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腰椎椎間板ヘルニアの症状に悩んでいる・経験がある方は、このような不安や疑問があるかもしれません。 「腰椎椎間板ヘルニアが再発しないか不安……」 「腰のヘルニアの再発を予防する方法はないの?」 悪い姿勢や腰に負担のかかる動作を繰り返すことで起こる腰椎椎間板ヘルニアは、手術で症状が改善しても再発する可能性があります。 再発を予防するには、正しい姿勢を保つために身体の柔軟性を保ち、腰に負担をかけないことが重要です。 本記事では、腰椎椎間板ヘルニアの再発予防に大切なストレッチの方法を5つ紹介します。 自宅で簡単にできる方法なので、ぜひ参考にしてみてください。 腰椎椎間板ヘルニアにおすすめのストレッチ5選【悪化・再発防止】 症状の悪化・再発防止に効果的な腰椎椎間板ヘルニアにおすすめのストレッチ5選を紹介します。 股関節のストレッチ ハムストリングスのストレッチ 背骨を反らすストレッチ 背骨をひねるストレッチ 胸椎のストレッチ 腰椎椎間板ヘルニアの症状緩和や悪化・再発防止には、腰部周辺の柔軟性を高めるストレッチが効果的です。 特に腰椎(腰のあたりの背骨)への負担を軽減するには、関連する股関節や背骨全体の動きをスムーズに保つことが重要です。 ただし自己判断でのストレッチは症状を悪化させる恐れがあるので、心配な方は医師に相談してから行いましょう。 1.股関節のストレッチ まずは股関節を曲げるストレッチをご紹介します。 1. あお向けに寝る 2. 右足を両手で抱えて、できる限り胸に近づけ股関節を曲げる 3. できるだけ股関節を曲げた状態を30秒キープする 4. 左足も同様に行う 股関節を深く曲げると腰椎も連動して動くため、痛みが出ない範囲で行いましょう。 2.ハムストリングスのストレッチ 太ももの裏側には、ハムストリングスと呼ばれる筋肉がついています。 ハムストリングスが固くなると股関節や骨盤がスムーズに動かなくなるため、腰椎に負担がかかりやすくなります。 ここでは、ハムストリングスのストレッチ方法についてみていきましょう。 1. あお向けに寝る 2. 膝をできるだけ伸ばした状態で右足を抱えてお腹に近づける 3. 太ももの裏が伸びるのを感じた状態で30秒キープする 4. 左足も同様に行う 足を抱えにくいときは、バスタオルを足の裏に引っ掛けて行うとストレッチしやすいです。 3.背骨を反らすストレッチ 背骨を連動させてスムーズに動かすために、ここでは背中全体をゆっくり反らすストレッチをご紹介します。 1. うつ伏せに寝る 2. 両手をつけて身体をゆっくり起こす 3. 首、背中、腰と順番に反るようなイメージで、できる限り反らした状態を30秒キープする 痛みの出ない範囲でゆっくりストレッチをしましょう。 4.背骨をひねるストレッチ 背骨は曲げ伸ばしだけでなく、回旋する動きも必要です。ここでは、背骨をスムーズに回旋するためのストレッチをご紹介します。 1. あお向けに寝て両膝を立てる 2. 両膝をゆっくり右に倒す 3. 倒しきった状態で30秒キープする 4. 左も同様に行う 勢いよく倒すと腰に負担がかかるので、ゆっくり行うのがポイントです。 5.胸椎のストレッチ 胸椎の動きが制限されると、その分腰椎の負担が増え、ストレスがかかりやすくなります。ここでは、胸椎の柔軟性を高めるストレッチをご紹介します。 1. 左半身を下にして横向きに寝る(両膝は軽く曲げた状態にする) 2. 両手を「前ならえ」のようにまっすぐ伸ばした状態で手を合わせる 3. 胸を開くように右手をゆっくり動かす 4. 右手の動きに合わせて顔も右へ回旋させて30秒キープする 5. 左側も同様に行う 胸を開いたときに床に手がつかなくても良いので、痛みのない範囲で動かしましょう。 腰椎椎間板ヘルニアの再発予防にストレッチがおすすめな理由 腰椎椎間板ヘルニアの再発予防として、なぜストレッチがおすすめなのでしょうか。 ここでは、ストレッチがおすすめといわれる理由について解説します。再発の原因や再発率についてもご紹介するので、ぜひ参考にしてください。 腰椎椎間板ヘルニアは改善後も再発の危険性があるから【再発率は術後2年で23%】 腰椎椎間板ヘルニアは、たとえ改善しても再発の恐れがあるため、その予防策としてストレッチが重要視されています。 腰椎椎間板ヘルニアの原因は、重量物の持ち上げやスポーツなどで、腰椎やその間にある椎間板(クッションのような役割がある組織)に繰り返し負担がかかることです。 治療によって症状が改善されたとしても、腰椎や椎間板の負担を減らさないと再発のリスクが残ります。腰椎椎間板ヘルニアの手術後の再発率は、術後2年で23%程度とされています。手術後も 痛みが続いていたり、術前のような症状が現れたりした場合は、再発の前兆の可能性があり注意が必要です。 このように、治療後のヘルニアの再発を防ぐためには、ストレッチを継続して腰の負担を軽減する必要があるのです。 胸椎椎間板ヘルニアの治療方法を詳しく知りたい方は、こちらの記事で解説しています。興味がある方はぜひご覧ください。 ストレッチにより腰椎の過剰な運動を防げるから ストレッチによって筋肉の柔軟性が高まれば、腰椎のストレス軽減につながります。背骨や股関節が固くなると、腰椎が過剰に働いてしまい、椎間板にかかる負担が増加します。 腰椎の正常な運動を保つためには、ストレッチによって背骨や股関節の柔軟性を改善させることが大切です。腰椎椎間板ヘルニアの痛みを和らげる方法をもっと知りたい方は、ぜひこちらも記事も参考にしてみてください。 腰椎椎間板ヘルニアでやってはいけないストレッチ 腰椎椎間板ヘルニアのストレッチを行う際は、腰を大きく丸めるような動作は避けましょう。 腰を過剰に丸めるような動作は椎間板にストレスがかかりやすく、ヘルニアの症状を悪化させる原因となります。 腰まわりの筋肉にも負担がかかりやすいので、ストレッチの際はできるだけ腰椎を曲げすぎないように心がけてください。 まとめ|腰椎椎間板ヘルニアの再発予防のストレッチは無理のない範囲でコツコツ続けよう 腰椎椎間板ヘルニアが改善したからといって、発症前と同じように生活していると再発の恐れがあります。 再発予防のためには、ストレッチを継続して背骨や股関節の柔軟性を保つことが大切です。ストレッチは1つの種目からでも良いので、できるだけ毎日取り組むようにしましょう。 また再発の前兆がある場合は、まずは整形外科を受診し、状態の確認を優先してください。 そして、どの程度の運動やストレッチをして良いのかなどを確認すると良いでしょう。ぜひ本記事を参考にして、腰椎椎間板ヘルニアの再発を予防し、腰痛のない元気で健康な生活を送りましょう。 参照資料 病気がみえるvol.11 運動器・整形外科.MEDIC MEDIA,東京,2017,pp256-259. 日本整形外科学会「腰椎椎間板ヘルニア」 Mindsガイドラインライブラリ 整形外科リハビリテーション.羊土社,東京,2012,pp417-426.
2023.11.13 -
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「ブロック注射って効果ある?」「効果はどのくらい持続する?」 ブロック注射には神経の痛みの緩和、炎症の抑制、血流改善といった効果があります。 しかし、具体的な持続効果や副作用について気になる方も多いのではないでしょうか。 この記事では、ブロック注射の3つの効果と持続時間について医師が徹底解説いたします。 辛い痛みの改善に向けて、ブロック注射を検討している方はぜひ最後までご覧ください。 また、当院「リペアセルクリニック」では、腰椎椎間板ヘルニアなどの症状を和らげるブロック注射を行っております。 辛い症状でお悩みの方は「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にてご相談ください。 ブロック注射の3つの効果 ブロック注射は、痛みを緩和する治療法です。 単に痛みを和らげるだけでなく、痛みの原因に働きかける効果があります。 具体的な効果は以下の3つです。 神経の痛みを直接和らげる 炎症を抑えて痛みを和らげる 血流改善で自然治癒力を高める ここでは、ブロック注射の主な3つの効果について、詳しく解説していきます。 それぞれがどのように作用し、痛みを和らげるのか参考にしてください。 神経の痛みを直接和らげる ブロック注射の効果のひとつは、神経の痛みを直接和らげることです。 注射により、痛みの信号を脳に伝える神経を遮断し、一時的に痛みを感じにくくします。 そのため、腰痛や神経痛がひどい方は効果が強く実感できることが多いでしょう。 ただし、効果の強さや感じ方には個人差がありますので、施術前に医師と十分に相談するのがおすすめです。 炎症を抑えて痛みを和らげる ブロック注射は、炎症を抑えて痛みを軽減する効果も期待できます。 炎症によって周辺組織が刺激を受けて、痛みを感じている場合にとくに有効です。 また、腰や肩の慢性的な痛みだけでなく、一時的な炎症に対しても適応されることがあります。 ブロック注射によって炎症が抑えられることで、日常生活の負担も軽減されるでしょう。 血流改善で自然治癒力を高める ブロック注射には血流を改善し、自然治癒力を高める効果が期待できます。 血流が悪い状態が続くと、組織が酸素不足になり痛みが長引く原因になります。 しかし、注射によって血流が良くなれば、組織の回復が促されて痛みも軽減されやすくなるでしょう。 このようなメカニズムから、ブロック注射はとくに冷えやすい部位の痛みに対して効果を実感しやすいといえます。 ブロック注射の効果はいつまで続く? ブロック注射は、効果の持続時間に個人差があります。 注射の種類や症状によっても異なり、効果がすぐに現れることもあれば、数日後に感じる場合もあるでしょう。 本章では、即効性や効果の長さ、複数回の施術による違いについて詳しく解説します。 治療を検討中の方は、ぜひ参考にしてみてください。 即効性はあるが個人差がある ブロック注射は即効性が期待できる治療法です。 注射後すぐに痛みが軽減されるケースが多く、おもに急性の痛みに有効とされています。 しかし、効果が現れるスピードや強さには個人差があります。 体質や症状によっては効果を感じにくい場合もあるため、即効性には個人差がある点を認識しておきましょう。 持続期間の目安は数時間から数週間 ブロック注射の効果が続く時間は個人差があるため、数時間の方もいれば数週間にわたり継続するケースもあります。 一般的に数時間から数週間です。 たとえば、一時的な痛みの軽減が目的の場合、効果は数日程度で薄れることがあります。 一方、炎症の抑制や神経の回復を促すことで、数週間効果が続くケースも少なくありません。 あくまで目安ですが、症状や体質によって効果の持続期間は変わる点を理解しておきましょう。 慢性痛は複数回の施術で効果が長続きする 慢性的な痛みには、ブロック注射を繰り返し行うことによって効果の持続が期待できます。 1回の注射だけでは効果が一時的なケースも多いため、定期的に施術を行うのが一般的です。 繰り返し行うことで痛みが軽減され、日常生活の質が向上するケースもあります。 慢性痛に悩んでいる方は、主治医と治療計画をしっかりと立ててブロック注射治療も取り入れていきましょう。(文献1) ブロック注射の種類と効果の違い ブロック注射と一言で言っても実はさまざまな種類があり、以下の表のとおり期待できる効果や特徴が異なります。(文献2) ブロック注射の種類 詳細 神経ブロック注射 痛みの原因となる神経を直接ブロックする注射 硬膜外ブロック注射 脊髄周辺に薬剤を注入し、広範囲の痛みを抑える 星状神経節ブロック注射 自律神経を整え、血流改善や痛みの軽減を促す注射 トリガーポイント注射 筋肉のコリや緊張を緩和し、痛みを和らげる注射 代表的な4つのブロック注射の種類と、それぞれの効果の違いについて詳しく解説していきます。 また、腰部脊柱管狭窄の治療としてブロック注射を用いることもあります。腰部脊柱管狭窄症でお悩みの方は、以下の記事をチェックしてみてください。 神経ブロック注射 神経ブロック注射は、痛みの原因となっている神経の近くに直接麻酔薬を注射する方法です。 神経の興奮を抑え、痛みの信号が脳に伝わるのをブロックするため、痛みを素早く和らげる効果が期待できます。 たとえば、坐骨神経痛や帯状疱疹後神経痛など、特定の神経が原因の痛みに有効です。 また、痛みの原因を特定するための検査としても活用されています。 硬膜外ブロック注射 硬膜外ブロック注射は、脊髄を包む「硬膜外腔」という部分に薬剤を注入し痛みを抑える方法です。 主に腰痛や坐骨神経痛など、広範囲の痛みや慢性痛に効果的です。 また、硬膜外腔に薬が広がることで、神経の圧迫や炎症を和らげます。 硬膜外ブロック注射は比較的広い範囲に効果を発揮するため、日常生活の負担軽減が期待できるでしょう。 星状神経節ブロック注射 星状神経節ブロック注射は、首にある星状神経節に薬剤を注入し自律神経を整える方法です。 血流を改善し、痛みの軽減や冷え性の改善にも効果が期待されます。 とくに、顔や腕、肩周辺の痛みや自律神経の不調に用いられるケースが多いです。 星状神経節ブロック注射は、冷えやすい部位の痛みに悩む方には、効果を実感しやすいでしょう。 トリガーポイント注射 トリガーポイント注射は、筋肉のコリやしこり(トリガーポイント)に薬剤を注入する治療法です。 筋肉の緊張を緩和し、血流を改善することで痛みを和らげます。 肩こりや腰痛、筋肉疲労に伴う痛みに効果があるため、比較的軽度の痛みにも適応されます。 トリガーポイント注射は、痛みの原因が筋肉にある方には、非常に有効な選択肢といえるでしょう。 ブロック注射の副作用とリスク5選 ブロック注射は、痛みを和らげる効果が期待できる一方で、副作用やリスクも伴います。 安心して治療を受けるためにも、主に以下の5つのリスクを理解しておきましょう。 注射部位の痛みや腫れ 感染症のリスク 神経損傷のリスク アレルギー反応 しびれや麻痺 本章では、ブロック注射で起こりうる副作用とリスクについて詳しく解説していきます。 注射部位の痛みや腫れ ブロック注射後には、注射した部位に痛みや腫れが生じる可能性があります。 これは注射針による刺激や、注入した薬剤に対する反応と考えられますが、通常は数日から1週間程度で自然に治まることが多いでしょう。 しかし、痛みが強かったり、腫れが引かない場合は医療機関を受診するようにしてください。 また、注射部位は清潔に保ち、触りすぎないように注意しましょう。 感染症のリスク ブロック注射は、皮膚に針を刺すため、細菌が侵入することで感染症のリスクも伴います。 感染症を防ぐためのポイントは、注射部位を消毒したり、清潔な状態を保つことです。 もし、注射後に発熱や強い痛み、赤みなどの症状が現れた場合は、速やかに医療機関を受診するようにしてください。 神経損傷のリスク ブロック注射は、注射針が神経に直接触れてしまう可能性があるため、まれに神経損傷を引き起こすリスクもゼロではありません。 神経損傷が起こると、しびれや麻痺、痛みなどが生じることも考えられます。 通常は一時的なものですが、まれに神経損傷の症状が残ってしまう場合もあります。 そのため、ブロック注射を受ける際は、神経の構造を熟知した医師を選ぶのがおすすめです。 アレルギー反応 ブロック注射では「発疹・かゆみ・呼吸困難」など、アレルギー反応を起こす場合があります。 そのため、過去に薬でアレルギーを起こした経験がある方は、事前に医師に伝えておきましょう。 また、注射後に体調が悪くなった場合は、すぐに医療機関を受診してください。 適切な処置をすることで症状の悪化を防げます。 しびれや麻痺 ブロック注射後、一時的にしびれや麻痺を感じる場合があります。 これは、注射した麻酔薬が神経に作用することで起こる症状です。 麻酔薬の効果が切れるにつれて症状は自然に改善しますが、症状が長く続く場合や日常生活に支障が出る場合は、医師に相談しましょう。 また、注射後に車の運転など、危険を伴う行為は避けるようにしてください。(文献3) まとめ|ブロック注射の効果は個人差あり!治療時は主治医に相談しよう ブロック注射は、痛みを和らげるための有効な治療法の一つですが、効果の現れ方や持続時間には個人差があります。 また、副作用やリスクも伴うため、治療を受ける際には医師と十分に相談することが大切です。 症状や体質に合わせて、適切な治療法を選びましょう。 また、当院「リペアセルクリニック」では、ヘルニアの症状には再生医療による治療も行っております。 お気軽に「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にてご相談ください。 ブロック注射の効果に関するよくある質問 腰椎椎間板ヘルニアの治療にも効果的ですか? 腰椎椎間板ヘルニアの治療にブロック注射は効果的な場合があります。 理由として、ヘルニアによって圧迫された神経の炎症を抑え、痛みを和らげる効果が期待できるためです。 ただし、ブロック注射は根本的な治療ではなく、あくまで痛みをコントロールする治療法です。 そのため、症状によっては手術やリハビリテーションなど、他の治療法と併用する必要があるでしょう。 また、頚椎椎間板ヘルニアの症状や治療法については以下の記事でも詳しく解説しています。 頸椎椎間板ヘルニアでブロック注射を受けるべきか悩んでいる方は参考にしていただければ幸いです。 ブロック注射はめちゃくちゃ痛いって本当ですか? ブロック注射の痛みについては、個人差が大きいのが現状です。 注射する部位や使用する針の太さによっても感じ方が異なるでしょう。 もし、痛みに不安がある場合は、事前に医師に相談してみてください。 ブロック注射が効かない人はいますか? ブロック注射は、すべての人に効果があるとは限りません。 痛みの原因や体の状態によっては、効果を感じにくい場合があるためです。 たとえば、神経の損傷がひどい場合や、痛みが慢性化しているケースでは、ブロック注射の効果が限定的になる可能性があります。 そのため、ブロック注射で効果が見られない場合は、他の治療法を検討する必要があるでしょう。 医師と相談しながら、適切な治療法を見つけてください。 ブロック注射による効果や副作用に関して不安な方は、当院「リペアセルクリニック」の「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にてお気軽にご相談ください。 参考文献一覧 文献1 日本ペインクリニック学会_第Ⅰ章 ペインクリニックにおける神経ブロック 文献2 クリニックマガジン_主なブロック注射と適応症などの内規 文献3 一般財団法人日本医薬情報センター(JAPIC)_疼痛治療剤(局所注射用)
2023.11.09 -
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「最近前屈で腰が痛い」「なんとなく足がしびれる気がする」そんなときにインターネットで検索すると、ヘルニアの可能性があると目にするかもしれません。 結論からいえば、腰の痛みや足のしびれはヘルニアの初期症状の可能性があります。 具体的には、以下のような痛みやしびれの症状がヘルニアの初期症状に当てはまります。 重いものを持ったり、前かがみになったりすると痛む 腰やお尻を動かすと電気が走るような痛みがある 足にピリピリ、ジンジンといった感覚異常がある 足を触っても覚が鈍い部分がある 足に力が入りにくくなったり、つまづきやすくなった くしゃみや咳で、腰や足が痛む 上記のような状態を放置すると症状が悪化し、治療が長引くリスクもあるため、早めに医療機関を受診しましょう。 本記事ではヘルニアの初期症状について詳しく解説するほか、自分でチェックする方法や対処方法までご紹介します。 「ヘルニアの初期症状かもしれない」と悩んでいる人は、ぜひ最後までチェックしてください。 ▼動画でも解説!絶対に見逃してはいけないヘルニアの初期症状とは? ヘルニアの初期症状は主に「腰の痛み」と「足のしびれ」 ヘルニアの初期症状は、主に「腰の痛み」と「足のしびれ」で、多くの場合、これらの症状は比較的軽いものから始まります。 この疾患は腰椎間の椎間板が変性し、内部の髄核(ゼリー状の組織)が突出して神経を圧迫することで発症します。 初期段階では、神経が圧迫されているものの損傷には至っていないため、軽度の痛みやしびれが主な症状となります。 しかし、放置すると神経が損傷し、筋力低下や感覚麻痺などの重篤な症状を引き起こす可能性がありますので注意が必要です。 なお、ヘルニアのメカニズムや種類について、さらに詳しく知りたい方は、以下の記事で解説していますので、ぜひご覧ください。 ヘルニアの初期症状はとくに前屈みや中腰姿勢で生じやすい ヘルニアの初期症状は、日常生活における特定の姿勢、特に前屈みや中腰の姿勢で感じやすくなるため注意が必要です。 前述の通り、ヘルニアは椎間板がもろくなり、内部の髄核が神経を圧迫することで発症します。 椎間板が変性すると中にある髄核(ずいかく:椎間板の中心にあるゼリー状の組織)を包む組織がもろくなってしまい、後ろに押し出されやすくなります。 椎間板のすぐ後ろには神経が通っているため、押し出された髄核によって神経が圧迫されると、痛みやしびれを感じるのです。 この髄核の後方への突出は、腰を屈める動きでより強くなります。そのため、前屈や中腰姿勢では通常の姿勢よりも髄核が後ろに押し出されやすくなるので、痛みやしびれを感じやすくなるでしょう。 症状が進行すると強い痛みや筋力低下がみられる ヘルニアを放置すると、神経が強く圧迫されて損傷し、以下のような重篤な症状が現れることがあります。 腰の強い痛み 足の筋力低下 お尻から足にかけての痺れ 腰から下の感覚が鈍くなる 尿や便のコントロールができなくなる これらの症状はヘルニアが重症化したサインだけでなく、坐骨神経痛などの神経症状を伴い、日常生活に大きな支障をきたす可能性があります。 特に、排尿や排便の障害が現れた場合は緊急の医療対応が必要です。 坐骨神経症状の詳細については、以下の記事をご参照ください。 なお、当院「リペアセルクリニック」では、以下のヘルニアの症状に対する再生医療を提供しております。 頚椎椎間板ヘルニア 腰椎椎間板ヘルニア 脊柱管狭窄症 頚椎症性脊髄症 当院が提供している再生医療は幹細胞治療であり、ヘルニアの初期症状だけでなく、手術には成功したものの後遺症に苦しんでいる方にも改善効果が見込めた事例が多く存在します。 現在当クリニックの公式LINEにて、再生医療の最新情報やヘルニアの改善症例の紹介も配信しておりますので、選択肢の1つとして考えたい方はチェックしてみてください。 【セルフチェック】ヘルニアの初期症状が出る動作一覧 ヘルニアで腰の椎間板に負担がかかると、痛みやしびれなどの症状が出る場合があります。 ヘルニアの初期症状が出やすくなる動作は以下のとおりです。 歯磨き・顔洗いなどでの前屈み 座りっぱなし・立ちっぱなし 寝返り 重たいものを持ち上げる 咳・くしゃみ 上記の動作で腰の痛みや足のしびれを感じた場合、ヘルニアの初期症状である可能性があります。 また、強い痛みや脱力感があり、立つことや座ること、物を持ち上げられないといった場合には、ヘルニアが進行しているかもしれないため早めに受診しましょう。 ヘルニアの初期症状がみられたら早めに整形外科を受診しよう 前屈みや座りっぱなし、立ちっぱなしなどの動作で痛みがあり「ヘルニアかも?」と感じたら、まずは整形外科への受診をおすすめします。 早めに受診すればヘルニアが重症化する前に治療を受けられるため、症状が緩和する可能性が高くなるでしょう。また、早い段階で痛みが緩和されれば日常生活も楽になり、生活の質が向上します。 ヘルニアの症状悪化を予防するためには、適切な方法で運動したり、避けるべき動作を実践したりすることが大切です。 ヘルニアが重症化する前であれば、適切な治療や生活改善によって症状が比較的速やかに緩和する可能性が高まります。 ヘルニアの初期症状に効果的な治療法 ヘルニアの初期症状に対しては、主に「保存療法」と呼ばれる手術以外の方法で治療が行われ、慢性化した場合は手術または再生医療が治療法の対象になります。 運動療法(ストレッチや筋力トレーニングなど) 薬物療法(内服薬や注射など) 再生医療(幹細胞治療) 以下で詳しく解説してきます。 運動療法:体幹や股関節の筋トレ・ストレッチ ヘルニアの初期症状の緩和や再発予防には、体幹(腹筋や背筋など)や股関節周りの筋力トレーニング・ストレッチが有効とされています。 体幹を鍛えると腰椎の支えが強くなり、椎間板への負担が軽減されます。 また、股関節は腰椎のすぐ下にある関節であるため、柔軟性を高めることで腰椎の動きを助ける効果があります。ストレッチを行えば腰椎や椎間板の負担が軽減され、ヘルニアの症状の軽減につながるでしょう。 ただし、痛みが強い時期に無理に筋トレやストレッチを行うと、かえって症状を悪化させる可能性がありますので、不安な人は必ず医師や理学療法士に相談しましょう。 ヘルニアに効果的な筋トレやストレッチの方法は以下の記事で解説しています。ヘルニアの初期症状でお困りの人はぜひご覧ください。 薬物療法:痛み止めの内服や注射 ヘルニアには痛み止めの飲み薬や注射も有効です。 椎間板が神経を圧迫し炎症が起きている場合は、炎症止めや神経症状を抑える薬を内服することで痛みを軽減できる可能性があります。 また、ヘルニアの症状には、麻酔で神経の働きを抑える「ブロック注射」も有効とされています。 ブロック注射は以下の記事で詳しく解説しているため、ぜひこちらもチェックしてください。 再生医療(幹細胞治療) 従来の保存療法や手術療法では改善が難しかったヘルニアの症状に対して、自身の細胞の治癒力を利用する「再生医療(幹細胞治療)」という新しい治療法が注目されています。 リペアセルクリニックでは、この再生医療を専門的に提供しており、ヘルニアによるつらい症状の根本的な改善を目指しています。 特に当院独自の「脊髄腔内ダイレクト注射療法」は、幹細胞を脊髄腔内に直接投与することで、損傷した神経部位への高い到達率と修復効果が期待されます。 この治療法は従来の方法と比べて、より多くの幹細胞が損傷部位に到達しやすく、高い治療効果が期待できる点が特徴です。 再生医療は手術や従来の治療法で効果が得られなかった方にとって、新たな選択肢となり得ます。 ヘルニアの症状でお悩みの方は、当院の再生医療についてご相談ください。 再生医療に関する情報や、腰の痛み・ヘルニアへの具体的な改善症例が知りたい方は当クリニックの公式LINEもあわせてご確認ください。 ▼オンライン診断も実施中! >>公式LINEはこちら ヘルニアを悪化させないための注意点 ヘルニアを悪化させないためには、椎間板への負担をかけないことが大切です。 具体的には、椎間板に大きな負担がかかる動作を避けることと、寝方を工夫すると良いでしょう。 以下に挙げる動作は椎間板へ大きな負担がかかるため、注意してください。 重量物を持ち上げる 繰り返し腰を捻る 長時間座り続けたり中腰を続けたりする また、夜の寝方にも注意が必要です。横向きに寝ていると、くの字に丸まってしまい、椎間板への負担が大きくなります。 仰向けで腰の下にタオルを入れるなど、腰が丸くならないようにすると良いでしょう。 まとめ|初期症状を察知してヘルニアの悪化を防ごう ヘルニアの初期段階では、腰の痛みや足のしびれといった症状を感じることがあります。椎間板の負担が大きくなったときに痛みが出やすいのが特徴です。 放置して重症になると、痛みが強くなったり、筋力低下や感覚の麻痺が起こったりすることがあります。 ヘルニアの疑いがある場合は、早めに整形外科を受診しましょう。 ちなみに当院「リペアセルクリニック」では自己の幹細胞を用いた再生医療に取り組んでいます。 ヘルニアによって傷ついた神経の修復にも効果が期待できるため、気になる人はお気軽にメール相談もしくはオンラインカウンセリングからご相談ください。 また、現在LINEでもご相談を受け付けや再生医療による改善症例も掲載しておりますので、あわせてご確認ください。 ヘルニアについてよくある質問 ヘルニアの初期症状はどんな症状ですか? 腰の痛みや足のしびれといった症状が出ることが多くあります。腰の骨(腰椎)の間にある椎間板の中の髄核が後ろに飛び出し、神経を圧迫するために生じる症状です。 ヘルニアでは病院を受診した方が良いですか? 痛みやしびれなどの症状が続く場合は受診しましょう。 ヘルニアは症状が進行すると痛みが強くなるほか、筋力低下や感覚麻痺といった症状が出てくる可能性があります。 ヘルニアの初期段階で受診すれば、早めに治療を開始できるため、重症化を防ぎやすくなります。
