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大腿骨頭壊死とは、股関節を構成している大腿骨頭の血流がなんらかの理由で途絶えてしまい、骨が壊死してしまう原因不明の難病です。 主に以下のような初期症状が見られた場合は、要注意です。 骨頭壊死による初期症状は、壊死した骨が潰れることで痛みとして現れるため、痛みを感じた時にはある程度進行している可能性が高いです。 壊死した骨は自然治癒しないため、範囲が今以上に拡大する前に適切な治療を受ける必要があります。 当院リペアセルクリニックでは、手術をせずに大腿骨頭壊死の改善を目指せる再生医療による治療をご提供しています。 壊死した骨の切除や人工関節手術を避けられる治療法として注目されている治療法なので、手術を避けたい方は、ぜひ当院までご相談ください。 ▼再生医療に関するお問い合わせはこちら >>(こちらをクリックして)今すぐ電話してみる 大腿骨頭壊死とは 大腿骨頭壊死とは大腿骨頭の一部が、なんらかの原因で血流が途絶えてしまい、骨組織が壊死してしまう病気です。 大腿骨頭壊死の中でも、脱臼や骨折などで理由が明らかになっていれば「特発性大腿骨頭壊死症」と認められています。 特発性大腿骨頭壊死症に認められると、治療が長期化するだけでなく、働く能力も落ちてしまう症状も出るため、早期発見が推奨されています。 日本でも毎年2,000〜3,000人ほど特発性大腿骨頭壊死症に発症し、中でも30〜50歳の方が起こりやすい病気です。 大腿骨頭壊死の初期症状 大腿骨頭壊死の初期症状は、足の付け根が痛み、股関節の関節可動域が制限される症状が出ます。 それぞれの初期症状について、詳しく解説していきます。 足の付け根が痛む 大腿骨頭壊死の初期症状は、足の付け根が痛みはじめます。 注意点として血流が途絶えて壊死が起きるごく最初の段階では痛みは起こりません。 壊死に陥った部分に負荷が加わり、骨が潰れてくれて、徐々に痛みが出現します。 たとえば、関節に体重を乗せたり動かしたりすると、鋭い痛みを感じるケースがあります。 また、骨頭壊死が起こると痛みが出現するタイミングには時間的に差がある点に注意が必要です。 骨頭壊死はあっても、壊死の範囲が小さい場合などでは痛みを起こさない症例もありえます。 股関節の関節可動域が制限される 大腿骨頭壊死の症状が進行していくと、壊死した部分が潰れて大腿骨頭が変形します。 変形した結果、陥没した部分に関節の不適合や不安定性から軟骨のすり減りが進行してしまいます。 結果として「変形性関節症」を生じ、放置したままだと軟骨がなくなってしまうので注意が必要です。 骨同士がぶつかり、変形性関節症が悪化してしまいます。 変形性関節症が進行すると、痛みだけでなく、股関節の関節可動域が悪くなります。 股関節は曲げ伸ばしだけでなく、内旋、外旋などの動きがあるので、病気が進行すると日常生活で、以下のような困難さを感じるので注意しましょう。 大腿骨頭壊死で困難になる症状 胡座(あぐら) 爪切り 和式トイレ 階段の上り下り 筋力低下による歩行困難 起き上がりなどの起居動作 大腿骨頭壊死は、初期症状である「足の付け根の痛み」がある段階で早めに病院で診察を受けましょう。 「どんな痛みがあるの?」「どこが痛むの?」など、より詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。 大腿骨頭壊死が発症する原因 大腿骨頭壊死が発症する原因は、股関節の脱臼や骨折に続いて発症するケースがあります。 他にも以下のような症例から発症するケースもあるので、該当する病名がある方は注意してください。 糖尿病 鎌状赤血球貧血 腎臓病 アルコール依存症 痛風 ステロイド投与による副作用や喫煙が関連する可能性もあるため、強い衝撃による損傷のような痛みから発症するわけではありません。 なお、ステロイド投与やアルコールに関しては、国際的な基準が設けられています。 詳しくは以下の記事でまとめているので、あわせてご覧ください。 大腿骨頭壊死になったらやってはいけないこと 大腿骨頭壊死が発症した場合、大腿骨頭を圧迫させないのが重要です。 股関節に体重がかからないよう、杖を使ったり長距離の歩行を控えたりするのが大切です。 大腿骨頭壊死になったらやってはいけないことを以下にまとめたので、症状を患っている方はチェックしてみてください。 【大腿骨頭壊死になったらやってはいけないこと】 激しい運動 階段の昇り降り 重量物の運搬 長時間の立ち仕事 体重の増加 しゃがみこみ 前屈動作 飲酒 喫煙 とくに飲酒と喫煙は、壊死した骨を弱らせてしまうため、大腿骨頭壊死の進行度を早める原因になってしまいます。 大腿骨頭壊死になったら、股関節への負荷と飲酒・喫煙を控えるのが大切です。 以下の記事では、より詳しく「大腿骨頭壊死になったらやってはいけないこと」をまとめているので、ぜひご一読ください。 大腿骨頭壊死の診断方法 大腿骨頭壊死における画像検査にはレントゲンとMRI検査が有効です。 それぞれの特徴について解説していきます。 レントゲン撮影 大腿骨頭壊死でレントゲン撮影をするのは一般的な診断手法です。 大腿骨頭壊死の評価にも使用される診断方法です。 レントゲンは骨の形状や変化を評価でき、簡便なので最初の検査として行われるケースが多い傾向にあります。 しかし、大腿骨頭壊死の初期の段階ではレントゲンだけでは診断が難しいケースもあるため、医師と相談の上決めていきましょう。 MRI検査 MRI検査は大腿骨頭壊死の診断に役立ちます。 壊死の範囲を評価するだけではなく、骨折や関節炎など別の病気も診断可能になるからです。 大腿骨頭壊死の診断は、早期発見が重要になるものの、レントゲン撮影では変化が見られないケースもあるため、MRI検査が無難でしょう。 手術が必要な場合では、CT検査も必要になります。 なお、レントゲン撮影でも大腿骨頭壊死と判断つくケースもあるため、症状の進行度とともに医師と相談して判断していきましょう。 当院ではメール相談やオンラインカウンセリングも実施しているので、気になる症状がある方は気軽にご連絡ください。 大腿骨頭壊死の治療法 大腿骨頭壊死の治療法は年齢や本人の状態、病気の範囲、部位など総合的に判断して決定されます。 ここからは大腿骨頭壊死の治療法や入院期間について解説していきます。 保存療法 軽度の大腿骨頭壊死では、痛みを緩和するために安静や杖による免荷、身体活動の制限、重量物の運搬禁止などを行います。 初期症状の範囲では、関節症変化へと進まず可動域の制限も比較的保たれるため、生活指導が主な治療法です。 痛みに対しては消炎鎮痛薬の内服や湿布などを行います。 しかし、保存療法で病気の進行は防げません。 進行が考えられる状態や、進行しつつある状態のときには変形が進む前に手術を受ける方が改善する可能性は高くなります。 手術療法 手術は大きく骨を切って関節を温存する骨切り術と、壊死した骨を切除して金属に置き換える人工関節置換術に分けられます。 骨を切る手術では壊死した部分に体重がかからないように大体骨頭を弯曲させたり、回転させる手術が行われます。 骨を切った後は専用の金属で固定をするため、一定期間の安静が必要ですが、病気が進行する可能性はゼロではありません。 人工関節手術では大腿骨頭だけを置き換える人工骨頭置換術、骨盤側にも金属をいれる人工股関節全置換術があります。 基本的には手術翌日から歩行訓練が可能で、リハビリが早いメリットがありますが、人工関節のためスポーツは制限が必要であり、将来的な再手術の可能性もあります。 入院期間 大腿骨頭壊死で手術をした場合、以下の期間入院する必要があります。 手術法 入院期間 骨切り術 1〜2カ月 人工関節 2週間〜1カ月 大腿骨頭壊死は、骨への栄養補給する血流が途絶えて発症する病気ですが、詳しい原因は未だ不明です。 医療が進歩し、原因が判明すれば入院期間も変動する可能性もあるでしょう。 再生医療なら手術をせずに効果が期待できる! 大腿骨頭壊死は、骨切り術や人工関節手術など手術を避けたい方は、先端医療である「再生医療」も選択肢の一つです。 再生医療とは、人間の持つ再生力を活用し、損傷した骨組織の再生・修復を目指す医療技術です。 当院リペアセルクリニックでも、手術をせずに大腿骨頭壊死の改善を目指せる再生医療をご提供しています。 また、当院では患者さまから採取した細胞や血液のみを使用するため、アレルギー反応や拒絶反応のリスクが少ない治療を実施しています。 「手術を避けたい」という方は、ぜひ当院の再生医療をご検討ください。 ▼再生医療に関するお問い合わせはこちら >>(こちらをクリックして)今すぐ電話してみる まとめ・大腿骨頭壊死は早期の発見と治療が大切! 大腿骨頭壊死症は骨を栄養している血流が途絶えて発症する、現時点でも原因が不明の難病です。 初期症状は足の付け根の痛みであり、病気が進行すると人工関節手術を受けられなくなってしまうかもしれません。 当院の再生治療は幹細胞を股関節内に投与し、軟骨の修復が可能な治療法です。 痛みでお困りの際にはいつでも気軽にご相談ください。
2023.10.05 -
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「大腿骨頭壊死にはどんなステージ分類がある?」 股関節周辺に痛みを抱えている方の中には、上記のような疑問を抱えている方も多いのではないでしょうか。 結論、大腿骨頭壊死のステージ分類は、以下の通りです。 ステージ 目安となる状態 ステージ1 レントゲンで異常がなく、MRI検査などで壊死がわかる状態 ステージ2 レントゲンで異常があるものの、骨頭が潰れていない状態 ステージ3 骨頭が潰れているものの、関節軟骨があり関節の隙間が残っている状態 ステージ4 軟骨がすり減り、変形性股関節症となっている状態 大腿骨頭壊死のステージ分類の特徴は、大腿骨頭の壊死部分が進行し、軟骨がすり減っていくことです。 ステージ4になると関節同士の隙間がなくなってしまい、激しい痛みを伴います。 本記事では、壊死してしまった骨の根本治療にも期待できる再生医療の選択肢も紹介しているため、ぜひ参考にしてください。 \骨壊死の改善が期待できる再生医療とは/ 再生医療は、壊死・損傷した骨に対してアプローチできる治療法で、手術せずに大腿骨頭壊死の改善が期待できます。 以下の動画では、骨壊死に対する再生医療の治療について詳細を解説しています。 https://www.youtube.com/watch?v=ic_6QaEU5NU 【こんな方は再生医療をご検討ください】 進行している大腿骨頭壊死でも手術せずに治したい 大腿骨頭壊死による痛みを早く治したい 現在受けている治療やリハビリで期待した効果が得られていない 再生医療は、早く治療を受けるほど治療成績が良いですが、進行している大腿骨頭壊死も治療できるケースがあります。 具体的な治療法については、当院(リペアセルクリニック)で無料カウンセリングを行っておりますので、ぜひご相談ください。 ▼まずは骨壊死の治療について無料相談! >>(こちらをクリックして)今すぐ電話してみる 大腿骨頭壊死とは「骨頭壊死症」の一種 大腿骨頭壊死とは「骨頭壊死症」の一種です。 骨頭壊死症とは、骨に栄養を届けている血管が障害されて血液が供給されなくなり、骨の一部分が壊死する病気です。 ただし、原因は血液供給がなくなるだけでなく、以下のような原因も発症に関係していると考えられています。 怪我などの外傷による血管の障害 アルコール摂取 ステロイド使用者 また、骨壊死は全身のあらゆる骨に起こり得ます。 代表的な部位は、股関節の大腿骨頭に起きる「大腿骨頭壊死」、肩関節の上腕骨に起こる「上腕骨頭壊死」、「膝関節骨壊死」などがあります。 股関節と肩関節は、大腿骨頭・上腕骨頭と呼ばれる部位があるため、「骨頭壊死」と病名が付くのが特徴です。 一方で、膝関節は骨頭と呼ばれる部位がないため「骨壊死」が病名となります。 大腿骨頭壊死のステージ分類と原因 大腿骨頭壊死は、1〜4のステージに分類されます。ステージによって、進行度合いが異なり、ステージが上がる度に症状も顕著になっていくのが特徴です。 ここからは、大腿骨頭壊死のステージ分類と原因を詳しく解説していきます。 大腿骨頭壊死から進行・変形性股関節症へのステージの分類 大腿骨頭壊死のステージ分類は、以下の通りです。 ステージ 目安となる状態 ステージ1 レントゲンで異常がなく、MRI検査などで壊死がわかる状態 ステージ2 レントゲンで異常があるものの、骨頭が潰れていない状態 ステージ3 骨頭が潰れているものの、関節軟骨があり関節の隙間が残っている状態 ステージ4 軟骨がすり減り、変形性股関節症となっている状態 大腿骨頭壊死のステージ分類の特徴は、大腿骨頭の壊死部分が進行し、軟骨がすり減ると「変形性股関節症」を発症する可能性がある点です。 ステージ3までは関節軟骨があり、関節同士に隙間があるものの、さらに進行すると、関節同士の隙間がなくなってしまいます。 大腿骨頭壊死や症状が変形性股関節症まで進行した場合、従来の治療では根治が難しいため、ぜひ再生医療による治療をご検討ください。 \こんな方は再生医療をご検討ください/ 進行した大腿骨頭壊死の根治を目指したい 大腿骨頭壊死や変形性股関節症を早く治したい 現在受けている治療やリハビリで期待した効果が得られていない 具体的な治療法については、当院(リペアセルクリニック)で無料カウンセリングを行っておりますので、ぜひご相談ください。 ▼まずは骨壊死の治療について無料相談! >>今すぐ電話してみる 大腿骨頭壊死の重症度分類 原因不明である「特発性骨頭壊死」は、壊死の範囲によって重症度分類がありType A〜Cに分けられます。 重症になるほど、壊死範囲が大きくなり、大腿骨頭が潰れるリスクは高くなるのが特徴です。大腿骨頭壊死の重症度分類は以下のとおりです。 Type A:壊死範囲が体重のかかる領域の1/3未満 Type B:壊死範囲が体重のかかる領域の1/3〜2/3 Type C:壊死範囲が体重のかかる領域の2/3以上 Type C-1:壊死の範囲が骨盤の縁の「内側」にあるもの Type C-2:壊死の範囲が骨盤の縁の「外側」にあるもの Type Aが軽症でCになるとより重症となります。さらにTypeCは、より重症なC-1とC-2に分けられるのが特徴です。 大腿骨頭壊死の原因 大腿骨頭壊死の原因は、主に以下があげられます。 股関節を構成している大腿骨頭に流れている血管の障害 骨折や脱臼などの外傷 放射線治療 潜函病 股関節を形成している大腿骨頭に血液が供給されなくなると、大腿骨頭壊死を発症するケースが多い傾向にあります。 しかし、なかには、原因不明で突発的に大腿骨頭壊死を発症する可能性もあります。 上腕骨頭壊死のステージ分類と原因 上腕骨頭壊死とは、上腕部分にある「上腕骨頭」と呼ばれる部位が壊死してしまう病気です。大腿骨頭壊死のように、他の病気に進行するケースはありません。 ここからは、上腕骨頭壊死のステージ分類と原因を詳しく見ていきましょう。 上腕骨頭壊死の進行・ステージ分類 上腕骨頭壊死のステージ分類は、以下のとおりです。 ステージ1:レントゲンで異常がなく、CTやMRI検査で壊死がわかる状態 ステージ2:骨透亮像や骨硬化像、限局性の骨溶解像がみられる状態 ステージ3:軟骨下骨に骨折線を認める状態 ステージ4:上腕骨頭に加えて、肩甲骨の関節窩にも骨の変化を生じている状態 ステージが上がり末期になると、薬物療法や保存療法では治せない可能性が高まります。 末期ステージになると、骨切り術や人工関節を挿入する手術療法が行われるケースもあります。 ただし、治療方法はステージ分類だけでなく、症状や年齢などさまざまな要因によって決まるため、一概に治療方法は断言できません。 上腕骨頭壊死の原因 上腕骨頭壊死の原因は、主に以下があげられます。 肩関節を構成している上腕骨頭に流れている血管の障害 骨折や脱臼などの外傷 ステロイドの使用 アルコール 鎌状赤血球症・関節リウマチ・全身性エリテマトーデスなどの全身性疾患 骨折や脱臼などの原因は外傷性と呼ばれています。一方でステロイド使用や全身性疾患などは、非外傷性に分類されるのが特徴です。 膝関節骨壊死のステージ分類と原因 膝関節骨壊死は、名前の通り膝関節の骨が壊死してしまう病気です。 膝関節と呼ばれているものの、太ももの内側に壊死が起こる症例が多いため「大腿骨内顆骨壊死」と呼ばれるケースもあります。 また膝関節骨壊死は、60歳以上の女性に多く見られるのが特徴です。 ここからは、膝関節骨壊死のステージ分類と原因を紹介します。 膝関節骨壊死の進行|ステージ分類 膝関節骨壊死のステージ分類は、以下のとおりです。 ステージ1:レントゲンで異常がみられない状態 ステージ2:レントゲンで骨内に壊死領域がみられる状態 ステージ3:レントゲンで軟骨の下に骨折線があり、関節面が凹んでいる状態 ステージ4:関節の隙間が狭くなってしまっている状態 ステージが進むと、膝関節骨同士の隙間が狭くなるのが特徴です。膝関節同士が狭くなる病気として、膝関節骨壊死の他に、変形性膝関節症があげられます。 両病気とも、初期ステージの症状だけで判別するのは難しい傾向にあります。 レントゲン検査で、膝関節骨壊死か変形性膝関節症かを判別できるため、膝に痛みを抱いている方は、速やかに医療機関を受診するのがおすすめです。 膝関節骨壊死の原因 膝関節骨壊死の原因は、主に以下があげられます。 肩関節を構成している上腕骨頭に流れている血管の障害 軽微な骨折 肥満ステロイド薬の使用 大腿骨頭壊死や上腕骨頭壊死と同様に、明確な原因は判明していませんが、上記のような要因によって膝関節骨壊死が起こると考えられています。 肥満体型によって、膝関節に負担がかかるのも、膝関節骨壊死を発症させるリスクがあります。 肥満は、変形性膝関節症のリスクも高めるため、食事管理や運動習慣を身に着け、減量を目指しましょう。 大腿骨頭壊死のステージ分類の診断方法 大腿骨頭壊死のステージ分類の診断は、主にレントゲン検査やMRI検査で行われます。 基本的レントゲン検査だけで大腿骨頭壊死の患部は確認できますが、早期の骨壊死を確認するには、MRI検査が必要になります。 レントゲン検査やMRI検査では、骨が潰れていたり、壊死が進行していたりするかを確認可能です。変形性股関節症や変形性膝関節症の判断もできます。 また、血液凝固疾患をはじめとした基礎疾患を確認するために、血液検査を行うケースもあります。 大腿骨頭壊死の予防方法 大腿骨頭壊死の予防方法は、以下があげられます。 ステロイド薬の使用に注意する 過度な飲酒や喫煙は控える 股関節への負担を軽減する ステロイド薬を長期的に使用していると、大腿骨頭壊死のリスクが高まると考えられています。 ステロイド薬を使用する際は、自己判断で使用したり、量を調整したりするのは控えましょう。 他にも飲酒や喫煙も大腿骨頭壊死の発症にかかわっているとされているため、できるだけ避けてください。 また、肥満体型の方は、股関節への負担を軽減するため、体重減量を目指しましょう。 長時間の立ち仕事や、重い荷物を持つ仕事も、股関節の負担となるため、注意が必要です。 大腿骨頭壊死(骨壊死)治療法・保存療法 大腿骨頭壊死の治療は、保存療法や手術療法があげられます。 治療方法は、進行ステージやライフスタイル、年齢などを考慮して決められます。 ここからは、大腿骨頭壊死の治療法を4つ見ていきましょう。 保存療法 保存療法とは、リハビリテーションや薬物療法が代表的です。リハビリテーションでは、股関節にかかる負荷を抑えるため、体重管理が行われるケースもあります。 股関節の可動域を維持し、筋力を強化するために、ストレッチや筋力トレーニングも行われます。リハビリテーションの期間は一般的に、医療保険で対応できる150日が目安です。 なお、保存療法は、あくまでも症状を和らげる手段であり、骨壊死を治癒させるのは不可能である点に留意しておきましょう。 骨切り術 骨切り術は、大腿骨頭の壊死した部分へかかる負荷を抑えるため、骨の一部を切って角度を変える手術を指します。 病気の進行を遅らせ、股関節の機能を温存するのが目的であり、比較的若い方や病気の進行が初期から中期の方に適用されます。 ただし、骨切り術は難しい手術方法であり、医師の高いスキルや医療機関の充実した設備が必要です。 術後は、最長6カ月間松葉杖を使用したり、長期間リハビリテーションをしたりしなくてはならない点に留意しておきましょう。 人工関節 人工関節置換術は、壊死した大腿骨頭を人工関節に置き換える手術です。骨壊死により関節の多くが潰れてしまっているケースに適用されます。 人工関節置換術は、痛みを大幅に軽減し、股関節の機能の改善を期待できます。 リハビリテーションは必要ですが、入院期間は10日ほどと短いのが特徴です。ただし耐用年数の問題で、若い方に行うのは避けるべきとされている点に留意が必要です。 人工関節は脱臼リスクもあるため、メリットだけでなくリスクも理解して検討しましょう。 再生医療 大腿骨頭壊死を手術せずに根治を目指したい方は、再生医療も選択肢の一つです。 再生医療は、患者さま自身の細胞を採取・培養し、患部に投与することで損傷した組織の再生・修復を促す医療技術です。 患者さま自身の幹細胞や血液を用いるため、拒絶反応やアレルギー反応などの副作用リスクが少ないのが特徴です。 \こんな方は再生医療をご検討ください/ 大腿骨頭壊死でも手術せずに治したい 副作用リスクの少ない治療で根治を目指したい 現在受けている治療で期待した効果が得られていない 再生医療は、早く治療を受けるほど治療成績が良いですが、進行している大腿骨頭壊死も治療できるケースがあります。 当院(リペアセルクリニック)では、患者さま一人ひとりの症状やお悩みに合わせてご案内しておりますので、ぜひ無料カウンセリングにてご相談ください。 ▼まずは骨壊死の治療について無料相談! >>今すぐ電話してみる 大腿骨頭壊死でお悩みの方は、再生医療を視野に入れてみてはいかがでしょうか。 まとめ|大腿骨頭壊死のステージ分類とは?治療方法やよくある質問も紹介 大腿骨頭壊死では、1〜4のステージに分類され、それぞれ以下のような状態が目安となります。 ステージ 目安となる状態 ステージ1 レントゲンで異常がなく、MRI検査などで壊死がわかる状態 ステージ2 レントゲンで異常があるものの、骨頭が潰れていない状態 ステージ3 骨頭が潰れているものの、関節軟骨があり関節の隙間が残っている状態 ステージ4 軟骨がすり減り、変形性股関節症となっている状態 ステージが上がると関節軟骨がすり減ってしまう「変形性股関節症」や「変形性膝関節症」につながるため、早期治療が重要です。 悪化を防ぐためにも、痛みや違和感を抱いている方は、早めに医療機関を受診しましょう。 近年の治療では、従来の保存療法や手術療法に加え、患者様の細胞を用いて手術をせずに根治を目指す再生医療も選択肢の一つです。 \こんな方は再生医療をご検討ください/ 進行している大腿骨頭壊死でも手術せずに治したい 大腿骨頭壊死による痛みを早く治したい 現在受けている治療やリハビリで期待した効果が得られていない 再生医療は、早く治療を受けるほど治療成績が良いですが、進行している大腿骨頭壊死も治療できるケースがあります。 具体的な治療法については、患者様一人ひとりの症状やお悩みに合わせてご案内しておりますので、当院(リペアセルクリニック)の無料カウンセリングにて、ぜひご相談ください。 ▼まずは骨壊死の治療について無料相談! >>今すぐ電話してみる 大腿骨頭壊死に関するよくある質問 骨壊死にならないか心配ですが、気を付けることはありますか。 現代医学でも骨壊死の正確な原因はわかっていません。危険因子としてわかっているのは外傷、ステロイドの使用、アルコール多飲です。 ステロイドは、関節リウマチや全身性エリテマトーデスなど全身性疾患の治療に必要なため、飲まないことはおすすめしませんが、外傷やアルコールはご自分で気を付けられます。無理な運動は行わず、規則正しい生活習慣を送るのが予防に必要と言えるでしょう。 レントゲンで問題ないと言われましたが、大丈夫でしょうか。 骨壊死は初期の段階ではレントゲンで異常がわからないケースがほとんどです。壊死した領域がレントゲンでわかるまでは時間がかかりますが、MRI検査では早期に病気を見つけられます。 痛みが強く心配な場合は、MRI検査や精密検査について担当の医師と相談するのがおすすめです。 大腿骨頭壊死と診断されたらスポーツはできませんか? 大腿骨頭壊死を発症後、スポーツができるかは、進行度合いによって異なります。 壊死の範囲が小さく、悪化リスクが低ければ、問題なくスポーツができるケースもあります。 しかし、壊死の範囲が広いと、股関節にかかる負担が大きくなるため、スポーツが制限される可能性がある点に注意が必要です。 体への負荷が少ないスポーツは許可されやすいですが、ジャンプをしたり、走ったりするスポーツは制限されやすい傾向にあります。 大腿骨頭壊死は医療費補助の対象になりますか? 明らかな原因がない「特発性大腿骨頭壊死」は、医療費補助の対象となります。特発性大腿骨頭壊死は、指定難病に分類されているためです。 特発性大腿骨頭壊死と診断された場合は、医療機関に医療費補助の手続き方法を相談しましょう。
