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- 糖尿病
- 内科疾患
糖尿病を患っている人にとって、運動療法は効果的な改善法のひとつです。 しかし、運動のタイミングや運動量を誤ってしまうと、むしろ糖尿病を悪化させる原因になってしまう可能性があります。 この記事では、糖尿病に効果のある運動のタイミングや運動法について解説します。「今まで運動不足だったからいきなりの運動は不安」という人でもできる簡単な運動もあるため、ぜひ最後まで見てみてください。 空腹時の運動が血糖値に与える影響|血糖値の急上昇、急降下を防ぐには 空腹時の運動は血糖値を不安定にしてしまうため推奨されていません。 食後の血糖値と比べると、空腹時は血糖値が低い状態です。運動を行うと血糖値は下がるため、激しい運動を行うと適正値を下回ってしまう可能性があります。 また、空腹時に運動を行った後は食事量も増えてしまうことが考えられます。食事量の増加によって血糖値の急上昇を引き起こしてしまうため、空腹時の運動は避けるべきでしょう。 現在行っている治療や体質によって注意すべきポイントが変わるため、それぞれご紹介します。 薬を飲んでいる人は空腹時の運動で低血糖を引き起こすリスクがある 現在インスリンやSU薬(スルホニル尿素薬)を飲んでいる人は、空腹時に運動を行うと低血糖を引き起こしてしまうため注意が必要です。 低血糖とは、血液中のブドウ糖が著しく少なくなった状態をいいます。糖尿病治療を行っている人によく見られる症状であり、体のだるさ、冷や汗、めまいなどを引き起こします。 空腹時血糖値が高い人は運動中に血糖値が急上昇する可能性がある 空腹時血糖値(食事を10時間以上摂らない状態での血糖値)が高い人は、運動を行うとむしろ血糖値が上がってしまう可能性があります。 食前、食後問わず、運動を行う場合は医師の指導を必ず受けるようにしましょう。 自身の体調に合わせた無理のない運動が大切 運動量が多い場合は補食をとる、もしくは運動前後のインスリン量を減らすなどの注意も必要になります。 短期的な効果を目指し過度な運動を行うことによって、低血糖や運動後の食事による血糖値の急上昇などを引き起こす可能性があります。 いずれもその人の体調に合わせた適切な運動を行うことが重要なので、糖尿病を患っている、あるいはその疑いがある方は、医師と相談しながら自身に合った運動量を調整していく必要があります。 血糖値の上昇を防ぐ効果的な運動法 この項目では、実際どのような運動療法を実施すると効果が高いのかをポイント毎に紹介します。 運動療法では、週150分かそれ以上、週3回の全身を使った有酸素運動が推奨されています。(文献1) 運動強度はややきつい中等度が良いとされており、20分以上の運動の継続がおすすめです。 また、無酸素運動(レジスタンス運動)については、連続しない日程で週に2~3回の実施がすすめられています。 食後1時間〜3時間で運動をする 運動を行う際は食後1~3時間の間で行うのがおすすめです。 食後は血糖値が一時的に上昇し、健康な人で食後1時間、糖尿病の人で食後2時間半ほどでピークに達し、その後緩やかに下がっていきます。(文献2) そのため、血糖値を下げるのに最も効果的なタイミングは食後のおよそ1時間~3時間後です。 食後の運動にはウォーキング、ヨガ、エアロビクスなどの有酸素運動がおすすめされています。 筋肉をつける運動を取り入れる 有酸素運動に加え、筋肉をつけるための無酸素運動(レジスタンス運動)を取り入れることで、長期的に見た際に血糖値コントロールに有効であるという効果も出ています。 運動を続けていくと、筋肉の量が少しずつ増えていきます。筋肉はエネルギーを大きく消費するため、筋肉が増えていくと血液中のブドウ糖が筋肉に多く取り込まれるようになります。これにより、血糖値を正常値に保ちやすくなります。 また、筋肉によるエネルギーの消費を基礎代謝と呼び、運動によって筋肉が増えることで基礎代謝量の増加に繋がるため太りにくい体質をつくることができるのです。 負荷が高ければ高いほど効果が報告されています。しかし、急に高負荷の運動を始めると、力みによって血圧が上昇し危険です。運動開始前に医師のチェックを受けましょう。 また、適切なフォームで行うことも重要です。動作中重りをあげる際は息を吐き、重りを下げる際は息を吸うことを心がけましょう。 筋肉はすぐには変化しないため、すぐには効果が実感できないかもしれません。短期的な効果を得られやすいのは有酸素運動、長期的な効果を得られるのは無酸素運動と覚えておきましょう。 有酸素運動と無酸素運動を組み合わせると効果的! 一言で運動といっても様々な内容のものがあり、身体にかかる負荷の大きさもそれぞれ違います。 糖尿病にならないための運動には、深く呼吸しながら行う有酸素運動が効果的といわれています。 有酸素運動にあたるもの ウォーキング、歩行(できるだけ速く歩く) ジョギング ラジオ体操 エアロビクス また、有酸素運動とは逆に息をつめて行うものを無酸素運動(レジスタンス運動)と呼びます。 無酸素運動にあたるもの 短距離走 重い物を持つ 筋力トレーニング 無酸素運動では、いきなり高負荷な運動は行わないよう注意が必要です。 無酸素運動はあまりしたことがない人にとって、最初はハードルの高い運動かもしれません。 全身を万遍なく鍛えることが推奨されていますが、時間がない人や自信がないという人には、下半身を鍛えられるスクワットから始めることをおすすめします。 短い時間のウォーキングや、日常動作も効果がある 運動とは、いわゆる「スポーツ」だけを指している訳ではありません。軽いウォーキングや立って行う家事など、身体を使った活動全てが運動です。 ある研究では、一日中座っていた人と比べ、軽いウォーキングや短時間の立ち仕事を頻繁に行っていた人のほうが食後の血糖値が低下していたという結果も出ています。(文献3) 日常の身体を使った活動 座っている時間を減らす いつもより速く歩く こまめに家事をこなす 身軽に動く 階段を使う 「毎日忙しくて運動する時間がつくれない」「長く運動をしていなかったから不安」という人は、まずは日常生活の中で身体を使う機会を増やしてみましょう。 効果的な、運動と食事の見直し 運動によるエネルギーの消費量は、思ったより多くありません。例えば、体重75㎏の人がウォーキングを10分間行うと、25kcalの消費になります。 しかし、毎日夕食にご飯(並盛り)を2杯食べているところを1杯に減らすと、それだけで250kcal減らすことができます。つまり、糖尿病にならないためには運動習慣だけでなく食生活の見直しを合わせて行うことが重要となるのです。 空腹時に運動すると血糖値が急上昇しやすいため、糖尿病予防には逆効果です。早朝のウォーキングやジョギングは、朝食後かパンやバナナなどを軽く食べた後に行いましょう。 まとめ|糖尿病予防には空腹時を避けた適切なタイミングでの運動が重要 空腹時の運動は、糖尿病の人にとっては悪い影響を及ぼす可能性があります。 激しい運動によって血糖値が下がってしまうだけでなく、空腹時の運動後の食事によって血糖値が急上昇してしまう可能性があります。 また、薬を飲んで治療をしている人は低血糖を引き起こしてしまう危険もあるため、食後1~3時間後の運動を行うよう心がけましょう。 ただし、持病や糖尿病合併症がある人、普段の血糖値が非常に高い人は運動が禁忌事項である場合があるため、スポーツを行う前には必ず事前に主治医の指示を受けてください。 なお、当院「リペアセルクリニック」では再生医療による糖尿病の治療に取り組んでいます。患者様一人ひとりの状態に応じた丁寧な診療を心がけ、血糖値や肝機能の管理をサポートしています。 再生医療について詳しく知りたい方は、合わせて以下をご覧ください。 参考文献 (文献1) 日本糖尿病学会. 糖尿病診療ガイドライン2024「第4章 運動療法」, 日本糖尿病学会, 2024年. https://www.jds.or.jp/uploads/files/publications/gl2024/04_1.pdf(最終アクセス:2025年3月25日) (文献2) 糖尿病ネットワーク.「尿と糖尿病:尿検査でわかること」 https://dm-net.co.jp/urine/2010/05/0202.php(最終アクセス:2025年3月25日) (文献3) Buffey, A. J., et al. (2022). The Acute Effects of Interrupting Prolonged Sitting Time in Adults with Standing and Light-Intensity Walking on Biomarkers of Cardiometabolic Health: A Systematic Review and Meta-analysis. Sports Medicine, 52(7), pp.1765-1787. https://link.springer.com/article/10.1007/s40279-022-01649-4 (最終アクセス:2025年3月25日)
2022.04.27 -
- 肘関節
- 野球肘
- 上肢(腕の障害)
- 動作時の痛み
- スポーツ外傷
関節ねずみ(関節遊離体)による痛みの改善にはクリーニング手術という選択肢があります。 クリーニング手術を受けることで悩まされていた痛みから解放されて、日常生活やスポーツを楽しめます。 とはいえ、いったいどのような手術なのか、どれくらいの日数や費用がかかるのか、不安に思う方も少なくないでしょう。クリーニング手術の内容や適応、経過について本記事にて詳しく説明していきます。 クリーニング手術とは? クリーニング手術とは、関節内に遊離した軟骨成分や骨成分のかけら(関節ねずみ)、また新たに形成された骨棘(骨にできるトゲのような突起)を関節鏡を使って取り除く手術方法です。 関節ねずみと呼ばれる遊離体はただ存在しているだけでは無症状ですが、関節内が挟まると曲げ伸ばしに障害が出たり、強い痛みが出現したりします。 症状が強い人やスポーツに支障が出ている方は、整形外科でのクリーニング手術が推奨されます。 関節ねずみ(関節内遊離体)の治療法 クリーニング手術は関節ねずみに対して行う手術ですが、関節ねずみが確認されたとしても経過観察になることがあります。 関節運動への影響が少ない場合は経過観察になることもあります。 動かしても痛みがない 骨軟骨片が完全に剥がれておらず安定している 上記のような状況では、荷重制限や運動制限などの保存療法が選択される場合があります。ただし、関節ねずみは移動するため、痛みが生じる部位や強さは場合によりさまざまです。 病状が進行し、スポーツや生活に支障がある場合は手術での治療も検討しましょう。 野球選手がなりやすい野球肘の治療にも有効 野球肘とは、投球動作を繰り返し行うことで発症する肘の障害です。離断性骨軟骨炎や軟骨損傷、靭帯損傷、将来的に合併する可能性が懸念される変形性肘関節症などを含めた複数の病態を示しています。 長年に渡る投球動作により少しずつ骨や軟骨部分に変形が起こったり、関節ねずみが形成されたりし、肘関節の屈伸運動の困難さや痛みが出現します。症状が進行し、安静時でも痛みが続く場合や、痛みが引いても再び痛みが出てしまう場合は、クリーニング手術を検討してみると良いでしょう。 部位別のクリーニング手術法 クリーニング手術は主に、肘関節や膝関節の遊離体に対して行われますが、肩関節や足首の関節に対しても適応となる場合があります。 ここでは、部位別のクリーニング手術の特徴をそれぞれ解説していきます。 肩関節に対するクリーニング手術 肩関節に対するクリーニング手術(鏡視下滑膜切除)は、肩の痛みの原因となっている組織を取り除くために行われます。MRIなどでは確認できなかった病変を直径2〜10mmの細長いビデオカメラを手術部位に挿入して、映像を確認しながら行う手術方法です。 野球による投球障害で関節唇(かんせつしん)に損傷がある場合 リウマチなどによる炎症が滑膜(かつまく)にある場合 痛みで夜も眠れない場合 上記のような状況がクリーニング手術の適応となり、術後は痛みが軽減する可能性があります。手術時間は1時間程度と短時間で完了するため、体への負担は少なく済むでしょう。 肘関節に対するクリーニング手術 肘関節に対するクリーニング手術は、関節ねずみの除去(鏡視下遊離体摘出術)やとげのように変形した軟骨の切除(鏡視下骨棘切除)などが実施されます。投球動作などで肘関節を酷使する野球選手に実施されることが多いです。 全身麻酔下で行われ、肘を小さく切って細い関節鏡と手術器具を挿入し、肘部の痛みや引っ掛かりの原因となっている病変部位を切除・摘出します。 通常、1~2時間にて完了し、術後2週間程度から日常生活動作への制限が緩和されます。 膝関節に対するクリーニング手術 膝関節に対するクリーニング手術は、加齢などによって起こる変形性膝関節症に対して適応です。擦り切れた半月板や遊離軟骨、骨棘、増殖した滑膜などを除去し、痛みや歩行能力が改善できます。 切る範囲が小さく済むため、傷が目立たない点や術後の入院期間が短くなるのが特徴です。 変形性膝関節症の中でも、クリーニング手術で改善するのは軽症レベルで、重度になるとクリーニング手術では対応が難しくなります。重症の場合は別の手術が必要となるため、症状に合った手術を選択しましょう。 足首に対するクリーニング手術 足首に対するクリーニング手術は、変形性足関節症に対して実施されることがあります。 関節鏡を見ながら原因となっている骨棘や滑膜、遊離軟骨などを除去し、足首の関節可動域拡大や痛みの改善が目的です。 他の部位と同様に、足首の関節周囲を小さく切り、関節鏡と手術器具を挿入して手術を行います。 クリーニング手術後に復帰までの期間 クリーニング手術後、復帰までにかかる期間はそれぞれの状態や手術内容、手術部位によって異なります。 日常生活への完全復帰は手術後2~3か月程度、スポーツの再開は3~6か月程度が復帰の目安です。手術直後は安静にして痛みや腫れを改善に努め、約2週間後から関節運動を開始していきます。 2カ月ほど経過したら、症状を見ながら軽めのトレーニングを開始し、本格的な競技復帰に備えていきましょう。 復帰までの期間はあくまで目安であり、術後の経過やリハビリの効果などは個人差があります。クリーニング手術後の復帰時期は医師と相談しながら決めていきましょう。 クリーニング手術にかかる費用 クリーニング手術にかかる費用の目安は20~30万円程度です。手術を行う部位や医療機関、入院期間、細かな手術内容によって費用は異なるので注意しましょう。 手術前後の入院期間は4日間程度ですが、入院期間が延びれば部屋代や施設利用費なども増えていきます。手術前後の診察代やリハビリの料金も発生するため、正確な費用は各医療機関に問い合わせて確認してください。 まとめ|クリーニング手術は関節ねずみに対して有効な治療法 クリーニング手術は、関節ねずみによる痛みや可動域制限に対して効果のある治療方法です。手術にかかる費用は20~30万円、入院期間は約4日間と短く、日常生活や仕事への影響が少なく受けられます。 日常生活への完全復帰は2~3カ月、スポーツへの復帰は3~6カ月が目安の期間です。早く回復したい方や治癒力を高めたい方は再生医療の利用も検討してみましょう。 リペアセルクリニックでは、再生医療について無料電話相談を受け付けています。お気軽にお問い合わせください。 クリーニング手術についてのQ&A クリーニング手術を検討されている方に向けて、よくある質問への回答をご紹介します。 最近、話題となっている再生医療や野球選手がよく受けているトミー・ジョン手術との違いについて説明していきますので、ご確認ください。 再生医療との関連性は? 最近注目されている再生医療とは、自然治癒力を最大限に引き出す医療技術です。 スポーツや仕事に早く復帰したいと希望される方は、クリーニング手術とPRP療法の併用を検討してみてください。 PRP療法は自分の血液から抽出した高濃度の血しょう成分を患部に注射する治療法です。プロアスリートの治療にも採用されている治療法で、治癒・再生速度を2~3倍以上速める効果が期待できます。 まれにない出血がみられることがありますが、数日間で自然消失します。症状が気になる場合は診察にお越しください。 トミー・ジョン手術との違いは? トミー・ジョン手術とは、損傷した肘の内側側副靭帯(ないそくそくふくじんたい)を切除し、健康な腱の一部を肘の靭帯につなげる手術方法です。前腕部(肘から下の部分)や下腿(膝より下の部位)、お尻、膝から腱を摘出することが多く、大谷翔平選手も受けたことで有名になりました。 野球選手の場合は、競技復帰まで1年程度のリハビリが必要です。損傷部位である肘だけでなく、摘出してくる別の部位も切開する必要があるため、クリーニング手術よりも体への負担は大きくなります。
2022.04.25 -
- 野球肘
- 上肢(腕の障害)
- 肘関節
- スポーツ外傷
トミージョン手術という言葉をテレビや雑誌、新聞など情報を見たりした経験のある方も多いのではないでしょうか。 メジャーリーガーとして活躍する大谷翔平選手やダルビッシュ有選手が「トミージョン手術」を受けたことで一躍有名になった手術です。 本記事では「トミージョン手術とはどんな手術なのか」また、手術の成功率や競技への復帰率について詳しく解説します。 野球選手を始めとする肘の靱帯損傷にお悩みの方は、ぜひ参考にしてください。 また、肘の靱帯損傷といった「スポーツ外傷」を手術せずに治療できる方法として再生医療が注目されています。 当院リペアセルクリニックの公式LINEでは、再生医療によるスポーツ外傷の症例や治療法について情報を配信中です。 「手術せずに治療したい」「早く治して競技復帰したい」という方は、ぜひご参考ください。 トミージョン手術とは? トミージョン手術とは、肘の内側にある損傷・断裂した靱帯を正常な腱の一部を移植して再建する手術のことです。 患者さまの体から摘出した腱を上腕骨と尺骨に作成した穴に通し、両端に適度な張力をかけた状態で固定します。 その後移植した腱は患部周囲に定着し、損傷した靭帯の代わりとして機能するようになるのです。 移植した腱が定着するまでに、ある程度の時間がかかるといわれており、長期的なリハビリによる加療を実践することが求められます。 トミージョン手術の費用 海外でトミージョン手術を受ける場合の費用は、100〜300万といわれています。 日本でトミージョン手術を受ける場合の費用は、保険適用で約15万〜30万円です。 手術費用は、保険適用の有無や医師の経験値によって大きく変動します。 入院にかかる費用やリハビリ代などを加算すれば総額はさらに高くなります。 トミージョン手術の成功率と競技復帰率 トミージョン手術の成功率や、野球選手の競技復帰率について紹介します。 トミージョン手術の成功率 トミージョン手術を受けた選手の競技復帰率 以下では、それぞれ詳しく解説していきます。 トミージョン手術の成功率と競技復帰率 トミージョン手術は、約80%~90%と比較的に成功率が高い手術です。 術式の由来でもあるトミージョン氏が手術を実施した1970年代は、手術自体の成功率は何と1%未満とされていました。 しかし、近年では医療技術の進歩により高い成功率を誇る手術として、多くの野球選手がトミージョン手術を受け、競技復帰を実現しています。 トミージョン手術を受けた野球選手の競技復帰率 トミージョン手術を受けた野球選手のポジション別の競技復帰率は、以下の通りです。 ポジション 復帰率 投手 80〜97% 捕手 59〜80% 内野手 76% 外野手 89% ※出典:PubMed メジャーリーグの投手を対象にした研究では、手術後12ヶ月で80〜97%が競技復帰したとされています。 投手と比べると肘への負担が少ない内野手や外野手は、投手よりも短い期間で競技復帰できているというデータがあります。 トミージョン手術を受けた野球選手一覧 大谷翔平選手やダルビッシュ有選手を始めとした日本のプロ野球選手がトミージョン手術を受けています。 2024年以降にトミージョン手術を受けた野球選手は、以下の通りです。 トミージョン手術は、名高い野球選手から多くの信頼を得ている手術方法といえます。 トミージョン手術が適応となる原因が野球選手に多い理由 野球の中でも、とりわけピッチング(投げる)という動作では、速球や変化球を何度も繰り返すことになり、肘に大きな負担を掛けるリスクがあります。 一般的に、野球競技で投球を繰り返すことで体幹や胸郭などのバランスが悪くなると肩や肘の力でサポートしたり、カバーしようと身体が反応し、意図せず働いてしまいます。 その際、上腕骨と尺骨を連結している肘関節部分に位置する内側側副靱帯に過剰な負担がかかり損傷が生じることがあります。 肘の靱帯が正常な状態の投手が、実際の投球中に靱帯をいきなり切ることはまずありません。しかし、小学生のころからプレーを続け、何度も繰り返される動作は負荷となって最初は小さなほころびでも積み重なることで切れてしまったり、大きな損傷となってしまうのです。 一部の整形外科医や球界関係者からは、肘の損傷の原因が投球フォームにあるという指摘もあります。いずれにしろ野球選手にとって避けては通れないスポーツ外傷というほかありません。 スポーツ外傷は「再生医療」の治療対象です。体内組織の自然治癒力を活用する医療技術で、手術による傷跡や後遺症のリスクを軽減できます。 以下の記事では、野球肘の予防に有効なストレッチを紹介しています。野球をする機会が多い方は参考にして、日頃のケアに役立ててみてください。 トミージョン手術後のリハビリについて リハビリは、大体2か月程度かけて肘関節の可動域を元の状態に復帰させていきます。 その上で日常生活レベルで支障なく肘を動かせるようになれば、今度は軽い負荷からのウェイトトレーニングを開始することになります。 野球選手の場合、競技復帰までに1年ほどのリハビリが必要です。 トミージョン手術を受けるメリット・デメリット トミージョン手術を受けるメリット・デメリットを以下にまとめました。 トミージョン手術を受けるメリット トミージョン手術を受けるメリットは、以下の通りです。 【トミージョン手術のメリット】 トミージョン手術の成功率:80~90%が実践復帰 トミージョン氏がこの手術を実施した1970年代は、手術自体の成功率が何と1%未満とされていました。 しかし、1986年から2012年までに本手術を実施された野球投手を調査した結果、約80%~90%もの人々が実戦復帰を果たしており手術の成功率が格段に向上しています。 この手術における成功率が向上した要因としては、手術そのものの技術的な進歩のみならず術後のリハビリテーションの知識と経験の蓄積が顕著な治療成績の改善を生み出したと考えられています。 トミージョン手術を受けるデメリット トミージョン手術を受けるデメリットは、以下の通りです。 【トミージョン手術のデメリット】 デメリット:手術後のリハビリ期間が1年~程度必要 デメリット:手術とリハビリからくる期間的リスク デメリット:合併症の危険性がある 通常ではトミージョン手術による治療からリハビリを含めて実戦復帰するためには約12か月から18か月かかると考えられています。 仮に実戦復帰できたとしても所属球団の方針によっては厳しく球数を制限されるかもしれません。 また、術中操作にともなう尺骨神経の障害は、トミージョン手術後の合併症において頻繁に起こる可能性があります。 肘の靱帯損傷には再生医療も選択肢の一つ https://youtu.be/ZYOV-Er0mnU?si=FHBxUKKQUmtK4hUY 肘の靱帯損傷やスポーツ外傷には、先端医療である再生医療も選択肢の一つです。 再生医療とは、さまざまな組織に変化する幹細胞を用いて、損傷した靱帯の再生・修復を図る医療技術のことです。 肘の靱帯損傷に対して高い成功率を誇るトミージョン手術ですが、手術の副作用のリスクや長期間のリハビリが必要となり、競技復帰まで時間がかかります。 再生医療では、入院が必要なほどの大きな手術をせずに肘の靭帯損傷の根本的な治療が期待できます。 また、患者さまの細胞のみを使用するため、拒絶反応やアレルギーなどの副作用が少ないのも特徴です。 「手術を避けて治療したい」「早く競技復帰したい」という方は、ぜひ再生医療による治療をご検討ください。 トミージョン手術に関するよくある質問 最後にトミージョン手術に関するよくある質問と回答をまとめます。 トミージョン手術が失敗する可能性はありますか? トミージョン手術は一般人でも受けられますか? トミージョン手術を受けたあと復帰までの期間はどれくらいですか? 靭帯損傷で手術以外の治療法はありますか? トミージョン手術が失敗する可能性はありますか? トミージョン手術の失敗確率は10〜20%程度といわれています。 約80〜90%もの人が実践復帰を果たすまでに回復するといわれており、失敗する確率は低い傾向にあります。 トミージョン手術は一般人でも受けられますか? トミージョン手術は一般の人でも受けられます。 しかし、プロの野球選手ほど受ける人が少ないといわれています。 リハビリに1年ほどかかり日常生活や仕事への影響が大きいほか、海外ほどトミージョン手術の名医が多くないためです。 スポーツや仕事で肘の腱や靭帯を損傷した方は、当院「リペアセルクリニックのドクター」にご相談ください。 患者さまの状態にあった治療方法をご提案させていただきます。 トミージョン手術を受けたあと復帰までの期間はどれくらいですか? 野球や仕事に完全復帰するまでには、約1年ほどかかります。 損傷の程度によっては、2年近くかかる場合もあります。焦って無理に肘を動かすと回復を遅らせる可能性があるほか、状態を悪化させるリスクも招きかねません。 担当医や理学療法士の指示・助言を守りながら、計画的にリハビリを進めましょう。 靭帯損傷で手術以外の治療法はありますか? 靭帯損傷の治療法の1つに「再生医療」があります。 再生医療とは、人間の組織や血液に含まれる自然治癒力を活用して、傷ついた靭帯を修復させる医療技術です。 注射を打つだけなので、手術のように傷跡が残ったり、長期のリハビリが必要になったりしません。 トミージョン手術を受けた大谷翔平選手も、再生医療で靭帯損傷の治療を受けています。 詳しくは以下の記事で紹介しているので、大谷翔平も受けた再生医療についての理解を深めたい方はあわせてご覧ください。 まとめ|トミージョン手術とは肘の靱帯損傷を再建するための手術 トミージョン手術は、損傷した腱や靭帯の再建をおこなう手術です。とくに、野球のピッチング動作の繰り返しで、肘関節の内部にある靭帯を損傷したときに用いられます。 スポーツ外傷には「再生医療」の治療法も効果的です。 本来なら手術をしなければいけない状態でも、再生医療で治療できる可能性があります。手術による傷跡や後遺症の心配もないので、安心して治療を受けられます。