2023.11.06 -
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「腰椎椎間板ヘルニアの症状とはどのようなものか?」 「どの程度で手術が必要になるのか?」 このように疑問を抱く方は多いのではないでしょうか。 腰椎椎間板ヘルニアは、非常によく見かけるヘルニアの一種であり、症状やその重さは人によってさまざまです。場合によっては手術が必要となるケースもあります。 本記事では、腰椎椎間板ヘルニアの具体的な症状や程度、さらに治療法について詳しく解説します。 腰椎椎間板ヘルニアとは? 腰椎椎間板ヘルニアとは、背骨の各骨と骨の間に存在する椎間板と言われる部位が膨隆(膨らんで高くなった状態)や外へ飛び出して神経を圧迫することで、痛みや痺れといった症状が生じることもあります。 次章より、腰椎椎間板ヘルニアの症状レベルや治療、そして再生医療の可能性についても触れていきます。 腰椎椎間板ヘルニアの種類(分類) 腰椎とは、腰のあたりにある背骨のことで、5つの骨(椎体:ついたい)から成り立っています。 そもそも背骨は、椎体という骨が上下に積み重なっているような構造をしています。 この椎体と椎体の間には、椎間板(ついかんばん)というクッションのようなものがあり、衝撃を和らげるなどの働きをしています。 椎間板ヘルニアは、この椎間板の中身(髄核:ずいかく)やその中身を包む袋のようなもの(線維輪:せんいりん)が膨らんだり、また外に脱出、飛び出したりすることで、神経を圧迫した状態です。症状が出ていない場合でもヘルニアと診断されることもあります。 人口の約1%(100万人〜120万人)がこの腰椎椎間板ヘルニアに悩んでいるという報告もあり、決して珍しいヘルニアではありません。 男女比はやや男性の方が多く(約2〜3:1)、好発年齢は20〜40才代、好発部位はL4-L5、L5-S1(※)とされています。(※L=腰椎 S=仙椎) 椎間板ヘルニアは、椎間板がどの程度飛び出しているかによって、正中型ヘルニア・傍正中ヘルニア・外側ヘルニアの3種類に分類されます。 それぞれがどのようなヘルニアなのか詳しくみていきましょう。 正中型(せいちゅうがた)ヘルニア 正中型ヘルニアでは、椎間板の中央部で、脊柱の正中、つまり背骨に対してほぼ垂直に飛び出します。(脊柱管の内側に飛び出す) 正中型ヘルニアになると、脊髄や馬尾神経(ばびしんけい)が圧迫されます。 症状としては、まず腰痛があるでしょう。そのほか、両足の痺れや歩行障害、馬尾神経にまで影響があった場合には、排泄障害が伴う可能性があります。 傍正中(ぼうせいちゅう)ヘルニア 傍正中ヘルニアは、正中型よりもやや左右どちらかの外側にずれた方向へ、椎間板が突出する状態です。(脊柱管の内側に飛び出した状態) 症状として、腰の痛みが挙げられます。ただ、それ以外の症状が、正中型と異なる点に注意しましょう。 傍正中ヘルニアは、左右どちらかに寄っているだけあり、左右片方だけで症状が現れやすいです。 たとえば、片足だけが痺れる、痛むといった症状が現れます。 外側(がいそく)ヘルニア 外側ヘルニアは、椎間板が脊柱管の外側に飛び出すことを意味します。 上記ふたつは、背骨の方向、つまり脊柱管に収まる範囲で起こるヘルニアでした。 しかし外側ヘルニアは、脊柱管の外、つまり傍正中ヘルニアよりもさらに左右に偏った方向へ飛び出します。 症状として、左右どちらかの神経圧迫により、片足だけの痺れや痛みを感じやすいでしょう。また筋力低下や、坐骨神経痛なども伴いやすい傾向があります。 オンラインで相談する 腰椎椎間板ヘルニアの症状レベル 腰椎椎間板ヘルニアでは、椎間板の変性などの度合いによって症状を段階分けできます。 具体的には以下のようなレベル、段階があります。 軽度レベル 中程度レベル 重症レベル(手術するレベル) それぞれがどういうものか見ていきましょう。 軽症レベル 椎間板がわずかに飛び出しているものの、神経を圧迫するほどではない段階です。 この時の症状として、軽度の腰痛などが挙げられます。また、首にわずかな痛みを感じるケースもあるでしょう。 しかし軽症レベルでは、痺れや筋力低下などの症状はほとんど見られません。あったとしても、本人がほとんど知覚できない程度です。 軽症レベルでは、簡単な工夫による改善が期待できます。 たとえば簡単なストレッチや姿勢の改善によって、症状が楽になるかもしれません。 中等度レベル 中等度では、椎間板の突出が進み、神経が圧迫され始めます。さらに繊維輪を断裂するようになります。 この段階では以下の症状が表れるでしょう。 強い腰痛 両足または片足の痛み 首周辺の痛み 手足の痺れ 坐骨神経痛 筋力の低下 中等度レベルでは、症状がより強くなります。 場合によっては、普段の仕事や家事がこなせなくなることもあります。 また特に痛みが強いため、状況に応じて痛み止めなどの服用が必要になるでしょう。もちろん根本的な解決を図るための治療も進めていく必要があります。 重症レベル 重度レベルになると、椎間板が大きく飛び出し、より強く神経を圧迫します。この状況を「脱出」あるいは「遊離」といいます。 症状として以下が挙げられるでしょう。 激しい腰痛や首の痛み 足に限らない、幅広い部分での痺れ 感覚の鈍麻 筋力の低下と麻痺 歩行困難 排泄障害 馬尾症候群 重症レベルでは、かなり重い症状が現れます。この段階で、通常通りの生活を送るのはほぼ不可能でしょう。 いわゆる「手術するレベル」の症状です。 このような状態になる前に、治療や改善を図るのが重要となるでしょう。 オンラインで相談する 腰椎椎間板ヘルニアの治療(治し方) 腰椎椎間板ヘルニアを治すためには、まずは画像検査が必要で、それにはMRIが最も有用です。 変性してしまった椎間板は正常なものと異なっているように写し出されるため、脱出した椎間板の部位や分類診断についても役立ちます。 椎間板ヘルニアは、自然治癒する可能性もあります。 時間の経過により、飛び出した椎間板が体の中に吸収され、外へ排出される場合があります。 そのため、排尿や排便にも影響が出るような膀胱直腸障害など重い神経障害がある場合を除いて、まずは保存療法が選択されます。 保存療法による改善が期待できない場合、手術療法や再生医療が選択されます。それぞれ治療法の詳細を見ていきましょう。 保存療法 保存療法としては、非副腎皮質ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)などの鎮痛薬を使用するケースが多いです。 その他、神経ブロック注射も選択肢にあがるでしょう。 また、体を柔らかくするストレッチやリハビリもとても効果的です。 手術療法 膀胱直腸障害や運動麻痺などの重い神経症状がある場合や、保存療法でも強い痛みが続く場合には、手術療法が行われます。 その場合は、症状の原因となっている椎間板を摘出するような方法が取られます。 手術の仕方によっていろいろな種類があり、内視鏡を使った最小侵襲の手術が今は主流となっています。 関連記事:ヘルニア治療のPLDD手術|失敗しないためのポイントとは 関連記事:椎間板ヘルニアの内視鏡手術|PELD(PED)とMEDの違いとは 再生医療 再生医療では幹細胞を用いて、傷ついた椎間板の修復や再生を目指します。腰椎椎間板ヘルニアの治療法としては最新のもの。 ヘルニアになった場合、脊髄が損傷している、炎症を起こしているケースが多々あります。そのままだと、痛みや痺れなどの症状が現れます。 しかし保存および手術療法では、十分な治療効果が得られないかもしれません。 そこで再生医療によって脊髄を再生させ、根本的な治療を図ります。 私たちは再生医療として、効果を高めるため「脊髄腔内ダイレクト注射療法」などを実施しています。 オンラインで相談する https://fuelcells.org/treatment/spinal_cord/ 腰椎椎間板ヘルニア|よくある質問 腰椎椎間板ヘルニアについて、よくご質問頂くことについて記しました。その他ご質問、再生医療の可能性などはお問い合わせください。 Q1:椎間板ヘルニアの際は安静にした方が良いですか? A1:絶対安静が必要ということではありません。 腰の痛みや足の痛み、痺れ感がある場合には安静にしておく方が良いといわれることも多いかと思います。 しかし、自宅で安静にした方が早く治るという科学的な根拠はありません。 痛みが強すぎて動けない場合は自宅で安静にしている他ありませんが、動けるのであれば腰や足の筋力が弱くならないように、少しずつ動くようにすると良いでしょう。 Q2:保存療法としてコルセットは効果がありますか? A2:試してみる価値はあると考えられます。 腰椎椎間板ヘルニアの患者さんは、立っている方が座った姿勢よりも痛みが楽に感じるケースが多いようです。それは立っている状態の方が姿勢を保持しやすいのが理由です。 コルセットを着用して姿勢の保持をしやすくするのは痛みを和らげるために効果があると言えます。 ただし、コルセットに頼りすぎると筋力が低下してしまい、コルセットがなければ生活ができないということもあるので注意が必要です。 コルセットをするなら必ず筋力トレーニングは必要となります。 まとめ・腰椎椎間板ヘルニアの症状レベルを把握して最善の治療を 今回は腰椎椎間板ヘルニアの症状や治療法などを解説しました。 腰椎椎間板ヘルニアで症状が重い方には手術療法が選択されます。 しかし、手術をおこなっても圧迫され続けた脊髄や神経根の損傷が完全に修復されないこともあります。すると、痺れや痛みといった症状が残るかもしれません。 そのような場合、当院の再生医療、幹細胞で治療するという方法をご検討ください。 脊髄腔内ダイレクト注射で投与という当院独自の方法を用いて、傷ついた神経の再生を試みます。これまで多くの症例を経験し、症状の改善がみられています。詳しくは以下の動画をご覧ください。 https://www.youtube.com/watch?v=4AOGsB-m63Y&t=132s
2023.11.02 -
- 大腿骨骨頭壊死
- 股関節
大腿骨頭壊死の治療方針は、壊死の範囲や進行具合によって異なり、リハビリテーションは社会復帰を果たすための重要なケアです。 本記事では、大腿骨頭壊死のリハビリメニューと期間について解説します。 しかし、リハビリテーションは症状を悪化させないようにする目的のため、手術療法を検討するケースも少なくありません。 近年の治療では、手術せずに骨壊死の改善を目指せる再生医療による治療も選択肢の一つです。 \骨壊死の改善が期待できる再生医療とは/ 再生医療は、患者さま自身の細胞や血液を用いて人間の持つ自然治癒力を向上させることで、、手術せずに大腿骨頭壊死の改善が期待できます。 【こんな方は再生医療をご検討ください】 進行している大腿骨頭壊死でも手術せずに治したい 大腿骨頭壊死による痛みを早く治したい 現在受けている治療やリハビリで期待した効果が得られていない 再生医療は、早く治療を受けるほど治療成績が良いですが、進行している大腿骨頭壊死も治療できるケースがあります。 具体的な治療法については、当院(リペアセルクリニック)で無料カウンセリングを行っておりますので、ぜひご相談ください。 ▼まずは骨壊死の治療について無料相談! >>(こちらをクリックして)今すぐ電話してみる 以下の動画では、骨壊死に対する再生医療の治療について詳細を解説しているため、合わせて参考にしてください。 https://www.youtube.com/watch?v=ic_6QaEU5NU 大腿骨頭壊死の治療・リハビリテーション 大腿骨頭壊死は診断されたら即手術が必要になる疾患ではありません。「壊死」と聞くと、どんどん骨が腐ってしまう恐ろしい病気のようなイメージを持つ方もいるでしょう。 しかし、実際には適切な治療をおこなうことで、壊死の進行を止めたり、壊死部を修復させたりできます。 大腿骨頭壊死は、診断時の病型(Type分類:大腿骨頭のどのあたりが壊死しているか)と病期(Stage分類:壊死と圧壊がどのくらい進んでいるか)によって治療方針が決まります。 病型(Type分類):大腿骨頭のどのあたりが壊死しているか 病期(Stage分類):壊死と圧壊がどのくらい進んでいるか 壊死範囲が広い場合や、すでに圧壊が進行してしまっている場合にはすぐに手術をするケースも少なくありません。 一方、壊死範囲が限定的な場合や、体重のかかりづらい部位にあるときは、保存療法を基本として治療を進めます。 保存療法ではリハビリテーションが欠かせない 保存療法の目標は、壊死部を圧壊させないことです。長期的には、軟骨がすり減り、変形性の関節症になってしまうリスクも防ぐ必要があります。 保存療法の基本的な方針は、股関節への直接の負担を減らすことです。そのためには、リハビリテーションを通して、股関節周囲の筋肉や下肢の筋力アップを図る必要があります。 ほかにも、松葉杖などを使用したり、股関節に負荷がかかる動作を避けたりして、股関節への負担を減らすことも大切です。 大腿骨頭壊死の初期症状や原因について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。 大腿骨頭壊死のリハビリプログラム 大腿骨頭壊死のリハビリテーションでは、股関節の動きを良くすること、股関節周りの筋肉を鍛えることを目標とします。 以下のような症状を繰り返さないためにもリハビリテーションが大きな役割を担います。 しかし、大腿骨頭壊死はリハビリテーションだけで治る病気ではありません。 近年の治療では、壊死・損傷した骨に対してアプローチし、手術せずに大腿骨頭壊死の改善が期待できる再生医療が注目されています。 「大腿骨頭壊死を根本的に治療したい」「再生医療について詳しく知りたい」という方は、ぜひ当院リペアセルクリニックへご相談ください。 ▼まずは骨壊死の治療について無料相談! >>(こちらをクリックして)今すぐ電話してみる 大腿骨頭壊死のリハビリメニュー ここからは、実際にどのようなリハビリプログラムをおこなうのか、メニューの一例を紹介します。 ストレッチ 大腿骨頭壊死のリハビリテーションにおいて、ストレッチは股関節の柔軟性を良くするために欠かせません。 大腿骨頭壊死のリハビリテーションで取り組むストレッチは、主に以下の通りです。 股関節の屈曲 仰向けの状態で膝を立て、股関節を曲げていく 曲げている方の足の太ももを持ち、体の方にできるだけ引き寄せる タオルやゴムバンドなどの補助を使いながら、徐々に動かす範囲を広くする 股関節の外転 仰向けの状態になる 膝のお皿が上を向くように気をつけながら、股関節を外側に開く 股関節の外旋 仰向けまたは座って胡坐の姿勢をとる 痛みのない範囲で曲げた膝を床の方向へ押していく うつ伏せ うつ伏せの体勢をとって、股関節を曲げる筋肉を伸ばす 腰の曲げ伸ばし 座った状態で腰を丸めたり、伸ばしたりする ただし、痛みやつらさを感じる強さのストレッチは逆効果になるため注意が必要です。ストレッチをする際は、呼吸を止めずにゆっくりとおこないます。 筋力トレーニング 大腿骨頭壊死のリハビリテーションでは、股関節への負担をなるべくかけないようにするため、過度なトレーニングは避けます。 トレーニング内容は、主に以下の通りです。 メニュー 部位 トレーニング内容 腰上げ(ブリッジング) お尻の後ろの筋肉 仰向けになり両膝を立てる お尻を地面から離すように上げていき、体が一直線になるようにする 足上げ(座位) 大腿四頭筋 仰向けで寝た状態になる 膝をのばしたまま片足ずつ地面から20㎝ほど上げる 足上げ(横向き) 中殿筋 横向きの状態になる 上になった足を伸ばしたままゆっくりと真上に上げる 足上げ(うつ伏せ) ハムストリング うつぶせの状態になる 片足ずつ膝を伸ばしたまま、太ももが床から少し浮くくらい持ち上げる ほかにも、痛みの程度や個々の運動能力などに応じて、水中ウォーキングやエアロバイクといったメニューを追加していきます。 なお、トレーニングメニューは、数回おこなっただけでは効果が現れません。定期的に通うことはもちろん、自宅でもできるトレーニングも多いので、時間を見つけて日頃から取り組む必要があります。 大腿骨頭壊死のリハビリ期間 大腿骨頭壊死のリハビリテーションは、一般的に医療保険でのリハビリが可能な150日を目安に行うことが多いです。 ただし、経過中は医師の診察やレントゲンによるチェックを行い、壊死が進行していないか、どの程度改善しているのかを判断しながらリハビリ期間を決定します。 患者様一人ひとりの状態によってリハビリメニューや期間は変わるものの、続けていかないと効果が出ない点は共通しています。 また、近年では、大腿骨頭壊死の根本治療やリハビリ効果を高めるための再生医療が注目されています。 再生医療は、患者さま自身の細胞や血液を用いて人間の持つ自然治癒力を向上させることで、リハビリ効果を高めることに期待できます。 「リハビリ効果を高めて早く治したい」「大腿骨頭壊死を根本的に治したい」という方は、当院リペアセルクリニックまでご相談ください。 ▼まずは骨壊死の治療について無料相談! >>(こちらをクリックして)今すぐ電話してみる 大腿骨頭壊死の手術療法 リハビリテーションによる保存療法で改善が見込めない場合には、手術を検討するケースも少なくありません。 大腿骨頭壊死の手術には、主に骨切り術と人工関節(人工骨頭)置換術があります。 どちらもメリット・デメリットがあるほか、場合によっては適応しないため、主治医とよく相談する必要があります。 骨切り術 骨切り術は、骨を切って大腿骨頭を回転させ、壊死した部分に体重がかからないようにする手術です。 自分の骨を温存でき、将来的に人工関節の手術もできる利点があります。ただし、難易度が高く、限られた施設でしかおこなわれていない手術です。 また、手術をしたとしても、骨頭の圧壊が進んでしまったり、疼痛が残ったりする可能性がある点もデメリットです。 なお、骨切り術をおこなった場合は、平均して6週間程度の入院期間が必要になります。 人工関節置換術 人工関節置換術は、壊死した骨頭を除去して、人工関節を埋め込む手術です。 人工関節置換術の場合は、入院期間が10日ほどで退院できる場合がほとんどです。ただし、人工関節の耐用年数の問題から、若年層は避けるべきとされています。また、人工関節は脱臼してしまうリスクもあります。 このようなメリット・デメリットを含め、病型や病期、個々の状態を考慮して術式が決定されます。 大腿骨頭壊死になったらやってはいけないこと 大腿骨頭壊死になったらやってはいけないことには、以下の2つがあります。 股関節に負担がかかる動作 飲酒と喫煙 症状の進行を防ぐためにも、気をつけて生活を送りましょう。 大腿骨頭壊死を悪化させない理想の生活については、以下の記事で詳しく解説しています。 股関節に負担がかかる動作 大腿骨頭壊死になったら、できるだけ股関節に負担がかかる動作を避けましょう。具体的には、以下のような行動や姿勢に気をつけてください。 激しい運動 階段昇降 重量物の運搬 長時間の立ち仕事 しゃがみこむ動作 など なお、股関節への負担を軽減するためには、体重の増加にも注意が必要です。体重が増加すると、その分、股関節への負担が大きくなってしまいます。 飲酒と喫煙 大腿骨頭壊死になったら、飲酒と喫煙もやめましょう。アルコールは大腿骨頭壊死の原因の一つであるとされています。また、アルコールによって骨密度が低下する可能性も指摘されており、壊死した骨をさらに弱くするリスクがあります。 喫煙も血行を悪化させ、骨の壊死を加速させる可能性があるため注意が必要です。大腿骨頭壊死の治療効果を高めるためにも、飲酒と喫煙はやめましょう。 【体験談】大腿骨頭壊死に対する再生医療の可能性 大腿骨頭壊死を発症後、リハビリテーションによる保存療法で症状が改善しない場合には、再生医療を選択する方法もあります。 リペアセルクリニックでは、大腿骨頭壊死の再生医療・幹細胞治療をおこなっています。 以下で、当院における大腿骨頭壊死の症例を紹介するので、ぜひ参考にしてください。 症例1.40代男性|大腿骨頭壊死による痛みが激減 こちらの症例は、数カ月前から両股関節痛があり、海外から当院リペアセルクリニックにご来院いただいた男性(40代)の方です。 自国の整形外科では骨切り術を勧められていましたがが、大がかりな手術になるだけでなく術後の荷重制限が長期に及ぶため手術に踏み切れずにいました。 レントゲンで確認すると、骨壊死部の圧壊は認めておらず、両股関節ともに痛みは「10段階の4」ということでした。 【主な治療内容】 両股関節:1億個の幹細胞を計3回投与 【治療後の状態】 初回投与後3カ月で両股関節の痛みが半分まで軽減した また、術後1年のレントゲンでも両股関節ともに骨壊死部の圧壊はなく関節裂隙も維持できている ※効果には個人差があります こちらの症例について詳しく知りたい方は、以下をご覧ください。 >>「大腿骨頭壊死による痛みが激減!40代男性」の症例ページはこちら 「再生医療について詳しく知りたい」「再生医療の治療を検討したい」という方は、ぜひ当院リペアセルクリニックまでご相談ください。 ▼まずは骨壊死の治療について無料相談! >>(こちらをクリックして)今すぐ電話してみる 症例2.30代女性|大腿骨頭壊死部分が縮小して痛みも消失 こちらの症例は、当院リペアセルクリニックを受診する半年前に両大腿骨頭壊死症と診断された女性(30代)の方です。 すでに左大腿骨頭の圧壊と疼痛があり、骨切り術の適応ではあったものの不妊治療中で手術を受けられない状況でした。 また、股関節に疼痛や可動域制限があり、分娩時に不安があるとのことで、手術せずに治療できる「再生医療」に希望を持った状態でご来院いただきました。 【主な治療内容】 圧壊を認めていない右股関節:2000万個の幹細胞を計2回投与 圧壊を認めて疼痛がある左股関節:8000万個の幹細胞を計2回投与 【治療後の状態】 2回目の投与から1年経過した時点で、両股関節の痛み症状が改善した ※効果には個人差があります こちらの症例について詳しく知りたい方は、以下をご覧ください。 >>「大腿骨頭壊死部分が縮小し痛みも消失!30代⼥性」の症例ページはこちら また、「再生医療について詳しく知りたい」「再生医療の治療を検討したい」という方は、ぜひ当院リペアセルクリニックまでご相談ください。 ▼まずは骨壊死の治療について無料相談! >>(こちらをクリックして)今すぐ電話してみる まとめ|大腿骨頭壊死になったら適切なリハビリを継続しましょう 大腿骨頭壊死のリハビリテーションでは、股関節周辺の柔軟性や筋力向上を目的としたプログラムが行われます。 生活習慣を見直し、適切なリハビリテーションを継続しながら無理なく仕事復帰を目指しましょう。 しかし、リハビリテーションだけでは壊死した骨は治らないため、従来の治療では手術療法が検討されるケースもあります。 近年の治療では、手術せずに大腿骨頭壊死の改善を目指せる再生医療も選択肢の一つです。 \こんな方は再生医療をご検討ください/ 進行している大腿骨頭壊死でも手術せずに治したい 大腿骨頭壊死による痛みを早く治したい 現在受けている治療やリハビリで期待した効果が得られていない 再生医療は、早く治療を受けるほど治療成績が良いですが、進行している大腿骨頭壊死も改善が期待できるケースがあります。 「具体的な治療法を知りたい」「大腿骨頭壊死を根本的に治したい」という方は、当院リペアセルクリニックにご相談ください。 ▼骨壊死の根治を目指したい方はぜひご連絡ください! >>(こちらをクリックして)今すぐ電話してみる 大腿骨頭壊死についてよくある質問 大腿骨頭壊死と診断されたらスポーツはもうできない? スポーツができるかどうかは、大腿骨頭壊死の病期と病型によって決まります。壊死範囲が小さく圧壊の危険性が少ない場合は、ほとんど制限されないケースもあります。 しかし、壊死範囲が中程度になると、ゴルフなどの軽いスポーツはできても、股関節への負担が大きいジャンプ運動などは望ましくありません。 大腿骨頭壊死の発症を防ぐ食べ物やサプリなどはある? 現状では、明らかな発症予防効果が認められている食べ物やサプリメントなどはありません。 ただし、研究段階ではあるものの、ビタミンEが大腿骨頭壊死の発症を予防するといった報告もあります。(文献1) 今後さらに研究が進んでいくことが期待されます。 参考文献 (文献1) 栗林正明、藤岡幹浩「ビタミン E の骨壊死抑制効果の検討 」京都府立医大大学院医学研究科 運動器機能再生外科学)https://mhlw-grants.niph.go.jp/system/files/2008/083141/200834009A/200834009A0007.pdf (最終アクセス:2025年3月18日)