2023.10.02 -
- 頭部
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子どもや若い人も発症する可能性がある、もやもや病に不安を抱えている方は多いのではないでしょうか。 もやもや病は、脳内の動脈が徐々に細くなったり詰まったりした結果、不足した脳内の血液を補うために、もやもやとした血管が作られる状態を指します。脳出血や脳梗塞のリスクがあるので早期の発見と適切な治療を受けるのが重要です。 この記事では、もやもや病の原因や症状、治療法を解説します。 もやもや病の理解を深めるのにお役立てください。 もやもや病とは指定難病の一つ もやもや病(ウィリス動脈輪閉塞症)は、脳の血管が細くなり血流が不足して、手足の麻痺やけいれんなどを引き起こす疾患です。ウィリス動脈輪とは六角形のような形をしている脳内の動脈の一部で、脳に血液を循環させるのが主な役割です。 不足した脳の血流を補うために、もやもやとした細い血管が発達するので「もやもや病」と呼ばれています。もやもや病は、以下の内容をどちらも満たしているので、指定難病として厚生労働省に定められています。(文献1) 患者数が一定の人数より少ない 病気の診断基準が確立している もやもや病の患者数は、人口10万人につき6から10人程度いるとされていて、稀な病気であるといえます。(文献2) もやもや病の症状や治療の状況によって医療費の助成を受けられる場合があります。助成には申請が必要なので、お住まいの都道府県の窓口に問い合わせてみましょう。 【参考】 都道府県・指定都市担当窓口 – 難病情報センター もやもや病の原因 もやもや病は、脳内の太い血管(内頚動脈)が細くなることで発症する疾患です。 その発症メカニズムは完全に解明されていませんが、病気の進行過程は以下のような段階で進みます。 脳内の太い血管である内頚動脈が少しずつ細くなる 脳内の酸素や栄養が不足する 足りない血液を補うために、もやもやとした細い血管が作られる 内頚動脈が細くなると、血液不足を補うため新たに細い血管が多数作られます。これらの細い血管に多量の血液が通るため、脳出血や脳梗塞のリスクが高まります。 もやもや病になりやすい人 もやもや病になりやすい方には、以下のような傾向があります。(文献3) 日本人 ご家族でもやもや病を発症した 女性 5~10歳 30~40歳 もやもや病は、特定の遺伝子をもつ方に発症しやすいことがわかっており、家族内で発症する方が10~20%程度見られるという研究結果があります。そのため、親や兄弟姉妹などがもやもや病を発症した方で、もやもや病の症状がみられる方には、脳神経外科での検査をおすすめします。 もやもや病と遺伝の関係について以下の記事でまとめていますので、詳しく知りたい方はご覧ください。 もやもや病の症状 もやもや病では、主に以下の二つのメカニズムによって症状が現れます。 血流不足が原因の場合 脳の出血が原因の場合 本章で説明するこれらの症状に当てはまる方は、脳出血や脳梗塞などの重大な病気を発症する前に医療機関を受診をしましょう。 血流不足による症状 もやもや病によって脳の血流が不足した場合の症状は、以下の通りです。 頭痛 手足のしびれ 言葉が話せない 手足の麻痺 ろれつが回らない けいれん 脳内の血流が不足すると、頭痛や手足のしびれ、ろれつが回らないなどの症状が一時的にみられます。 多くは数分~数十分程度で症状が改善されますが、まれに脳梗塞を引き起こす場合があります。脳梗塞とは、脳内の血流が不足することで、脳細胞が壊死する疾患です。症状が回復しても、もやもや病を発症している可能性があるので医療機関への受診を検討しましょう。 また、子どものもやもや病は脳の血流不足によるものがほとんどです。楽器の演奏や息が切れる運動がきっかけで症状が出る場合があります。子どものもやもや病について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。 脳出血による症状 もやもや病によって脳内に出血が起きた場合の症状は、以下の通りです。 激しい頭痛 手足の麻痺 ろれつが回らない 言葉が出ない 意識がなくなる 自分の意に反して手や足が動く けいれん 注意力や記憶力の低下(高次脳機能障害) 脳内の血流不足を補うため、もやもやとした細い血管に多くの血液が送り込まれると、血管が耐え切れずに破れる場合があります。出血型の症状は、40代前後に多くみられる点も特徴です。 出血する部位や量によりますが、激しい頭痛や言葉が出なくなる言語障害、意識がなくなる意識障害などを引き起こし命に関わる状況につながりかねません。 また、出血型の症状の後遺症には麻痺や手足のしびれ、高次脳機能障害などが挙げられます。高次脳機能障害とは、脳の機能が低下して物忘れの増加や注意力の低下、感情のコントロールが難しくなるなど「性格が変わった」と感じるような症状が現れます。 もやもや病の後遺症は日常生活に大きな影響を与える恐れがあるため、早急に医療機関を受診しましょう。 もやもや病の検査 もやもや病の主な検査の内容は以下の通りです。 CT・MRI・MRA:詰まっている血管やもやもや血管、脳出血の有無を調べる 脳血管造影検査:血管の状態を調べる 脳血流検査(SPECT(スペクト)検査):どれくらい血流が低下しているか調べる もやもや病の検査は脳神経外科で行われるのが一般的で、CTやMRIでもやもや血管の有無や詰まっている血管がないかなどを確認します。 血管の状態をMRIよりも詳しく調べるには、脳血管造影検査が有効です。脳血管造影検査は、足の付け根の血管から、カテーテルと呼ばれる長い管を入れ、血管内に造影剤を入れてレントゲン撮影する検査です。 また、脳の血流を調べるには、放射性同位体と呼ばれる薬剤を投与して、放射線を画像化できるカメラで撮影します。検査に使用する放射性同位体は人体に影響を及ぼす量ではありません。 もやもや病の治療法 もやもや病の治療法は、薬物療法と外科手術の2つに分けられます。 症状によって治療法が異なるので、受診の際の参考にしてください。 薬物療法 薬物による主なもやもや病の治療法は、以下の通りです。 抗血小板薬:血液を固まりにくくして血流不足を防ぐ 血圧や脳圧を下げる薬:脳出血を防ぐ もやもや病の薬物治療では、血液をサラサラにする薬や血圧を下げる薬などで脳梗塞や脳出血の予防を目指します。しかし、現在もやもや病の原因である細くなった内頚動脈を根本的に治療する薬はありません。そのため、無症状の方や初期症状の方に用いられます。 手術 脳内の血流が少ない場合や、もやもや血管の負担が大きい場合は手術が検討されます。 主なもやもや病の手術は、以下の2種類です。 直接血行再建術:血流が不足している血管と、頭皮に栄養を送る血管をつなぎ脳の血流を増加させる 間接血行再建術:脳を包む膜に、こめかみ付近の動脈と周囲の組織を縫い合わせて、新たな血管の再建を目指す 直接血行再建術は、手術後からすぐに血流が改善されますが、間接血行再建術では、新たに血管が再建するまで数週間から数カ月かかる場合があります。また、間接血行再建術は子どもに対して効果が期待できる傾向にあるので、成人には行わない病院もあります。 もやもや病の原因である細くなった動脈を治療する手術はできないとされています。手術後に血流が改善しても、もやもや病が再発する可能性があるので定期的に検査を受けましょう。 まとめ|もやもや病の疑いがある方は医療機関を受診しよう もやもや病は、脳の血管が細くなり血流が不足して、手足の麻痺やけいれんなどを引き起こす疾患で、指定難病として厚生労働省に定められています。もやもや病が発症しやすい方は、子どもや30〜40代の若い世代に多いのが特徴です。 もやもや病によって脳内の血液が不足したり、もやもや血管の負担が大きくなり損傷したりすると、麻痺や手足のしびれ、うまく話せなくなるなどの後遺症が現れるリスクが高まります。 病状が進行すると、重篤な後遺症のリスクが高まるため、早期の医療機関受診が重要です。 以下の記事では、もやもや病の初期症状を解説しています。あわせてご覧ください。 もやもや病に関してよくある質問 もやもや病の予後や寿命への影響は? もやもや病を放置すると脳梗塞や脳出血のリスクが高まり、重い後遺症や命に関わる状況につながりかねません。 適切な治療と定期的な検査を受けると、リスクを回避できる可能性が高まります。手術後の入院期間はおよそ2~3週間、社会復帰までの期間はは2~3カ月ほどが目安です。 また、健康寿命を延ばすには、禁煙や激しい運動を避けるなど生活習慣の改善も重要です。 以下の記事では、もやもや病の予後や寿命についてまとめているので、参考にしてください。 もやもや病で性格は変化しますか? もやもや病は、性格の変化を伴う高次脳機能障害を引き起こす可能性があります。高次脳機能障害は、脳機能の低下によって日常生活に支障をきたす認知機能の障害です。 高次脳機能障害による性格の変化と考えられるポイントは、以下の通りです。 感情の起伏が激しくなる 物忘れが増える 集中力が低下する 判断力が低下する 段取りが悪くなる 高次脳機能障害の診断は、もやもや病の症状が安定してからMRIやCTでの検査や、日常生活の状況評価などから総合的に行います。もやもや病になってから、感情の起伏が激しくなったり物忘れが増えたりするなどの症状にお悩みの方は、医療機関に相談してみましょう。 もやもや病は人間ドックで調べられますか? 一般的な人間ドックでは、もやもや病が調べられる検査項目が無かったり、オプションとして追加したりする必要があります。 もやもや病を調べられる主な検査は、以下の通りです。 MRI:体内の断面を画像化する MRA:脳の血管を立体画像として書き出す 脳ドックでは、MRIやMRAによる検査ができる場合があります。 参考文献 (文献1) 厚生労働省「指定難病の要件について」 https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10601000-Daijinkanboukouseikagakuka-Kouseikagakuka/0000184562.pdf(最終アクセス:2025年5月9日) (文献2) 難病情報センター「もやもや病(指定難病22)」 https://www.nanbyou.or.jp/entry/47(最終アクセス:2025年5月9日) (文献3) 厚生労働省「22 もやもや病」 https://www.mhlw.go.jp/content/10905000/001173459.pdf001173459.pdf(最終アクセス:2025年5月9日)
2023.09.28 -
- 頭部
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子どもがもやもや病と診断されて、困っている方もいるのではないでしょうか。 もやもや病は、脳の重要な血管である内頸動脈が細くなり、代わりに細い血管が多くなる病気です。大人と子どもでは、もやもや病の症状の出方やタイプ、そして注意点が異なります。 子どものもやもや病の症状や治療法などを知っておくと、今後病気に向き合っていく際に役に立ちます。本記事では、もやもや病の大人と子どもの違いや注意すべきポイントについて徹底解説していきましょう。 もやもや病の症状|子どもと大人の違い もやもや病は、脳の血管に生じる病気で、脳でも重要な血管である「内頸動脈」の終末部が徐々に細くなっていくのが特徴です。 脳に酸素や栄養を供給する脳血管は、血管が細くなるほど脳への血流が不足します。足りなくなった血流を補うため、内頚動脈の周囲に細い血管が網のように出現します。細い血管を脳血管撮影で映し出した際、煙のようにもやもやして見える点が、「もやもや病」の名前の由来です。 もやもや病の症状は大きく分けると、脳の血流不足である脳虚血と、発達した細い血管がちぎれて発生する脳出血が挙げられます。加えて、一時的な頭痛や言語障害などの症状が出るのも特徴です。 さらに子どもと大人とでは、症状の現れ方や注意点が異なります。 子どもの症状 子どものもやもや病は、小児もやもや病と呼ばれます。脳虚血症状がほとんどで脳出血はめったに例が見られません。 脳虚血症状では、手足の力が入らなかったりしびれたりするほか、言葉がうまく出ないなどの症状が急に起こります。 また、子どものもやもや病では、過呼吸(かこきゅう)によって脳虚血発作が誘発されやすい点も特徴的です。過呼吸は血中の二酸化炭素濃度を下げ、それにより脳血管が収縮して脳虚血発作が誘発されやすくなります。日常生活では、激しい運動や興奮状態など、呼吸が速くなる状況で注意が必要です。 一過性脳虚血発作は通常、数分から数時間で自然に回復します。ただし、これらの発作が繰り返されると脳梗塞につながる可能性があるため、軽視すべきではありません。 特に小さな子どもほど病気の進行が早い傾向があり、脳梗塞を発症するリスクが高いため、注意が必要です。 大人の症状 一方で大人のもやもや病では、脳の血流不足を補うために発達した細い血管が破れて起きる脳出血が多く見られます。 脳出血は、もやもや病による死亡や後遺症の最大の原因とされている症状です。後遺症が残った場合、脳機能の低下による高次脳機能障害や、運動障害によるマヒなどが発生するケースがあります。 また、成人のもやもや病では慢性的な頭痛を訴える患者様も多く、これも重要な症状の一つです。 もやもや病の検査 もやもや病かどうかを検査する方法は、MRI(磁気共鳴画像診断)・MRA(磁気共鳴血管造影)と脳血管造影検査(カテーテル検査)、脳血流検査の3つが代表的です。 MRI(磁気共鳴画像診断)・MRA(磁気共鳴血管造影) MRIでは脳の断層画像を撮影し、脳梗塞や出血などの病変を確認します。 MRAでは脳血管の形態を非侵襲的に評価でき、内頚動脈終末部の狭窄や閉塞、もやもや血管の発達状況を確認できます。放射線被曝がなく、造影剤なしでも検査可能なため、小児や定期的な経過観察に適しています。 脳血管造影検査(カテーテル検査) もやもや病の診断において重要な検査のひとつです。 足の付け根や手首から細いカテーテルを挿入し、造影剤を注入して脳血管を詳細に撮影します。 侵襲性(体への負担)があり、まれですが合併症のリスクがあるため、必要性を十分検討して実施されます。 脳血流検査 脳血流検査は、脳のどの部分にどれくらい血液が流れているかを調べる検査です。 特殊なカメラで撮影し、普通の状態と薬で血管を広げた状態の両方を調べることがあります。 この検査により、血管が血流を増やす能力を評価できます。この能力が弱い部分は将来脳梗塞のリスクが高まるため、手術が必要かどうかを判断する重要な材料になります。 症状が少ない方や手術効果の確認にも役立ちます。 小児での検査の注意点 小児では検査の協力が得られにくいため、年齢に応じた対応が必要です。 MRIやMRAでは、小さな子どもの場合、鎮静や全身麻酔を要することがあります。また、放射線被曝や造影剤使用についても配慮が必要です。 検査時の負担を最小限にするために、複数の検査をまとめて行ったり、年齢に応じた説明や準備を行うことが重要です。 もやもや病の治療 もやもや病の治療の目的は、脳梗塞や脳出血の防止です。 もやもや病を治療する方法に、薬による治療と、脳血流量を増やすためのバイパス手術があります。 薬による治療 薬による治療では、血液をサラサラにする抗血小板薬が用いられます。抗血小板薬は、血液が固まるのを防ぐとともに、血液の流れを円滑にする効果があるのが特徴です。 投薬により、一過性虚血発作を予防できます。ただし、効果が限定的であるため、次に紹介するバイパス手術が用いられるケースもあります。 バイパス手術 バイパス手術は、虚血型もやもや病の治療で、脳梗塞を予防する効果が認められています。 バイパス手術は、頭皮の血管を脳血管に直接つなぎ合わせる「直接バイパス術」と、頭皮の血管を周りの組織とともに脳の表面に接触させて、新たな血管の生成を促す「間接バイパス術」が主な方法です。加えて、両者の手法を組み合わせる「複合血行再建術」も用いられます。 大人の手術では直接バイパス術と複合血行再建術が、子どもの手術では間接バイパス術と複合血行再建術が行われます。 バイパス手術では、一過性脳虚血発作(TIA)や脳梗塞リスクなどの改善効果が報告されているのが現状です。(文献1) 小児もやもや病の注意点 子どもが小児もやもや病になった場合、脳虚血症状がたびたび見られるときは、激しい運動や楽器の演奏を控えさせる点に注意します。 激しい運動などをきっかけに、血流不足に陥るリスクがあるためです。そして、可能な限り早い段階で、子どもへの手術を主治医と相談する必要があります。 手術などの治療が終わった後は、子供の日常生活で必要以上の制限は不要です。ただ制限の要不要については、主治医との綿密な相談が大切です。 小児もやもや病になった子ども向けの就学支援 小児もやもや病の子どもは、たとえ脳梗塞などの症状がなくても、認知機能に関するさまざまな悩みを抱えることがあります。 特に計画立案や複数の課題の同時処理が難しいことがあり、学校生活に支障をきたすケースも見られます。 このような子どもたちの学校生活をサポートするため、厚生労働省の研究班による「医療関係者・教育関係者のためのもやもや病就学支援マニュアル」(2023年)が作成されました。(文献2) このマニュアルを活用し、医療機関と教育機関が連携して支援を行う取り組みが進められています。 まとめ|もやもや病の症状は大人と子どもで異なる もやもや病は子どもと大人で症状や注意すべき点、治療法が異なります。 いずれにしても脳梗塞や脳出血の症状が出る前に、適切な診断・治療を受けることが大切です。 また、脳卒中の後遺症に対しては、機能回復のためのリハビリテーションや再生医療による治療の選択肢があります。 再生医療をご検討方は、当院「リペアセルクリニック」でご相談ください。 もやもや病についてよくある質問 もやもや病は必ず手術しなければなりませんか? 症状が多発していない患者様であれば、すぐ手術をする必要はありません。 しかし、すでに脳虚血症状や脳血流検査での血流低下が認められる方などは、手術を勧めるのが一般的です。 また、子どもの場合は、将来の脳虚血や出血予防のために、手術による治療が広く考えられています。 以上に加えて、もやもや病の経験豊富な医師が的確な検査や年齢、患者様の状況を総合的に検討・判断していきます。 子どもの「もやもや病」の予後はどうなりますか? 子どものもやもや病は、症状のほとんどが脳虚血発作です。 このため、大きな脳梗塞が起こる前にバイパス手術を受けられれば、術後の脳梗塞の発症は少ないとされています。 また社会生活については、8割以上の子どもたちが通常の生活を送れる状況です。一方、2割弱は普通学級への就学困難や、卒業後の就職の困難が報告されています。 診断が遅れ、手術の時点で脳梗塞が起きた場合、その後の社会生活に支障が出てしまう可能性があります。そのため、早期の診断と適切なタイミングでのバイパス手術が非常に重要です。 もやもや病の検査費用はいくら? もやもや病の検査費用は、検査の種類によって異なります。 種類別もやもや病の検査費用の相場(3割負担の場合) MRI・MRA検査:8,000円~2万5,000円程度 CT検査:非造影は5,500円~8,000円程度/造影で7,500円~1万2,000円程度 ただし、具体的な金額は医療機関によって異なるため、詳しくは各医療機関にご確認ください。 参考文献 (文献1) 一般社団法人日本小児神経外科学会 「小児脳神経外科(もやもや病)」 一般社団法人日本小児神経外科学会公式サイト http://jpn-spn.umin.jp/sick/d.html(最終チェック日 2025年3月20日) (文献2) 京都大学医学部附属病院「もやもや病就学支援マニュアル」2023年. https://www.kuhp.kyoto-u.ac.jp/department/division/pdf/moyamoya/moyamoya_web.pdf (最終アクセス:2025年3月30日)
2023.09.25 -
- 大腿骨骨頭壊死
- 股関節