2022.04.21 -
- ひざ関節
- 動作時の痛み
- 変形性膝関節症
- 半月板損傷
- 靭帯損傷
日常の生活で、階段の上り降りや、立ったり、座ったりした際に、膝に痛みや、違和感を覚えたことはありませんか? その痛みが一時的なもので、普段痛みがなければ「大丈夫だろう…」と、医療機関を受診することなく放置しがちです。 しかし、膝の痛みを放置すると重大な病気に繋がることがあります。 膝の痛みからくる疾患は早期発見、早期治療が大切です。決して放置してはなりません。 この記事では、立ったり座ったりする動作で膝に痛みを感じたときに疑われる病気について解説します。 膝が痛む病気の症状と考えられる原因 膝の痛みは多くの人が経験する悩みであり、その原因はさまざまです。 膝は歩行や立ったり座ったりなどの動作を支える重要な関節のため、何らかの不具合が生じると日常生活に大きな影響を与えます。 階段の上り降り 立つとき 座るとき 起床時のこわばり 膝の痛みの原因は、筋肉の疲労や運動不足などの一時的な要因から、関節の炎症や変形などの慢性的な病気まで多岐にわたります。 膝が痛む場合は、どのような動作で痛みが生じるのか、痛みの部位はどこかなどを観察することが大切です。 原因に応じて適切に対処することで、膝の痛みを軽減することができます。 ここでは、立ったり座ったりすると膝が痛い原因や、膝の痛みが続くときの病気の可能性をチェックポイントで解説します。 立ったり座ったりすると膝が痛い原因は? 立ったり座ったりすると膝が痛い原因としては、変形性膝関節症や半月板損傷などの疾患の可能性が考えられます。 膝は脛骨の上を大腿骨が滑らかに転がる仕組みになっており、骨の表面は軟骨というクッションで覆われています。 また、大腿骨と脛骨の間には衝撃を吸収する半月板があり、痛みを感じる場合は軟骨や半月板などに異常が生じているのかもしれません。 膝の痛みが続くのは病気のサイン?チェックポイント 膝の痛みが長期間続く場合、単なる疲労や軽いケガではなく、病気のサインである可能性があります。 特に、膝の痛みが1週間以上改善しない場合や、痛みが徐々に悪化している場合は注意が必要です。 以下の項目のうち、2つ以上当てはまる場合は病気の可能性が高いと考えられます。 痛みの種類 □ 1週間以上、膝の痛みが続いている □ 安静時でも痛みがある □ 夜間や寝ている間に痛みを感じる □ ズキズキ・チクチク・ジンジンとした痛みがある □ 階段の昇り降りで強く痛む 腫れやこわばり □ 膝が腫れている、熱を持っている □ 朝起きた時に膝がこわばる □ 膝の動きがスムーズではなく、ぎこちない 動作時の異常 □ 立ち上がる時や座る時に痛みを感じる □ 歩くと痛みが増す □ しゃがむのがつらい □ 正座ができない □ 膝が抜けるような感覚がある(ぐらつく) 見た目の変化 □ 膝の変形が進んでいる □ 左右の膝の形が違う □ 膝の皮膚が赤くなっている 発熱や体調の異常 □ 膝の痛みとともに発熱がある □ 全身の関節が痛む □ 体重が急に減少している 上記に2つ以上該当する場合は、医療機関の受診をおすすめします。 膝が痛い時に疑われる病気一覧 膝の痛みの原因にはさまざまな病気が関係している可能性があります。 以下の表では、膝の痛みと関連する主な疾患を一覧にまとめました。 ※気になる疾患名はクリック・タップすると詳細がご覧になれます。(一部除く) 膝が痛むときに多い疾患 症状 変形性膝関節症 加齢や関節の負担により膝の軟骨がすり減り、痛みや腫れが生じる 関節リウマチ 免疫異常により関節に炎症が起こり、こわばりや痛みが慢性化する 膝骨壊死症 突然の膝の激痛が特徴で、血流障害により骨組織が壊死する 半月板損傷・靭帯損傷 スポーツや怪我により膝のクッションである半月板や靭帯が損傷する 前十字靱帯損傷 急な方向転換やジャンプで靭帯が断裂し、膝が不安定になる 後十字靭帯損傷 強い衝撃で靭帯が損傷し、膝がぐらつくことがある 内側・外側副靭帯損傷 外部からの強い力で膝の内外側の靭帯が損傷する 離断性骨軟骨炎 関節内の骨や軟骨が剥がれることで痛みや運動制限が生じる 関節ネズミ 関節内に遊離した骨片が挟まり、突然の激痛やロッキング(膝が引っかかる感じ)が起こる オスグッド病 成長期の子供に多く、膝の前部が腫れて痛む 軟骨損傷 膝軟骨が傷つくことで炎症や痛みが発生する 膝に痛みを生じさせる代表的な病気には「変形性膝関節症」と言われるものが最も多くみられます。 その他、運動などのスポーツ障害として「半月板損傷」や、「前十字靱帯損傷等」などが知られています。 それ以外にも、膝の障害には多岐にわたる疾患があるため、自覚する症状によって自分で判断するのは難しいとお考え下さい。 膝が痛む場合、違和感がある場合は初期の段階、早めの受診をおすすめします。 変形性膝関節症 本疾患における原因として以下のものがあります。 加齢で軟骨組織が老化する 肥満体形で膝への負担が大きい 遺伝的素因 膝関節周囲の骨折の後遺症 病変や半月板損傷外傷などの後遺症 変形性膝関節症は進行性の病気で元の状態に回復させることが困難な病気です。 いかに現状の状態を維持できるかといったことが治療の主眼となり、保存療法を中心としたリハビリが有効な治療法となります。 注意すべきは最終的に手術が必要になることです。それが「人工関節」という選択です。 そうならないためにも、上記に記したような膝への痛みや、違和感を感じたら、早めに病院等にて診察を受けるましょう。 万一、変形性膝関節症であった場合は、リハビリ等にて進行を、可能な限り遅らせるような取組みが可能です。 【関連記事】 変形性膝関節症でしてはいけないことを職種別に解説【負担を減らす】 変形性膝関節症の治療は早期発見が鍵!初期症状を見逃さないために 関節リウマチ 膠原病という自己免疫が関連した病気で、膝関節のみならず手指、手関節、肘関節などを中心に身体のあらゆる関節で炎症が引き起こされる病気です。 関節リウマチを引き起こす要因としては未だに明確なことは判明していませんが、どうやら生体の自然免疫システムが発症に深く関係していると言われており、病状が悪化するメカニズムは最近の医学研究などによって少しずつ明らかになってきています。 本疾患における初期症状としては、関節自体に炎症が起こることに伴って関節部の腫れが認められ、それが膝部分で発症すると膝の関節に痛みが出現することになります。 さらに病状が進行してしまうと、関節を構成している骨や軟骨などが破壊されることによって関節が変形し、屈曲拘縮や関節脱臼など日常生活に多大な支障をきたすことに繋がってしまいます。 【関連記事】 関節リウマチの初期症状は?チェックリスト付きで現役医師が解説 膝骨壊死症 骨壊死の特徴として、急な痛みがあります。 変形性膝関節症のように病気が進行することで徐々に痛みが進行していくものとは違って骨壊死は、ある日突然痛みが発症する場合が多いと報告されています。 原因としては、軟骨の土台になっている軟骨下骨に微小骨折が生じて骨の壊死が発症していくと推測されています。 夜間など寝ている時や、体を動かしていないのに膝の痛みがある場合に膝骨壊死(大腿骨内顆骨壊死、脛骨内顆骨壊死)が考えられます。 半月板損傷・前十字靱帯損傷等 半月板損傷・前十字靭帯損傷は、比較的若い世代に多く見られる膝の傷害です。 主にスポーツや激しい運動中の外傷により発生しますが、半月板は加齢により弱くなるため、高齢者では転倒などの軽微な怪我でも損傷する可能性があります。 これらの損傷では「ロッキング」と呼ばれる膝が伸びない症状や、痛みを伴う膝の曲がりにくさ、走行困難などの症状が現れることがあります。 前十字靭帯は脛骨と大腿骨を繋ぐ重要な靭帯で、完全断裂、部分断裂、弛緩などの損傷パターンがあります。 スポーツ中の激しい接触や急な方向転換、ジャンプ着地、転倒を伴う動きで特に発症リスクが高まります。 年齢を問わず、適切な準備運動とフォームの意識が予防に重要です。 【関連記事】 【医師監修】半月板損傷でやってはいけないこと!放置するリスクや治療方法も解説 半月板損傷の原因から治療まで 医師が解説 膝の痛みを和らげる治療法 膝の痛みを軽減するための治療法は、原因となる病気や症状の進行度によって異なります。 変形性膝関節症や関節リウマチ、半月板損傷などの主な治療には保存療法(リハビリ・薬物療法)と手術療法の2つの選択肢があります。 早期の段階では、生活習慣の見直しや運動療法、サポーターの使用などが有効ですが、症状が悪化すると薬物療法や注射治療、さらには手術が必要になることもあります。 膝の痛みに対してご自身でできる対応としては、以下のものがあります。 安静・アイシング:発症直後や炎症がある場合は安静にして膝を冷やす 薬物療法:痛みや炎症を和らげるための鎮痛剤・湿布など 装具療法:サポーター・足底板などで負担軽減・膝の安定性を高める これらで痛みが引かない場合や、痛みが強いときは医療機関を受診しましょう。 この章では、膝の痛みを和らげるための治療法について、疾患ごとに詳しく解説していきます。 変形性膝関節症の治療 こちらの動画では、変形性膝関節症と間違われやすい膝関節周辺の疾患5選をご紹介しています。是非ご覧ください。 治療方法として以下のものがあります。 鎮痛剤 ヒアルロン注射 保存療法(リハビリ)大腿四頭筋を強化する 理学療法で可動域を改善する 膝の装具(サポーター等) 足底版 膝関節痛の原因が「変形性膝関節症」の場合には、日常生活において、膝の周囲の筋肉、特に「ふとももの筋肉(大腿四頭筋)」を鍛えて、出来る限り「正座」の姿勢を取らないように心がけましょう。 変形性膝関節症の治療は、膝関節の痛みが軽度であれば鎮痛剤を内服するあるいは湿布などの外用薬を貼付する、あるいは膝関節内にヒアルロン酸を注射する処置を実施することがあります。 それに並行して保存療法(リハビリテーション)を行います。 大腿四頭筋を強化するリハビリ訓練を受け、関節可動域を改善させるための理学療法を実践、膝を温める物理療法を試みる、あるいは膝関節にかかる負担を補助するための足底板や膝専用装具を作成するなどの工夫策を組み合わせることになります。 これらの保存的な治療でも症状が改善しない場合には関節内視鏡手術、高位脛骨骨切り術、人工膝関節置換術などを中心とした手術治療を考慮することになります。 関節リウマチ疾患の治療 関節リウマチ疾患の治療方法としては、以下のものがあります。 生活習慣の改善 タンパク質、ビタミン成分、ミネラルなどバランスの良い食生活 体重管理 抗リウマチ薬、生物製剤を用いた免疫療法 炎症所見や痛みを緩和させる非ステロイド系鎮痛消炎剤 手術による治療(滑膜切除術・人工膝関節置換術 発熱や体重減少などの全身症状を伴うことも多く、症状が活発な時期は絶対安静が必要です。 薬物療法では免疫療法や対症療法が中心となり、膝関節の機能障害が重度の場合は手術療法も検討します。 また、症状を軽減させるためには、食生活や運動習慣などの生活習慣の改善も重要です。 前十字靭帯損傷の治療 前十字靭帯損傷の治療方法としては、以下のものがあります。 保存療法(リハビリ) 装具(サポーター等) 手術 関節鏡視下手術 損傷が起こった場合は、リハビリを中心とした運動療法を中心に理学療法、装具療法等の保存療法を行います。 それでも症状が改善しない場合は、手術療法を検討することになります。 手術療法には、関節鏡視下にて行う低侵襲の手術であるため、術後の回復も早く、スポーツの場合では競技への復帰、また社会への復帰も早く見込めます。 ただし、注意点としては、靭帯損傷で適切な治療を行わないままに運動や、スポーツを継続すると半月板等、周囲の軟骨を損傷することとなりかねません。 そうなると変形性膝関節症に移行しかねない危険性があります。 まとめ|膝の痛みが示す病気の可能性と早期受診の重要性 膝関節痛の代表的な原因には変形性膝関節症、半月板損傷、前十字靱帯損傷、関節リウマチなどがあります。 これらの疾患は個人差が大きいため、症状の程度や日常生活への影響に応じた個別の治療計画が必要です。 適切な治療のためには、自身の身体状態を正しく理解し、症状や治療法について十分に理解することが重要です。 どのような症状でも早期治療が非常に重要で、痛みを放置したまま運動を続けることは症状を悪化させる恐れがあります。 膝に痛みや違和感がある場合は、迷わず整形外科クリニックや専門病院を受診して専門家に相談しましょう。 膝の痛みに対して再生医療をご検討の際は、当院「リペアセルクリニック」へお気軽にご相談ください。
2022.04.18 -
- ひざ関節
- 脊椎
- 股関節
- 肩関節
- 肘関節
- 手部
- 足部
「MRI検査って結果が出るまでの時間はどのくらいなのか」 「時間がかかるなら予定を組みたいから事前に知っておきたい」 人間ドックでも使用する機会が増えてきたMRI検査ですが、人によっては所要時間以前に検査を受けることが難しい場合があります。 本記事ではMRI検査でできる内容や、注意点について解説します。MRIを用いた検査を予定している人で、本記事で記したMRI検査の注意事項に当てはまる人は、検査の前に担当の医師に申告するための準備ができるので、ぜひ参考にしてください。 MRI検査とは MRI(Magnetic Resonance Imaging:磁気共鳴画像診断)検査とは、強力な磁場を発生させるトンネルのような装置の中で、身体の内部の断面をさまざまな方向から撮影する検査です。 MRI検査は、ベッドに横たわり検査が始まるとベッドが自動で動いてトンネルのような装置の中に入っていきます。磁場が発生するときは工事現場のような大きな音がするため、ヘッドホンや耳栓をして検査を行う場合もあります。 工事現場の音 80〜85デジベル MRI検査の音 120デシベル程度 MRI検査でわかること MRI検査は、全身の疾患について調べられますが、以下の部位における高い検査能力が特徴的です。 四肢(両手、両足) 関節軟部組織 脊椎 脳 膝 肩 子宮 卵巣 血管 など 骨や、その周辺にある軟骨の状況も精査できるほか、脳を含む頭部や骨盤内の臓器などを検査する際に使われます。 MRI検査とCT検査との違い MRI検査と同じように身体の内部を撮影する検査として「CT検査」があります。MRI検査と同様にトンネルに入って行うもので装置の見た目も似通っているのですが、大きな違いがあります。 それは「CT検査は放射線を使った検査」「MRI検査は磁場と電波を使った検査」の違いです。放射線を使わないMRI検査の方が身体への負担が少ないと考えられます。検査の原理や得意な部位の違いは以下の表でまとめました。 検査原理 得意な部位 MRI検査 磁場と電波 整形外科の主な症状 腱板損傷、腱板断裂、関節損傷、靭帯損傷、半月板損傷、頸椎症、胸椎・腰椎ヘルニア、頸椎ヘルニア、脊髄腫瘍、骨軟部腫瘍、その他 脊髄、関節、脳、骨盤腔内臓器 ※関節軟部組織の描出が得意 CT検査 放射線 骨、脳、肺、腹部 MRI検査の結果が出るまでの所要時間 MRI検査の所要時間は20~45分です。似ている検査方法のCT検査は10~15分なので、比較すると少し長い時間がかかります。身体を動かすと画質が落ちてしまうため、検査中はなるべく身体を動かさないことが重要です。 また、MRI検査の結果が出るまでの期間は、検査当日すぐに出る場合もあれば、7~10日間ほどかかる場合もあります。医療機関によって変わるため事前にご確認ください。 MRI検査当日の所要時間:20〜45分 MRI検査の結果が出るまでの期間:当日または7〜10日 MRI検査の全体的な流れ MRI検査の当日は以下の流れで検査が行われています。 受付しつつ注意事項の確認 問診完了後、検査着にお着替え 検査室に移動しMRI検査の実施 MRI検査終了後、来院時の服にお着替え お会計 MRI検査の結果は郵送でお知らせするケースが大半ですが、必ず担当医に「どのような方法で検査方法が知らされるのか」を確認しておきましょう。 MRI検査の注意点 MRI検査は、強力な磁石と電磁波を使用するので、MRIの検査室内には金属類の持ち込みを一切禁止しています。たとえば金属類が該当し、ファスナーやチャック、金属製のボタンなどが付いた服装では検査できません。 また、女性の方はホック付きのブラジャーも着用できない可能性があるため注意が必要です。その他、バッグはもちろん、携帯電話や腕時計、財布などの貴重品、身に付けているアクセサリーを含めた金属類はすべて取り外してもらうのが必須です。ヘアピンなども忘れがちですので注意してください。 医療機関では、MRI検査で検査着に着替える場合が多いため、なるべく金属が付いておらず着替えやすい服装で来院するとスムーズに検査を受けられます。 金属が付いていなくても発熱系素材の下着なども注意が必要です。 インプラントも素材によっては難しい場合があるので、入れ歯も外してもらう必要があります。 身につけてはいけないものや注意が必要なもの一覧 MRI検査当日は、以下の服装やアクセサリー類などを身につけて来院される場合は注意が必要です。 MRI検査時に注意が必要なもの一覧 身に着けてはいけないもの、注意が必要なもの ファスナー、金属ボタンのついた衣類 メイク、マニキュア(アイシャドウ、マスカラ、ネイルアートに注意) 入れ歯、(インプラントは事前相談が必要です) 腕時計、メガネ、へアピンなどのアクセサリー類 コンタクトレンズ(事前相談が必要です) コルセット系の下着、ホックが付いた下着・衣類 金属のついている服や下着 発熱保温機能付の衣料(ヒートテック等) など 体内にペースメーカーなどを埋め込んでいる人 MRI検査は、強力な磁石や電波を使うため、火傷などの事故が起こらないよう十分に気を付けなければなりません。人によっては、身体の状態や状況によってMRI検査を受けるのが難しいと判断されるケースがあります。 以下の事項に当てはまる人は、MRI検査を受けられない場合があるため注意が必要です。 体内に金属(インプラント、ペースメーカーなど)を埋め込んでいる人 手術などで体内に金属、プレートやボルトを埋め込んでいる人は、MRI検査で使用する磁石と金属が反応して検査画像の乱れや火傷の原因となる可能性があります。 金属を体内に埋め込んだ症歴がある場合は、検査を受ける前に必ず申告し「MRI検査が可能であるか」を確認しておきましょう。治療を受けた病院で、金属の種類を事前に確認を求められるケースもあります。 体内に金属類を埋め込んでいる人で注意が必要なケース一覧 心臓ペースメーカー 骨折で体内に金属が入っている 脳動脈クリップ 血管ステント挿入 人工内耳、人工中耳 脳深部刺激装置 入れ墨、アートメイク リフトアップを金糸で行った場合・ 妊娠中、または妊娠の可能性 金属片が飛び散る職場での勤務 閉所恐怖症 ※上記でもチタンを用いたら、検査を受けられる場合もあります 刺青やアートメイクをしている人 刺青やタトゥーで検査ができないケースについて不思議に思う人も少なくないでしょう。実は刺青やタトゥーの色素に鉄などの金属が含まれている場合があり、MRI検査の強力な磁石と反応すると火傷を引き起こす可能性があるからです。 アートメイクの場合も、使用される金属の量はわずかですが、ごくまれに刺青と同様に検査画像が乱れてしまいます。火傷を引き起こす可能性もあるため、同じく注意が必要となります。たとえばマグネットネイルやミラーネイルなども変色の恐れがあるので注意しましょう。 刺青やアートメイクをしている人は、MRI検査を受ける前に必ず担当医師へ申告しましょう。 閉所恐怖症/狭いところが苦手な人 MRI検査は、狭いトンネルのような空間で行われるため、狭いところが苦手な人や閉所恐怖症の人は事前に申し出るのをおすすめします。MRI検査の検査時間は、長いと40分ほど必要になるため、閉所恐怖症の人は注意が必要です。 狭いところが苦手なのを事前に伝えておけば、医療機関によってはMRI機器の明るさを調整したりできる場合があります。検査機関によっては、オープン型のMRIを使用できるので事前に確認しておきましょう。 また、我慢できない場合は検査員に知らせるためのスイッチがあるので、気持ちを楽にしてお受けください。MRI検査について不安な点があれば、たとえ些細なことであっても検査を行う前に医療機関へ相談しましょう。 メイクやコンタクトレンズを着用をしている人 MRI検査を受ける際は、通常のメイクであっても注意が必要です。メイクをしたままMRI検査を受けるのは大きなリスクが伴います。 アイシャドーやマスカラ、アイラインなどの化粧品は、種類によって金属が含まれている場合があるため、検査画像の乱れや火傷を引き起こす恐れがあります。 正しく検査を終えられるように、MRI検査が始まる前までにメイクを落としておきましょう。 コンタクトレンズ(とくにカラーコンタクトレンズ)も注意が必要です。コンタクトレンズには鉄成分が含まれている場合があるため、コンタクトレンズをつけたままMRI検査を受けると検査画像への影響や火傷の危険があります。 コンタクトレンズを使用している人はMRI検査の前に外しておくか、検査の日は眼鏡をかけて来院し、検査中は眼鏡を外すような対応を行うのが無難です。 その他食事などにおける注意事項 MRI検査で腹部や骨盤の検査をする人は「食事の制限はしておくべきか」気になる人も多いでしょう。腹部や骨盤のMRI検査では、約6時間前までに食事を済ませてもらうよう案内しています。 水の摂取に関しては、MRI検査の直前までは問題ありません。とくに骨盤のMRI検査を受ける人は、来院の1時間前までに排尿を済ませておいてもらう必要があります。仮に来院1時間を過ぎたタイミングで排尿された場合は、300ml程度の水を摂取してから検査を受けましょう。 まとめ・MRI検査と検査を受ける際の注意点を把握しておこう MRI検査の造影剤は、被ばくの危険性がないため、CT検査よりも身体に負担の少ない検査であると言われています。しかし、体内に金属を埋め込んでいる人や刺青をしている人は危険が伴うため検査が受けられない場合があることを把握しておきましょう。 メイクをしたままやコンタクトレンズを付けたままの状態でMRI検査を受けるのも大きなリスクが伴います。必ずMRI検査を受ける前に注意事項を確認しておきましょう。
2022.04.18 -
- 糖尿病
- 内科疾患