2023.10.23 -
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「大腿骨頭壊死(だいたいこっとうえし)」と診断され、先の見えない不安や股関節の痛みに悩んでいませんか? とくに働き盛りの世代に多いこの病気は、今後の仕事や生活に大きな影響を与えかねません。(文献1) 「手術は避けたいけれど、何もしないで悪化するのは怖い」「保存療法とは言うけれど、具体的に何をすればいいの?」 この記事では、そんな疑問や不安に寄り添い、手術をせずに股関節の機能を温存する「保存療法」についてわかりやすく解説します。 なお、当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは大腿骨頭壊死の治療法の一つ、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 大腿骨頭壊死でお悩みの方は、ぜひ一度公式LINEにご登録いただき再生医療についてご確認ください。 大腿骨頭壊死の保存療法とは 大腿骨頭壊死とは、股関節にある大腿骨頭が壊死してしまい潰れることで痛みを生じる疾患です。 一度壊死が起こってしまうと、壊死した骨組織そのものを元の状態に戻すことは極めて困難です。 発症原因は明確ではありませんが、大腿骨頭を栄養している血管が障害されることや、免疫を抑えるステロイドやアルコールが危険因子とされています。(文献2) 骨頭壊死の治療法は、保存療法と手術療法に大きく分けられます。 大腿骨頭壊死の保存療法とは、手術以外で股関節への負担を減らしながら、痛みや進行の様子を見ていく治療のことです。 壊死の範囲が小さい場合や、痛みなどの症状がほとんどないときには、まずこの方法が選ばれます。 日常生活では、股関節にかかる重さを減らす工夫として以下のことを意識します。 杖で体重を分散する 体重を大きく増やさない 長く歩き続けない、 重い荷物は持たない 痛みが強い時期は、無理に動かず休む 痛みや炎症に対しては、医師と相談のうえで鎮痛薬を使います。 ただし、これらの対処だけで骨のつぶれ(圧潰)の進行を強く止められるとは限りません。 圧潰が進みそうなタイプでは、骨頭の形を保つことを目的に、手術に切り替える時期を逃さないことが大切です。 大腿骨頭壊死の病期(ステージ)分類 保存療法の方針を決める上で重要なのが、壊死がどのくらい進行しているかを示す「病期(ステージ)」です。 国際的によく使われる「ARCO分類」では、MRIやX線(レントゲン)の画像所見から、Stage1~4までの4つのステージに分類します。 この分類は、病気の進行度や治療方針を決定するための重要な指標です。 (文献3) ここでは、病期(ステージ)別に画像所見の特徴と主な症状について解説します。 Stage 1 MRIやX線(レントゲン) 画像所見の特徴 主な症状 X線では異常なし MRIで初めて壊死が確認できる 症状がないことが多い 軽い違和感を感じる程度 X線ではまだ変化が見られず、MRIで初めて骨内部の壊死が確認される段階です。 痛みは軽度〜中等度で、長距離歩行や階段の上り下りなどに違和感を覚えることがあります。 Stage 2 MRIやX線(レントゲン) 画像所見の特徴 主な症状 X線で骨硬化像(骨が白く見える) 骨頭の丸みは保たれている。 軽い痛み だるさを感じ始めることがある 骨内部の構造変化が進み、X線で骨密度の不均一や境界線が現れます。 この段階では骨頭の形はまだ保たれていますが、放置すると次の圧潰期に移行するリスクが高まります。 Stage 3A、3B MRIやX線(レントゲン) 画像所見の特徴 主な症状 骨頭の圧潰(あっかい:つぶれること)が始まる 圧潰が2mm未満が「3A」 圧潰が2mm以上が「3B」 痛みが強くなる 歩行に支障が出始める 骨頭が部分的につぶれ(圧潰)、関節の形が少しずつ変わっていきます。 X線でも明確な扁平化が確認でき、歩行時の痛みが強くなることが多いです。 症状が続く場合や圧潰の進行が見られる場合は、骨切り術(骨頭の壊死した部分へかかる負荷を抑えるため、骨の一部を切って角度を変える手術)を専門医と検討します。 Stage 4 MRIやX線(レントゲン) 画像所見の特徴 主な症状 骨頭の圧潰が進行 関節の隙間が狭くなる 痛みが強くなる 日常生活が大きく制限される 軟骨がすり減り、変形性股関節症となっている 関節軟骨のすり減りや関節の変形が生じる時期とされ、骨頭のつぶれがさらに進み、股関節全体に変形が及びます。(文献4) 軟骨のすり減りによって骨同士が直接触れ合うようになり、強い痛みや可動域の制限が生じます。 【病期別】保存療法で「やるべきこと」「避けるべきこと」 大腿骨頭壊死の保存療法の目的は、骨頭の圧潰を防ぎ、痛みをコントロールすることです。 特に圧潰が起きていない、あるいは軽度なStage 1〜3Aが保存療法の主な対象となります。 Stage 1〜2 (圧潰前) やるべきこと 避けるべきこと 手術への切り替えを 検討する目安 免荷(めんか)※ 薬物療法(消炎鎮痛剤) 筋力維持、可動域訓練 薬物療法 衝撃の強い動作 ランニング ジャンプ 重い物を持つ作業 長時間の歩行・立ち仕事 股関節に大きな負担がかかる姿勢 あぐら しゃがみこむ 飲酒、喫煙 痛みが改善しない 圧潰が進行(Stage 3Bへ移行)した場合 ※免荷とは、杖などを使って患部への体重負担を減らすこと。 圧潰前は、骨頭の形が保たれており、早期の保存療法が有効とされます。 痛みや炎症がある患者様には、症状を緩和させるために、消炎鎮痛薬(内服薬や外用薬)を使用することもあります。 運動では、痛みが出ない範囲で関節可動域を維持し、股関節に体重をかけない方法で筋力維持に努めます。 股関節の負担が少ない運動として、エルゴメーター(自転車こぎ)や、横になった状態での足上げ、水中ウォーキングなどがあります。無理のない範囲で毎日運動を続けましょう。 また、アルコール摂取と喫煙にも注意が必要です。 アルコールの過剰摂取は骨の代謝や血流に悪影響を与え、骨密度の低下を招きます。喫煙は血管を収縮させ、骨への酸素・栄養供給を阻害します。 どちらも壊死の進行に関わる要因とされているため、控えましょう。 Stage 3A 〜4 (圧潰初期〜圧潰進行期) やるべきこと 避けるべきこと 手術への切り替えを 検討する目安 免荷(めんか) 薬物療法(消炎鎮痛剤) 手術に向けた相談 自己判断でのリハビリ 痛みを我慢しての運動 圧潰を助長する危険性があり 体重増加 股関節への負担が増える 飲酒、喫煙 痛みが日常生活に支障をきたす 圧潰が進行(Stage 3Bへ移行)した場合 この段階では、更なる圧潰を防ぐためにも体重管理を徹底します。ただし、痛みを我慢しての自己判断による運動は、かえって圧潰を進行させる危険性があるため避けてください。 骨頭の圧潰が始まっている場合や、保存療法でも症状の改善がみられない場合には、手術による治療へ移行する判断がなされます。 関節軟骨が残っており、関節の隙間が保たれている段階では、骨切り術が選択肢となります。 一方で、壊死の範囲が広い場合や圧潰が進行している場合には、人工関節置換術(股関節を人工関節に置き換える手術)が行われることがあります。 他、運動方法について詳しく知りたい方は、こちらの記事も合わせてご確認ください。 痛みを悪化させない日常生活のコツ 痛みを悪化させず、圧潰の進行を防ぐためには、日常生活での工夫が欠かせません。 日常生活の工夫 ポイント 杖をつかう 患肢と反対側で杖を持つと、痛みが軽減できます 股関節を曲げる動作を避ける 長距離を歩く、しゃがむ、階段昇降などの動作を避けます 重い荷物を持つのを避ける 患肢と反対側で荷物持つと、関節を保護できます 生活様式を洋式に変更する 床座りやふとん、和式トイレは避けます。 椅子やベッド、洋式トイレを使用しましょう。 高い椅子を使用 台所などでの立ち仕事では高い椅子を使用し、腰掛けることで股関節への負荷を減らすことができます これらの工夫を日常生活に取り入れることで、股関節への負担を軽減できます。ご自身の病期や症状に応じて、担当医と相談しながら実践してください。 再生医療という選択肢 大腿骨頭壊死の治療の選択肢の一つに、再生医療の選択肢もあります。 当院「リペアセルクリニック」では、大腿骨頭壊死に直接注射で幹細胞を届ける治療を行っております。患者様自身の幹細胞を採取・培養して用いるため、拒否反応のリスクが低い治療法です。 手術以外の治療法をお探しの方、人工関節にすることに抵抗がある方は、ぜひ当院へご相談ください。 当院では、検査結果や生活状況を踏まえ、再生医療を含む複数の選択肢を説明した上で治療計画をご提案いたします。 当院の大腿骨頭壊死に対する再生医療について詳しくは、以下の記事も合わせてご確認ください。 まとめ|痛みをコントロールしながら前向きな一歩を 大腿骨頭壊死の保存療法では、病期(Stage 1〜4)に応じた適切な対応が必要です。 圧潰前(Stage 1〜2)では、免荷や体重管理、股関節に負担をかけない運動により、圧潰の進行を防ぐことが目標となります。 圧潰初期以降(Stage 3A〜4)では、より厳格な免荷と体重管理を徹底し、保存療法で改善が見られない場合は、骨切り術や人工関節置換術などの手術療法への移行を検討します。 日常生活では、杖の使用、股関節を深く曲げる動作の回避、生活様式の洋式化などの工夫により、股関節への負担を軽減できます。また、アルコールと喫煙は壊死の進行に関わる要因とされているため、控えることが推奨されます。 保存療法は、ご自身の体の状態を正しく理解し、痛みをコントロールしながら、今後の治療方針を考えるための重要な期間です。 一人で抱え込まず、定期的な検診を受けながら専門医と相談し、ご自身に合った治療計画を立てていきましょう。 大腿骨頭壊死の保存療法に関するよくある質問 保存療法で壊死は治りますか? 一度壊死した骨組織が保存療法で元通りになることはないといえるでしょう。 保存療法の目的は、壊死した部分が潰れてしまう「圧潰」を防ぎ、痛みをコントロールして、自分の関節をできるだけ長く温存することにあります。 自転車に乗っていいですか? 自転車の利用自体は可能ですが、転倒しないこと、そして転びそうになった際に無理に踏ん張らないことが前提になります。 走行するなら、平坦で人通りが少なく、接触の危険が少ない道を選びましょう。 一方で、坂道で立ちこぎが必要な場面や、人や車が多く衝突のリスクが高い場所では自転車の使用は控えた方がいいでしょう。 食生活で気をつけることはありますか? 食べ物の規制は特にありませんが、股関節の負担を減らす上で体重管理は非常に効果的です。 栄養バランスを考えた食事を意識しながら、適正体重を心がけましょう。 また、危険因子としてアルコール飲料は骨頭壊死の進行リスクを高めるといわれており、国際的な基準も定められています。過剰な摂取は避けてください。 参考文献 (文献1) 特発性大腿骨頭壊死症(指定難病71)|難病情報センター (文献2) Osteonecrosis of the Femoral Head: an Updated Review of ARCO on Pathogenesis, Staging and Treatment|PMC (文献3) Guidelines for clinical diagnosis and treatment of osteonecrosis of the femoral head in adults (2019 version)|PMC. (文献4) 71 特発性大腿骨頭壊死症|厚生労働省
2023.10.19 -
- 大腿骨骨頭壊死
- 股関節
「病院で大腿骨頭壊死症と診断されたが、思い当たる原因がない」 このような悩みを抱える人は、少なくありません。 大腿骨頭壊死症は指定難病にもなっている病気です。 大腿骨頭壊死症は普段よく聞く病名ではないため、病気の全貌が見えず不安になってしまうこともあるでしょう。 この記事では、大腿骨頭壊死症が起こる原因や、治療法について解説します。 大腿骨頭壊死症を予防する方法や悪化させないよう気を付けるべき点も紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。 また、当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 大腿骨頭壊死症について気になる症状がある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 大腿骨頭壊死症の原因を種類別に解説 大腿骨頭壊死症の原因は、「特発性大腿骨頭壊死症」と「症候性大腿骨頭壊死症」の場合で異なります。 大きく分けると、明確な原因がある場合が「症候性大腿骨頭壊死症」、明確な原因はないもののさまざまな危険因子が重なり起こったのが「特発性大腿骨頭壊死症」です。 それぞれの原因を詳しく解説します。 特発性大腿骨頭壊死の原因 特発性大腿骨頭壊死症の場合、科学的根拠に基づいたはっきりとした原因はわかっていません。 特発性大腿骨頭壊死症を引き起こす危険因子として、下記が関連していると考えられています。 SLEなどの免疫異常の疾患(膠原病)や臓器移植などによるステロイド投与 アルコールの過剰摂取 喫煙 中でも、ステロイドやアルコールについては、国際的に基準が定められています。 (1)ステロイド関連の基準 3か月以内に累積2gを超えるプレドニゾロン投与、または、同等力価の糖質コルチコイド投与歴 糖質コルチコイド投与から2年以内に特発性大腿骨頭壊死症と診断 (2)アルコール関連の基準 あらゆる種類のアルコール飲料のアルコール量400 mL/週(もしくは320 g/週)を超えるアルコール摂取を6カ月以上継続している この用量のアルコール摂取から1年以内に特発性大腿骨頭壊死症と診断 このような基準を満たす場合には、ステロイドあるいはアルコールの関連が疑われます。 しかしながら、なぜ大腿骨の壊死が起こるのか、その機序についてはまだはっきりとはわかっていません。(文献1) 症候性大腿骨頭壊死症の原因 大腿骨頭壊死を引き起こした原因がはっきりしている場合、症候性大腿骨頭壊死症と診断されます。 症候性大腿骨頭壊死症と診断された場合のおもな原因は以下の通りです。 骨折などの外傷 放射線照射 ダイビングなど、高圧から低圧に移行する状況で発生するガス泡による血管の閉塞 大腿骨頭壊死症とは 大腿骨頭壊死症とは、股関節にある大腿骨頭の一部が血流の低下によって壊死してしまい、圧潰(あっかい:つぶれて変形)し股関節の機能が損なわれてしまう病気のことです。特発性大腿骨頭壊死症は難病に指定されています。(指定難病71) 大腿骨頭壊死症の中でも、脱臼や骨折など、血流低下の明らかな原因がない場合に「特発性」大腿骨頭壊死症と呼びます。 日本では、毎年2,000〜3,000人の方が新たに特発性大腿骨頭壊死症になっており、好発年齢は30〜50歳代です。 働き盛りの方に起こりやすいと言えるでしょう。 大腿骨頭壊死症の症状 大腿骨頭壊死症のおもな症状は以下の通りです。 腰痛 膝の痛み お尻、股関節の痛み 歩行困難 歩行困難は壊死が進行し痛みが悪化した場合に起こることがあります。 特発性大腿骨頭壊死では、ただ大腿骨に壊死が起こっただけでは症状はありません。 しかし、壊死が進行し、骨頭の圧潰つまり変形が進んだときには症状が現れます。大腿骨頭壊死症が発生してから、症状が出るまでの間には、数カ月から数年の時間差があるということに注意が必要です。 大腿骨頭壊死症の治療法 大腿骨頭壊死症の治療法は、患者の年齢や合併症の有無、症状の進行度などを考慮して決められます。 大きく分けると症状が軽度〜中度の場合は保存療法、重度の場合は手術療法が検討されることが多いです。 また、近年は研究が進み、大腿骨頭壊死症の治療の1つとして再生医療も注目を集めています。 それぞれの治療の方法と注意点について解説します。 保存療法 病型分類で、骨頭の圧潰がそれほどひどくない場合、手術を行わず保存療法で経過を見ていきます。行う治療は以下の通りです。 鎮痛剤などを使用する 痛みに対しては鎮痛薬の内服などで対処していきます。主に非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)を使用し、痛みや腫れに対して湿布薬も併用します。 薬による治療はあくまで痛みの緩和が目的であるため、壊死が完治するわけではありません。股関節への負担を軽減する工夫が必要です。 日常生活を工夫する 股関節は上半身を支え、歩く・座るといった動作を担う大切な役割を担っています。 大腿骨頭壊死症を改善するには、股関節に負担をかけないことが重要です。 移動の際は杖を使用して股関節にかかる負荷を軽減する 重い荷物を持たないようにする 長距離歩行を避ける 急にしゃがみ込むなど、股関節に負担がかかる姿勢を取らない 上記の項目を心がけて、症状の改善を目指しましょう。 足のトレーニング 大腿骨頭壊死症の改善には運動も欠かせません。 足に筋肉がつくと股関節への負担も減り、症状の改善につながります。 【大腿四頭筋のトレーニング】 椅子に深く座る 片足ずつゆっくりと膝の曲げ伸ばしを行う 足首の力は抜き、太ももは座面につけたままにする 【中殿筋の筋肉トレーニング(横向き)】 横向きに寝転がる 天井側になった足を伸ばした状態でゆっくりと真上に上げる 上げきったらゆっくりと下ろす 【中殿筋の筋肉トレーニング(仰向け)】 仰向けに寝転がる 足を伸ばしたままゆっくりと足全体を横に開き、また閉じる 余裕のある方はゴムバンドやヒモを足首に通し、負荷を増やして行う 運動をする前はかかりつけの医師に相談し、無理のない範囲で行ってください。 いきなり高負荷の運動をすると悪化する恐れもあります。負荷は徐々に増やしていきましょう。 手術療法 痛みの症状が強く、今後も大腿骨頭の圧潰が進行すると予想される場合には、手術療法が検討されます。 若い方の場合は、自身の股関節を温存する「骨切り術」を用いるケースが多いです。 壊死範囲の大きい場合や骨頭圧潰が進んでいる場合、高齢者の場合は「人工関節置換術」が必要となることもあります。 人工関節置換術は壊死部分を取り除き、取り除いた箇所に人工関節を入れる手術です。 人工関節のメリットとして、以下の点が挙げられます。 ほかの関節への負担が軽減される。 関節が安定することにより歩行も安定する。 一方で、人工関節のデメリットを理解しておくことも重要です。 細菌感染に弱い。 下肢に血栓ができるリスクが上がる。 手術療法については下記の記事でも詳しく解説しています。手術療法を検討する際の参考にしてみてください。 リハビリテーション 大腿骨頭壊死症の改善にはリハビリテーションも欠かせません。 リハビリは股関節の可動域を増やすことや、股関節周辺の筋肉を鍛えることを目的として行います。 股関節周辺のストレッチや無理のない範囲での筋力トレーニングをしましょう。 リハビリの期間は症状の進行度によって変わるため、医師と相談のもと進めましょう。 大腿骨頭壊死症のリハビリテーションについては、下記の記事で詳しく解説しています。ぜひあわせてお読みください。 再生医療 大腿骨頭壊死症に対しては、再生医療という治療法もあります。 再生医療の幹細胞治療は、他の細胞に変化する「分化能」を持つ幹細胞を用いた治療です。幹細胞は患者様の脂肪から採取し、1カ月ほどかけて培養したものを壊死した部位に投与します。 患者様自身の幹細胞を使用するため、拒否反応のリスクが低い点が特徴で、手術や入院は不要です。 当院では、再生医療を用いて大腿骨頭壊死症の治療をされた方の症例を紹介しています。具体的な治療法や術後の経過など、参考にしてみてください。 大腿骨頭壊死症を予防するには 大腿骨頭壊死症を防ぐには、股関節への負担を軽減することが重要です。 大腿骨は壊死していても潰れていなければ症状が出ることはあまりありません。そのため、症状が出た後に予防しても大きな効果を得られないことが多いです。 以下の内容を日常的に心がけ、大腿骨頭壊死症のリスクを減らしましょう。 正座やあぐらはなるべくしない。 肥満気味の人は体重管理を行う。 長時間歩行はなるべくしない。 過剰なアルコール摂取は避け、喫煙者は禁煙する。 ステロイド剤の使用に注意する。 健康な生活を心がけ、骨を丈夫にするカルシウムやビタミンを積極的に摂取する。 症状が出た後でも、股関節の負担を軽減するよう保存療法を行うことで痛みが和らぐこともあります。 症状が出たからとあきらめず、日常生活での工夫は続けましょう。 また、早期に治療を始めることは大腿骨頭壊死症の進行を遅らせることにつながります。 違和感を感じたらすぐに医療機関を受診し、適切な治療を始めましょう。 まとめ|大腿骨頭壊死症はアルコールやステロイドが原因になることも!早期発見、予防が重要 大腿骨頭壊死症の原因は、骨折などの外傷による場合と、明確な原因がないまま発症する場合があります。 明確な原因がないまま発症した際は「特発性大腿骨頭壊死症」と診断されます。 特発性大腿骨頭壊死症が発症する危険因子としてステロイドやアルコールの過剰摂取などが指摘されていますが、科学的にはいまだ解明されていません。 大腿骨頭壊死症の治療は保存療法が基本です。症状が悪化して歩行困難などを引き起こしている場合、手術療法も検討されます。 股関節への負担を減らすことが大腿骨頭壊死症の早期回復、予防につながります。 急にしゃがみ込む、あぐらや正座で長時間座る、長時間歩行を続けるといった行為は股関節への負担を増やしてしまうためなるべく避けましょう。 当院では、大腿骨頭壊死症に対し、培養した幹細胞を投与する再生医療を行っています。 再生医療について詳しくは、以下のページもご覧ください。 大腿骨頭壊死症についてよくある質問 Q1.大腿骨頭壊死症の原因は何ですか? 大腿骨頭壊死症は原因が明確にわかっている場合と、原因が不明な場合があります。 明確な場合とは、骨折などの外傷、放射線照射、ダイビングなどの高圧から低圧に移行する状況で発生するガス泡が血管を塞ぐなど、直接的に大腿骨頭へのダメージが起きている場合です。 一方で、直接的なダメージが見受けられなくても大腿骨頭壊死を引き起こすことがあります。科学的な根拠に基づいた原因は明確になっていませんが、ステロイドの投与、アルコールの過剰摂取、喫煙などが要因になっている可能性が指摘されています。 Q2.大腿骨頭壊死症はどんな痛みが起こりますか? 急に生じる股関節痛や、腰痛や膝の痛み、お尻の痛みなどが見られることがあります。 大腿骨頭の壊死が進行し、症状がひどくなると歩行困難を引き起こすことがあります。 Q3.大腿骨頭壊死症になったらやってはいけないことはありますか? 大腿骨、股関節への負担をかけないことが重要です。 重い荷物を持たないようにする 長距離歩行を避ける 正座やあぐらなど股関節に負荷がかかる姿勢を取らない アルコールの過剰摂取や喫煙を控える などを意識しましょう。 参考文献 (文献1) 特発性大腿骨頭壊死症(指定難病71)│難病情報センター
2023.10.16 -
- 幹細胞治療
- PRP治療
- 大腿骨骨頭壊死
- 股関節
- 再生治療