大腿骨頭壊死で注意すべき!やってはいけないこと 大腿骨頭壊死は、股関節の一部である「大腿骨頭」が血流障害によって、壊死してしまう病気です。 外傷や、過度のアルコール、過度のステロイド使用など様々な原因があります。なかには特に原因のない特発性もあり、指定難病にもなっています。 今回は、大腿骨頭壊死と診断されたら、どのようなことに気を付ければよいのか、またどのような生活を送るべきなのかについて詳しく解説します。症状の進行を防ぐために、是非参考にしてください。 大腿骨頭壊死の治療 大腿骨頭壊死は、年間2000~3000人が発症する病気です。「壊死」という病名は、なんだか恐ろしく、将来歩けなくなってしまうかも?と思われる方もいるでしょう。 ですが、適切な治療やリハビリを行うことで、進行を遅らせたり、日常生活に支障なく戻れたりする可能性が非常に高い病気でもあります。正しい知識を持って行動することが大切です。 1. 原因を知る 大腿骨頭壊死の原因がなんであるかを知ることが大切です。前述の通り、全く原因がない場合もありますが、アルコールやステロイドなど原因と疑われるものがある場合は、減らしたりやめたりすることができないか、検討してみましょう。 ただし、ステロイドは、もともとの病気をコントロールするために必要不可欠な場合が多いので、処方している主治医ともよく相談してから判断してください。 2. 進行度を知る 大腿骨頭壊死がどのくらい進行していて、壊死がどんな場所にあるかも重要なポイントになります。 壊死が発症初期であれば、体重をかけずに経過を見ることで壊死部が修復する可能性もあります。こちらも主治医とよく話し合い、治療の方針をしっかりと理解することが大切です。 3. 治療を検討する どうしても痛みが強い場合や、壊死が進行してしまっている場合は、関節を人工関節に変える手術を行うことが多くなります。 ただし、若年で人工関節を入れると、人工関節の耐用年数の問題で将来、再手術という可能性が高くなるため、できれば進行させない生活をすることが望ましいといえます。 4.再生医療という新たな選択肢 また近年では、人工関節などの手術をすることなく、入院も不要で骨や軟骨の再生を促して治療する最新の医療で「再生医療」という選択肢が増えました。実施できる医療機関はまだまだ少ないのが実情ですが、手術を行う前に、自身に適合するのかカウンセリングを受けてみるのもひとつです。 大腿骨頭壊死でやってはいけないこと 大腿骨頭壊死を進行させる一番のリスクは、大腿骨頭にかかる負荷が増大することです。 大腿骨頭は股関節を形成している部分であるため、立ったり歩いたりすると直接体重を受けてしまいます。そのため、1本杖や松葉杖を使用して、過度な負担がかからないようにすることが必要です。 注意!これをやったら壊死が進行!危険な行動とは 大腿骨頭壊死を発症した場合、激しい運動や階段昇降、重量物の運搬、長時間の立ち仕事など、股関節に持続的に強い負荷がかかることは避けるべきでしょう。 また、体重が増えてしまうことにも注意です。体重が増えると、増えた体重分、股関節にかかる負担が大きくなります。 また、壊死は股関節の前方に発生することが多いため、しゃがみこむ動作や、前屈動作など股関節を曲げる姿勢をとると、壊死部に負担がかかりやすいです。そのような姿勢もなるべく避けましょう。 そして、アルコールとタバコは絶対にやめましょう。 アルコールはそれ自体が、大腿骨頭壊死の原因となることがわかっています。また、骨密度を低下させる可能性もあるため、壊死で弱った骨をさらに弱くしてしまいます。 タバコも大腿骨頭壊死のリスクといわれています。さらにタバコは血行を悪化させ、骨壊死を加速させるリスクも指摘されており、絶対にやめましょう。 大腿骨頭壊死の禁忌事項(やってはいけないこと) 激しい運動や階段昇降 重量物の運搬 長時間の立ち仕事 股関節に持続的に強い負荷がかかること 体重増加 しゃがみこむ動作 前屈動作など股関節を曲げる姿勢 飲酒 喫煙 何より、この病気で一番良いのは、股関節に全く体重をかけないことにつきます。ただ、そのような生活をおくるのは事実上不可能です。しかし、少なくとも股関節に「持続的に強い負荷がかかる」動作や、「飲酒」や「喫煙」は避けることができるはずです。 大腿骨頭壊死を悪化させない理想の生活とは 生活について具体的にはどのようにすれば良いのでしょうか。最低限、以下の3点に気をつけて生活することが大切です。 ベッドや椅子を使用し、「洋式の生活」を心がける 股関節を深く曲げこむ動作が多い、こたつや布団、和式トイレなどの日本式の生活は、股関節に大きな負担を掛けます。なるべくベッドや椅子を使用し「洋式の生活」にすることを心がけましょう。 お風呂に浸かるなどし身体を温めて血行を良くする 大腿骨頭壊死は血流障害によって起こります。体を温めることは血行を良くすることにつながるため、お風呂に入るなど体を冷やさないように心がけることも大切です。 鎮痛剤を使用しながら安静期間を設ける 痛みが生じている場合は、無理をせず、鎮痛薬を適宜使用しながら安静の期間を設けることも必要です。 ただし、我慢しすぎて手術の時期を逃してはいけません。整形外科医の定期的な診察を受けつつ、これらの生活スタイルを工夫していきましょう。 大腿骨頭壊死についてよくあるQ&A 大腿骨頭壊死について、患者様からお伺いすることが多い質問を抜粋して以下表示いたしました。 Q:遺伝的に大腿骨頭壊死になりやすい人はいますか? 現在の研究では、大腿骨頭壊死が遺伝的に引き起こされることは確認されていません。ただし、ステロイド性の骨頭壊死に関しては、骨頭壊死を引き起こす遺伝子がある可能性までは研究でわかっており、今後さらなる研究が望まれます。 Q:どのくらいのステロイドを使うと大腿骨頭壊死になりやすいですか? 明確な危険量は分かっていませんが、内服開始から骨壊死が発生するまでの期間で、一日平均約15㎎を超える場合は、骨頭壊死のリスクが高まるといわれています。 これはプレドニゾロンというステロイドに換算した値ですので、実際に自分がどのような薬をどのくらい使用しているか気になる方は、主治医に確認してみてください。 まとめ:大腿骨頭壊死で注意すべき!やってはいけないこと 今回は大腿骨頭壊死になってしまったら、どのようなことに注意をすべきかに焦点を当てて解説しました。大腿骨頭壊死は、患者さんの生活習慣や行動が、その後の進行や症状を大きく左右する病気のひとつです。 病気に対する理解と自己管理が、大腿骨頭壊死とうまく向き合うポイントとなります。ご自身の病状をしっかりと把握し、進行予防に努めましょう。 この記事がご参考になれば幸いです。 ▼以下もご参考にして頂けます 骨壊死の分類|股関節・肩、膝の骨頭壊死症とは
2023.09.21 -
- 脳卒中
- 脳出血
- 頭部
橋出血はどんな初期症状が出るのだろう。 橋出血になったら、助かるのかな。 この記事を読んでいるあなたは、聞きなれない「橋出血」という病気について不安を抱いているのではないでしょうか。「これからどうなるのだろう」と、心配しているかもしれません。 橋出血とは、脳の中心部にある「橋(きょう)」という部分からの出血で、脳出血全体の5〜10%を占めます。初期症状として意識障害や頭痛が出るケースが多く、状態によっては助からないケースも珍しくありません。 本記事では、橋出血の初期症状や死亡率、予防法を詳しく解説します。記事を最後まで読めば、橋出血の全容がわかり、リハビリや再出血予防を含む今後の見通しをたてられるでしょう。 橋出血の初期症状は「意識障害や頭痛」 橋出血を含む脳出血は、突然脳の血管が破れて発症し、前兆や予兆がないケースも珍しくありません。しかし、初期症状がわかれば早期治療が可能となり、出血の拡大を予防できます。 橋出血の初期症状は、以下のとおりです。 なん何となく受け答えが悪い(意識障害) 強い頭痛が続く 手足がうまく動かせない 身体の片方だけ感覚が鈍い このような症状がある場合は、救急車の利用も考慮に入れ、できるだけ早く医療機関を受診してください。 また、当院リペアセルクリニックでは、脳梗塞や脳出血といった「脳卒中」の治療法の1つとして再生医療をおこなっています。「メール」や「オンラインカウンセリング」によるご相談も可能です。橋出血の治療法に興味のある方は、お気軽にお問い合わせください。 橋出血における2つの症状 出血の部位や大きさによって異なりますが、橋出血の症状は「瞳孔の変化」と「四肢の麻痺」が特徴的です。また、意識障害、視覚障害、言語障害、呼吸障害などのさまざまな症状が出るケースもあります。 本章では、橋出血の特徴的な症状である瞳孔の変化と四肢の麻痺について、解説します。 瞳孔の変化 瞳孔とは、目の真ん中にある「黒目」のさらに中心にある黒い部分です。瞳孔のはたらきは、目の中に入る光の量の調整です。まぶしいときは光の取り込み量を減らすために縮小し、暗いときは取り込み量を増やすために拡大します。 脳の奥にある「橋」には、瞳孔の大きさを調整するための神経が通っています。そのため、橋出血によりこの神経が影響を受けると、瞳孔が極端に収縮するのです。両側瞳孔の高度縮小はpinpoint pupilともよばれ、橋出血に特徴的な所見です。 四肢の麻痺 橋には、四肢の運動機能を担う神経も通っています。橋からの出血がその部分を巻き込んだ場合、運動機能の調節ができなくなり、手足の麻痺があらわれます。広い範囲で出血が起こった場合は、片側だけでなく、四肢の麻痺となるでしょう。 ただし、出血量が少なければ、「片側の麻痺に留まる」「運動は保たれて感覚のみ麻痺する」などの場合もあります。片側に麻痺が出る際は、機能が失われた脳の反対側の手足に症状が出るケースが一般的です。 脳内における「橋」の役割については、以下の記事で詳しく説明しています。橋出血について詳しく知りたい方はあわせてチェックしていただければ幸いです。 橋出血の治療は「保存療法がメイン」 橋出血の治療は、原因となる血圧を下げる「血圧コントロール」「脳のむくみ予防の点滴」などの「保存療法」が基本です。 脳のほかの部位で出血したときは、血腫(出血によって生じた血の塊)を取り除く手術をするケースがあります。しかし、脳の深部にあり、正常な組織を傷つける可能性が高いため、基本的に橋出血の手術はおこなわれません。 また、身体を動かしても問題のない状態になり次第、日常生活に戻るためのリハビリもおこないます。 橋出血の治療法は、以下の記事で詳しく説明しています。 橋出血の死亡率は約50% 橋出血の死亡率は、約50%です。(文献1) 入院時の意識レベルが低い、出血が多いなどの場合は死亡率が高く、予後も不良です。場合によっては出血してから数時間で命を落とすケースもあります。 出血の範囲が小さく、量も少ない場合の予後は比較的良好で、退院後は自宅での生活に戻れる方もいます。しかし、運動麻痺や感覚麻痺などの後遺症が出る方も多いのが現実です。自宅での生活が難しければ、回復期リハビリテーション病院や病棟に移動してリハビリを続けるケースもあります。 当院「リペアセルクリニック」が取り扱う再生医療は、リハビリと併用すると身体機能の回復効果を高められます。「メール」や「オンラインカウンセリング」によるご相談も可能です。興味のある方は、お気軽にお問い合わせください。 橋出血の予後については、以下の記事も参考にしてください。 橋出血の予防には血圧コントロールが大切 橋出血のみならず、脳出血の最も多い原因は高血圧です。高血圧は一般的な病気であり、多くの人が指摘されたことがあるのではないでしょうか。 高血圧は、ほかの生活習慣病と同じく、食事、運動が基本的な治療です。とくに塩分の摂りすぎには注意した方が良いでしょう。 血圧が高い状態が続いている場合は、投薬治療が必要な場合もあるため、医師に相談してください。 脳出血が再発すると、今回無事だった部位もダメージを受け、さらに後遺症が重くなる可能性も考えられます。再発を防ぐために、できる限りの対策をおこないましょう。 まとめ|橋出血の初期症状があらわれたらすぐに受診を 本記事では、橋出血の初期症状やその後あらわれる症状、死亡率などを詳しく解説しました。 橋出血の初期症状は、意識障害や頭痛などです。脳出血はいきなり起こるため、予兆や前兆がないケースもありますが、初期症状を知っておくことで早めの受診が可能になるでしょう。 また、意識がない、出血量が多いなどの場合の死亡率は高く、助からないケースも珍しくありません。高血圧は橋出血のリスクを高めるため、減塩や運動などの生活習慣にも気をつけましょう。 当院「リペアセルクリニック」では、脳卒中の再生医療(幹細胞治療)をおこなっています。壊れた脳細胞の再生ができれば、リハビリの効果を高める、再発防止などの効果が期待できるでしょう。 再生医療へのご質問・ご相談は、「メール」もしくは「オンラインカウンセリング」で受け付けております。気になる点がありましたら、どうぞ気軽にご相談ください。 橋出血の初期症状に関するよくある質問 橋出血の症状が出た人におこなうリハビリは何? 橋出血後に姿勢の保持が難しい、歩行時のふらつきなどの「運動失調」という後遺症が出た場合、以下のようなリハビリをおこないます。 フレンケル体操 重り負荷での運動 弾性緊縛帯 固有受容性神経筋促通手技(proprioceptive neuromuscular facilitation:PNF) 橋出血後のリハビリについては、以下の記事で詳しく説明しています。 橋出血を予防する方法は何? 橋出血はほかの脳出血と同様に、「高血圧」によって起こるケースが多くみられます。完全な予防は困難ですが、適正な血圧の維持がリスクの低下につながるでしょう。 具体的な方法は、以下のとおりです。 生活習慣の見直し:減塩・適度な運動・健康的な食生活・禁煙 適切な薬物治療:処方された薬の正しい服用 橋出血の予防・再発予防のために、血圧が高い方は早めに治療を受けるようにしましょう。 脳出血を防ぐ方法は、以下の記事もぜひ参考にしてください。 参照文献 文献1 Behrouz R. Prognostic factors in pontine haemorrhage: A systematic review. Eur Stroke J. 2018 Jun;3(2):101-109. doi: 10.1177/2396987317752729. Epub 2018 Jan 8. PMID: 31008342; PMCID: PMC6460408.
2023.09.18 -
- ひざ関節
- 膝に赤みや腫れ
- 膝の慢性障害
膝の皿が痛いときは、膝関節の軟骨がすり減りや靭帯損傷など、以下のような疾患の可能性があります。 原因によって適切な対処法や治療が異なるため、早期回復のためにも早めに医療機関を受診することが重要です。 「いきなり病院に行くのは気が引ける」という方は、まずはお電話で問題がないかだけでもご確認ください。 当院リペアセルクリニックでは、膝の皿の痛みだけでなく「膝のちょっとした違和感」など些細なことでも無料でご相談を承っています。 また、ご希望の方には先端医療である再生医療の治療法についてもご説明していますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。 \無料相談・お問い合わせはこちらから/ 0120-706-313 (受付時間:9:00〜18:00) 膝の皿が痛い3つの原因 膝の皿が痛いときは、主に以下3つの原因が考えられます。 膝蓋大腿関節症 変形性膝関節症 膝蓋腱炎(ジャンパー膝) 膝の皿の痛みに悩んでいる方は、本章で紹介する病気に当てはまるかどうかチェックしてみてください。 原因1. 膝蓋大腿関節症(しつがいだいたいかんせつしょう) 加齢などによって膝蓋大腿関節にズレや炎症が起きると、軟骨がすり減って痛みが生じやすくなります。この状態を「膝蓋大腿関節症」と呼びます。 膝の皿の骨である膝蓋骨と大腿骨との間で障害が起こる病気で、膝を伸ばすときに痛みを感じやすいのが特徴です。膝の皿だけでなく、膝の皿の横や皿の周りが痛むケースもあります。 整形外科での診察・検査後、「保存療法」もしくは「手術療法」による治療をおこなうのが一般的です。 膝蓋大腿関節症は、とくに中高年の女性に多く見られます。女性で膝の皿の痛みに悩んでいる方は、一度医療機関を受診してみましょう。 「病院に行くべきかわからない」「病院に行く時間がない」という方は、ぜひお気軽にお電話にて症状についてご相談ください。 \無料相談・お問い合わせはこちらから/ 0120-706-313 (受付時間:9:00〜18:00) 原因2. 変形性膝関節症 変形性膝関節症とは、関節の軟骨が老化し、変形してしまう病気です。 主な原因は以下が挙げられます。 加齢 肥満 遺伝 骨折などの外傷 など 変形性膝関節症では、膝の皿に痛みを感じる、水が溜まるなどの症状がみられます。 発症初期は動作の開始時に痛むことが多く、治療せず放置すると安静時にも痛むようになったり、膝を伸ばせなくなったりすることもあります。 変形性膝関節症の治療は、以下のような方法が一般的です。 湿布や痛み止めの処方 ヒアルロン酸注射 リハビリテーション 装具の装着 人工関節術 など また、変形性膝関節症の治療には再生医療(幹細胞治療・PRP療法)も効果的であることがわかっています。 詳しくは以下の記事をご覧ください。 原因3. 膝蓋腱炎(ジャンパー膝) 膝蓋腱炎(ジャンパー膝)とは、膝の皿の下部にある「膝蓋腱」に繰り返し負担がかかることで損傷し、痛みを起こす病気です。 発症時は動作の始めや運動時に膝の皿の違和感を感じることが多く、症状が悪化すると日常生活でも痛むようになります。 膝蓋腱は、ジャンプ・着地などの跳躍動作やランニング時など、膝関節を屈伸したときに引っ張られる部位です。そのため、膝蓋腱に負担のかかる動作が多いスポーツ(サッカーやバレーボールなど)をしている人が発症しやすい病気です。 膝蓋腱炎(ジャンパー膝)の治療では、痛み止めの内服やヒアルロン酸、PRPなどの注射、ストレッチを行います。 重症の場合は「難治性膝蓋腱炎」の可能性があり、手術を検討するケースもあります。 日常的に跳躍動作の多いスポーツをしていて、膝の皿の痛みに悩んでいる方は、整形外科などの受診がおすすめです。 膝蓋腱炎(ジャンパー膝)については、以下の記事も参考にしていただけますと幸いです。 【今すぐできる】膝の皿が痛いときの2つの対処法 膝の皿が痛いとき、病院に行く前に自分でできる対処法は以下の2つです。 ストレッチ・トレーニング テーピング ただし、むやみに自分で対処をすると悪化してしまうケースもあるため、あくまで応急処置に留め、早めに整形外科を受診しましょう。 ストレッチ・トレーニング 膝の皿が痛むときは、膝の上の筋肉である「大腿四頭筋」や、太もも裏の筋肉である「ハムストリングス」のストレッチがおすすめです。また「殿筋」と呼ばれるお尻の筋肉をほぐすのも効果的です。 また膝の皿の痛みは、大腿四頭筋の筋力低下によって起こっているケースもあります。そのため、ストレッチだけでなく適度なトレーニングをおこなうのも良いでしょう。 それぞれの部位ごとのストレッチ・トレーニング方法は以下のとおりです。 ストレッチ(トレーニング)する部位 やり方 大腿四頭筋 <ストレッチ> 壁やイスを使ってバランスを保ちながら立ち、片足ずつ膝を曲げ、前ももを伸ばす <トレーニング> 仰向けに寝て、両膝を立てた状態から片方の膝を伸ばす。 床から10センチほど離したままキープし、ゆっくりおろす動作を両足10回ずつおこなう ハムストリング <ストレッチ> 膝を伸ばして座り、上半身を前に倒して太もも裏を伸ばす 殿筋 <ストレッチ> 両手を床に置き、体操座りの状態で床に座る 片方の足を反対の太ももの上に乗せる 両手で床を押し上げ、上体を太ももに近づける 殿筋が伸びていることを確認し、15秒程度キープする(反対も実施) ストレッチは、反動をつけず痛気持ちいい程度で、無理なくおこないましょう。 膝の皿が痛む場合のストレッチやトレーニングについては、以下の記事も参考にしてください。 ▼膝の皿の痛みや再生医療に関するご相談はこちらから >>0120-706-313(受付時間:9:00〜18:00) テーピング 膝の皿の痛みを和らげるには、テーピングも効果的です。膝関節や周辺の筋肉の動きを制限し、運動時の膝の痛みをを緩和しやすくなります。 テーピングをおこなうときは、腱や筋肉を過度に圧迫しないよう注意しながら、シワのないように巻きましょう。 膝をサポートするテーピング方法は以下の記事で紹介しています。気になる方はチェックしてみてください。 膝の皿が痛い!病院を受診する目安 膝の皿の痛みで病院に行くべきか迷った場合は、以下の項目を参考にセルフチェックしてみましょう。 動作の始まり(歩き始めや立ち上がり)に膝の皿が痛む 起床時に膝の皿がこわばる感じがする 階段の上り下りをすると膝の皿が痛む 膝蓋腱を指で押すと痛む うつ伏せの状態で膝を曲げると床から股関節まわりが浮く 上記の項目に1つでも当てはまる場合、変形性膝関節症などの初期症状である可能性があります。 膝の皿の痛みが続くときは放置せず、早めに整形外科で専門医による診察・検査を受けましょう。 「病院に行くべきかわからない」「病院に行く時間がない」という方は、ぜひお気軽にお電話にて症状についてご相談ください。 ▼膝の皿の痛みや再生医療に関するご相談はこちらから >>0120-706-313(受付時間:9:00〜18:00) まとめ|膝の皿が痛い原因を知り病院への受診を検討しよう 本記事では、膝の皿が痛いときの原因や今すぐできる対処法を解説しました。 膝の皿が痛む場合、膝蓋大腿関節症などの疾患の可能性も考えられます。ストレッチ・トレーニングやテーピングなどで一時的に対処し、痛みが続くなら早めに整形外科を受診しましょう。 当院「リペアセルクリニック」では、自己の幹細胞を用いた再生医療による治療をおこなっています。 関節部分に幹細胞を投与し、すり減った軟骨を再生させることで、手術なしで症状を改善できる可能性が高くなります。 従来の保存療法や人工関節術を受けることに抵抗がある方は、ぜひ当院の再生医療もご検討ください。 この記事が膝の皿の痛みの原因や自分でできる対処法を知るのに役立ち、最適な治療を受けるきっかけになれば嬉しく思います。 ▼無料の電話相談はこちら >>今すぐ電話してみる 膝の皿が痛いときによくある質問 急に膝の皿が痛くなるのはなぜですか。 急に膝の皿が急に痛む場合、筋力の低下や姿勢の悪さが原因の可能性があります。 大腿四頭筋腱炎など膝の疾患も考えられるため、痛みが続くなら早めに整形外科で診察・検査を受けましょう。 膝の皿が痛む原因については、以下の記事も参考にしていただければ嬉しく思います。 膝の皿が痛い!?考えられる病名とその原因、治療について徹底解説 曲げると膝の皿が痛いときはどうすれば良いですか。 膝を曲げると痛む場合は、できる限り安静にすることが第一です。膝が熱を持っていたり腫れていたりする場合は、炎症が引くまで冷やすのも良いでしょう。 40歳以上の中高年の方の場合は「変形性膝関節症」の可能性もあるため、不安な方は整形外科での受診がおすすめです。
2023.09.14 -
- 靭帯損傷
- ひざ関節
