけない生活習慣を心がけるだけでも、症状の悪化も防げます。 もし違和感を感じたら、早めに対策を取れば、健康な首を維持しやすくなるでしょう。 また、当院「リペアセルクリニック」では、再生医療による治療も行っております。 術後の後遺症でお悩みの方は、お気軽に「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にてご相談ください。 首ヘルニアの原因に関するよくある質問 首ヘルニアになったらやってはいけないことは? 首ヘルニアの症状がある場合、無理に首を動かしたり、自己流のストレッチを行うのは危険です。 強い痛みやしびれがある状態で首をひねると、神経をさらに圧迫し、症状が悪化する可能性があります。 また、長時間のデスクワークやスマホの使用も控えたほうがよいでしょう。 首に負担をかけないよう、適度な休憩や姿勢の改善を意識することが大切です。 以下の記事では、首ヘルニアでやってはいけないことを詳細にまとめています。 詳しく確認したい方は参考にしてください。 首のヘルニアは完治するんですか? 首ヘルニアは、症状の程度によっては回復が可能です。 軽度の場合、ストレッチやリハビリ、薬の服用で症状が改善するケースが多く、手術が不要なこともあります。 しかし、神経の圧迫が進行すると、完治が難しくなるケースもあります。 悪化を防ぐためにも、適切な治療を受けながら日常のケアを続けることが大切です。 こちらの記事では、首のヘルニアの症状や治療法について詳しく解説しています。 リペアセルクリニックは「再生医療」に特化した再生医療専門クリニックです。 手術・入院をしない新たな治療【再生医療】に興味がある方は、お気軽に「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にてご相談ください。 参考文献 (文献1) せぼねお悩みドットコム「頚椎椎間板ヘルニアや頚椎症による首の痛みや手足のしびれは神経が発信するSOSのサインです」 https://www.sebonenayami.com/common/images/specialist/18/18.pdf(最終アクセス:2025年2月22日) (文献2) 日本ペインクリニック学会「Ⅳ H 1 頸椎椎間板ヘルニア」 https://www.jspc.gr.jp/Contents/public/pdf/shishin/6-17.pdf (最終アクセス:2025年2月22日)
2023.12.04 -
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頚椎椎間板ヘルニアの症状とはどのようなもの? 初期症状はどう見分ければいい? 症状の程度を知りたい このように考えている方は多いでしょう。 頚椎椎間板ヘルニアには独特の症状があり、事前に理解していれば判断できます。 この記事では頚椎椎間板ヘルニアの症状や治療に関して解説します。 頚椎椎間板ヘルニアの初期に見られやすい3つのチェックポイント 頚椎椎間板ヘルニアは、頚椎(首の骨)間のクッションである「椎間板」組織の一部がなんらかの理由で本来の場所から逸脱することで起こる疾患です。 この椎間板は年齢とともに成分である水分がぬけてきて、脆くなりヘルニアとして突出してきます。 「ヘルニア」という言葉は臓器や組織が本来あるべき場所からはみ出してしまうことを指します。 初期症状のチェックポイントは以下3点。 首の痛み 片方の腕や手の痛み・痺れ 両手の痺れ・感覚障 ①首の痛み 首の痛みは頚椎椎間板ヘルニアの最初期の症状で、具体的には以下のような状態になります。 首の後ろ側が痛くなる(顕著な場合は肩甲骨あたりまで痛む) 左右に捻ったときだけ痛みを感じる 寝違えたような痛みがある このような症状が、突発的に現れるのが、頚椎椎間板ヘルニアの特徴です。 ②片方の腕や手の痛み・痺れ 片方の肩から腕、手にかけての痛みや痺れは「神経根の圧迫」が起こることで認められる症状の典型例です。 「神経根」とは脊髄から体の各部位に伸びる神経の付け根のことです。 各椎体と椎体の間から、左右それぞれに1本ずつ神経の束が伸びていきます。 神経根が出てくるのは椎体の外側やや後ろです。 椎間板組織がやや斜め後ろに飛び出すことにより神経根の圧迫が起こると、その神経の領域を中心に強い痛みをはじめとした症状が起こります。 頚椎から伸びる神経は主に肩から腕、手にかけて分布する神経です。 そのため頚椎椎間板ヘルニアの神経根症状は主に肩・腕・手に認められます。 症状は圧迫された側のみに起こるため、左右どちらか一方のみが痛んだり痺れたりします。 神経根圧迫による症状は「電気が走るような」「ビリッとした」などと表現されることが多いです。 ときに激痛となり、日常生活が困難になる人もいます。 ③両手の痺れ・感覚障害 片手でなく両手が痺れる場合はヘルニアによる「脊髄」のダメージが起こっている可能性があります。 脊髄は椎体(いわゆる背骨)の真後ろを走っています。椎間板の組織が体の後方へ飛び出すことで、脊髄が圧迫されます。 脊髄の圧迫による症状は指先から始まり、徐々に範囲が広がっていくことが多いです。 片側から始まることも多いですが、最後には両手に認めます。感覚も鈍くなります。 その後はさらに体幹部や足へも症状が広がっていきます。 神経根の圧迫と異なり、脊髄の圧迫では強い痛みはあまり感じません。 「なんとなく痺れた感じがする」程度の症状が、実は脊髄圧迫のサインであるかもしれないのです。 鑑別診断として、ALSなど神経系疾患、糖尿病の合併症である末梢神経障害、手根管症候群、足根管症候群なども注意しなければいけません。 頚椎椎間板ヘルニアの症状レベル4段階 頚椎椎間板ヘルニアの症状レベルは以下4段階に分けられます。 初期 発症期 中期 末期 それぞれでどのような症状があるか解説します。 初期|首や肩の違和感 初期症状が起こるのが前兆期です。以下のような症状が見られます。 軽微な首や肩の痛み 下半身のわずかな痺れや感覚の鈍麻 片手もしくは両手の痺れや感覚の鈍麻 初期症状として先述したとおりの症状が起こります。 ただしいずれも軽微であり、大きな問題にはなりません。 しかし症状が軽微であるがゆえ、診察や治療の意義を見出せず、対応が遅れがちです。 初期症状が見られたら、重篤化する前に医師の診察を受けるのが大切です。 発症期|鈍痛と痺れの併発 発症期に入ると、先述した首や肩の痛み、手足の痺れなどが強まります。 痛みはいわゆる鈍痛であり、各部位も動かしにくくなります。 このあたりで、なんらかの疾患を疑い出すケースが多いでしょう。 また痛みも痺れも、日常生活や仕事に差し障るレベルになります。 運動の困難も一部見受けられ、箸を使う、ボタンを止めるといった動作がややむずかしくなります。 中期|首や肩の可動域の低下 中期に入ると、明らかな鈍痛や痺れとともに、首や肩の可動域が低下したのを感じるようになります。 今までどおり首を上下に動かせない、肩が回せないなどの症状があらわれます。 また手指がうまく使えなくなり、コップなどが持てない、手すりをつかめないなどの症状も起こりうるでしょう。 頭痛が伴うケースもあります。 末期|耳鳴りやふらつきなどの重大な症状の発生 末期になると、症状は頭部や下半身に広がります。 眼精疲労やめまい、耳鳴り、ふらつきなどの症状が生じ、日常生活に大きな支障が出ます。 痛みの悪化もひどく、手足だけでなく胸や背中に強い鈍痛が生じることも。 下半身では歩行障害が生じ、さらに尿失禁なども起こります。 この段階では入院や手術による大掛かりな治療が必要です。 