大腿骨頭壊死(だいたいこっとうえし)は、太ももの先端部分である大腿骨頭と呼ばれる部位の血流が悪くなり骨が壊死してしまう病気です。 大腿骨頭壊死は、再生医療の治療対象です。再生医療は手術や入院をせずに治療できる可能性があるため、人工関節の置換を避けたい方にも選ばれています。 この記事では、大腿骨頭壊死の再生医療について詳しく知りたい方に向けて、治療の特徴や流れなどを解説します。 大腿骨頭壊死の治療法をお探しの方は参考にしてください。 大腿骨頭壊死の治療と再生医療について 大腿骨頭壊死は、太ももの付け根にある骨の先端部分である大腿骨頭の血流が滞ることで、骨の組織が壊死する疾患です。 初期症状がほとんど現れず静かに進行する場合が多く、突然の強い痛みや歩行困難をもたらし、日常生活に大きな支障をきたす可能性があります。そのため、大腿骨頭壊死は早期に発見し適切な治療を受けるのが重要です。 大腿骨頭壊死の治療は、保存療法や手術、再生医療などが挙げられ、患者様の症状や年齢、生活状況に応じて選択されます。とくに、再生医療は手術や入院を必要とせず、通院のみで治療できる場合もあるため、身体への負担が少ない点が特徴です。 大腿骨頭壊死に対する再生医療の可能性 大腿骨頭壊死の再生医療は、薬物療法や手術などの一般的な治療法とは異なるアプローチが可能です。 壊死した部位は、自然に回復することは難しいとされていますが、再生医療は患者様の細胞や血液を利用して、損傷した組織にアプローチします。また、治療には少量の細胞の採取や採血、点滴によって行われることが多く、手術や入院が不要で身体の負担が少ないのが特徴です。 手術に抵抗がある方や、できるだけ日常生活への影響を抑えたい方にとって、再生医療は有力な選択肢です。 再生医療の詳細については、上記の動画をご覧ください。 再生医療の治療法|幹細胞治療とは? 再生医療の一つである幹細胞治療は、他の細胞に変化する「分化能」という幹細胞の働きを活かした治療法です。 当院「リペアセルクリニック」における、大腿骨頭壊死に対する幹細胞治療の一例を紹介します。 1.患者様から米粒2~3粒程度の脂肪組織を採取する 2.脂肪から幹細胞を抽出し、培養によって数を増やす 3.培養した幹細胞を股関節の損傷部位に注射で投与する 幹細胞治療では、患者様自身の細胞を使用するので、アレルギーのリスクが低い点も特徴です。 手術以外の治療法をお探しの方や、再生医療に関心をお持ちの方は、当院へご相談ください。 大腿骨頭壊死の一般的な治療法 大腿骨頭壊死の一般的な治療法は、主に以下の2つです。 保存療法 手術 治療方法は、患者様の症状や生活スタイルなどに応じて検討されます。 順番にみていきましょう。 保存療法 大腿骨頭壊死が初期段階で発見された場合、保存療法が用いられます。 保存療法の主な内容は、以下の通りです。 杖や歩行器などを使用して股関節に体重をかけないようにする 鎮痛剤を服用して痛みをコントロールする ストレッチや軽い筋力トレーニングなどのリハビリを行い、股関節への負担を和らげる 大腿骨頭壊死の保存療法では、日常生活を送る中で症状が進行しないように股関節の負担を軽減するのが重要です。 大腿骨頭壊死のリハビリについて詳細は、以下の記事をご覧ください。 手術 大腿骨頭壊死が進行し、大腿骨頭の形が潰れて本来の球形が失われている場合は、手術が検討されます。患者様の年齢や症状の進行によって手術の方法は異なります。 大腿骨頭壊死に対する主な手術は、以下の通りです。 対象の方 手術名 内容 中等症の方 若年~中年の方 大腿骨内反骨切り術 股関節の骨を一部切除して角度を変え、痛みの少ない部分に体重がかかるようにする 大腿骨頭回転骨切術 股関節の骨を一部切り、大腿骨頭を回転させて、まだ傷んでいない部分で体重を支えるように調整する 血管柄付き骨移植 血流を促すために、血管がついた自分の骨を別の場所から取り、大腿骨に移植する 症状が重い方 高齢の方 人工関節置換術 損傷や変形した股関節の骨を取り除き、人工の関節に置き換える 症状が中程度の方や中年までの方は、自身の関節を残した手術を行うのが一般的です。一方、高齢の方や重症の方は、損傷した部位を切除して人工関節に置き換える方法が検討されます。 大腿骨頭壊死の手術について詳細は、以下の記事をご覧ください。 まとめ|大腿骨頭壊死に対しては再生医療も治療の選択肢 大腿骨頭壊死に対しては、再生医療も治療の選択肢の一つです。再生医療の幹細胞治療は、患者様自身の細胞を用いて、損傷した組織にアプローチする治療法です。 当院「リペアセルクリニック」では、再生医療について以下のような方にご相談いただいております。 股関節の症状があり、手術を検討されている方 入院や手術以外の選択肢をお探しの方 人工関節以外の治療をご希望の方 保存療法や手術とは異なる治療法をお考えの方 再生医療について詳しく知りたい方は、当院までお気軽にお問い合わせください。 大腿骨頭壊死の治療法についてよくある質問 大腿骨頭壊死になったらやってはいけないことは? 大腿骨頭壊死になったらやってはいけないことは、以下の通りです。 ジョギングやジャンプなどの激しい運動 重量物の運搬 長時間の立ち仕事 喫煙 飲酒 大腿骨頭壊死と診断された場合、症状の進行を防ぐため、股関節に負担をかけないことが重要です。 日常生活では、しゃがみ込む動作や深く前かがみになる動きなどが股関節に負担がかかりやすいので注意が必要です。また、喫煙や飲酒は血流を悪化させるため、大腿骨頭壊死のリスク要因の一つと考えられています。禁煙・禁酒を心掛けましょう。 以下の記事では、大腿骨頭壊死になったらやってはいけないことについてまとめていますので参考にしてください。 大腿骨頭壊死になってしまったら、必ず手術が必要? 大腿骨頭壊死には、手術が必要とは限りません。症状の程度や進行具合によって、手術以外の治療法が選ばれることもあります。 手術しない治療法は、以下の通りです 痛み止めの服用やリハビリなどの保存療法 損傷した組織に幹細胞を投与する再生医療 保存療法は、大腿骨頭壊死が早期に発見された場合に用いられます。一方、再生医療は、大腿骨頭壊死の症状が進行しても受けられる可能性があるため、再生医療クリニックへご相談ください。 症状の程度やライフスタイルによって、最適な治療法は異なるので、医師に相談して自分に合った治療方法を見つけましょう。 大腿骨頭壊死に対する再生医療にはどのようなものがありますか? 大腿骨頭壊死に対する主な再生医療は、以下の2つです。 治療法 特徴 当院(リペアセルクリニック)の治療手順 幹細胞治療 様々な細胞に分化する能力を持つ幹細胞を用いた治療法 患者様から採取した幹細胞を注射で投与する PRP療法 成長因子を含む血小板を用いた治療法 患者様自身の血液から血小板を多く含む血漿を抽出し、患部に注射する 再生医療は、手術に抵抗がある方や回復を早めたい方にとって新たな治療の選択肢となります。どちらの治療が適しているかは症状や年齢などによって異なるため、専門医にご相談ください。
2023.10.12 -
- 大腿骨骨頭壊死
- 股関節
「大腿骨頭壊死の手術ってどんな内容?」 「手術にかかる費用や入院期間も知りたい」 このような不安を抱える方は多いでしょう。 大腿骨頭壊死の手術には、関節を温存する「骨切り術」や、人工関節に置き換える「人工関節置換術」などの選択肢があります。 入院期間や費用、リスクは手術の種類によって異なるため、症状や生活スタイルに応じて、適切な治療法を選ぶのが大切です。 本記事では、大腿骨頭壊死の代表的な手術法の内容や入院期間・費用について解説します。 手術をしない治療法も紹介しますので、大腿骨頭壊死の手術を検討されている方は、ぜひ最後までご覧ください。 大腿骨頭壊死の手術内容【入院期間・費用あり】 大腿骨頭壊死の代表的な2つの手術内容を解説します。 骨切り術 人工関節置換術 入院期間や費用も紹介しますので、参考にしてみてください。 骨切り術|壊死した部分の骨を取り除く手術 骨切り術は、大腿骨頭壊死に対して行われる関節温存を目的とした手術です。 壊死していない健康な部分を体重がかかる位置に移動させて、ダメージを受けた部位の負担を減らします。 この方法では人工物を使わず、自分の骨を活かすため、関節を残せるのが大きな特徴です。 入院期間は約1〜2カ月かかり、費用は80万円ほどです。 入院期間 約1〜2カ月 入院費用(3割負担) 約80万円 人工関節置換術|骨を削って人工の部品に取りかえる手術 人工関節置換術は、壊死した骨の部分を人工の部品に置き換える手術です。 この手術には2つのタイプがあります。 人工骨頭置換術 ・壊死した骨頭だけを人工パーツに置き換える方法 ・骨盤側(臼蓋)はそのまま残す 人工股関節全置換術 ・壊死した骨頭に加えて、骨盤側の臼蓋部分も人工物に置き換える方法 ・丸い人工のボールと、半球状のカップ(ポリエチレン製)を組み合わせて関節を再構築する 多くの場合、手術の翌週には歩行練習の実施が可能です。 リハビリ期間も比較的短いため、高齢の方にも適しています。 入院期間は約2〜4週間かかり、費用は60〜80万円ほどです。 入院期間 約2〜4週間 入院費用(3割負担) 60〜80万円ほど 大腿骨頭壊死を手術しないで治療する方法 ここでは、大腿骨頭壊死を手術しないで治療する方法を4つ紹介します。 装具療法 物理療法 薬物療法 再生医療 症状が軽く保存療法に適している場合は、手術以外の治療方法も検討してみてください。 装具療法 装具療法は、松葉づえやロフストランドクラッチ(前腕部支持型杖)といった補助具を使い、患部にかかる体重を減らして、歩行の安定を目指す治療法です。 支えがあることで、日常生活の動作にかかる負担を軽減できます。 ただし、骨の変形を防いだり、手術を回避したりするのは期待しにくいとされています。(文献1) 手術を避けたい場合の一時的な対応策としては有効ですが、根本的な改善には限界があると理解しておきましょう。 物理療法 物理療法は、電気刺激や温熱、超音波などを利用して血流の改善を図る方法です。 ただし、大腿骨頭壊死の治療としては、骨の圧壊を防ぐ効果について、十分な科学的根拠(エビデンス)が確認されていません。 実際に行われているのは主に海外であり、現時点では日本で一般的な治療法とはいえず、補助的な位置づけにとどまっています。 薬物療法 薬物療法は、アレンドロネートやゾレドロネートといった「ビスホスホネート系製剤」が用いられます。 これらの薬は、骨がつぶれるのを防いだり、症状の悪化を抑えたりする目的で処方されます。 しかし、近年の調査では明確な効果は認められなかった結果も出ており、確実な治療法とは言い切れないのが現状です。 そのため、薬物療法はあくまで補助的な治療と考えられ、状態に応じて他の治療法と併用が一般的です。 再生医療 大腿骨頭壊死の治療法には再生医療も選択肢として挙げられます。 再生医療は、患者自身の血液から採取した幹細胞を培養・増殖させ、それを壊死した骨の部分に注入する治療法です。 当院では、専用の細胞加工施設と連携し、通常は難しいとされる股関節への幹細胞注入にも対応しています。 ご自身の血液・細胞を使用するので、拒絶反応が起こりにくい点が特徴です。 再生医療について詳しく知りたい方は、メール相談やオンラインカウンセリングで当院へお気軽にお問い合わせください。 関連記事:大腿骨頭壊死を手術しない治療法!放置するリスクや人工関節を避けるために重要なことを解説 大腿骨頭壊死の手術内容を把握して適切な治療を実施しよう 大腿骨頭壊死に対する代表的な手術法には「骨切り術」と「人工股関節置換術」の2つがあります。 それぞれの手術には特徴や適応条件があり、どちらを選ぶかによって治療の流れや生活への影響も変わってきます。 治療効果だけでなく、手術後の生活や職場復帰のタイミングを含めて、総合的に判断していく必要があるでしょう。 なお、手術以外にも、保存療法(薬物療法・装具療法・物理療法)や再生医療などの選択肢もあります。 再生医療の幹細胞を使った治療では、体のさまざまな組織に分化をする幹細胞を損傷した患部に投与します。 再生医療をご検討中の方や治療方法を詳しく知りたい方は、お気軽にお問い合わせください。 大腿骨頭壊死の手術についてよくある質問 大腿骨頭壊死になったらやってはいけないことは? 大腿骨頭壊死を悪化させないためには、股関節にかかる負担を減らす行動が大切です。 以下の動作は進行を早める恐れがある行為です。 激しい運動(ランニング・ジャンプなど) 階段の上り下り 重い物の持ち運び 長時間の立ちっぱなし 深くしゃがむ 前かがみになる さらに、体重の増加やアルコールとタバコも骨の壊死を進行させるリスクがあるため避けるべきです。 大腿骨頭壊死手術をしたらいつぐらいで仕事復帰できますか? 手術後の仕事復帰は、以下の表の通り仕事の種類によって異なります。 職種 手術後の職場復帰までの期間(目安) 事務職 2~4週 立ち仕事(半日) 4~6週 立ち仕事(1日) 6~8週 ドライバー 2~3カ月 激しい肉体労働 3カ月~半年 動きが多い仕事は復帰に時間がかかる傾向があります。 関節を体に慣らすため、急ぎすぎは禁物です。 仕事復帰は必ず医師と相談して判断しましょう。 (文献1) 整形外科と災害外科66「当科における大腿骨頭壊死症に対する大腿骨頭前方回転骨切り術の検討」 https://www.jstage.jst.go.jp/article/nishiseisai/66/4/66_800/_pdf (最終アクセス:2025年5月18日)
2023.10.09 -
- 大腿骨骨頭壊死
- 股関節
- 再生治療
大腿骨頭壊死とは、股関節を構成している大腿骨頭の血流がなんらかの理由で途絶えてしまい、骨が壊死してしまう原因不明の難病です。 主に以下のような初期症状が見られた場合は、要注意です。 骨頭壊死による初期症状は、壊死した骨が潰れることで痛みとして現れるため、痛みを感じた時にはある程度進行している可能性が高いです。 壊死した骨は自然治癒しないため、範囲が今以上に拡大する前に適切な治療を受ける必要があります。 当院リペアセルクリニックでは、手術をせずに大腿骨頭壊死の改善を目指せる再生医療による治療をご提供しています。 壊死した骨の切除や人工関節手術を避けられる治療法として注目されている治療法なので、手術を避けたい方は、ぜひ当院までご相談ください。 ▼再生医療に関するお問い合わせはこちら >>(こちらをクリックして)今すぐ電話してみる 大腿骨頭壊死とは 大腿骨頭壊死とは大腿骨頭の一部が、なんらかの原因で血流が途絶えてしまい、骨組織が壊死してしまう病気です。 大腿骨頭壊死の中でも、脱臼や骨折などで理由が明らかになっていれば「特発性大腿骨頭壊死症」と認められています。 特発性大腿骨頭壊死症に認められると、治療が長期化するだけでなく、働く能力も落ちてしまう症状も出るため、早期発見が推奨されています。 日本でも毎年2,000〜3,000人ほど特発性大腿骨頭壊死症に発症し、中でも30〜50歳の方が起こりやすい病気です。 大腿骨頭壊死の初期症状 大腿骨頭壊死の初期症状は、足の付け根が痛み、股関節の関節可動域が制限される症状が出ます。 それぞれの初期症状について、詳しく解説していきます。 足の付け根が痛む 大腿骨頭壊死の初期症状は、足の付け根が痛みはじめます。 注意点として血流が途絶えて壊死が起きるごく最初の段階では痛みは起こりません。 壊死に陥った部分に負荷が加わり、骨が潰れてくれて、徐々に痛みが出現します。 たとえば、関節に体重を乗せたり動かしたりすると、鋭い痛みを感じるケースがあります。 また、骨頭壊死が起こると痛みが出現するタイミングには時間的に差がある点に注意が必要です。 骨頭壊死はあっても、壊死の範囲が小さい場合などでは痛みを起こさない症例もありえます。 股関節の関節可動域が制限される 大腿骨頭壊死の症状が進行していくと、壊死した部分が潰れて大腿骨頭が変形します。 変形した結果、陥没した部分に関節の不適合や不安定性から軟骨のすり減りが進行してしまいます。 結果として「変形性関節症」を生じ、放置したままだと軟骨がなくなってしまうので注意が必要です。 骨同士がぶつかり、変形性関節症が悪化してしまいます。 変形性関節症が進行すると、痛みだけでなく、股関節の関節可動域が悪くなります。 股関節は曲げ伸ばしだけでなく、内旋、外旋などの動きがあるので、病気が進行すると日常生活で、以下のような困難さを感じるので注意しましょう。 大腿骨頭壊死で困難になる症状 胡座(あぐら) 爪切り 和式トイレ 階段の上り下り 筋力低下による歩行困難 起き上がりなどの起居動作 大腿骨頭壊死は、初期症状である「足の付け根の痛み」がある段階で早めに病院で診察を受けましょう。 「どんな痛みがあるの?」「どこが痛むの?」など、より詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。 大腿骨頭壊死が発症する原因 大腿骨頭壊死が発症する原因は、股関節の脱臼や骨折に続いて発症するケースがあります。 他にも以下のような症例から発症するケースもあるので、該当する病名がある方は注意してください。 糖尿病 鎌状赤血球貧血 腎臓病 アルコール依存症 痛風 ステロイド投与による副作用や喫煙が関連する可能性もあるため、強い衝撃による損傷のような痛みから発症するわけではありません。 なお、ステロイド投与やアルコールに関しては、国際的な基準が設けられています。 詳しくは以下の記事でまとめているので、あわせてご覧ください。 大腿骨頭壊死になったらやってはいけないこと 大腿骨頭壊死が発症した場合、大腿骨頭を圧迫させないのが重要です。 股関節に体重がかからないよう、杖を使ったり長距離の歩行を控えたりするのが大切です。 大腿骨頭壊死になったらやってはいけないことを以下にまとめたので、症状を患っている方はチェックしてみてください。 【大腿骨頭壊死になったらやってはいけないこと】 激しい運動 階段の昇り降り 重量物の運搬 長時間の立ち仕事 体重の増加 しゃがみこみ 前屈動作 飲酒 喫煙 とくに飲酒と喫煙は、壊死した骨を弱らせてしまうため、大腿骨頭壊死の進行度を早める原因になってしまいます。 大腿骨頭壊死になったら、股関節への負荷と飲酒・喫煙を控えるのが大切です。 以下の記事では、より詳しく「大腿骨頭壊死になったらやってはいけないこと」をまとめているので、ぜひご一読ください。 大腿骨頭壊死の診断方法 大腿骨頭壊死における画像検査にはレントゲンとMRI検査が有効です。 それぞれの特徴について解説していきます。 レントゲン撮影 大腿骨頭壊死でレントゲン撮影をするのは一般的な診断手法です。 大腿骨頭壊死の評価にも使用される診断方法です。 レントゲンは骨の形状や変化を評価でき、簡便なので最初の検査として行われるケースが多い傾向にあります。 しかし、大腿骨頭壊死の初期の段階ではレントゲンだけでは診断が難しいケースもあるため、医師と相談の上決めていきましょう。 MRI検査 MRI検査は大腿骨頭壊死の診断に役立ちます。 壊死の範囲を評価するだけではなく、骨折や関節炎など別の病気も診断可能になるからです。 大腿骨頭壊死の診断は、早期発見が重要になるものの、レントゲン撮影では変化が見られないケースもあるため、MRI検査が無難でしょう。 手術が必要な場合では、CT検査も必要になります。 なお、レントゲン撮影でも大腿骨頭壊死と判断つくケースもあるため、症状の進行度とともに医師と相談して判断していきましょう。 当院ではメール相談やオンラインカウンセリングも実施しているので、気になる症状がある方は気軽にご連絡ください。 大腿骨頭壊死の治療法 大腿骨頭壊死の治療法は年齢や本人の状態、病気の範囲、部位など総合的に判断して決定されます。 ここからは大腿骨頭壊死の治療法や入院期間について解説していきます。 保存療法 軽度の大腿骨頭壊死では、痛みを緩和するために安静や杖による免荷、身体活動の制限、重量物の運搬禁止などを行います。 初期症状の範囲では、関節症変化へと進まず可動域の制限も比較的保たれるため、生活指導が主な治療法です。 痛みに対しては消炎鎮痛薬の内服や湿布などを行います。 しかし、保存療法で病気の進行は防げません。 進行が考えられる状態や、進行しつつある状態のときには変形が進む前に手術を受ける方が改善する可能性は高くなります。 手術療法 手術は大きく骨を切って関節を温存する骨切り術と、壊死した骨を切除して金属に置き換える人工関節置換術に分けられます。 骨を切る手術では壊死した部分に体重がかからないように大体骨頭を弯曲させたり、回転させる手術が行われます。 骨を切った後は専用の金属で固定をするため、一定期間の安静が必要ですが、病気が進行する可能性はゼロではありません。 人工関節手術では大腿骨頭だけを置き換える人工骨頭置換術、骨盤側にも金属をいれる人工股関節全置換術があります。 基本的には手術翌日から歩行訓練が可能で、リハビリが早いメリットがありますが、人工関節のためスポーツは制限が必要であり、将来的な再手術の可能性もあります。 入院期間 大腿骨頭壊死で手術をした場合、以下の期間入院する必要があります。 手術法 入院期間 骨切り術 1〜2カ月 人工関節 2週間〜1カ月 大腿骨頭壊死は、骨への栄養補給する血流が途絶えて発症する病気ですが、詳しい原因は未だ不明です。 医療が進歩し、原因が判明すれば入院期間も変動する可能性もあるでしょう。 再生医療なら手術をせずに効果が期待できる! 大腿骨頭壊死は、骨切り術や人工関節手術など手術を避けたい方は、先端医療である「再生医療」も選択肢の一つです。 再生医療とは、人間の持つ再生力を活用し、損傷した骨組織の再生・修復を目指す医療技術です。 当院リペアセルクリニックでも、手術をせずに大腿骨頭壊死の改善を目指せる再生医療をご提供しています。 また、当院では患者さまから採取した細胞や血液のみを使用するため、アレルギー反応や拒絶反応のリスクが少ない治療を実施しています。 「手術を避けたい」という方は、ぜひ当院の再生医療をご検討ください。 ▼再生医療に関するお問い合わせはこちら >>(こちらをクリックして)今すぐ電話してみる まとめ・大腿骨頭壊死は早期の発見と治療が大切! 大腿骨頭壊死症は骨を栄養している血流が途絶えて発症する、現時点でも原因が不明の難病です。 初期症状は足の付け根の痛みであり、病気が進行すると人工関節手術を受けられなくなってしまうかもしれません。 当院の再生治療は幹細胞を股関節内に投与し、軟骨の修復が可能な治療法です。 痛みでお困りの際にはいつでも気軽にご相談ください。
2023.10.05 -
- 大腿骨骨頭壊死
- 肩関節、その他疾患
- ひざ関節
- 股関節
- 膝部、その他疾患
「大腿骨頭壊死にはどんなステージ分類がある?」 股関節周辺に痛みを抱えている方の中には、上記のような疑問を抱えている方も多いのではないでしょうか。 結論、大腿骨頭壊死のステージ分類は、以下の通りです。 ステージ 目安となる状態 ステージ1 レントゲンで異常がなく、MRI検査などで壊死がわかる状態 ステージ2 レントゲンで異常があるものの、骨頭が潰れていない状態 ステージ3 骨頭が潰れているものの、関節軟骨があり関節の隙間が残っている状態 ステージ4 軟骨がすり減り、変形性股関節症となっている状態 大腿骨頭壊死のステージ分類の特徴は、大腿骨頭の壊死部分が進行し、軟骨がすり減っていくことです。 ステージ4になると関節同士の隙間がなくなってしまい、激しい痛みを伴います。 本記事では、壊死してしまった骨の根本治療にも期待できる再生医療の選択肢も紹介しているため、ぜひ参考にしてください。 \骨壊死の改善が期待できる再生医療とは/ 再生医療は、壊死・損傷した骨に対してアプローチできる治療法で、手術せずに大腿骨頭壊死の改善が期待できます。 以下の動画では、骨壊死に対する再生医療の治療について詳細を解説しています。 https://www.youtube.com/watch?v=ic_6QaEU5NU 【こんな方は再生医療をご検討ください】 進行している大腿骨頭壊死でも手術せずに治したい 大腿骨頭壊死による痛みを早く治したい 現在受けている治療やリハビリで期待した効果が得られていない 再生医療は、早く治療を受けるほど治療成績が良いですが、進行している大腿骨頭壊死も治療できるケースがあります。 具体的な治療法については、当院(リペアセルクリニック)で無料カウンセリングを行っておりますので、ぜひご相談ください。 ▼まずは骨壊死の治療について無料相談! >>(こちらをクリックして)今すぐ電話してみる 大腿骨頭壊死とは「骨頭壊死症」の一種 大腿骨頭壊死とは「骨頭壊死症」の一種です。 骨頭壊死症とは、骨に栄養を届けている血管が障害されて血液が供給されなくなり、骨の一部分が壊死する病気です。 ただし、原因は血液供給がなくなるだけでなく、以下のような原因も発症に関係していると考えられています。 怪我などの外傷による血管の障害 アルコール摂取 ステロイド使用者 また、骨壊死は全身のあらゆる骨に起こり得ます。 代表的な部位は、股関節の大腿骨頭に起きる「大腿骨頭壊死」、肩関節の上腕骨に起こる「上腕骨頭壊死」、「膝関節骨壊死」などがあります。 股関節と肩関節は、大腿骨頭・上腕骨頭と呼ばれる部位があるため、「骨頭壊死」と病名が付くのが特徴です。 一方で、膝関節は骨頭と呼ばれる部位がないため「骨壊死」が病名となります。 大腿骨頭壊死のステージ分類と原因 大腿骨頭壊死は、1〜4のステージに分類されます。ステージによって、進行度合いが異なり、ステージが上がる度に症状も顕著になっていくのが特徴です。 ここからは、大腿骨頭壊死のステージ分類と原因を詳しく解説していきます。 大腿骨頭壊死から進行・変形性股関節症へのステージの分類 大腿骨頭壊死のステージ分類は、以下の通りです。 ステージ 目安となる状態 ステージ1 レントゲンで異常がなく、MRI検査などで壊死がわかる状態 ステージ2 レントゲンで異常があるものの、骨頭が潰れていない状態 ステージ3 骨頭が潰れているものの、関節軟骨があり関節の隙間が残っている状態 ステージ4 軟骨がすり減り、変形性股関節症となっている状態 大腿骨頭壊死のステージ分類の特徴は、大腿骨頭の壊死部分が進行し、軟骨がすり減ると「変形性股関節症」を発症する可能性がある点です。 ステージ3までは関節軟骨があり、関節同士に隙間があるものの、さらに進行すると、関節同士の隙間がなくなってしまいます。 大腿骨頭壊死や症状が変形性股関節症まで進行した場合、従来の治療では根治が難しいため、ぜひ再生医療による治療をご検討ください。 \こんな方は再生医療をご検討ください/ 進行した大腿骨頭壊死の根治を目指したい 大腿骨頭壊死や変形性股関節症を早く治したい 現在受けている治療やリハビリで期待した効果が得られていない 具体的な治療法については、当院(リペアセルクリニック)で無料カウンセリングを行っておりますので、ぜひご相談ください。 ▼まずは骨壊死の治療について無料相談! >>今すぐ電話してみる 大腿骨頭壊死の重症度分類 原因不明である「特発性骨頭壊死」は、壊死の範囲によって重症度分類がありType A〜Cに分けられます。 重症になるほど、壊死範囲が大きくなり、大腿骨頭が潰れるリスクは高くなるのが特徴です。大腿骨頭壊死の重症度分類は以下のとおりです。 Type A:壊死範囲が体重のかかる領域の1/3未満 Type B:壊死範囲が体重のかかる領域の1/3〜2/3 Type C:壊死範囲が体重のかかる領域の2/3以上 Type C-1:壊死の範囲が骨盤の縁の「内側」にあるもの Type C-2:壊死の範囲が骨盤の縁の「外側」にあるもの Type Aが軽症でCになるとより重症となります。さらにTypeCは、より重症なC-1とC-2に分けられるのが特徴です。 大腿骨頭壊死の原因 大腿骨頭壊死の原因は、主に以下があげられます。 股関節を構成している大腿骨頭に流れている血管の障害 骨折や脱臼などの外傷 放射線治療 潜函病 股関節を形成している大腿骨頭に血液が供給されなくなると、大腿骨頭壊死を発症するケースが多い傾向にあります。 しかし、なかには、原因不明で突発的に大腿骨頭壊死を発症する可能性もあります。 上腕骨頭壊死のステージ分類と原因 上腕骨頭壊死とは、上腕部分にある「上腕骨頭」と呼ばれる部位が壊死してしまう病気です。大腿骨頭壊死のように、他の病気に進行するケースはありません。 ここからは、上腕骨頭壊死のステージ分類と原因を詳しく見ていきましょう。 上腕骨頭壊死の進行・ステージ分類 上腕骨頭壊死のステージ分類は、以下のとおりです。 ステージ1:レントゲンで異常がなく、CTやMRI検査で壊死がわかる状態 ステージ2:骨透亮像や骨硬化像、限局性の骨溶解像がみられる状態 ステージ3:軟骨下骨に骨折線を認める状態 ステージ4:上腕骨頭に加えて、肩甲骨の関節窩にも骨の変化を生じている状態 ステージが上がり末期になると、薬物療法や保存療法では治せない可能性が高まります。 