「後十字靭帯損傷」というケガをご存じでしょうか? 後十字靭帯は、大腿骨(太ももの骨)と脛骨(すねの骨)をつなぐ膝の裏側にある靭帯で、膝関節を安定させるうえで重要な役割を担っています。 靭帯損傷というとスポーツ中の激しい動作で起こる印象を持つ方が多いかもしれませんが、後十字靭帯損傷は、転倒や交通事故など日常生活や予期せぬアクシデントでも発症するケースがあります。 放置すると、膝の不安定感が慢性化し、将来的に変形性膝関節症を引き起こすリスクもあるため、初期段階での適切な診断と治療が重要です。 今回は、後十字靭帯損傷について、主な症状や診断方法、治療法について詳しく解説します。 後遺症のリスクや完治までの期間などもまとめているので、ぜひ参考にしてください。 「痛みは引いたけど違和感が続く」「リハビリをしても安定しない」といったケースでは、経過が順調でない可能性も考えられますので当院(リペアセルクリニック)にご相談ください。 保存療法・手術の適応判断を含めて、再生医療を取り入れた選択肢もご提案しています。 ▼以下をクリックでご自宅からでも簡単に相談いただけます。 >>0120-706-313(受付時間:9:00〜18:00) 後十字靭帯損傷(断裂)とは 後十字靭帯損傷(断裂)とは、膝関節を構成する後十字靭帯が部分的または完全に断裂した状態のことです。 後十字靭帯が損傷または断裂すると、膝の安定性が失われ、運動時や日常生活において膝が崩れるような違和感が現れます。また、膝が腫れて痛みを感じるケースがほとんどです。 以下で、後十字靭帯の役割や損傷の原因などを解説するので、ぜひ参考にしてください。 後十字靭帯の主な役割 後十字靭帯は、膝関節の内側に位置し、大腿骨の内側顆から後方外側に向かって伸び、脛骨(すねの骨)の顆間隆起の後外方に停止します。後十字靭帯は、膝関節の安定性を保つために欠かせない靭帯です。 「後」十字靭帯と呼ばれる名前からわかるように、膝には「前」十字靭帯も存在します。膝の内部で2つの靭帯が十字型に見えることから、それぞれの名前で呼ばれています。人が膝を安定して動かせるのは、前十字靭帯と後十字靭帯が共に機能するためです。 後十字靭帯は、前十字靭帯よりも太さと強度があり、脛骨(すねの骨)が後ろに脱臼しないように保持する働きをしています。また、安定して膝を捻る動作ができるよう膝を支える役目も担っています。 後十字靭帯損傷(断裂)の原因 後十字靭帯損傷(断裂)は、主に膝を曲げた状態で強く地面に打ち付けることによって発生するケガです。たとえば、交通事故でダッシュボードに膝を強く打ち付けたり、転倒して膝から転んで強い衝撃を受けたりするケースなどが、典型的な受傷機転として挙げられます。 ほかにも、スポーツでは、ラグビーやアメリカンフットボールなど、コンタクトが激しいスポーツ中に受傷するケースがあります。実際に、後十字靭帯損傷は、交通事故やスポーツ動作によるものがほとんどです。 後十字靭帯損傷(断裂)の症状 後十字靭帯損傷(断裂)の多くは、膝を打ちつけたことによって、膝の皿の下に擦り傷や打撲などの外傷が見られます。場合によっては、関節内に少量の血が溜まることもあります。 また、靭帯だけではなく、後ろの関節包(関節を包んでいる袋)も損傷している場合には、膝後方に皮下出血が見られることもあるため注意が必要です。なかには、膝窩部(膝裏)の痛みや、膝を曲げると痛いといった症状を訴える方もいます。 後十字靭帯は、一部の損傷で済むケースも少なくありません。しかし、靭帯が完全に断裂し、膝の安定性が乏しい場合は、階段の上り下りやしゃがみ込むときに膝がグラグラする感覚があります。 ▼ 膝が痛むときに疑われる病気について詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。 後十字靭帯損傷(断裂)の診断方法 後十字靭帯損傷(断裂)を疑う外傷があった場合、徒手検査と画像検査によって診断します。 以下で、後十字靭帯損傷の診断方法を解説するので、ぜひ参考にしてください。 徒手検査 後十字靭帯損傷(断裂)が疑われる場合は、まず診察を行い、膝関節の不安定性がないかどうかをチェックします。徒手検査とは、患部を動かしたり叩いたりして、患者の反応を観察し、治療すべき部位を特定するための検査です。 後十字靭帯損傷の検査として有名なものに、「後方引き出しテスト」と呼ばれる検査があります。後方引き出しテストの実施方法は、以下の2ステップです。 寝た状態で膝を曲げる 医師が脛骨(すねの骨)を後ろに押していく 後十字靭帯が機能していないと、後方引き出しテストをした際に、脛骨が後ろに落ち込んでしまうような感覚があります。 画像検査 後十字靭帯損傷(断裂)の画像診断は、レントゲンとMRIで実施します。靭帯自体はMRIだけでも評価できるものの、骨折を合併していないか確認するためにレントゲン撮影をするケースも少なくありません。 MRIでは、靱帯が完全に断裂しているのか、または部分的に損傷しているのかの評価が可能です。また、半月板や側副靱帯といったほかの部位の損傷についてもMRIで評価できます。 リペアセルクリニックでは、メール相談やオンラインカウンセリングを実施しています。後十字靭帯損傷が疑われる場合は、来院前でも良いのでぜひ気軽にご相談ください。 後十字靭帯損傷(断裂)の治療法 後十字靭帯の機能は、保存的治療でも比較的に良好に回復するとされています。そのため、一般的には保存療法が選択されるケースが多い傾向です。 以下で、後十字靭帯損傷(断裂)の治療法について解説するので、ぜひ参考にしてください。 保存療法 保存療法の場合は、基本的に膝関節の安定性を補助するための装具を2カ月程度使用します。保存療法は、後十字靭帯損傷が軽度で、膝の不安定感があまり強くない場合に選択する治療法です。 受傷から1〜2週間の急性期は、膝の腫脹や痛みがある時期のため、ある程度痛みが治るまでは負担をかけないように松葉杖やサポーターなどを使用します。また、痛みのない範囲で、早期から関節可動域訓練やストレッチなどを開始し、治療を進めていきます。 3週間程度で徐々に膝が動かせるようになり、装具を使用しながら筋力トレーニングやランニングなどを開始できるでしょう。その後、3カ月程度で8割を目安に筋力が回復したら、スポーツ復帰が可能です。 手術療法 後十字靭帯損傷(断裂)が重度で、保存療法では効果的な回復が見込めない場合には手術を選択します。手術は通常全身麻酔で行われます。 手術では、断裂した靱帯同士を縫合するのが難しいため、代わりにもも裏の筋肉(ハムストリング)の一部を採取し、靱帯のように形成して移植する方法が一般的です。 手術後は、膝を固定するために装具を使用し、術後3週間程度は体重をかけないようにします。入院期間は病院によって異なるものの、通常は膝に体重をかけられるようになると退院が可能です。 なお、後十字靭帯損傷の手術は、50万円前後の費用がかかるとされています。基本的には高額療養費制度の適応となるため、自己負担は軽減されます。高額療養費制度に関しては、加入している健康保険窓口で問い合わせてください。 再生医療 再生医療は、後十字靭帯損傷(断裂)を含めた膝関節の新しい治療法として注目されています。再生医療とは、損傷した靭帯や組織を修復するために体の自然治癒力を活用する治療法です。 再生医療には、主に以下の2種類があります。 幹細胞治療 患者自身から採取した幹細胞を膝関節内に注入する 炎症や痛みを抑えて、損傷部位の修復や改善を促進する効果が期待できる PRP療法 患者自身の血液から抽出した多血小板血漿(PRP)を膝関節内に注入する 成長因子の働きを利用し、損傷部位の修復を促進する効果が期待できる なお、リペアセルクリニックの再生医療では、採取する際の安全性が高く、体への負担が少ないとされている脂肪由来の幹細胞を使用しています。再生治療について詳しく知りたい方は、気軽にメール相談やオンラインカウンセリングをご利用ください。 運動療法(リハビリや筋トレ) 後十字靭帯損傷(断裂)後の回復において、リハビリテーションや筋力トレーニングなどの運動療法はとても重要です。適切な運動療法は、膝の可動域を回復させるだけではなく、筋力を強化して膝の安定性を高めることにつながります。 後十字靭帯損傷後の運動療法は、主に以下の要素を含みます。 膝関節の可動域訓練 筋力強化訓練 バランストレーニング 競技に特化した専門的なトレーニング とくに、スポーツ復帰を目指す場合はリハビリテーションが治療の中心的な役割を占めます。また、運動療法は、将来的な再発リスクを減らすためにも欠かせないプロセスの一つです。 ▼ 後十字靭帯損傷のリハビリにおける禁忌事項については、以下の記事で詳しく解説しています。 後十字靭帯損傷(断裂)の放置は後遺症のリスクを高める 後十字靭帯損傷(断裂)を放置すると、後遺症のリスクが高まるため注意が必要です。後十字靭帯損傷の主な後遺症として、以下のような症状が挙げられます。 膝の不安定性 膝の痛みの慢性化 膝のぐらつき 半月板損傷 変形性膝関節症 膝が不安定な状態のまま日常生活を送ると、大腿骨と脛骨の動きが通常よりも大きくなり、膝全体にストレスがかかります。この状態が長期間続くと、膝の軟骨や半月板などまで損傷が広がりかねません。 さらに悪化すると膝関節が変形してしまい、極端なO脚やX脚になってしまう可能性があるため注意してください。膝の痛みは放置せず、早めに医療機関を受診しましょう。 まとめ・後十字靭帯損傷(断裂)は早めに医療機関を受診しよう 後十字靭帯は膝を安定させるために重要な役割を果たしています。たとえ膝の痛みが軽い場合であっても、放置すると日常生活に支障が出るケースも少なくありません。 後十字靭帯を損傷(断裂)したら、損傷の程度やスポーツ復帰への希望有無など、状況に合わせて保存療法や手術療法などを選択します。そして、それぞれの治療方法に適したリハビリテーションを行い、膝の機能の回復に努めることが大切です。 少しでも膝に違和感を感じている場合は、自己判断で放置せず、早期に専門医を受診してください。 「これくらいの症状で病院に行くべきか迷っている」「どこに相談すればいいのか分からない」という方は、当院(リペアセルクリニック)の無料電話相談をご活用ください。 症状やご状況を丁寧にお伺いし、適切な対応や治療の選択肢をご提案いたします。 ▼以下をクリックでご自宅からでも簡単に相談いただけます。 >>0120-706-313(受付時間:9:00〜18:00) ▼ 変形性膝関節症について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。 後十字靭帯損傷(断裂)の治療に関するよくある質問 ここでは、後十字靭帯損傷(断裂)の治療に関するよくある質問をまとめました。 後十字靭帯損傷(断裂)の完治にはどれくらいの期間がかかる? 後十字靭帯損傷(断裂)の完治にかかる期間は、損傷の程度によって異なります。 保存療法の場合、一般的には2〜4カ月程度のリハビリテーション期間を経て、膝の安定性が回復する傾向です。また、手術療法の場合は、最終的なスポーツ復帰までには10〜12カ月かかると考えましょう。 後十字靭帯損傷(断裂)を早く治す方法はある? 後十字靭帯損傷(断裂)を早く治すためには、 早期の受診と適切な治療がとても重要です。 後十字靭帯損傷の治療にはさまざまな方法があるものの、いずれの場合もリハビリテーションが欠かせません。医師や理学療法士などの指導のもと、早期から継続的なリハビリテーションを行うことで、早い回復が期待できるでしょう。
2023.09.11 -
- 関節リウマチ
- ひざ関節
- 膝部、その他疾患
関節リウマチは全身の関節に炎症が起こり、痛みや腫れを起こす病気です。 進行すると関節の変形や機能の障害を残してしまいます。 関節リウマチでは膝の痛み、膝の腫れも多い症状です。 膝が痛いとき、変形性膝関節症と考え「年のせいでは?」と悩んでいる方もいるでしょう。 もし関節リウマチだった場合に放置していると、悪化してしまう可能性もあります。 この記事では関節リウマチによる膝関節炎の症状や治療法について解説していきます。 膝の痛みでお困りの方はぜひ参考にしてみてください。 膝の関節炎とリウマチの違い 関節炎とリウマチの違いは、大きく分けると以下の通りです。 関節炎 さまざまな原因で関節に起こる炎症の総称 リウマチ 関節炎を起こしている症状の1つ たとえば関節リウマチでは、自分の体を細菌やウイルスから守る免疫の異常によって関節の滑膜に炎症が起こります。 関節リウマチが起こると痛みや腫れを感じるでしょう。 関節リウマチは無治療のままで放置してしまうと、関節が変形など機能的な障害をきたすので注意しましょう。 以下の記事では関節炎の1つ「化膿性関節炎」について解説しています。 治療法や再発予防もまとめたので、具体的な症状なども把握しておきたい方は、ぜひご覧ください。 リウマチが発症する主な原因や症状 関節炎とリウマチの違いが理解できても「気づかないうちに痛みを感じるようになった」方もいるでしょう。 ここからは、リウマチになる主な原因と症状を順番に解説していきます。 関節リウマチの主な原因 関節リウマチの多くは40〜60歳代頃の中高年女性に発症します。 正確な原因はまだ明らかになっていませんが、自己免疫疾患とも言えるでしょう。 自分の組織に対して攻撃する抗体が作られてしまい、関節内の滑膜にリンパ系の細胞が集まって炎症性の物質が作られるのが原因とも考えられています。 【リウマチの発症が疑われるサイン】 起床時に関節部分がこわばっているように感じる 関節が腫れている 関節が熱っぽい 力が入りにくい 日常生活の作業が上手くいかない 家族にリウマチの患者がいる など 上記の症状が感じられる方はリウマチになっている可能性があるので、しっかり検査しておきましょう。 発症には遺伝的な要因や喫煙、歯周病などが関連しているとわかっています。 発症すると関節炎によって痛みや腫れを起こし、進行すると関節の変形を生じてしまうため、早期の発見と治療が大切です。 リウマチによる膝関節炎の症状 関節リウマチで多い症状は手や足の指の腫れ、痛み、朝のこわばりなどです。 膝関節で滑膜が増殖して炎症を起こすと膝関節炎をきたしてしまいます。 膝関節炎の主な症状は以下の通りです。 膝が腫れる 膝に水が溜まる 歩くときや階段での痛みを感じる 膝が曲がらない など 膝の痛みは膝裏に起こるケースが多く、曲げ伸ばしのときに音が生じた経験もあるでしょう。 炎症が強い場合には安静にしていても歩けないくらいの激痛が生じる場合もあるので注意してください。 なお、リウマチはあくまで関節炎の1つなので、以下の表で似ている症状をまとめました。 病名 主な症状 膠原病(こうげんびょう) 関節に痛みを感じたり血管症などの症状がある 線維筋痛症 手足の関節だけでなく筋肉に激痛を感じるケースがある 比較的女性が発症しやすい 関節炎とリウマチの違いについてだけでなく、細かい症状の違いや治療法などが気になる方は、以下の記事で詳しく解説していきます。 膝関節炎を放置するリスク 膝の関節炎を放置しておくと、関節の軟骨がなくなってしまうだけでなく、徐々に関節の変形が進んでいきます。 日常生活を送る上で「多少の痛みだから」と放置しすぎてしまうと、膝の曲げ伸ばしが難しくなるので注意してください。 骨同士のぶつかりだけで痛みを感じる可能性もあるので、症状が悪化してしまいます。 関節の変形を生じさせないためにも、早期の発見と治療が大切です。 リウマチによる膝関節炎の診断方法 リウマチの診断は問診、身体診察と血液検査、画像検査などを組み合わせて総合的に行います。関節が腫れて、痛む病気は複数あり、検査だけで関節リウマチと診断できない場合があるからです。 関節リウマチの診断基準を使用して診断を行うので、専門家である医師の診断が必須となります。 現在では2010年に米国、欧州リウマチ学会が合同で発表した分類基準を使用するケースが大半です。(文献1) 以下の4項目についてそれぞれ点数をつけ、合計して6点以上であれば関節リウマチと診断します。 診断基準 症状がある関節の数 症状が続いている期間 血液検査での炎症反応の数値 血液検査でのリウマトイド因子や抗CCP抗体の数値 血液検査では、リウマトイド因子や抗CCP抗体が重要で、多くの関節リウマチで陽性になります。 しかし、両方とも陰性でも関節リウマチと診断されたり、陽性でも関節リウマチではなかったりもします。 炎症反応は活動性を反映する指標ですが、リウマチ以外でも上昇する可能性もあるので診断結果は要チェックです。 画像検査は診断基準には含まれませんが、単純レントゲン写真では「骨びらん」と呼ばれる骨の異常な透過性がみられる場合があります。 関節エコーやMRI検査も滑膜炎の範囲、程度を評価するのに有用です。 リウマチによる膝関節の治療法 リウマチによる膝関節の治療法は、日常生活で応急処置をする方法はもちろん、専門医からお薬を処方してもらう方法などがあります。 ここからは、自宅でできる応急処置から薬物治療などの治療法を解説していきます。 体や関節を保温する 膝の関節炎だけでなく、体の関節が動かしにくいと感じた場合、患部を保温すると効果が期待できます。 冬場はもちろん、夏場の冷房があたるのも避け、長袖や長ズボンを着用しておくのがおすすめです。 患部を保温しておくと関節部分の血液がよく流れ、こわばりなどの症状を軽減する効果が期待できるのです。 関節が腫れている場合は炎症が起きている可能性があるので、保温以外の治療法を選択する必要があります。 以下の記事では、関節リウマチの初期症状や治療を詳しくまとめているので、あわせてご覧ください。 食事や姿勢などの私生活を見直す 関節リウマチの患者様は、食生活だけでなく姿勢改善などを普段から実施してもらうのがおすすめです。 症状を悪化させないためにも、以下のポイントには要注意です。 砂糖や加工食品を摂取しすぎない 激しい運動を控える 首に負担をかけない 同じ姿勢を長時間とる 重いものを持つ 正座をする 喫煙をする ストレスを溜める など 詳しい改善項目は、以下の記事でまとめているので、ぜひ参考にしてください。 専門医から抗リウマチ薬を処方してもらう リウマチの治療法は基本的に薬物治療です。 リウマチと診断した早期から、抗リウマチ薬を開始し、痛みの程度に応じて炎症を抑えるステロイドや、鎮痛薬を併用します。 薬物治療を開始しても膝関節炎の症状が続く場合にはサポーターを使用したり、膝関節に注射をしたりする方法があります。 日本リウマチ学会による2020年のガイドラインから代表的なお薬を以下の一覧でまとめました。(文献2) 抗リウマチ薬 メトトレキサート(第一段階) 生物学的製剤やJAK阻害薬(第二段階) 関節リウマチはこれまで治療が難しく、関節の変形が進行してしまう患者様も多かったのですが、現在では薬剤の種類も多くなっています。 効果が高いお薬もあるため、適切に治療すれば症状を抑えられます。 しかし、膝の関節炎が治まらず、関節の変形や破壊が進行した場合、人工関節置換術などの手術治療が行われるので不安に感じている方もいるでしょう。 膝の痛みは現在、⼿術をしなくても治療できる時代になっているので、気になる方は気軽にお問い合わせください。 まとめ・関節炎とリウマチの違いを把握して適切な治療を行おう! 関節リウマチによる膝関節炎は、日常生活に大きな影響を与える深刻な疾患です。 膝の痛みや腫れを放置すると、関節の変形や機能障害が進行し、歩行困難や日常生活の質の低下を招く恐れがあります。 しかし、早期発見と適切な治療を行えば、症状の進行を抑え生活の質を維持できます。 関節リウマチの診断には、問診や身体診察、血液検査、画像検査が用いられるので、専門医による診断が必須です。 リウマトイド因子や抗CCP抗体の検査結果が重要な診断指標となり、診断基準に基づいて総合的に判断されます。 自己判断で治療を中断したり放置したりせず、定期的な診察と検査を受けるよう心がけましょう。 日常生活では関節に負担をかけないように注意し、適度な運動やストレッチを取り入れるのも大切です。 関節リウマチの早期発見と適切な治療を通じて、健康的で快適な生活を維持しましょう。
2023.09.10 -
- 靭帯損傷
- ひざ関節
後十字靭帯損傷(こうじゅうじじんたいそんしょう)とは、膝の関節内にある後十字靭帯の損傷を指します。 主に車の事故やバイク事故、ラグビーなどのコンタクトスポーツで他人と衝突して生じ、痛みや症状改善についてお悩みの方も多いことと存じます。 そこで本記事では、後十字靭帯損傷の治療方法やリハビリにおける禁忌事項について解説します。読者の方々の一助となるべく、分かりやすく内容をまとめているのでぜひご一読ください。 後十字靭帯損傷の治療法 後十字靭帯の単独損傷では、大腿四頭筋訓練を中心とした保存療法が行われます。 膝動揺性抑制装具(サポーター)を装着して早期から痛みの無い範囲で可動域訓練を行い、筋力低下を最小限にとどめるようにします。受傷初期は疼痛緩和と安静を兼ねてギプス固定を行うこともあります。 後十字靭帯単独損傷の場合には多少の緩みが残ってもスポーツ活動に支障をきたさないことが多いです。このことから、軽度な症状の場合には先ずは保存療法を試みるようにします。 後十字靭帯損傷のリハビリにおける禁忌 後十字靭帯損傷におけるリハビリの禁忌として以下の事項が挙げられます。 しゃがみ・膝立ち 正座 膝に直接負担をかける行為は症状を悪化させる危険性があり、完治を妨げる要因ともなります。 また、後方へのストレス(不安定性)が強く、日常動作に不自由を感じる際は靭帯再建術を考慮しなければなりません。速やかに最寄りの医療機関または当クリニックにご相談ください。 なお、当院も専門領域なので、不安がある方は下記のバナーをクリックのうえ、お気軽にお問い合わせください。 後十字靭帯損傷の完治期間 https://youtu.be/ZYOV-Er0mnU?si=krijmhYRz9t7Ggd_ 後十字靱帯損傷の完治までの期間・道のりとしては、ハムストリングスを用いた再建術後の理学療法、術直後には免荷で膝装具0° 固定し等尺性筋収縮運動を行います。 1〜2週間で部分荷重、スクワット運動開始とします。4週間で全荷重、4カ月でジョギング、水泳などのスポーツ復帰が可能となります。 期間 トレーニング内容 1〜2週間 部分荷重、スクワット運動開始 4週間 全荷重 4カ月 ジョギング、水泳などのスポーツ復帰 上記の期間を経て、全治までには数ヶ月を要します。 後十字靭帯損傷の予後は比較的良好とされていますが、自然治癒するわけではないことを覚えておきましょう。 最近では、早期の競技復帰を望むアスリートの間などで靭帯組織の修復に期待できる「再生医療」が注目されています。 ▼再生医療について詳しく見る 後十字靭帯損傷の診断方法 脛骨の後方ストレスへの不安定性とMRI画像で後十字靭帯断裂を確認し、後十字靭帯損傷を診断できます。 また、レントゲン写真では骨折の有無の判別が可能です。 くわえて、後十字靭帯損傷の診断方法のひとつにsagging(サギング)テストがあります。 脛骨が落ち、関節に窪みが生じていれば後十字靱帯断裂を疑います。 そもそも後十字靭帯損傷とは 後十字靭帯は、膝関節の中で前十字靭帯とともに関節を強固に連結している靱帯です。 大腿骨(太ももの骨)の内側と、脛骨(すねの骨)の中央をつなぎ、前十字靭帯と十字のかたちに交差して膝関節を支えています。普段は膝関節のひねる動作を支えたり、脛骨が後ろにずれないように支えるように働いたりしています。 後十字靭帯損傷は、膝裏にあたる位置にある靭帯損傷のことであり、後十字靭帯が一部あるいは完全に断裂した状態を指します。 また、混同しやすい傷病名として「後十字靭帯断裂」が挙げられます。詳細が気になる方は、以下の記事をご確認ください。 後十字靭帯損傷の原因 スポーツ外傷や交通事故などで、脛骨上端に、前から後ろへ向く大きな力が加わることで後十字靭帯が損傷するケースが多いとされています。 具体的には、以下のような受傷機転が考えられます。 交通事故 ダッシュボード損傷とも言われ、車が急停車しダッシュボードに膝(脛骨の上端部)をぶつけることによって起こります。 転倒 膝を90°曲げた状態で転倒すると脛骨が後ろへ押し込まれるため受傷します。 コンタクトスポーツ(ラグビーなど) 膝下にタックルを受けることで、後十字靭帯を損傷することがあります。 後十字靭帯損傷の症状 後十字靭帯損傷の症状を解説します。 急性期(受傷後3週間くらい) 膝の痛みと可動域制限がみられますが、歩ける場合が多いです。しばらくすると腫れ(関節内血腫)や、膝窩部の皮下出血が出現することもあります。 痛い部位は、膝の裏となります。また、脛骨に後方へのストレスをかけると、膝窩部に激痛がみられます。 急性期を過ぎると 痛み・腫れ・可動域制限はいずれも軽快してきます。しかしこの頃になると損傷部位によっては膝の不安定感が徐々に目立ってくることがあります。下り坂やひねり動作の際に症状が顕著となります。 慢性期の症例(受傷から時間がたった場合) 前十字靭帯損傷と比べると膝の機能障害は軽度ですが、歩行やスポーツ時に脛骨の後方ストレス(不安定感)を感じます。 また、関節軟骨変性による膝蓋大腿関節や内側の関節裂隙の圧痛や、仰向けで膝関節を90度屈曲すると、脛骨近位端が後方へ移動する落ち込み徴候(サギングサイン)が確認できます。 不安定感を放置してしまうと半月(板)損傷や軟骨損傷などを新たに引き起こし、慢性的な痛みや腫れ(水腫)が出現するおそれもあります。 まとめ|後十字靭帯損傷にお悩みの方は再生医療に注目 靱帯損傷は、靭帯の一部あるいは全部が断裂してしまうことです。 当院では、自己脂肪由来幹細胞治療やPRP療法を行っています。 後十字靭帯損傷後に膝の不安定感があったり、スポーツに早期復帰したいという方のために、膝の靭帯損傷をより早く治すために再生医療を提供しています。ご興味のある方は、ぜひ一度当院の無料相談を受けてみてください。 参考文献 膝の最前線. 理学療法科学 第23巻2号 「膝靭帯損傷」|日本整形外科学会 症状・病気をしらべる プライマリケアのための関節のみかた 下肢編(2)―膝(下)[臨床医学講座より] - 医科 - 学術・研究 | 兵庫県保険医協会