初期段階で放置した場合のリスク 神経根症状の場合は悪化すると、支配神経の感覚障害や筋力低下が起こることがあります。 ただし、神経根症状の場合は安静を心がけるだけでも約2カ月から3カ月で自然治癒する方も多くいます。 一方、脊髄圧迫の症状が進行すると厄介です。 進行していくと、まず手の「巧緻(こうち)性運動障害」が起こります。 細かく指を使う動作が難しくなり、箸を使う・ボタンをかける・文字を書くなどの当たり前にできていたことができなくなるのです。 続いて、足の運動障害により歩行が難しくなります。 さらに進行すると排尿のコントロールに重要な神経の障害が起こり、頻尿・残尿感・失禁などを認めることもあります。 ①手の「巧緻(こうち)性運動障害」が起こる 細かく指を使う動作が難しくなる。 箸を使う、ボタンをかける、文字を書けなくなる 当たり前にできていたことができなくなる ②足の運動障害 歩行が難しくなる。 ③さらに進行すると 排尿の障害 頻尿、残尿感、失禁 治療について 初期の症状のうちは保存療法が基本です。 保存療法 最も重要なのは首の安静を保つことです。 とくに後屈動作、つまり顎を上げる動作は症状悪化の原因になります。 なるべく首を動かさないように、頚椎カラーの使用を指示されることもあります。 痛みが強いときは鎮痛薬の内服やブロック注射などが選択肢です。 手術療法 一方、脊髄症状が進行してしまい、巧緻運動障害・歩行障害・排尿障害などが起こると手術を考えることになります。 また、神経根症状でも治療抵抗性の場合は手術が選択肢となります。 頚椎椎間板ヘルニアについてよくある質問 Q:頚椎椎間板ヘルニアが心配です。何科に受診すれば良いでしょうか? 頚椎椎間板ヘルニアをはじめとした頚椎疾患は次のいずれかの診療科で診察を受けることができます。 整形外科 脳神経外科 ただし、これらの診療科であっても医師によって専門領域が異なることもあります。 場合によっては他の病院や診療科に紹介となる可能性も否定できません。 受診希望時に迷うようであればあらかじめ「頚椎の病気」を診てもらえるか問い合わせをしておくとスムーズです。 Q:頚椎椎間板ヘルニアはレントゲンでわかりますか? レントゲンで確定診断をすることはできません。 同様の症状をきたす他の病気がないかを診る目的で行います。 頚椎椎間板ヘルニアがあるかどうかはMRI撮影を行って調べます。 Q:頚椎椎間板ヘルニア発症時にやってはいけないことは? 以下のような活動や行動は避けましょう。 重いものを持ち上げる 首を大きくひねる 長時間同じ姿勢を取る スポーツに取り組む 寒い場所に行く 温熱療法を自己判断でおこなう ストレスをためる 基本的に医師の指示にしたがい、安静に過ごすのが重要です。 Q:頚椎椎間板ヘルニアを発症した場合の仕事を休む期間は何日? 症状の程度にもよりますが、手術がないなら1〜3週間の休業が必要です。 手術が必要なら、1カ月以上の休養が必要になるでしょう。 まとめ・頚椎椎間板ヘルニアの初期症状を見逃さないための3つのポイント 頚椎椎間板ヘルニアはときに自然治癒することもある疾患です。 しかしながら、人によっては急激に悪化し、麻痺などの重い神経症状を認めることもあります。 一度重症化してしまうと手術を行わなければならないこともあり、早期に診断して適切な治療を行うことが望ましいです。 今回ご紹介した「首の痛み」「片方の腕や手の痛み・痺れ」「両手の痺れ・感覚障害」があれば、早めに病院を受診しましょう。 この記事がご参考になれば幸いです。 参考文献 山崎正志. 臨牀と研究. 97(7): 790-796, 2020. 鎌田修博. 整形外科看護. 12(9): 856-858, 2007. 中川幸洋. MB Orthop. 33(3): 27-34, 2020. 吉井俊貴, 江川聡. MB Orthop. 30(10): 7-13, 2017.