糖尿病!運動療法なら改善はもとより予防にも効果を発揮 糖尿病には、その発症状況から、いくつかのタイプがあることが判明しています。ただ、その中でも自己免疫の異常によって引き起こされる「1型糖尿病」は、完全に予防できる方法が発見されていません。 その一方で、日頃の生活習慣が関与している「2型糖尿病」、あるいは妊娠を契機に発症する「妊娠糖尿病」は生活習慣やライフスタイルを見直すことで、それらの発症自体や、症状悪化を一定の割合で回避または改善することが可能です。 そこで本稿では、この2型糖尿病について、その改善方法を記してまいります。(以下に記す「糖尿病」の表記は、2型糖尿病を指すものとします) 糖尿病は、規則正しい食生活の改善は勿論のこと、日常から意識して身体を動かすなどの運動を実践することが大切です。それにより、ストレスも発散できるように努めることが重要です。 運動を行うことにより、心身共に健やかに保つことが改善はもちろん、予防にも効果的です。以下、糖尿病を改善し、予防に有効な「運動に関する情報」を詳細に紹介してまいります。 1型糖尿病 治療、予防が難しい 2型糖尿病 妊娠糖尿病 予防が可能 生活習慣やライフスタイルを見直す 規則正しい食生活 適度な運動(ストレス発散) 糖尿病を予防し、改善に効果的な運動 運動を継続的に実行することは、食事による療法と並んで糖尿病における治療の基本となっています。 特に「2型糖尿病」における発症要因として、「肥満体形」「過食傾向」「運動不足」の関与が強く疑われており、運動することでエネルギーを消費し、ストレスも解消し、肥満を撃退できるのみならず、運動を行えば筋肉活動量が向上して「インスリン機能を改善」ずる効果を期待できます。 糖尿病の発症要因 肥満体形 過食傾向 運動不足 糖尿病の改善効果をあげるための心掛け 運動を行うタイミングについて食事を摂取した直後は、なるべく控えたほうが良いものの、食後1時間程度を経過してから行うことができれば、食事から取り込まれたブドウ糖や脂肪成分の利用を効率的に促進することができ、血糖値を有効的に下げられる可能性があります。 食後に血糖値をさげるために 食後1時間程度、経過後に運動を行う ブドウ糖、脂肪成分を効率的に促進できる 血糖値を有効的に下げられる可能性が高い 血糖値を良好にコントロールしてその状態を維持するには、運動と食事は両輪での対策が必要です。治療効果としては、どちらか一方が欠けてもうまく制御することができません。 注意したいのは、「毎日運動しているから!」という理由で、入念な食事療法を怠ることです。その反対も同じです。「食事療法しているから」と運動を避けるのは避けたいものです。 片方だけを頑張るのではなく、食事も運動も双方を取り入れて有効な予防、回復効果を目指しましょう。 運動 + 食事 = 予防、改善(どちらかに偏らないバランスが大切) 運動の方法 糖尿病の運動療法について、ダンベルや、重りなど、器具を用いて筋肉に負荷をかけるようなトレーニングジムで行う運動(レジスタンス運動)よりも、一般的で手軽にできるウォーキングや、ジョギング、水泳などの全身を使った有酸素運動が適しています。 なぜならば有酸素運動を継続して実践することでインスリンの働きがよくなり血糖値を上手く調整しやすくなるからと考えられています。 したがって、糖尿病における運動療法は、まずは運動不足を改善させる有酸素運動から始めるべきです。その上で余裕が出てくれば次のステップとして、身体に負荷をかけるレジスタンス運動を検討すれば良いと思われます。 具体的な、有酸素運動(ウオーキングやジョギング等)については、少なくとも週に3回は、一回当たり40分~60分間程度行うことが理想です。 これは通常、「糖の代謝が改善する期間」が運動してから、およそ半日から3日間前後持続することから導いたもので、血糖値を上手く制御するためには運動行為を1週間のなかで3日間は実践することが理想的だからです。 有酸素運動の実施 週に3回(一回当たり40分~60分間程度) 現在が運送不足の状態として、一念発起し、一気にやり始めるのではなく、毎日少しずつ取り組まれ、週3回、行うことを目指しましょう。無理は禁物ですがコツコツとした継続は、大きな力になってくれます。 運動の長さは、このような有酸素運動では、週当たり150分(2時間30分)以上、一回あたり50分を確保するのが理想ですが、無理は禁物です。可能な時間から徐々に行い、最終的にそうなることを目標にしましょう。継続は力です! 運動の開始時間 食事後1時間程度経過してから 効果的にするために 運動だけに偏らない、食事療法も一体で行う 運動内容 ウオーキング、ジョギング等の有酸素運動 回数 週3回を目途、間隔を3日空けない 時間 一回当たり30分~60分程度 1型糖尿病の場合には、2型糖尿病と異なってインスリンを分泌する膵臓細胞が壊れてしまうことで発症するため、インスリン機能そのものの回復を期待できるような治療効果は期待できません。 いかし、運動することで心身の健全な発達やストレス解消に貢献するため、けして無駄ではありません。 糖尿病の運動療法の効果 このような運動療法の効果は数々考えられており、運動することで血液中のブドウ糖が筋肉にとり込まれやすくなることでブドウ糖などの利用が促される結果、血糖値が下がる現象が認められます。 特に2型糖尿病では低下したインスリン機能が改善すると言われています。 また、このような運動は糖尿病のみならず、高血圧や脂質異常症の改善にも役立ち、エネルギー消費のバランスが安定化することで減量に繋がって肥満を防止することにも貢献します。 さらに運動を実行すれば加齢に伴って起こる筋肉の衰弱や、骨粗鬆症を改善できる期待を持てるばかりか、それ以外に心肺機能が高まるのみならず爽快感が向上してストレスを解消させる効果をも併せて考慮できるのです。 実際に、運動療法を実践する場合は、事前に準備運動やストレッチを丹念に行って軽い動作から開始し、徐々に運動強度を高めていくように意識しましょう。 実施にあたっては、適宜体調に合わせて、無理をしないように継続できる運動の種類を選択するように心がけましょう。 運動療法の効果 ブドウ糖が筋肉にとり込まれ血糖値が下がる 低下したインスリン機能が改善する 高血圧や脂質異常症の改善にも役立つ エネルギーの消費で肥満の防止 加齢による筋肉の改善 骨粗鬆症の改善を期待 心肺機能が高まる ストレスの解消効果 まとめ・糖尿病!運動療法なら改善はもとより予防にも効果を発揮 今回は糖尿病を予防して改善するための運動について詳しく紹介しました。 糖尿病の発症を防ぎ、症状を改善させるために運動は有効的であり、特に有酸素運動である歩行運動をする際には1日あたり1万歩以上を目標にして、1週間に少なくとも3日間以上の頻度でウォーキングエクササイズを実行することがお勧めされています。 いつでも、どこでも、一人だけでも実践しやすい歩行運動などは常日頃から多忙でまとまった時間が確保できない方でも通勤や通学中などでも行うことが可能ですし、どこまで運動強度を上げていいか不安に感じる患者さんはかかりつけ医ともよく相談してみましょう。 今回の記事の情報が少しでも参考になれば幸いです。 ▼糖尿病の合併症|最新、幹細胞治療は、以下をご覧下さい 再生医療は、糖尿病の新たな治療法として注目を浴びています ▼以下、食生活の改善についてもご参考にしていただけます 糖尿病|食事で予防、食生活のチェックや見直しで悪化や合併症を防ぐ
2022.04.15 -
- 腱板損傷・断裂
- 肩関節
「腱板断裂の手術後の再断裂の原因って何」 「腱板が再断裂しないか不安」 このような不安を抱える方は多いでしょう。 腱板断裂は断裂の範囲や手術後の負荷などによって再断裂する可能性があります。日常生活から再断裂を予防する意識が大切です。 本記事では、腱板が再断裂する原因や再断裂する確率、再断裂後の治療法について詳しく解説します。 腱板の再断裂を予防する方法も紹介しますので、腱板断裂の手術後の方や再断裂の不安がある方は、ぜひ最後までご覧ください。 腱板が再断裂する3つの原因 腱板が再断裂する主な原因は以下の3つです。 断裂が広範囲 加齢による影響 手術後の過負荷 順番に見ていきましょう。 断裂が広範囲 腱板の断裂が広範囲に及んでいる場合、修復した腱板が再び切れてしまうリスクが高まります。一般的に、断裂範囲が5㎝以上のものを「広範囲断裂」と呼びます。 広範囲断裂では、修復難易度が上がり、手術後の再断裂率が50%に達するという報告もあります。(文献1) また、断裂部分の筋肉に「脂肪変性」という、筋肉が脂肪に置き換わってしまう状態が強く現れると、腱板全体の強度が低下し、再断裂しやすい傾向が認められます。 とくに、肩を外側に回す際に重要な役割を果たす棘下筋の脂肪変性が進行しているケースでは、再断裂のリスクがより高まるとされています。 加齢による影響 年齢を重ねることも、腱板再断裂の一因となる場合があります。 加齢に伴い、腱板組織そのものの修復能力が徐々に低下するため、手術で修復しても治癒に時間がかかったり、強度が十分に回復しなかったりするケースも少なくありません。 さらに、高齢の方は栄養状態が低下している場合があり、これも再断裂リスクを高める要因です。ある研究では、手術前の栄養状態が低いと、再断裂のリスクが約5.6倍に上昇するという報告がなされています。(文献2) 良好な栄養状態を保つことは、腱板の修復を助ける大切なポイントであると考えられます。 手術後の過負荷 腱板の手術を受けた後、肩に過度な負荷がかかることも再断裂を引き起こす原因の1つです。 手術によって腱板は修復されますが、すぐに元の健康な状態に戻るわけではありません。とくに手術後間もない時期は、修復した部分の縫合がまだ不安定な状態にあります。 この時期にリハビリテーションで無理をしたり、日常生活で肩を使いすぎたりすると、修復部分の治癒が妨げられ、再断裂につながる可能性が高まります。 腱板が再断裂する確率【なりやすい時期も紹介】 腱板の手術後、修復した腱板が再び断裂してしまうケースは、一定の確率で起こります。 手術後の再断裂率は約16%であり、断裂が広範囲だった場合、再断裂率は50%にのぼるという報告も見られます。(文献1) 再断裂が起こりやすいのは、手術を受けてから間もない期間です。修復された腱板の強度がまだ十分でない手術後6カ月間は、とくに注意が必要な期間と言えるでしょう。 リハビリテーションの期間の目安としては、日常生活への復帰であれば手術後2〜3カ月程度、スポーツや重労働といった肩へより大きな負担がかかる活動への復帰は、6カ月程度が1つの目安とされています。 もちろん、これは個々の状態や断裂の程度によって異なります。このリハビリテーション期間中は、修復した腱板に過度なストレスをかけないよう、医師や理学療法士の指導をしっかりと守り、焦らず慎重に肩をいたわる生活を心がけることが大切になります。 腱板の再断裂で見られる症状 腱板が再断裂してしまうと以下のような症状が現れます。 肩の痛みと可動域制限 肩の筋力低下 肩を動かしたときの異音 どれも初回の腱板断裂時と似たような症状です。初めて腱板断裂になったときと同様の症状を感じたら、病院受診を検討してみましょう。 肩の痛みと可動域制限 再断裂が起こると、肩の痛みが再び現れる場合があります。この痛みは以下の3種類に分けられるのが特徴です。 安静時痛:じっとしているときもズキズキと続く痛み 運動時痛:肩を動かしたときに鋭く走る痛み 夜間痛:夜間に強くなる痛み とくに夜間痛は、再断裂した側の肩を下にして寝ていると圧迫されて痛みが強くなり、睡眠を妨げることも少なくありません。 運動時の痛みは、腕を高く持ち上げようとしたり、後ろに回したりする動作で顕著になります。このような痛みによって、肩を動かせる範囲(可動域)が狭くなり、生活の中で不便を感じる場面が増える傾向が見られます。 肩の筋力低下 腱板は肩関節を安定させ、腕を動かす重要な筋肉群です。再断裂すると、肩や腕の筋力が弱まり、日常生活で力が入らないと感じるようになります。 具体的には、以下のようなケースが起こりえます。 物を持ち上げようとしても力が入らない 腕を上げた状態でキープするのが難しい 腕全体に力が入らない脱力感を覚える このような筋力低下は、腱板そのものが断裂してうまく力を伝えられなくなるだけでなく、断裂によって肩関節の安定性が損なわれることも要因の1つです。 関節が不安定になると、周囲の筋肉が正常に機能しにくくなり、結果として肩全体の力の低下につながるのです。 肩を動かしたときの異音 腱板が再断裂すると、肩を動かした際に「ゴリゴリ」「ポキポキ」あるいは「ジョリジョリ」といった異音を感じるケースがあります。これらの音は、医学的には轢音(れきおん)と呼ばれます。 この異音が発生する主な原因は、断裂してしまった腱板の断端やささくれた部分が、肩を動かすことによって関節内の骨や組織と擦れ合ったり、引っかかったりするためです。 とくに腕を上げ下げしたり、回したりするような動作の際に、肩の奥で何かが擦れるような、あるいは引っかかるような感触と共に音が聞こえます。 ただし、肩の関節は複雑な構造をしており、異音が発生する原因は腱板断裂だけではありません。 そのため、音がするからと言って必ずしも再断裂を意味するわけではないのですが、他の症状と共に異音が気になる場合は、専門医へ相談しましょう。 腱板が再断裂した際の治療方法 腱板が再断裂した際は以下の治療法が用いられます。 保存療法 手術療法 再生医療 治療方法を知ることで不安の軽減につながります。 保存療法 一般的に、外傷によって腱板断裂を認めた際には、三角巾で数週間安静を保ちます。断裂部そのものが完全に修復治癒する場合はないものの、約7割は症状が軽快すると考えられているのが一般的です。 仮に腱板断裂に加えて肩関節周囲炎を合併し、強い夜間痛を認めた場合には、炎症を抑制する副腎皮質ホルモンと鎮痛作用を有する麻酔剤を肩峰下滑液包に局所的に注射して症状推移を経過観察します。 断裂部以外の健常に残っている腱板機能を活性化させることが重要となります。このような腱板機能をリハビリ訓練する手段は有効と考えられるでしょう。 また、ストレッチ運動で腱板断裂の完全な治癒は期待できませんが、関節の可動域を良好にする、あるいは腱板周囲の筋肉群の緊張を和らげて肩の痛みを軽減させる効果が期待できます。 手術療法 保存療法で肩の痛みや動きが改善しない場合、関節鏡視下手術や直視下手術を検討します。関節鏡視下手術は身体への負担が軽く術後の痛みも少ないですが、断裂が大きい場合は直視下手術が選ばれる場合もあります。 腱板断裂は治療後に再断裂する可能性があり、縫合した糸と組織の摩擦が原因です。再断裂すると損傷が広がり修復は難しく、再手術の精神的負担も大きいため、術後の再発予防は重要になります。 手術方法に関わらず、再断裂を防ぐには術後約1カ月の患部固定が不可欠です。装具で固定するため、日常生活は大きく制限されます。長期固定で肩が固まる関節拘縮が起こりやすいため、防ぐには数カ月のリハビリ継続が大切です。 再生医療 腱板の再断裂に対して再生医療も選択肢の1つです。再生医療は、ご自身から採取した幹細胞を患部に注射する治療法であり、入院が不要です。 糸で縫い合わせる治療ではなく、注射による治療のため再断裂のリスクが少なくなります。また、長期間の固定を必要としないため日常生活への影響も最小限で済みます。 腱板断裂の治療において、再断裂のリスクを抑えたい場合は、再生医療も検討してみましょう。 こちらの動画でも詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。 https://www.youtube.com/watch?v=bKupVfsXpHM 腱板断裂(再断裂)を予防する方法 腱板が断裂するのを予防するには以下の方法があげられます。 手術前の栄養状態を改善する 日常生活で肩に負荷をかけないようにする 専門家指導のもと正しいリハビリをおこなう 難しいことではないので、1つずつ意識していきましょう。 手術前の栄養状態を改善する 手術を受ける前から、体の状態を整えておくことは、スムーズな回復と再断裂リスクの低減につながります。とくに高齢の方の場合、手術前の栄養状態が良好であるほど、手術後の再断裂リスクが低下するという報告もあります。(文献2) 私たちの体は、食べたものから作られています。腱や筋肉といった組織の修復には、タンパク質をはじめ、ビタミン、ミネラルなど、さまざまな栄養素が不可欠なものです。 手術に向けて、日頃から主食・主菜・副菜のそろった栄養バランスの整った食事を心がけ、体に十分な栄養を補給しておくことが大切です。栄養状態を良好に保つことは、手術に備え、回復力を高めるための重要な準備と言えるでしょう。 日常生活で肩に負荷をかけないようにする 腱板断裂は、肩への繰り返しの負担や、一度に大きな負荷がかかることで発生しやすい状態にあります。そのため、初回の断裂予防はもちろん、手術後の再断裂を防ぐためにも、日常生活での肩への配慮が欠かせません。 具体的には、重い物を持つ動作は、肩関節や腱板に大きな負担を強いるため、できる限り避けるべきです。また、腕を急に高く上げる、手を体の後ろに回して物を取る、といった動作も、修復した腱板に予期せぬストレスを与える可能性があります。 日常生活の中で、肩に負荷をかけすぎないよう意識し、無理のない動作を心がけることが予防の第一歩となります。 専門家指導のもと正しいリハビリをおこなう 手術後のリハビリテーションは、肩の機能回復と再断裂予防のために非常に大切になります。 しかし、焦って頑張りすぎたり、自己流で過度なトレーニングをおこなったりすると、修復途中の腱板に負担がかかり、かえって再断裂のリスクを高めてしまう場合も少なくありません。 リハビリは、手術後の時期や肩の状態に合わせて慎重に段階を踏んで進める必要があり、リハビリの内容は以下のように多岐にわたります。 可動域を広げる練習 筋力を回復させるトレーニング 肩の安定性を高める運動 医師や理学療法士といった専門家は、個々の回復状態を評価し、リハビリプログラムを計画・指導してくれます。 その指示にしっかりと従い、正しい方法でリハビリに取り組むことが、回復への着実な方法であり、再断裂を防ぐためのポイントです。 腱板の再断裂の原因を理解して予防しよう 腱板の再断裂は、約16%の確率で発生します。その原因として、広範囲の断裂、加齢による腱板組織の機能低下、手術後の過度な負荷などが挙げられ、とくに広範囲に断裂が及んでいる場合、再断裂率は約50%に達することもあるのです。 再断裂が起こると、肩の痛み、可動域の制限、筋力低下といった、腱板断裂時と同様の症状が現れます。 腱板の再断裂を防ぐためには、専門家の指導に基づいたリハビリと、日常生活で手術した側の肩に負担をかけすぎないように注意が必要です。 万が一、腱板が再断裂してしまった場合、保存療法や手術療法が主な治療法となります。しかし近年では、再生医療も選択肢の1つとして考えられるようになりました。 腱板の再断裂は予防可能なので、原因をよく理解し、再断裂を招かないよう注意深く生活しましょう。 参考文献 (文献1) 北原 博之, 矢部 嘉浩, 乗松 崇宏, 安達 信二, 瀬良 敬祐「鏡視下腱板修復術後の再断裂の検討」整形外科と災害外科 59巻 4号 pp713~716 2010年 https://www.jstage.jst.go.jp/article/nishiseisai/59/4/59_4_713/_article/-char/ja/ (最終アクセス:2025年5月14日) (文献2) 設楽仁「高齢者における肩腱板断裂手術後の再断裂:術前の栄養状態が鍵〜手術前の栄養状態が低いと、再断裂リスクがおよそ 5.6 倍〜」Journal of Bone and Joint Surgery 2024年 https://www.med.gunma-u.ac.jp/wp-content/uploads/2024/09/press_R060905.pd (最終アクセス:2025年5月14日)
2022.04.14 -
- 足底腱膜炎
「足底筋膜炎って何日休めば良いの」 「足の痛みをなんとかしたいけど、どんな治し方があるの」 このような不安を抱える方は多いでしょう。 足底筋膜炎は、ランニングなどのスポーツや長時間の立ち仕事などで足裏に負担がかかることで発症し、休養期間は症状の軽重によって数日から数カ月と大きく異なります。 本記事では、足底筋膜炎の症状に応じたスポーツや仕事を休むべき期間の目安、そしてその治し方について詳しく解説します。 原因や休養中にやってはいけないことも紹介しますので、足底筋膜炎で何日休むべきか悩んでいる方は、ぜひ最後までご覧ください。 足底筋膜炎でスポーツや仕事を休む期間は症状の度合いで変わる 足底筋膜炎は、スポーツや仕事などで足裏に過度の負担が継続的にかかることで発症します。主な症状は、踵(かかと)から足裏にかけて、とくに踏み込んだ際や動き始めに生じる痛みです。 スポーツや仕事を休む期間は、症状の程度によって異なります。軽度であれば、数日から1週間程度の安静とセルフケアで改善する場合が多く見られます。 しかし、痛みが強く日常生活に支障が出る中等度から重度では、1週間から数週間、ときには数カ月以上の休養と治療が必要となる場合も少なくありません。 症状が長引く際は、医療機関を受診し、医師の指示に従うことが大切になります。 スポーツや仕事復帰を早めたい患者様には、入院を必要としない再生医療の選択肢もあります。 再生医療を提供する当院では、メール相談、オンラインカウンセリングを承っておりますので、ぜひご活用ください。 足底筋膜炎の休養中にやってはいけないこと 足底筋膜炎の休養中は以下のようなことはおこなってはいけません。 無理な運動 サイズの合わない靴の着用 自己判断での冷却や温熱 症状が悪化し、重症化してしまう可能性があります。 注意すべきポイントを詳しく見ていきましょう。 無理な運動 足底筋膜炎の休養中は、炎症を悪化させる可能性があるため、無理な運動は禁物です。 具体的には、以下のような踵に集中的かつ反復的な負荷がかかる運動は避けましょう。 ジャンプ ダンス 長距離走 痛みを我慢して運動を続けると、症状の悪化や慢性化につながる可能性があります。 しかし、まったく運動しないのも関節が硬くなったり、かえって痛みが再発したりする原因となるため、推奨できません。医師の指示のもと、軽いウォーキングやストレッチなど、足裏に負担の少ない運動から様子を見ながらおこなうのが良いと考えられます。 運動を再開する際は、必ず専門家のアドバイスを受け、徐々に負荷を上げていくように心がけてください。 サイズの合わない靴の着用 足底筋膜炎の治療中や予防において、靴選びは重要なポイントです。サイズの合わない靴を履くと、足底筋膜に余計な負荷がかかり、症状を悪化させる原因となります。 大きすぎる靴は靴の中で足が動いてしまい、安定性が損なわれ負担が増します。反対に小さすぎる靴は、足を圧迫し血行不良を招く場合も少なくありません。 また、ビーチサンダルやハイヒールといった不安定な履物は、足裏を十分に支えられず、足底筋膜への負担を増大させます。 クッション性が低く、靴底の薄い硬い靴も、地面からの衝撃が直接足裏に伝わりやすいため注意が必要です。ご自身の足のサイズや形に合った、適切なクッション性とサポート力のある靴を選びましょう。 自己判断での冷却や温熱 足底筋膜炎の痛みに対して、冷却や温熱療法は有用な場合がありますが、自己判断でおこなうと思わぬ症状の悪化を招く可能性があります。 一般的に、足底筋膜炎はかかと周辺の炎症を伴うため、運動直後や炎症が強く熱感がある場合は、患部を冷やすことで炎症を抑え、痛みを和らげることにつながる場合があります。 一方で、慢性的な痛みや、炎症がそれほど強くない場合には、温めることで血行が促進され、筋肉の緊張が和らぎ症状が改善するという専門家の意見も少なくありません。 このように、冷やすべきか温めるべきかは、症状の時期や状態によって異なり、一律の見解は示されていません。 どちらが適切かを見極めるのは難しいため、自己判断は避け、まずは医療機関を受診し、医師や理学療法士など専門家のアドバイスを受けましょう。 足底筋膜炎の治し方 足底筋膜炎に対する治療は、以下の5つが適用されます。 保存療法 薬物療法 リハビリテーション 装具療法 再生医療 順番に解説します。 保存療法|安静やテーピングなど 足底筋膜炎の治療は、リハビリを中心とした理学療法での治療が基本となります。まずは症状が軽くなるまでは安静にしてください。 スポーツはもちろんのこと、長距離の歩行や、長い時間、立っていることも避けねばなりません。その他、必要があればテーピングなどを行うことで患部の負担軽減を目指します。 薬物療法|湿布やステロイド注射など 患部に炎症がある場合は、消炎鎮痛剤の塗布や、湿布で炎症を抑えて症状の改善を待ちます。また、痛みが強い場合は、和らげるために鎮痛剤の服用も有効ですが長期間での使用は胃に負担がかかるため、ご注意ください。 その他、治療上の注意点として、患部へのステロイド注射を行うことがありますが、易感染性や血糖値の上昇などの副作用の心配もあり、長期間にわたって頻繁に行うことは回避すべきです。 リハビリテーション|ストレッチや物理療法など 症状が重篤でなければ、通常は数か月程度で症状が軽快するとされています。リハビリで重要となるのは筋膜の柔軟性を向上させることです。 そのためには足底腱膜だけでなく、それに続くアキレス腱やハムストリング、下腿三頭筋を含めた柔軟性の確保を目指しストレッチを中心にアプローチします。 このようなリハビリを用いた治療法は、ステロイド注射のように明らかな即効性は見られませんが長期的なスパンで見ていただくと非常に有効です。 なお、こういったリハビリは、低周波による電気療法や超音波を用いた療法、レーザー照射などといった物理療法を組み合わせるのが一般的です。 装具療法|靴選びやインソールの使用など 足底筋膜炎の治療では、靴選びも重要になります。 靴を履く際は自分の足の形に適したクッション性の優れた靴を選択すると共に着地する際の衝撃を少しでも緩和できるよう、衝撃を吸収できるインソールを挿入するなどで足底筋膜部にかかるストレスを和らげる対策を取りましょう。 インソールとは、靴底に敷くことで足底のアーチ形状を解剖学的に補正し、足のアライメントを調整し改善するものです。