2023.09.07 -
- 靭帯損傷
- ひざ関節
「膝の外側に痛みがあり、動かすたびに不安定感を感じる..」 このような症状に悩んでいる方もいらっしゃるのではないでしょうか。 外側側副靱帯損傷は、日常的に頻発する怪我ではないものの、適切な治療がなければ膝の機能に後遺症が残りやすく、場合によっては手術が必要になることもあります。とくにスポーツや事故による強い衝撃で起こることが多く、早期の診断と治療が重要です。 当院では、このような外側側副靱帯損傷に対して、再生医療も含めた治療法を提案し、患者様に合った治療選択ができるようサポートしています。本記事では、外側側副靱帯損傷の原因や症状、治療方法について詳しく解説し、適切な対策を知るための知識をお伝えします。是非お読みいただき、膝の健康を守るための一助となれば幸いです。 外側側副靭帯損傷とは 外側側副靱帯(がいそくそくふくじんたい)損傷は、膝の外側にある靭帯がスポーツや交通事故で外傷による損傷する怪我です。膝の関節は太ももの骨である大腿骨(だいたいこつ)とすねの骨である脛骨(けいこつ)、お皿の骨である膝蓋骨(しつがいこつ)からできています。比較的平らな面同士が合わさってできており、安定性に欠くため、大腿骨と脛骨の間を別の組織で補強しています。 外側側副靱帯損傷は、いくつかある靭帯損傷の中でも、比較的まれな怪我ですが、他の靭帯と一緒に損傷することが多く、場合によっては手術が必要になります。 「三段階」に分かれる症状 靭帯は膝関節を補強する組織の1つで、骨同士を固い組織でつなぎ、膝の安定性を高めています。外側側副靱帯は膝の外側にあり、膝の内側からの衝撃に抵抗する靭帯です。そのため、膝の内側から強い衝撃が加わると、外側側副靱帯にストレスが加わり、場合によって靭帯が傷ついたり、ちぎれたりして、外側側副靱帯損傷を引き起こします。 外側側副靱帯損傷の症状は損傷の程度に応じて三段階に分かれ、それぞれ異なる治療が必要になります。 症状の概要 具体的な症状 軽度の損傷 靭帯の微細な損傷で、腫れや軽度の痛みを伴いますが、膝の不安定さはありません。通常、数週間で自然に回復します。 中程度の損傷 靭帯が部分的に断裂し、腫れや痛みが強くなり、膝が少し不安定になることがあります。安静とリハビリが必要で、回復まで数カ月かかることもあります。 重度の損傷 靭帯が完全に断裂し、膝の強い不安定感を伴います。手術が必要となる場合が多く、回復には長期間のリハビリが必要です。 外側側副靱帯損傷の原因 外側側副靱帯は靭帯損傷の中でも比較的めずらしい怪我です。単独で生じることは少ないですが、外側側副靱帯が損傷している場合の特有の症状や原因があります。 外側側副靱帯損傷の原因は大きく分けて、スポーツ中の接触と交通事故に分けられます。スポーツでは、サッカーやラグビーのタックルや柔道の足払いなどで膝の内側に強い衝撃が加わり、外側側副靱帯が強制的に伸ばされて起こります。 交通事故の場合も、スポーツ同様に膝の外側が無理に伸ばされるような衝撃を受けることで、外側側副靱帯が損傷されるのです。どちらにせよ強い衝撃が原因となるため、外側側副靱帯が単独で損傷することは少なく、他の靱帯や半月板といった組織の損傷と合わさる場合が少なくありません。 外側側副靱帯損傷の症状 外側側副靱帯の損傷の症状は、膝の外側の痛みや腫れです。また、膝から下が内側に傾くような動きが生じると、傷ついた靱帯が伸ばされるため、痛みを生じます。たとえば、あぐらをかいた場合に膝の外側が痛い状態です。外側側副靱帯を損傷した状態で放置すると、膝がグラグラするように不安定感が生じます。 外側側副靱帯損傷の診断 外側側副靱帯が損傷しているかどうかは、以下の方法で診断されます。 診断方法 ・徒手検査(としゅけんさ) ・画像診断 それぞれの診断について具体的に解説します。 徒手検査(ストレステスト) 患者を仰向けに寝かせた状態で膝の内側と足首の外側を持ち、膝から下を内側に動かすように力を入れて、外側側副靱帯にストレスを加える内反(ないはん)ストレステストと呼ばれる検査をします。内反ストレステストで、痛みや関節が通常より大きく動く不安定性を認めた場合は、外側側副靱帯損傷が疑われます。 膝を軽く曲げた状態と完全に伸ばした状態といった両方の姿勢で検査を行い、膝屈曲位で症状が出た場合は外側側副靱帯の損傷、伸ばした状態で症状が出た場合は、他の靱帯の損傷も疑うことが必要です。 画像診断 外側側副靱帯の損傷はレントゲンでは異常を示しづらく、詳細な診断にはMRIを用います。MRIだと他の靭帯や半月板などの組織もはっきりと写るため、複合損傷や合併症の確認にも有効です。膝の痛みは⼿術しなくても治療できる時代です。 外側側副靱帯損傷の治療 外側側副靱帯損傷の治療外側側副靱帯の損傷の治療方法は手術を行わない保存療法と、手術を行う手術療法に分けられます。それぞれの治療方法について具体的に解説します。 保存療法 外側側副靱帯のみの損傷で、膝の不安定感が少なく、日常生活に大きな支障がなければ、手術による外科的な治療を行わない保存療法が選択されます。保存療法には装具療法やリハビリテーションがあります。 装具療法(テーピング・ギプスなど) 外側側副靱帯損傷により、膝が不安定になれば、さらなる損傷や膝周辺の痛みを伴うリスクが高まります。そのため、テーピングやギプスを着用して、膝の安定性を高めれば、外側側副靱帯へのストレスを減らせます。まず、怪我の直後(約1〜2週間)は、痛みや腫れが強い場合が多いため、膝の負担を軽減する目的でギプスや専用の装具で完全に固定します。この間は、膝にかかる負担を極力減らし、できるだけ安静にすることが重要です。 装具やサポーターの使用方法 以下は具体的な装具使用の目安です: 装着期間:リハビリ初期から約1〜3カ月間、必要に応じて日中はサポーターを着用する。 強度と頻度:日常生活では中等度のサポート力があるサポーターを使用し、膝の安定感を補います。運動や軽いトレーニング時には、強度が高いサポーターに切り替え、膝にかかる負担をさらに軽減します。 装着時間:運動や立ち仕事をする際には常に装着し、リラックスする時間帯や寝るときには外して膝を休ませるようにします。 リハビリテーション リハビリテーションでは、膝の安定性を高め、再発を防ぐために膝周辺の筋力を鍛える筋力トレーニングが行われます。初期の段階では、膝への負担が少ない静的な筋力トレーニングから始め、太ももやふくらはぎの筋肉を強化します。たとえば、週に3〜5回、各10〜15分程度の軽いトレーニングを推奨します。 トレーニングの例 静的トレーニング:たとえば「クアッドセッティング」(太ももの筋肉を収縮させる運動)や、「かかと押し運動」などを行い、膝に負荷をかけず筋力をつけます。 負荷の強化:リハビリが進むにつれ、少しずつ動的な運動やスクワットなどを加えて、膝周りの筋力を強化します。 関節の可動域を広げるストレッチと練習 装具で固定していたことによる関節の動きの制限を改善するため、1日に数回、各5〜10分程度のストレッチや可動域練習を行います。膝の柔軟性を取り戻すため、次のようなストレッチを行います。 ストレッチ例:「太ももの裏を伸ばすストレッチ」や「膝を曲げ伸ばしする運動」をゆっくりと行い、膝関節の動きをスムーズにします。 手術療法 複合靭帯損傷の場合や膝の不安定性が強い場合は、手術による治療が適応になります。手術は損傷した靱帯を他の部分の靱帯を使って再建する靱帯再建術が実施されます。手術後は状態に合わせて段階的なリハビリテーションが必要です。その後、スポーツ復帰して試合などの通常に戻れるまでは、3〜6カ月の治療期間がかかります。 再生医療 複合靭帯損傷や膝の不安定性が強い場合、一般的には靱帯再建術などの手術が適応され、損傷した靱帯を他の部位の靱帯を用いて再建します。手術後は状態に合わせた段階的なリハビリテーションが不可欠で、通常、スポーツや試合に完全復帰するまでに3〜6カ月の治療期間が必要です。 近年では、従来の手術やリハビリだけでなく、**再生医療(幹細胞治療やPRP療法)**も注目されています。再生医療は損傷した組織の再生を促し、後遺症を軽減しながら短期間での回復が期待できる治療法です。この治療は、スポーツ選手や早期の回復を望む人、後遺症や再発を防ぎたい人におすすめです。 再生医療の特徴と効果 特徴:幹細胞やPRP(自己血小板血漿)を用いることで、膝靱帯の損傷部位の組織再生を促進します。 効果:従来治療と比べ、短期間での回復が期待でき、後遺症の軽減や再発の防止に効果的とされています。 幹細胞治療 幹細胞治療は、人体にある「幹細胞」という、さまざまな組織に変化する能力を持つ細胞を利用した再生医療の一つです。幹細胞は通常は活動しませんが、体内の損傷や細胞減少を感知すると、分裂して傷ついたり不足している細胞に変わり、体の機能を修復します。 当クリニックでは、自己脂肪から採取した幹細胞を培養・増殖し、関節や組織に注入する「自己脂肪由来幹細胞治療」を行っています。この治療では、患者自身の細胞を使用するため、アレルギーや拒絶反応のリスクが低く、安全性の高い技術として注目されています。 幹細胞治療は、スポーツ障害や関節疾患の他、脳卒中や脊髄損傷、糖尿病、肝疾患などにも対応でき、さまざまな疾患への適応が期待されています。直接注射が難しい部位には、静脈注射によって幹細胞を体内に導入し、全身を巡らせることで臓器や組織の修復を促します。 PRP治療 PRP(Platelet Rich Plasma:多血小板血漿)治療は、再生医療の一種で、患者自身の血液から血小板を高濃度に抽出して患部に注入し、体の持つ「治癒力」を活性化させる治療法です。PRPには血小板が豊富に含まれており、血小板が分泌する成長因子が傷ついた組織の修復を促します。この治療により、痛みを軽減し、自己治癒力を高める効果が期待されます。 PRP治療の基本原理は、損傷した部位に新たな「ケガ」を作り出すことです。これにより、治癒が停滞していた組織が「損傷を受けている」と認識し、血小板成分による炎症反応と自己修復が再び活性化します。PRPには通常の血液の3〜5倍もの成長因子が含まれ、これが損傷した組織や細胞の修復を促進するため、早期の改善が期待できます。 外側側副靱帯損傷の治療選択は医師の診断で 外側側副靱帯損傷は、頻度が高い怪我ではありませんが、治療をせずに放置すると、膝の痛みや損傷部位の悪化を招く危険性があります。 診断には徒手検査やMRIなどの画像診断が用いられ、損傷の程度や他の合併症の有無が確認されます。治療法としては、保存療法(装具やリハビリによる膝の安定強化)が軽度の場合に適用され、重度の損傷や複合損傷には靱帯再建術などの手術が行われます。手術後は段階的なリハビリを必要とし、回復には数カ月を要します。 近年では、再生医療(幹細胞治療やPRP療法)も選択肢の一つとして注目されており、組織の再生を促し、回復期間を短縮させる効果が期待されています。とくに後遺症や再発を避けたい場合には再生医療も検討することをおすすめします。 膝の外側が痛んだり、膝がグラグラするような不安を感じたりした場合は、できるだけ早めに整形外科に受診しましょう。
2023.09.04 -
- 靭帯損傷
- ひざ関節
「ランナー膝の治し方を知りたい」「ランナー膝の原因って何?」 ランニングなどによって膝の痛みが出るランナー膝ですが、原因や改善策を知りたい方も多いのではないでしょうか。 ランナー膝は、適切な対策を取らないと慢性的な痛みへと発展する恐れがあります。 多くのランナーが悩む症状ですが、実は自宅でも改善できる方法もあります。 この記事では、症状を軽減する方法から、予防対策まで具体的に解説していきます。最後まで読めば、ランナー膝をぜひ最後までお読みください。 ランナー膝(腸脛靭帯炎)の治し方3選 ランナー膝(腸脛靭帯炎)は、膝の外側に痛みが生じるスポーツ障害です。とくに長距離ランナーに多く見られ、初期の対処が重要です。治療法は主に以下の3つがあります。 保存療法(安静・ストレッチ・リハビリなど) 運動環境・フォームの改善療法 外科的治療・再生医療 まずは自宅でできる保存療法、次はフォームや運動環境の改善、最後に外科の治療や再生医療といった選択肢です。ここからは、それぞれの方法について詳しく解説していきます。 保存療法(安静・ストレッチ・リハビリなど) 保存療法は、ランナー膝の最も一般的な治療法です。 痛みや炎症がある場合はランナー膝の原因となる運動を中止し、安静にするよう心がけましょう。膝をアイシングしたり、湿布を使ったりするのも効果的です。 炎症が改善したら、大腿筋膜張筋や股関節外側部を中心としたストレッチを行います。 リハビリで筋力を回復させることで、再発予防にもつながります。(文献1) 運動環境・フォームの改善療法 ランナー膝は、走る際のフォームや、履いているシューズを変えることで改善できる場合があります。 上半身が左右に揺れたり、膝が内側に入ったりする走り方は、ランナー膝を悪化させる原因になりかねません。そのため、体幹や股関節、足首などを強化し、膝に負担がかかりにくいフォームに矯正する必要があります。 また、着地時の衝撃を吸収してくれるインソールや、膝の動きを支えるサポーターなどを活用するのも良いでしょう。(文献2) 運動環境やフォームの改善は、ランナー膝の治療だけでなく予防にも効果的です。とくに日常的にランニングをする方は、普段から正しい走り方を意識し、膝の負担を軽減するシューズの使用がおすすめです。 外科的治療・再生医療 症状によっては外科的治療や再生医療も選択肢に含まれます。 ランナー膝の外科的治療は一般的でないものの、保存療法で効果が見られない場合や、難治性と診断された場合は手術を検討します(文献3)。 また、PRP療法をはじめとする再生医療を実施するケースもあります。PRP療法は、自分の血液から抽出した成分を注入し組織の再生を促進する方法であり、炎症の抑制や痛みの軽減が期待できます。 膝の痛みを再生医療を用いて治療する方法は、以下の記事もご覧ください。 ランナー膝(腸脛靭帯炎)における原因 ランナー膝(腸脛靭帯炎)は、膝の外側に痛みを引き起こすランニング障害です。 主な原因は以下の2つにわかれます。 ランナー膝の原因 詳細 選手側の問題 筋力のアンバランス 柔軟性の不足 O脚(内反膝) 練習内容や環境の問題 オーバートレーニング 不適切な靴 選手側が要因となるO脚では、腸脛靭帯が大腿骨に擦れやすく炎症のリスクを高めます。 また、オーバートレーニングのほか、下り坂・不整地でのランニングも摩擦が増して症状を悪化させる要因です。 ランナー膝(腸脛靭帯炎)の症状 ランナー膝(腸脛靭帯炎)は、膝の外側に痛みが生じる症状が特徴です。 軽症の場合、スポーツ後に痛みが出る程度ですが、放置すると中等症へ進行し、プレー中にも痛みを感じるようになります。 悪化すると、スポーツをしていないときでも痛みが現れ、日常生活にも影響する可能性があります。 重症化すると手術などの外科的治療が必要になり、入院やリハビリ期間が長引く可能性が高くなるため、膝の痛みを感じたら早めに整形外科に相談しましょう。 ランナー膝(腸脛靭帯炎)の診断 ランナー膝(腸脛靭帯炎)は、ランニングやジャンプの動作時や日常生活での痛み、膝の外側の圧痛の有無をヒアリングすることで診断されます。 また、レントゲンやMRIなどの画像診断や、「グラスピングテスト」と呼ばれる方法を用いて診断するケースもあります。 まとめ|ランナー膝は保存療法で効果が見られないなら他の治療法も検討しよう ランナー膝の治療は、保存療法だけでなく、予防対策を意識した運動環境・フォーム改善療法も並行しておこないます。再発を繰り返す場合や難治性と診断された場合は、手術療法や再生医療といった選択肢も検討しましょう。 当院「リペアセルクリニック」では、自己の幹細胞を用いた再生医療を提供しています。膝の靭帯部分に幹細胞を投与することで、手術なしで症状を改善できるケースもあります。 従来の保存療法や運動療法による治療で効果がみられない場合は、ぜひ当院の再生医療もご検討いただければ幸いです。 メールでの無料相談やオンラインカウンセリングも実施しておりますので、お気軽にご相談ください。 この記事がランナー膝の治療方法の選択肢を知るのに役立ち、治療を受けるきっかけになれば嬉しく思います。 ランナー膝(腸脛靭帯炎)についてよくある質問 ランナー膝(腸脛靭帯炎)ではどこをほぐすべきですか? ランナー膝の改善には、腸脛靭帯自体を直接ほぐすのではなく、大腿筋膜張筋や股関節、大腿部前面を重点的にストレッチするのが有効です。 フォームローラーやストレッチを使い、これらの筋肉を柔らかくし、症状の緩和と再発防止につながります。 ランナー膝のストレッチについては以下の記事もご覧ください。 ランナー膝でやってはいけないことは何ですか? ランナー膝の痛みを感じた際は、無理に動かさずスポーツを中止して安静にしましょう。とくに下り坂や傾斜がきついコースでのランニングは、膝に負担をかけやすいため控えるべきです。 負荷を調整しつつ、適切なストレッチやリハビリを行うことを意識してみてください。 ランナー膝を早く改善するポイントについては以下の記事でも解説しておりますので、ぜひご覧ください。
2023.08.31 -
- ひざ関節
- お皿付近に違和感
- 膝部、その他疾患
「膝を捻挫して歩けるけど痛い」という方の中には、病院に行くべきか悩んでいる方もいるのではないでしょうか。 結論、膝の捻挫後に歩けるけど痛い場合は、靭帯断裂など重症な可能性があります。 軽症な場合は適切な応急処置とセルフケアで早期に回復するケースもありますが、治療を受けずに放置してしまうと重症化するリスクがあります。 捻挫を放置することで、後遺症がでる場合や靭帯が完全に断裂して手術が必要になる可能性も少なくありません。 当院リペアセルクリニックでは、捻挫による痛みだけでなく「少し違和感がある」など些細なことでも無料でご相談を承っています。 「捻挫の痛みを早く治したい」「後遺症や手術は避けたい」という方は、ご自身の症状に適した治療法についてご相談ください。 ▼捻挫の早期回復に再生医療が注目 (こちらをクリックして)無料で相談しよう \お問い合わせはこちらから/ 0120-706-313 (受付時間:9:00〜18:00) 膝を捻挫して歩けるけど痛いときに考えられる原因 膝を捻挫して歩けるけど痛いときに考えられる原因として、捻挫ではなく靭帯断裂などの重症な可能性があります。 捻挫とは、膝の曲げ伸ばしを行うための「関節包」や「靭帯」が損傷してしまう外傷のことです。 しかし、捻挫と診断されるのは軽症の場合に限り、損傷度合いが強く、靭帯が完全に切れている場合「靭帯断裂」という診断になります。 捻挫だと思って痛みを我慢して放置していたら靭帯断裂だったというケースも少なくありません。 受傷後に歩行できる場合でも、適切な治療を受けなければ関節が不安定になったり、再発しやすくなる(クセがつく)可能性があります。 近年の治療では、捻挫や靭帯断裂の早期回復が目指せる治療法として、再生医療による治療が注目されています。 「膝の痛みを早く治したい」「再発のクセがつく前に治したい」という方は、ぜひお問い合わせください。 \無料相談・お問い合わせはこちら/ 0120-706-313 (受付時間:9:00〜18:00) 膝を捻挫して歩けるけど痛いときの症状 膝を捻挫すると主に以下のような症状が現れます。 受傷直後の強い痛み 内出血とむくみの発生 膝全体の腫れ 受傷直後は痛みが強いですが、機能は比較的保たれている事が多く、その後も痛みを我慢して普通に生活できる方もいます。 ですが、徐々に内出血とむくみが出てきて、膝全体が腫れてきます。 膝全体が腫れると、膝を動かす際に痛みが生じます。また、左右を比較すると動かせる範囲が狭くなる「可動域制限」がでてきます。 ひどい場合は痛みで足が地面につかないケースも。 ただし、「捻挫」であれば一時的な症状なので、数日で改善するケースが多いです。 いつまでたっても痛みが引かない、腫れがひどくなってきたという場合は「靭帯損傷」のレベルまで症状が悪化している可能性があります。注意しましょう。 「歩けるけど痛い」「膝がぐらぐらして不安定」は要注意! 「ただひねっただけだと思って様子を見ていたら、実は靭帯損傷だった。」という事例は意外に多いです。 膝には主に4つの重要な靭帯があります。 前後方向の安定性を保つ前十字靭帯・後十字靭帯、左右方向の安定性を保つ内側側副靭帯・外側側副靭帯です。これらはバスケットボールやサッカーなどのスポーツはもちろん、転倒などでも痛めるケースがあります。 「歩けるけれども痛みが続く」や「膝がぐらぐらして不安定」と感じるときは、これらの靭帯を痛めている可能性があります。 また、靭帯を痛めていると関節の中に血が溜まることが多いです。 「もしかしたら当てはまるかも」と思った場合は、自己判断せずに病院を受診しましょう。 歩けるけど痛い 膝がぐらぐらして不安定 「靭帯」や「半月板」を損傷している恐れがあります。自己判断はせず、病院を受診しましょう! また、膝のクッションや安定性を保つ役割をしている組織に半月板が存在します。半月板は左右に1つずつありますが、こちらも膝をひねって痛めた際に損傷してしまうことがあります。 年を取ると徐々にすり減って切れやすくなります。特に、高齢の方はバスの乗り降りなど少しの段差を下りただけでも半月板が切れてしまう恐れも。「ブチッ」という感覚を伴うのが特徴的です。半月板損傷は検査しないと判明せず、病院でMRIなどを撮影しなければなりません。 一口に「捻挫」と言っても、紹介したような損傷が隠れている可能性もあります。ちょっとでも違和感があるなら、病院に受診するようにしてみてください。 膝を捻挫して歩けるけど痛いときの対処法 膝をひねってしまった受傷直後は、RICE処置を行いましょう。 Rest:安静 Ice:冷やす Compression:圧迫 Elevation:挙上 スポーツはすぐに中止し、歩行もできればしない方が望ましいです。氷や保冷材などを使って膝を冷やしながら、包帯などがあれば圧迫してください。 また、寝ているときは心臓より高い位置に足をあげておくと、膝が腫れてくるのを予防できます。 しかし、自己判断での応急処置は症状を悪化させてしまうリスクもあるため、症状に適した応急処置について確認することが重要です。 当院リペアセルクリニックでも捻挫の症状に適した対処法や治療法についてご説明いたしますので、お気軽にお問い合わせください。 膝を捻挫して歩けるけど痛いときに受けるべき診断方法は? 