2023.11.30 -
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頚椎椎間板ヘルニアと診断されたものの、なかなか痛みが和らがず、この先どうすれば良いのか分からないといった不安を感じている方も多いのではないでしょうか。 頚椎椎間板ヘルニアとは、頚椎と頚椎の間にある椎間板と呼ばれるクッションのようなものが後ろに飛び出し、神経を圧迫することで首の痛み・腕や手のしびれ・肩こり・感覚異常などの症状を引き起こします。 症状が緩和されないときは、医療機関で専門家に相談しながら、今後の治療方針を見直すことが必要です。 本記事では、頚椎椎間板ヘルニアの原因から痛みを和らげるための治療法をわかりやすく解説します。 痛みを悪化させないための日常生活での工夫や注意点も紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。 また「今の治療では痛みが改善しない」「他に自分に合う治療法がないか知りたい」という方は、当院(リペアセルクリニック)の無料電話相談もご活用ください。 ▼つらい頚椎椎間板ヘルニアの痛みに関する無料のご相談は(こちらをクリック) \お問い合わせはこちらからも可能!/ 0120-706-313 (受付時間:9:00〜18:00) 頚椎椎間板ヘルニアの原因と発症メカニズム 首の部位にある背骨を医学用語で「頚椎(けいつい)」と呼びます。背骨は頚椎が積み重なるようにして、作られているのが特徴です。 頚椎の間には「椎間板(ついかんばん)」と呼ばれるクッションのような構造があります。 椎間板は、ゴムのような線維性軟骨からなる環状部分(繊維輪)と、ゼリーのような柔らかい(髄核)でできています。 以下画像のように、頚椎椎間板ヘルニアとは、椎骨の間にある椎間板が後ろに飛び出てしまい、脊髄や神経根が圧迫されて症状が出る病気です。 また、頚椎椎間板ヘルニアは、椎間板が加齢などの理由で変性して、後ろのほうへ突出して起こるのが原因です。 30〜50代の働き盛りの方に多く、誘因なく、突然発症する場合も多い傾向にあります。 悪い姿勢での仕事や、スポーツなどがきっかけとなる場合もあるでしょう。 ほかにも、頚椎椎間板ヘルニアの症状としては、急な首の痛みに引き続き、腕や手指のしびれが特徴です。 飛び出した椎間板が大きく、脊髄を圧迫してしまうと、歩行障害や手指の運動障害が生じる可能性もあります。 また以下の動画では頚椎椎間板ヘルニアの初期症状を見逃さないための3つのポイントを、わかりやすく解説しています。 「最近、首の痛みや腕のしびれが気になる」「もしかして頚椎椎間板ヘルニアかも?」と不安に感じている方は、ぜひ参考にしてください。 https://youtu.be/bXPC0JUz68g?feature=shared 頚椎椎間板ヘルニアの診断・検査 頚椎椎間板ヘルニアの診断には、首の骨のレントゲン撮影やCT検査、MRI検査などが行われます。 MRI検査では、変性した頚椎の椎間板や、頚椎椎間板ヘルニアの確認が可能です。 椎間板が後ろのほうへ飛び出している場合、脊髄や神経根が圧迫されているか、また程度の確認も行う流れです。 画像検査の結果と症状を照らし合わせながら、矛盾がない場合は、頚椎椎間板ヘルニアの症状であると診断できます。 また、首を斜め後ろへ反らすと、腕や手に痛みが走るのも症状の特徴なので、診断の際にはこのような手技が用いられる場合もあります。(文献1)(文献2) 頚椎椎間板ヘルニアのテスト 頚椎椎間板ヘルニアの確認方法として、以下のようなテストが行われます。 ・頚椎伸展テスト:首を後ろにそらすと、腕から手指にかけてのしびれや痛みが増強します。 ・ジャクソンテスト:頭を少し後ろにして首をそらし、頭を上から圧迫すると、腕から手指にかけて痺れや痛みが出てきます。 ・スパーリングテスト:頭を症状のある方向へ傾けると、腕から手指にかけてしびれや痛みが出てきます。 頚椎椎間板ヘルニアの痛みを和らげる治療方法 頚椎椎間板ヘルニアの治療法は、症状の程度によって「保存的治療」もしくは「外科的治療」に分けられます。まずは症状が軽いときの治療法から解説します。 保存的治療 外科的治療 保存的治療 頚椎椎間板ヘルニアの痛みを和らげる方法には、鎮痛薬や神経ブロックなどの薬物治療、牽引(けんいん)治療、理学療法が行われます。 また、頚椎椎間板ヘルニアによる症状は、ヘルニアが自然に吸収されると自然に治癒する例も多数報告されています。(文献3)(文献4) そのため、まずは保存的な治療で様子をみていく場合が多いです。 薬物治療 痛みが強いときには、首の安静保持を心がけます。 また、鎮痛薬の内服や神経ブロックを行う場合もあります。 牽引治療 頚椎カラー装具で首を固定したり、首の牽引治療を行ったりする場合もあります。 首の牽引治療を行うと、理学療法のみの場合よりも、治療開始5週間後の握力の回復が優れていたという報告も見受けられました。 また、頚椎の牽引を行うと神経根が減圧され、再髄鞘化と血流の改善が起こると考えられています。 理学療法 頚椎椎間板ヘルニアを含み、頚椎が変性して起こる疾患には理学療法も効果的です。 理学療法としては、マッケンジー法や首のエクササイズなどがあります。 マッケンジー法では、首の反復運動の検査や姿勢保持検査を行い、症状を見ながら運動療法の内容や負荷、強度などの治療方法を決めていくものです。 運動の内容としては、首の曲げ伸ばし、側屈、回すことなどを組み合わせて行います。(文献5) 外科的治療 保存的治療の開始から約3カ月経っても症状の改善がないときは、手術を考慮したほうが良いという報告もあります。 また、早く症状を改善したい希望が強い場合にも、外科的手術が推奨されます。 ほかにも、脊髄症の症状である運動麻痺が強く出ているときも、手術が考慮されるのが一般的です。 外科的手術の方法としては、以下が標準的な術式として推奨されています。 前方除圧術 前方除圧固定術(文献6) 頚椎椎間板ヘルニアの痛みを和らげる方法【日常生活の注意点2つ】 日常生活での動作に注意しておくと、ヘルニアを含め、頚椎症による神経症状の悪化をある程度予防できると考えられています。 また、頚椎椎間板ヘルニアの痛みを和らげる行動にもつながるでしょう。 頚椎椎間板ヘルニアに限らず、頚椎の変性で起こる病気について、日常生活での注意点をご紹介します。 良い姿勢を保つ 寝るときに面積が広い枕を使う 良い姿勢を保つ 保存的治療や予防の段階では、頚椎に負担をかけないためにも、良い姿勢を保つのが大切です。とくに、後屈(後ろに反らす動作)を避けるのが重要になります。 【負担をかけないためのポイント】 上を見上げる姿勢は取らない 首をぐるぐると回す運動は避ける 腹ばいでの読書はやめる 不適切な姿勢でテレビを見ない 寝るときに面積が広い枕を使う 頸椎への負担を減らすには、寝方にもポイントがあります。 寝るときは、頭だけでなく首もしっかりと固定できるような、面積の広い枕を選びましょう。(文献7) まとめ|頚椎椎間板ヘルニアの痛みを和らげる治療方法で悪化を防ごう 頚椎椎間板ヘルニアで症状が重い方には、手術療法が選択されます。 一方で、手術を行っても脊髄や神経根の損傷が完全に修復されない場合もあります。結果として、しびれや痛みといった症状が残ってしまう場合もみられるでしょう。 