そのため、個人に合わせてオーダーメードで作成します。 以上のような薬剤やリハビリ、インソールを中心とした保存的治療で症状が改善しないケースにあっては、根治的な手術療法が考慮されることになります。 再生医療|PRP治療など 足底筋膜炎の治療における選択肢として、再生医療の1つであるPRP(多血小板血漿)療法があります。この治療法は、患者様ご自身の血液を採取し、その血液から血小板を多く含む成分を抽出して作製したPRPを、患部に注射するものです。 PRP療法は、日帰りで行われることが多い治療法です。ご自身の血液を用いるため、アレルギー反応などのリスクは一般的に低いと考えられています。 どのような治療法が適しているかは、症状や状態によって異なりますので、詳細については医師にご相談ください。 再生医療について詳しく知りたい方は、メール相談やオンラインカウンセリングで当院へお気軽にお問い合わせください。 足底筋膜炎は何日休むか把握した上で治療を進めよう 足底筋膜炎でスポーツや仕事を休む期間の目安は、症状の度合いによって異なり、軽度であれば数日から1週間程度、中等度以上では数週間から数カ月以上です。 ただし、これらはあくまで目安であり、大切なのは医師の診断に基づいた適切な期間、安静を保つことです。 自己判断せずに専門医に相談し、症状に合った治療法の選択が回復への近道です。休養中は無理な運動を避け、足に合った靴を選ぶなど、足底筋膜への負担を減らす工夫も重要になります。 治療法には保存療法からリハビリテーション、薬物療法、そして再生医療(PRP治療など)といった選択肢があり、医師と相談しながら進めていきましょう。 足底筋膜炎と休養に関するよくある質問 足底筋膜炎と足底腱膜炎の違いはなんですか? 「足底筋膜炎」と「足底腱膜炎」は、一般的に同じような足の裏の痛みを指す疾患として扱われることが多く見られます。厳密にいうと、「筋膜」は筋肉を包む膜を指し、「腱膜」は腱が膜状に広がったものを指すため、炎症が起きているとされる組織の名称が異なります。 しかし、実際にはこれらの組織は密接に関連しており、炎症がどちらか一方に限定されるとは限らないため、臨床現場では両者を厳密に区別せずに「足底筋膜炎」または「足底腱膜炎」と呼ぶことが少なくありません。 大切なのは名称の違いよりも、症状を正確に把握し、適切な治療を受けることです。 足底筋膜炎のときは歩かないほうが良いですか? 足底筋膜炎の症状がある場合、とくに炎症が活発な急性期には、無理に歩くことは避けて安静を保つことが基本です。歩行によって足底筋膜に繰り返し負荷がかかると、炎症が悪化し、回復が遅れる可能性があります。 ただし、長期間にわたってまったく歩かない、動かないのも問題が生じることがあります。たとえば、足や下半身の血行が悪くなったり、筋力が低下したり、関節が硬くなったりするかもしれません。 そのため、症状が少し落ち着いてきたら、医師や理学療法士の指示に従い、足裏に負担の少ない軽いウォーキングや、足首や足指のストレッチなどから徐々に活動を再開していくのが一般的です。自己判断で無理をせず、専門家のアドバイスを受けながら慎重に進めましょう。 足底筋膜炎は痩せたら治るって本当ですか? 体重を減らすことが足底筋膜炎の症状緩和につながる可能性はありますが、痩せるだけで必ず治る保証はありません。 確かに、体重が増加すると、立っているときや歩行時に足裏にかかる負担が大きくなるため、体重過多は足底筋膜炎の一因となり得ます。 しかし、足底筋膜炎の原因は体重だけでなく、以下のような要因が複雑に絡み合っています。 長時間の立ち仕事やスポーツによる使い過ぎ 合わない靴の着用 足のアーチの異常 ふくらはぎやアキレス腱の柔軟性低下 足裏の筋力低下 体重管理は有効なアプローチの一つですが、それ以外の原因にも目を向け、ストレッチや適切な靴選び、筋力トレーニングなどを総合的に行うことが治療や再発予防には重要です。
2022.04.14 -
- 腰椎椎間板ヘルニア
- 脊椎
- 腰部脊柱管狭窄症
- 脊椎、その他疾患
腰から足にかけての激痛やしびれの症状が出る坐骨神経痛は、悪化すると「死ぬほど痛い」と感じる人は多く、腰痛の中でも日常生活に支障をきたすことが多いです。 痛みの改善には手術しかないと考える方もいるかもしれませんが、坐骨神経痛は薬物療法やリハビリなどの手術を行わない保存療法で症状が緩和する可能性があります。 また、リペアセルクリニック坂本理事長のYouTubeでも坐骨神経痛について解説していますので、あわせてご確認ください。 「死ぬほど痛い」と感じるほど重症の坐骨神経痛は、適切な治療を受けないと歩行困難になる可能性もあります。 深刻な痛みで不安がある方は、ぜひお電話でご相談ください。 今までは手術によって痛みやしびれを取る治療が一般的とされてきましたが、近年では神経損傷を改善する可能性がある治療法として再生医療が注目されています。 「坐骨神経痛が死ぬほど痛いからなんとかしたい」という方は、どんな些細なことでもお気軽にご質問くださいね! ▼まずは電話で無料相談 >>今すぐ電話してみる 坐骨神経痛の辛い痛みを和らげる7つの治療法 坐骨神経痛の辛い痛みを和らげるための治療法は主に以下の7つです。 痛みを緩和する薬物療法 神経ブロック療法 筋肉をほぐす理学療法とリハビリ 認知行動療法 装具療法 重度の場合に行われる手術療法 再生医療 自分にあった症状に合わせて、治療法も検討していきましょう。 痛みを緩和する薬物療法 坐骨神経痛の痛みに対して、まず試される治療法が薬物療法です。痛み止めや炎症を抑える薬を服用することで、辛い症状を和らげる効果が期待できます。 最初は市販の痛み止めから始め、症状が重い場合は医師が処方する鎮痛剤や抗炎症薬を使用するケースもあります。 薬には副作用のリスクもあるため、自己判断での服用は避けて必ず医師に相談しましょう。 ▼神経損傷の治療に再生医療が注目 >>【無料】公式LINE限定の再生医療ガイドブックを見てみる 神経ブロック療法 痛みの原因となっている神経に直接アプローチするのが神経ブロック療法です。 局所麻酔薬を注射して、痛みを伝える神経の働きを一時的に抑制します。 神経ブロック療法は、比較的即効性があり重度の痛みにも効果を期待できるのが特徴です。 また、効果の持続時間には個人差があり、数時間から数カ月以上継続する方もいます。(文献1) 筋肉をほぐす理学療法とリハビリ 理学療法により、坐骨神経周辺の筋肉をほぐし血行を改善するのも、坐骨神経痛に効果が期待できます。 理学療法を受ける場合は、専門家の指導のもとストレッチや運動療法を行います。温熱療法やマッサージなども組み合わせることで、こわばった筋肉がリラックスし痛みの軽減につながるでしょう。 また、リハビリでは痛みの少ない範囲で軽い運動から始め、徐々に負荷を上げていく段階的なプログラムを実施します。 自宅でも医師や理学療法士の指導のもと、簡単なストレッチや運動を続けることで、より早い回復が期待できます。 認知行動療法 認知行動療法とは、物事の考え方・捉え方や行動に働きかけてストレスを軽減する治療法です。 専門家との定期的な面談を通じて、痛みと上手に付き合うコツを学びます。また、リラックス法や呼吸法なども取り入れるとより効果的です。 継続的な取り組みが必要ですが、痛みへの不安が軽減されることで生活の質の向上も期待できます。 装具療法 坐骨神経痛が辛いときは、腰椎を安定させて痛みを和らげるために、コルセットなどの装具を使用することがあります。 ただし、長期の装着は体力低下を引き起こす可能性があるため、医師に相談しながら、使用期間は1カ月程度を目安に調整しましょう。 装具の使用で痛みが改善したら、徐々に体を動かし筋力の回復を目指すのがおすすめです。 重度の場合に行われる手術療法 保存的治療で改善が見られない重症例では、神経を圧迫している椎間板や骨を取り除き、症状の改善を目指す手術療法が検討されます。 近年は、内視鏡手術など身体への負担が少ない手術方法も発達してきており、比較的早い段階で退院や日常生活への復帰ができる傾向があります。 ただし、手術にはリスクも伴うため慎重な判断が必要ですので、医師と十分に相談し手術の必要性を見極めましょう。 再生医療 再生医療とは、患者さま自身の細胞を利用して損傷した組織の再生・修復を促進する治療法のことです。 患者さま自身の細胞を使うため、拒絶反応やアレルギー反応などの副作用リスクが少ない点も魅力の一つといえるでしょう。 手術せずに損傷した坐骨神経の症状改善に期待できる新たな選択肢として再生医療が注目されています。 「坐骨神経が死ぬほど痛くて日常生活もままならない」という方は、ぜひ再生医療による治療をご検討ください。 当院の公式LINEでは、坐骨神経痛の痛み症状が改善できる可能性がある再生医療の治療法についてご覧いただけます。 ▼LINEでしか見られない限定情報を配信中 >>【公式LINE限定】再生医療に関する情報を見てみる そもそも坐骨神経痛とは?辛い3つの症状 坐骨神経痛とは、体の中で最も太い神経である坐骨神経に沿って痛みが走る症状です。 主な症状としては以下3つが挙げられます。 腰から足先にかけての鋭い激痛やしびれ お尻から脚にかけての持続的な痛み 座位や歩行で悪化する下半身の違和感や麻痺感 人によって症状は異なりますが「死ぬほど痛い」と表現されるケースもあり、日常生活に支障をきたすほどの痛みもあります。 本章では、坐骨神経痛の主な症状を解説します。 腰から足先にかけての鋭い激痛やしびれ 坐骨神経に沿って走る電気が走るような鋭い痛みは、最も特徴的な症状の1つです。 突然襲ってくる激痛は、まるで雷に打たれたかのような衝撃を伴います。多くの方が「今まで経験したことのない痛さ」と表現するほどです。 さらに、痛みの強さは時間帯や動作によって変化し、夜間に悪化する場合もあります。 もしも我慢できないほどの痛みに襲われたら、すぐに医療機関での受診をおすすめします。 お尻から脚にかけての持続的な痛み 坐骨神経痛特有の「ズキズキ」「ジンジン」した痛みは長時間続くのが特徴です。 お尻から太ももの裏側、ふくらはぎにかけて痛みが持続し、座る姿勢がとくにつらくなります。 また、痛みで姿勢が崩れてさらに症状が悪化する可能性もあるため、早期の段階で適切な治療を受けて慢性化を防ぎましょう。 座位や歩行で悪化する下半身の違和感や麻痺感 座っているときや歩行時に増す「違和感や麻痺感」も見逃せない重要な症状です。 たとえば長時間の座位で痺れが強くなったり、歩行時にふらつきを感じたりする場合もあります。 また、日常生活での何気ない動作が困難になり、仕事や家事に支障も出てきます。そのため、症状の進行を防ぐためにも、早めの対策と生活習慣の見直しが重要です。 坐骨神経痛の主な原因3選! 坐骨神経痛の代表的な原因は以下の3つが挙げられます。 椎間板ヘルニア 脊柱管狭窄症 加齢や筋力低下 主な原因を理解してから適切な治療法を選択できます。 ここでは症状との関連性や予防法を含めて詳しく解説します。 椎間板ヘルニア 椎間板ヘルニアとは「加齢」や「日常的に腰部に負担をかける」ことにより、クッション役である椎間板が飛び出し神経を圧迫する症状です。 デスクワークが多い30〜50代の方が発症しやすく、座っているだけでも激痛に襲われるケースもあります。 早期発見・早期治療が重要であり、適切な治療を受ければ多くの方が症状改善を実感できます。 また、腰椎椎間板ヘルニアの詳しい症状や重症度が気になる方は以下の記事もチェックしてみてください。 脊柱管狭窄症 脊柱管狭窄症は、年齢とともに脊柱管が狭くなり、神経が圧迫される症状です。 とくに50代以降の方に多く見られ、立ち仕事や長時間の歩行で症状が悪化します。 また、前かがみで痛みが和らぎ、背筋を伸ばすと痛みが強くなるのが特徴です。 しかし、多くの場合が適切な治療と生活習慣の改善で症状をコントロールできます。 脊柱管狭窄症で注意すべきポイントや、症状と治療法については以下の記事も参考にしてみてください。 加齢や筋力低下 加齢による筋力低下も坐骨神経痛の原因の1つです。 腰回りの筋肉が衰えると、背骨を支える力が弱まり神経への負担が増加するため、日常生活での些細な動作で激痛が走ることもあります。 しかし、正しい運動習慣と筋力トレーニングの継続で症状の改善や予防が期待できます。 また、加齢や筋力低下で気になる症状があれば「メール」や「オンラインカウンセリング」でのご相談も受け付けておりますので、お気軽にお問合せください。 坐骨神経痛の予防法とセルフケア 坐骨神経痛の痛みは日々のケアで和らげることができます。 ここでは、痛みに悩まされている方にも効果的な3つの予防方法をご紹介します。 日常的にできる簡単なストレッチ 正しい姿勢を保つための意識づけ 適度な運動で筋力を強化する 継続的に行うと辛い症状の改善や予防に期待できるでしょう。 日常的にできる簡単なストレッチ 朝晩5分から始められるストレッチで、硬くなった筋肉をほぐしていきます。 とくに効果的なのが、仰向けで行う膝抱えストレッチです。 背中を床につけ、片膝を胸に向かってゆっくり引き寄せます 反対側の足はまっすぐ伸ばしたまま30秒キープ 左右2セットずつ行うのがおすすめです。 無理のない範囲で継続していると、徐々に筋肉の柔軟性が高まり痛みの予防につながります。 正しい姿勢を保つための意識づけ 猫背やストレートネックは坐骨神経痛の原因になりやすいため要注意です。 デスクワークが多い方は背筋を伸ばし、足裏を床につけた姿勢を心がけましょう。 長時間同じ姿勢も避けたいポイントですので、1時間に1回は立ち上がって軽く体を動かすことをおすすめします。 正しい姿勢を保っていれば、神経への負担が軽減され痛みの予防に効果的です。 適度な運動で筋力を強化する 急激な運動は逆効果ですが、適度な運動は予防にも効果的です。 ウォーキングや水中歩行から始めるのがおすすめで、とくに体幹を鍛えると腰への負担が軽減されます。 まずは1日10分からでもOKですので、徐々に時間を延ばして体を強化していきましょう。 まとめ|死ぬほど痛い坐骨神経痛は適切な治療法で改善しよう 坐骨神経痛の痛みは確かに辛いものですが、適切な治療とケアで改善に期待できます。まずは専門医に相談し、あなたに合った効果的な治療を検討してみてください。 治療には薬物療法や神経ブロック、リハビリなど症状に合わせて選択できます。 本記事を参考に簡単なセルフケアも取り入れつつ、日常的に予防も意識してみてください。 近年の治療では、手術をしない新たな選択肢として「再生医療」が注目されています。 痛みでできなかったことが再びできるようになる可能性がある再生医療について「どのような治療を行うか」ぜひお問い合わせください。 ▼まずは電話で無料相談 >>今すぐ電話してみる 坐骨神経痛が死ぬほど痛いときによくある質問 Q:坐骨神経痛と間違える病気はありますか? 坐骨神経痛に似た症状に「梨状筋症候群」や「変形性股関節症」があげられます。 いずれも神経損傷や関節軟骨がすり減ってしまい従来の治療では元に戻らないと言われています。 しかし、近年では損傷した神経や関節軟骨に対して再生医療による治療も選択肢の一つです。 今まで元に戻らないとされていた神経や組織の改善が期待できる治療法なので、この機会にぜひ知っておきましょう。 ▼神経損傷の治療に再生医療が注目 >>【無料】公式LINE限定の再生医療ガイドブックを見てみる Q:坐骨神経痛でやってはいけないことは何ですか? 坐骨神経痛の症状を悪化させないために、主に以下の動作が挙げられます。 長時間の同じ姿勢 無理な運動 重いものを持ち上げる とくに急激な動きや、ねじる動作は症状を悪化させる原因となります。 また、坐骨神経痛でやってはいけないことについては、以下の記事でさらに詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。 参考文献一覧 文献1 日本ペインクリニック学会_第Ⅰ章 ペインクリニックにおける神経ブロック
2022.04.13 -
- ひざ関節
- 膝の内側の痛み
- 変形性膝関節症
- 膝の慢性障害
鵞足炎と変形性膝関節症は、膝の似たような部位に痛みを引き起こしますが、発症の原因や症状の進行度が異なります。 鵞足炎は主に筋肉の炎症によるもので、変形性膝関節症は軟骨がすり減ることで発症する疾患です。 適切な治療を進めていくためには、それぞれの違いを理解しておくことが大切です。 本記事では、鵞足炎と変形性膝関節症の違いをわかりやすく解説します。セルフチェック方法や具体的な治療法も紹介しているので、参考にしてみてください。 鵞足炎と変形性膝関節症の違い まずは、「鵞足炎」と「変形性膝関節症」がどのような疾患なのかを確認しましょう。それぞれの特徴を理解した上で、両者の違いを詳しく見ていきます。 鵞足炎とは|膝付近の鵞足部で起こる炎症 膝の内側にある鵞足部で発生する炎症が、鵞足炎です。 過度のスポーツ活動や運動をすると、膝の負担が増え、炎症が生じやすくなります。 この炎症は主に、鵞足部にある「滑液包」もしくは筋肉で起きており、膝を酷使することで発症しやすくなります。 主な症状は以下のとおりです。 膝関節の少し下に圧痛がある 関節部分の腫れを伴うことがある 骨の変形は基本的には認められない のちほど解説する治療法を進めれば、症状の軽減や再発予防が可能です。 変形性膝関節症とは|膝軟骨のすり減りによって発症する疾患 膝の軟骨がすり減ることで発症する疾患が、変形性膝関節症です。 加齢や肥満が影響しやすく、関節に強い痛みを引き起こす病気です。 症状が進むと膝の動きに支障をきたし、日常生活にも影響を与えます。 主な症状は以下のとおりです。 階段の昇り降りで膝に痛みがある 膝関節が強ばり違和感が増す 関節が変形し硬くなって曲げ伸ばしに支障をきたす 発症の原因は加齢や肥満以外に、靱帯損傷や半月板損傷、骨折などの外傷による影響も考えられます。 進行すると平地での歩行にも痛みを伴うほか、化膿性関節炎の後遺症として発症する場合もあるため、早期治療が大切です。 なお、変形性膝関節症の治療法には「再生医療」の選択肢が挙げられます。損傷を起こしている膝関節に幹細胞を注入するだけで、傷ついた組織の再生に導きます。 再生医療について詳しく知りたいという方は、無料のメール相談、オンラインカウンセリング も承っておりますので、お気軽にお問い合わせください。 【関連記事】 変形性膝関節症の初期症状とは?原因や治療方法もわかりやすく解説 変形性膝関節症の原因、スポーツから発症するリスクについて 鵞足炎と変形性膝関節症の違いを表で比較 鵞足炎と変形性膝関節症は、どちらも似たような部位に痛みを生じるため、混同されやすい疾患ですが、発症の原因や症状、治療方法には違いがあります。 以下の表に鵞足炎と変形性膝関節症の違いをまとめました。 鵞足炎 変形性膝関節症 原因 筋肉の炎症 ・軟骨のすり減り ・加齢 ・肥満 など 発症部位 膝関節の内側付近(鵞足部) 膝関節 主な症状 ・膝関節の少し下に圧痛・関節部分の腫れ ・骨の変形は基本的に認められない ・膝関節の違和感や強ばり ・階段の昇り降りでの痛み ・関節の変形による可動域の狭まり 主な治療 ・運動制限(膝のオーバーユースを避ける) ・足のねじれ調整 ・体重管理 ・筋力トレーニング ・鎮痛剤、湿布 ・関節内の水を抜く 予防法 過度な運動を避け、膝の負担を軽減する ・体重を増やしすぎない ・膝周囲の筋力を維持する 膝の痛みを感じた際は、それぞれの特徴を理解し、適切な対処を心がけましょう。 鵞足炎と変形性膝関節症のセルフチェック表 ここでは「鵞足炎」と「変形性膝関節症」それぞれのセルフチェック表を紹介します。 当てはまる項目が多い場合は、各疾患を発症している可能性を視野に入れましょう。 【鵞足炎のセルフチェック表】 階段の上り下りで膝の内側に痛みを感じる 正座やあぐらをかいたときに痛みが強くなる 安静時よりも運動後に痛みが増すことが多い 膝を90度以上曲げたり、完全に伸ばしたりした際に痛みが出る 膝関節そのものに腫れはないが膝の内側が腫れぼったく感じる 膝の内側を押すと痛みを感じる(とくに膝の内側5~7cmほど下の部分) 膝を曲げる動作(踵をお尻に近づける)を行った際に膝の内側が痛む 【変形性膝関節症のセルフチェック表】 膝が不安定に感じることがある 膝の周囲が腫れているように感じる 膝の形が変わってきたように見える 階段の昇り降りで膝に強い痛みを感じる 正座やしゃがむ動作が難しくなっている 朝起きたときに膝がこわばることがある 歩き始めや椅子から立ち上がる際に膝が痛む 膝を動かしたときに痛みや軋むような感覚がある 長時間座った後に立ち上がると膝に痛みを感じる 体重が増加して膝への負担が大きくなっていると感じる 膝の痛みは放置すると悪化する可能性があります。 セルフチェックの結果を参考にし、症状が続く場合は医療機関の受診を検討しましょう。 鵞足炎と変形性膝関節症の治療法 ここでは、鵞足炎と変形性膝関節症の治療法について解説します。 鵞足炎の治療法 変形性膝関節症の治療法 膝の痛みに対する治療の選択肢「再生医療」について 近年注目されている新しい治療法「再生医療」も紹介しているので、治療法を選ぶ際の参考にしてみてください。 鵞足炎の治療法 鵞足炎の治療には、症状の程度に応じた適切なアプローチが必要です。 初期の治療として、安静が大切です。膝に過度な負担をかけないよう、激しい運動や長時間の正座、しゃがみ込みなどの姿勢は避けましょう。痛みがあるときはアイシング(冷却)すると、炎症の軽減が期待できます。 痛みが強い場合には、抗炎症薬の服用や湿布の使用による薬物療法を取り入れます。 理学療法によるリハビリも治療の一環です。ストレッチや筋力トレーニングをすれば、膝の機能回復や再発予防につながります。 変形性膝関節症の治療法 変形性膝関節症の治療は、症状の進行度に応じて段階的に進められます。 痛みが軽く、日常生活への影響が少ない場合は、内服薬や湿布薬、消炎鎮痛剤などの服用・服薬による薬物療法が用いられます。炎症を軽減するほかの治療法には、ヒアルロン酸の注入があります。関節の滑りを良くするため、炎症が起こりにくいです。 痛みが続き、膝の動きに違和感が出始めた場合は、リハビリや装具(サポーター・インソール)を活用して膝の負担を減らします。 痛みが強く、日常生活に支障をきたす場合は、手術が検討されます。 以下は、変形性膝関節症における代表的な手術です。 骨切り手術:骨を切って膝の形を整える方法 人工関節置換術:人工の関節を置き換える方法 早期発見により、手術を回避できる可能性もあります。症状が悪化する前に治療を進めていくことが大切です。 【関連記事】 変形性膝関節症の治療は早期発見が鍵!初期症状を見逃さないために 変形性膝関節症|高齢者も知っておくべき手術の種類とそのリスク 膝の痛みに対する治療選択肢「再生医療」について 膝の治療には「再生医療」の選択肢もあります。 変形性膝関節症や半月板の損傷などに対し、手術を伴わない治療法の1つです。 再生医療における「幹細胞治療」は、自身の幹細胞を使い、損傷した組織や細胞を再生に導く方法です。 「PRP療法」も再生医療の1つで、自身の血液から血小板を取り出し、損傷部位に注入する方法です。 血小板に含まれる成長因子が炎症を抑える働きをします。 どちらも注射を打つだけなので体への負担が少なく、手術せずに治療できる可能性があります。 当院「リペアセルクリニック」では「幹細胞治療」「PRP療法」の両方の治療が選択可能です。 再生医療について詳しく知りたいという方は、当院「リペアセルクリニック」へお気軽にお問い合わせください。 まとめ|鵞足炎と変形性膝関節症の違いを知って今後の治療方針を考えよう 鵞足炎と変形性膝関節症は、どちらも膝に痛みを引き起こす疾患ですが、その原因や治療法には違いがあります。 本記事の違いを示す表やセルフチェックを参考に、疑われる疾患があれば医療機関を受診してください。 症状が軽度の場合は、安静や炎症を抑える薬の服用などの保存療法で様子を見ます。 症状が悪化し、痛みに耐えられなかったり、動きに制限が出て日常生活に支障をきたしたりすれば、手術も検討されます。 変形性膝関節症や関節リウマチなどの治療法には「再生医療」の選択肢が挙げられます。 当院「リペアセルクリニック」では、脂肪由来の幹細胞を用いた治療を行っております。患者様自身から採取した幹細胞を用いるため、副作用のリスクが少ないのが特徴です。 人工関節や手術を避けたいとお考えの方は、ぜひ再生医療もご検討ください。
2022.04.13 -
- 股関節
- 変形性股関節症