末期ステージになると、骨切り術や人工関節を挿入する手術療法が行われるケースもあります。 ただし、治療方法はステージ分類だけでなく、症状や年齢などさまざまな要因によって決まるため、一概に治療方法は断言できません。 上腕骨頭壊死の原因 上腕骨頭壊死の原因は、主に以下があげられます。 肩関節を構成している上腕骨頭に流れている血管の障害 骨折や脱臼などの外傷 ステロイドの使用 アルコール 鎌状赤血球症・関節リウマチ・全身性エリテマトーデスなどの全身性疾患 骨折や脱臼などの原因は外傷性と呼ばれています。一方でステロイド使用や全身性疾患などは、非外傷性に分類されるのが特徴です。 膝関節骨壊死のステージ分類と原因 膝関節骨壊死は、名前の通り膝関節の骨が壊死してしまう病気です。 膝関節と呼ばれているものの、太ももの内側に壊死が起こる症例が多いため「大腿骨内顆骨壊死」と呼ばれるケースもあります。 また膝関節骨壊死は、60歳以上の女性に多く見られるのが特徴です。 ここからは、膝関節骨壊死のステージ分類と原因を紹介します。 膝関節骨壊死の進行|ステージ分類 膝関節骨壊死のステージ分類は、以下のとおりです。 ステージ1:レントゲンで異常がみられない状態 ステージ2:レントゲンで骨内に壊死領域がみられる状態 ステージ3:レントゲンで軟骨の下に骨折線があり、関節面が凹んでいる状態 ステージ4:関節の隙間が狭くなってしまっている状態 ステージが進むと、膝関節骨同士の隙間が狭くなるのが特徴です。膝関節同士が狭くなる病気として、膝関節骨壊死の他に、変形性膝関節症があげられます。 両病気とも、初期ステージの症状だけで判別するのは難しい傾向にあります。 レントゲン検査で、膝関節骨壊死か変形性膝関節症かを判別できるため、膝に痛みを抱いている方は、速やかに医療機関を受診するのがおすすめです。 膝関節骨壊死の原因 膝関節骨壊死の原因は、主に以下があげられます。 肩関節を構成している上腕骨頭に流れている血管の障害 軽微な骨折 肥満ステロイド薬の使用 大腿骨頭壊死や上腕骨頭壊死と同様に、明確な原因は判明していませんが、上記のような要因によって膝関節骨壊死が起こると考えられています。 肥満体型によって、膝関節に負担がかかるのも、膝関節骨壊死を発症させるリスクがあります。 肥満は、変形性膝関節症のリスクも高めるため、食事管理や運動習慣を身に着け、減量を目指しましょう。 大腿骨頭壊死のステージ分類の診断方法 大腿骨頭壊死のステージ分類の診断は、主にレントゲン検査やMRI検査で行われます。 基本的レントゲン検査だけで大腿骨頭壊死の患部は確認できますが、早期の骨壊死を確認するには、MRI検査が必要になります。 レントゲン検査やMRI検査では、骨が潰れていたり、壊死が進行していたりするかを確認可能です。変形性股関節症や変形性膝関節症の判断もできます。 また、血液凝固疾患をはじめとした基礎疾患を確認するために、血液検査を行うケースもあります。 大腿骨頭壊死の予防方法 大腿骨頭壊死の予防方法は、以下があげられます。 ステロイド薬の使用に注意する 過度な飲酒や喫煙は控える 股関節への負担を軽減する ステロイド薬を長期的に使用していると、大腿骨頭壊死のリスクが高まると考えられています。 ステロイド薬を使用する際は、自己判断で使用したり、量を調整したりするのは控えましょう。 他にも飲酒や喫煙も大腿骨頭壊死の発症にかかわっているとされているため、できるだけ避けてください。 また、肥満体型の方は、股関節への負担を軽減するため、体重減量を目指しましょう。 長時間の立ち仕事や、重い荷物を持つ仕事も、股関節の負担となるため、注意が必要です。 大腿骨頭壊死(骨壊死)治療法・保存療法 大腿骨頭壊死の治療は、保存療法や手術療法があげられます。 治療方法は、進行ステージやライフスタイル、年齢などを考慮して決められます。 ここからは、大腿骨頭壊死の治療法を4つ見ていきましょう。 保存療法 保存療法とは、リハビリテーションや薬物療法が代表的です。リハビリテーションでは、股関節にかかる負荷を抑えるため、体重管理が行われるケースもあります。 股関節の可動域を維持し、筋力を強化するために、ストレッチや筋力トレーニングも行われます。リハビリテーションの期間は一般的に、医療保険で対応できる150日が目安です。 なお、保存療法は、あくまでも症状を和らげる手段であり、骨壊死を治癒させるのは不可能である点に留意しておきましょう。 骨切り術 骨切り術は、大腿骨頭の壊死した部分へかかる負荷を抑えるため、骨の一部を切って角度を変える手術を指します。 病気の進行を遅らせ、股関節の機能を温存するのが目的であり、比較的若い方や病気の進行が初期から中期の方に適用されます。 ただし、骨切り術は難しい手術方法であり、医師の高いスキルや医療機関の充実した設備が必要です。 術後は、最長6カ月間松葉杖を使用したり、長期間リハビリテーションをしたりしなくてはならない点に留意しておきましょう。 人工関節 人工関節置換術は、壊死した大腿骨頭を人工関節に置き換える手術です。骨壊死により関節の多くが潰れてしまっているケースに適用されます。 人工関節置換術は、痛みを大幅に軽減し、股関節の機能の改善を期待できます。 リハビリテーションは必要ですが、入院期間は10日ほどと短いのが特徴です。ただし耐用年数の問題で、若い方に行うのは避けるべきとされている点に留意が必要です。 人工関節は脱臼リスクもあるため、メリットだけでなくリスクも理解して検討しましょう。 再生医療 大腿骨頭壊死を手術せずに根治を目指したい方は、再生医療も選択肢の一つです。 再生医療は、患者さま自身の細胞を採取・培養し、患部に投与することで損傷した組織の再生・修復を促す医療技術です。 患者さま自身の幹細胞や血液を用いるため、拒絶反応やアレルギー反応などの副作用リスクが少ないのが特徴です。 \こんな方は再生医療をご検討ください/ 大腿骨頭壊死でも手術せずに治したい 副作用リスクの少ない治療で根治を目指したい 現在受けている治療で期待した効果が得られていない 再生医療は、早く治療を受けるほど治療成績が良いですが、進行している大腿骨頭壊死も治療できるケースがあります。 当院(リペアセルクリニック)では、患者さま一人ひとりの症状やお悩みに合わせてご案内しておりますので、ぜひ無料カウンセリングにてご相談ください。 ▼まずは骨壊死の治療について無料相談! >>今すぐ電話してみる 大腿骨頭壊死でお悩みの方は、再生医療を視野に入れてみてはいかがでしょうか。 まとめ|大腿骨頭壊死のステージ分類とは?治療方法やよくある質問も紹介 大腿骨頭壊死では、1〜4のステージに分類され、それぞれ以下のような状態が目安となります。 ステージ 目安となる状態 ステージ1 レントゲンで異常がなく、MRI検査などで壊死がわかる状態 ステージ2 レントゲンで異常があるものの、骨頭が潰れていない状態 ステージ3 骨頭が潰れているものの、関節軟骨があり関節の隙間が残っている状態 ステージ4 軟骨がすり減り、変形性股関節症となっている状態 ステージが上がると関節軟骨がすり減ってしまう「変形性股関節症」や「変形性膝関節症」につながるため、早期治療が重要です。 悪化を防ぐためにも、痛みや違和感を抱いている方は、早めに医療機関を受診しましょう。 近年の治療では、従来の保存療法や手術療法に加え、患者様の細胞を用いて手術をせずに根治を目指す再生医療も選択肢の一つです。 \こんな方は再生医療をご検討ください/ 進行している大腿骨頭壊死でも手術せずに治したい 大腿骨頭壊死による痛みを早く治したい 現在受けている治療やリハビリで期待した効果が得られていない 再生医療は、早く治療を受けるほど治療成績が良いですが、進行している大腿骨頭壊死も治療できるケースがあります。 具体的な治療法については、患者様一人ひとりの症状やお悩みに合わせてご案内しておりますので、当院(リペアセルクリニック)の無料カウンセリングにて、ぜひご相談ください。 ▼まずは骨壊死の治療について無料相談! >>今すぐ電話してみる 大腿骨頭壊死に関するよくある質問 骨壊死にならないか心配ですが、気を付けることはありますか。 現代医学でも骨壊死の正確な原因はわかっていません。危険因子としてわかっているのは外傷、ステロイドの使用、アルコール多飲です。 ステロイドは、関節リウマチや全身性エリテマトーデスなど全身性疾患の治療に必要なため、飲まないことはおすすめしませんが、外傷やアルコールはご自分で気を付けられます。無理な運動は行わず、規則正しい生活習慣を送るのが予防に必要と言えるでしょう。 レントゲンで問題ないと言われましたが、大丈夫でしょうか。 骨壊死は初期の段階ではレントゲンで異常がわからないケースがほとんどです。壊死した領域がレントゲンでわかるまでは時間がかかりますが、MRI検査では早期に病気を見つけられます。 痛みが強く心配な場合は、MRI検査や精密検査について担当の医師と相談するのがおすすめです。 大腿骨頭壊死と診断されたらスポーツはできませんか? 大腿骨頭壊死を発症後、スポーツができるかは、進行度合いによって異なります。 壊死の範囲が小さく、悪化リスクが低ければ、問題なくスポーツができるケースもあります。 しかし、壊死の範囲が広いと、股関節にかかる負担が大きくなるため、スポーツが制限される可能性がある点に注意が必要です。 体への負荷が少ないスポーツは許可されやすいですが、ジャンプをしたり、走ったりするスポーツは制限されやすい傾向にあります。 大腿骨頭壊死は医療費補助の対象になりますか? 明らかな原因がない「特発性大腿骨頭壊死」は、医療費補助の対象となります。特発性大腿骨頭壊死は、指定難病に分類されているためです。 特発性大腿骨頭壊死と診断された場合は、医療機関に医療費補助の手続き方法を相談しましょう。
2023.10.02 -
- 頭部
- 頭部、その他疾患
子どもや若い人も発症する可能性がある、もやもや病に不安を抱えている方は多いのではないでしょうか。 もやもや病は、脳内の動脈が徐々に細くなったり詰まったりした結果、不足した脳内の血液を補うために、もやもやとした血管が作られる状態を指します。脳出血や脳梗塞のリスクがあるので早期の発見と適切な治療を受けるのが重要です。 この記事では、もやもや病の原因や症状、治療法を解説します。 もやもや病の理解を深めるのにお役立てください。 もやもや病とは指定難病の一つ もやもや病(ウィリス動脈輪閉塞症)は、脳の血管が細くなり血流が不足して、手足の麻痺やけいれんなどを引き起こす疾患です。ウィリス動脈輪とは六角形のような形をしている脳内の動脈の一部で、脳に血液を循環させるのが主な役割です。 不足した脳の血流を補うために、もやもやとした細い血管が発達するので「もやもや病」と呼ばれています。もやもや病は、以下の内容をどちらも満たしているので、指定難病として厚生労働省に定められています。(文献1) 患者数が一定の人数より少ない 病気の診断基準が確立している もやもや病の患者数は、人口10万人につき6から10人程度いるとされていて、稀な病気であるといえます。(文献2) もやもや病の症状や治療の状況によって医療費の助成を受けられる場合があります。助成には申請が必要なので、お住まいの都道府県の窓口に問い合わせてみましょう。 【参考】 都道府県・指定都市担当窓口 – 難病情報センター もやもや病の原因 もやもや病は、脳内の太い血管(内頚動脈)が細くなることで発症する疾患です。 その発症メカニズムは完全に解明されていませんが、病気の進行過程は以下のような段階で進みます。 脳内の太い血管である内頚動脈が少しずつ細くなる 脳内の酸素や栄養が不足する 足りない血液を補うために、もやもやとした細い血管が作られる 内頚動脈が細くなると、血液不足を補うため新たに細い血管が多数作られます。これらの細い血管に多量の血液が通るため、脳出血や脳梗塞のリスクが高まります。 もやもや病になりやすい人 もやもや病になりやすい方には、以下のような傾向があります。(文献3) 日本人 ご家族でもやもや病を発症した 女性 5~10歳 30~40歳 もやもや病は、特定の遺伝子をもつ方に発症しやすいことがわかっており、家族内で発症する方が10~20%程度見られるという研究結果があります。そのため、親や兄弟姉妹などがもやもや病を発症した方で、もやもや病の症状がみられる方には、脳神経外科での検査をおすすめします。 もやもや病と遺伝の関係について以下の記事でまとめていますので、詳しく知りたい方はご覧ください。 もやもや病の症状 もやもや病では、主に以下の二つのメカニズムによって症状が現れます。 血流不足が原因の場合 脳の出血が原因の場合 本章で説明するこれらの症状に当てはまる方は、脳出血や脳梗塞などの重大な病気を発症する前に医療機関を受診をしましょう。 血流不足による症状 もやもや病によって脳の血流が不足した場合の症状は、以下の通りです。 頭痛 手足のしびれ 言葉が話せない 手足の麻痺 ろれつが回らない けいれん 脳内の血流が不足すると、頭痛や手足のしびれ、ろれつが回らないなどの症状が一時的にみられます。 多くは数分~数十分程度で症状が改善されますが、まれに脳梗塞を引き起こす場合があります。脳梗塞とは、脳内の血流が不足することで、脳細胞が壊死する疾患です。症状が回復しても、もやもや病を発症している可能性があるので医療機関への受診を検討しましょう。 また、子どものもやもや病は脳の血流不足によるものがほとんどです。楽器の演奏や息が切れる運動がきっかけで症状が出る場合があります。子どものもやもや病について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。 脳出血による症状 もやもや病によって脳内に出血が起きた場合の症状は、以下の通りです。 激しい頭痛 手足の麻痺 ろれつが回らない 言葉が出ない 意識がなくなる 自分の意に反して手や足が動く けいれん 注意力や記憶力の低下(高次脳機能障害) 脳内の血流不足を補うため、もやもやとした細い血管に多くの血液が送り込まれると、血管が耐え切れずに破れる場合があります。出血型の症状は、40代前後に多くみられる点も特徴です。 出血する部位や量によりますが、激しい頭痛や言葉が出なくなる言語障害、意識がなくなる意識障害などを引き起こし命に関わる状況につながりかねません。 また、出血型の症状の後遺症には麻痺や手足のしびれ、高次脳機能障害などが挙げられます。高次脳機能障害とは、脳の機能が低下して物忘れの増加や注意力の低下、感情のコントロールが難しくなるなど「性格が変わった」と感じるような症状が現れます。 もやもや病の後遺症は日常生活に大きな影響を与える恐れがあるため、早急に医療機関を受診しましょう。 もやもや病の検査 もやもや病の主な検査の内容は以下の通りです。 CT・MRI・MRA:詰まっている血管やもやもや血管、脳出血の有無を調べる 脳血管造影検査:血管の状態を調べる 脳血流検査(SPECT(スペクト)検査):どれくらい血流が低下しているか調べる もやもや病の検査は脳神経外科で行われるのが一般的で、CTやMRIでもやもや血管の有無や詰まっている血管がないかなどを確認します。 血管の状態をMRIよりも詳しく調べるには、脳血管造影検査が有効です。脳血管造影検査は、足の付け根の血管から、カテーテルと呼ばれる長い管を入れ、血管内に造影剤を入れてレントゲン撮影する検査です。 また、脳の血流を調べるには、放射性同位体と呼ばれる薬剤を投与して、放射線を画像化できるカメラで撮影します。検査に使用する放射性同位体は人体に影響を及ぼす量ではありません。 もやもや病の治療法 もやもや病の治療法は、薬物療法と外科手術の2つに分けられます。 症状によって治療法が異なるので、受診の際の参考にしてください。 薬物療法 薬物による主なもやもや病の治療法は、以下の通りです。 抗血小板薬:血液を固まりにくくして血流不足を防ぐ 血圧や脳圧を下げる薬:脳出血を防ぐ もやもや病の薬物治療では、血液をサラサラにする薬や血圧を下げる薬などで脳梗塞や脳出血の予防を目指します。しかし、現在もやもや病の原因である細くなった内頚動脈を根本的に治療する薬はありません。そのため、無症状の方や初期症状の方に用いられます。 手術 脳内の血流が少ない場合や、もやもや血管の負担が大きい場合は手術が検討されます。 主なもやもや病の手術は、以下の2種類です。 直接血行再建術:血流が不足している血管と、頭皮に栄養を送る血管をつなぎ脳の血流を増加させる 間接血行再建術:脳を包む膜に、こめかみ付近の動脈と周囲の組織を縫い合わせて、新たな血管の再建を目指す 直接血行再建術は、手術後からすぐに血流が改善されますが、間接血行再建術では、新たに血管が再建するまで数週間から数カ月かかる場合があります。また、間接血行再建術は子どもに対して効果が期待できる傾向にあるので、成人には行わない病院もあります。 もやもや病の原因である細くなった動脈を治療する手術はできないとされています。手術後に血流が改善しても、もやもや病が再発する可能性があるので定期的に検査を受けましょう。 まとめ|もやもや病の疑いがある方は医療機関を受診しよう もやもや病は、脳の血管が細くなり血流が不足して、手足の麻痺やけいれんなどを引き起こす疾患で、指定難病として厚生労働省に定められています。もやもや病が発症しやすい方は、子どもや30〜40代の若い世代に多いのが特徴です。 もやもや病によって脳内の血液が不足したり、もやもや血管の負担が大きくなり損傷したりすると、麻痺や手足のしびれ、うまく話せなくなるなどの後遺症が現れるリスクが高まります。 病状が進行すると、重篤な後遺症のリスクが高まるため、早期の医療機関受診が重要です。 以下の記事では、もやもや病の初期症状を解説しています。あわせてご覧ください。 もやもや病に関してよくある質問 もやもや病の予後や寿命への影響は? もやもや病を放置すると脳梗塞や脳出血のリスクが高まり、重い後遺症や命に関わる状況につながりかねません。 適切な治療と定期的な検査を受けると、リスクを回避できる可能性が高まります。手術後の入院期間はおよそ2~3週間、社会復帰までの期間はは2~3カ月ほどが目安です。 また、健康寿命を延ばすには、禁煙や激しい運動を避けるなど生活習慣の改善も重要です。 以下の記事では、もやもや病の予後や寿命についてまとめているので、参考にしてください。 もやもや病で性格は変化しますか? もやもや病は、性格の変化を伴う高次脳機能障害を引き起こす可能性があります。高次脳機能障害は、脳機能の低下によって日常生活に支障をきたす認知機能の障害です。 高次脳機能障害による性格の変化と考えられるポイントは、以下の通りです。 感情の起伏が激しくなる 物忘れが増える 集中力が低下する 判断力が低下する 段取りが悪くなる 高次脳機能障害の診断は、もやもや病の症状が安定してからMRIやCTでの検査や、日常生活の状況評価などから総合的に行います。もやもや病になってから、感情の起伏が激しくなったり物忘れが増えたりするなどの症状にお悩みの方は、医療機関に相談してみましょう。 もやもや病は人間ドックで調べられますか? 一般的な人間ドックでは、もやもや病が調べられる検査項目が無かったり、オプションとして追加したりする必要があります。 もやもや病を調べられる主な検査は、以下の通りです。 MRI:体内の断面を画像化する MRA:脳の血管を立体画像として書き出す 脳ドックでは、MRIやMRAによる検査ができる場合があります。 参考文献 (文献1) 厚生労働省「指定難病の要件について」 https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10601000-Daijinkanboukouseikagakuka-Kouseikagakuka/0000184562.pdf(最終アクセス:2025年5月9日) (文献2) 難病情報センター「もやもや病(指定難病22)」 https://www.nanbyou.or.jp/entry/47(最終アクセス:2025年5月9日) (文献3) 厚生労働省「22 もやもや病」 https://www.mhlw.go.jp/content/10905000/001173459.pdf001173459.pdf(最終アクセス:2025年5月9日)
2023.09.28 -
- 頭部
- 頭部、その他疾患
子どもがもやもや病と診断されて、困っている方もいるのではないでしょうか。 もやもや病は、脳の重要な血管である内頸動脈が細くなり、代わりに細い血管が多くなる病気です。大人と子どもでは、もやもや病の症状の出方やタイプ、そして注意点が異なります。 子どものもやもや病の症状や治療法などを知っておくと、今後病気に向き合っていく際に役に立ちます。本記事では、もやもや病の大人と子どもの違いや注意すべきポイントについて徹底解説していきましょう。 もやもや病の症状|子どもと大人の違い もやもや病は、脳の血管に生じる病気で、脳でも重要な血管である「内頸動脈」の終末部が徐々に細くなっていくのが特徴です。 脳に酸素や栄養を供給する脳血管は、血管が細くなるほど脳への血流が不足します。足りなくなった血流を補うため、内頚動脈の周囲に細い血管が網のように出現します。細い血管を脳血管撮影で映し出した際、煙のようにもやもやして見える点が、「もやもや病」の名前の由来です。 もやもや病の症状は大きく分けると、脳の血流不足である脳虚血と、発達した細い血管がちぎれて発生する脳出血が挙げられます。加えて、一時的な頭痛や言語障害などの症状が出るのも特徴です。 さらに子どもと大人とでは、症状の現れ方や注意点が異なります。 子どもの症状 子どものもやもや病は、小児もやもや病と呼ばれます。脳虚血症状がほとんどで脳出血はめったに例が見られません。 脳虚血症状では、手足の力が入らなかったりしびれたりするほか、言葉がうまく出ないなどの症状が急に起こります。 また、子どものもやもや病では、過呼吸(かこきゅう)によって脳虚血発作が誘発されやすい点も特徴的です。過呼吸は血中の二酸化炭素濃度を下げ、それにより脳血管が収縮して脳虚血発作が誘発されやすくなります。日常生活では、激しい運動や興奮状態など、呼吸が速くなる状況で注意が必要です。 一過性脳虚血発作は通常、数分から数時間で自然に回復します。ただし、これらの発作が繰り返されると脳梗塞につながる可能性があるため、軽視すべきではありません。 特に小さな子どもほど病気の進行が早い傾向があり、脳梗塞を発症するリスクが高いため、注意が必要です。 大人の症状 一方で大人のもやもや病では、脳の血流不足を補うために発達した細い血管が破れて起きる脳出血が多く見られます。 脳出血は、もやもや病による死亡や後遺症の最大の原因とされている症状です。後遺症が残った場合、脳機能の低下による高次脳機能障害や、運動障害によるマヒなどが発生するケースがあります。 また、成人のもやもや病では慢性的な頭痛を訴える患者様も多く、これも重要な症状の一つです。 もやもや病の検査 もやもや病かどうかを検査する方法は、MRI(磁気共鳴画像診断)・MRA(磁気共鳴血管造影)と脳血管造影検査(カテーテル検査)、脳血流検査の3つが代表的です。 MRI(磁気共鳴画像診断)・MRA(磁気共鳴血管造影) MRIでは脳の断層画像を撮影し、脳梗塞や出血などの病変を確認します。 MRAでは脳血管の形態を非侵襲的に評価でき、内頚動脈終末部の狭窄や閉塞、もやもや血管の発達状況を確認できます。放射線被曝がなく、造影剤なしでも検査可能なため、小児や定期的な経過観察に適しています。 脳血管造影検査(カテーテル検査) もやもや病の診断において重要な検査のひとつです。 足の付け根や手首から細いカテーテルを挿入し、造影剤を注入して脳血管を詳細に撮影します。 侵襲性(体への負担)があり、まれですが合併症のリスクがあるため、必要性を十分検討して実施されます。 脳血流検査 脳血流検査は、脳のどの部分にどれくらい血液が流れているかを調べる検査です。 特殊なカメラで撮影し、普通の状態と薬で血管を広げた状態の両方を調べることがあります。 この検査により、血管が血流を増やす能力を評価できます。この能力が弱い部分は将来脳梗塞のリスクが高まるため、手術が必要かどうかを判断する重要な材料になります。 症状が少ない方や手術効果の確認にも役立ちます。 小児での検査の注意点 小児では検査の協力が得られにくいため、年齢に応じた対応が必要です。 MRIやMRAでは、小さな子どもの場合、鎮静や全身麻酔を要することがあります。また、放射線被曝や造影剤使用についても配慮が必要です。 検査時の負担を最小限にするために、複数の検査をまとめて行ったり、年齢に応じた説明や準備を行うことが重要です。 もやもや病の治療 もやもや病の治療の目的は、脳梗塞や脳出血の防止です。 もやもや病を治療する方法に、薬による治療と、脳血流量を増やすためのバイパス手術があります。 薬による治療 薬による治療では、血液をサラサラにする抗血小板薬が用いられます。抗血小板薬は、血液が固まるのを防ぐとともに、血液の流れを円滑にする効果があるのが特徴です。 投薬により、一過性虚血発作を予防できます。ただし、効果が限定的であるため、次に紹介するバイパス手術が用いられるケースもあります。 バイパス手術 バイパス手術は、虚血型もやもや病の治療で、脳梗塞を予防する効果が認められています。 バイパス手術は、頭皮の血管を脳血管に直接つなぎ合わせる「直接バイパス術」と、頭皮の血管を周りの組織とともに脳の表面に接触させて、新たな血管の生成を促す「間接バイパス術」が主な方法です。加えて、両者の手法を組み合わせる「複合血行再建術」も用いられます。 大人の手術では直接バイパス術と複合血行再建術が、子どもの手術では間接バイパス術と複合血行再建術が行われます。 バイパス手術では、一過性脳虚血発作(TIA)や脳梗塞リスクなどの改善効果が報告されているのが現状です。(文献1) 小児もやもや病の注意点 子どもが小児もやもや病になった場合、脳虚血症状がたびたび見られるときは、激しい運動や楽器の演奏を控えさせる点に注意します。 激しい運動などをきっかけに、血流不足に陥るリスクがあるためです。そして、可能な限り早い段階で、子どもへの手術を主治医と相談する必要があります。 手術などの治療が終わった後は、子供の日常生活で必要以上の制限は不要です。ただ制限の要不要については、主治医との綿密な相談が大切です。 小児もやもや病になった子ども向けの就学支援 小児もやもや病の子どもは、たとえ脳梗塞などの症状がなくても、認知機能に関するさまざまな悩みを抱えることがあります。 特に計画立案や複数の課題の同時処理が難しいことがあり、学校生活に支障をきたすケースも見られます。 このような子どもたちの学校生活をサポートするため、厚生労働省の研究班による「医療関係者・教育関係者のためのもやもや病就学支援マニュアル」(2023年)が作成されました。(文献2) このマニュアルを活用し、医療機関と教育機関が連携して支援を行う取り組みが進められています。 まとめ|もやもや病の症状は大人と子どもで異なる もやもや病は子どもと大人で症状や注意すべき点、治療法が異なります。 いずれにしても脳梗塞や脳出血の症状が出る前に、適切な診断・治療を受けることが大切です。 また、脳卒中の後遺症に対しては、機能回復のためのリハビリテーションや再生医療による治療の選択肢があります。 再生医療をご検討方は、当院「リペアセルクリニック」でご相談ください。 もやもや病についてよくある質問 もやもや病は必ず手術しなければなりませんか? 症状が多発していない患者様であれば、すぐ手術をする必要はありません。 しかし、すでに脳虚血症状や脳血流検査での血流低下が認められる方などは、手術を勧めるのが一般的です。 また、子どもの場合は、将来の脳虚血や出血予防のために、手術による治療が広く考えられています。 以上に加えて、もやもや病の経験豊富な医師が的確な検査や年齢、患者様の状況を総合的に検討・判断していきます。 子どもの「もやもや病」の予後はどうなりますか? 子どものもやもや病は、症状のほとんどが脳虚血発作です。 このため、大きな脳梗塞が起こる前にバイパス手術を受けられれば、術後の脳梗塞の発症は少ないとされています。 また社会生活については、8割以上の子どもたちが通常の生活を送れる状況です。一方、2割弱は普通学級への就学困難や、卒業後の就職の困難が報告されています。 診断が遅れ、手術の時点で脳梗塞が起きた場合、その後の社会生活に支障が出てしまう可能性があります。そのため、早期の診断と適切なタイミングでのバイパス手術が非常に重要です。 もやもや病の検査費用はいくら? もやもや病の検査費用は、検査の種類によって異なります。 種類別もやもや病の検査費用の相場(3割負担の場合) MRI・MRA検査:8,000円~2万5,000円程度 CT検査:非造影は5,500円~8,000円程度/造影で7,500円~1万2,000円程度 ただし、具体的な金額は医療機関によって異なるため、詳しくは各医療機関にご確認ください。 参考文献 (文献1) 一般社団法人日本小児神経外科学会 「小児脳神経外科(もやもや病)」 一般社団法人日本小児神経外科学会公式サイト http://jpn-spn.umin.jp/sick/d.html(最終チェック日 2025年3月20日) (文献2) 京都大学医学部附属病院「もやもや病就学支援マニュアル」2023年. https://www.kuhp.kyoto-u.ac.jp/department/division/pdf/moyamoya/moyamoya_web.pdf (最終アクセス:2025年3月30日)