問診と身体診察で、どのような怪我が疑わしいのか予想がつく場合もあります。 基本的には、まずレントゲンで骨折がないかどうか確認します。レントゲンだけではわからない場合は、骨をより詳しく見るためにCT検査を行うこともあります。その後、靭帯損傷や半月板損傷が疑われる場合にはMRI撮影を実施します。 レントゲン撮影 CT検査 MRI撮影 検査の結果、手術が必要な靭帯損傷などの疑いがなければ保存療法になります。 損傷した関節包や靱帯が修復する期間は、通常3週間前後です。この期間は激しい運動や重労働などはせず、安静にしていましょう。安静を保つ目的で、一定期間添木や松葉杖・サポーターなどの使用を指定するケースもあります。 痛みが強い場合は、飲み薬や湿布を処方する場合もあります。ただし、鎮痛薬は痛みを止めるだけで治ったわけではないので、一番大事なのは膝の安静です。 そのまま通常の生活に戻れる場合は、晴れて治療終了です。しかしながら、安静にしていた影響で筋力が低下したり、動きが悪くなることがあります。 その際はリハビリテーションを実施して膝関節の機能を戻すとともに、次の怪我の予防も同時に行うことが大切です。 膝を捻挫して歩けるけど痛いときによくある質問 膝を捻挫して歩けるけど痛いときによくある質問をQ&A形式で紹介します。 膝関節を含む捻挫の予防法や対処法はありますか? 運動をされる場合は、適切なストレッチやウォーミングアップが大切です。筋肉の柔軟性を保ち、温めてしっかりと動かせる状態にしてから運動を始めることで、関節に負担がかかりにくくなります。 また、普段から下肢の筋力が衰えないように意識してトレーニングをしておくことも重要です。さらに、自分の足に合った靴を選ぶことも転倒の予防になります。 膝関節捻挫を引き起こしてからスポーツに復帰できる目安は? スポーツ復帰には、痛みがなくなっていることが大前提です。痛みがあるまま再開すると、膝をさらに痛めたり、かばって別の部位の怪我を引き起こしかねません。 一般的に、通常の捻挫であれば2〜3週間で痛みが落ち着くので、軽い運動から再開するように指導します。 膝に過度な負担をかけないよう、サポーターなどの補助具を使用することも勧められます。 膝関節捻挫は何科を受診すればよいですか? 膝関節捻挫は外傷により発症します。よって、整形外科を受診しましょう。 とはいえ、受傷した時間が深夜や早朝だと、最寄りの整形外科医が受診の時間外の場合もあるでしょう。このような場合は、整形外科のある最寄りの大きな病院に問い合わせるか、厚生労働省が推奨している「♯7119」に電話で相談してみてください。 あきらかに緊急性がない場合は当院へご相談ください。国内で10,000以上ある実績を元に、親身に対応いたします。 膝を捻挫して歩けるけど痛いときは重症の可能性あり!早めに医療機関を受診しよう この記事では、膝関節捻挫について解説しました。 膝関節捻挫は直接的・間接的な原因から発症し、受傷直後に強い痛みを伴います。病院を受診せずに痛みを我慢しその後も様子をみてしまう方も多いのが現状です。しかし、裏側に潜む靭帯や半月板の損傷も考えられます。 自己判断で無理せず、最寄りの医療機関を受診するよう心がけましょう。 従来の治療では、症状に応じて約4〜8週間の固定期間が必要ですが、先端医療である再生医療による治療で痛み症状の早期改善が期待できます。 捻挫の痛みを早く治したい方は、この機会に再生医療がどのような治療をするのかお問い合わせください。 ▼捻挫の早期回復に再生医療が注目 (こちらをクリックして)無料で相談しよう \お問い合わせはこちらから/ 0120-706-313 (受付時間:9:00〜18:00)
2023.08.28 -
- ひざ関節
- 膝部、その他疾患
膝に痛みを起こす原因の一つが離断性骨軟骨炎です。離断性骨軟骨炎は10代〜20代に起こるケースが多く、膝軟骨の損傷となるため、初期のレントゲン写真ではわからない場合もあります。 主な原因は明らかにされていませんが、サッカーや野球などのスポーツによる負荷や血流障害が離断性骨軟骨炎に影響していると考えられています。 本記事では離断性骨軟骨炎の症状や原因、治療法について解説します。治療法も紹介するので、関節の違和感に悩んでいる方は参考にしてください。 離断性骨軟骨炎とは 離断性骨軟骨炎(りだんせいなんこつえん)とは軟骨が関節内に剥がれ落ちて、膝にさまざまな症状を起こす病気です。 血流不良で軟骨の下に位置する「軟骨下骨(なんこつかこつ)」が壊死し、離断性骨軟骨炎は引き起こされます。 離断性骨軟骨炎を発症しやすい年齢は10代〜20代で、スポーツ選手に多く見られます。また、男女比は2:1で、男性に多い病気です。 離断性骨軟骨炎の好発部位 離断性骨軟骨炎が起こりやすい部位は大腿骨の内側が85%ともっとも多く、外側が15%です。また、膝蓋骨(しつがいこつ、膝の皿)でも、稀に発症します。 離断性骨軟骨炎が発症する主な関節は、以下の通りです。 膝関節 肘関節 足首(距骨) 肩関節 膝関節は離断性骨軟骨炎を特に引き起こしやすい部位で、なかでも大腿骨の膝に近い部分の大腿骨内側顆(だいたいこつないそくか)で見られます。 なお、大腿骨の外側で起こった場合、円板上半月板(えんばんじょうはんげつばん)を合併する可能性もあるため注意が必要です。 離断性骨軟骨炎の症状 離断性骨軟骨炎の症状は、進行するにつれて悪化していきます。早期発見が重要になるため、初期症状を理解しておくのが大切です。 ここでは、離断性骨軟骨炎の症状を段階別に紹介します。 初期症状 離断性骨軟骨炎の初期症状は、運動後の不快感や鈍い痛み以外に特に症状がありません。病気が発症して初めの段階では、傷んだ軟骨が遊離していない状態のためです。 軽い違和感のみとなるため運動できますが、初期症状を放置してしまうと、次第に骨軟骨片が遊離して関節軟骨の引っかかりやズレを感じやすくなります。また、大きな軟骨の欠片が関節内に剥がれ落ちると、膝の中でゴリッと音がする場合もあります。 進行時の症状 離断性骨軟骨炎が進行した場合、痛みの増大や関節に違和感を覚えるようになります。軟骨の表面に亀裂や変化が生じると痛みが強くなり、スポーツをする際、支障をきたします。 また、膝の曲げ伸ばしをする際、骨軟骨片が関節に挟まると膝がロックして動かなくなるロッキングを引き起こす場合もあるため注意しましょう。 ロッキングが起こった場合は、無理に動かさずすみやかに医師の診断を受けるのが大切です。なお、離断性骨軟骨炎の症状が長期的に続くと、変形性関節症へ移行するリスクが生じます。 当院「リペアセルクリニック」では、メール相談やオンラインカウンセリングを受け付けておりますので、治療に関する悩みがある方は、お気軽にお問い合わせください。 離断性骨軟骨炎の主な原因 離断性骨軟骨炎の原因は、明確にされていません。しかし、いくつかの原因によって症状を引き起こすと考えられています。 ここでは、離断性骨軟骨炎の主な原因を紹介します。 サッカーなどのスポーツによる膝や足首へ負荷 骨の急速な成長による血流障害 離断性骨軟骨炎が発症する原因を知りたい方は、参考にしてください。 サッカーなどのスポーツによる膝や足首へ負荷 離断性骨軟骨炎の原因は、繰り返される関節への衝撃やストレスの可能性が考えられます。反復する衝撃やストレスによって軟骨下の骨に負荷がかかると血流障害を起こし、軟骨が遊離しやすくなるためです。 たとえば、サッカーや野球、バスケットボールなどの激しいスポーツではジャンプや急な方向転換をともないます。膝や足首、肘へ負荷がかかりやすい動作の影響により、血流障害や壊死を引き起こして離断性骨軟骨炎が発症する場合があります。 若年スポーツ選手に多いため、膝や足首、肘に負担が大きい激しい運動は、離断性骨軟骨炎の原因の1つです。 骨の急速な成長による血流障害 離断性骨軟骨炎の原因には、成長期や思春期による骨の急速な成長が考えられます。骨が急速に成長すると、血行障害や骨への負荷が強まるためです。 成長期の子どもの軟骨はもろく、骨や軟骨に血液が供給されなければ、関節の骨が弱くなり軟骨が剥離しやすくなります。離断性骨軟骨炎は成長期に見られる病気のため、身体の発育にも影響していると推測されています。 スポーツ選手だけでなく、血流障害によっても離断性骨軟骨炎は引き起こされる点をあわせて押さえておきましょう。 離断性骨軟骨炎の診断方法 離断性骨軟骨炎における初期症状の診断方法にはMRI検査を行います。軟骨の損傷が原因となり、初期では通常のレントゲン写真で診断するのが難しいためです。 症状が進行して、骨軟骨片が分離する時期ではレントゲン写真で診断可能です。 また、肘の離断性骨軟骨炎はエコーでスクリーニング検査と診断できます。膝の離断性骨軟骨炎についても、エコーでの診断が可能と報告されてきています。 骨の状態をより詳しく知り、手術の計画を立てる際はCTスキャンで診断するのが一般的です。 離断性骨軟骨炎の治療 離断性骨軟骨炎の主な治療法を紹介します。 保存療法 手術療法 リハビリ療法 再生医療 ご自身の状態を踏まえたうえで、最適な治療法を検討しましょう。 保存療法 保存療法は、症状の緩和を目指す治療法です。離断性骨軟骨炎では関節の離脱や遊離がない場合、保存療法から試みます。 保存療法で実施される主な治療は、以下の通りです。 主な治療 治療内容 運動の制限 痛みが緩和するまでスポーツなどの運動を中断する 装具の使用 膝関節を固定して安定に保つため、ギブスやサポーターなどの装具を使用する 身長が伸びている発育期で軟骨片が離れていない場合、自然に修復されるのを期待して、膝関節の安静やサポーターなどの装具を使用する保存治療が選択されます。 痛みに対しては鎮痛薬や関節内注射などを行い、レントゲンやMRIで修復されている傾向が見られれば徐々に負荷を上げていきます。保存療法を試みて症状回復が見込めないときは、手術療法に切り替えるケースがほとんどです。 手術療法 症状が進行している、もしくは回復が見られない場合は、手術療法が選択されます。離断性骨軟骨炎の主な手術療法は、以下の通りです。 手術療法 手術内容 適応される症例 マイクロフラクチャー法 膝関節鏡を関節内に入れ、患部に数か所小さい穴を開けて出血により治癒を促進 比較的小さな範囲の軟骨が損傷されている場合 整復内固定術 不安定な骨軟骨片を骨釘や生体吸収性ピンなどを使用して固定 軟骨片が剥離して、遊離している場合 骨軟骨移植術 腿骨の体重がかからない部分から円柱状の軟骨片を採取して、損傷した部分に移植 損傷範囲が比較的大きく、遊離した軟骨片の状態が悪くて骨癒合を期待できない場合 適応する術式は患者さんの状態や希望、術者によって異なります。治療法については状態を把握したうえで主治医と相談し、納得いく治療プランを検討するのが大切です。 リハビリ療法 離断性骨軟骨炎のリハビリ療法は、保存療法の一環として行うケースと手術後に実施するものがあります。 離断性骨軟骨炎では手術だけではなく、その後のしっかりとしたリハビリテーションも重要です。 リハビリでは、可動域訓練や筋力トレーニングを中心に行い、肘や膝に負荷のかからない動作を身につけていきます。 身体に負担のかからない動作がわかるため、離断性骨軟骨炎の症状が回復し、スポーツを再開したあとやストレッチにもリハビリは役立ちます。 再生医療 再生医療は手術を必要としない治療法です。治療法の一つとなる幹細胞治療では、患者様自身から採取した幹細胞を培養し、ひざ関節に注入します。 当院「リペアルセルクリニック」の幹細胞治療では、脂肪由来の幹細胞を治療に活用します。米粒2~3粒ほどの採取のため、体への負担が少なくて済みます。 まとめ・離断性骨軟骨炎は早期診断と治療が重要 膝離断性骨軟骨炎は、主に10代~20代に起こりやすい病気です。膝関節の軟骨が関節内に剥がれ落ちて、痛みや引っかかりなどのさまざまな症状を起こします。 初期にはレントゲン写真でわからない場合が多いので、MRIでの精密検査が必要です。 治療法には保存療法や手術療法があります。手術療法は骨髄刺激法や整復内固定術、骨軟骨移植術などの術式がありますが、遊離した軟骨片の大きさや状態を総合的に判断して決定されます。 また、再生医療も選択肢の一つです。離断性骨軟骨炎は、症状が進行するとスポーツ復帰に時間を要します。早期発見・早期治療が大切になるため、ご自身の状態を踏まえたうえで、治療法を選択しましょう。 離断性骨軟骨炎に関するよくある質問 離断性骨軟骨炎を放置していたらどうなる? 離断性骨軟骨炎を放置していると、次第に骨軟骨が剥がれてしまい、痛みが強くなります。骨軟骨が完全に剝がれてしまった場合、膝がロックされたように動かなくなるロッキングを起こしたり、関節が変形したりする可能性があります。 痛みが強く、日常生活にも支障をきたす際は、治療法ではなく手術療法となるケースも少なくありません。完治までに時間を要する可能性もあるため、異常を感じた場合は放置せずすみやかに受診しましょう。 離断性骨軟骨炎は治療するとどれくらいでスポーツ復帰できますか? 離断性骨軟骨炎は、一般的に完治するまでに半年以上かかる可能性があります。そのため、スポーツ復帰できるのは数ヶ月〜1年くらい時間を要します。 症状が軽い場合は、保存療法としてスポーツ活動を中断し、安静となるケースがほとんどです。痛みがなくなったあとは、レントゲンやMRIなどで経過を見て段階的にスポーツ復帰できるよう進めていきます。 なお、離断性骨軟骨炎は再発する可能性があるため、自己判断せず医師の指示のもと治療を受けるのが大切です。 離断性骨軟骨炎は大人でも発症しますか? 離断性骨軟骨炎は一般的に10代〜20代に多い病気ですが、大人でも発症する場合があります。骨や軟骨に血液が供給されなくなると、骨が弱くなり軟骨が剥離し離断性骨軟骨炎を引き起こす場合があるためです。 また、離断性骨軟骨炎は遺伝的要因によって発症する可能性もあります。放置すると変形性関節症へ移行するリスクが生じるため、違和感を覚えた場合は受診しましょう。 離断性骨軟骨炎は、若年層のみ発症する病気ではない点に注意が必要です。
2023.08.24 -
- 靭帯損傷
- 膝の内側の痛み
- ひざ関節
内側側副(ないそくそくふく)靭帯損傷は、内側側副靭帯という膝の内側の安定性を保っている靭帯が何らかの原因で損傷を受けることです。 今回は、医師の目線から、内側側副靭帯損傷の症状や治療法について解説します。 内側側副靭帯損傷(MCL)とは? 内側側副(ないそくそくふく)靭帯損傷(MCL)とは、膝関節の裏側にある内側側副靭帯によくみられる外傷です。 靭帯が何らかの原因で損傷を受けた状態を指します。 内側側副靭帯損傷は、後述しますが珍しいものではありません。 自力での治療は難しいため、症状が疑われた場合は、早めに医師の診察を受けることが大切です。 また、放置してしまうと悪化する恐れがあるので、早めに受診しましょう。 内側側副靭帯の役割 内側側副靭帯は、膝の裏側にあって、関節が必要以上に開かないようにおさえる役割を果たします。 この靭帯は、膝関節に関わる大腿骨と脛骨をつないでいます。 しかし、2つの骨は、決して側面に受ける衝撃に強くありません。 しかし内側側副靭帯があることで、外部からの衝撃に耐性を発揮できます。 結果として、この靭帯により、強い衝撃があっても必要以上に関節が開かないようになります。 なお、膝関節には、前十字靭帯と後十字靭帯という靭帯があり、関節の側面には内側側副靭帯が、外側側副靭帯があります。 その中でも、内側側副靭帯は、特に膝の内側の安定性を保つ役割を持ちます。 内側側副靭帯損傷(MCL)の原因とは? スポーツ外傷や、交通事故などで、膝に外反強制(がいはんきょうせい:すねを無理に外側に向けられること)するような大きな力が加わった際に、内側側副靭帯損傷(MCL損傷)が起こりやすいとされています。 内側側副靭帯損傷は、膝の靭帯損傷の中で最も多いとされています。 メール相談:オンラインカウンセリングはこちら 内側側副靭帯損傷の4つの症状 次に、内側側副靭帯損傷に多い以下4つの症状に関して解説します。 痛みや腫れ 膝の不安定感 運動動作が困難になる 可動域の低下 内側側副靭帯損傷があると、上記する症状によって、スポーツへの参加や日常生活に支障が生じます。 それぞれ詳しく解説するので参考にしてください。 内側側副靭帯損傷の症状①痛みや腫れ 急性期(怪我をしてから3週間頃)に、膝の痛みと可動域制限がみられます。 しばらくして腫れ(関節内血腫)が目立ってくることもあります。 急性期が過ぎると、重症度にもよりますが、一般的に痛みや腫れ、可動域制限は軽快してきます。 内側側副靭帯の損傷の症状②膝の不安定感 この頃になると損傷部位によっては膝の不安定感が徐々に目立ってくることがあります。 ひねり動作の際にはっきりすることが多いです。 内側側副靭帯損傷の場合は、膝の内側の不安定感が出ます。 この状態のまま放置しておくと、新たに半月(板)損傷や軟骨損傷などを生じ、慢性的な痛みや腫れ(水腫)になってしまうこともあります。 内側側副靭帯の損傷の症状③運動動作が困難になる さらに、以下のような形で運動動作を取るのが困難になります。 痛みや腫れによって、ランニング、ジャンプなどがしにくくなる 症状が重い場合は歩きにくくなる 膝の安定感が失われ、思うように方向転換できなくなる スポーツの参加はもちろん、日常生活でも感じる方が多いです。 また、トレーニングができなくなるため、筋力が低下するという問題もあります。 内側側副靭帯の損傷の症状④可動域の低下 内側側副靭帯の損傷によって、動かせる関節の範囲が限られます。 膝をまっすぐにしたり、自由に曲げたりするのが難しくなります。 膝が固くなったようにも感じられます。その結果、足を引きずったような歩き方になるかもしれません。 内側側副靭帯損傷の重症度 内側側副靭帯損傷は、American Medical Associationの分類によって、1〜3度に分かれます。 1度 軽症ですが、治療とリハビリを行うことが推奨されます。 2度 中等症で、膝の外反動揺性つまりぐらぐら感を中程度に認めます。 初期治療(ギ プス固定、装具療法など)が重要となります。 3度 重症で、膝の外反動揺性が顕著であり、手術を要する場合が多いです。 内側側副靭帯損傷の検査方法 それでは、次に内側側副靱帯の検査方法について解説します。 ストレステスト 診察では膝関節にストレスを加えて緩みの程度を健側と比較します。 ① 外反ストレステスト(valgus stress test) 患者が仰向けになり、膝を伸ばした姿勢と30°膝に曲げた姿勢の2パターンでチェックをします。 医師などの検査者が膝関節の外側に一方の手を置き、他方の手で足関節を持ち膝関節に外反強制力、つまりすねを内側に向ける力を加え、膝関節の外反不安定性をみます。 この際、30°屈曲位で外反不安定性があれば、MCL損傷を疑います。 MCL単独損傷では伸展位での不安定性は認めません。 ② 内反ストレステスト(varus stress test) 外反ストレステストとは逆に、医師などの検査者が膝関節の内側に一方の手を置き、他方の手で足関節を持ち膝関節に内反強制力、つまりすねを外側に向ける力を加え、膝関節の内反不安定性をみます。 この際、30°屈曲位で内反不安定性があれば、内側側副靱帯損傷を疑います。 画像検査 画像診断ではMRI(Magnetic Resonance Imaging:磁気共鳴画像診断装置)が有用です。 X線(レントゲン)写真では靭帯は写りませんがMRIでは損傷した靭帯を描出できます。 また、半月(板)損傷合併の有無も同時に評価できます。 メール相談:オンラインカウンセリングはこちら 内側側副靭帯損傷の治療法 内側側副靭帯損傷の治療法は、損傷の程度や症状に基づいて決められます。 保存的治療 内側側副靭帯の単独靱帯損傷の場合には、手術ではなくリハビリテーション治療による保存的治療が選択されます。 受傷後急性期には、 RICE(安静または短期の固定、冷却、弾力包帯などによる圧迫、患肢の挙上)処置に引き続いて、できるだけ早期から筋力訓練を開始します。 サポーター装着 膝に不安定性がある場合は、損傷靱帯保護の目的で支柱付きのサポーター装用を考慮します。 手術療法 前十字靭帯や半月板との混合損傷や、重症度3度であり保存的治療では治らないことが予想される場合には手術療法が行われます。 膝の痛みは⼿術しなくても治療できる時代です。 関連記事:次世代の再生医療とは メール相談:オンラインカウンセリングはこちら 内側側副靱帯損傷についてよくある質問 Q1:内側側副靱帯損傷は自然に治りますか? A1 :内側側副靱帯損傷は、損傷の程度が軽い場合や部分的な断裂では、膝関節周囲の血流が豊富で栄養供給が行われやすいため、治癒しやすく保存療法が行いやすいといえます。 しかし完全な断裂など、重症の場合は自然治癒は期待しがたいので、靭帯の再腱術を行うことが必要になります。 Q2:内側側副靱帯損傷の固定期間はどれくらいですか? A2:個人差はありますが、約1〜2週間程度ギプスシーネやニーブレースなどで固定後、靭帯矯正サポーターを装着し、リハビリテーションとして可動域、歩行訓練を行っていきます。 膝装具は一般的には約6週間以上装着します。 膝の可動域と不安定性が、怪我をしていない方の膝と同じレベルまで改善したらスポーツ復帰が可能となります。 まとめ|内側側副靭帯損傷(MCL)とは?早く治す方法を現役医師が解説 今回の記事では、内側側副靭帯損傷の症状や治療法について解説しました。 内側側副靱帯損傷が起こると、その治療には数週間を要する場合が多いです。 しかしながら、再生医療によって、治療期間や回復までの時間を短くできる可能性があります。 こちらの動画も是非ご覧ください。 https://youtu.be/ZYOV-Er0mnU?si=ka6C0oujvcAaaLKY 膝の靭帯のメカニズムと再生医療について解説。 また当院では、自己脂肪由来幹細胞治療を行うことで、膝の靭帯損傷をより早く治し、筋力低下などを防ぐための再生医療を提供しています。 ご興味のある方は、ぜひ一度当院の無料相談を受けてみてください。 この記事がご参考になれば幸いです。 メール相談:オンラインカウンセリングはこちら
2023.08.21 -
- 大腿骨骨頭壊死
- 股関節