股関節の病気の種類と治療法・人工股関節を手術した場合のリハビリと注意事項 股関節の痛みをもたらす原因となる病気は、初期の段階では「保存療法」を行い、症状が進行した結果、末期に近づくにつれて「手術」となるケースが多く見られます。 医師より、「人工股関節を入れたほうがいい」などと言われると、「手術という不安感」と、「人工関節という戸惑い」、そして「痛み」などについて動揺や心もとない、不安なお気持ちになられるのではないでしょうか? そこで人工関節の検討が必要となる股関節の病気を明らかにし、その治療法を解説致します。また、人工関節の手術で気になる痛みを「手術そのものの痛み」、「手術後の痛み」について解説し、ご心配にお応えいたします。 股関節の病気と治療法 まずは、股関節に対する人工関節の手術(人工関節置換術)についての基本的なことについて解説します。 股関節を手術する原因となる病気の種類 股関節を人工股関節に置き換える手術を行うには、何らかの原因が存在しています。例として股関節の手術が必要になる可能性がある病気としては、以下のような病気が挙げられます。 ▼手術の可能性がある 変形性股関節症 大腿骨頭壊死症 関節リウマチ 股関節脱臼や股関節骨折の後遺症 変形性股関節症 股関節の軟骨成分が変性し、すり減ってしまうことで股関節に炎症を起こし、股関節の痛みや変形などの症状を引き起こす病気です。 大腿骨頭壊死症 大腿骨頭部の血流が滞って骨頭の細胞が壊死を起こし、細胞が死んだ部分の骨が変形を起こすことで痛みや歩行障害などを引き起こす病気です。 関節リウマチ 免疫異常によって自己抗体(体内の正常な細胞を損傷させる物質)が生み出され、全身のさまざまな関節がその影響を受けることで痛みなどの症状を引き起こす病気です。 股関節脱臼や股関節骨折の後遺症 事故などの外傷による衝撃で股関節がダメージを受け、脱臼や骨折を起こした後の後遺障害として関節疾患を引き起こすことをいいます。 上記、いずれにしても「股関節の痛み」や「歩行機能障害」など、日常生活にさまざまな影響を及ぼす可能性が高い症状を引き起こすため、適切な治療を継続する必要があるのです。 股関節の病気の治療法(保存療法) 股関節に関する上記の病気の治療方針としては、主に「初期段階には保存療法を適用し、保存療法が奏功しなくなったら手術を検討する」という方針がとられていました。 保存療法とは、発生している症状を緩和し、運動療法などによって患部の機能障害の進行を防止する治療法のことです。 保存療法は体への負担が小さい治療法として多くの症例で用いられる治療法ですが、上記の「機能障害の進行を防止する」という効果は完全なものではなく、加齢などの条件も重なって次第に症状は進行してしまいます。 結果、進行期から重度の疾患にまで症状が進行してしまい、次第に保存療法では十分に痛みなどの症状を緩和できなくなってしまうのです。 そうなると、以下のような股関節の手術を選択する可能性があります。 股関節の病気の治療法(手術の選択) 手術 人工股関節置換術 骨切り手術 関節鏡手術 人工股関節置換術の「手術中の痛み」と「手術後の痛み」について 手術というだけでも「痛み」については誰もが気になるところです。しかも、人工関節置換術となると、その言葉だけで更に心配になられる方が多いのではないでしょうか。 まず安心していただきたいのは、変形性股関節症などの治療において用いられる人工股関節置換術は、当然ながら「麻酔」を利用しますので、手術中に痛みを感じることはありません。 しかも、人工股関節置換術を実施する際には「全身麻酔」を用いることが多いため、痛みはもちろん、患者さんが手術中の様子や音などで不安を感じることもないのです。 人工股関節の手術に関する痛みについて、問題になるのは、麻酔が切れた後の「手術後の痛み」です。麻酔が切れると当然ですが痛みが起こります。 手術後の痛みに関しては痛み止めを使用します。薬剤によって痛みをコントロールすることになるのでご安心ください。手術後の痛みのピークは、手術直後から手術当日の夜の間が最も強く、その後は時間の経過に伴って軽減していき、手術後数日でおおまかな痛みは落ちつくでしょう。 また、「硬膜外麻酔」という麻酔術を手術前にすることで、手術後の痛みを軽減する治療が可能なケースもあります。 人工股関節置換術後リハビリと注意事項 股関節の痛みは、痛み自体や歩行機能への影響などがあるため、可能な限り最小限に抑えたいところです。股関節の人工股関節置換術の後、いわゆる「リハビリ期」において注意するべきポイントを押さえておきましょう。 リハビリは指示に従う 人工股関節の手術をしたら、入院とリハビリが必要になりますが、リハビリを行うにあたっては必ず「指示に従う」ことを遵守してください。 股関節の手術に限らず、手術後はデリケートな状態にありますので、早く退院したい、早く治したいとの想いで医師が禁止していることをしてはいけません。医師の指示通りにしないと、最悪の場合は手術をやり直さなければならなくなるケースもあります。 仮に人工股関節の手術後の痛みが抑えられて「きちんと治った!」と思っていても、実は勘違いという可能性もあるので、リハビリは医師の指示に従って安全におこないましょう。 股関節の脱臼リスクが高い動作は避ける 人工股関節置換術の後、気を付けるべきなのは「脱臼を避ける」ことです。リハビリ中、大きく仰け反るような動作、正座からひねって立ち上がるといった動作で脱臼しやすく、脱臼リスクの高い動作は意識して避けなければなりません。 スポーツなど、激しい動きがあるものは医師の許可を得る 人工股関節置換術の後、「スポーツ」や激しい動きと伴うものは、必ず医師の許可を得てからおこなってください。 特に重いものを持ったり、ジャンプの多い競技、急なストップや方向転換などなどの激しい動きあったり、相手にぶつかるような競技を避ければ、特に制限を設けることなく好きなスポーツに復帰することができるでしょう。 やりたいスポーツに関して担当医に相談し、どういった動作は避けなければならないか、そもそもリハビリ中に復帰可能なスポーツであるかの判断をもらうようにしてください。ただし、OKが出ても無理は禁物です。最初は試運転、徐々に取り組みましょう。 股関節への負荷を抑えるための体重コントロール 人工股関節置換術の後、人工股関節を少しでも長持ちさせるためには「体重コントロール」が欠かせません。股関節には上半身の重さがかかるため、体重が重いと人工股関節への影響が大きくなり、人工股関節の損傷リスクを高めることになります。特に運動を行う場合は、注意が必要です。 ただ適度な運動習慣を身につけることは大切です。この機会に適度な体重を維持できるように運動や食習慣といった生活全体の習慣を見直し、必要に応じて医師の指示した運動・生活メニューを実施するようにしましょう。 手術そのものを避けられる!再生医療という選択肢も生まれています 股関節の重い症状に対して人工股関節の手術などをおこなう場合、手術後の痛みのリスクを無視することはできません。保存療法は効かない、けれども手術は痛みや体への負担が気になるという患者さんは最新の医療分野「再生医療」も検討してみてください。 股関節の再生医療は自身の細胞によって股関節の軟骨の損傷を修復し、変形性股関節症などの症状の進行を遅らせて痛みを改善する効果が期待できます。 例えば「幹細胞」を利用した再生医療をする場合は、患者さん自身から幹細胞を採取(切開して脂肪を採取する等)し、これを培養してから患部に注射するという治療をおこないます。 この治療法であれば、人工股関節の手術ほど体への負担はありませんし、手術後の痛みの心配もほとんどないでしょう。 従来の保存療法では奏功しなくなった患者さんでも効果がみられる可能性があり、アレルギー・感染症・拒否反応といった副作用のリスクも少ないので、メリットの多い治療法と言えます。 下記の動画では、再生医療がどのようにして変形性膝関節症や変形性股関節症の患者様の痛みを軽減し、生活の質を向上させることができるかを示しています。是非参考にしてみてください。 https://youtu.be/03G87sTv2D4?si=soT1LvOnshMVSFB_ まとめ・股関節の病気の種類と治療法 人工股関節の手術(人工股関節置換術)は、手術後の痛みをコントロールすることは可能です。 手術後のリハビリは医師の指示のもとで安全におこない、脱臼や人工股関節の損傷などのリスクを少しでも減らすようにして痛みの改善ができれば、生活の質がグンと良くなるでしょう。 しかし、外科的な手術はどうしても避けたい、人工股関節のような手術を受けると、手術後の痛みがどうしても心配で仕方がないなどという人は、再生医療を選択するのもおススメです。 以上、人工股関節の原因となる股関節の病気と手術の痛みについて、手術中及び、手術後について記させて頂きました。 尚、再生医療は、股関節の痛みについて、多くのメリットがある治療法です。お気軽にお問い合わせください。親身になって詳しくご説明させて頂きます。 ▼ 最先端医療「再生医療」で股関節を治療する方法 股関節症の新しいい治療法、再生医療は、人工関節を避けて治療できる新しい医療分野です ▼以下も変形性股関節症の記事をご紹介しています 股関節の人工関節置について、高齢者が手術前に知っておくべきリスクとは?
2022.04.08 -
- ひざ関節
- 膝の内側の痛み
- PRP治療
- 変形性膝関節症
再生医療のひとつであるPRP療法は、患者さん自身の血液を使って自己治癒力を引き出す治療法です。手術や入院の必要がなく、副作用のリスクも極めて低く、体への負担が少ない点が大きなメリットです。 変形性膝関節症にも使われるPRP療法ですが、本当に効果があるのか疑問に思われる方もいるでしょう。この記事では、変形性膝関節症に対するPRP療法が実際どのように行われるかを、患者さんの声を交えながら解説します。効果だけでなく、PRP療法の限界についてもお伝えします。 PRP療法が気になる方は、ぜひ参考にしてください。 変形性膝関節症に有効な「PRP療法」とは? PRP療法(多血小板血漿療法)とは、患者さんから採取した血液から血小板を多く含む「多血小板血漿(Platelet-Rich Plasma:PRP)」を精製し、傷んでいる場所に注射する再生医療です。 血小板は出血を止めるはたらきを持つほか、さまざまな種類の成長因子を含むため、自己治癒力を高めるはたらきもあります。変形性膝関節症でも、膝の組織の修復を助ける作用や、炎症を抑える作用で痛みを軽減させやすいです。 膝にPRP療法を行う場合は、膝のお皿の外から関節の中をめがけて注射します。膝の関節の中にはちょうど袋があり、その中にPRPを注射する形です。 変形性膝関節症の治療にPRP療法を選ぶメリット PRP療法で変形性膝関節症の治療を行うメリットは、以下のとおりです。 最短30分で治療が完了 手術が不要 入院も不要 PRP療法などの再生医療はシンプルな手順で実施され、即日で完了する場合もあります。 治療の際は、まず腕から少し採血をして、血液を特殊な機械に30分ほどかけて分離します。PRPが精製できるので、膝の関節に注射すれば治療は完了です。 手術をしないため、手術に伴う合併症の心配もありません。入院も不要のため、日常生活への影響も最小限です。さまざまな理由で人工関節をしたくない方にも良い選択肢となります。 以下の記事では、PRP療法のメリットとデメリットを詳しく解説していますので、併せてご覧ください。 変形性膝関節症でPRP療法がおすすめな人の特徴 変形性膝関節症でPRP療法がおすすめなのは、現在の治療に不満がある方や、手術をしたくない・できない方、治療を急ぐ方などです。 そのほか、以下に該当する方もおすすめできます。 保険診療のヒアルロン酸注射が効かなくなった方 薬を飲んでも痛みが取れない方 慢性化した痛みを治したい方 スポーツや仕事に早く復帰したい方 薬剤アレルギーが怖い方 薬剤アレルギーがあり治療ができない方 手術を避けたい方 長期入院ができない方 持続効果の高い治療がしたい方 PRP療法は自然治癒力を促進させるため、従来の方法では治療が難しかったケースでも効果が期待できます。 また、薬剤ではなく患者さん自身の血液を使うため、アレルギー反応や拒絶反応など副作用のリスクが低い治療法です。 変形性膝関節症でPRP治療を受けられた方の体験談 ここからは、実際にPRP療法を受けられた方の実例を紹介します。最初の2例はPRP療法と幹細胞治療の併用例、最後の1例はPRP療法単独の症例です。 当院で両変形性膝関節症を治療された70代女性の声 3年前からの両膝関節痛の患者さんです。近くの整形外科では、関節軟骨がほぼ消失している末期の変形性関節症と診断され、何度も水を抜いてもらっていました。とくに左膝の痛みは10段階中10と強く、歩くのが困難でトイレにすら行けないこともあったそうです。 幹細胞治療とPRP療法を行い、1年後には左膝の痛みが10から1に、右膝の痛みが6から0に軽減しました。「整形外科で膝の水を何回抜いてもらっても、溜まっていたのに今では水も溜まらなくなり痛みもなくなり、すごくうれしいです。」と喜んでいらっしゃいました。 治療方法 ・幹細胞治療:右膝に4000万個細胞、左膝に6000万個細胞、計4回 ・PRP療法 治療前後の痛みの変化(10段階) ・左膝:10→1 ・右膝:6→0 治療費用 ・幹細胞治療 関節1部位 幹細胞数(2500万個~1億個) 投与回数(1回)132万円(税込)/2500万個 ・PRP治療 16.5万円(税込) この症例については以下の記事で詳しくご覧ください。 当院で変形性膝関節症を治療された60代男性(漁師)の声 10年前からの左膝関節痛と、1年前からの右膝関節痛の患者様です。職業は漁師で「仕事で膝へ負担がかかり両膝の痛みが出た」と語っておられました。 近くの整形外科では、両膝の進行期の変形性関節症と診断されて治療を受けていました。しかし、左膝の痛みが10段階中9まで悪化し、漁師の仕事に支障をきたしていたそうです。人工関節にしてしまうと仕事復帰が難しくなるため、再生医療を考えて来院されました。 初回投与から3カ月後には、左膝の痛みが9から3に、右膝の痛みも3から0まで軽減しました。 治療方法 ・幹細胞治療:左膝に7000万個細胞、右膝には3000万個細胞、計3回 ・PRP療法 治療前後の痛みの変化(10段階) ・左膝:9→3 ・右膝:3→0 治療費用 ・幹細胞治療 関節1部位 幹細胞数 (2500万個~1億個) 投与回数(1回)132万円(税込)/2500万個 ・PRP治療 16.5万円(税込) この症例については以下の記事で詳しくご覧ください。 当院でPRP治療を受けられた50代女性の声 テレビや人づての話で再生治療に興味をもち来院された50代女性の患者様は、膝の痛みにPRP療法を単独で実施しました。 この方は、もともと膝がとても痛くて歩行困難が見られ、ヒアルロン酸の注射をしても1日しかもたないとのことで、PRPの治療を選択されました。かなり膝の変形も強く、人工関節を入れてもおかしくない方だったのですが、手術はどうしても避けたいとのことで注射を選択されています。 最初は不安もあったようですが「いつものような膝の注射をしただけだったので、つらい気持ちは全然感じることなく、スムーズに治療を受けられました」とおっしゃっていました。 治療を通してはじめ10あった痛みが、4回注射した後には2か3になりました。もともと杖で歩かれていたのですが「4回目のときには杖なしで自分の足で立つことができるようになっていて自分でもすごくびっくりしました。『すごく効いた』という実感があってとてもうれしかったです」と喜びの言葉を残されています。 治療方法 PRP療法 治療前後の痛みの変化(10段階) 10→2~3→5で安定 治療費用 PRP治療 16.5万円(税込) 「PRP治療後は立ったまま料理や家の片付けができるようになりました。友だちとUSJに遊びにいったり、ひとりで旅行したり色々なところに自分の足でいきたいと思います」と次の楽しみを見つけられていた点も印象的でした。 PRP療法の効果には個人差がありますが、この方は持続期間も長く認めており効果があった事例といえます。 PRP療法はプロアスリートも実際に靭帯損傷で用いた治療法 PRP療法は手術が不要で、長期の入院も必要ありません。プロアスリートから見ると、治療によるパフォーマンスの低下を避け、早期に復帰できる可能性があります。 このためPRP療法は、多くのプロアスリートに選ばれています。 PRP療法の効果には個人差があるため、早期に復帰できるかは明言できません。しかし、プロアスリートたちは高い効果を期待して、PRP療法を選択しています。 変形膝関節症でPRP治療を選ぶ際の注意点 変形膝関節症でPRP治療を選ぶ際には注意点があります。 まずPRP療法は痛みを止める効果には優れていますが、軟骨を再生する力は持ちません。変形膝関節症の場合、膝関節の軟骨がすり減ることで痛みが出るため、PRP療法では根本的な解決策にならない点に注意が必要です。 またPRP療法単独では、いずれかの段階で痛みが戻る可能性があります。痛みを止め、すり減った軟骨の再生を目指すなら、「幹細胞治療」が必要です。 幹細胞治療はPRP療法のように即日実施できるものではありませんが、PRP療法と同じく手術や入院は不要です。実際の治療では、患者さんから米粒2~3粒ほどの脂肪を採取し、専門施設で幹細胞を抽出して培養します。この幹細胞を患部に戻すことで、軟骨の再生が期待できます。 変形性膝関節症にはPRP療法のほかに運動療法も効果が見込める 変形性膝関節症には、PRP療法のほかに以下の運動・訓練も効果が見込めます。 有酸素運動 筋力強化訓練 可動域訓練 変形性膝関節症の診療ガイドラインには「定期的な有酸素運動・筋力強化訓練および関節可動域訓練を実施し、かつこれらの継続を奨励する」とあります。これらは「非薬物療法の中では最も重要度の高い項目」とされ、根拠のある治療法なのです。 変形性膝関節症の方におすすめの有酸素運動は、ウォーキングやプールでの水中運動です。また、筋力強化訓練で大腿四頭筋などの筋肉を強化すれば、膝の安定性が増します。 可動域(かどういき)訓練とは、関節を動かせる範囲「可動域」を広げる訓練です。可動域が狭くなると関節の柔軟性が低下し、痛みを感じやすくなるため、訓練によって可動域を広げていく必要があります。(文献) 以下の記事で詳しく解説していますので、併せてご覧ください。 まとめ|変形性膝関節症でPRP療法を検討中なら気軽にお問い合わせください 今回はPRP療法の流れと、治療を受けた方の実際の声をご紹介しました。 PRP療法は、手術や入院を伴わずに膝の痛みの軽減を目指せる治療法です。 ただし、PRP療法には膝の軟骨を再生する効果はありません。症状によっては、治療効果は限定的となります。軟骨の再生を図り、根本的な治療を目指すなら、幹細胞治療も選択肢の一つです。 PRP療法や幹細胞治療に興味がある方は、リペアセルクリニックへお気軽にお問い合わせください。お悩みをうかがい、詳しく説明させていただきます。 参考文献 (文献) 日本内科学会雑誌 106 巻 1 号「変形性膝関節症の管理に関するOARSI勧告ーOARSIによるエビデンスに基づくエキスパートコンセンサスガイドライン(日本整形外科学会変形性膝関節症診療ガイドライン策定委員会による適合化終了版)」https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/106/1/106_75/_pdf/-char/ja
2022.04.07 -
- 股関節
- 変形性股関節症
変形性股関節症と診断されたら、今以上に悪化させないように気をつけたいと考える方は多いのではないでしょうか。 変形性股関節症とは、股関節の軟骨がすり減ったり、骨の変形によって骨同士が擦れ合ったりして炎症が起こり、痛みを伴う疾患です。 変形性股関節症の悪化を防ぐには、ストレッチをして股関節の柔軟性を高めることが効果的です。股関節周りやお尻に効くストレッチを中心におこない、可動域を広げましょう。 今回は、変形性股関節症を悪化させないためのストレッチ方法や、気をつけるべきことを解説してまいります。手術を伴わない再生医療による治療法も紹介するので、ぜひ参考にしてください。 変形性股関節症を悪化させないためのストレッチ方法 変形性股関節症を悪化させないためには、ストレッチをはじめとする運動療法が効果的です。ここでは、変形性股関節症の方におすすめのストレッチ方法を紹介します。 股関節の前側に効くストレッチ 股関節の内側に効くストレッチ 寝ながらできる股関節のストレッチ 股関節に負担をかけないように気をつけながら、ストレッチをして股関節の柔軟性や可動域の維持に努めましょう。なお、痛みがあるときは無理をしないことが大切です。やりすぎは逆効果になる場合があるため、ストレッチをして痛みが強くなったら医療機関を受診するようにしてください。 股関節の前側に効くストレッチ 変形性股関節症の悪化を防ぐためには、股関節の前側に効くストレッチがおすすめです。 左右いずれかのお尻を椅子に置き、横向きに座る 椅子に腰掛けていないほうの足を軽く後ろに伸ばし、つま先を立てる 椅子に腰掛けていないほうの足をさらに後方に伸ばしていく このとき、前側の股関節から太ももまでの筋肉を伸ばすイメージでおこなうことがポイントです。1セットあたり40秒程度を2〜3回繰り返し、左右の足を替えておこないます。 椅子に半分腰掛けた姿勢でストレッチするため、椅子の大きさや形によってはバランスを崩しやすいため注意が必要です。 股関節の内側に効くストレッチ 股関節の内側に効くストレッチも、変形性股関節症の悪化を防ぐために効果的です。 椅子に座って左右いずれかの足をもう片方の膝の上に乗せる 乗せた足の膝を下方向から外側に押し下げる 上半身をゆっくりと前に倒す このとき、股関節の内側からお尻の筋肉を伸ばすよう意識してください。1セットあたり40秒程度で2〜3回繰り返し、左右の足を替えて同じようにストレッチします。椅子に深く腰掛け、安定した状態でおこなうことがポイントです。 寝ながらできる股関節のストレッチ 股関節に効くストレッチには、寝ながらできるものもあります。 仰向けで寝る 左右いずれかの膝を両手で抱えて身体に引き寄せる この姿勢を約15秒間キープし、2〜3回繰り返して左右の足を替えます。膝を抱えて身体に引き寄せるとき、反対側の足は伸ばしたままの状態にします。痛みを感じない程度に無理なくストレッチしてください。 ストレッチ以外の運動療法 変形性股関節症の悪化を防ぐためには、ストレッチ以外の運動療法も効果的です。軽いウォーキングも、股関節の柔軟性を高め、可動域を広げるために有効です。 ウォーキングをする際は、ゆっくりとしたペースで歩行しましょう。歩く速度が早いと股関節に負担がかかり、かえって症状を悪化させるリスクがある点に注意してください。 また、筋力トレーニングをして筋力強化を図ることも大切です。股関節周りの筋力強化によって、股関節の動きを安定させたり衝撃から関節を守ったりできます。ただし、ストレッチと同様に過度な負荷がかかる筋力トレーニングは逆効果です。ウォーキングや筋力トレーニングも、痛みのない範囲内で無理なく続けましょう。 変形性股関節症に効果的な筋力トレーニングについて詳しく知りたい方は、以下の記事をチェックしてみてください。 変形性股関節症の悪化を防ぐためにやってはいけないこと【ストレッチ以外】 変形性股関節症は、股関節に負担がかかると症状が進行してしまいます。そのため、変形性股関節症の症状の進行を抑え、悪化を防ぐために、やってはいけないことがあります。 以下で、それぞれ詳しく見ていきましょう。 股関節に負担をかける 変形性股関節症の初期の段階では、痛みを感じない場合も少なくありません。しかし、変形性股関節症の悪化を防ぐために、やってはいけない姿勢(禁忌肢位)があります。 変形性股関節症の禁忌肢位は、主に以下の通りです。 横座りや割り座 しゃがむ姿勢や長時間ひざまずく姿勢 足組み テニスやゴルフなどの股関節を捻る動作を伴うスポーツ ほかにも、長時間同じ姿勢を維持しない、横向きか仰向けで寝るといったことを心がけると股関節への負担を減らせます。変形性股関節症の進行を防ぐためにも、日常生活からできることを意識しましょう。 長時間連続して歩く 変形性股関節症の場合、長時間連続して歩くことは避けましょう。長時間の連続した運動は、たとえ軽度であっても筋肉が疲労してしまい、関節に負担をかけてしまうためです。 また、股関節の骨と骨の間にある軟骨は、衝撃を吸収し、骨同士が直接触れ合わないようクッションの役割を果たしています。しかし、軟骨は関節を使うことで徐々にすり減ってしまうため注意が必要です。 変形性股関節症と診断されたら、歩くときにもできるだけ股関節に負担がかからないように意識する必要があります。少しくらい大丈夫だろうといった考えは捨てて、無理をしないようにしてください。 痛みを感じるような運動やトレーニングを控える 変形性股関節症と診断されたら、無理は禁物です。筋力をつけようとして痛みを感じるほど運動してしまうと、かえって症状が進行してしまうケースも少なくありません。 変形性股関節症では、適度な運動が推奨されます。しかし、激しいダンスやエアロビクス、ボーリングやウェイトマシーンを使っての筋力トレーニングは関節へ過度な負担がかかるため避けるべきです。 変形性股関節症のリハビリテーションでは、関節への負担が少ないウォーキングや水中歩行などをゆっくりおこない、関節に無理をかけないように気をつける必要があります。 肥満を放置する 変形性股関節症の場合にやってはいけないこととして、肥満の放置が挙げられます。普通に歩くだけでも、関節には体重の約3~5倍の負担がかかります。そのため、体重は直接股関節へ負荷をかけることになるため注意が必要です。 とくに中高年になると身体の基礎代謝が落ち、体重管理が難しくなります。