2023.09.25 -
- 大腿骨骨頭壊死
- 股関節
大腿骨頭壊死は、股関節のボール部分にあたる「大腿骨頭」が血流障害によって壊死してしまう病気です。 外傷や過度のアルコール、過度のステロイド使用など、さまざまな原因があります。なかには原因のない特発性もあり、指定難病にもなっています。 今回は、大腿骨頭壊死と診断されたら、どのようなことに気を付ければよいのか、またどのような生活を送るべきなのかについて詳しく解説します。 なお、当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、大腿骨頭壊死の治療法の一つ、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 大腿骨頭壊死の治療法でお悩みの方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 大腿骨頭壊死になったらやってはいけないこと 大腿骨頭壊死を進行させる一番のリスクは、大腿骨頭にかかる負荷が増大することです。大腿骨頭は股関節を形成している部分であるため、立ったり歩いたりすると直接体重を受けてしまいます。 そのため、1本杖や松葉杖を使用して、過度な負担がかからないようにすることが必要です。 大腿骨頭壊死を発症した場合、激しい運動や階段昇降、重量物の運搬、長時間の立ち仕事など、股関節に持続的に強い負荷がかかることは避けましょう。 また、体重が増えてしまうことにも注意が必要です。体重が増えると、増えた体重分、股関節にかかる負担が大きくなります。 壊死は股関節の前方に発生することが多いため、しゃがみこむ動作や前屈動作など股関節を曲げる姿勢をとると、壊死部に負担がかかりやすいです。 アルコールとタバコも控えてください。骨密度を低下させる可能性もあるため、壊死で弱った骨をさらに弱くしてしまいます。 アルコールはそれ自体が大腿骨頭壊死の原因となることがわかっています。(文献1) タバコも血流を悪化させ、骨壊死を加速させるリスクが考えられます。 職場・仕事でやってはいけないこと 職場や仕事での動作にも注意が必要です。長時間の立位姿勢は股関節に持続的な負荷をかけるため、立ち仕事は制限が必要です。10kg以上の重量物の運搬や、階段の頻繁な昇降も避けましょう。 デスクワークの場合でも、長時間の座位は股関節の血流を悪化させる可能性があるため、1時間ごとに休憩を取り、軽いストレッチを行うことが推奨されます。 病状を悪化させないように働くためには、職場の理解が欠かせません。診断書を提出し、上司や人事部に相談しましょう。 また、産業医との面談も活用しましょう。職場環境の調整として、椅子の使用、休憩の取り方、作業台の高さ調整などを検討してください。 家事・日常動作でやってはいけないこと 家事や日常動作でも、股関節に負担をかける動作は避ける必要があります。掃除機がけは前かがみの姿勢を避け、軽い掃除機を使用しましょう。 床の雑巾がけは、しゃがむ動作を避けるため、モップなどを活用してください。 重い買い物袋の運搬(5kg以上)は避け、カート付きバッグを使用することをおすすめします。布団の上げ下ろしは股関節に大きな負担をかけるため、ベッド生活への変更を推奨します。 また、和式トイレの使用は深くしゃがむ動作を伴うため、洋式トイレへの変更が望ましいです。正座やあぐらなど、股関節を深く曲げる姿勢も避けましょう。 これらの代替方法を取り入れることで、日常生活での股関節への負担を大幅に軽減できます。 運動・スポーツでやってはいけないこと 大腿骨頭壊死の患者様は、股関節に負荷がかかる運動を避ける必要があります。 ランニングやジャンプ系スポーツは、股関節に強い衝撃を与えるので避けましょう。 重量挙げやスクワットなどの重量トレーニングも、股関節への負荷が大きいため推奨されません。 激しいダンスやエアロビクスなど、股関節を大きく動かす運動も控えてください。 サッカーやテニス、バスケットボールなどの球技は、急な方向転換や衝撃が伴うため、避けるべきです。これらの運動は、壊死部への負担を増大させ、病状の進行を早める可能性があります。 大腿骨頭壊死でやってもよいこと 禁止事項だけでなく、大腿骨頭壊死でやってもよいことも理解するのも大切です。 以下では、大腿骨頭壊死の患者様でも取り組める運動と、推奨される栄養バランスの取れた食事について解説します。 やってもよい運動 大腿骨頭壊死の患者様でも、股関節への負担が少ない運動であれば行えます。 軽いウォーキング(1日20~30分程度)は、杖を使用することで股関節への負担を分散させられます。 また、水中ウォーキングや軽い水泳も、筋力維持にも効果的です。これらの運動は、股関節に体重をかけずに身体を動かせます。 ストレッチは股関節を深く曲げないよう注意が必要です。大腿四頭筋のストレッチなど、股関節への負担が少ないものが適しています。 他にも股関節に負担を書けない上半身の筋トレ(腕立て伏せ、ダンベル運動)や、エアロバイクなど、室内で行える自転車運動もおすすめです。 まずは専門家に相談し、指示に従って適切な運動を取り入れましょう。股関節への負担を最小限に抑えながら、健康的な生活を送ることができます。 栄養バランスの取れた食事 体重増加は股関節への負担を増すため、適正体重の維持が大切です。研究によれば、肥満は骨壊死の血管再生と骨治癒を阻害することが示されています(文献2)。 適正体重を維持する目安としては、BMI 18.5~25未満を目標にすることが挙げられます。 骨や筋肉の健康を保つため、以下の栄養素を意識して摂取しましょう。 カルシウム:1日700~800mg(牛乳、チーズ、小魚など) ビタミンD:1日8.5μg(魚類、きのこ類、卵など) タンパク質:体重1kgあたり1.0~1.2g(肉類、魚類、大豆製品など) 避けるべき食品としては、アルコール、高カロリー食、加工食品が挙げられます。アルコールは大腿骨頭壊死の原因の一つであり、骨密度低下のリスクもあるため、基本的には禁酒が推奨されます(文献1)。 大腿骨頭壊死の進行ステージ別の注意点 大腿骨頭壊死は、病期分類(Stage 1~4)ごとに、注意すべき点や生活制限の程度が異なります。以下に各ステージの特徴と注意点をまとめました。(文献3)(文献4) ステージ 特徴 注意点 治療法 Stage 1(初期) X線では異常が見られないがMRIで壊死が確認される段階 保存療法で進行を抑えられる可能性が高い。荷重制限が重要。 荷重制限、杖の使用、鎮痛剤 Stage 2(進行期) X線で骨硬化像や嚢胞が見られる段階 荷重制限が重要。抗凝固薬やビスフォスフォネート製剤の使用も検討。 保存療法、薬物療法 Stage 3(圧潰期) 骨頭の圧潰が始まる段階 手術を検討する時期。日常生活での制限が厳しくなる。 骨切り術、血管柄付き骨移植 Stage 4(末期) 骨頭が完全に圧潰し、関節症が進行 人工関節置換術が必要になることが多い。 人工関節置換術 早期発見・早期治療が予後を左右するため、定期的に整形外科医の診察を受けることが重要です。 大腿骨頭壊死の治療法 大腿骨頭壊死の治療法は、大きく分けて保存療法、手術療法、再生医療の3つがあります。 保存療法 保存療法は、初期段階の大腿骨頭壊死に対して行われます。 杖の使用や荷重制限により壊死部への負担を減らし、骨の修復を促します。また、鎮痛剤で痛みをコントロールしたり、骨を強化する薬を使用したりすることもあります。 手術療法 手術療法は、保存療法で効果が得られない場合や、壊死が進行している場合に検討されます。 骨切り術、血管柄付き骨移植、人工関節置換術などがあります。 骨切り術:壊死部への荷重を減らすために骨の位置を変える手術 血管柄付き骨移植:血流のある骨を移植して壊死部の修復を促す手術 人工関節置換術:骨頭が完全に圧潰した場合に人工の関節に置き換える手術 ただし、人工関節は15〜20年程度で摩耗するため、若い年齢で手術を受けると将来的に再手術が必要になる可能性があります。そのため、できるだけ人工関節置換術を避けられるよう、病気の進行を遅らせる生活習慣を保つことが重要です。 再生医療 再生医療は、手術を必要としない治療法の一つです。 再生医療では、他の細胞に変化する能力がある幹細胞や、血液に含まれる血小板を濃縮した液体を利用します。血小板には、炎症を抑える働きがある成長因子が含まれます。どちらも施術は注射や点滴で行うため、手術を必要としないのが特徴です。 当院「リペアセルクリニック」では、これらの再生医療を提供しています。幹細胞治療では、米粒2~3粒ほどの脂肪組織を患者様から採取し、幹細胞を培養して投与します。 再生医療は手術を必要とせず、人工の関節にすることに抵抗がある方でも受けられます。また、幹細胞の投与は日帰りで行えるため、入院も不要です。 大腿骨頭壊死に対する当院「リペアセルクリニック」の再生医療については、以下の症例をご覧ください。 大腿骨頭壊死を進行させない!予防における理想的な生活習慣 大腿骨頭壊死を悪化させないためには、以下の生活習慣を心がけることが大切です。 杖の使用 痛みのある側と反対側に杖を持ち、荷重を分散させることで股関節への負担を軽減できます。杖の長さは、立った状態で手首の高さに合わせるのが適切です。 洋式生活 和式トイレや床座りを避け、椅子やベッドを使用する「洋式生活」を心がけましょう。股関節を深く曲げこむ動作が多い日本式の生活は、股関節に大きな負担を掛けます。 適度な運動 水中運動やストレッチで筋力維持を図りましょう。適度な運動は血行促進につながり、骨の修復を助ける可能性があります。 禁煙 喫煙は血流を悪化させるため、禁煙が推奨されます。タバコは骨壊死を加速させるリスクも指摘されているので控えましょう。(文献5) ストレス管理 ストレスは血流に悪影響を与えるため、リラクゼーションを取り入れることが大切です。深呼吸、瞑想、趣味の時間などを活用しましょう。 体を温める 大腿骨頭壊死は血流障害によって起こります。体を温めることは血行を良くすることにつながるため、お風呂に入るなど体を冷やさないように心がけることも大切です。 これらの生活習慣を工夫しながら、整形外科医の定期的な診察を受けることが、大腿骨頭壊死の進行を防ぐ鍵となります。 まとめ|大腿骨頭壊死になったらやってはいけないこと 今回は大腿骨頭壊死になってしまったら、どのようなことに注意をすべきかに焦点を当てて解説しました。 大腿骨頭壊死は、患者様の生活習慣や行動が、その後の進行や症状を大きく左右する病気のひとつです。 股関節に負担をかける動作を避ける、体重管理を徹底する、飲酒・喫煙を控える、定期的な通院と経過観察を行うことが重要です。早期発見・早期治療が予後を大きく左右します。 リペアセルクリニックでは、再生医療による治療も提供しています。手術を避けたい方、進行を抑えたい方は、お気軽にご相談ください。 病気に対する理解と自己管理が、大腿骨頭壊死とうまく向き合うポイントとなります。ご自身の病状をしっかりと把握し、進行予防に努めましょう。 大腿骨頭壊死になったらやってはいけないことに関するよくある質問 大腿骨頭壊死でも仕事は続けられる? 職種や病期によって異なります。以下の表にまとめました。 職種 継続可否 注意点 デスクワーク 継続しやすい 1時間ごとに休憩を取り、軽いストレッチを行う 立ち仕事 制限が必要 職場に椅子を用意してもらう、休憩時間を増やすなどの配慮を依頼 重労働 制限が必要 職種転換や休職を検討 職場への配慮依頼としては、診断書を提出し、上司や人事部に相談することが有効です。産業医との面談も活用しましょう。休職・復職のタイミングは、病期や症状に応じて主治医と相談してください。 大腿骨頭壊死は完治する? 壊死した骨は基本的に自然には再生しませんが、小さな壊死であれば消失する可能性があることが報告されています(文献7)。 適切な治療(保存療法、手術療法、再生医療)で症状をコントロールし、日常生活を送ることは可能ですが、完全な元通りに戻す方法は現時点ではありません(文献4)。 ただし、早期発見・早期治療により、進行を抑えられる可能性が高いため、定期的に整形外科医の診察を受けることが重要です。 飲酒は絶対にやめなければいけない? アルコールは大腿骨頭壊死の原因の一つであり、骨密度低下のリスクもあるため、基本的には禁酒が推奨されます(文献1)。 とくにアルコール性大腿骨頭壊死の場合は、必ず避けてください。 それでも飲みたい場合は、主治医と相談することが重要です。少量であれば許容される場合もありますが、自己判断での飲酒は避けましょう。 遺伝的に大腿骨頭壊死になりやすい人はいますか? 現在の研究では、大腿骨頭壊死が遺伝的に引き起こされることは確認されていません。 ただし、ステロイド性の骨頭壊死に関しては、骨頭壊死を引き起こす遺伝子がある可能性までは研究でわかっており、今後さらなる研究が望まれます。 どのくらいのステロイドを使うと大腿骨頭壊死になりやすいですか? 明確な危険量はわかっていませんが、長期間にわたり、一日平均約20mgを超える場合は、骨頭壊死のリスクが高まるといわれています。(文献6) これはプレドニゾロンというステロイドに換算した値ですので、実際に自分がどのような薬をどのくらい使用しているか気になる方は、主治医に確認してみてください。 参考文献 (文献1) Osteonecrosis of the Femoral Head: Etiology, Pathophysiology, and Management|International Journal of Environmental Research and Public Health (文献2) Obesity impairs revascularization and bone healing in a mouse model of osteonecrosis|Journal of Orthopaedic Research (文献3) Idiopathic bone necrosis of the femoral head. Early diagnosis and treatment|The Journal of Bone and Joint Surgery (文献4) 特発性大腿骨頭壊死症|難病情報センター (文献5) Influence of cigarette smoking on osteonecrosis of the femoral head (ONFH): a systematic review and meta-analysis|Hip International (文献6) Risk Factors and Mechanism for Steroid Induced Avascular Necrosis of the Femoral Head|EBM Consult (文献7) Application of biomaterials in treating early osteonecrosis of the femoral head: Research progress and future perspectives|Acta Biomaterialia
2023.09.21 -
- 脳卒中
- 頭部
- 脳出血
橋出血はどんな初期症状が出るのだろう。 橋出血になったら、助かるのかな。 この記事を読んでいるあなたは、聞きなれない「橋出血」という病気について不安を抱いているのではないでしょうか。「これからどうなるのだろう」と、心配しているかもしれません。 橋出血とは、脳の中心部にある「橋(きょう)」という部分からの出血で、脳出血全体の5〜10%を占めます。初期症状として意識障害や頭痛が出るケースが多く、状態によっては助からないケースも珍しくありません。 本記事では、橋出血の初期症状や死亡率、予防法を詳しく解説します。記事を最後まで読めば、橋出血の全容がわかり、リハビリや再出血予防を含む今後の見通しをたてられるでしょう。 橋出血の初期症状は「意識障害や頭痛」 橋出血を含む脳出血は、突然脳の血管が破れて発症し、前兆や予兆がないケースも珍しくありません。しかし、初期症状がわかれば早期治療が可能となり、出血の拡大を予防できます。 橋出血の初期症状は、以下のとおりです。 なん何となく受け答えが悪い(意識障害) 強い頭痛が続く 手足がうまく動かせない 身体の片方だけ感覚が鈍い このような症状がある場合は、救急車の利用も考慮に入れ、できるだけ早く医療機関を受診してください。 また、当院リペアセルクリニックでは、脳梗塞や脳出血といった「脳卒中」の治療法の1つとして再生医療をおこなっています。「メール」や「オンラインカウンセリング」によるご相談も可能です。橋出血の治療法に興味のある方は、お気軽にお問い合わせください。 橋出血における2つの症状 出血の部位や大きさによって異なりますが、橋出血の症状は「瞳孔の変化」と「四肢の麻痺」が特徴的です。また、意識障害、視覚障害、言語障害、呼吸障害などのさまざまな症状が出るケースもあります。 本章では、橋出血の特徴的な症状である瞳孔の変化と四肢の麻痺について、解説します。 瞳孔の変化 瞳孔とは、目の真ん中にある「黒目」のさらに中心にある黒い部分です。瞳孔のはたらきは、目の中に入る光の量の調整です。まぶしいときは光の取り込み量を減らすために縮小し、暗いときは取り込み量を増やすために拡大します。 脳の奥にある「橋」には、瞳孔の大きさを調整するための神経が通っています。そのため、橋出血によりこの神経が影響を受けると、瞳孔が極端に収縮するのです。両側瞳孔の高度縮小はpinpoint pupilともよばれ、橋出血に特徴的な所見です。 四肢の麻痺 橋には、四肢の運動機能を担う神経も通っています。橋からの出血がその部分を巻き込んだ場合、運動機能の調節ができなくなり、手足の麻痺があらわれます。広い範囲で出血が起こった場合は、片側だけでなく、四肢の麻痺となるでしょう。 ただし、出血量が少なければ、「片側の麻痺に留まる」「運動は保たれて感覚のみ麻痺する」などの場合もあります。片側に麻痺が出る際は、機能が失われた脳の反対側の手足に症状が出るケースが一般的です。 脳内における「橋」の役割については、以下の記事で詳しく説明しています。橋出血について詳しく知りたい方はあわせてチェックしていただければ幸いです。 橋出血の治療は「保存療法がメイン」 橋出血の治療は、原因となる血圧を下げる「血圧コントロール」「脳のむくみ予防の点滴」などの「保存療法」が基本です。 脳のほかの部位で出血したときは、血腫(出血によって生じた血の塊)を取り除く手術をするケースがあります。しかし、脳の深部にあり、正常な組織を傷つける可能性が高いため、基本的に橋出血の手術はおこなわれません。 また、身体を動かしても問題のない状態になり次第、日常生活に戻るためのリハビリもおこないます。 橋出血の治療法は、以下の記事で詳しく説明しています。 橋出血の死亡率は約50% 橋出血の死亡率は、約50%です。(文献1) 入院時の意識レベルが低い、出血が多いなどの場合は死亡率が高く、予後も不良です。場合によっては出血してから数時間で命を落とすケースもあります。 出血の範囲が小さく、量も少ない場合の予後は比較的良好で、退院後は自宅での生活に戻れる方もいます。しかし、運動麻痺や感覚麻痺などの後遺症が出る方も多いのが現実です。自宅での生活が難しければ、回復期リハビリテーション病院や病棟に移動してリハビリを続けるケースもあります。 当院「リペアセルクリニック」が取り扱う再生医療は、リハビリと併用すると身体機能の回復効果を高められます。「メール」や「オンラインカウンセリング」によるご相談も可能です。興味のある方は、お気軽にお問い合わせください。 橋出血の予後については、以下の記事も参考にしてください。 橋出血の予防には血圧コントロールが大切 橋出血のみならず、脳出血の最も多い原因は高血圧です。高血圧は一般的な病気であり、多くの人が指摘されたことがあるのではないでしょうか。 高血圧は、ほかの生活習慣病と同じく、食事、運動が基本的な治療です。とくに塩分の摂りすぎには注意した方が良いでしょう。 血圧が高い状態が続いている場合は、投薬治療が必要な場合もあるため、医師に相談してください。 脳出血が再発すると、今回無事だった部位もダメージを受け、さらに後遺症が重くなる可能性も考えられます。再発を防ぐために、できる限りの対策をおこないましょう。 まとめ|橋出血の初期症状があらわれたらすぐに受診を 本記事では、橋出血の初期症状やその後あらわれる症状、死亡率などを詳しく解説しました。 橋出血の初期症状は、意識障害や頭痛などです。脳出血はいきなり起こるため、予兆や前兆がないケースもありますが、初期症状を知っておくことで早めの受診が可能になるでしょう。 また、意識がない、出血量が多いなどの場合の死亡率は高く、助からないケースも珍しくありません。高血圧は橋出血のリスクを高めるため、減塩や運動などの生活習慣にも気をつけましょう。 当院「リペアセルクリニック」では、脳卒中の再生医療(幹細胞治療)をおこなっています。壊れた脳細胞の再生ができれば、リハビリの効果を高める、再発防止などの効果が期待できるでしょう。 再生医療へのご質問・ご相談は、「メール」もしくは「オンラインカウンセリング」で受け付けております。気になる点がありましたら、どうぞ気軽にご相談ください。 橋出血の初期症状に関するよくある質問 橋出血の症状が出た人におこなうリハビリは何? 橋出血後に姿勢の保持が難しい、歩行時のふらつきなどの「運動失調」という後遺症が出た場合、以下のようなリハビリをおこないます。 フレンケル体操 重り負荷での運動 弾性緊縛帯 固有受容性神経筋促通手技(proprioceptive neuromuscular facilitation:PNF) 橋出血後のリハビリについては、以下の記事で詳しく説明しています。 橋出血を予防する方法は何? 橋出血はほかの脳出血と同様に、「高血圧」によって起こるケースが多くみられます。完全な予防は困難ですが、適正な血圧の維持がリスクの低下につながるでしょう。 具体的な方法は、以下のとおりです。 生活習慣の見直し:減塩・適度な運動・健康的な食生活・禁煙 適切な薬物治療:処方された薬の正しい服用 橋出血の予防・再発予防のために、血圧が高い方は早めに治療を受けるようにしましょう。 脳出血を防ぐ方法は、以下の記事もぜひ参考にしてください。 参照文献 文献1 Behrouz R. Prognostic factors in pontine haemorrhage: A systematic review. Eur Stroke J. 2018 Jun;3(2):101-109. doi: 10.1177/2396987317752729. Epub 2018 Jan 8. PMID: 31008342; PMCID: PMC6460408.