頚椎椎間板ヘルニアの痛みが和らがないときは、医療機関への受診を検討する必要があります。 当院リペアセルクリニックでは、脂肪由来の幹細胞を使用した脊髄腔内ダイレクト注射療法を使い、傷ついた神経の再生を試みています。 頚椎椎間板ヘルニアの手術を受けても、なかなか症状が改善しない・痛みが続くなどお悩みの方は、ぜひ一度当院までご相談ください。 ▼つらい頚椎椎間板ヘルニアの痛みに関する無料のご相談は(こちらをクリック) \お問い合わせはこちらからも可能!/ 0120-706-313 (受付時間:9:00〜18:00) ▼再生医療による治療事例については、以下の動画もぜひご覧ください。 https://www.youtube.com/watch?v=5WTj47BqXbQ 頚椎椎間板ヘルニアに関するよくあるQ&A 頚椎椎間板ヘルニアに関するよくある質問と答えをまとめています。 Q.頚椎椎間板ヘルニアの入院期間・休業期間は? A.一般的な入院期間、休業期間は以下のとおりです。 入院期間(リハビリなども含め):10〜14日ほど 休職期間(手術を行なった場合):2〜3週間ほど 頚椎椎間板ヘルニアの治療に関する詳細は、以下の記事も参考になります。 Q.頚椎椎間板ヘルニアのストレッチ方法は? A.首の筋肉を始め、胸の前側にある筋肉のストレッチを行うのがおすすめです。 ただし、違和感や痛みがある場合、無理にストレッチを行わないように注意しましょう。 ストレッチの方法については、以下の記事で詳しく解説しているので、あわせてご覧ください。 Q.頚椎椎間板ヘルニアでやってはいけないことは? A.以下の5つがあげられます。 スポーツでの違和感は放置しない 姿勢が良くないまま過ごさない 体重管理をせず体に負担をかけない 自転車・バイクなどに乗って負担をかけない 喫煙を習慣化しない 詳細については、以下の記事も参考にしてみてください。 参考文献 文献1 頚椎椎間板ヘルニア|一般社団法人日本脊髄外科学会 文献2 「頚椎椎間板ヘルニア」|日本整形外科学会 症状・病気をしらべる 文献3 頚椎症性神経根症(椎間板ヘルニア含む)の 外科治療に関する指針.Spinal Surgery.2015;29(3)242-251. p242-p243 文献4 自然消退がみられた頚椎椎間板ヘルニアの1例.整形外科と災害外科.2012;61:(1)89-93. 文献5 頸椎変性疾患患者に対する理学療法の効果.理学療法学.2020. 文献6 頚椎症性神経根症(椎間板ヘルニア含む)の 外科治療に関する指針.Spinal Surgery.2015;29(3)242-251. p246 文献7 頸椎症の診療.臨床神経学.2012;52(7)469-479. p476
2023.11.27 -
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頸椎椎間板ヘルニアのリハビリには、病院や整形外科で行う電気療法や牽引療法、自宅でもできる筋トレやストレッチなどがあります。 どれも適切な負荷や方法で行えば効果的なリハビリです。しかし、焦って負担をかけすぎたり、自己流で進めたりすると症状が悪化する可能性があります。 本記事では、頸椎椎間板ヘルニアに効果的なリハビリ方法を解説します。リハビリをするときの注意点も紹介しているので、スムーズに症状を回復させたい方は最後までご覧ください。 【基礎知識】頚椎椎間板ヘルニアとは 頚椎椎間板ヘルニアは、頸椎(首の骨)の間にあるクッションの役割を持つ椎間板が飛び出し、神経を圧迫する疾患です。 長時間の悪い姿勢や加齢が主な原因となります。 頚椎椎間板ヘルニアを発症すると首や肩、腕に痛みやしびれが現れます。 