運動も大切ですが、肥満を改善するためには食生活の見直しが必要です。 変形性股関節症において気をつけたいことは、食べ過ぎないことと栄養バランスの良い食事を心がけることです。夕食は寝る2~3時間以上前には済ませ、暴飲暴食は避けましょう。 また、早食いにならないようにゆっくりとよく噛むことで、食欲が抑えられ、食べすぎを防げます。変形性股関節症と体重管理は切り離せないだけに、十分気をつけましょう。 変形性股関節症の治療法を検討する際のポイント ここでは、変形性股関節症の治療法を検討する際に気をつけることについて解説します。 納得できる医療機関を見つける 変形性股関節症の治療においては、納得できる医療機関を見つけることが大切です。変形性股関節症では、以下をはじめとするさまざまな治療がおこなわれます。 薬物療法 運動療法 手術療法 まずは薬物療法や運動療法で症状の改善を目指し、思うような効果が現れない場合には、手術療法を検討します。 変形性股関節症の手術療法では、入院が必要です。しかし、なかにはどうしても仕事が忙しくて時間が取れないといった理由で手術を希望しない人もいます。 また、手術療法にも骨切り術や人工関節置換術があり、その後の通院頻度や入院期間も異なります。 変形性股関節症の治療においては、病院までの距離や医師との相性なども含め、本人や家族が納得できる医療機関を見つけることが必要です。 意思や希望を主治医に伝える 変形性股関節症の方は、今後どのように治療を進めていきたいか、自分の意思をしっかりと主治医に伝えるようにしましょう。また、家族の意思や希望もあわせて伝えておくと安心です。 自分の意思や希望が治療に反映されていないと、モチベーションが下がってしまい、治療自体に影響が出るケースも珍しくありません。 すぐに手術を受けたいのか、しばらくは飲み薬のほかに湿布薬や座薬を使って様子をみたいのかなど、医師に希望を伝えた上で、相談しながら治療を進めましょう。 変形性股関節症に対するステロイド薬の使用について知りたい方は、以下の記事をご覧ください。 変形性股関節症には再生医療という選択肢もある 変形性股関節症の治療における選択肢として、再生医療があります。かつて変形性股関節症の治療では、薬で痛みが抑えられなくなった場合には手術をするしかないといわれていました。 しかし、現在では身体への負担が少なくて済む再生医療による治療も選択可能です。 再生医療と手術はどのように違うのか 再生医療は、自分の血液や幹細胞を使用するため、体への負担が少なく、数回の通院で完結する治療法です。 一方、人工関節置換術のような比較的大がかりな手術では、深部静脈血栓症・肺塞栓症・人工関節の再脱臼といった合併症のリスクを伴います。 再生医療の効果はいつまで続くのか 再生医療の治療効果は人工関節の耐久年数と同じ程度の持続が期待されています。 人工関節には耐久年数があり、一般的には平均15〜20年程度といわれています。人工関節の場合、経年劣化による不具合によって疼痛が発生するリスクがあります。 また、日常生活に支障が出る場合には、再手術が必要になるケースも少なくありません。 薬物療法や運動療法では効果が感じられず、手術を受けようか悩んでいる方、あるいはどうしても手術を受けたくない方にとって、再生医療はもう一つの選択肢になります。 以下の動画では、再生医療が変形性股関節症の痛みをどのように軽減したかを説明しています。ぜひ参考にしてみてください。 https://www.youtube.com/watch?v=ZYdyeWBuMQA まとめ|ストレッチをして変形性股関節症の悪化を防ごう 変形性股関節症の治療においては、股関節に負担をかけないように気をつけることが大切です。 おすすめは、股関節の前側・内側、お尻周りに効くストレッチです。なお、ストレッチは痛みを感じない程度でおこなうことがポイントです。痛みが現れたり、股関節に違和感を感じたりする場合は、ストレッチを中止して医療機関を受診してください。 ストレッチ以外にも、日常生活でできるだけ股関節に負担をかけないよう気をつけ、変形性股関節症の悪化を防ぎましょう。 なお、リペアセルクリニックでは、無料のメール相談を実施しています。変形性股関節症の症状が改善せずにお悩みの方は、ぜひ気軽にご相談ください。
2022.04.07 -
- 変形性膝関節症
- ひざ関節
変形性股関節症の保存療法で治療効果を上げるため注意したいこと 変形性股関節症の初期の治療では、保存療法という治療法を選択することが多いです。 保存療法には、運動療法や薬物療法、温熱療法などが挙げられます。また、日常生活における動作を見直すなど、股関節への負担を軽減するための生活習慣の改善もおこないます。 変形性股関節症の人がおこなう保存療法の1つにも、運動療法があり、軽いストレッチや筋力トレーニングが推奨されます。 筋力をつけることで股関節をサポートし、股関節を正しい位置に矯正することで、股関節への負担の軽減、痛みの緩和が期待できます。 今回は、変形性股関節症の人が保存療法をするときの注意点について解説します。 変形性股関節症の保存療法で「運動療法」に取り組むための注意点 運動療法では、まずストレッチやマッサージをおこない、筋肉をほぐします。股関節周囲の筋肉の柔軟性は、痛みの改善だけでなく、関節の動く範囲の改善にもつながります。 しかし、運動療法をするときに、早く筋肉をつけようとして無理に運動しないように注意しなければなりません。 また、ジョギングやサッカーのような激しい運動も股関節に負担をかけ、変形性股関節症を進行させてしまうため、ゆっくりと歩くウォーキングや、負担の少ない水泳などをおこなうようにしましょう。 変形性股関節症の保存療法でウォーキングをするときの注意点 ウォーキングをするときに早く歩きすぎたり、長距離歩いてしまうと、股関節への負担が増大します。ですから、ゆっくりと歩く15分程度のウォーキングにとどめましょう。 変形性股関節症の保存療法で筋トレをするときの注意点 股関節をラクに動かすことができるようになったら、徐々に運動強度をあげて、筋力トレーニングもおこないます。筋力トレーニングをするときも、やりすぎると股関節に負担がかかってしまうため、毎日少しずつ継続しておこなうようにしましょう。 変形性股関節症の保存療法で日常生活における注意点 変形性股関節症の人は、生活習慣を見直して、股関節に負担をかけない生活をするようにしましょう。重いものを持つときにしゃがみこむような動作は、股関節に大きな負担をかけてしまいます。 できるだけ重いものを持ったり、しゃがみこむような動作は避け、布団で寝ている人はベッドに変える、和式トイレも洋式トイレにするなど、生活様式も洋式に見直すと良いでしょう。 場合によっては、杖を使うことも股関節への負担軽減に役立ちます。 体重管理は非常に大切! 変形性股関節症で肥満気味の人は、ダイエットが必要になる場合があります。股関節には、自分自身の体重による負担がかかります。体重が重ければそれだけ負担が増します。できるだけ標準的な体重を保つよう体重管理を行うことが必要です。 とはいっても、過激なダイエットをして健康を害してしまったのでは元も子もないので主治医と相談しながら体重管理に努めましょう。運動療法だけでなく食生活も見直して体重を管理をし、体重による股関節への負担を軽減できるように努めましょう。 変形性股関節症の保存療法で薬物療法をする場合の注意点 変形性股関節症の保存療法では、痛みの改善のために薬物療法もおこないます。痛み止めを服用して炎症を抑え、痛みの改善を図るため、内服薬のほかにも、湿布薬や座薬が処方されることもあります。 飲み間違いや飲み忘れに注意して、痛みと上手に付き合うようにしましょう。 変形性股関節症の保存療法を「効果的に実践する」ための注意点 変形性股関節症の人が保存療法を効果的に実践するためには、どのような注意点に気をつければ良いのでしょうか。 自分にあった医療機関を見つける 変形性股関節症の人が効果的に保存療法をするためには、病院までの距離や、医師との相性も大切です。通院が負担になってしまうと、その後の治療に対するモチベーションにも関わります。 運動療法や生活習慣、薬の内容や手術の希望など、自分の希望を医師に伝えて、よく話し合うようにしましょう。 自己判断で治療を中断しない 保存療法をおこなって、痛みの改善や動きやすさを感じるようになっても、自己判断で治療を中断しないようにしましょう。筋力がついたり、体重コントロールに成功して股関節の痛みが軽減したとしても、一度損傷した股関節が元通りになったわけではありません。 自己判断で治療を中断すると、再度症状が進行してしまう可能性もあるので、医師の指示通りにきちんと受診して、治療を継続するようにしましょう。 痛み止めの増減は医師とよく相談する 痛み止めを処方されるときに、痛みがあるときだけ飲むように言われることもあります。しかし、痛みを感じるからといって飲みすぎると、副作用が出てしまう危険性もあります。 もし、処方された痛み止めが効かないなど、不安がある場合は痛み止め薬の変更などを医師に相談するようにしましょう。 家族が変形性股関節症と診断され保存療法を選択した場合の注意点 家族が変形性股関節症と診断され、保存療法をおこなうことになった場合の注意点を紹介します。 股関節に負担がかからない生活について! 立ち上がり時には身体を支えるなど、股関節に負担が掛けない工夫する。 重い荷物を持つと、股関節に負担がかかり症状が進行しかねません。 しゃがみ込みや、立ち上がりのような動作は股関節への負担が大きくなります。 自宅から病院間など外出する場合、家族が運転し、歩行距離を減らして股関節の負担を軽減する。 変形性股関節症の治療には再生医療という最先端の方法もある! https://youtu.be/z0E4lmqViXI?si=L3JMhHYo4T7UvSgB ▶こちらの動画では、再生医療の治療の流れを解説しています。 変形性股関節症の治療法として、再生医療という最先端の方法があります。最近ではスポーツ選手が再生医療で治療をするなど、注目を浴びている治療法です。 変形性股関節症の再生医療とは? 変形性股関節症の再生医療では、自身の幹細胞や血小板を利用することで、すり減った軟骨や骨の変形の修復や再生を促し、痛みの改善を目指します。幹細胞には、さまざまな組織や細胞に変化する能力が備わっています。 この幹細胞を変形性股関節症の人(本人)から取り出し、量を増やしてから体に戻すことで、幹細胞が組織の修復を促し、股関節の炎症や痛みを抑える効果が期待できます。 また、血小板にも、組織の修復や再生を促す能力があります。血液を採取し、血小板成分を濃縮させて損傷した股関節部位に注入することで、組織の修復を促し、症状の進行を抑え、痛みの改善を目指します。 再生医療は、自身の幹細胞や血液成分を用いるため、拒絶反応やアレルギーの危険性も低い安全な治療法です。 まとめ・変形性股関節症の保存療法で治療効果を上げたい方へ 変形性股関節症の人が保存療法をおこなうときの注意点を紹介しました。保存療法には、運動療法や生活習慣の改善、薬物治療などがありますが、注意点としては、とにかく股関節に負担をかけないこと、医師とよく話し合って最適な治療を受けること、家族がサポートすることなどが挙げられます。 また、変形性股関節症の治療方法の一つとして、再生医療があります。自身の幹細胞や血液成分を利用して損傷した股関節の修復や再生を促すことで、痛みの改善が期待できる最先端の治療方法です。 今までの治療では効果が感じられない、なるべく薬物治療や手術をしたくないという人は、再生医療も変形性股関節症の治療の選択肢として検討してみてはいかがでしょうか。 以上、変形性股関節症の保存療法を行う際の注意点をまとめてみました。保存療法は正しく継続することが秘訣です。 ▼ 再生医療で変形性股関節症を治療する 変形性股関節症は、再生医療により手術せずに症状を改善する先進医療です ▼以下もご参考下さい 変形性股関節症の人工関節手術と年齢の問題
2022.04.07 -
- 肝疾患
- 内科疾患
「肝臓は症状が出にくいって本当?」「肝臓が悪いと言われたけれど、何に気をつければ良い?」などと肝臓のことが気になる方も多いでしょう。 肝臓は、大人では1kg以上の重量があり、体内で最も大きな臓器の一つです。栄養素の代謝をはじめとする500種類以上の化学反応を担う一方、「沈黙の臓器」とも呼ばれ、異常があっても症状が現れにくいのが特徴です。 この記事では、多岐にわたる肝臓の働きを5つに分けて解説します。さらに、肝機能が悪化した際の症状や、放置したときに起こりうる病気、肝臓を守るための生活習慣も紹介します。 肝臓の健康や働きに関心のある方は、ぜひ参考にしてください。 肝臓の5つの働きをわかりやすく解説 肝臓には非常に多くの働きがあります。ここではわかりやすく5つに分類して、肝臓の働きを説明します。 胆汁の合成・分泌 代謝(炭水化物・脂質・タンパク質など) 栄養素の貯蔵 解毒・排泄 免疫 胆汁の合成・分泌 胆汁は、食べ物に含まれる脂肪などの消化・吸収を助ける分泌液です。胆汁の主要な成分は、コレステロールから合成される胆汁酸です。脂肪に胆汁酸が混ざることで、消化酵素による分解を受けやすくなります。 胆汁は、赤血球が分解されるときにできるビリルビンを排泄する役割も持ちます。ビリルビンとは、脾臓で赤血球が壊されるときにできる黄色の色素です。そのままでは水に溶けないため、肝臓で水に溶けやすい形に変換されて胆汁に混ざり、消化管へ排泄されるのです。 胆汁酸とビリルビンのほかに、電解質やコレステロール、リン脂質などが混ざりあって胆汁が生成されます。作られた胆汁は十二指腸へ送り出され、脂肪の消化・吸収を助けます。 代謝(炭水化物・脂質・タンパク質など) 代謝とは、体内での化学反応によって、さまざまな分子が合成・分解されることです。 たとえば炭水化物・脂質・タンパク質は、肝臓において以下のように代謝されています。体にとって使いやすい形への変換、不足分の合成、貯蔵しやすい形への合成などが行われます。 変換・合成元 変換・合成先 炭水化物 ・ブドウ糖以外の単糖類(フルクトースやガラクトース)をブドウ糖に変換 ・ブドウ糖をグリコーゲンに合成して貯蔵 ・アミノ酸や脂肪からブドウ糖を合成 脂質 ・脂肪を運ぶタンパク質の合成(VLDL、HDL) ・ブドウ糖から脂肪を合成 ・脂肪・ブドウ糖・アミノ酸からコレステロールを合成 タンパク質 ・非必須アミノ酸(体内で合成可能なアミノ酸)を合成 ・アミノ酸からタンパク質(アルブミンや血液凝固因子など)を合成 ・余分なアミノ酸の分解 栄養素の貯蔵 肝臓は糖や脂質の貯蔵において中心的な役割を果たしている臓器です。また、ビタミンやミネラルの貯蔵も行っています。 体内でブドウ糖が余っているとき、まず合成されるのはグリコーゲンです。グリコーゲンを十分作ってもまだブドウ糖が余っていれば、今度は脂肪に変化させて、脂肪組織で貯蔵できる形にします。 逆に体内のブドウ糖が不足しているときは、肝臓のグリコーゲンを分解してブドウ糖に戻し、血液中に供給します。グリコーゲンがなくなれば、今度はアミノ酸や乳酸、脂肪を材料にブドウ糖を合成可能です。このように肝臓は、エネルギーの貯蔵と供給を担っています。 エネルギー以外には、赤血球を作る際に必要な鉄やビタミンB12も肝臓に貯蔵されています。ビタミンAやD、亜鉛も肝臓で貯蔵される栄養素です。これらも必要に応じて肝臓から供給されます。 解毒・排泄 肝臓は、身体にとって有害な物質を無毒化したり、そのままでは排泄できない物質を排泄可能な形に変換したりする働きも担います。アルコールやニコチン、治療薬の成分などを分解・無毒化するのも肝臓です。 体内でできる有害物質や排泄困難な物質なども、多くが肝臓で処理されます。たとえば余分なアミノ酸を分解する過程でできるアンモニアは、そのままでは有毒なので、尿素に変換されます。赤血球が分解される際に出るビリルビンを、水に溶ける形に変換するのも肝臓の役目です。体内で働いたホルモンも、一部は肝臓で分解されます。 また、体内に乳酸が余分に溜まると倦怠感を自覚するといわれていますが、肝臓では乳酸をブドウ糖に変換できます。 免疫 肝臓は、消化管で吸収された栄養素が最初に流れ込む場所です。消化管から来る血液の通り道には、クッパー細胞と呼ばれる免疫細胞が常駐し、栄養素と一緒に入ってきた細菌やウイルスなどの異物を除去しています。ほかにも、ウイルスに感染した細胞や老廃物を処理するナチュラルキラー(NK)細胞など、免疫系の細胞が多く存在します。 また、免疫系が適切に働くには、病原体に結合して目印となるタンパク質免疫グロブリンが欠かせません。免疫グロブリンは免疫細胞が作りますが、そのためには肝臓から供給されるアミノ酸やエネルギーが不可欠です。 肝臓の働きが悪くなると身体に現れる変化 肝臓は「沈黙の臓器」とも呼ばれ、働きが悪化しても目立った症状はなかなか現れません。それでも以下のような症状がヒントになります。 全身がだるくなって疲れやすくなる 黄疸(肌や目が黄色くなる)やむくみが出やすくなる このような変化が起きる理由を解説します。 全身がだるくなって疲れやすくなる 肝臓の働きが悪くなると、心当たりもないのに全身のだるさが続いたり、疲れやすくなったりします。要因はさまざまなものが考えられます。 まず、ブドウ糖の供給を調節する機能が低下して、全身の細胞がエネルギー不足の状態になります。有害物質の解毒・分解が滞ることで、アンモニアなどの老廃物が身体にたまることも倦怠感の一因です。 ほかにも栄養素の貯蔵障害や、タンパク質の合成低下、ホルモンの分解が滞ることでのホルモンバランスの乱れも影響します。このように、肝臓のさまざまな機能の低下が、全身のだるさや疲れやすさにつながります。 黄疸(肌や目が黄色くなる)やむくみが出やすくなる 黄疸とは、白目や皮膚が黄色くなる症状です。これは肝機能の低下を示す特徴的な症状で、肝臓におけるビリルビン(赤血球が壊されるときに出てくる黄色い色素)の代謝と排泄がうまくいかなくなると起こります。急性肝炎の場合は、黄疸が出現する数日前から、尿の色が茶色くなる症状も現れるのが一般的です。(文献2) むくみの原因は、肝臓におけるタンパク質の合成障害かもしれません。血液中のタンパク質(アルブミンなど)が減少すると、水分を血管内に保持する力が弱まります。すると水分が血管外に漏れ出し、むくみや腹水として溜まってしまうのです。 肝臓の働きの悪化が進むと重大な病気にかかりやすい 肝臓の働きが悪化すると、以下のような肝臓の病気を発症するリスクが高まります。 急性肝炎 慢性肝炎 アルコール性肝炎 非アルコール性肝炎 ウイルス性肝炎 肝硬変 肝臓がん 本章では、このうち急性肝炎、慢性肝炎、肝硬変の3つについて説明します。 急性肝炎 急性肝炎は、肝炎ウイルスやアルコール、薬剤などの影響で肝臓内の細胞が破壊され、強い炎症所見を呈するものです。肝炎ウイルスが原因であることが多く、感染して数週間から数カ月後に、黄疸や食欲不振、全身倦怠感、発熱といった症状が現れます。(文献2) 肝炎ウイルスの種類はA・B・C・D・E型があり、このうちD型は、日本ではあまり見られません。どの型であっても、治療の基本は安静と食事療法です。肝臓への負担を抑えるためにタンパク質を制限するほか、必要に応じて輸液や炎症を抑える薬を投与する場合もあります。 急性肝炎は重症化するケースもありますが、多くは自然に回復します。しかし、C型肝炎は慢性化する確率が高いため、急性の症状が落ち着いても、6カ月の経過観察が必要です。 慢性肝炎 慢性肝炎とは、肝臓の炎症が半年以上継続している状態を指します。原因は、急性肝炎が完全に治りきらないことや、脂肪の蓄積やアルコールによる肝臓への負担です。 慢性肝炎による炎症と修復が繰り返されると、肝臓は少しずつ繊維化し、慢性肝臓病と呼ばれる機能低下の状態となります。さらに放置すれば、肝硬変や肝臓がんに移行するかもしれません。(文献3) 慢性肝炎の自覚症状は非常に軽微なため、健康診断の血液検査でたまたま発見されることが多いといわれています。とくに気をつけるべき数値は、肝臓の働きを反映するALTです。ALTが30を超えたらかかりつけ医を受診するよう、日本肝臓学会により呼びかけられています。(文献3)症状がなくても放置せず、早めの受診を心がけましょう。 肝硬変 肝硬変とは、肝臓の組織が繊維化して固くなってしまう病気です。慢性肝炎などによって、肝臓内の細胞が破壊と修復を繰り返すうちに発症します。原因はC型肝炎が最多ですが、近年ではアルコール性肝障害や、非アルコール性脂肪肝炎が原因で肝硬変となる患者様の割合が増えています。(文献1) 肝硬変になると、肝臓の機能は低下したまま元に戻りません。また、肝がんが発生する危険性が高くなります。(文献1) 初期にはほとんど有意な症状を認めないことが多いですが、進行するにしたがって倦怠感や吐き気、体重減少など、多彩な症状が出現すると知られています。さらに病状が悪化すると、むくみやおなかの張り、白目や皮膚が黄色くなる黄疸などが自覚されます。 肝臓疾患の治療には再生医療をご検討ください 脂肪肝や肝炎といった肝臓の病気は、放置すると肝硬変や肝がんに進行する場合もあります。しかし自覚症状が出にくいため、気づいたときには進行していることも少なくありません。 そんな肝臓疾患の新しい治療法として、再生医療があります。再生医療とは、体内の幹細胞が持つ組織修復能力や炎症を抑える働きを活かした治療です。患者様自身の幹細胞を用いますが、入院を伴う大きな手術は必要なく、身体への負担を抑えられます。 当院リペアセルクリニックでも、脂肪肝・肝硬変・肝炎に対する再生医療を提供していますので、お気軽にご相談ください。 肝臓の働きを良くするために意識したい生活習慣 ここでは肝臓のために普段から意識したい生活習慣について、食事、休息、運動の面からお伝えします。 栄養バランスを考えて食事のメニューを選ぶ 睡眠不足・ストレス過多を避ける ウォーキングなど軽い運動を習慣にする 栄養バランスを考えて食事のメニューを選ぶ 肝臓の働きを維持するには、肝臓の細胞を作るタンパク質や、肝臓の機能を助けるビタミン類が大切です。積極的にとりたい栄養素と、多く含む食品例を以下にまとめました。 栄養素 食品例 タンパク質 ・鶏むね肉 ・豆腐 ・卵 ビタミンB群 ・豚肉 ・ほうれん草 ・納豆 ・玄米 ビタミンC ・ブロッコリー ・キウイフルーツ ・さつまいも ビタミンE ・アーモンド(ナッツ類) ・アボカド ・カボチャ ポリフェノール ・緑茶 ・ブルーベリー ・ココア タウリン ・しじみ ・あさり ・いか これらの栄養素を意識しながら、さまざまな食品をバランスよく食べましょう。 なお、既に肝機能が落ちている方は、タンパク質や塩分の制限が必要な場合もあります。医師と相談しながら食事内容を調整してください。 睡眠不足・ストレス過多を避ける 睡眠時間が短いと、肝臓が日中のダメージを修復・再生する時間も少なくなります。毎日決まった時間に寝起きするなど規則正しい生活を送り、質の高い睡眠を確保しましょう。寝る前のカフェイン摂取やスマートフォンの使用を控えるのも効果的です。 また、過度なストレスも自律神経を乱し、肝臓へのダメージにつながります。活性酸素が増えることで肝細胞が傷ついたり、ストレスによる食生活の変化で肝臓に負担がかかったりする可能性もあります。適度な運動や趣味など、自分に合った方法で上手にストレスを発散しましょう。 ウォーキングなど軽い運動を習慣にする ウォーキングなどの軽い有酸素運動も、肝臓に良い影響をもたらします。とくに肥満を伴う脂肪肝の患者様には効果的で、単純な脂肪肝でも、脂肪により炎症が起きている場合でも、肝臓の脂肪が減る効果があると報告されています。(文献4)肥満ではない方も、運動によって消費エネルギーが増えれば、脂肪の消費に役立ちます。 おすすめの有酸素運動は、ウォーキングやサイクリング、スイミング等です。少し汗をかきながら無理なく続けられる強度で、1回30分~60分、週に3~4回を目安にしましょう。適切な運動により、脂肪肝の改善が期待できます。 肝臓の働きについて気になる点があれば病院へかかりましょう 肝臓の主な働きと、機能低下時の症状、肝臓に良い生活習慣について解説しました。肝臓を守るためには、バランスの良い食事と十分な睡眠、ストレス管理、軽い有酸素運動の継続を大切にしましょう。 一方で、肝臓病は症状が現れにくいため、定期的な検査も欠かせません。健康診断では、とくにALT値に注目し、30を超えたら医療機関を受診しましょう。 肝臓病になってしまったら、治療や生活習慣の見直しが必要となります。治療については再生医療も選択肢の一つです。 当院リペアセルクリニックでは、脂肪肝・肝硬変・肝炎に対する再生医療を提供しています。肝臓が気になる方は、お気軽にご相談ください。 参考文献 (文献1) 日本消化器病学会・日本肝臓学会「肝硬変診療ガイドライン 2020(改訂第 3 版)」2020年 https://www.jsge.or.jp/committees/guideline/guideline/pdf/kankouhen2020_re.pdf(最終アクセス:2025年5月20日) (文献2) 国立健康危機管理情報機構 肝炎情報センター「急性肝炎」 https://www.kanen.ncgm.go.jp/cont/010/kyuusei.html(最終アクセス:2025年5月20日) (文献3) 日本肝臓学会「奈良宣言特設サイト」 https://www.jsh.or.jp/medical/nara_sengen/(最終アクセス:2025年5月20日) (文献4) 日本消化器病学会・日本肝臓学会「NAFLD/NASH 診療ガイドライン 2020(改訂第 2 版)」2020年 https://www.jsge.or.jp/committees/guideline/guideline/pdf/nafldnash2020_2_re.pdf(最終アクセス:2025年5月20日)