2023.09.18 -
- ひざ関節
- 膝に赤みや腫れ
- 膝の慢性障害
膝の皿が痛いときは、膝関節の軟骨がすり減りや靭帯損傷など、以下のような疾患の可能性があります。 原因によって適切な対処法や治療が異なるため、早期回復のためにも早めに医療機関を受診することが重要です。 「いきなり病院に行くのは気が引ける」という方は、まずはお電話で問題がないかだけでもご確認ください。 当院リペアセルクリニックでは、膝の皿の痛みだけでなく「膝のちょっとした違和感」など些細なことでも無料でご相談を承っています。 また、ご希望の方には先端医療である再生医療の治療法についてもご説明していますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。 \無料相談・お問い合わせはこちらから/ 0120-706-313 (受付時間:9:00〜18:00) 膝の皿が痛い3つの原因 膝の皿が痛いときは、主に以下3つの原因が考えられます。 膝蓋大腿関節症 変形性膝関節症 膝蓋腱炎(ジャンパー膝) 膝の皿の痛みに悩んでいる方は、本章で紹介する病気に当てはまるかどうかチェックしてみてください。 原因1. 膝蓋大腿関節症(しつがいだいたいかんせつしょう) 加齢などによって膝蓋大腿関節にズレや炎症が起きると、軟骨がすり減って痛みが生じやすくなります。この状態を「膝蓋大腿関節症」と呼びます。 膝の皿の骨である膝蓋骨と大腿骨との間で障害が起こる病気で、膝を伸ばすときに痛みを感じやすいのが特徴です。膝の皿だけでなく、膝の皿の横や皿の周りが痛むケースもあります。 整形外科での診察・検査後、「保存療法」もしくは「手術療法」による治療をおこなうのが一般的です。 膝蓋大腿関節症は、とくに中高年の女性に多く見られます。女性で膝の皿の痛みに悩んでいる方は、一度医療機関を受診してみましょう。 「病院に行くべきかわからない」「病院に行く時間がない」という方は、ぜひお気軽にお電話にて症状についてご相談ください。 \無料相談・お問い合わせはこちらから/ 0120-706-313 (受付時間:9:00〜18:00) 原因2. 変形性膝関節症 変形性膝関節症とは、関節の軟骨が老化し、変形してしまう病気です。 主な原因は以下が挙げられます。 加齢 肥満 遺伝 骨折などの外傷 など 変形性膝関節症では、膝の皿に痛みを感じる、水が溜まるなどの症状がみられます。 発症初期は動作の開始時に痛むことが多く、治療せず放置すると安静時にも痛むようになったり、膝を伸ばせなくなったりすることもあります。 変形性膝関節症の治療は、以下のような方法が一般的です。 湿布や痛み止めの処方 ヒアルロン酸注射 リハビリテーション 装具の装着 人工関節術 など また、変形性膝関節症の治療には再生医療(幹細胞治療・PRP療法)も効果的であることがわかっています。 詳しくは以下の記事をご覧ください。 原因3. 膝蓋腱炎(ジャンパー膝) 膝蓋腱炎(ジャンパー膝)とは、膝の皿の下部にある「膝蓋腱」に繰り返し負担がかかることで損傷し、痛みを起こす病気です。 発症時は動作の始めや運動時に膝の皿の違和感を感じることが多く、症状が悪化すると日常生活でも痛むようになります。 膝蓋腱は、ジャンプ・着地などの跳躍動作やランニング時など、膝関節を屈伸したときに引っ張られる部位です。そのため、膝蓋腱に負担のかかる動作が多いスポーツ(サッカーやバレーボールなど)をしている人が発症しやすい病気です。 膝蓋腱炎(ジャンパー膝)の治療では、痛み止めの内服やヒアルロン酸、PRPなどの注射、ストレッチを行います。 重症の場合は「難治性膝蓋腱炎」の可能性があり、手術を検討するケースもあります。 日常的に跳躍動作の多いスポーツをしていて、膝の皿の痛みに悩んでいる方は、整形外科などの受診がおすすめです。 膝蓋腱炎(ジャンパー膝)については、以下の記事も参考にしていただけますと幸いです。 【今すぐできる】膝の皿が痛いときの2つの対処法 膝の皿が痛いとき、病院に行く前に自分でできる対処法は以下の2つです。 ストレッチ・トレーニング テーピング ただし、むやみに自分で対処をすると悪化してしまうケースもあるため、あくまで応急処置に留め、早めに整形外科を受診しましょう。 ストレッチ・トレーニング 膝の皿が痛むときは、膝の上の筋肉である「大腿四頭筋」や、太もも裏の筋肉である「ハムストリングス」のストレッチがおすすめです。また「殿筋」と呼ばれるお尻の筋肉をほぐすのも効果的です。 また膝の皿の痛みは、大腿四頭筋の筋力低下によって起こっているケースもあります。そのため、ストレッチだけでなく適度なトレーニングをおこなうのも良いでしょう。 それぞれの部位ごとのストレッチ・トレーニング方法は以下のとおりです。 ストレッチ(トレーニング)する部位 やり方 大腿四頭筋 <ストレッチ> 壁やイスを使ってバランスを保ちながら立ち、片足ずつ膝を曲げ、前ももを伸ばす <トレーニング> 仰向けに寝て、両膝を立てた状態から片方の膝を伸ばす。 床から10センチほど離したままキープし、ゆっくりおろす動作を両足10回ずつおこなう ハムストリング <ストレッチ> 膝を伸ばして座り、上半身を前に倒して太もも裏を伸ばす 殿筋 <ストレッチ> 両手を床に置き、体操座りの状態で床に座る 片方の足を反対の太ももの上に乗せる 両手で床を押し上げ、上体を太ももに近づける 殿筋が伸びていることを確認し、15秒程度キープする(反対も実施) ストレッチは、反動をつけず痛気持ちいい程度で、無理なくおこないましょう。 膝の皿が痛む場合のストレッチやトレーニングについては、以下の記事も参考にしてください。 ▼膝の皿の痛みや再生医療に関するご相談はこちらから >>0120-706-313(受付時間:9:00〜18:00) テーピング 膝の皿の痛みを和らげるには、テーピングも効果的です。膝関節や周辺の筋肉の動きを制限し、運動時の膝の痛みをを緩和しやすくなります。 テーピングをおこなうときは、腱や筋肉を過度に圧迫しないよう注意しながら、シワのないように巻きましょう。 膝をサポートするテーピング方法は以下の記事で紹介しています。気になる方はチェックしてみてください。 膝の皿が痛い!病院を受診する目安 膝の皿の痛みで病院に行くべきか迷った場合は、以下の項目を参考にセルフチェックしてみましょう。 動作の始まり(歩き始めや立ち上がり)に膝の皿が痛む 起床時に膝の皿がこわばる感じがする 階段の上り下りをすると膝の皿が痛む 膝蓋腱を指で押すと痛む うつ伏せの状態で膝を曲げると床から股関節まわりが浮く 上記の項目に1つでも当てはまる場合、変形性膝関節症などの初期症状である可能性があります。 膝の皿の痛みが続くときは放置せず、早めに整形外科で専門医による診察・検査を受けましょう。 「病院に行くべきかわからない」「病院に行く時間がない」という方は、ぜひお気軽にお電話にて症状についてご相談ください。 ▼膝の皿の痛みや再生医療に関するご相談はこちらから >>0120-706-313(受付時間:9:00〜18:00) まとめ|膝の皿が痛い原因を知り病院への受診を検討しよう 本記事では、膝の皿が痛いときの原因や今すぐできる対処法を解説しました。 膝の皿が痛む場合、膝蓋大腿関節症などの疾患の可能性も考えられます。ストレッチ・トレーニングやテーピングなどで一時的に対処し、痛みが続くなら早めに整形外科を受診しましょう。 当院「リペアセルクリニック」では、自己の幹細胞を用いた再生医療による治療をおこなっています。 関節部分に幹細胞を投与し、すり減った軟骨を再生させることで、手術なしで症状を改善できる可能性が高くなります。 従来の保存療法や人工関節術を受けることに抵抗がある方は、ぜひ当院の再生医療もご検討ください。 この記事が膝の皿の痛みの原因や自分でできる対処法を知るのに役立ち、最適な治療を受けるきっかけになれば嬉しく思います。 ▼無料の電話相談はこちら >>今すぐ電話してみる 膝の皿が痛いときによくある質問 急に膝の皿が痛くなるのはなぜですか。 急に膝の皿が急に痛む場合、筋力の低下や姿勢の悪さが原因の可能性があります。 大腿四頭筋腱炎など膝の疾患も考えられるため、痛みが続くなら早めに整形外科で診察・検査を受けましょう。 膝の皿が痛む原因については、以下の記事も参考にしていただければ嬉しく思います。 膝の皿が痛い!?考えられる病名とその原因、治療について徹底解説 曲げると膝の皿が痛いときはどうすれば良いですか。 膝を曲げると痛む場合は、できる限り安静にすることが第一です。膝が熱を持っていたり腫れていたりする場合は、炎症が引くまで冷やすのも良いでしょう。 40歳以上の中高年の方の場合は「変形性膝関節症」の可能性もあるため、不安な方は整形外科での受診がおすすめです。
2023.09.14 -
- 靭帯損傷
- ひざ関節
「後十字靭帯損傷」というケガをご存じでしょうか? 後十字靭帯は、大腿骨(太ももの骨)と脛骨(すねの骨)をつなぐ膝の裏側にある靭帯で、膝関節を安定させるうえで重要な役割を担っています。 靭帯損傷というとスポーツ中の激しい動作で起こる印象を持つ方が多いかもしれませんが、後十字靭帯損傷は、転倒や交通事故など日常生活や予期せぬアクシデントでも発症するケースがあります。 放置すると、膝の不安定感が慢性化し、将来的に変形性膝関節症を引き起こすリスクもあるため、初期段階での適切な診断と治療が重要です。 今回は、後十字靭帯損傷について、主な症状や診断方法、治療法について詳しく解説します。 後遺症のリスクや完治までの期間などもまとめているので、ぜひ参考にしてください。 「痛みは引いたけど違和感が続く」「リハビリをしても安定しない」といったケースでは、経過が順調でない可能性も考えられますので当院(リペアセルクリニック)にご相談ください。 保存療法・手術の適応判断を含めて、再生医療を取り入れた選択肢もご提案しています。 ▼以下をクリックでご自宅からでも簡単に相談いただけます。 >>0120-706-313(受付時間:9:00〜18:00) 後十字靭帯損傷(断裂)とは 後十字靭帯損傷(断裂)とは、膝関節を構成する後十字靭帯が部分的または完全に断裂した状態のことです。 後十字靭帯が損傷または断裂すると、膝の安定性が失われ、運動時や日常生活において膝が崩れるような違和感が現れます。また、膝が腫れて痛みを感じるケースがほとんどです。 以下で、後十字靭帯の役割や損傷の原因などを解説するので、ぜひ参考にしてください。 なお、靭帯損傷の原因や治療法については、以下の記事で解説しています。 後十字靭帯の主な役割 後十字靭帯は、膝関節の内側に位置し、大腿骨の内側顆から後方外側に向かって伸び、脛骨(すねの骨)の顆間隆起の後外方に停止します。後十字靭帯は、膝関節の安定性を保つために欠かせない靭帯です。 「後」十字靭帯と呼ばれる名前からわかるように、膝には「前」十字靭帯も存在します。膝の内部で2つの靭帯が十字型に見えることから、それぞれの名前で呼ばれています。人が膝を安定して動かせるのは、前十字靭帯と後十字靭帯が共に機能するためです。 後十字靭帯は、前十字靭帯よりも太さと強度があり、脛骨(すねの骨)が後ろに脱臼しないように保持する働きをしています。また、安定して膝を捻る動作ができるよう膝を支える役目も担っています。 後十字靭帯損傷(断裂)の原因 後十字靭帯損傷(断裂)は、主に膝を曲げた状態で強く地面に打ち付けることによって発生するケガです。たとえば、交通事故でダッシュボードに膝を強く打ち付けたり、転倒して膝から転んで強い衝撃を受けたりするケースなどが、典型的な受傷機転として挙げられます。 ほかにも、スポーツでは、ラグビーやアメリカンフットボールなど、コンタクトが激しいスポーツ中に受傷するケースがあります。実際に、後十字靭帯損傷は、交通事故やスポーツ動作によるものがほとんどです。 後十字靭帯損傷(断裂)の症状 後十字靭帯損傷(断裂)の多くは、膝を打ちつけたことによって、膝の皿の下に擦り傷や打撲などの外傷が見られます。場合によっては、関節内に少量の血が溜まることもあります。 また、靭帯だけではなく、後ろの関節包(関節を包んでいる袋)も損傷している場合には、膝後方に皮下出血が見られることもあるため注意が必要です。なかには、膝窩部(膝裏)の痛みや、膝を曲げると痛いといった症状を訴える方もいます。 後十字靭帯は、一部の損傷で済むケースも少なくありません。しかし、靭帯が完全に断裂し、膝の安定性が乏しい場合は、階段の上り下りやしゃがみ込むときに膝がグラグラする感覚があります。 ▼ 膝が痛むときに疑われる病気について詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。 後十字靭帯損傷(断裂)の診断方法 後十字靭帯損傷(断裂)を疑う外傷があった場合、徒手検査と画像検査によって診断します。 以下で、後十字靭帯損傷の診断方法を解説するので、ぜひ参考にしてください。 徒手検査 後十字靭帯損傷(断裂)が疑われる場合は、まず診察を行い、膝関節の不安定性がないかどうかをチェックします。徒手検査とは、患部を動かしたり叩いたりして、患者の反応を観察し、治療すべき部位を特定するための検査です。 後十字靭帯損傷の検査として有名なものに、「後方引き出しテスト」と呼ばれる検査があります。後方引き出しテストの実施方法は、以下の2ステップです。 寝た状態で膝を曲げる 医師が脛骨(すねの骨)を後ろに押していく 後十字靭帯が機能していないと、後方引き出しテストをした際に、脛骨が後ろに落ち込んでしまうような感覚があります。 画像検査 後十字靭帯損傷(断裂)の画像診断は、レントゲンとMRIで実施します。靭帯自体はMRIだけでも評価できるものの、骨折を合併していないか確認するためにレントゲン撮影をするケースも少なくありません。 MRIでは、靱帯が完全に断裂しているのか、または部分的に損傷しているのかの評価が可能です。また、半月板や側副靱帯といったほかの部位の損傷についてもMRIで評価できます。 リペアセルクリニックでは、メール相談やオンラインカウンセリングを実施しています。後十字靭帯損傷が疑われる場合は、来院前でも良いのでぜひ気軽にご相談ください。 後十字靭帯損傷(断裂)の治療法 後十字靭帯の機能は、保存的治療でも比較的に良好に回復するとされています。そのため、一般的には保存療法が選択されるケースが多い傾向です。 以下で、後十字靭帯損傷(断裂)の治療法について解説するので、ぜひ参考にしてください。 保存療法 保存療法の場合は、基本的に膝関節の安定性を補助するための装具を2カ月程度使用します。保存療法は、後十字靭帯損傷が軽度で、膝の不安定感があまり強くない場合に選択する治療法です。 受傷から1〜2週間の急性期は、膝の腫脹や痛みがある時期のため、ある程度痛みが治るまでは負担をかけないように松葉杖やサポーターなどを使用します。また、痛みのない範囲で、早期から関節可動域訓練やストレッチなどを開始し、治療を進めていきます。 3週間程度で徐々に膝が動かせるようになり、装具を使用しながら筋力トレーニングやランニングなどを開始できるでしょう。その後、3カ月程度で8割を目安に筋力が回復したら、スポーツ復帰が可能です。 手術療法 後十字靭帯損傷(断裂)が重度で、保存療法では効果的な回復が見込めない場合には手術を選択します。手術は通常全身麻酔で行われます。 手術では、断裂した靱帯同士を縫合するのが難しいため、代わりにもも裏の筋肉(ハムストリング)の一部を採取し、靱帯のように形成して移植する方法が一般的です。 手術後は、膝を固定するために装具を使用し、術後3週間程度は体重をかけないようにします。入院期間は病院によって異なるものの、通常は膝に体重をかけられるようになると退院が可能です。 なお、後十字靭帯損傷の手術は、50万円前後の費用がかかるとされています。基本的には高額療養費制度の適応となるため、自己負担は軽減されます。高額療養費制度に関しては、加入している健康保険窓口で問い合わせてください。 再生医療 再生医療は、後十字靭帯損傷(断裂)を含めた膝関節の新しい治療法として注目されています。再生医療とは、損傷した靭帯や組織を修復するために体の自然治癒力を活用する治療法です。 再生医療には、主に以下の2種類があります。 幹細胞治療 患者自身から採取した幹細胞を膝関節内に注入する 炎症や痛みを抑えて、損傷部位の修復や改善を促進する効果が期待できる PRP療法 患者自身の血液から抽出した多血小板血漿(PRP)を膝関節内に注入する 成長因子の働きを利用し、損傷部位の修復を促進する効果が期待できる なお、リペアセルクリニックの再生医療では、採取する際の安全性が高く、体への負担が少ないとされている脂肪由来の幹細胞を使用しています。再生治療について詳しく知りたい方は、気軽にメール相談やオンラインカウンセリングをご利用ください。 運動療法(リハビリや筋トレ) 後十字靭帯損傷(断裂)後の回復において、リハビリテーションや筋力トレーニングなどの運動療法はとても重要です。適切な運動療法は、膝の可動域を回復させるだけではなく、筋力を強化して膝の安定性を高めることにつながります。 後十字靭帯損傷後の運動療法は、主に以下の要素を含みます。 膝関節の可動域訓練 筋力強化訓練 バランストレーニング 競技に特化した専門的なトレーニング とくに、スポーツ復帰を目指す場合はリハビリテーションが治療の中心的な役割を占めます。また、運動療法は、将来的な再発リスクを減らすためにも欠かせないプロセスの一つです。 ▼ 後十字靭帯損傷のリハビリにおける禁忌事項については、以下の記事で詳しく解説しています。 後十字靭帯損傷(断裂)の放置は後遺症のリスクを高める 後十字靭帯損傷(断裂)を放置すると、後遺症のリスクが高まるため注意が必要です。後十字靭帯損傷の主な後遺症として、以下のような症状が挙げられます。 膝の不安定性 膝の痛みの慢性化 膝のぐらつき 半月板損傷 変形性膝関節症 膝が不安定な状態のまま日常生活を送ると、大腿骨と脛骨の動きが通常よりも大きくなり、膝全体にストレスがかかります。この状態が長期間続くと、膝の軟骨や半月板などまで損傷が広がりかねません。 さらに悪化すると膝関節が変形してしまい、極端なO脚やX脚になってしまう可能性があるため注意してください。膝の痛みは放置せず、早めに医療機関を受診しましょう。 まとめ・後十字靭帯損傷(断裂)は早めに医療機関を受診しよう 後十字靭帯は膝を安定させるために重要な役割を果たしています。たとえ膝の痛みが軽い場合であっても、放置すると日常生活に支障が出るケースも少なくありません。 後十字靭帯を損傷(断裂)したら、損傷の程度やスポーツ復帰への希望有無など、状況に合わせて保存療法や手術療法などを選択します。そして、それぞれの治療方法に適したリハビリテーションを行い、膝の機能の回復に努めることが大切です。 少しでも膝に違和感を感じている場合は、自己判断で放置せず、早期に専門医を受診してください。 「これくらいの症状で病院に行くべきか迷っている」「どこに相談すればいいのか分からない」という方は、当院(リペアセルクリニック)の無料電話相談をご活用ください。 症状やご状況を丁寧にお伺いし、適切な対応や治療の選択肢をご提案いたします。 ▼以下をクリックでご自宅からでも簡単に相談いただけます。 >>0120-706-313(受付時間:9:00〜18:00) ▼ 変形性膝関節症について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。 後十字靭帯損傷(断裂)の治療に関するよくある質問 ここでは、後十字靭帯損傷(断裂)の治療に関するよくある質問をまとめました。 後十字靭帯損傷(断裂)の完治にはどれくらいの期間がかかる? 後十字靭帯損傷(断裂)の完治にかかる期間は、損傷の程度によって異なります。 保存療法の場合、一般的には2〜4カ月程度のリハビリテーション期間を経て、膝の安定性が回復する傾向です。また、手術療法の場合は、最終的なスポーツ復帰までには10〜12カ月かかると考えましょう。 後十字靭帯損傷(断裂)を早く治す方法はある? 後十字靭帯損傷(断裂)を早く治すためには、 早期の受診と適切な治療がとても重要です。 後十字靭帯損傷の治療にはさまざまな方法があるものの、いずれの場合もリハビリテーションが欠かせません。医師や理学療法士などの指導のもと、早期から継続的なリハビリテーションを行うことで、早い回復が期待できるでしょう。
2023.09.11 -
- 関節リウマチ
- ひざ関節
- 膝部、その他疾患
関節リウマチは全身の関節に炎症が起こり、痛みや腫れを起こす病気です。 進行すると関節の変形や機能の障害を残してしまいます。 関節リウマチでは膝の痛み、膝の腫れも多い症状です。 膝が痛いとき、変形性膝関節症と考え「年のせいでは?」と悩んでいる方もいるでしょう。 もし関節リウマチだった場合に放置していると、悪化してしまう可能性もあります。 この記事では関節リウマチによる膝関節炎の症状や治療法について解説していきます。 膝の痛みでお困りの方はぜひ参考にしてみてください。 膝の関節炎とリウマチの違い 関節炎とリウマチの違いは、大きく分けると以下の通りです。 関節炎 さまざまな原因で関節に起こる炎症の総称 リウマチ 関節炎を起こしている症状の1つ たとえば関節リウマチでは、自分の体を細菌やウイルスから守る免疫の異常によって関節の滑膜に炎症が起こります。 関節リウマチが起こると痛みや腫れを感じるでしょう。 関節リウマチは無治療のままで放置してしまうと、関節が変形など機能的な障害をきたすので注意しましょう。 以下の記事では関節炎の1つ「化膿性関節炎」について解説しています。 治療法や再発予防もまとめたので、具体的な症状なども把握しておきたい方は、ぜひご覧ください。 リウマチが発症する主な原因や症状 関節炎とリウマチの違いが理解できても「気づかないうちに痛みを感じるようになった」方もいるでしょう。 ここからは、リウマチになる主な原因と症状を順番に解説していきます。 関節リウマチの主な原因 関節リウマチの多くは40〜60歳代頃の中高年女性に発症します。 正確な原因はまだ明らかになっていませんが、自己免疫疾患とも言えるでしょう。 自分の組織に対して攻撃する抗体が作られてしまい、関節内の滑膜にリンパ系の細胞が集まって炎症性の物質が作られるのが原因とも考えられています。 【リウマチの発症が疑われるサイン】 起床時に関節部分がこわばっているように感じる 関節が腫れている 関節が熱っぽい 力が入りにくい 日常生活の作業が上手くいかない 家族にリウマチの患者がいる など 上記の症状が感じられる方はリウマチになっている可能性があるので、しっかり検査しておきましょう。 発症には遺伝的な要因や喫煙、歯周病などが関連しているとわかっています。 発症すると関節炎によって痛みや腫れを起こし、進行すると関節の変形を生じてしまうため、早期の発見と治療が大切です。 リウマチによる膝関節炎の症状 関節リウマチで多い症状は手や足の指の腫れ、痛み、朝のこわばりなどです。 膝関節で滑膜が増殖して炎症を起こすと膝関節炎をきたしてしまいます。 膝関節炎の主な症状は以下の通りです。 膝が腫れる 膝に水が溜まる 歩くときや階段での痛みを感じる 膝が曲がらない など 膝の痛みは膝裏に起こるケースが多く、曲げ伸ばしのときに音が生じた経験もあるでしょう。 炎症が強い場合には安静にしていても歩けないくらいの激痛が生じる場合もあるので注意してください。 なお、リウマチはあくまで関節炎の1つなので、以下の表で似ている症状をまとめました。 病名 主な症状 膠原病(こうげんびょう) 関節に痛みを感じたり血管症などの症状がある 線維筋痛症 手足の関節だけでなく筋肉に激痛を感じるケースがある 比較的女性が発症しやすい 関節炎とリウマチの違いについてだけでなく、細かい症状の違いや治療法などが気になる方は、以下の記事で詳しく解説していきます。 膝関節炎を放置するリスク 膝の関節炎を放置しておくと、関節の軟骨がなくなってしまうだけでなく、徐々に関節の変形が進んでいきます。 日常生活を送る上で「多少の痛みだから」と放置しすぎてしまうと、膝の曲げ伸ばしが難しくなるので注意してください。 骨同士のぶつかりだけで痛みを感じる可能性もあるので、症状が悪化してしまいます。 関節の変形を生じさせないためにも、早期の発見と治療が大切です。 リウマチによる膝関節炎の診断方法 リウマチの診断は問診、身体診察と血液検査、画像検査などを組み合わせて総合的に行います。関節が腫れて、痛む病気は複数あり、検査だけで関節リウマチと診断できない場合があるからです。 関節リウマチの診断基準を使用して診断を行うので、専門家である医師の診断が必須となります。 現在では2010年に米国、欧州リウマチ学会が合同で発表した分類基準を使用するケースが大半です。(文献1) 以下の4項目についてそれぞれ点数をつけ、合計して6点以上であれば関節リウマチと診断します。 診断基準 症状がある関節の数 症状が続いている期間 血液検査での炎症反応の数値 血液検査でのリウマトイド因子や抗CCP抗体の数値 血液検査では、リウマトイド因子や抗CCP抗体が重要で、多くの関節リウマチで陽性になります。 しかし、両方とも陰性でも関節リウマチと診断されたり、陽性でも関節リウマチではなかったりもします。 炎症反応は活動性を反映する指標ですが、リウマチ以外でも上昇する可能性もあるので診断結果は要チェックです。 画像検査は診断基準には含まれませんが、単純レントゲン写真では「骨びらん」と呼ばれる骨の異常な透過性がみられる場合があります。 関節エコーやMRI検査も滑膜炎の範囲、程度を評価するのに有用です。 リウマチによる膝関節の治療法 リウマチによる膝関節の治療法は、日常生活で応急処置をする方法はもちろん、専門医からお薬を処方してもらう方法などがあります。 ここからは、自宅でできる応急処置から薬物治療などの治療法を解説していきます。 体や関節を保温する 膝の関節炎だけでなく、体の関節が動かしにくいと感じた場合、患部を保温すると効果が期待できます。 冬場はもちろん、夏場の冷房があたるのも避け、長袖や長ズボンを着用しておくのがおすすめです。 患部を保温しておくと関節部分の血液がよく流れ、こわばりなどの症状を軽減する効果が期待できるのです。 関節が腫れている場合は炎症が起きている可能性があるので、保温以外の治療法を選択する必要があります。 以下の記事では、関節リウマチの初期症状や治療を詳しくまとめているので、あわせてご覧ください。 食事や姿勢などの私生活を見直す 関節リウマチの患者様は、食生活だけでなく姿勢改善などを普段から実施してもらうのがおすすめです。 症状を悪化させないためにも、以下のポイントには要注意です。 砂糖や加工食品を摂取しすぎない 激しい運動を控える 首に負担をかけない 同じ姿勢を長時間とる 重いものを持つ 正座をする 喫煙をする ストレスを溜める など 詳しい改善項目は、以下の記事でまとめているので、ぜひ参考にしてください。 専門医から抗リウマチ薬を処方してもらう リウマチの治療法は基本的に薬物治療です。 リウマチと診断した早期から、抗リウマチ薬を開始し、痛みの程度に応じて炎症を抑えるステロイドや、鎮痛薬を併用します。 薬物治療を開始しても膝関節炎の症状が続く場合にはサポーターを使用したり、膝関節に注射をしたりする方法があります。 日本リウマチ学会による2020年のガイドラインから代表的なお薬を以下の一覧でまとめました。(文献2) 抗リウマチ薬 メトトレキサート(第一段階) 生物学的製剤やJAK阻害薬(第二段階) 関節リウマチはこれまで治療が難しく、関節の変形が進行してしまう患者様も多かったのですが、現在では薬剤の種類も多くなっています。 効果が高いお薬もあるため、適切に治療すれば症状を抑えられます。 しかし、膝の関節炎が治まらず、関節の変形や破壊が進行した場合、人工関節置換術などの手術治療が行われるので不安に感じている方もいるでしょう。 膝の痛みは現在、⼿術をしなくても治療できる時代になっているので、気になる方は気軽にお問い合わせください。 まとめ・関節炎とリウマチの違いを把握して適切な治療を行おう! 関節リウマチによる膝関節炎は、日常生活に大きな影響を与える深刻な疾患です。 膝の痛みや腫れを放置すると、関節の変形や機能障害が進行し、歩行困難や日常生活の質の低下を招く恐れがあります。 しかし、早期発見と適切な治療を行えば、症状の進行を抑え生活の質を維持できます。 関節リウマチの診断には、問診や身体診察、血液検査、画像検査が用いられるので、専門医による診断が必須です。 リウマトイド因子や抗CCP抗体の検査結果が重要な診断指標となり、診断基準に基づいて総合的に判断されます。 自己判断で治療を中断したり放置したりせず、定期的な診察と検査を受けるよう心がけましょう。 日常生活では関節に負担をかけないように注意し、適度な運動やストレッチを取り入れるのも大切です。 関節リウマチの早期発見と適切な治療を通じて、健康的で快適な生活を維持しましょう。