進行すると、力が入りにくくなり、細かい動作が難しくなるケースも珍しくありません。 軽症ならリハビリで症状の回復が期待できますが、重症化すると手術が必要になる場合もあります。 早めの対処が早期回復につながるので、違和感を覚えたら専門医に相談しましょう。 頚椎椎間板ヘルニアのリハビリ方法 リハビリでは、理学療法士が患者様の状態や生活習慣に応じて、一人ひとりに合ったリハビリを行います。 頚椎椎間板ヘルニアのリハビリには、主に以下の2つがあります。 運動療法 物理療法 自宅でできるリハビリもあるので、リハビリの計画を立てる際の参考にしてみてください。 運動療法|筋トレ・ストレッチ 頚椎椎間板ヘルニアが発症する原因として、首の筋力低下や筋肉が適切に動かないなどが考えられます。 そのため、筋トレで首周りの筋肉を強化する運動療法が有効です。 頚椎椎間板ヘルニアは猫背や反り腰といった姿勢の悪さが原因で発症するケースもあります。 姿勢不良を改善するには、体の深層部にあるインナーマッスルや体幹を鍛えるのが効果的です。 ただし、筋トレで過度な負荷がかかると、症状が悪化するリスクがあります。筋トレは自己流でやらず、医師や理学療法士の指導のもとで行いましょう。 また、頚椎椎間板ヘルニアには、ストレッチも有効です。ストレッチをすれば、筋肉の緊張をほぐして首の可動域が広がったり、姿勢改善につながり症状の緩和が期待できたりします。 以下の記事では、頚椎ヘルニアに効くストレッチを紹介しています。さっそく実践したい方は、参考にしてみてください。 物理療法|牽引・電気 物理療法では痛みを改善させるために温熱療法、電気療法、冷却療法などを行います。 たとえば、ヘルニアによって神経根が圧迫されて症状が現れている場合、電気的刺激を用いて症状を改善させるケースがあります。 また、牽引療法を取り入れている病院もあります。牽引療法とは、患部を専用の機器で引っ張り、圧迫を軽減させたり、椎間板のずれを正常な位置に戻したりする効果が期待できる療法です。 どの療法を選択するかは、個人の症状の程度や病院の設備状況によって異なります。 頚椎椎間板ヘルニアのリハビリにおける頻度・期間・費用の目安 リハビリの頻度、期間、費用の目安は以下の通りです。 リハビリ頻度 週に1~3回 リハビリ期間 ・初期・中期:1週間~8週間程度 ・後期:数か月から1年程度 リハビリ費用(保険診療1回当たり) ・約600円~1,000円(1割負担) ・約2,000円~3,000円(3割負担) 費用に関してはレントゲン検査の有無やリハビリを行う期間などによって異なるため、あくまで参考程度にとどめておきましょう。 頚椎椎間板ヘルニアでリハビリをする4つの目的 ここでは、頚椎椎間板ヘルニアでリハビリを行う目的について解説していきます。 目的がわかればゴールが見えるため、意欲的にリハビリを進められるでしょう。 つらい症状を改善する 頚部の機能を改善する 姿勢を改善する 頚椎椎間板ヘルニアの再発を防ぐ 順番に解説します。 1.つらい症状を改善する 頚椎椎間板ヘルニアを発症すると首や肩、腕に痛みやしびれを感じるなどの症状から、日常生活がうまく送れない場合があります。 リハビリの目的は、首や手の痛みやしびれなどのつらい症状を改善し、患者様が快適な生活を送れるようにすることです。 具体的には、運動療法で首を支える筋肉を強化して、頚椎や首の筋肉、神経にかかる負荷の軽減、症状の改善を目指します。 2.頚部の機能を改善する 頚椎椎間板ヘルニアでは、手足にうまく力が入らない、首がスムーズに動かないなどの症状が現れる場合があります。 