2022.04.04 -
- 頚椎椎間板ヘルニア
- 脊椎
「頚椎椎間板ヘルニアでやってはいけないことはある?」 「頚椎椎間板ヘルニアの予防で注意したいポイントは?」 頚椎椎間板ヘルニアを始め、頚椎疾患は、日常診療のなかでも多い病気のひとつです。頚椎疾患自体は、30~50代前後の中年層に患者数が多い傾向にあります。 ときには訳もなく発症するケースがあるものの、多くは日常生活で悪い姿勢のまま作業をしたり、首に負担のかかりやすい運動(スポーツ)をしたりすると起きやすくなります。 また、頭の重さは5~6Kgほどです。要はボーリングの球が首に乗っている様子をイメージしてみてください。いかに首への負担がかかっているのか、ご理解いただけるでしょう。 そのため、日常生活において大きな衝撃がないときでも、ほんの数センチ頭が傾くだけで、首に負担がかかってしまうのです。 今回は頚椎椎間板ヘルニアを患った方が、日常生活においてやってはいけないことを解説します。最後までお読みいただければ、注意点や予防法を理解できるはずです。 先に主要ページに飛びたい方は、頚椎椎間板ヘルニアでやってはいけないこと5つの項目を参考にしてみてください。 頚椎椎間板(けいついついかんばん)ヘルニアについて 頚椎椎間板ヘルニアは、椎間板の一部が本来の正常な位置から逸脱し、後方・背中側に向けて突出してしまう病気をいいます。 ちなみに「椎間板(ついかんばん)」とは、脊椎(せきつい)領域において、骨と骨の間にあるクッションの役割を担っている軟骨のことです。 首の骨は「頚椎(けいつい)」と呼ばれ、7つの骨で構成されています。 特に、頭側に位置する上位頚椎椎間板ヘルニアは、加齢にともなう下位頚椎の変形などにより、上位頚椎に負荷がかかって引き起こされるのが一般的です。 若年者から中年層にかけて幅広く発症し、多くは悪い姿勢でのデスクワークが原因で起こる傾向にあります。 あるいは頚部に重い負担や、大きな衝撃がかかる以下のようなスポーツで発症する可能性もあるでしょう。 ・ラグビー、アメフト ・柔道 ・レスリング、ほか格闘技など ・スキー、スノーボードなど(ウインタースポーツ) また、頚椎椎間板ヘルニアになったときにあらわれる症状は、以下のとおりです。 ・首や肩、腕にかけて広範囲に痛みやしびれが出てくる ・食事中に箸が持ちづらくなる ・服を着るときにボタンがかけづらくなる ・歩くときに足がもつれる 医療機関などで頚椎椎間板ヘルニアの患者さんを診療するときは、手足の感覚や筋力が通常より低下していないかを確かめます。 あるいは四肢の腱(けん)反射異常などを観察したうえで、MRI検査(核磁気共鳴装置)で画像を確認し、脊髄の圧迫状態を確認します。 頚椎椎間板ヘルニアでやってはいけないこと5つ【予防法も解説】 前項で触れた通り、頚椎椎間板ヘルニアという病気は、スポーツなどが契機となって発症しやすい傾向にあります。 頚部のしびれや痛みなどの症状がみられる場合には、運動を一旦中止し、医療機関の受診を検討しなければなりません。 以下では、日常生活で注意するためにも、頚椎椎間板ヘルニアでやってはいけないこと5つをご紹介いたします。動画の解説もあわせてご確認をいただけるとうれしいです。 https://www.youtube.com/watch?v=xbxEK7kz0y0 ・スポーツでの違和感は放置しない ・姿勢が良くないまま過ごさない ・体重管理をせず体に負担をかけない ・自転車・バイクなどに乗って負担をかけない ・喫煙を習慣化しない スポーツでの違和感は放置しない アメリカンフットボールやラグビー、格闘技系など、激しいコンタクトを要求されるスポーツ選手は特に注意が必要です。 また、体操選手などは、体に対して急激で強い外力が頻繁に加わる動作をおこない、長時間同じような動作を反復するので頚椎椎間板ヘルニアを発症するリスクがあります。 とくに年齢を重ねると椎間板が劣化しやすいため、激しい動きがある種目は行わないようにするか、可能な限りリスクに注意して行うなどの対策を取ってみてください。 ほかにも、症状が軽度な場合に「この程度なら大丈夫」と自己判断して放置し、治療をしないままスポーツや生活を続けるのは避けましょう。 頚椎椎間板ヘルニアは自然に良くならないので、違和感を放置すると症状を悪化させる原因に繋がりかねません。 首に痛みや違和感があるときは、早めに医療機関で診察を受けて、医師から適切な判断を仰いでみてください。 姿勢が良くないまま過ごさない 頚椎椎間板ヘルニアを引き起こしやすい例としては、日常的な姿勢の悪さがあげられます。 たとえば、腰の部分が反ってしまう「そり腰」を始め、腹部に体幹を支える力が入っていない状態の「猫背」が代表例です。 頚椎椎間板ヘルニアの発症防止や、発症後に症状を悪化させないためにも、日常生活で背筋を伸ばすなど「正しい姿勢を意識する」ことが大切です。 以下では、姿勢が崩れていないかの確認方法を解説いたします。 【姿勢の確認方法】 まずは、大きな鏡の前で自身の姿勢を確認しましょう。 もしくは自然に壁の後ろに立ち、かかとを壁に付ける形で確認します。 その際、お尻・肩・頭は、壁に軽くついているかを始め、背中は手のひら1枚分ほどの隙間があるかも確かめましょう。 準備が整ったら、姿勢が悪いときに当てはまる以下のポイントをチェックします。 ・お尻、肩、頭が壁につかない部分がある ・頭の後頭部がつかない(頚椎に負担がかかっている) 姿勢の悪さに気づいたときは、背筋を伸ばすなど、日頃から正しい姿勢を意識するように注意しましょう。 正しい姿勢を知って維持したい方は、正しい歩き方を含めて解説している以下の記事も参考になります。 体重管理をせず体に負担をかけない 平均的な体重の成人は、上半身の重さが全体重の6割ほどといわれています。 体重が重い肥満傾向の場合は、そのぶん頚椎椎間板にかかる負荷が大きくなります。 身長に対して過剰な体重にならないためにも、適度な運動や食生活の見直しをおこない、体重を管理することが大切です。 自転車・バイクなどに乗って負担をかけない すでに頚椎症の疑いや症状がある場合は、自転車やバイク、自動車などに乗るのは控えるほうが良いでしょう。 特に自転車やバイクの転倒時には、急激に首に力が入ってしまいます。リスクを避けるためになるべく運転を控えましょう。 それでも自転車に乗る場合は、停止時はすぐに地面に足が着くようサドルを調整し、無理のない走行を心がけます。 また、自動車でほかの人に運転してもらう場合は、乗る前に事情を説明しておき、安全運転をお願いしましょう。 乗り物に乗るときは、以下の点にご注意ください。 【自転車・バイク・自動車などに乗るときの注意点】 ・発進や停止するときは、首に大きな負担がかかる点を意識する ・急発進や急ブレーキも、首に大きな負担がかかるので避ける 乗り物以外では、重い荷物を持ち上げるなど、首に負担がかかる動作は控えてみてください。 どうしても持ち上げる必要があるときは、腰を曲げてかがむのではなく、膝を折ってかがめば首にかかる負担を減らして持ち上げやすくなります。 正しい姿勢を意識しながら、何らかの動作が必要なときは、首に負担がかからないようご注意ください。 喫煙を習慣化しない 何より注意すべきは喫煙です。喫煙は、全身の毛細血管の血流を悪化させて、椎間板の劣化が起こりやすくなると考えられています。 頚椎椎間板ヘルニアを患っているにも関わらず、喫煙習慣があるのなら、なるべくタバコを吸わないようにしましょう。 もしくは大幅に減らすなど、できる限り禁煙するといった努力を心がけてみてください。 ご存知のように、タバコは万病のもとといわれるため、この機会に禁煙されてはいかがでしょうか。 最近は電子タバコなどもあり、切り替えながら少しずつでも減らしていければベストですね。 頚椎椎間板ヘルニアでやってはいけないこと【まとめ】 ・激しいスポーツを避ける(それ以外のスポーツも要注意) ・重い荷物を持つなどの重労働は避ける ・腰を曲げてお辞儀するようにかがまない(首に負担がかかる) ・猫背、そり腰を避ける(正しい姿勢を知る) ・太らないこと、体重の増加に注意する ・自転車やバイク、自動車の急発進や急停止などに注意する ・スマホを悪い姿勢で見ない(首への負担を意識する) ・禁煙が望ましい 【頚椎椎間板ヘルニアの予防法】 ・正しい姿勢を知って維持する ・腹部で体幹を支えるように意識して姿勢を正す 頚椎椎間板ヘルニアを予防するには、ストレッチ方法を知っておくのもおすすめです。詳細については、以下の記事で詳しく解説しています。 まとめ|頚椎椎間板ヘルニアは姿勢を意識して負担を減らそう 椎間板が劣化する原因は、加齢などを含めてさまざまです。 頚椎椎間板ヘルニアになる要因やリスクを避けるために、以下のポイントを押さえておきましょう。 ・肥満 ・喫煙習慣 ・悪い姿勢 ・激しいスポーツ活動 など 普段の生活における環境要因(乗り物の運転など)を始め、頚椎椎間板ヘルニアの予防は正しい姿勢を知ることが第一です。 ほかにも、正しい姿勢で散歩したり、泳ぐのが好きな方はスイミングを取り入れたりするなど、持続的に無理のない範囲で運動する習慣を持つことも大切です。 現在、頚椎椎間板ヘルニアの治療中で、本記事をお読みいただいている方は、無理をなされないよう気をつけてお過ごしください。 頚椎椎間板ヘルニアでやってはいけないことを知る上で、少しでも参考になれば幸いです。 頚椎椎間板ヘルニアでやってはいけないことに関するQ&A 頚椎椎間板ヘルニアでやってはいけないことに関して、よくある質問と答えをご紹介いたします。 Q.頚椎椎間板ヘルニアの治療法は? A.頚椎椎間板ヘルニアでは「保存的治療」もしくは「外科的治療」を行います。 保存的治療において、主な治療方法は以下の3つです。 ・薬物治療:鎮痛薬の内服、神経ブロックなど(安静保持を含む) ・牽引治療:頚椎カラー装具で首を固定、首の牽引治療など ・理学療法:マッケンジー法、首のエクササイズなど ただ、保存的治療では顕著な症状改善を見込めず、手や足の筋力低下が続いて悪化するケースもあるかもしれません。 もしくは、スムーズに歩けないなどの歩行障害、尿失禁を始めとする排尿障害を合併する場合には、外科的治療(手術)を検討するケースもあります。 頚椎椎間板ヘルニアの治療法における詳細は、以下の記事で解説しているので参考にしてみてください。 Q.頚椎椎間板ヘルニアの初期症状は? A.初期症状は、主に以下の3つがあげられます。 ・首の痛み(最初期の症状) ・片方の腕や手の痛み、痺れ ・両手の痺れ、感覚障害 進行すると症状が悪化する可能性があります。少しでも違和感があるときは、早い段階で医療機関を受診してみてください。 頚椎椎間板ヘルニアにおける初期症状の詳細は、以下の記事も参考になります。 Q.頚椎椎間板ヘルニアの入院期間・休業期間はどのくらい? A.手術を受けた場合、入院期間の目安は、リハビリなどを含めて10~14日ほどです。休業期間の目安は、2~3週間ほどになります。 頚椎椎間板ヘルニアの入院期間や休業期間の詳細を知りたい方は、以下の記事も参考にしてみてください。 Q.頚椎椎間板ヘルニアのリハビリ方法は? A.患者さまの状態や生活習慣に応じて、運動療法や物理療法などを行います。 また、専門家からセルフケアの方法や動作に関するアドバイスも受けられます。 リハビリの目的などを含めて詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてみてください。
2022.04.04 -
- 健康・美容
要介護や寝たきりを避ける!元気で自立した生活を送るため大切なこと 寝たきり状態(要介護状態)になることは、本人だけでなく介護する家族にとっても身体的・精神的負担が大きな問題です。そのため、大半の人が「年をとっても元気に!自立した生活を送りたい」とお考えではないでしょうか。 では、要介護、寝たきりにならずに毎日を自由に楽しく過ごすためにはどうすれば良いのでしょうか? 高齢者の寝たきりの原因には、脳血管疾患や骨折、認知機能の低下などが挙げられます。これらの発生を防ぐためには、普段からバランスの良い食生活や身体を動かす習慣をつけておくことが大切です。 「要介護なんて自分には関係ない」「自分には、先の話」と思っている人も、今のうちから寝たきりを予防するための生活習慣について知っておくことは大切なことです。 介護が必要となったり、寝たきりとになる原因 寝たきりになってしまうことには、どんな原因があるのでしょうか?高齢者が寝たきりになり要介護となる原因には、病気や骨折などの身体的な疾患や認知機能の低下などの精神的な疾患が挙げられます。 それぞれの具体的な症状には、次のようものがあります。 脳血管疾患 脳血管疾患(脳卒中)は長期間の入院や治療を余儀なくされることが多いだけでなく、身体に麻痺が残って思うように動けなくなる恐れがある病気です。そのため、ベッドで過ごす時間がどうしても長くなってしまいます。発症すると会話ができなくなったり、口から食事が摂れなくなる可能性もあります。 骨折 骨折、特に大腿骨の骨折も寝たきりの要因として代表的なものであり、高齢者の骨折のきっかけとなりやすいのが骨粗鬆症です。骨折が治るまで時間がかかるため、長い期間自由に身体を動かすことができなくなり、筋力衰えてしまうというといった問題があります。 認知機能の低下 脳血管疾患やアルツハイマー病によって認知機能の低下(認知症)が引き起こされる場合があります。認知機能が低下すると物忘れが増える、会話が成り立たなくなるなどの症状が現れ最終的には自分で生活できない寝たきり状態になることもあります。 寝たきりにならない!要介護にならないための予防法 日常生活の中で寝たきりを予防するためのポイントにはどんなものがあるのでしょうか。先に述べた寝たきりの原因と照らし合わせながらチェックしてみましょう。 血糖値、血圧、コレステロール値の上がり過ぎを防ぐ 脳血管障害は、糖尿病や高血圧、動脈硬化によって引き起こされます。そのため、日頃から血糖値や血圧、コレステロール値を正常値に保つことが大切です。暴飲暴食は避けタバコを吸っている人は禁煙を検討しましょう。 身体を動かすことを意識する 骨折が怖いから「なるべく歩かないようにしている」という人がいますが、それは逆効果です。骨を支える筋肉が衰えると、身体を動かすことが困難になり、転んで骨折を起こしやすくなります。 筋肉の衰えを防ぐためには、体調に無理のない範囲でストレッチなどの体操やウォーキングで身体を動かすことを意識することが大切です。 バランスの良い食事ををしっかり摂る 高齢者は食事の内容が単調になり、食べる量も少なくなることから低栄養になりやすいといわれます。身体に必要な栄養素が不足していると筋肉や骨の力が弱くなって病気や骨折のリスクが高くなります。 腹八分目にする、よく嚙んで食べる、誰かと一緒に楽しく食べる、こまめに水分を摂ることも重ねて意識してみましょう。 メリハリのある生活で認知機能の低下を防ぐ 認知機能の低下は早期に気付いて適切な対処をすれば症状の悪化を抑えることが十分可能です。変化がなく、感情の動きが少ない生活は認知機能の低下を起こしやすいといわれています。 やりたいと思っていたことにチャレンジしたり、日記を付けて生活を振り返るなどしてみましょう。また、悩みを抱えこまずストレスを発散することも大切です。 廃用症候群に要注意! 人の身体は使っていない分だけその機能が衰えていきます。普段から身体を動かさずに安静にしていると、筋力が低下し関節も固くなってしまうのです。身体を動かさない状態が行き過ぎた結果、身体が部分的に動かなくなる症状を「廃用症候群」といいます。 寝たきりは、この廃用症候群が直接的な原因ともいえるのです。 特に高齢者は、家族からも「無理をしてはいけない」と安静にしているように言われたり手厚い介護サービスを受けることもありますが、それが行き過ぎるとかえって廃用症候群のリスクが高くなるため注意しましょう。 和式のトイレでしゃがめない、片足で靴下が履けないという人は筋力やバランス機能が低下しているため、廃用症候群のリスクが高くなっているかもしれません。 まとめ・要介護や寝たきりを避ける!元気で自立した生活を送るため大切なこと どんなに長生きしても、寝たきりになってしまっては生きている時間を自由に楽しく過ごすことはできません。自分の足で歩く、自分のことは自分でできる状態を維持することが寝たきりを防止し健康寿命を延ばすことに繋がります。 寝たきり状態は脳血管疾患や骨折などをきっかけとして身体を動かさない生活を続けた結果起こります。身体が良く動く若いうちから食生活や運動習慣について意識することで、加齢による筋肉の衰えを最小限に抑えて寝たきり防止に繋げていきましょう。 以上、要介護状態、寝たきりにならないため、大切にしたいことに関して記しました。参考にしていただければ幸いです。
2022.04.01 -
- 股関節
- ひざ関節
- 肩関節
- 肘関節
- 手部
「痛み止めにステロイド注射を使う効果は?」 「痛み止めのステロイド注射はどんな副作用があるの?」 ステロイドは、変形性膝関節症や変形性股関節症を始め、各種関節症の保存療法(薬物療法)で、痛み止めとして使われているメジャーな薬です。 ステロイドは痛み止めの薬として効果を発揮します。ただ、ステロイドの副作用が気になり、怖いと感じる方もおられるはずです。 今回は関節症の痛み止めに使われる機会が多いステロイド注射の効果、副作用などをご説明いたします。 最後まで読んでいただければ、ステロイド注射を使うメリットとデメリットを理解できるので、治療を受けるべきか迷われている方は参考にしてみてください。 関節症に痛み止めのステロイド注射を使う効果は2つ 関節症に痛み止めのステロイド薬(ステロイド注射)を使う効果を2つ解説します。 ・鎮痛効果 ・抗炎症作用 鎮痛効果 ステロイド薬を使うメリットには、鎮痛効果による痛みの緩和があげられます。 各種関節症の発症初期には、保存療法(薬物療法)がおこなわれるケースが一般的です。 ステロイド注射は痛みを緩和させる目的で、以下のようなときに使います。 ・生活を送るときの不自由さを減らすため ・運動療法による治療効果を高めるため とくに運動療法を行うときに痛みがあると、痛む部位を守ろうとするあまり、ほかの筋肉や組織に力が入りがちです。結果としてほかの部位まで痛める可能性もあります。 保存療法を有効に進めるためにも、ステロイド注射で痛みを減らす必要があるのです。 抗炎症作用 ステロイド薬には、炎症(痛みの原因)を和らげる抗炎症作用があります。 痛みの原因物質の産生を抑えられると、鎮痛(痛みを抑える)効果が期待できるのです。 各種関節症の保存療法では、初期の段階ではステロイド注射で痛みを緩和しながら炎症を防ぎ、リハビリなどの運動療法における効果を上げる目的で使います。 痛み止めのステロイド注射に関する副作用 ステロイドに悪いイメージがあるのは、副作用があると聞いたからではないでしょうか。 実際に、ステロイド注射の副作用のひとつに「骨が脆くなる」点があげられます。そのため、事前の骨の検査や年齢によっては、ステロイド治療を行えない場合があるのです。 以下で、副作用における一例をまとめています。 【ステロイドの副作用】 ・ステロイド注射を長期間、あるいは短期間に多く投与された場合 →股関節の「大腿骨頭」、肩関節の「上腕骨頭」、 「膝関節」の骨への血流が阻害され、骨の組織が壊死する危険性がある ・短期的に大量に使ったり、長期的に使ったりした場合 →骨の代謝やホルモンの産生に影響を与える ・長期的に使うと骨を脆くする危険性がある →「大腿骨骨頭壊死」「上腕骨頭壊死」「膝関節骨壊死」 といった困難な症状を招く可能性もある 【骨粗鬆症のリスク】 ・ステロイド注射は短期間に多くの投与、あるいは長期間使うと、 骨やホルモンの代謝に影響を与えかねない 【感染症になりやすい】 ・ステロイド注射は免疫を抑制するため、 長期間、関節内に投与を行うと「化膿性関節炎」になる危険性がある ・関節炎になった場合、抗生物質の内服による治療や、 重症化した場合は、関節内の洗浄が必要になる しかし、ステロイド注射は、変形性膝関節症や変形性股関節症、肩の関節症などの痛みに対して鎮痛、消炎(炎症をとりさること)の改善効果が得られます。 デメリットを過大評価すると使うのをためらってしまいがちです。 先にステロイド注射を使うデメリットを知っておくと、ステロイド治療に対する判断の一助となり、医師の診断や意見を理解する上でも役立ちます。 医療機関などで医師の管理のもと、適切にステロイド治療を行えると、必要以上に怖がる必要はなくなるはずです。 【長期使用はNG】痛み止めのステロイド注射は根本治療にならない ステロイド注射は、関節症の痛みで困っている場合に高い鎮痛効果が期待できます。 ただ、副作用があるステロイド注射を長期間、継続して使うのはおすすめできません。短期間でも大量に使うのは避けましょう。 また、ステロイド治療は、骨の変形や軟骨のすり減りなど、関節の状態を修復する効果はありません。病気の進行を止めるなど、根本的な治療を目的としていないのです。 たとえば、変形性関節症は進行する病気です。変形性関節症の人がステロイド治療を行っても、最終的には手術が必要となる可能性があります。 関節症におけるステロイドでの治療方法について 関節症でのステロイド治療は、内服薬と注射があります。 症状や状態にもよりますが、内服薬で痛みに対する効果が感じにくくなった場合に、関節内にステロイド薬を直接注射する流れが一般的です。 ステロイド薬を関節に注射すると、抗炎症作用により痛みを改善します。ただ、何度も申しますが、長期的な使用や短期の大量投与は、副作用のリスクがあるので避けましょう。 また、関節症の症状が進行するとステロイドの効果が減少して、外科的治療として手術の選択を迫られるかもしれません。 しかし、近年はステロイド注射以外にも、手術や入院を避けられる再生医療の治療方法もあります。 再生医療の幹細胞治療では、膝や股関節、肩などの治療において、自身の幹細胞を培養して関節注射を行う流れです。 まとめ|関節症のステロイド注射は痛み止めに効果がある ステロイド薬は、内服や痛む関節に直接注射する方法で使います。鎮痛効果と抗炎症作用により、痛みを緩和させる効果があります。 ただし、ステロイド注射はメリットがある反面、副作用もあるので注意が必要です。短期的な大量投与や、長期的なステロイド治療は避けるべきです。 ステロイド注射は問題のある部位を修復できないので、根本的な解決はできません。 ただ、医療機関などで医師の管理下で治療するなら、必要以上に怖がる必要はないでしょう。ステロイドの特性を知った上で、治療に使っていただければと思います。 また、関節症に関わる治療のひとつとして、再生医療もあります。ステロイド治療以外で、根本的な治療を探している方は、再生医療の治療方法も視野に入れてご検討ください。 痛み止めのステロイド注射に関するQ&A 痛み止めのステロイド注射に関して、質問と答えをまとめています。 Q.関節症における痛み止めのステロイド注射は保険適用ですか? A.はい、一般的には保険適用になります。 ただし、症状や治療方法によっても変わる可能性があるので、詳細は医療機関でご確認ください。
2022.04.01 -
- 股関節
- 変形性股関節症