大腿骨内顆骨壊死とは、大腿骨の膝に近い「内顆(ないか)」で血流障害が起こり、骨が壊死してしまう病気です。 大腿骨内顆骨壊死について調べると、関連キーワードとして「難病」と出てきます。 勘違いされることが多いですが、大腿骨内顆骨壊死は指定難病ではありません。 本記事では、大腿骨内顆骨壊死がなぜ指定難病だと勘違いされているのか、実際にはどのような病気なのか解説します。 大腿骨内顆骨壊死になったらやってはいけないことや、よくある質問もまとめていますので、ぜひ最後まで読んでみてください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 大腿骨内顆骨壊死や、難病指定の大腿骨頭壊死について気になる症状がある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 大腿骨内顆骨壊死は指定難病ではない 大腿骨内顆骨壊死は指定難病ではありません。 病名が類似している「大腿骨頭壊死症」は指定難病なので、混同してしまう方がいます。 大腿骨の骨が壊死してしまうという点では共通していますが、異なる病気であることを理解しておきましょう。 指定難病とは、難病法で定義されている「発病の機構が明らかでなく、治療方法が確立していない、希少な疾病で、長期の療養を必要とする」難病の中でも、医療費助成の対象となる疾患を指します。 大腿骨内顆骨壊死と大腿骨頭壊死とのちがい 大腿骨内顆骨壊死と大腿骨頭壊死では、疾患部位や原因などで違いがあります。 それぞれの特徴と違いを表にしてまとめました。 大腿骨内顆骨壊死 大腿骨頭壊死 損傷部位の違い 膝(大腿骨内顆骨) 股関節(大腿骨頭) 難病指定かどうか × 〇(指定難病71) 原因 加齢 骨粗しょう症 ステロイドの長期使用 原因は明らかになっていない (ステロイドの使用、アルコールの過剰摂取などが要因として指摘されている) 年齢層 中高年 とくに60歳以上の女性に多い ステロイド投与をしている20代~30代 30代~50代の中高年 大腿骨内顆骨壊死の症状 大腿骨内顆骨壊死の主な症状は以下の通りです。 立ち上がる際や階段の上り下りをした際に膝が痛む 安静時にも痛みが起こる 関節の可動域が狭まり、腫れや歩行困難が生じる 関節が変形し、場合によっては変形性膝関節症へ進行する 早期発見や軽症の場合は痛みが出る程度ですが、そのまま治療をせず放置してしまうと関節の可動域低下や、歩行困難を引き起こします。 さらに症状が進行し末期になると関節の変形が起こることもあるため、異変に気づいたら早めに医療機関を受診しましょう。 大腿骨内顆骨壊死の治療法 大腿骨内顆骨壊死の主な治療は、「保存療法」「手術療法」「リハビリテーション」に分かれます。 軽症の場合や早期発見の場合、保存療法やリハビリテーションによって様子を見ることが多いです。 保存療法では効果が得られない場合、手術療法が検討されます。 近年では研究が進み、再生医療も治療の選択肢として検討されるようになりました。 それぞれの治療法について解説します。 保存療法 保存療法とは、手術などは行わず、安静にすることで症状の改善を目指す治療です。 膝への負担を軽減するため、以下の治療を行います。 鎮痛剤で痛みを和らげる。 膝サポーターやインソールなどの装具を使用する。 長時間の歩行や過度な運動は避け、安静にする。 ジャンプ動作や正座など、日常生活の中で膝に負担のかかる動作を避ける。 必要に応じて体重管理をする。 過度な運動は病状を悪化させる恐れがありますが、運動をして筋力を高めることも治療としては重要です。 運動量は医師と相談し、症状に合わせて変えましょう。 また、体重の増加は膝への負担を増やしてしまいます。体重管理を行い適正体重を維持してください。 手術療法 保存療法で効果が見られず症状が悪化している場合は、手術療法が検討されます。 大腿骨内顆骨壊死の主な手術方法は3通りです。 手術名 手術の内容 鏡視下滑膜切除術 関節鏡を用いて痛みの原因となる炎症組織を取り除く手術 高位脛骨骨切り術 すねの骨である「脛骨」を切り、膝関節内側の変形を最小限にすることで膝の負担を軽減する手術 人工膝関節置換術 壊死部、もしくは膝関節全体を切除し、人工関節にする手術 鏡視下滑膜切除術は早期発見の場合に行われることが多い手術です。 高位脛骨骨切り術は、関節の外側部分がすり減ってしまっている場合、手術が受けられないことがあります。 また、症状が進行し末期の場合、手術の効果が十分に得られないことがあります。 人工膝関節は耐用年数が15~20年程度のため、患者様のご年齢や生活状況を考慮して受けるかどうか検討することが大切です。 この手術では、壊死した患部の状況によって人工関節を導入する範囲が変わります。 リハビリテーション 保存療法や手術療法で症状が改善した後も、早期の社会復帰にはリハビリテーションが欠かせません。 大腿骨内顆骨壊死のリハビリでは、膝の機能回復と負担軽減を目指し、主に以下のトレーニングをします。 歩行訓練 膝関節の可動域訓練 膝関節周辺の筋力トレーニング 運動量や強度は症状や年齢によって変動するため、必ず医師の判断の元、無理のない範囲で行ってください。 歩けず歩行訓練が難しいという方は、家でテーブルなどにつかまり、その場で足踏み運動をするのがおすすめです。 再生医療 手術が怖い、合併症のリスクが気になるという方には、再生医療という選択肢もあります。 再生医療では、患者様から採取した幹細胞を培養し、患部に投与します。他の細胞に変化する「分化能」という幹細胞の能力を活用する治療法です。 患者様自身の脂肪から採取した幹細胞を使うため、アレルギーや拒絶反応を起こすリスクが低い点が特徴的です。 当院では、再生医療によって大腿骨頭壊死症の治療を行った症例も紹介しています。 詳しい治療の経過や効果について知りたい方は、ぜひあわせて読んでみてください。 大腿骨内顆骨壊死の悪化を防ぐには 大腿骨内顆骨壊死を悪化させないためには、膝への負担軽減が重要です。 体重管理をする。 筋肉をつけ、関節への負担を減らす。 深くしゃがみ込んだり、正座など膝に負担のかかる姿勢をとらない。 骨を丈夫にするビタミンやカルシウムを食事で摂る。 日常生活の中で上記のことを心がけましょう。 また、早期に医療機関を受診することも重要です。 放置すると症状が悪化する恐れがあります。少しでも違和感を感じたら自己判断はせず、専門の医師に相談しましょう。 まとめ|大腿骨内顆骨壊死は難病ではない!大腿骨頭壊死と混同せず適した治療を進めよう 指定難病である「大腿骨頭壊死症」と混同されがちですが、「大腿骨内顆骨壊死」は指定難病ではありません。 大腿骨内顆骨壊死は、症状が進行すると歩行困難や関節の変形を引き起こし生活に支障をきたす可能性がある病気です。 膝の痛み、特に歩行時や階段昇降時の痛みが特徴的な症状です。少しでも違和感があれば、早めに専門医に相談することが大切です。 治療は症状の程度により、保存療法から手術療法、そして再生医療の選択肢があります。 大腿骨内顆骨壊死を治療するうえで「手術を避けたい」とお考えの方は、再生医療をご検討ください。 再生医療について詳しくは、以下のページをご覧ください。 大腿骨内顆骨壊死についてよくある質問 Q:大腿骨内顆骨壊死の手術費用はどのくらいかかりますか? 大腿骨内顆骨壊死の手術費用は、入院期間や手術の種類によって異なります。 人工関節置換術の場合、医療保険適用でおおよそ60万円から80万円とされています。 高額療養制度を利用して自己負担を軽減することもできるため、医療機関で相談してみましょう。 Q:大腿骨内顆骨壊死になったらやってはいけないことはありますか? 大腿骨内顆骨壊死になったら、膝に負担がかかる行為は避けましょう。 下記のような行為は症状を悪化させる恐れがあります。 急に深くしゃがみ込む、ジャンプする 長時間の歩行や過度な運動 大腿骨内顆骨壊死と診断されたら、安静を心がけてください。 必要に応じて膝サポーターやインソールなどの装具を使用しましょう。
2023.08.17 -
- 脳卒中
- 脳出血
- 頭部
橋出血(きょうしゅっけつ:英語名「pontine hemorrhage」)は、脳卒中の中でも、とくに生命予後の悪い疾患の1つです。 脳梗塞・脳出血・くも膜下出血など、脳の血管が詰まったり破れたりする病気を総称して「脳卒中」と呼びます。 「脳卒中の症状ではないから大丈夫」と安心し、症状の発見が遅れると、重症を患う恐れがあります。 脳卒中の1つ「橋出血」の重症例では、意識・呼吸障害、四肢麻痺などをきたし、急激な経過で死に至るケースもあるのです。 本記事では、橋出血の症状・原因や治療について詳しく解説をしていきます。 橋出血とは 橋出血とは脳出血の1つで、5〜10%が橋出血に該当するといわれています。 突然脳の血管が破裂する症状なので、橋出血が発症すると以下の症状が起こります。 意識障害が起きる 頭痛が続く 手足の動きや感覚が鈍い など 血栓や動脈硬化で起こる脳梗塞を含め、脳の病態は複数あるので、早急に医療機関で受診しましょう。 なお、橋出血の疑いがすでにある方はとくに、以下の記事で初期症状や診断方法などを詳しくまとめました。 予後についても解説しているので、ぜひあわせてご覧ください。 橋出血の「橋」は脳幹における構造物 橋出血が起こる「橋」とは、脳の一部分である「脳幹」の1つです。 上にある中脳、下にある延髄と共に「脳幹」の構成をしています。 脳幹には、以下4つの構造物があります。 神経伝達路 神経の中継(分岐地点) 自律神経反射中枢 脳幹網様体 それぞれ構造の役割とともに、橋出血による症状について見ていきましょう。 ①神経伝達路としての役割と橋出血の症状 脳幹には神経線維の束が通っており、以下の役割を果たしています。 ・大脳から運動神経の伝達 ・大脳へ感覚神経の伝達 ・脳幹の真後ろにある小脳との連絡経路 橋出血は神経の伝導路が障害されるため、運動麻痺や感覚障害が起こるのです。 運動麻痺は出血の部位にもよりますが、重症例では両方の手・足ともに動かなくなる四肢麻痺をきたすケースもあります。 四肢麻痺と顔の麻痺まで加わる特殊な形に「閉じ込め症候群」があります。 意識や感覚は保たれますが、まばたきと一部の目の動き以外の運動がすべてできません。 看護・介護を行う人とのコミュニケーションは、眼の動きのみで行うのです。 他にも橋出血が発症すると幾つかの運動失調が起こります。 以下の記事では橋出血による運動失調の種類を詳しく解説しているので、ぜひご覧ください。 ②神経の分岐・中継地点の役割と橋出血の症状 脳幹には、脳から直接伸びる末梢神経である脳神経核をはじめ、神経回路の分岐点や中継地点になる複数の神経核(神経細胞体の塊)があります。 橋出血が発症する「橋」にも、以下4つの脳神経核があります。 三叉神経;主に顔面の感覚を伝える 外転神経;眼球の運動の一部を支配する 顔面神経;表情筋など顔面の運動に関わる 内耳神経;聴覚や平衡感覚を司る 橋出血で障害を受けた際の症状は以下の通りです。 ・顔の感覚や運動の障害 ・眼球運動の障害 ・聴力障害 とくに三叉神経や顔面神経は舌の動きや感覚などにも関わる神経です。 橋出血が起こると飲み込み障害とも呼ばれる「嚥下(えんげ)障害」も起こる可能性があるので注意しましょう。 ③自律神経中枢の役割と橋出血の症状 自律神経は生命維持の上で必要な動作を調整する神経です。 意識せずとも呼吸をし、心拍数をコントロールしています。 明るさに応じて瞳孔の大きさを調節しているように、自律神経は、脳幹に中枢があるのです。 橋には呼吸の中枢があるため、橋出血の患者様は呼吸障害が多くみられます。 橋出血では瞳孔の異常も多く、瞳孔の縮小や瞳孔を開く交感神経の障害もあるためです。 ④脳幹網様体の役割と橋出血の症状 脳幹の中心から背中側には「網様体」と呼ばれる神経線維の束と神経細胞体が合わさった構造物があります。 網様体の役割は主に以下3つです。 脳幹内の自律神経中枢と連絡し、生命維持機能を果たす 筋肉の緊張をコントロールする 大脳へ刺激を与えて意識を保つ 重症の橋出血だけでなく、網様体の障害でも呼吸・循環障害をきたします。 網様体の損傷により、「意識障害」の症例もあり、重症例では急激な経過で昏睡状態に陥っているケースもあるため、注意が必要です。 橋の網様体には眼球の運動の中枢もあるので、出血部位や程度により、さまざまな眼の動きの異常が認められます。 代表的な症例は、眼の動きがまったくできず、真ん中で固定される眼球の正中固定位が挙げられます。 眼球が真下に急に動き、ゆっくり真ん中に戻ってくる「眼球浮き運動」が認められるケースもあるので注意しましょう。 なお、橋出血を含め脳卒中は、手術しなくても治療できる時代です。 詳しくは以下のページをご覧ください。 橋出血が起こる2つの原因とそれぞれの治療法 橋出血の原因として、高血圧と血管奇形の2つが挙げられます。 原因により治療法が異なるので、それぞれ解説していきます。 高血圧で起こる橋出血と治療 橋出血の最大の原因は高血圧です。 橋への栄養動脈が、高い圧により破綻してしまいます。 橋は小さい中に重要な構造物が詰まっているところなので、出血が一気に広がり損傷が起こると、短時間で致命的になるので要注意です。 損傷を受けた脳幹の回復は難しく、手術は基本的には行いません。 可能な限り血圧を下げ、呼吸や循環などの生命維持のサポートをするのが治療の中心です。 血管奇形で起こる橋出血と治療 高血圧性の橋出血よりも若い方に多いのが、脳の血管奇形(赤あざ)によるものです。 代表的なものに「海綿状血管腫」と呼ばれる血管の塊があります。 生まれつき静脈の成分が拡張した場合によくみられ、発症場所や大きさなどは人によって異なります。 海綿状血管腫を持っている一部の患者様は、局所的な出血を起こすケースが大半です。 出血は少量で、重篤になりにくい反面、何度も繰り返すリスクがあります。 出血が落ち着いているときに手術が考慮されるケースもあるので注意してください。 橋出血についてよくあるQ&A Q , 橋出血の検査はどのようなものがありますか? A , 橋出血に限らず疑わしい症状があれば、CT撮影をします。 脳は灰色に映りますが、出血がある部分は白くなります。 なお、血管奇形の診断にはMRI も有用です。 近年では脳ドックなどにより症状がないまま発見されるものも多くあります。 Q , 海綿状血管腫は必ず手術が必要ですか? A , 症状のない海綿状血管腫が出血を起こすのは、年間で1,000人中4〜6人程度です。 手術の合併症リスクの方が高く、全員におすすめできません。 ただし、一度出血を起こすと、2年以内の再出血リスクが高くなります。手術のメリットとリスクを比較しつつ、手術ができない場合は、放射線治療が考慮されるケースもあります。 橋出血の後遺症や予後について、以下の記事で詳しく解説しているので、あわせてご覧ください。 まとめ・橋出血の症状を理解して適切に治療しよう! 橋出血は、重症例では命にかかわりかねない恐ろしい病気の1つです。 「橋」と呼ばれる部位でもあるため、神経伝達や自律神経においての重要な役割を果たしています。 高血圧は重症の橋出血のリスクになるため、しっかりと治療を受けるのがおすすめです。 症状を見つけるタイミングも当然早い方が良いので、少しでも不安に感じた方は医療機関でのカウンセリングを検討しましょう。 ▼以下もご参考下さい <参考文献> 東登志夫. 日本臨牀. 72 (増刊号7): 364-368, 2014. 古谷一英. 日本臨牀. 72 (増刊号7): 369-372, 2014. 茂木陽介, 川俣貴一. 日本臨牀. 80(増刊号2): 320-324, 2022. 医学書院 標準解剖学 第1版 メディックメディア 病気がみえるvol7. 脳・神経 第1版 中外医学社 イラスト解剖学 第7版 脳卒中診療ガイドライン2021
2023.08.14 -
- 頭部、その他疾患
- 頭部
もやもや病になってから性格が変わった気がする。 もやもや病による性格変化にはどのように対処すべき? この記事を読んでいるあなたは、自分や大切な人がもやもや病になり、性格変化が起きているのではないでしょうか。 「どのように接したら良いかわからない」と悩んでいる人もいるかもしれません。 結論、もやもや病による性格変化は、「高次脳機能障害」が関係している可能性があります。 以前とまったく同じ性格に戻すのは困難ですが、原因や対処を知れば、生活上の不便は軽減できます。 本記事では、もやもや病による性格変化のメカニズムと対処法について詳しく解説します。 記事を最後まで読めば性格変化の原因や対処法がわかり、毎日を快適に過ごしやすくなるでしょう。 もやもや病の後遺症で性格が変化することがある もやもや病は、脳の重要な動脈が狭くなった結果、通常では見られない細い血管(もやもや血管)が発達する病気です。もやもや血管は血流悪化や脳卒中のリスクが高く、脳機能の低下につながるケースも見られます。 また、脳機能の低下によって「高次脳機能障害」が生じると、性格変化が起こる可能性があります。高次脳機能障害とは「怪我や病気によって脳がダメージを受けた結果、複雑な処理ができなくなり、生活に支障が出る状態」です。 もやもや病でダメージを受けやすいのは、脳の「前頭連合野」と呼ばれる部位です。 前頭連合野には以下のようなはたらきがあります。(文献1) 前頭連合野の機能 説明 認知・実行機能 状況を深く理解したり推理したりする 心の理論・社会性機能 人の気持ちを想像したり、周りを見て行動したりする 情動・動機付け機能 積極的に行動したり、自己表現をしたりする どの機能も、人間が社会的な生活を送るのに欠かせません。 そのため、もやもや病によって前頭連合野の機能が失われると、「感情のコントロールができず自己中心的になる」「周りの状況を見て動けない」などが起こり、性格が変わったと思われやすいのです。 当院「リペアセルクリニック」では、もやもや病による脳卒中後の治療として再生医療(幹細胞治療)を提供しています。再生医療には、リハビリの効果を高めたり、後遺症を軽減したりする効果が期待できます。 もやもや病後の後遺症にお悩みの方は「メール」もしくは「オンラインカウンセリング」へ気軽にご相談ください。 なお、もやもや病については、以下の記事で詳しく説明しています。 もやもや病の後遺症でみられる性格の変化 もやもや病の後遺症「高次脳機能障害」による性格の変化は、以下のとおりです。 記憶障害により物忘れが増える 注意障害により気が散りやすくなる 社会的行動障害により感情をコントロールできなくなる 遂行機能障害により段取りが悪くなる 本章の内容をもとに、気になる性格の変化が高次脳機能障害によるものなのかを考えてみましょう。 なお、性格変化以外の後遺症については、以下の記事もぜひ参考にしてください。 記憶障害により物忘れが増える もやもや病によって脳の記憶をつかさどる部分の機能が低下すると、「作業記憶(ワーキングメモリー)」が低下することがあります。 作業記憶とは、何かを行うときに一時的に置いておく「記憶の引き出し」です。記憶障害の症状例は、以下のとおりです。 聞いたことをすぐ忘れて何度も聞き返す 買い物に出かけても、何を買えばいいか忘れる ものを置いた場所を思い出せない 何度も同じことを聞いたり、頼みごとができなくなったりする結果、本人や周囲の人に不便が生じ、ストレスとなるケースは珍しくありません。 注意障害により気が散りやすくなる 注意障害とは、気が散りやすく一つの物事に集中できない状態です。生活に支障をきたす注意障害の症状は、以下のとおりです。 ぼんやりしていてミスが多い 2つのことを同時にできない(マルチタスクができない) 少しの変化に気をとられ、自分の動作が止まる 注意障害は、仕事や勉強などのパフォーマンスの低下につながりやすい症状といえるでしょう。 社会的行動障害により感情をコントロールできなくなる 社会的行動障害とは、自分の感情をうまくコントロールできない、衝動的な行動が増えるなどの状態です。以下のようなケースがあり、社会生活に問題が出る可能性も考えられます。 自己中心的になる 感情の振れ幅が大きくなる 思い通りにならないと大声を出す 興奮したり暴力をふるったりする 欲求を抑えられずにギャンブルや借金に走る 逆に、人や物事への興味や自発性がなくなるケースもあります。 遂行機能障害により段取りが悪くなる 遂行機能障害とは、物事を順序立てて行えなくなることです。具体的な症状は、以下のとおりです。 段取りが悪い 優先順位をつけられない 約束の時間に間に合わない 人に指示してもらわないと何もできない 臨機応変に行動できず、少しのトラブルにも対応できない 日常生活は、予期せぬ出来事がたくさん起こります。遂行機能障害によりその場に応じた対応ができなくなると、仕事や生活の維持に支障が出やすくなるかもしれません。 もやもや病による性格変化は検査・症状で診断する 性格変化がもやもや病による高次脳機能障害が原因なのかは、以下の内容から総合的に判断されます。(文献2) 何かの病気(今回はもやもや病)が原因で起きたものか 現在、脳機能が低下したことにより日常生活・社会生活に支障が出ているか MRIやCT、脳波検査などにより、認知障害の原因が脳の異常によるものと考えられるか 先天性疾患や発達障害、持病などが関連していないか なお、高次脳機能障害の診断は、原因となる脳の病気や怪我の急性期が過ぎ、症状が安定してから行われます。そのため、もやもや病と診断されてすぐではなく、ある程度の期間が必要です。 当院「リペアセルクリニック」では、もやもや病による脳卒中後の治療として再生医療(幹細胞治療)を提供しています。再生医療は、もやもや病による脳卒中後の身体機能の回復や再発予防を目指した治療法の一つです。 もやもや病による脳卒中が原因の高次機能障害にお悩みの方は、「メール」もしくは「オンラインカウンセリング」へ気軽にご相談ください。 もやもや病で性格が変化したときの対処法 もやもや病で性格変化や行動変化が見られても、原因を知り適切に対処すれば、日常生活への支障を軽減できます。 本章では、「自分の性格が変わった場合」「家族や友人の性格が変わった場合」の2つの事例において、おすすめの対処法を解説します。 自分の性格が変わった場合 もやもや病にかかった場合、病気による変化を理解した上で、自分に合う対応を学ぶのがおすすめです。 具体的な対処法の例は以下のとおりです。(文献3) 無理のない範囲で運動し、体力をつける バランスの取れた食事や規則正しい生活を意識する 人と比較せず、自分の状況や希望に合わせた生活の目標を考える 地域のリハビリ科や精神科の病院、地域の保健福祉センターなどに相談してみるのも良い方法です。焦らずに、少しずつ進んでいきましょう。 家族や友人の性格が変わった場合 性格変化が周りの人に起きた場合は、もやもや病による影響を正しく理解し、適切なサポートを検討しましょう。 たとえば、本人がどのような状況でイライラしたり不自由したりしているかをチェックし、専門家からどのような生活や手助けが適しているかのアドバイスを受けます。相談先は病院や保健福祉センターなどです。 具体的な対策の例は、以下のとおりです。 気が散らない環境を整え、ものごとに集中できるようにする こまめにメモを取り、低下した記憶力をおぎなう 低下した機能を助ける訓練を受ける 一度の相談ですべての課題に対応するのは難しいため、相談と検討を繰り返しながら少しずつ本人の抱える困難に対応していきます。焦らずに、寄り添う姿勢を大切にしてみてください。 まとめ|もやもや病で性格変化が起きたら医療機関へ相談しよう 本記事では、もやもや病の後遺症による性格変化について、詳しく説明しました。 もやもや病のあとに性格が変わるのは、脳のダメージによる「高次脳機能障害」が原因の可能性があります。感情の制御をつかさどる「前頭連合野」がダメージを受けた結果、記憶障害や行動障害などが起こります。 性格変化は病気の後遺症であると理解し、専門家の指導のもとに適切な対応を行いましょう。 当院「リペアセルクリニック」では、損傷した脳に対する再生医療(幹細胞治療)を実施しています。再生医療は、もやもや病による脳卒中後の身体機能の回復や再発予防を目指した治療法の一つです。 「メール」もしくは「オンラインカウンセリング」を行っております。気軽にご相談ください。 もやもや病による性格変化に関するよくある質問 高次脳機能障害は完治しますか? 脳に傷がある状態のため、高次脳機能障害を完全に治すことは困難です。しかし、得意・不得意を考慮した工夫により、生活上の不便は軽減できます。根気強くリハビリをおこないましょう。 脳卒中による高次脳機能障害があるとき、入院期間はどのくらいになりますか? 脳卒中では、発症直後の急性期を過ぎたあとは「回復期リハビリテーション病棟(回復期リハ病棟)」に移ってリハビリを続ける方が多く見られます。 回復期リハ病棟では、脳血管障害における一般的な入院期間は150日とされています。ただし、高次脳機能障害の合併があると、180日まで入院可能です。 期間すべてを使っての入院が必要というわけではありません。しかし、高次脳機能障害は麻痺と違い一見してわかりづらく、周りの理解が得られにくいケースが多いです。退院後を快適に過ごすために、社会復帰のためのリハビリや環境整備にしっかりと時間をかけましょう。 もやもや病による脳梗塞については、以下の記事もぜひ参考にしてください。 参考文献 (文献1) 渡邊正孝「頭連合野のしくみとはたらき|高次脳機能研究( 第36巻,第1号)」https://www.jstage.jst.go.jp/article/hbfr/36/1/36_1/_pdf (文献2) 厚生労働省 科学研究成果データベース「令和4年版高次脳機能障害診断基準 ガイドライン」 https://www.jstage.jst.go.jp/article/hbfr/36/1/36_1/_pdf (文献3) 相模原市「もしかしたら高次脳機能障害?」 https://www.city.sagamihara.kanagawa.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/025/677/r03_pamphlet.pdf