2023.09.10 -
- 靭帯損傷
- ひざ関節
後十字靭帯損傷(こうじゅうじじんたいそんしょう)とは、膝の関節内にある後十字靭帯の損傷を指します。 主に車の事故やバイク事故、ラグビーなどのコンタクトスポーツで他人と衝突して生じ、痛みや症状改善についてお悩みの方も多いことと存じます。 そこで本記事では、後十字靭帯損傷の治療方法やリハビリにおける禁忌事項について解説します。読者の方々の一助となるべく、分かりやすく内容をまとめているのでぜひご一読ください。 後十字靭帯損傷の治療法 後十字靭帯の単独損傷では、大腿四頭筋訓練を中心とした保存療法が行われます。 膝動揺性抑制装具(サポーター)を装着して早期から痛みの無い範囲で可動域訓練を行い、筋力低下を最小限にとどめるようにします。受傷初期は疼痛緩和と安静を兼ねてギプス固定を行うこともあります。 後十字靭帯単独損傷の場合には多少の緩みが残ってもスポーツ活動に支障をきたさないことが多いです。このことから、軽度な症状の場合には先ずは保存療法を試みるようにします。 以下の記事では、靭帯損傷の原因や治療法について解説しているので、あわせてご覧ください。 後十字靭帯損傷のリハビリにおける禁忌 後十字靭帯損傷におけるリハビリの禁忌として以下の事項が挙げられます。 しゃがみ・膝立ち 正座 膝に直接負担をかける行為は症状を悪化させる危険性があり、完治を妨げる要因ともなります。 また、後方へのストレス(不安定性)が強く、日常動作に不自由を感じる際は靭帯再建術を考慮しなければなりません。速やかに最寄りの医療機関または当クリニックにご相談ください。 なお、当院も専門領域なので、不安がある方は下記のバナーをクリックのうえ、お気軽にお問い合わせください。 後十字靭帯損傷の完治期間 https://youtu.be/ZYOV-Er0mnU?si=krijmhYRz9t7Ggd_ 後十字靱帯損傷の完治までの期間・道のりとしては、ハムストリングスを用いた再建術後の理学療法、術直後には免荷で膝装具0° 固定し等尺性筋収縮運動を行います。 1〜2週間で部分荷重、スクワット運動開始とします。4週間で全荷重、4カ月でジョギング、水泳などのスポーツ復帰が可能となります。 期間 トレーニング内容 1〜2週間 部分荷重、スクワット運動開始 4週間 全荷重 4カ月 ジョギング、水泳などのスポーツ復帰 上記の期間を経て、全治までには数ヶ月を要します。 後十字靭帯損傷の予後は比較的良好とされていますが、自然治癒するわけではないことを覚えておきましょう。 最近では、早期の競技復帰を望むアスリートの間などで靭帯組織の修復に期待できる「再生医療」が注目されています。 ▼再生医療について詳しく見る 後十字靭帯損傷の診断方法 脛骨の後方ストレスへの不安定性とMRI画像で後十字靭帯断裂を確認し、後十字靭帯損傷を診断できます。 また、レントゲン写真では骨折の有無の判別が可能です。 くわえて、後十字靭帯損傷の診断方法のひとつにsagging(サギング)テストがあります。 脛骨が落ち、関節に窪みが生じていれば後十字靱帯断裂を疑います。 そもそも後十字靭帯損傷とは 後十字靭帯は、膝関節の中で前十字靭帯とともに関節を強固に連結している靱帯です。 大腿骨(太ももの骨)の内側と、脛骨(すねの骨)の中央をつなぎ、前十字靭帯と十字のかたちに交差して膝関節を支えています。普段は膝関節のひねる動作を支えたり、脛骨が後ろにずれないように支えるように働いたりしています。 後十字靭帯損傷は、膝裏にあたる位置にある靭帯損傷のことであり、後十字靭帯が一部あるいは完全に断裂した状態を指します。 また、混同しやすい傷病名として「後十字靭帯断裂」が挙げられます。詳細が気になる方は、以下の記事をご確認ください。 後十字靭帯損傷の原因 スポーツ外傷や交通事故などで、脛骨上端に、前から後ろへ向く大きな力が加わることで後十字靭帯が損傷するケースが多いとされています。 具体的には、以下のような受傷機転が考えられます。 交通事故 ダッシュボード損傷とも言われ、車が急停車しダッシュボードに膝(脛骨の上端部)をぶつけることによって起こります。 転倒 膝を90°曲げた状態で転倒すると脛骨が後ろへ押し込まれるため受傷します。 コンタクトスポーツ(ラグビーなど) 膝下にタックルを受けることで、後十字靭帯を損傷することがあります。 後十字靭帯損傷の症状 後十字靭帯損傷の症状を解説します。 急性期(受傷後3週間くらい) 膝の痛みと可動域制限がみられますが、歩ける場合が多いです。しばらくすると腫れ(関節内血腫)や、膝窩部の皮下出血が出現することもあります。 痛い部位は、膝の裏となります。また、脛骨に後方へのストレスをかけると、膝窩部に激痛がみられます。 急性期を過ぎると 痛み・腫れ・可動域制限はいずれも軽快してきます。しかしこの頃になると損傷部位によっては膝の不安定感が徐々に目立ってくることがあります。下り坂やひねり動作の際に症状が顕著となります。 慢性期の症例(受傷から時間がたった場合) 前十字靭帯損傷と比べると膝の機能障害は軽度ですが、歩行やスポーツ時に脛骨の後方ストレス(不安定感)を感じます。 また、関節軟骨変性による膝蓋大腿関節や内側の関節裂隙の圧痛や、仰向けで膝関節を90度屈曲すると、脛骨近位端が後方へ移動する落ち込み徴候(サギングサイン)が確認できます。 不安定感を放置してしまうと半月(板)損傷や軟骨損傷などを新たに引き起こし、慢性的な痛みや腫れ(水腫)が出現するおそれもあります。 まとめ|後十字靭帯損傷にお悩みの方は再生医療に注目 靱帯損傷は、靭帯の一部あるいは全部が断裂してしまうことです。 当院では、自己脂肪由来幹細胞治療やPRP療法を行っています。 後十字靭帯損傷後に膝の不安定感があったり、スポーツに早期復帰したいという方のために、膝の靭帯損傷をより早く治すために再生医療を提供しています。ご興味のある方は、ぜひ一度当院の無料相談を受けてみてください。 参考文献 膝の最前線. 理学療法科学 第23巻2号 「膝靭帯損傷」|日本整形外科学会 症状・病気をしらべる プライマリケアのための関節のみかた 下肢編(2)―膝(下)[臨床医学講座より] - 医科 - 学術・研究 | 兵庫県保険医協会
2023.09.07 -
- 靭帯損傷
- ひざ関節
「膝の外側に痛みがあり、動かすたびに不安定感を感じる..」 このような症状に悩んでいる方もいらっしゃるのではないでしょうか。 外側側副靱帯損傷は、日常的に頻発する怪我ではないものの、適切な治療がなければ膝の機能に後遺症が残りやすく、場合によっては手術が必要になることもあります。とくにスポーツや事故による強い衝撃で起こることが多く、早期の診断と治療が重要です。 当院では、このような外側側副靱帯損傷に対して、再生医療も含めた治療法を提案し、患者様に合った治療選択ができるようサポートしています。本記事では、外側側副靱帯損傷の原因や症状、治療方法について詳しく解説し、適切な対策を知るための知識をお伝えします。是非お読みいただき、膝の健康を守るための一助となれば幸いです。 外側側副靭帯損傷とは 外側側副靱帯(がいそくそくふくじんたい)損傷は、膝の外側にある靭帯がスポーツや交通事故で外傷による損傷する怪我です。膝の関節は太ももの骨である大腿骨(だいたいこつ)とすねの骨である脛骨(けいこつ)、お皿の骨である膝蓋骨(しつがいこつ)からできています。比較的平らな面同士が合わさってできており、安定性に欠くため、大腿骨と脛骨の間を別の組織で補強しています。 外側側副靱帯損傷は、いくつかある靭帯損傷の中でも、比較的まれな怪我ですが、他の靭帯と一緒に損傷することが多く、場合によっては手術が必要になります。 なお、靭帯損傷の原因や治療法については、以下の記事が参考になります。 「三段階」に分かれる症状 靭帯は膝関節を補強する組織の1つで、骨同士を固い組織でつなぎ、膝の安定性を高めています。外側側副靱帯は膝の外側にあり、膝の内側からの衝撃に抵抗する靭帯です。そのため、膝の内側から強い衝撃が加わると、外側側副靱帯にストレスが加わり、場合によって靭帯が傷ついたり、ちぎれたりして、外側側副靱帯損傷を引き起こします。 外側側副靱帯損傷の症状は損傷の程度に応じて三段階に分かれ、それぞれ異なる治療が必要になります。 症状の概要 具体的な症状 軽度の損傷 靭帯の微細な損傷で、腫れや軽度の痛みを伴いますが、膝の不安定さはありません。通常、数週間で自然に回復します。 中程度の損傷 靭帯が部分的に断裂し、腫れや痛みが強くなり、膝が少し不安定になることがあります。安静とリハビリが必要で、回復まで数カ月かかることもあります。 重度の損傷 靭帯が完全に断裂し、膝の強い不安定感を伴います。手術が必要となる場合が多く、回復には長期間のリハビリが必要です。 外側側副靱帯損傷の原因 外側側副靱帯は靭帯損傷の中でも比較的めずらしい怪我です。単独で生じることは少ないですが、外側側副靱帯が損傷している場合の特有の症状や原因があります。 外側側副靱帯損傷の原因は大きく分けて、スポーツ中の接触と交通事故に分けられます。スポーツでは、サッカーやラグビーのタックルや柔道の足払いなどで膝の内側に強い衝撃が加わり、外側側副靱帯が強制的に伸ばされて起こります。 交通事故の場合も、スポーツ同様に膝の外側が無理に伸ばされるような衝撃を受けることで、外側側副靱帯が損傷されるのです。どちらにせよ強い衝撃が原因となるため、外側側副靱帯が単独で損傷することは少なく、他の靱帯や半月板といった組織の損傷と合わさる場合が少なくありません。 外側側副靱帯損傷の症状 外側側副靱帯の損傷の症状は、膝の外側の痛みや腫れです。また、膝から下が内側に傾くような動きが生じると、傷ついた靱帯が伸ばされるため、痛みを生じます。たとえば、あぐらをかいた場合に膝の外側が痛い状態です。外側側副靱帯を損傷した状態で放置すると、膝がグラグラするように不安定感が生じます。 外側側副靱帯損傷の診断 外側側副靱帯が損傷しているかどうかは、以下の方法で診断されます。 診断方法 ・徒手検査(としゅけんさ) ・画像診断 それぞれの診断について具体的に解説します。 徒手検査(ストレステスト) 患者を仰向けに寝かせた状態で膝の内側と足首の外側を持ち、膝から下を内側に動かすように力を入れて、外側側副靱帯にストレスを加える内反(ないはん)ストレステストと呼ばれる検査をします。内反ストレステストで、痛みや関節が通常より大きく動く不安定性を認めた場合は、外側側副靱帯損傷が疑われます。 膝を軽く曲げた状態と完全に伸ばした状態といった両方の姿勢で検査を行い、膝屈曲位で症状が出た場合は外側側副靱帯の損傷、伸ばした状態で症状が出た場合は、他の靱帯の損傷も疑うことが必要です。 画像診断 外側側副靱帯の損傷はレントゲンでは異常を示しづらく、詳細な診断にはMRIを用います。MRIだと他の靭帯や半月板などの組織もはっきりと写るため、複合損傷や合併症の確認にも有効です。膝の痛みは⼿術しなくても治療できる時代です。 外側側副靱帯損傷の治療 外側側副靱帯損傷の治療外側側副靱帯の損傷の治療方法は手術を行わない保存療法と、手術を行う手術療法に分けられます。それぞれの治療方法について具体的に解説します。 保存療法 外側側副靱帯のみの損傷で、膝の不安定感が少なく、日常生活に大きな支障がなければ、手術による外科的な治療を行わない保存療法が選択されます。保存療法には装具療法やリハビリテーションがあります。 装具療法(テーピング・ギプスなど) 外側側副靱帯損傷により、膝が不安定になれば、さらなる損傷や膝周辺の痛みを伴うリスクが高まります。そのため、テーピングやギプスを着用して、膝の安定性を高めれば、外側側副靱帯へのストレスを減らせます。まず、怪我の直後(約1〜2週間)は、痛みや腫れが強い場合が多いため、膝の負担を軽減する目的でギプスや専用の装具で完全に固定します。この間は、膝にかかる負担を極力減らし、できるだけ安静にすることが重要です。 装具やサポーターの使用方法 以下は具体的な装具使用の目安です: 装着期間:リハビリ初期から約1〜3カ月間、必要に応じて日中はサポーターを着用する。 強度と頻度:日常生活では中等度のサポート力があるサポーターを使用し、膝の安定感を補います。運動や軽いトレーニング時には、強度が高いサポーターに切り替え、膝にかかる負担をさらに軽減します。 装着時間:運動や立ち仕事をする際には常に装着し、リラックスする時間帯や寝るときには外して膝を休ませるようにします。 リハビリテーション リハビリテーションでは、膝の安定性を高め、再発を防ぐために膝周辺の筋力を鍛える筋力トレーニングが行われます。初期の段階では、膝への負担が少ない静的な筋力トレーニングから始め、太ももやふくらはぎの筋肉を強化します。たとえば、週に3〜5回、各10〜15分程度の軽いトレーニングを推奨します。 トレーニングの例 静的トレーニング:たとえば「クアッドセッティング」(太ももの筋肉を収縮させる運動)や、「かかと押し運動」などを行い、膝に負荷をかけず筋力をつけます。 負荷の強化:リハビリが進むにつれ、少しずつ動的な運動やスクワットなどを加えて、膝周りの筋力を強化します。 関節の可動域を広げるストレッチと練習 装具で固定していたことによる関節の動きの制限を改善するため、1日に数回、各5〜10分程度のストレッチや可動域練習を行います。膝の柔軟性を取り戻すため、次のようなストレッチを行います。 ストレッチ例:「太ももの裏を伸ばすストレッチ」や「膝を曲げ伸ばしする運動」をゆっくりと行い、膝関節の動きをスムーズにします。 手術療法 複合靭帯損傷の場合や膝の不安定性が強い場合は、手術による治療が適応になります。手術は損傷した靱帯を他の部分の靱帯を使って再建する靱帯再建術が実施されます。手術後は状態に合わせて段階的なリハビリテーションが必要です。その後、スポーツ復帰して試合などの通常に戻れるまでは、3〜6カ月の治療期間がかかります。 再生医療 複合靭帯損傷や膝の不安定性が強い場合、一般的には靱帯再建術などの手術が適応され、損傷した靱帯を他の部位の靱帯を用いて再建します。手術後は状態に合わせた段階的なリハビリテーションが不可欠で、通常、スポーツや試合に完全復帰するまでに3〜6カ月の治療期間が必要です。 近年では、従来の手術やリハビリだけでなく、**再生医療(幹細胞治療やPRP療法)**も注目されています。再生医療は損傷した組織の再生を促し、後遺症を軽減しながら短期間での回復が期待できる治療法です。この治療は、スポーツ選手や早期の回復を望む人、後遺症や再発を防ぎたい人におすすめです。 再生医療の特徴と効果 特徴:幹細胞やPRP(自己血小板血漿)を用いることで、膝靱帯の損傷部位の組織再生を促進します。 効果:従来治療と比べ、短期間での回復が期待でき、後遺症の軽減や再発の防止に効果的とされています。 幹細胞治療 幹細胞治療は、人体にある「幹細胞」という、さまざまな組織に変化する能力を持つ細胞を利用した再生医療の一つです。幹細胞は通常は活動しませんが、体内の損傷や細胞減少を感知すると、分裂して傷ついたり不足している細胞に変わり、体の機能を修復します。 当クリニックでは、自己脂肪から採取した幹細胞を培養・増殖し、関節や組織に注入する「自己脂肪由来幹細胞治療」を行っています。この治療では、患者自身の細胞を使用するため、アレルギーや拒絶反応のリスクが低く、安全性の高い技術として注目されています。 幹細胞治療は、スポーツ障害や関節疾患の他、脳卒中や脊髄損傷、糖尿病、肝疾患などにも対応でき、さまざまな疾患への適応が期待されています。直接注射が難しい部位には、静脈注射によって幹細胞を体内に導入し、全身を巡らせることで臓器や組織の修復を促します。 PRP治療 PRP(Platelet Rich Plasma:多血小板血漿)治療は、再生医療の一種で、患者自身の血液から血小板を高濃度に抽出して患部に注入し、体の持つ「治癒力」を活性化させる治療法です。PRPには血小板が豊富に含まれており、血小板が分泌する成長因子が傷ついた組織の修復を促します。この治療により、痛みを軽減し、自己治癒力を高める効果が期待されます。 PRP治療の基本原理は、損傷した部位に新たな「ケガ」を作り出すことです。これにより、治癒が停滞していた組織が「損傷を受けている」と認識し、血小板成分による炎症反応と自己修復が再び活性化します。PRPには通常の血液の3〜5倍もの成長因子が含まれ、これが損傷した組織や細胞の修復を促進するため、早期の改善が期待できます。 外側側副靱帯損傷の治療選択は医師の診断で 外側側副靱帯損傷は、頻度が高い怪我ではありませんが、治療をせずに放置すると、膝の痛みや損傷部位の悪化を招く危険性があります。 診断には徒手検査やMRIなどの画像診断が用いられ、損傷の程度や他の合併症の有無が確認されます。治療法としては、保存療法(装具やリハビリによる膝の安定強化)が軽度の場合に適用され、重度の損傷や複合損傷には靱帯再建術などの手術が行われます。手術後は段階的なリハビリを必要とし、回復には数カ月を要します。 近年では、再生医療(幹細胞治療やPRP療法)も選択肢の一つとして注目されており、組織の再生を促し、回復期間を短縮させる効果が期待されています。とくに後遺症や再発を避けたい場合には再生医療も検討することをおすすめします。 膝の外側が痛んだり、膝がグラグラするような不安を感じたりした場合は、できるだけ早めに整形外科に受診しましょう。
2023.09.04 -
- 靭帯損傷
- ひざ関節
「ランナー膝の治し方を知りたい」「ランナー膝の原因って何?」 ランニングなどによって膝の痛みが出るランナー膝ですが、原因や改善策を知りたい方も多いのではないでしょうか。 ランナー膝は、適切な対策を取らないと慢性的な痛みへと発展する恐れがあります。 多くのランナーが悩む症状ですが、実は自宅でも改善できる方法もあります。 この記事では、症状を軽減する方法から、予防対策まで具体的に解説していきます。最後まで読めば、ランナー膝をぜひ最後までお読みください。 ランナー膝(腸脛靭帯炎)の治し方3選 ランナー膝(腸脛靭帯炎)は、膝の外側に痛みが生じるスポーツ障害です。とくに長距離ランナーに多く見られ、初期の対処が重要です。治療法は主に以下の3つがあります。 保存療法(安静・ストレッチ・リハビリなど) 運動環境・フォームの改善療法 外科的治療・再生医療 まずは自宅でできる保存療法、次はフォームや運動環境の改善、最後に外科の治療や再生医療といった選択肢です。ここからは、それぞれの方法について詳しく解説していきます。 保存療法(安静・ストレッチ・リハビリなど) 保存療法は、ランナー膝の最も一般的な治療法です。 痛みや炎症がある場合はランナー膝の原因となる運動を中止し、安静にするよう心がけましょう。膝をアイシングしたり、湿布を使ったりするのも効果的です。 炎症が改善したら、大腿筋膜張筋や股関節外側部を中心としたストレッチを行います。 リハビリで筋力を回復させることで、再発予防にもつながります。(文献1) 運動環境・フォームの改善療法 ランナー膝は、走る際のフォームや、履いているシューズを変えることで改善できる場合があります。 上半身が左右に揺れたり、膝が内側に入ったりする走り方は、ランナー膝を悪化させる原因になりかねません。そのため、体幹や股関節、足首などを強化し、膝に負担がかかりにくいフォームに矯正する必要があります。 また、着地時の衝撃を吸収してくれるインソールや、膝の動きを支えるサポーターなどを活用するのも良いでしょう。(文献2) 運動環境やフォームの改善は、ランナー膝の治療だけでなく予防にも効果的です。とくに日常的にランニングをする方は、普段から正しい走り方を意識し、膝の負担を軽減するシューズの使用がおすすめです。 外科的治療・再生医療 症状によっては外科的治療や再生医療も選択肢に含まれます。 ランナー膝の外科的治療は一般的でないものの、保存療法で効果が見られない場合や、難治性と診断された場合は手術を検討します(文献3)。 また、PRP療法をはじめとする再生医療を実施するケースもあります。PRP療法は、自分の血液から抽出した成分を注入し組織の再生を促進する方法であり、炎症の抑制や痛みの軽減が期待できます。 膝の痛みを再生医療を用いて治療する方法は、以下の記事もご覧ください。 ランナー膝(腸脛靭帯炎)における原因 ランナー膝(腸脛靭帯炎)は、膝の外側に痛みを引き起こすランニング障害です。 主な原因は以下の2つにわかれます。 ランナー膝の原因 詳細 選手側の問題 筋力のアンバランス 柔軟性の不足 O脚(内反膝) 練習内容や環境の問題 オーバートレーニング 不適切な靴 選手側が要因となるO脚では、腸脛靭帯が大腿骨に擦れやすく炎症のリスクを高めます。 また、オーバートレーニングのほか、下り坂・不整地でのランニングも摩擦が増して症状を悪化させる要因です。 ランナー膝(腸脛靭帯炎)の症状 ランナー膝(腸脛靭帯炎)は、膝の外側に痛みが生じる症状が特徴です。 軽症の場合、スポーツ後に痛みが出る程度ですが、放置すると中等症へ進行し、プレー中にも痛みを感じるようになります。 悪化すると、スポーツをしていないときでも痛みが現れ、日常生活にも影響する可能性があります。 重症化すると手術などの外科的治療が必要になり、入院やリハビリ期間が長引く可能性が高くなるため、膝の痛みを感じたら早めに整形外科に相談しましょう。 ランナー膝(腸脛靭帯炎)の診断 ランナー膝(腸脛靭帯炎)は、ランニングやジャンプの動作時や日常生活での痛み、膝の外側の圧痛の有無をヒアリングすることで診断されます。 また、レントゲンやMRIなどの画像診断や、「グラスピングテスト」と呼ばれる方法を用いて診断するケースもあります。 まとめ|ランナー膝は保存療法で効果が見られないなら他の治療法も検討しよう ランナー膝の治療は、保存療法だけでなく、予防対策を意識した運動環境・フォーム改善療法も並行しておこないます。再発を繰り返す場合や難治性と診断された場合は、手術療法や再生医療といった選択肢も検討しましょう。 当院「リペアセルクリニック」では、自己の幹細胞を用いた再生医療を提供しています。膝の靭帯部分に幹細胞を投与することで、手術なしで症状を改善できるケースもあります。 従来の保存療法や運動療法による治療で効果がみられない場合は、ぜひ当院の再生医療もご検討いただければ幸いです。 メールでの無料相談やオンラインカウンセリングも実施しておりますので、お気軽にご相談ください。 この記事がランナー膝の治療方法の選択肢を知るのに役立ち、治療を受けるきっかけになれば嬉しく思います。 ランナー膝(腸脛靭帯炎)についてよくある質問 ランナー膝(腸脛靭帯炎)ではどこをほぐすべきですか? ランナー膝の改善には、腸脛靭帯自体を直接ほぐすのではなく、大腿筋膜張筋や股関節、大腿部前面を重点的にストレッチするのが有効です。 フォームローラーやストレッチを使い、これらの筋肉を柔らかくし、症状の緩和と再発防止につながります。 ランナー膝のストレッチについては以下の記事もご覧ください。 ランナー膝でやってはいけないことは何ですか? ランナー膝の痛みを感じた際は、無理に動かさずスポーツを中止して安静にしましょう。とくに下り坂や傾斜がきついコースでのランニングは、膝に負担をかけやすいため控えるべきです。 負荷を調整しつつ、適切なストレッチやリハビリを行うことを意識してみてください。 ランナー膝を早く改善するポイントについては以下の記事でも解説しておりますので、ぜひご覧ください。
2023.08.31