「病院で人工股関節への置換術をすすめられた」「変形性股関節症の手術が決まっている」といった方の多くは、手術後の生活が気になるのではないでしょうか。 股関節の変形などの治療として手術で人工股関節を入れても、すべてが元通りになるわけではありません。 手術後は、股関節に負担がかからないように以下のような動作や姿勢に気をつけて生活する必要があります。 本記事では、人工股関節手術後の生活で気をつけるべきことを解説します。 早期回復のためのポイントや仕事復帰までの目安もまとめているので、人工股関節手術を控えている・検討している方は、ぜひ参考にしてください。 人工股関節手術後の生活における注意点 人工股関節手術後の生活では、過度な運動や股関節に大きな負担がかかる姿勢を避ける必要があります。 具体的には、以下の6つに注意して過ごしましょう。 それぞれ詳しく解説するので、ぜひ参考にしてください。 以下の記事では、変形性股関節症の方が人工関節手術を行うリスクについて解説しているので、合わせてご覧ください。 適度に歩く時間をつくる 人工股関節手術後の歩行に関して、とくに制限はありませんが、以下の点に注意しましょう。 筋力の低下を防ぐため歩く時間を作る 歩行時は革靴ではなく滑り止めがついた運動靴を履く 翌日まで疲労が残る場合は、運動量が多すぎる可能性が高いため、ペースを調節してください。 股関節に負担がかかる日常動作は避ける 人工股関節手術後の生活では、股関節を曲げて膝を内側にねじるような姿勢は負担が大きいので避けましょう。 とくに股関節の屈曲などの複合動作が続くと、股関節に大きな負担がかかって脱臼や骨折の原因になります。 人工股関節の脱臼を防ぐためにも、日常生活の中では以下の点に注意が必要です。 あぐらや横座りなどを避ける ズボンや靴下などを履くときは床ではなく椅子に腰掛ける ただし、座るときにどの程度の注意が必要かは、手術方法によって異なります。 近年は筋肉や腱を切らずに済む方法が増え、人工股関節手術後の脱臼のリスクそのものが低下しています。 手術後に避けるべき動作や姿勢については、医療機関や主治医に確認しましょう。 過度な運動やスポーツを避ける 人工股関節手術後は、過度な運動やスポーツを避ける必要があります。 手術をしたからといって、ハードな運動ができるわけではありません。 過度な運動は股関節の脱臼やゆるみを起こしてしまう可能性があるため、注意が必要です。 ただし、適度な運動は、股関節周りの筋肉を鍛えることにつながるため、無理のない範囲で体を動かすことをおすすめします。 実際に、人工股関節手術後の生活で、ハイキングやウォーキングなど、さまざまな運動を楽しんでいる人もいます。 手術後の生活で無理なくできる運動は、水泳やウォーキングなどです。 ただし、水泳の場合、股関節に負担がかかる平泳ぎよりもバタ足などがおすすめです。 また、ウォーキングは15分程度の軽い運動にとどめるなどの配慮が必要です。 重いものを持たないようにする 人工股関節手術後の生活では、日常的に重たいものを持たないように注意しましょう。 重いものを持ち上げたり、持って移動したりすると、股関節に大きな負担がかかります。 もちろん、しゃがんだ姿勢から荷物を持ち上げることも避けましょう。 軽い荷物であれば大丈夫ですが、足腰を使わなければ持ち上がらないほどの重い荷物であれば、家族や友人に手伝ってもらって運んでください。 とくに家族には、人工股関節手術ことを伝え、手術後の生活についてよく理解してもらっておくと安心です。 入浴時は膝を大きく曲げないようにする 人工股関節手術後の入浴時は、とくに身体を洗う姿勢に注意してください。 ほかにも、以下の点に気をつけると股関節への負担を減らせます。 シャワーチェアを使用して椅子に腰掛けた姿勢で身体を洗う かがみこまなくて済むようにタオルではなく柄が長いブラシを使用する 浴槽で両足を伸ばせない場合は浴槽用の小さな椅子を使用する 椅子を使うスペースがない場合は、浴槽の縁にも腰掛けることも可能です。しかし、足先を洗う際などは無理にかがみこむと脱臼する可能性が高いため注意しましょう。 なお、浴槽への出入りしやすくするためには、浴室の壁に手すりを取り付けると便利です。 転倒を防ぐための生活環境を整える 人工股関節手術後は、人工股関節の破損を避けるためにも転倒に気をつけましょう。 手術後の生活では、人工股関節とうまく付き合っていく意識が必要です。 転倒は、人工股関節の破損だけではなく骨折の原因にもなります。 骨折によって歩行が難しくなると、手術をした意味がなくなってしまいます。 手術後は、外出の際に階段を避けてエスカレーターやエレベーターを利用したり、足場の悪いところは極力歩かないようにしたりするといった心がけが必要です。 人工股関節手術後から仕事復帰までの目安期間 人工股関節手術後に仕事復帰できるまでの期間は職種によって異なり、事務職であれば、数週間から1カ月程度で復帰が可能です。 しかし、業務上でしゃがんだりかがんだりする動作を伴う場合は、復帰までに時間がかかります。 人工股関節手術後の仕事復帰までの目安は、以下の通りです。 事務職 2~4週 立ち仕事(半日) 4~6週 立ち仕事(1日) 6~8週 ドライバー・配送業 2~3カ月 激しい肉体労働が中心の仕事 3カ月以降 ただし、手術後の回復には個人差があるため、まずは主治医に相談してから仕事に復帰する計画を立てましょう。 人工股関節手術後に生活へ復帰するためのポイント ここでは、人工股関節手術後の生活において、早期回復のために工夫すべきポイントを紹介します。 股関節に負担の少ない生活スタイルに変える 人工股関節手術後の生活では、股関節に負担のかかる姿勢を避ける必要があります。 たとえば、正座や足を前に投げ出して座る姿勢は手術後でも問題ありませんが、体育座りや横座りなどは脱臼のリスクが高まります。 和式トイレなどでしゃがみ込む、座布団に座る、重いものを持ち上げるなどの動作は、意識して避けましょう。 人工股関節手術後は、できる範囲で椅子や洋式トイレを利用するようにして、生活スタイルを切り替えていくことをおすすめします。 また、布団を敷いて寝ている方は、ベッドにしたほうが股関節に負担をかけずに済みます。 体重管理をする 人工股関節手術後の回復を早めるためには、体重管理もポイントです。 体重が重いだけでも、股関節には大きな負担がかかるため、適度な運動をして体重管理しましょう。 標準体重よりも重い場合や、普段から身体が重いと感じている場合は、思い切ってダイエットを始めることもおすすめです。 ただし、単に体重を減らすだけではなく、筋力の維持にも努める必要があります。手術後は徐々に股関節を慣らすようにして、1日15分程度のウォーキングなど軽い運動をしましょう。 適切なリハビリテーションを続ける 人工股関節手術後の回復を早めるためには、適切なリハビリテーションを続ける必要があります。 人工股関節手術後は、筋力が低下している状態です。 とくに手術前から痛みで動きが制限されていた場合は、筋力の低下が顕著になる傾向があります。 人工股関節手術後に目指す生活レベルにもよるものの、筋力を回復させるためには、手術後も長期間にわたってリハビリテーションを続けることが大切です。 医療機関や主治医に相談しながら、納得のいく治療計画を立てましょう。 人工股関節手術後の生活の注意点に関するよくある質問 人工股関節手術後の日常生活の注意点に関するよくある質問と回答を紹介します。 人工股関節手術後の生活で気を付けることは? 人工股関節手術後の日常生活では、股関節に負担がかからないように気を付けましょう。 近年では人工股関節の耐久年数が向上していることから、日常生活だけでなく運動をする方も増えてきています。 しかし、人工関節は使えば使うほど摩耗していくため、股関節に負担がかかる動作を続けることで人工股関節の寿命が短くなっているといえます。 そのため、人工股関節を少しでも長持ちさせるためにも、術後の日常生活では股関節に負担がかからないように注意することが重要です。 自宅でもリハビリは必要ですか? 基本的に退院後でも自宅でリハビリは継続した方が良いです。 必要なリハビリは患者さまの目的によって異なるため、自分に合ったリハビリを続けましょう。 例えば「趣味のスポーツを再開したい」という場合には、そのスポーツで股関節にかかる負担を軽減できるように筋力トレーニングやストレッチが必要です。 しかし、自宅付近の移動ができれば良いという方は、スポーツをやりたい人ほどリハビリを頑張る必要はないといえます。 日常生活をおくる上で影響がない程度に筋力や柔軟性の維持に努めましょう。 人工股関節手術後にやってはいけないスポーツは? 人工股関節手術後は、股関節を捻るような以下のスポーツは控えましょう。 サッカー バスケットボール 野球 バレーボール テニス 水泳 柔道 ラグビー 上記のようなスポーツは、股関節を捻る際に大きな負荷がかかるため、人工関節の摩耗や破損につながる可能性が高いです。 しかし、筋力や柔軟性を低下させないために適度な運動は推奨されています。 どの程度の運動ができるかは個人差があるため、主治医と相談した上で行いましょう。 人工股関節手術後に杖はいつまで使うべき? 人工股関節手術後は、3ヶ月前後を目安に杖を使用しましょう。 術後に転倒してしまうと人工股関節の脱臼や損傷のリスクがあるため、転倒防止に杖の使用が有効です。 とくに混雑しやすい場所や長時間歩く場合などの状況をみて、3ヶ月を過ぎても杖を使用した方が良いでしょう。 人工股関節手術後の生活では関節に負担をかけないようにしよう 今回は、人工股関節手術後の生活で気をつけるべきことや工夫すると良いことなどを解説しました。 基本的に人工股関節手術後の生活では、人工股関節に配慮さえすれば大きな支障はきたさないでしょう。 しかし、人工股関節とうまく付き合っていく必要があるため、どうしても注意や工夫をしなければならない場面も出てきます。 なお、手術後の生活における注意事項や運動、リハビリテーションなどに関しては、必ず主治医の指導を受けるようにしてください。 ▼ 立ち上がり動作における股関節への負担を減らすポイントは、以下の記事で詳しく解説しています。
2022.03.31 -
- ひざ関節
ウォーキングが習慣になっていると、膝が多少痛くても運動したくなる方も多いのではないでしょうか? なかには、「少し歩いた方が痛みが和らぐ」と考える方もいるかもしれません。 しかし膝が痛い時は、無理せず安静にするのが大切です。 この記事では、膝が痛い時の対処法や、痛みの抑え方などを解説します。ぜひ参考にご覧ください。 膝が痛いときはウォーキングせずに休む 膝が痛いときは、重症になることを予防するためにもウォーキングせずに休みましょう。 膝に痛みを感じる原因に、急激な方向転換や、度重なる負担からきた筋肉や靭帯の損傷、骨への衝撃が関節内部まで及ぶことによって、膝の故障に加えて半月板損傷や滑液包炎を発症していることが考えられます。 また、体の防御反応である「炎症」が起きている可能性もあります。 炎症がある場合は、ウォーキングなど軽い運動であっても炎症が回復するまで控えるのが賢明でしょう。 では、炎症はどのように判断すれば良いのでしょうか? これを判断する基準は、5つあります。それは腫脹、疼痛、発赤、機能障害、熱感というものです。 膝の炎症を判断する基準 膝の炎症を判断する基準は、以下の通りです。 腫脹 疼痛 発赤 機能障害 熱感 炎症が起きると、傷めた箇所の毛細血管が広がり、局所的に血の流れが増大することで発赤や、熱感がみられるようになります。 また、血液が血管外へ漏れ出すことで組織が腫れ、傷めた箇所が圧迫されることで痛みを感じます。 すると痛みにより思うように体を動かせない機能的な障害が起こります。そして炎症反応の過程で血管が拡張します。 上記の判断基準はあくまで、このような状況になった場合の医療機関を受診するキッカケにしていただくものです。 炎症を感じたら素人判断せずに医師の診断を受けましょう。 以下の記事では、膝の痛みによくある鵞足炎(がそくえん)という疾患について詳しく解説しているので、合わせてご覧ください。 膝痛の慢性化に注意 膝を傷めた場合、まずは冷やすことで血管を収縮させ、腫れや炎症の広がりを抑えることが推奨されています。 尚、炎症が起きているのにも関わらず、運動を続けたり、治りきる前の早すぎる復帰には十分、気をつけたいところです。 注意しなければ炎症が長引くだけでなく、傷めた箇所の修復が追いつかず「いつまでたっても痛みが取れない」という痛みの慢性化につながってしまいます。 ウォーキングで起きる膝痛の治し方 ウォーキングで起きた膝の痛みに対しては、以下の対処で回復が期待できます。適切なケアで症状の改善を目指しましょう。 発症直後はただちに冷却する ストレッチに取り組む 痛みが強い場合は病院で診察を受ける ウォーキングの再開時はテーピングをおこなう とくに発症直後にしっかりと冷やすのは重要です。 それぞれ詳しく解説するので参考にしてください。 発症直後はただちに冷却する ウォーキングのなかで膝に顕著な痛みを感じたら、患部を冷やしましょう。 受傷後、2〜3日ほど、できるだけ冷やすようにすれば、炎症反応を抑えられます。 1回あたり15~20分で、1日に2〜3回ほど冷却するのがおすすめです。 冷却には、水に濡らしたタオルや氷枕などを活用しましょう。 アイスノンなども便利です。 急性期(2〜3日)が過ぎ、腫れや強い痛みが落ち着いてきたら、今度はホットパックや長めの入浴で体を温めましょう。 血流をうながし、回復を促進します。 なお、「冷やす」「温める」の順番を間違えると逆効果なので注意しましょう。 ストレッチに取り組む 痛みがある程度落ち着いてからは、下半身のストレッチに取り組むのがおすすめです。 大腿四頭筋などが刺激されると、血流がよくなり、回復が早まります。ウォーキング代わりの運動にもなるでしょう。 例えば以下のようなストレッチは効果的です。 1.壁に片手をつく 2.片足の膝を上げて、つま先を手で掴む 3.そのまま体の内側に、足を引き寄せる 4.姿勢を30秒ほどキープする 5.1から4を3セット繰り返す ストレッチで、膝に負担を抱えず、大腿四頭筋などの筋肉を刺激し、回復を促進できます。 痛みが強い場合は病院で診察を受ける 痛みが落ち着かない場合は、重大な怪我を負っているかもしれません。 その場合は病院の受診をおすすめします。 軽度の炎症なら、数日冷却したり、体を温めたりする過程で痛みが引きます。 それでも痛みが続く場合は、より深刻な問題が隠れている可能性があります。 半月板損傷、靭帯の断裂、軟骨の損傷など、様々な原因が考えられるため、適切な診断と治療が必要です。 なお、膝の痛みが強い場合は、変形性膝関節症も疑われます。 あわせて以下の記事もご覧ください。 ウォーキングの再開時はテーピングをおこなう 痛みが引き、ウォーキングを再開する際、患部にテーピングを巻きましょう。 痛みが引いても、患部には炎症が残っており、再度刺激すると再発する可能性があります。 テーピングで関節の不必要な動きを制限し、膝への負荷を軽減することで再発を防ぎます。 適切なテーピングは関節を安定させ、痛みの原因となる過度な動きを抑制します。 なお、テーピングは自身でなく、専門家に巻いてもらうのを推奨します。 たとえば整形外科や接骨院では、技術者による正確なテーピングを実施できます。 ウォーキングのための膝痛予防トレーニング 痛みが慢性化してしまった人や、「変形性膝関節症」のように、膝に痛みが出やすい方は無理して運動を続けると、かえって膝の状態が悪化します。 運動を行う際には、痛みを我慢しながら行うのではなく、痛みなくできる運動を取り入れることがおすすめです。 いずれの運動も始めるときや、終わりには、ストレッチなどで身体をほぐすことが非常に効果的です。 また、運動が不安な場合は、膝へサポーターを着けて支えてやれば不安なく動けるかもしれません。 膝の負担が少ないトレーニング「等尺性運動」 膝に痛みを感じるタイミングのほとんどが、立ち上がる時、動き出しなどの膝に体重をかけた時です。 そんな方におすすめの運動が、座りながらできる大腿四頭筋を使う運動です。 椅子に座ったまま片方の膝を伸ばしたままキープします。 この方法は膝へ体重による負荷をかけずに大腿四頭筋のトレーニングが行えます。 このように関節を曲げ伸ばしせず、筋肉を収縮させる運動方法を「等尺性運動」といい、負担なく行えるのが特徴です。 軽度な運動で痛みを感じる方にはおすすめとなる運動方法です。 プールの浮力を活かしたウォーキングも有効 プールに入ることで体へ浮力が生まれます。 浮力は体重による負荷を50%減らすことができます。 プールでのウォーキングは膝に痛みを抱えている方におすすめの運動方法です。 特に地上でのウォーキングでは痛みを感じるけれど、椅子を使って行う等尺性運動では物足りない。 そんな方におすすめの運動方法です。 リハビリを兼ねた低負荷のウォーキング リハビリを目的とした低負荷のウォーキングも有効です。 時間や歩数に目標を定めず、膝が痛まない距離と強度でウォーキングに取り組みましょう。 また、斜面や未舗装の実を含むルートは避けるのが賢明です。 変形性膝関節症がある場合は、個人の状態に合わせて歩行量を調整することが重要です。 痛みが出ない範囲で徐々に歩行量を増やし、症状に応じて医師や理学療法士の指導を仰ぐようにしましょう。 まとめ:膝が痛い時は本格的なウォーキングを避けて安静に ここまで膝の痛みを改善する目的でリハビリをしている中、そのための運動療法であっても膝が痛くなってきたという場合の対処法と、そもそも膝に負担をかけない運動について解説しました。 膝に痛みを感じる場合は、炎症が治るまで運動は休みましょう。 炎症が起きているかどうかは5つの徴候をもとに判断し、急性期には2〜3日冷やし、その後は温めることで回復を促進します。 もし2〜3日経過しても強い痛みを感じる場合などは、医療機関、病院等の整形外科を受診し、検査を受けるなど、その指示に従われることをおすすめします。 また、その際、運動方法などの助言を得たり、サポーターなどの装具のアドバイスを受けても良いでしょう。 痛みが慢性化していたり、変形性膝関節症の方は、運動の度に痛みを感じたり、痛みが出やすい状態になります。 痛みがあるときは無理は禁物です。 それでもで早期回復に向けて運動療法に取り組む場合は、今回紹介した椅子で行う等尺性運動、プールで行う運動、ウォーキングに、ストレッチを取り入れ、膝の痛みと相談しながら適切な強度で運動を選択し、膝への負担を減らして行うようにしてください。
2022.03.30 -
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レントゲン検査やCT検査で股関節の痛みや違和感の原因が特定できない場合、MRI検査が必要となるケースがあります。 MRI検査では、レントゲンやCTでは映し出せない神経や筋肉の異常を詳しく調べられるからです。 本記事では、股関節に異常がないかを調べるMRI検査について詳しく解説します。 MRI検査で発見できる病名・疾患や、MRIの撮り方も紹介しているので、股関節の痛みや違和感に悩み詳しい検査を検討されている方は参考にしてみてください。 MRIを含む股関節を調べる画像検査3種【費用相場】 股関節の異常を調べるときに実施される画像検査は、主に以下の3種類です。 レントゲン検査 CT検査(Computed Tomography) MRI検査(Magnetic Resonance Imaging) 検査の内容や費用をそれぞれ見ていきましょう。 1)レントゲン検査 レントゲン検査は、多くの方にとってなじみのある放射線の一種であるエックス線を用いた検査方法です。短時間で簡単におこなえますし、苦痛もほとんどないため、まずはレントゲンを撮る病院が多いかと思います。 レントゲン検査は、骨の状態、部分を詳しく見るのに適しています。 たとえば骨折や、骨の変形などがその代表です。しかし、筋肉・軟骨・神経などの骨より柔らかい組織は撮影できません。 最近はデジタル化の影響で線量が格段に少なくなっているため通常の検査であれば問題はありません。ただ、放射線を用いる検査ですので、何度も繰り返して検索をおこなうなどの場合は被曝の可能性については気になるところです。 【検査費用の目安】 検査費用:600〜2,000円 ※撮影枚数2枚で3割負担の料金を想定 2)CT検査(Computed Tomography) CT検査は、レントゲンと同じエックス線を用います。 このエックス線をあらゆる方向から照射することで、体の輪切りした画像撮影が可能になります。レントゲンと違って体の内部まで輪切りにした状態で確認ができます。 輪切り画像を重ね合わせて他の断面の画像を構築したり、三次元(3D)の立体画像で確認したりできる検査です。 レントゲン検査よりもさらに詳しく骨の状態を評価できますが、レントゲンと同じく筋肉・軟骨・神経などの骨より柔らかい組織については判断しにくい特徴があります。 【検査費用の目安】 検査費用:5,000〜15,000円 ※3割負担の料金を想定 3)MRI検査(Magnetic Resonance Imaging) MRI検査とは、大きな磁石(磁場)を利用して体の内部を画像化する検査です。 レントゲン検査や、CT検査ではわからない筋肉や神経などの柔らかい組織を写し出す作業を得意としています。また、何より放射線を使用しないため被曝もなく、患者さんの人体に無害な検査という点で優れています。ただ、装置自体が大きく、とても高価なため、大学病院をはじめとした一部の施設にしか配置されていません。 また、誰でもできる訳ではありません。仕組みとして非常に強力な磁石を用いた装置なので、体内に金属があると検査できない場合があります。 MRI検査の注意点はこちら▼ 【検査費用の目安】 検査費用:5,000〜17,000円 ※3割負担の料金を想定 股関節のMRI検査でわかる主な3つの病名 ここでは、MRI検査で発見できる主な股関節の疾患を3つ紹介します。 ・変形性股関節症 ・関節リウマチ ・大腿骨頭壊死 順番に見ていきましょう。 変形性股関節症 変形性股関節症とは、股関節にある軟骨がすり減って、骨が変形する疾患です。変形性股関節症を発症し、症状が進行すると股関節に痛みが生じます。 また、股関節の可動域が制限されるようになり、立ち上がる動作や靴下をはく動作などに支障をきたすようになります。 変形性股関節症の詳細はこちら▼ なお、変形性股関節症の治療には、人間の自然治癒力を活用した「再生医療」が有効です。 幹細胞を股関節に注射すれば、すり減った軟骨が再生されます。徐々に痛みが軽減し、手術を回避できる可能性が高まります。 期待できる治療効果が知りたい方は、再生医療専門の『リペアセルクリニック』にお気軽にご相談ください。 関節リウマチ 関節リウマチとは、免疫システムの異常により、炎症を起こし痛みや腫れが生じる疾患です。股関節で発症した場合、リウマチ性股関節症と呼ばれます。 症状が進行または慢性化すると、関節が変形したり、こわばり・痛みによって日常生活に支障をきたしたりします。 また、炎症による発熱や、免疫システムのエラーによる臓器障害なども発生する可能性があるので、視野を広げた治療アプローチが必要です。 関節リウマチの詳細はこちら▼ 大腿骨頭壊死 大腿骨頭壊死は、股関節を形成する骨の一部である大腿骨頭への血流が低下して骨組織が壊死する疾患です。原因が不明な場合は「特発性大腿骨頭壊死」と呼ばれ、難病に指定されています。 症状が軽度で壊死の範囲が狭い場合は、経過観察も可能です。 しかし、壊死範囲が広く、症状が著しく進行している場合は、骨切り術や人工股関節置換術の手術が視野に入ってきます。 大腿骨頭壊死の詳細はこちら▼ 股関節を調べるときのMRIの撮り方 股関節を調べるときのMRIの撮り方を以下の表にまとめました。検査の流れを把握しておきたい方は参考にしてみてください。 流れ 検査内容 1.磁性体の装飾品を外す 磁場を発生させるMRIの故障の原因となるため、アクセサリーや時計などの金属類は事前に外しておく 2.検査着に着替える 必須ではないが安全性を考慮して推奨されている(参考1) 3.ヘッドホンや耳栓を装着する 検査中に騒音が発生するため、専用のアイテムで耳をふさぐ 4.ベッドに横たわる 指示に従って体勢を整える。撮影部位を固定する必要があるため患部によって多少体勢が変わる 5.検査開始 トンネル型の機械に入って検査を受ける。検査時間は撮影部位や撮影方法にもよるが、20〜45分 検査結果は、早くて当日中に出ます。詳細な分析を要する場合は、7〜10日ほどかかります。 MRI検査の全体像を解説した記事はこちら▼ まとめ|股関節に異常を感じたらMRI検査を検討しよう MRI検査は、レントゲン検査やCT検査ではわからない筋肉や神経などの組織の異常を詳細に映し出せます。 原因がはっきりわからない痛みや違和感が股関節に現れたら、MRI検査を受けて病名や疾患名を調べると良いでしょう。 早期に原因がわかれば、適切な治療を開始して早い回復を目指せます。 変形性股関節症を含む膝の痛みに対する根本的治療には「再生医療」を推奨します。再生医療は、人間の自然治癒力を活用した最新の医療技術で、すり減った膝軟骨の再生を図ります。 「再生医療に興味があるけど具体的なイメージがつかめなくて不安…」という方は、再生医療専門の『リペアセルクリニック』にお気軽にお問い合わせください。 股関節のMRI検査に関するよくある質問 最後に股関節のMRI検査に関するよくある質問と回答をまとめます。 MRIの画像に映る白い影は何ですか? MRI画像に映る白い影の原因は、以下のように複数考えられます。 ・小出血 ・骨髄の浮腫 ・組織や骨の損傷 ・レントゲンには映らないような微小な骨折 医師の話を聞いて、白い影の正確な原因を確認しましょう。 股関節のMRI検査で異常なしでも痛みが生じるのはなぜですか? 小さな組織の損傷は、MRIに映らない場合もあります。そのため、実際には損傷が起きていても、検査結果では「異常なし」と診断されるケースもゼロではありません。 また、股関節の靭帯が緩んで、痛みを伴う場合もあります。靭帯の緩みはMRIでは確認が難しく、検査では異常が見つからないケースもあります。 【参考文献】 参考1:http://fms.kopas.co.jp/fmdb/JJMRM/27/4/230.pdf
2022.03.30