頚椎椎間板ヘルニアによる体の機能制限を回復させることも、リハビリの目的の1つです。 たとえば、適切なストレッチングや筋力トレーニングを行えば、首の可動域が広がって首がスムーズに動くようになります。 3.姿勢を改善する 頚椎椎間板ヘルニアのリハビリでは、正しい姿勢を体に学習・定着させて頚椎にかかる負荷を減らします。 適切な姿勢を維持するのは、症状が改善するだけでなく、ヘルニアの増悪を予防するという点でもとても重要です。 4.頚椎椎間板ヘルニアの再発を防ぐ 頚椎椎間板ヘルニアは、一度発症すると再発しやすい疾患です。 頚椎椎間板ヘルニアが再発しないように、リハビリで悪い姿勢や生活習慣を改善し、首周りの筋力を強化します。 なお、頚椎ヘルニアの治療としては「再生医療」の選択肢も挙げられます。人間の自然治癒力を活用して、損傷した神経の回復を目指した治療を行っています。 再生医療について詳しく知りたい方は、下記もあわせてご覧ください。 頚椎椎間板ヘルニアのリハビリに対する3つの注意点 最後に、頚椎椎間板ヘルニアのリハビリをするときの注意点を3つ解説します。 専門家の指導のもとでリハビリを行う 痛みが伴う場合はリハビリを中断する 痛みが改善されない場合はほかの治療法も検討する 注意点を把握しないまま実施すると、症状を悪化させるリスクがあるのでポイントをしっかり覚えておきましょう。 1.専門家の指導のもとでリハビリを行う 首の運動は自己流でやると、かえって症状が悪化するおそれがあります。 とくに誤った動かし方をすると、痛みや違和感が強まる原因になりかねません。 順調な回復を目指すには、医師や理学療法士に相談しながらリハビリを進めましょう。 専門家の指導を受ければ、適切なリハビリを知って、無理なく継続しやすくなります。 2.痛みが伴う場合はリハビリを中断する 頚椎椎間板ヘルニアのリハビリでは、無理に運動すると症状が悪化するおそれがあります。 とくに痛みが強い場合は、首に過度な負担をかけず安静を優先しましょう。 リハビリ中に痛みを感じる原因として、誤った動かし方や負荷のかけすぎが考えられます。 適切な方法で進めるためには、医師や理学療法士に相談しながら行う意識が大切です。 3.痛みが改善されない場合はほかの治療法も検討する 現在実施している療法やケアを続けても、痛みがなかなか改善されない場合は、ほかの治療法も検討してみましょう。 個人の症状や体質によって、効果的な治療法は異なるからです。状態に合わないリハビリを続けても、期待した効果が得られない可能性があります。 頚椎椎間板ヘルニアには以下のような治療法があります。 リハビリ 薬物療法 注射療法 装具療法 手術療法 再生医療 なお、頚椎ヘルニア に対しての治療法として「再生医療」があります。 再生医療とは人間の自然治癒力を活用した新しい医療技術で、頚椎ヘルニアの症状である首や手の痛み・痺れが回復した症例が数多く報告されています。 まとめ|頚椎椎間板ヘルニアのリハビリ方法を知って回復を目指そう 頚椎椎間板ヘルニアは、首の痛みやしびれなど日常生活を送るのに支障が出る場合がありますが、適切なリハビリを行えば症状の改善が期待できます。 ただし自己流でやると症状が悪化するリスクを招きかねません。 整形外科の医師や理学療法士の指導のもとで、適切なリハビリを定期的に受けるのがおすすめです。 そしてヘルニアのつらい症状を改善するとともに頚部の機能を改善させ、正しい姿勢を維持して再発を防ぎましょう。 なお、頚椎ヘルニアの治療には「再生医療」という選択肢があります。 再生医療は人間の自然治癒力を活用した新しい医療技術で、頚椎ヘルニアの症状である患部のしびれや痛みの緩和を目指した治療を提供しています。
2023.11.24