2023.08.10 -
- 頭部
- 頭部、その他疾患
もやもや病(ウィリス動脈輪閉塞症)は、脳血管に異常が生じることで脳卒中などを引き起こす可能性がある、原因不明の難病です。 近年、家族内で複数の患者様が見られるケースも報告されており、「もやもや病は遺伝するのでは?」と心配する方も増えています。 この記事では、もやもや病と遺伝の関係性について、最新の研究や専門的な見解をわかりやすく解説します。 なお、当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 もやもや病が引き起こす可能性がある脳卒中の予防や、再生医療について詳しく知りたい方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 もやもや病と遺伝の関係|どこまで明らかになっているのか もやもや病は長らく原因不明の病気とされてきましたが、近年の研究により、遺伝との関連が少しずつ解明されつつあります。 家族内での発症例や、特定の遺伝子との関連が指摘されており、遺伝的な背景を考慮した研究が進められています。 もやもや病は「遺伝病」ではないが遺伝的要因が関与する可能性がある もやもや病は、いわゆる「遺伝病」ではありません。 つまり、親から子へ必ず受け継がれるような仕組みは確認されていません。 しかし、これまでの研究では、家族内に複数の患者様がいるケースが一定の割合で報告されており、遺伝的な要因が関係している可能性があると考えられています。 また、特定の人種や地域に患者様が集中していることからも、環境要因に加えて、体質的な背景も影響しているのではないかと指摘されています。 現在のところ、もやもや病の発症には、遺伝だけでなく複数の要因が複雑に関わっていると考えられており、まだ解明されていない部分も多いのが現状です。 家族内発症の傾向と報告例について もやもや病は、日本において10〜20%の患者様に家族内での発症が確認されていると報告されています。 つまり、兄弟や親子などの近い家族の間では、10人に1〜2人の割合で罹患していることになります。(文献1) このような「家族性もやもや病」は、特定の遺伝的背景を持つ人に起こりやすい可能性があると考えられています。 また、家族性のケースでは、次の世代になるほど発症年齢が早くなったり、症状が重くなるといった傾向(表現促進現象)が見られることもあります。 子どもへの遺伝確率や兄弟リスクは? 家族にもやもや病の患者様がいると、「子どもや兄弟にも遺伝するのでは」と不安に感じる方が多いかもしれません。 とくに親が患者様である場合、将来の子どもの健康に影響があるかを心配されるケースもあります。 現在のところ、もやもや病は単純な遺伝形式で受け継がれる病気ではないとされています。 たとえば、親が発症しても子どもには症状が現れない場合も多く、反対に親に症状がなくても子どもが発症することもあります。 また、兄弟間で発症する確率が何%といった明確な数値は示されていません。 これは、遺伝的な素因に加えて、環境や個人の体質など、さまざまな要因が発症に関わっているためです。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、簡易オンライン診断が受けられます。 もやもや病による脳卒中に関してお悩みの方は、公式LINEに登録してぜひ一度お試しください。 もやもや病と関連した遺伝子とは? もやもや病は、家族内に複数の患者様がいるケースや、東アジアに多いという特徴から、以前から遺伝的な要因が関係しているのではないかと考えられてきました。 近年では、ある特定の遺伝子と病気の関連性も報告されており、研究が進んでいます。 遺伝子多型 私たちの体は、細胞の中にあるDNA(遺伝情報)によってつくられています。 DNAは、アデニン(A)・チミン(T)・グアニン(G)・シトシン(C)の4種類の「塩基」が並んでできており、この配列によって体のさまざまな情報が決まります。 人間同士のDNAは、約99.9%が同じですが、ごくわずかに異なる部分があります。 この違いを「遺伝子多型(いでんしたけい)」と呼びます。 たとえば、肌や髪の色の違い、病気へのなりやすさの個人差などが、この多型によって現れることがあります。 ただし、遺伝子多型があるからといって、必ず症状が出るわけではありません。 体質の違いや傾向を示す個性のようなものと考えると、イメージしやすいでしょう。 RNF213遺伝子多型p.R4810K もやもや病と関わりの深い遺伝子として、「RNF213(アールエヌエフ213)」があります。 これはヒトの染色体のうち17番目に存在する遺伝子です。 日本人の患者様のRNF213遺伝子を調べると、80〜90%もの人が「p.R4810K」という遺伝子多型があることがわかりました。 一方で、このp.R4810K多型は、健康な日本人でも約1〜2%の人に見られることがわかっています。 つまり、この多型を持っているからといって、必ずもやもや病を発症するわけではありません。 これは、RNF213のp.R4810Kが「発症しやすい体質を示す素因」であり、発症には他の遺伝的要因や環境要素も関係していることを意味します。 発症の背景は複雑で、一つの要因だけで決まるものではないと考えられているのです。 遺伝子検査はできる?費用や対象について 現在のところ、RNF213遺伝子の多型(p.R4810K)を調べる遺伝子検査は、一般的な医療機関では実施されていません。 保険診療の対象にもなっておらず、通常の診療では行われていないのが現状です。 また、この遺伝子多型を持っていても、必ず発症するわけではないため、検査で結果が出ても予防や治療に直結するわけではありません。 そのため、現時点では、診断目的の検査は画像検査(MRAや脳血管造影など)が中心となっています。 研究機関や一部の専門施設では、研究協力の一環として遺伝子検査が行われる場合がありますが、その際も倫理審査を経て同意が必要となります。 費用や受けられる条件も施設によって異なるため、希望がある場合は専門医に相談することをおすすめします。 もやもや病と診断されたら|家族の健康管理でできること もやもや病と診断されたとき、本人だけでなく家族も「ほかの家族にリスクはないのか」と不安を感じることがあります。 この章では、家族として意識しておきたい健康管理のポイントや、子ども・兄弟への対応についてご紹介します。 子どもや兄弟の定期的なチェックは必要? 家族にもやもや病の方がいると、発症リスクがやや高まるとされているため、気になる症状があれば早めに受診しておくことをおすすめします。 もやもや病は、5〜10歳ごろの小児期に発症のピークがあることが知られています。 また、成人期では40歳前後に発症するケースが多く、子どもから大人までどの年代でも注意が必要な病気です。(文献2) とくに、小児では過呼吸や運動後の脱力、てんかん発作のような症状が現れることがあり、成人では脳出血で発症する例もあります。 症状がなくても、気になる背景がある場合は画像検査(MRAなど)で早期に確認するという選択もあります。 不安なときの相談先や検査のすすめ方 家族に患者様がいる場合、「自分や子どもも発症するのでは」と心配になる方は少なくありません。 そんなときは、一人で悩まずに医療機関で相談することが大切です。 もやもや病の診療を行っているのは、主に脳神経外科や神経内科です。 とくに、もやもや病に詳しい専門医のいる病院や、脳卒中センターを併設している大きな医療機関での相談が安心です。 症状がある場合はもちろんですが、「家族に患者がいるので心配」「子どもの頭痛が気になる」といった理由でも、相談して問題ありません。 必要に応じてMRA(磁気共鳴血管撮影)などの画像検査が行われます。 また、小さなお子さんの場合は、検査中に動かずにいられるかどうかがポイントになります。 状況によっては鎮静剤を使って検査を受けることもあるため、不安があれば事前に医師に相談しましょう。 まとめ|もやもや病は遺伝だけではないが家族で知っておきたい病気 もやもや病は、一部で家族内での発症が見られる病気であり、関連する遺伝子も報告されています。 ただし、「遺伝=必ず発症する」わけではなく、さまざまな要因が重なって起こる複雑な病気です。 遺伝的な背景があることを知っておくことは大切ですが、過剰に心配し過ぎる必要はありません。 大切なのは、必要に応じて早めに相談・検査を行い、家族で健康を守っていくことです。 気になることがあれば、専門医にしっかり相談をしましょう。 参考文献 (文献1) もやもや病(指定難病22)|難病情報センター (文献2) Moyamoya disease in children|PubMed
2023.08.07 -
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橋出血の後遺症と予後予測|回復の見通しについて医師が解説 橋出血は非常に致死率の高い病気です。 かつて脳卒中は、日本人の死因の1位でした。しかし、医療技術が進歩するにつれて、脳卒中による死者数は徐々に減少しています。2022年においては死因の第4位でした。 橋出血は、その中でもいまだに生存率が低いとされており、発症すると半分近くの方が亡くなるという報告もあります。 本記事では、致命的になることの多い橋出血の予後の予測、また後遺症の回復について、解説をしていきます。 橋出血が重症化しやすいのはなぜか? 橋出血の最大の原因は高血圧です。高い血圧がかかり続けると、血管が急に破れてしまうことがあります。 血管をホース、血圧を水の勢いと考えてみてください。高血圧による脳出血は、勢いよく水を出しているホースが途中で破れてしまった状態と同じです。破れたところから、水はさらに激しく飛び散るでしょう。 脳は柔らかい組織で、一度出血すると簡単に止血できず、機能が急激に失われていきます。橋は意識や生命維持のための機能のコントロールを行う場所です。そのため、橋出血は死に直結することも少なくありません。 橋出血の生命予後に関わる症状とは? 重症の橋出血で起こる症状には次のようなものがあります。これらの症状は、橋出血において生命予後不良であることを示すものです。 発症早期の高度の意識障害 橋を含む脳幹は大脳へ刺激を与え、意識を保ちます。橋出血によりその刺激ができなくなると、昏睡状態など、高度の意識障害を認めます。 四肢麻痺 橋は大脳からの運動の伝達経路です。大脳の損傷でも麻痺は起こりますが、基本的には片麻痺(左右どちらかのみの麻痺)です。橋の広い範囲の出血では、運動神経が一気に障害されるので、四肢麻痺を呈します。 除脳硬直 意識障害下に、痛み刺激を加えると、手足が強く緊張して伸びたような姿勢になります。橋を含む脳幹のダメージにより、筋肉の緊張をコントロールすることができなくなるからです。 眼球正中位固定 橋には眼球の動きを司る部分があります。この障害により、目が真ん中から動かなくなります。 対光反射の消失 対光反射とは、瞳孔に光を当てた時、瞳孔の大きさが小さくなることです。この反射の中枢の「動眼神経」は橋の上の中脳にあります。橋出血の範囲が広いと中脳まで影響がおよび、対光反射は消失します。 失調性呼吸 脳幹の呼吸中枢が障害されるために起こる不規則な呼吸です。リズムも、一回ごとの呼吸の量も、バラバラで、呼吸が止まる直前の状態と考えられます。 中枢性過高熱 体温の調節中枢は脳幹のすぐ上にある間脳の視床下部というところです。広範な橋出血により、間脳までダメージが広がると、高い熱が出ます。 後遺症の治療について 重症にならず命が助かっても、出血で脳が傷つくと、後遺症が残ってしまうケースもあります。 例えば、神経の伝達経路の損傷による片麻痺、感覚障害などです。 橋は小脳という動作のコントロールに重要な部分と密接に関連しているため、運動失調によりふらついたり、動作がスムーズにいかなくなったりする方もいます。 また、物を飲み込む力が弱くなる嚥下障害も、頻度の高い後遺症です。飲み込みに関わる神経の多くは、橋をはじめとする脳幹から、顔・頸などに直接のびているからです。 後遺症のために、すぐに自宅に帰ることができなくなる方も多くいらっしゃいます。そのような場合に行うのが、リハビリテーションです。 急性期(発症直後の体の状態が安定しない時期)からリハビリが始まりますが、それだけでは不充分なことも多いです。そのため、患者さんの多くは、急性期がすぎると回復期病院(病棟)に移動し、集中的にリハビリを受けることになります。 リハビリの種類 理学療法・作業療法・言語聴覚療法の3種類があります。 理学療法 作業療法 言語聴覚療法 理学療法は、基本的な動作能力の回復を目指すリハビリです。 作業療法は日常生活に必要な作業の訓練を行います。同じリハビリでも、理学療法は立つ・歩くなどの基本的な動作、作業療法は着替え・入浴など応用的な動作が主体です。それぞれ、理学療法士・作業療法士という専門のスタッフがいます。 言語聴覚療法の担当は、言語聴覚士というスタッフです。構音障害などコミュニケーションの障害に対してリハビリを行います。また、橋出血に多い嚥下障害へのアプローチも行います。 リハビリの目標と後遺症の回復の見通しについて リハビリの最終的な目標は、個人個人の後遺症の具合、また退院後の生活環境を踏まえて決定していきます。そして、機能予後、つまり後遺症の回復見通しを勘案しながら、リハビリテーション計画を考えます。 では、回復の見通しはどのように立てるのでしょうか。 脳卒中全般で、発症時の重症度、画像の所見、入院時の日常生活動作(ADL)など、初期の評価からの機能予測についての研究が複数行われています。 また、急性期の回復の具合から、最終的な回復の見通しを立てる方法も模索されています。その中で、最初の1ヶ月での回復具合が大きいほど、最終的に自立した生活につながりやすいことが示されているのです。状態が許せば、早いうちから積極的なリハビリを行なうことは、回復につなげるために非常に重要です。 麻痺が回復するのは発症後どのくらいまでか 一般的に麻痺の回復は、3〜6ヶ月程度までと言われています。そのため、発症して早いうちから、集中的にリハビリに取り組むことが重要です。 この期間を過ぎてしまっても、リハビリを続ける意味がないわけではありません。麻痺の無い側でうまく補ったり、補助具を使ったりする訓練ができます。 まとめ・橋出血の後遺症と予後予測|回復の見通しについて医師が解説 橋出血は現在の医療の進歩をもってしても、いまだに生命予後の悪い病気です。 また、後遺症も残りやすく、回復には時間がかかります。早いうちにリハビリに集中的に取り組むことで、麻痺などの後遺症が軽くなる可能性がありますので、諦めないことが大切です。 この記事がご参考になれば幸いです。 ▼以下もご参考ください 橋出血による運動失調の種類とリハビリプログラム 〈参考文献〉 奥田佳延 他. Neurosurg Emerg 13:63-71,2008. 木村紳一郎 他. 脳卒中の外科. 39: 262-266, 2011. 東登志夫. 日本臨牀. 72 (増刊号7): 364-368, 2014. 古谷一英. 日本臨牀. 72 (増刊号7): 369-372, 2014. 佐藤栄志. 日本臨牀. 72 (増刊号7): 373-375, 2014. 厚生労働省.令和4年(2022)人口動態統計月報年計の概況. 結果の概要. (閲覧2023年6月28日). 脳卒中診療ガイドライン2021
2023.08.03 -
- 大腿骨骨頭壊死
- 股関節
歩いていると、股関節に痛みを感じるようになってきた…… そんな人がインターネットで検索すると、「骨頭壊死」という単語を見かけることもあるでしょう。 「骨頭壊死」の文字をみて「骨が壊死したらどうなるの?」「どんな痛み?」と、怖くなっている人もいるかもしれません。 結論、骨頭壊死とは骨の一部が壊死する疾患で、針で刺されたような痛みを感じるのが特徴です。大腿骨や股関節に体重を乗せたときや動かしたときに痛むケースが多くあります。 本記事では骨頭壊死でどのような痛みが出るか、またどんなときに痛みを感じやすいかをまとめました。記事を最後まで読めば、骨頭壊死がどのような痛みなのかがわかり、自分の症状と照らし合わせて病院に行くべきか判断できるでしょう。 【結論】骨頭壊死になると「針で刺された」のような痛みを感じる 結論からいえば、骨頭壊死が起きると鋭い痛みを感じるようになります。これは骨頭にある骨軟骨が壊死し、痛みを感じる神経(痛みの受容体)が刺激されるためです。 この神経は「自由神経終末」と呼ばれる組織で、チクチクと鋭い痛みを発生させることが特徴と言われています。 そもそも骨頭壊死とは、関節を構成する骨頭への血流が途絶えることで、骨の一部が壊死する疾患です。 さまざまな病気や怪我が原因で血流が途絶えるといわれていますが、はっきりと原因がわからないことも多々あります。 原因が不明な骨頭壊死は「特発性骨壊死」と呼ばれていて、大腿骨(太ももの骨)に多い疾患です。 骨頭壊死は体重を乗せたときや関節運動で痛みを感じやすい 骨頭壊死が起きると、体重を乗せたときや関節を動かしたときに痛みを感じるようになります。 たとえば、大腿骨頭壊死の場合、立って体重を乗せたときに、壊死した骨頭に負荷がかかり、股関節に痛みを感じるでしょう。 また、股関節を動かしたとき(とくに内側に捻ったとき)にも大腿骨頭の壊死部に刺激が入るため、痛みを感じる可能性が高いです。 過去におこなわれた大腿骨頭壊死患者へのアンケートでも、「歩行時に痛みでずり足で歩いた」「痛みで足が上がらない」との回答が多く寄せられています。 (参考:羽原美奈子,前沢政次 ほか.特発性大腿骨頭壊死症患者が体験する生活上の困難.社会医学研究.2008,26(1),p.31-40) 骨頭壊死は大腿骨や股関節に起こりやすい 骨頭壊死は上腕骨(腕の骨)や脛骨(すねの骨)にも発症しますが、大腿骨骨頭に多く発生しやすいといわれています。大腿骨頭は体重がかかりやすい上、股関節の中に入り込んで血流が乏しいためです。 骨頭が壊死しただけでは痛みはありませんが、体重がかかることで壊死部がつぶれ、痛みを感じるようになります。 大腿骨頭壊死は骨折や脱臼に伴って起きることが多いため、予防のために転倒しないことが大切です。 また、アルコールもリスクとなるため、予防を考えたい人は生活習慣も見直しましょう。 治療では保存療法で杖の使用やリハビリを検討します。痛みや大腿骨頭の変形が強い場合は、手術も適応です。 なお、大腿骨頭壊死については以下の記事でも詳しく解説しています。気になる人はぜひこちらもチェックしてみてください。 骨頭壊死の初期症状 骨頭壊死の初期症状は壊死部分とその周囲の鋭い痛みです。とくに関節へ体重を乗せたときや関節を動かしたときに痛みを感じます。 たとえば大腿骨頭壊死では、体重をかけたときや足を上げたときの股関節痛が初期症状として多く、腰痛や殿部(お尻付近)・大腿部に痛みが出ることも珍しくありません。症状が進行すると骨の変形に伴う可動域制限や、変形性関節症へと移行していきます。 また、「単純性関節炎」は骨頭壊死と似た症状が出る疾患として有名です。急激に増悪する痛みが特徴ですが、関節の変形は伴いません。そのため、レントゲン画像の撮影で骨頭壊死との鑑別が可能です。 骨頭壊死は早期発見・早期治療が必要な疾患です。少しでも初期症状に当てはまる人は、ぜひ当院「リペアセルクリニック」のメール相談、もしくはオンラインカウンセリングにてお気軽にご相談ください。 大腿骨頭壊死について詳しく知りたい人はこちらの記事も参考にしてください。 骨頭壊死の原因 骨頭壊死は、関節の骨折や関節の脱臼に引き続いて起こることがあります。 特発性骨頭壊死の場合は、危険因子として、免疫異常の疾患(膠原病)や臓器移植などによるステロイド投与による副作用、アルコール、喫煙が関連していることがわかってきています。 とくに、ステロイドやアルコールについては国際的に基準が設けられており、ステロイドやアルコールをある程度の量を摂取した方に起こった骨頭壊死では、ステロイドやアルコールとの関連が考えられます。 また、関節の構造的に血流が乏しいと、骨頭壊死に至る可能性が高くなるため要注意です。 骨頭壊死で多い大腿骨頭壊死の場合、大腿骨の骨頭は、股関節内に深くおさまって血管が少ない特徴があります。そのため、何らかの原因で血流障害が起こると、骨に栄養や酸素などが運ばれなくなり、壊死が起こってしまうのです。 まとめ|骨頭壊死では鋭い痛みを感じる!症状が悪化する前に早めの受診がおすすめ 今回は骨頭壊死の痛み方についてまとめました。 骨頭壊死が起きると、体重をかけたときや関節運動時に鋭い痛みが生じます。とくに股関節の大腿骨頭に発症することが多く、初期症状の段階で早期発見・早期治療を進めていくことが重要です。 当院「リペアセルクリニック」では、大腿骨や股関節などの痛みに関する治療として、再生医療を行っています。骨頭壊死の初期症状に当てはまる痛みを感じたら、当院のメール相談、オンラインカウンセリングからご相談いただければ嬉しく思います。 この記事がすこしでも骨頭壊死で悩んでいる人の助けになれば幸いです。 骨頭壊死についてよくある質問 Q. 大腿骨頭壊死では必ず股関節が痛くなるの? A. 必ずしも、股関節が痛くなるわけではありません。 自覚症状としては、比較的急に生じる股関節部痛が特徴的ですが、腰痛、膝痛、殿部痛などで初発する場合もあります。 Q.大腿骨頭壊死では、必ず手術が必要なの? A. 骨頭壊死の病期によっては、手術が必要となる場合もあります。 一方、再生医療で骨頭壊死を治療する試みも始まっています。 当院では、エコーや特殊なレントゲン装置、そして特殊な注射針を使用して股関節内の軟骨損傷している部位を精査して、ダイレクトに幹細胞を注入する再生医療を用いた治療を行っています。また、PRP(多血小板血漿)の併用で、さらなる効果の増強を目指しています。
2023.08.01